1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:56:45 ID:prfDtzIo0
真「……Zzz」
律子「真、起きなさい。まーこーとー!」
真「うわっ……。って、なんだ、律子か。おはよー」
律子「おはよう。そろそろしっかり起きて」
真「ん……って、ボクいつの間に寝ちゃってたんだろう。しかも、なんだこれ。動きにくいよ、律子」モゾモゾ
律子「かいまきよ。あんた、こたつで寝入っちゃったから、引っ張り出して、それにくるんで寝かせておいたのよ」
真「あー、こたつで寝ると風邪ひいちゃうからねえ……。よいしょっと。脱げた脱げた」モゾモゾ
律子「またすぐこたつに……」
真「だってさー」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:57:16 ID:prfDtzIo0
※無印―DS世界で、涼の男バレ後の話。
律っちゃんはAランク達成後、独立せずに765でプロデューサーやってます。
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:57:57 ID:prfDtzIo0
涼「律子姉ちゃん、真さん起きたー?」
律子「起きたわよー」
涼「おはようございます、真さん」
真「あ、涼もおはよう。相変わらずエプロン姿が似合うね」
涼「あはは。そろそろお雑煮が出来るんですけど、真さん、お餅はいくつ入れますか?」
真「まだ雑煮なの?」
律子「秋月家では、餅を消費しきるまでは朝食はお雑煮って決まってるのよ。いつだろうとね」
真「ははあ。じゃあ、お餅二つ。普通の大きさならってことだけど」
涼「はい。じゃあ、二つで」
真「律子の所は角餅? 丸餅」
律子「うちは丸餅。先祖が西の方の出身なんでしょうね」
真「へー。そういう区別なんだ、あれって」
律子「角餅は江戸文化で、その影響を受けた地域が主……って話だけどね。実際は、家毎に色々混じってるんでしょうけど」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:58:56 ID:prfDtzIo0
真「甘いのもあるよね、お雑煮」
律子「ぜんざいみたいなやつね。さすがにあれを毎日朝食は厳しいわね。うちは野菜いっぱいに鶏肉よ」
真「ふむふむ。あ、美味しそうな香りだなー」
律子「涼が作るんだしね。美味しいわよ」
真「料理上手だもんねー、涼。一家に一人欲しいよ。春香とセットで」
律子「なに? 料理とお菓子作りってこと?」
真「そうそう」
律子「売れっ子アイドル二人に料理だけさせるとか、贅沢ねえ」
真「ボクだって、それなりに売れてるんだけど?」
律子「それにしたって……」
真「でも、涼もこう毎日律子の部屋に来てるけど……」
律子「うん?」
真「あの子大丈夫なの? あー……ほら、夢子ちゃん」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:01:22 ID:prfDtzIo0
律子「ああ、桜井さん? ふられたらしいわよ」
真「ええっ! いつの間に」
律子「去年、なんだか終末論が流行ったじゃない?」
真「週末?」
律子「土日じゃなくて、世界の終わりのほう」
真「ああ、マヤがどーたら?」
律子「そうそう。それでね、まあ、たわいない話なんだけど、世界が終わるとしたら、誰と一緒にいたいかって話になったらしいのよね」
真「ふむふむ。ああ、もしかして、そこで……」
律子「そ、桜井さんじゃない名前を出しちゃったわけよ」
真「あー……。でも、家族とかならしょうがないんじゃないかなあ?」
律子「うーん。でも、やっぱり、訊いてくるほうとしては、自分って言って欲しいわけじゃない?」
真「まあ、それもそうか……」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:05:48 ID:prfDtzIo0
律子「で、それが最後の一押しだったんじゃないかなって」
真「最後の?」
律子「そう。それまでも色々スルーしてきたんでしょう。きっと」
真「あー……涼だからね。」
律子「まあ、もともとつきあってたわけじゃないんだけどね」
真「そうなんだっけ?」
律子「そうよ。ともあれ、愛想が尽きたって言われちゃったらしいわよ。ずっと好きだったけどって言われた上で」
真「それはきついなー。もう取り返し付かないパターンだ」
律子「ただ怒ってるだけなら仲直りできるけど、過去形で言われた上でだとね」
真「まあ、しょうがないね。涼ならすぐいい子が見つかる……ってわけにもいかないか。ボクらの仕事からすると」
律子「アイドルだからね。でも、まあ、スキャンダルにならないよううまくやるのはいいんじゃない? 私も当然フォローするわよ」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:09:00 ID:prfDtzIo0
真「いまや律子もプロデューサーだもんねー」
律子「ええ。まあ、それを機に一人暮らしを始めたら、こんなことになるとは思わなかったけど……」
真「みんな入り浸ってるものね」
律子「あんたもね」
真「えへへ……」
涼「そろそろ出来ますよー」
律子「あら、ありがとう。こたつの上、片付けておきましょうか」
真「うん。台ふき、台ふき……っと」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:14:23 ID:prfDtzIo0
涼「じゃあ、召し上がれ」
りつまこ「いただきまーす」
律子「あー、なんか安心するわね、この味」
涼「おばさんと同じ味になってるかな?」
律子「ばっちりばっちり」
真「この里芋よく味がしみてて美味しいなあ」
涼「ありがとうございます」
律子「涼も食べなさい。今日は学校でしょ」
涼「うん。そうだね」
真「うーん。この汁もおいしいね。出汁が良いのかな」
涼「何だったら教えましょうか? そんなに難しくないですよ」
真「いやー、聞いただけで再現出来るほど料理スキルが……」
律子「真も女の子らしさを求めるなら、料理くらいは出来るようになったほうがよくない?」
真「律子は出来るわけ?」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:19:23 ID:prfDtzIo0
律子「さ、最近は涼に習ってかなり出来るようになったわよ。さすがにここまでじゃないけど……」
真「へえ。それは羨ましいな。ボクも一人暮らしするか……」
律子「高校出てアイドル専念なら、それも考えるべきででしょうね」
真「でも、父さんがなあ」
涼「高校卒業したらまた変わるかもしれませんよ? 律子姉ちゃんだって、いくらAランクで忙しくても高校の間は実家でしたし」
真「言われてみればそうかもね。あー、でも、ほんと美味しい」
律子「涼、片付けは私たちでやっておくから、食べ終わったら行く用意しなさいね」
涼「え? いいの?」
律子「ええ、それくらいはしないとね。ね、真」
真「うん。器洗うくらいは任せておいてよ!」
涼「じゃあ、お言葉に甘えて……」
律子「まあ、用意っていったって、あんたのことだから、授業の準備はもう終わってるんでしょうけどね」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:23:26 ID:prfDtzIo0
涼「うん。まあ、でも、細々とね」
真「涼は、そろそろ毎日ヒゲそらないといけなくなった?」
涼「……残念ながら」
真「狡いよなー。男のくせにつるつるとか……」
律子「あんただってほとんど化粧しなくてもかわいいじゃない」
真「そんなこと言ってくれるのは律子だけだよ……」
涼「いえ、真さんはとってもかわいいと思いますよ」
真「ああ、秋月家は天国だ!」
律子「まあ、かっこいいのも否定しないけどね。プロデューサーとしては」
真「……そっちもさ、こう、かわいいほうに、さ」
律子「考えない訳じゃないわよ? でも、少しずつね。いきなりきゃぴきゃぴするのは、変よ」
真「むー……」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:29:11 ID:prfDtzIo0
涼「ところで、律子姉ちゃん。今日の晩ご飯のリクエストある?」
律子「うーん。今日は夕方外回りなのよね。だから、できればあったまるものがいいな」
涼「じゃあ、お鍋にでもしようか」
律子「ああ、いいわね」
真「いいなー、鍋かあ」
律子「あんたは今夜はだめよ」
真「わかってるって。ちゃんと帰ります。ああ、そうだ、母さんに鍋にしてって言ってみようかな」
涼「あはは、それもいいかもしれませんね」
真「だろ? あはは……」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:33:07 ID:prfDtzIo0
律子「さて、火の元、戸締まりOKね。真は大丈夫?」
真「うん。シャワーも貸してもらったし、荷物は持ったし、ばっちりだよ」
律子「じゃあ、行きましょうか」
真「でも、事務所まで徒歩三分じゃ、出勤って気分にならないよね」
律子「切り替えは大事よ? 今日はあんた、すぐに雑誌の取材でしょ」
真「それは大丈夫だよ。ま、近いから助かってるよ、いろいろ」
律子「はいはい。じゃあ、行きましょう」
真「いってきまーす」
律子「行ってきます」
ガチャ。
バタン。
……………………
…………
……
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:38:27 ID:prfDtzIo0
ピンポーン。
千早「あら、誰かしら……。春香?」
春香「千早ちゃーん、あけてー」
千早「はいはい。ちょっと待ってね」ガチャ
春香「お邪魔しまーす」
千早「はい、どうぞ。……まあ、私の部屋じゃないけど」
春香「律子さんに、千早ちゃんが部屋にいるって聞いて来たから大丈夫だよ。はい、クッキー。……っと、私、手洗ってくるね」
千早「あら、ありがとう。これ、春香が焼いたの?」
春香「んー? うん。事務所に持っていったんだけど、千早ちゃんいなかったから」
千早「それでわざわざ? 悪いわね」
春香「いや、まあ、こたつにもぐりこみに来たってのもあるんだけど」モゾモゾ
千早「こたつは悪魔の発明ね」モゾモゾ
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:43:03 ID:prfDtzIo0
春香「千早ちゃんでもそうかー」
千早「まあ、それだけが目当てでもないけど……。少し一人で集中したかったから」
春香「あ……邪魔しちゃった?」
千早「いえ、それはもう。ただ、その、事務所に戻るのが億劫になってしまって……」
春香「あはは。わかる。ここ、落ち着くもんねー」
千早「他人様の部屋なのにね。……たいてい誰かしらいるし」
春香「ほんとにね。律子さんも一人になりたいときあるだろうし、少し気をつけなきゃね」
千早「一人、というよりは……」
春香「え?」
千早「いえ、なんでもないわ」
春香「?」
千早「ともかく、律子もきちんとルールを決めているのだから、それを守った上で、あまり非常識にならないようすればいいのではないかしら?」
春香「この部屋を来る人が守る四ヶ条だね」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:45:54 ID:prfDtzIo0
千早「一つ、合い鍵は作らない」
春香「一つ、仕事部屋と寝室は覗かない、立ち入らない」
千早「一つ、やむを得ない場合を除き、連泊は不可」
春香「一つ、部屋のものは使ってもいいけれど、持ち出さない。冷蔵庫の中は、自分の持ち込んだものと許可されたものなら食べていい」
千早「厳しいとは言えないルールよね」
春香「そうだね。実際には光熱費とかもあるしなあ」
千早「ああ、そこは気になって訊ねてみたことがあるのだけど」
春香「へえ?」
千早「なんでも事務所から……ええと、そうそう、家賃補助という形でお金が出ているそうよ」
春香「実際には私たちの食費とか世話代とか?」
千早「そうなるわね」
春香「そうなんだー。なら少しだけ安心かなー」
19: >>18 涼「夢子ちゃんに告白された」ならそう。 2013/01/11 23:49:52 ID:prfDtzIo0
千早「それでも、律子が部屋を開放してくれていることには変わり無いけどね。律子は、基本的に甘いから……」
春香「色々言うけど、それも私たちのこと考えてくれてるからだしね」
千早「やっぱり、余裕があるからなのかしら」
春香「うーん。そうかもね? あれだけ頑張って、精神的な余裕をどうやって作ってるのか、不思議なくらいだけど」
千早「逆に忙しくしていないとだれてしまうのかもしれないわよ」
春香「あー、それはあるかもね!」
千早「それに、律子はとても人望が厚いから。皆が支えてくれるのもあると思うわ」
春香「うん! 少しでも力になれてるといいよね、私たちも」
千早「ええ。律子の、人の世話を焼いてその人を惹きつけるところは、私も見習いたいわ……」
春香「大丈夫! 千早ちゃんもみんなに愛されてるから!」
千早「そ、そうかしら?」
春香「そうだよ! この春香さんも千早ちゃん大好きだからね!」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:51:46 ID:prfDtzIo0
千早「ありがとう、春香……って、もうこんな時間? 私、そろそろ出かけないと」
春香「あ、これからお仕事?」
千早「ええ、ラジオ局で。春香、このクッキー、持っていっていいかしら?」
春香「うん、もちろんだよー」
千早「ありがとう。それと、申し訳ないのだけど、律子にここの鍵を返しておいてもらえないかしら?」
春香「おやすい御用だよ!」
千早「じゃあ、お願いね」チャリ
春香「タクシー呼ぶ?」
千早「いえ、地下鉄の方がスムーズだわ。帽子も被って……と。じゃあ、行ってくるわね」
春香「うん、変装もばっちり! 気をつけてね」
千早「ええ、ありがとう。じゃあ、また」
春香「いってらっしゃーい」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:54:16 ID:prfDtzIo0
ガチャ。
バタン。
春香「さて、私はあと……んー、一時間半はあるか」ゴロゴロ
春香「あ、このマンガ、新刊出てたんだ。読ませてもらおう」ゴロゴロ
春香「んー。続き気になるなあ。でも、次はまた半年後くらいかあ……」ゴロゴロ
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:55:16 ID:prfDtzIo0
ピンポーン。
春香「はーい。……あ、雪歩」
雪歩「春香ちゃん、いたんだ。あけてもらえるかな?」
春香「はーい」
雪歩「お邪魔します」
春香「あれ、荷物多いね。もしかして、事務所に行く前に寄ったの?」
雪歩「うん。この間、涼さんに美味しい紅茶をもらったから、そのお返しに私が好きなお茶を持ってきたの」
春香「ああ、それで寄ってから」
雪歩「きっと誰かいるだろうと思ったしね」
春香「あははー。予想通りだったね」
雪歩「春香ちゃんも飲んでみる? 持ってきたお茶」
春香「いいの? 涼ちゃんに置いてくものじゃないの?」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 23:58:26 ID:prfDtzIo0
雪歩「事務所用にも持ってきてるから。それに、私も一休みしてから行きたいんだ。今日、体育が持久走で……」
春香「あー、なんでか、寒い時期にやったりするよねー……。じゃ、お願いするかな!」
雪歩「うん。うがいしてからね」
春香「そういえば、雪歩の学校、インフルエンザとかどう」
雪歩「うーん。いまのところ大丈夫かなー。ノロだっけ? あれで家族ごと大変だった友達はいるみたい。まだ会えてないけど」
春香「年末年始に? それはきついなー」
雪歩「うん。でも、私たちもいろんなところにいくし、いろんな人に会うから気をつけないと……」
春香「でも、インフルエンザはともかく、ノロはアルコールも効かないんでしょう?」
雪歩「うん。だから、普段から健康に保つしかないんだよね」
春香「私たちは、うがいとかくせになってるけど、でもねえ……」
雪歩「スケジュールきついもんね。時間空いたりしても待機してなきゃいけなかったり……」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:00:38 ID:INnQ+31/0
春香「気が抜けないよね」ゴロゴロ
雪歩「……いまの春香ちゃんは確実に気を抜いてると思う」
春香「いいんだよ、ここではー」ゴロゴロ
雪歩「ところで、お餅食べていいらしいけど、焼く?」
春香「うん、一個だけ!」
雪歩「はーい」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:05:56 ID:INnQ+31/0
春香「いやー。砂糖醤油のこの甘じょっぱいのがいいよね」
雪歩「お茶もどうぞ」
春香「うん。……あー、なんかもう一生ここにいたい。律子さんちのこたつで暮らしたい」
雪歩「だ、だめだよ」
春香「うん、わかってるけどね。それくらい、こうお茶飲んであったかで、ほわーって幸せな感じ」
雪歩「そ、そっか。美味しく感じてくれてるなら……いいのかな」
春香「うんうん」
雪歩「そういえば、春香ちゃん、この後は?」
春香「レッスン。あと……あー、そんなにないね」
雪歩「じゃあ、食べたら一緒に事務所いこっか」
春香「そだねー」モゾモゾ
雪歩「そう言いながらこたつに深くもぐりこむのはなんで?」
春香「本能が出たくないと主張を」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:10:12 ID:INnQ+31/0
雪歩「だめだよ?」
春香「わかってるんだけどねー。あ、そういえば、涼ちゃんになんか書いといたりとかいいの?」
雪歩「お手紙も置いといたから。お茶と一緒に」
春香「さすが。ぬかりないね」
雪歩「本当に美味しかったから、もらった紅茶。一緒にクッキーももらったんだけどね」
春香「涼ちゃんはお菓子も料理もうまいからなー……。あ、そういえば、雪歩って涼ちゃんは苦手じゃないの? 男の人だけど」
雪歩「え? ああ、うん、まあ、男の子だって知ってすぐはちょっとびくびくしてたけど、改めて会ってみたら別に……」
春香「邪気がないもんね」
雪歩「でも、ダンスは男の人って感じしたなあ。春香ちゃんは、涼さんの本気の時、見たことある?」
春香「映像でしかないんだよね」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:13:20 ID:INnQ+31/0
雪歩「生は、圧倒されるよ。真ちゃんや響ちゃんもすごいけど、あの運動量は……」
春香「ふーん……」ジロジロ
雪歩「なに?」
春香「いや、雪歩は涼ちゃんとつきあったらいいんじゃないかなって思って」
雪歩「あはは、なに言い出すの春香ちゃん」
春香「今日、真から聞いたんだけど、夢子ちゃんにはふられたらしいよ、涼ちゃん」
雪歩「え? それが?」
春香「だから、涼ちゃんはフリーだなって」
雪歩「……あー……。うん、そっか。春香ちゃんってば……」
春香「ん?」
雪歩「ううん。なんでもない。それよりも春香ちゃんは自分とプロデューサーとのことを……」
春香「な、な、な、なんの話かなっ!?」
雪歩「いや、だから、自分の恋のほうを……」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:15:58 ID:INnQ+31/0
春香「さ、さあ、お餅も食べきったし、これ洗って、事務所行こうか! ね、雪歩!」
雪歩「……そうだね」クスクス
春香「よーし、頑張るぞー!」
雪歩「うん。じゃあ、行こうか」
ガチャ。
バタン。
……………………
…………
……
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:20:39 ID:INnQ+31/0
律子「ただいまー」
涼「お帰り、律子姉ちゃん」
律子「うん、ただいま。さ、入って下さい、小鳥さん、あずささん」
あずさ「お邪魔します」
小鳥「お邪魔しまーす。あ、涼ちゃん、久しぶり!」
涼「はい、小鳥さん、いらっしゃい。久しぶりって、まだ十日くらいですよ。あずささんもいらっしゃいませ」
律子「涼、お鍋の方はどうかしら? 手伝う?」
涼「ううん。もう、だいたい準備は出来てるよ」
律子「ありがとう、涼」
涼「どういたしまして」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:23:47 ID:INnQ+31/0
小鳥「さすがだなあ」
あずさ「本当、羨ましいですねえ」
小鳥「私にもかわいい従弟出てこないかなあ」
あずさ「いまからですか?」
小鳥「ほら、生き別れとか……」
律子「はいはい。まずはうがい手洗い、消毒です!」
あずこと「はーい」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:25:27 ID:INnQ+31/0
涼「はい、今日はカニ鍋です」
小鳥「うわー、良い日に来ちゃったー!」
あずさ「贅沢ですねー」
律子「カニはお歳暮で実家にたくさん来てたんですよ」
涼「それより、野菜が高くなってるね」
あずさ「今年は寒すぎですからねえ……」
小鳥「温室の暖房代がすごいことになってるらしいですよ。ニュースでやってました」
律子「へー」
涼「小鳥さんは、元日に置いていった日本酒ですね」
小鳥「お、さすが、涼ちゃん、気が利くー!」
涼「他の人は飲み物なにかいりますか?」
律子「私は食後で良いわ」
あずさ「私も大丈夫よ。涼ちゃん」
涼「じゃあ、食べましょうか」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:29:36 ID:INnQ+31/0
四人「いただきまーす」
小鳥「あー、出汁とカニの味が相まって、もう絶品ですね!」
あずさ「んー……ほっぺが落ちそう」
律子「カニ剥くの大変じゃなかった?」
涼「包丁と鋏つかってさばくと、そうでもないよ。まあ、崩れたところは味を出す用に煮ちゃえばいいんだし」
律子「なるほどねー。焼き豆腐もおねぎも良い感じ……。あー、この世に涼が生まれてきてくれて、本当に良かったわー」
涼「大げさだよ。……ありがと」
あずさ「お注ぎしますよ、音無さん」
小鳥「ああ、ありがとうございます!」
あずさ「……はい。そのお猪口、綺麗ですね。薩摩切子ですか?」
小鳥「はい、そうなんですよー! これ、セットでありますから、あずささんもどうですか?」
あずさ「いえ、私は……」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:34:08 ID:INnQ+31/0
※無印―DSラインなので、あずささんはお酒に縁がありません
律子「なんでか、そのセット、うちに置いてあるのよねぇ。せっかくだから、自分の家で使えばいいのに」
小鳥「ひどい! 一人酒に使えだなんて!」
律子「いやいや、誰か誘ってですね……」
小鳥「ここが一番人が集まるんですよぅ……」
律子「でも、飲む人いないじゃないですか」
小鳥「……しばらくすれば、律子さんが飲むようになるもん。もっとしたら、涼ちゃんがきっと飲んでくれるもん」
涼「えらい先の話ですよ……」
あずさ「律子さんは、成人したら、お酒飲むんですか?」
律子「うーん。仕事上のつきあいもあるんで、飲めるようにはしておきたいですね。パッチテストしてみてからですけど……」
小鳥「パッチテスト?」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:39:07 ID:INnQ+31/0
律子「アルコール分解能を調べておくやつですよ」
小鳥「ああ。さすが、慎重ですねぇ」
律子「いやー、だって、怖いですもん。急性中毒」
あずさ「シーズン毎に、運ばれていく人いますよね」
涼「律子姉ちゃんの場合、元有名アイドルの……って報道されちゃうだろうし、そこは気をつけないとまずいよね」
あずさ「ですねー」
小鳥「たしかに、気楽な立場ではないかあ……」
律子「まあ、そんなわけですから、もうしばらく待って下さい」
小鳥「ええ、待ってますとも! 最初はなにがいいかしらねえ……」
涼「話は変わるんですけど、しめは雑炊のつもりなんですけど、どのあたりのタイミングにしましょうか?」
律子「早めでいいんじゃないかしら。飲んでるの、小鳥さんだけだし……」パクパク
あずさ「具だくさんの雑炊、いいですねー」モグモグ
小鳥「このお鍋、もう味が十分出てますから、いつでも」ハフハフ
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:43:42 ID:INnQ+31/0
涼「わかりました、じゃあ、早めで……」
律子「あら、もう空ですね。お注ぎします」
小鳥「いやー、美人を侍らして、お酌してもらって、美味しいお鍋もあって、ここはあれですね。極楽ですね? 極楽!」
あずさ「うふふ。あのね、涼ちゃん。音無さんが妙におじさんくさいことを言う時は、照れてる証拠なのよ?」
涼「あー、なんとなくわかります」
小鳥「わからないで! 涼ちゃんは純粋なままでいて!」
律子「いやー、この子、結構不純ですよ? 女の子に紛れて水着撮影とか、温泉ロケとか……」
涼「ちょっ! それは、だって……し、しかたないでしょ! だいたい、律子姉ちゃんにだって責任の一端が……」
律子「主犯はまなみさんでしょ」
涼「……その通りなんだけどさ」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:47:10 ID:INnQ+31/0
あずさ「色々な事を知ってしまったのね……。うふふ」
涼「いや、なにか違いますからね、それ」
律子「でも、知りたくないことを知ったのはあるかも。ほら、男性にしろ女性にしろ、相手の実態には夢見てるところがあるって言いますし」
小鳥「女子校、男子校の風景は見られたもんじゃないって言いますよねー」
涼「いや、そこまで幻滅するようなことは……」
あずさ「そこは、周りがみんなアイドルだったからかもしれないわね。見られてるって意識が常にあると、やっぱり違うんじゃないかしら」
小鳥「あ、それはありそうですね」
律子「ほら、涼。小鳥さんのお猪口、空いてるわよ」
涼「あ、ごめんなさい。注ぎますね」
小鳥「うわー、涼ちゃんにも注いでもらっちゃった」
涼「そんなたいしたことじゃ……」
小鳥「いやいや! 元トップアイドルと、現役アイドルにお酒注がれてるんですよ! 普通ありませんって!」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:51:00 ID:INnQ+31/0
あずさ「たしかに、まあ、普通のお仕事してる人には縁遠いかもしれませんね」
律子「周りがそんなのばっかりですからね。……でも、あんまり芸能界だけに籠もっちゃうのもよくないような気もするんですよね」
小鳥「どうでしょう? 学生のみんなは自動的に別のつきあいもありますよね?」
律子「あずささんはどうです?」
あずさ「そうですねえ。高校時代の友人は、いま大学で忙しいようで……。短大時代の友人は……その、そろそろ結婚する子が増えてきまして……」
小鳥「ああ……」
あずさ「だ、だから、その、事務所のみんなや876や他の事務所の子たちとの交流が、私は嬉しいかなと」
律子「そうですか。ええと……」
小鳥「結婚、かあ……」
律子「……あぁぁ……」
涼「律子姉ちゃん……」
律子「ごめん」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:52:56 ID:INnQ+31/0
小鳥「律子さんは、六月が誕生日ですよね?」
律子「え? あ、はい、そうですが……」
小鳥「そのうち、あれですよ。自分の誕生日なんて構ってられなくなりますよ。こう、六月に披露宴、披露宴、披露宴とたくさん招待が来るんですよ……」
あずさ「ジューンブライドって、どうしてもみんな憧れるんですよね。律子さんたちも、やっぱり六月の予定ですよね?」
律子「はい? いや、そんなずっと先のこと……」
涼「で、でも、披露宴ってそんなに呼ばれるものなんですか?」
あずさ「うーん。男性はどうなのかしら」
律子「男の人はあれじゃないですか。友人より、仕事関係で」
あずさ「ああ、そうかもしれませんね。そうなると、よけい気を遣いますね」
小鳥「ほんっと、色々気を遣いますよ。着る服だって、共通の知り合いが多いと着回しするわけにはいかないし、花嫁が主役だから化粧は薄めに
しといたほうがいいのかとか、そもそもご祝儀高いし、披露宴での出会いとか都市伝説だし……」ブツブツ
あずさ「あ、あら~」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 00:54:11 ID:INnQ+31/0
律子「涼。そろそろ雑炊いきましょうか。小鳥さん、お酒まわってきちゃったから」
涼「うん、わかったよ」
小鳥「正直、自分でも危機感が足りないのはわかってるんですよ。どうしても、彼氏とか旦那様が欲しいって思わないっていうか、いえ、憧れますよ?
そういう幸せな家庭とか、恋人のいる充実した日々とか。でも、それは夢っていうか、あくまで理想の世界で、自分の現実とは違うっていうか……」
あずさ「ま、まあ、飲みましょう。音無さん」
小鳥「はい、ありがとうございます。結局、765プロが居心地よすぎるんですよ。疑似家族っていうんですかね。みんなが妹や娘みたいに思えて、
ああ、この子たちの幸せが私の幸せなんだって。そう思っちゃうんですよ。でも、世間はそれで許してくれないわけじゃないですか。
二十代後半の女性に求められる立ち居振る舞いというか、世間的な立ち位置というか……」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 01:01:05 ID:INnQ+31/0
あずさ「じゃあ、私、音無さんを送っていきますから」
小鳥「……んー……。あずささんの体、やわらかーい……」ヨロヨロ
律子「大丈夫ですかね?」
あずさ「タクシー呼んでもらいましたし、大丈夫ですよ。ねえ、音無さん」
小鳥「はい……はい。もう飲めません。はい。その件につきましてはですね……」フラフラ
律子「いや、なんか厳しそうですけど」
あずさ「んー。部屋まで連れて行って無理そうなら、私、音無さんの部屋に泊まりますから」
律子「そんな。それならうちに……」
あずさ「うふふ」
律子「な、なんですか」
あずさ「お邪魔したくないですから、ね」
律子「う……」
小鳥「……善処いたしますと、ええ、はい、そのように……」グニョグニョ
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 01:01:44 ID:INnQ+31/0
あずさ「じゃあ、帰りますね。またお邪魔させてもらうと思いますけど」
律子「え、ええ。もちろん大歓迎です。じゃあ、気をつけて。おやすみなさい」
あずさ「はい、おやすみなさい」
小鳥「おやすみでふー……」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 01:02:30 ID:INnQ+31/0
律子「それにしても、この部屋に引っ越してから、一人きりでいたことってない気がするわ」
涼「寂しくなくていいじゃない」
律子「たしかにね。寂しいどころか、毎日騒がしくてしょうがないわ」
涼「でも、楽しんでるでしょ?」
律子「ふふ、それはね」
涼「みんなでご飯食べると美味しいしね」
律子「作る方は大変じゃない?」
涼「そうでもないよ。二人分つくるより楽なくらい」
律子「そっか。それならよかった」
涼「それに」
律子「それに?」
涼「これだけみんなが出入りしてるから、僕らの同棲が紛れてるわけだし?」
律子「まあ……ね」
涼「どうしたの?」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/12 01:03:22 ID:INnQ+31/0
律子「んー。何人かには気づかれてるみたいだなあって。まあ、別にあの子たちには隠してるわけじゃないんだけど……」
涼「まあ、いいんじゃない? 自然と知れていけば。自分たちから言いふらすようなことでもないし」
律子「そうね」ジー
涼「……なにかな?」
律子「最近、寒いと思わない?」
涼「う、うん。寒いね、今年は」
律子「寒くて震えてる恋人を温めるのはダーリンの義務だとは思わないのかしら?」
涼「……また素直じゃない誘い方で」ギュッ
律子「どうせ素直じゃありませんよーだ」ギュー
涼「そんな素直じゃない律子姉ちゃんも大好きだよ」
律子「もうっ」
おしまい