【秋月律子SS】P「律子と付き合っているんだが、俺はもう限界かもしれない」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 21:59:59 ID:nhVrn7+Q0
律子「プロデューサー!プロデューサーはいますかー?」

P「いるいる。今帰ってきたとこ」

律子「話があるんです。ここじゃアレですから、社長室借りましょう」

P「わかった。すぐ行く」

P(またか・・・)

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 22:08:13 ID:nhVrn7+Q0
P「なるほど。その急に入った竜宮への取材でまた休みが取れないと」

律子「うん」

P「当然、約束していたデートもつぶれるわけだ」

律子「はい」

律子「・・・あの、怒ってます?やっぱり」

P「・・・まさか。ただ、これで何度目になるんだろうな、と思ってさ」

P「スケジュールボードが真っ白だった以前と比べれば忙しいのは良いことなんだけど・・・」

P「こう、間が悪いとな」

律子「ごめん・・・なさい」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 22:15:39 ID:nhVrn7+Q0
P「あ、別にそういうつもりで言ったんじゃないんだ。律子が悪いわけじゃないし」

P「・・・それより、以前言ってた『あの話』なんだが・・・」

コンコン

小鳥「律子さん?今お電話が入ったんですけど、大丈夫ですか?」

律子「はーい。あ、でも・・・」

P「ああ、いいよ。仕事に戻ろう。今は『ただの同僚』なわけだし」

律子「はい・・・あの、後で必ず埋め合わせはしますから!小鳥さーん、今行きまーす!」

P「・・・これでいいんだよな」

P「はあ・・・」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 22:26:40 ID:nhVrn7+Q0
律子「…はい。それでは1週間後の午後が空いてますから、あの娘たちに確認を取って…」

P(やっぱり忙しそうだな)

小鳥「また竜宮に仕事の依頼が入ったみたいですよ」

P「さっきの電話ですか?」

小鳥「はい。律子さんがプロデューサーになるって言ったときは正直驚きましたけど」

小鳥「こうなってくると、もうこっちの方が天職だったような気がしますね」

P「そうですね。律子あっての765プロですよ」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 22:32:30 ID:nhVrn7+Q0
小鳥「何言ってるんですか。あなたも765プロのプロデューサーなんですから。しっかりしてくださいよ」

P「あはは…精進します」

小鳥「そういえば、『あの話』の返事もまだなんでしょう?」

P「小鳥さん!その話は…」

小鳥「あ、すみません…事務所でするような話じゃありませんね」

P「ああびっくりした…」

小鳥「そうですよね…」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 22:40:44 ID:nhVrn7+Q0
小鳥「プロデューサーが3ヶ月も前に律子さんにプロポーズしてたなんて、軽々しく口に出しちゃだめですよね…」

P「そうですよ」

小鳥「しかもまだ返事をもらってないなんて、事務所のみんなに知れたら大変ですもんね」

P「まったくです。お願いしますよ」

小鳥「はーい、気をつけまーす」

??「……プロポーズ…」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 22:49:32 ID:nhVrn7+Q0
―3ヶ月前

P「…ってこともあるし、このままずるずる付き合うのは律子の両親に失礼だろ」

P「だからそろそろ結婚を考えてもいいんじゃないのかって」

律子「うーん。結婚、かあ」

律子「……」

P「もちろん、プロデューサーとしての仕事は続けていいんだ。むしろ助けるよ。だから状況はあまり変わらないわけだし」

律子「…そう言ってくれるのはうれしいです」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 22:55:59 ID:nhVrn7+Q0
律子「でも、何の結果も残せていない中途半端なまま、あなたと結婚するのは嫌なんです」

律子「うまくいくか分からないけど、何か形として自分が納得できるまでは。だから…」

律子「だから、それまで待っててくれますか?」

P「…分かった。待つよ」

律子「…ありがと」

P(そう、やんわりと返事を延ばされ、3ヶ月にもなってしまった)

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 23:00:48 ID:nhVrn7+Q0
P(しばらくして律子は『竜宮小町』を立ち上げた)

P(そしてその竜宮の勢いは最近目を見張るものがある)

P(事務所もアイドルたちも、竜宮のおかげで有名になっている。どちらも俺にはできなかったことだ)

P(765プロは律子のお陰で回っていると言ってもいい)

P(だが、俺はこれでいいのだろうか?)

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 23:09:58 ID:nhVrn7+Q0
P(律子は元アイドルだ。本人は否定しているけど・・・表舞台でも充分に映える)

P(きっと業界屈指の名プロデューサーになるだろう)

P(俺はそんな律子の隣にいてもいいのか?)

P(そのとき俺は、律子に相応しいバートナーだと言えるのか?)

冬馬「で、なんでその相談相手が俺なんだよ…」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 23:17:21 ID:nhVrn7+Q0
P「事務所の人間に相談するわけにもいかないだろ」

冬馬「ハァ…俺が言うのもなんだけどよ、どうしたって人選ミスだぞ?」

P「そうだよなあ…童貞に恋愛相談なんて荷が重いよな」

冬馬「どどど童貞ちゃうわ!そんなつまんねえこと言うなら俺は帰るぞ!」

P「まあ座れって。あ、店員さん、クリームソーダ追加で」

冬馬「…しゃあねえな。今回だけだぞ」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 23:27:21 ID:nhVrn7+Q0
冬馬「で、実際、他に相談する相手はいなかったのか?」

P「考えてもみてくれよ。765プロの誰に相談すればいいというんだ」

冬馬「…俺が悪かった」

P「いいんだ…」

P(本当のところ、付き合ってることは小鳥さんと竜宮のメンバー以外には教えていない)

P(なぜだか律子に止められた。ものすごく必死そうだった)

P(でも、カンのいいあたりには、ばれてるような気もする)

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 23:39:40 ID:nhVrn7+Q0
冬馬「えーっと…あれだ。確か風邪をひいた時に、見舞いに行ったのがきっかけだったか」

P「ちゃんと話聞いてたんだな。そう、それからお礼だって食事に誘われたんだ」

P「で、俺もそのお返しにって、感じで続けてたら、まあ、いつの間にか、な」

冬馬「なんだそれ、なし崩しかよ。どこがに好きになったとかじゃねえのかよ?」

P「いや、あるにはあるが…誰にも言うなよ?」

冬馬「言わねえよ。俺も芸能界の人間だからな。口は堅いぜ」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 23:43:14 ID:nhVrn7+Q0
P「…実はな冬馬。俺は何もトップアイドルを出そうと思ってこの世界に入ったわけじゃないんだ」

冬馬「そうだったのか?」

P「俺は根っからの裏方なんだ。夢とか大志とか、そういうのを持つのは苦手だ」

P「むしろ、そういう人をサポートするのが性に合う」

冬馬「へえ・・・正直俺には分からねえが、今時のヤツとしては珍しい話じゃねえな」

P「今の事務所に入ったのも、そんな彼女たちの支えになれたら、って考えからだった」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 23:47:22 ID:nhVrn7+Q0
P「でも、律子は違った。『トップアイドルを世に送り出す』っていう夢を持ってた」

P「そんな律子を近くで支えたい、と思ってな」

冬馬「なるほどな」

冬馬「ただな。前々からのお前の話を聞く限り…」

冬馬「その彼女にサポートになんて必要ないんじゃねーの?」

P「うっ」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 23:51:38 ID:nhVrn7+Q0
冬馬「未だにプライベートでも敬語交じりでしゃべってるんだろ?」

P「それは律子がそのほうが良いって言うから…」

冬馬「学生の頃から事務をしながらアイドルやって、いつの間にやら車の免許まで取得」

冬馬「同じアイドルやってる立場から言わせれば、ほとんど怪物だよ」

P「確かに最近はプロデューサーとしての律子に取材もきてたな」

P「働く女性向けの雑誌とか、経済紙の特集だったかな?」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/13 23:56:33 ID:nhVrn7+Q0
冬馬「ほらみろ。そのうえ、デートだってすっぽかされまくってるんだろ」

P「まあ…」

冬馬「今はいいけどよ。そのうち、地位もある、仕事もできるような相応しい男が現れたらどうすんだ?」

冬馬「後でキツい目に会わないためにも、身を引くってのもアリだと思うぜ、俺は」

P「確かに、そう考えるとキツイな」

冬馬「結局、釣り合う人間としか付き合えない。そういうもんだろ?」

P「そう、かな」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:01:10 ID:0mYjhLsH0
冬馬「それに、お前なら他のヤツを選ぶっていう手も…」

P「?」

冬馬「いや、なんでもねえ。で、どうするんだ」

P「…まあ、やれる限りのことはやってみるよ」

冬馬「ふん。俺は知らねえからな」

P「…」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:05:28 ID:0mYjhLsH0
ガチャ

律子「ただいまぁー」

P「おかえり。今日も忙しかった」

律子「あ、帰ってたんですね」

P「そりゃあ自分の部屋だから。律子は遅かったな」

律子「うん。先方がいきなりメンバーを増やして撮影したいなんでいうから、困りましたよー」

P「まあ、なんとかなったんだしさ。もうあとは休むだけだろ?」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:08:35 ID:0mYjhLsH0
ガチャ

律子「ただいまぁー」

P「おかえり。今日はまた忙しかった?」

律子「あ、帰ってたんですね」

P「そりゃあ自分の部屋だから。律子は遅かったな」

律子「うん。先方がいきなりメンバーを増やして撮影したいなんでいうから、困りましたよー」

P「まあ、なんとかなったんだしさ。もうあとは休むだけだろ?」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:13:57 ID:0mYjhLsH0
律子「ううん、まだまとめておきたい資料があるから。それが終わったらかな」

P「それ、俺がやっとくよ。今日はもう休め。明日も早いんだろ?」

律子「え、いいんですか?正直助かりますけど・・・」

P「これくらいしかできないからさ。ほら、おやすみ」

律子「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな。ありがとうございます。おやすみなさい」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:18:23 ID:0mYjhLsH0
P(これで全部か。…結構かかっっちゃったな)

P(俺も寝るか)

P「律子ー…起きてるかー…」

律子「…」

P(って寝てるに決まってるか)

律子「・・・」

P(メガネを外して、髪を下ろしてる寝顔…)

P(普段からは想像もできない姿だよな。もういっそここに住めば良いのに)

P(…冬馬はああ言ってたけど、やっぱり諦めるなんて無理だ)

P(さて、と。律子を起こさないように気をつけて寝なくちゃな…)

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:31:31 ID:0mYjhLsH0
P(その後も二人で過ごす機会は減った)

P(たまの休みは、律子の書類仕事を手伝ったり)

P(徹夜明けで昼過ぎまで寝ている律子をそっとしておいたり)

P(敵情視察と言いアイドルのライブを研究しに行く律子に付き合ったりして過ごした)

P(『あの話』を言い出すことは、できなかった)

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:35:27 ID:0mYjhLsH0
P「…って流れになると思う。ちょっと忙しいスケジュールになるが、いけそうか?」

美希「うん、大丈夫だよ。それに、ハニーも一緒にいてくれるんでしょ?」

P「ああ」

美希「やった!じゃあ明日頑張ったら、ご褒美にショッピングに付き合ってくれる?」

P「まあ、そのくらいならな。でも、その呼び方はダメって言ってるだろ」

美希「むー…今は誰もいないし、いいでしょ?」

P「ダメなものはダメ」

美希「むー」

P(ご褒美、か)

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:44:01 ID:0mYjhLsH0
P(まだ律子と過ごす時間は少ないままだ。そろそろこの状況はマズいし・・・)

P「・・・なあ美希。たとえばの話な」

P「もし美希に恋人いたとして、美希が仕事で疲れたら何をしてほしい?」

美希「え!ハニー、ミキの恋人になってくれるの?」

P「俺じゃなくて。もしもそういう人がいたら、の話」

美希「えー…ハニーはいじわるなの。でもそうだなー…」

美希「ミキは何もいらないかな。好きな人が…できればハニーと二人っきりの時間が過ごせれば、それで充分だもん」

P(意外と慎ましいな)

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:50:00 ID:0mYjhLsH0
美希「あ!でもね、おいしいご飯を作ってくれたら嬉しいと思うな」

P「ご飯?手料理とか?」

美希「うん。照明を暗くし、てロマンチックな雰囲気にしてね」

美希「そして二人でお疲れ様ーって、お祝いするの。ステキでしょ?」

P「手料理か。なるほど…それはいいかもしれないな」

美希「…ねえ、ハニー。悩んでることがあるんでしょ?」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:53:16 ID:0mYjhLsH0
P「え?・・・ああ、分かるのか?」

美希「うん。ミキはハニーのこと、いつも見てるもん。律子、さんのことでしょ」

P「まあ…」

美希「それも、プロポーズのことでしょ?」

P「! そこまで知ってたのか」

美希「うん。この前小鳥と話してるとこ、聞いちゃった」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 00:58:51 ID:0mYjhLsH0
美希「その、ミキでよかったら話して欲しいな」

P「…ありがとう。でも、こんな話を美希にするわけにはいかないよ」

美希「…そう。やっぱりミキじゃ頼りにならないんだ…そうだよね。ハニーが選んだのはミキじゃなくて律子、さんだもんね…」

美希「…いいの……ミキなんて…」

P「いや、そうじゃないんだよ!頼りにしてないわけじゃなくてな…!」

美希「じゃあ話してくれる!?」

P「お、おう。じゃあ相談に乗ってもらおうかな!実はな…」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:02:50 ID:0mYjhLsH0
美希「ハニーがそんなに悩んでたなんて知らなかったの・・・」

P「悪いな、こんな話をして」

美希「ううん。美希が話してって頼んだんだもん」

美希「…ねえハニー?ミキ、勝手なこと言ってもいい?」

P「ん?なんだ?」

美希「ミキから言い出しておいてヘンだけど…」

美希「やっぱり、ミキにそんな話をしちゃダメだと思うな」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:05:04 ID:0mYjhLsH0
P「おいおい…」

美希「だってミキ、まだハニーのこと諦めてないもん。そんな話を聞いたら、チャンス!って思っちゃうよ」

P「…」

美希「だからね、ハニー」

P「?」

美希「ミキはいつでもOKだよ?だから、本当につらくなったら、いつでもミキのとこにきてもいいよ」

美希「ハニーと一緒なら、きっと何でも楽しいと思うな。もっと、もーっと!毎日楽しくなると思うの」

美希「ミキは、本気だよ?」

P「美希…」

美希「…えと、じゃあ、帰るね。お疲れ様でした。また明日ね、ハニー♪」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:10:14 ID:0mYjhLsH0
小鳥「有給ですか?」

P「ええ、社長に話を通しておいてほしいんですけど…」

小鳥「いいですよ。でも、どうしていきなり?」

P「ちょっと料理でもしようかなー、なんて」

小鳥「丸一日使って?一体何を作るんですかー?」

P「それはあの、まあ…親しい人に食べてもらうためというか、もてなしたいというか…」

小鳥(・・・なるほどね)

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:16:36 ID:0mYjhLsH0
小鳥「分かりました。そういうことですか」

P「そ、そんなニヤニヤしないでくださいよ。どうか内密に…」

小鳥「いいんじゃないですか。たまにはそういうのも」

小鳥「最近、例の一大企画が大詰めでお疲れみたいですし」

小鳥「きっと喜ぶと思いますよ。その親しいっていう人も」

P「あはは…それじゃあよろしくお願いします」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:20:08 ID:0mYjhLsH0
P「よし。われながら良い出来だ」

P(朝から手間をかけて作った甲斐があった)

P(今日は律子の仕事も早く終わるはず。『あの話』の話もしたいし、その準備もOK)

P(そういえば朝からロクに食べてないな。料理の味見をしたくらいか)

P「先に食べたいとこだけど…せっかくだし、一緒に食べたい」

P「冷める前に帰ってこいよな、律子」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:23:59 ID:0mYjhLsH0
P(しかし・・・ずいぶん遅いな。どうしたんだ?)

プルルルルル

P(! 律子から・・・)

ガチャ

P「はい」

律子「プロデューサー?プロデューサーですか!」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:25:57 ID:0mYjhLsH0
P「どうしたんだ、律子。早く帰ってこないと料理が…」

律子「通ったんです!」

P「は?」

律子「企画ですよ!私の企画が通ったんです!これで765プロの冠番組が作れるんですよ!」

P「ああ、例の!本当か、律子!」

律子「はい!正直不安だったんですけど、これで765プロはさらに躍進しますよ!」

P「そうかついに…おめでとう、律子!」

律子「ありがとうございます!」

律子「じゃあ早速、打ち合わせに行ってきますね!」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:31:35 ID:0mYjhLsH0
P「…え?打ち合わせ」

律子「ええ、打ち合わせです。もう日もないですからね。今日は徹夜かもしれないなあ」

P「…夕飯は」

律子「抜くか適当に済ましますよ。じゃあ、そんなわけですから、明日は絶対に遅刻しないでくださいね!」

P「あ、ああ。あんまり根を詰めすぎないようにな」

律子「え?あ、はい。でも、ついつい気合が入っちゃいますね!ようやくここまで来たんですから!」

P「…そっか。それじゃあまた明日、事務所でな」

律子「はい!それじゃ!」

ブツッ
ツーツーツーツー

P「……」

ガチャン

P「そうか。よかったな、律子。本当に・・・よかったよ」

P「…片付けるか」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:38:37 ID:0mYjhLsH0
P(いつだか冬馬が言っていた)

P(『結局、釣り合う人間としか付き合えない』)

P(そろそろ、決めなきゃいけないのかもしれない)

P(きっと律子にはもっと相応しい人が現れる)

P(けど『そう』なったら、事務所の空気も気まずくなるだろう)

P(となれば、決心が鈍らないうちに形として行動に移しておこう)

P「えーっと、辞表って一ヶ月前に出せばいいんだよな…」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:46:03 ID:0mYjhLsH0
高木「それでは、765プロの冠番組決定を祝って…」

765プロ全員「かんぱーい!」

高木「いやー二人ともよくやってくれた!まさかうちの名を持った番組が見れるようになるとはねえ!」

律子「そんな。プロデューサーあっての企画でしたから」

P「いえ、全部律子のおかげですよ」

高木「ふたりして謙遜しおって。今日は私の奢りだ!みんな大いに楽しんでくれたまえ!」

ワイワイ ガヤガヤ

P「あはは…あとで泣くことになっても知りませんよ、社長」

律子「…プロデューサー」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 01:54:49 ID:0mYjhLsH0
P「ん?どうした、そんな声をひそめて」

律子「ちょっとお話があるんです。時間、いいですか?」

律子「その、プライベートの話で」

P(きた)

P「ああ。実は俺も律子と話し合いたいことが…いや」

P「…聞いて欲しいことがあるんだ。しばらくしたら、外で落ち合おうか」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 02:04:02 ID:0mYjhLsH0
P(ついにこの日、か…)

律子「すみません。待たせちゃって」

P「いいよ。いつものことだろ」

P(むしろ、もっと遅くてもよかったんだけどな…)

P「それで話なんだが・・・」

律子「待ってください!」

P「は?」

律子「私から先に話してもいい…ですか?」

律子「お願い、します…」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 02:12:49 ID:0mYjhLsH0
P「…分かったよ。お先にどうぞ」

P(俺、いよいよ惨めだなあ。誰か笑ってくれ…)

律子「……」

P「…」

律子「……」

P「…? 律子?」

律子「…今まで、本当にありがとうございました」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 02:20:06 ID:0mYjhLsH0
律子「私、あなたには本当に感謝してます。何度もデートをすっぽかして、無茶ばかりして、振り回してばかりで」

律子「きっと、あなた以外の人だったら、ぜったい最後まで付き合ってくれなかった…」

律子「う…グスッ…あのとき…グスッ…あのときの話、まだ覚えてます?」

『でも、何の結果も残せていない中途半端なまま、あなたと結婚するのは嫌なんです』

『うまくいくか分からないけど、何か形として自分が納得できるまでは。だから…』

『だから、それまで待っててくれますか?』

律子「ようやく形にできた気がするんです。あなたの気持ちが…」

律子「こんな私に懲りずにいなければ、あのときの話を受けたいんです」

律子「気持ちは、変わってませんか?」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 02:26:07 ID:f/oVy1B20
P「…」

P「…変わらない」

P「当たり前だろ。付き合い始めた日から今日まで、一度も変わったことはないよ」

律子「じゃあ、本当に…ほんとーに、いいんですね」

P「ああ。本当にほんとーだよ。仕方ないだろ、そういうとこも含めて惚れちゃったんだから」

律子「…ふふ…そんなこと言ってくれるのは、世界中探したってあなただけですよ」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/14 02:28:13 ID:f/oVy1B20
P(俺が改めてプロポーズすると、律子は泣き笑いの表情で何度もうなずいた)

P(律子は俺があの後、何の話をしようとしていたのかしきりに聞いてきたが、俺は話さなかった)

P(辞表をしまっておいた引き出しには別の書類が入っている)

P(辞表よりも薄くて短いが、お互いの証人と、)

P(俺と律子の捺印が押された大切な書類だ)

終。

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