1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 02:13:55.44 ID:HexJW4lH0
文香「……見せるんですか?」
文香「……いえ、その……慣れていないものですから」
文香「恥ずかしい……」
文香「やっぱり……パーカーは着たままで」
文香「あっ……剥ぐのは……」
文香「Pさん……じ、実は私……太陽を浴びると溶けてしまうので……」
文香「……ああっ」
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 02:19:05.10 ID:HexJW4lH0
文香「Pさんは……強引です」
文香「……でも、それが……」
文香「いえ……なんでも……」
文香「あの……どうでしょうか」
文香「……何分、水着など着ないものですから……」
文香「……前の休みに、美嘉さんと……志希さんに誘われて……」
文香「おふたりに……選んでもらったんです」
文香「……美嘉さんの見立ては、大人すぎて……私には……」
文香「それに、そういうのは……美嘉さん自身が着てみては、と……」
文香「そう言うと……真っ赤になって。逃げられてしまいました……」
文香「……美嘉さんなら似合うと。そう……思ったのですが……」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/01(金) 02:38:32.17 ID:HexJW4lH0
文香「志希さんの見立ては……布地の面積が……狭すぎて」
文香「水着というべきか……迷いました」
文香「志希さんが言うには……それぐらいの方が……」
文香「……Pさんが。喜ぶと」
文香「…………」
文香「……流石に……Pさんの前で着るのはまだ……」
文香「今の私には……無難なもので。それで、よかったですから……」
文香「……それで、どうでしょうか」
文香「……喜んで……もらえますか」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/01(金) 02:45:17.83 ID:HexJW4lH0
文香「……あの……あんまり……見つめるのは……」
文香「……困ります」
文香「でも……喜んでもらえたのなら……着た甲斐が……あります」
文香「…………」
文香「……たとえ、いくら変われても……恥ずかしい時は……恥ずかしい」
文香「やっぱり……パーカーは着ておきます」
文香「……なんだか暑いです」
文香「……散歩……してきますね」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/01(金) 02:48:10.33 ID:HexJW4lH0
美嘉「文香さーん★ ボールで遊ぼうよー♪」
文香「……ですが……私は」
志希「せっかくのビーチ遊ばなきゃー♪」
美嘉「そーれっ」
文香(……私の元へ……まっすぐ来ます)
文香(まるで……突然、私の元に現れた……Pさんのような……)
文香(あっ……ああっ)
志希「あはは♪ 文香ちゃん、ナイスヘディングー♪」
美嘉「後ろ行ったよー♪」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 02:53:40.82 ID:HexJW4lH0
文香(転がっていく……)
文香(待って……)
文香(……取っ……これは)
文香(まるで……近くて遠い……Pさんを追いかけているような……)
文香(あっ)
美嘉「こけた!?」
志希「文香ちゃーん!?」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 02:58:43.91 ID:HexJW4lH0
文香(ぼ、ボールが……沖に……)
文香(……助けなくては)
文香(少し……水に入るぐらいなら……)
文香(……あっ……いきなり深く)
文香(まるで……Pさんの心のような……)
文香「あぁ~~~」
美嘉「文香ちゃーーーん!?」
志希「今助けるにゃー!」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:01:51.55 ID:HexJW4lH0
文香「ハァ……ハァ……」
文香「……すみません」
文香「私……こういう運動に疎いものでして……」
美嘉「ア……アハハ。ごめん……」
志希「でも翻弄されてる文香ちゃんの姿、かわいかったー♪」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:05:45.84 ID:HexJW4lH0
美嘉「そだ! プロデューサーも呼ぼうよ!」
文香「でしたら私、呼んできますね」
志希「おっけーおっけー♪」
美嘉「じゃあお願いね、文香さん!」
文香「はい……行ってきます」
志希「……」
美嘉「……」
志希「美嘉隊員、用意はいいかにゃー?」
美嘉「勿論であります、志希たいちょー★」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:10:44.01 ID:HexJW4lH0
文香「Pさん、おふたりが……ぜひ一緒に、と」
文香「私……? はい……楽しいです」
文香「ええ……少しボールで……転げたり、流れたり」
文香「……海とはそういうところです」
文香「……私が悪いということは……」
文香「あんまり……8割……くらいです」
文香「……あの……何か?」
文香「……無言で見ているような気がしましたので」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:17:08.00 ID:HexJW4lH0
文香「……Pさんを連れてきました」
志希「うむうむ。ご苦労、文香クンっ」
文香「……はい」
美嘉「じゃあ早速、目隠しするねー★」
文香「えっ……えっ」
美嘉「ぎゅっぎゅーっと★」
文香「……これは、一体?」
志希「にゃーっはっは! よくぞ聞いてくれましたー!」
志希「実はだね、文香クンにスイカ割りをしてもらおうと思ってね!」
美嘉「アタシたちが誘導してあげるから、ご心配なく!」
文香「は、はあ……」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:23:59.10 ID:HexJW4lH0
美嘉「じゃあいくよー? まず前進!」
文香「はい……」
志希「甘いよ甘いよ、そんなんじゃ! スイカは甘くても、あたしの誘導は甘くないよ!」
文香「す……すみません……」
美嘉「さらに前進前進★」
文香「……はい」
志希「一歩一歩、噛み締めて! これまでのことを思い出して!」
文香「はい……はい……?」
美嘉「そこで左に一歩! 笑顔も忘れず★」
文香「笑顔、ですか……」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:31:12.58 ID:HexJW4lH0
志希「ハイ、そこでパーカー脱ぎ捨ててっ!」
文香「棒を持っているのですが……」
志希「んなもんポイだポーイ!」
文香「でもスイカが……」
志希「棒じゃない! ハートで割るのだっ!」
文香「……まさかの……無茶振り」
美嘉「大丈夫大丈夫♪ そのままゴーゴー!」
文香「わかりました……手探りですが……」
文香(この感じ……Pさんに……いろんなはじめてを教えてもらったときのような……)
文香「あっ……」
志希「お、おお!?」
文香「あ……すみません。Pさん……支えてもらって」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:37:09.65 ID:HexJW4lH0
文香「……Pさん」
文香「あの……もう……離れても……」
志希「こらー! まだいちゃつくなぁー!」
文香「そういう……つもりでは……」
美嘉「ま、まあまあ」
志希「むぐぐ……よーし、もうちょい……そこでストップ、文香隊員!」
文香「……はい」
美嘉「そこで左に回転!」
文香「……ぐるぐる」
志希「よし、そこでおっけー!」
文香「……着きましたか?」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:41:36.65 ID:HexJW4lH0
美嘉「そこで思いっきり前に一歩★」
文香「思いっきり……前に……」
文香「……あっ」
志希「よっしゃ!」
文香「……す、すみません」
文香「……まさか……Pさんの胸に飛び込んでしまうなんて……」
文香「でも……おふたりがそう指示を……」
文香「美嘉さん……? 志希さん……?」
文香「……走って逃げた?」
文香「……そうですか……私も、そうしたいのですが……」
文香「でも……もう少し」
文香「もう少しだけ……このままで」
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:45:11.14 ID:HexJW4lH0
文香「あの……避けても……よかったのですが……どうして」
文香「……私のことを、支えるため……」
文香「そうですか……」
文香「……ありがとうございます」
文香「それでは……あと少しだけ、支えてもらいます……」
文香「……我侭でしょうか」
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:49:13.93 ID:HexJW4lH0
志希「どれどれ、上手くいったかなー?」
美嘉「うひゃー……文香さんって意外と大胆なんだ……」
志希「普段大人しいぶん、ワガママ言うとすごいタイプなんだねぇ♪」
美嘉「うわーうわー……なんだかこっちまで熱くなるって……!」
志希「美嘉ちゃんテンション高いなー」
美嘉「だってだって……ああっ、あれ絶対、恋人同士の空気じゃん!?」
志希「いやー、女の子が男の子の胸に飛び込んじゃっただけだしー?」
美嘉「って、それ恋人じゃん! あんな密着するとか、恥ずかしくて……で、できないってばぁ!」
志希「初々しいにゃー♪」
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/01(金) 03:50:01.88 ID:HexJW4lH0
おしまい
転載元
鷲沢文香「夏と前髪の向こう側」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406826825/