1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 17:06:49.70 ID:xufMScc70
世の中には、触れてはならない物が少なからず存在する。とはいっても、ちょっとしたショックで爆発する爆薬や、肌に触れるだけで火傷を起こす劇薬の類などの話ではない。
そういった類の物は広くその危険性が知られているので、少なくとも容易に手が届くような場所には置かれていないものだ。
問題はその対象外…一見全くの無害に見えても、一度触れれば取り返しのつかないような事態を引き起こす代物。そんな物騒な品々が、この世の中には多く存在している。
今回はその中のひとつに偶然にも出会ってしまった不幸な少女達のお話である。
20XX年、都内某所のテレビ局―――そこで、惨劇の発端は起こった…
千早「ぷっ…うふふっ…あははっ」
美希「あははっ!春香よく似合ってるの!」
春香「う、うぅ~…何でパンダの着ぐるみなんて用意してあるの~…恥ずかしいよぉ…」
美希「罰ゲームだから仕方ないのー。でも春香じゃんけん弱すぎなのー!もう五回連続で負けてるんだよ?」
千早「でも、大丈夫かしら…確かに自由に試着していいってプロデューサーは言ってたけど」
美希「細かい事は気にしないの!765プロから迎えが来るまで時間があるんだし、どんどんいくのー!じゃーんけん…」
彼女達はテレビ番組の撮影を終え、事務所から迎えが来るまでの一時間ほどをあるゲームをして遊んでいた。控室の衣装棚にある衣装を、じゃんけんで勝った側が負けた側に自由に着せるという
恐ろしい闇の遊戯…まるで人間を着せ替え人形の如く扱うこの遊戯を、彼女達は冒涜的なまでに、無邪気に楽しんでいた…ちなみにあいこは無効である。
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 17:13:13.15 ID:xufMScc70
「「「ぽんっ!」」」
千早「あっ…」
春香「や…やったー!」
美希「ミキはあいこでセーフなの…千早さん、お気の毒なのー」
千早「ね、ねぇ春香…余りヘンなのはやめてね…?」
春香「えへへー、どうしようかな~?さっき千早ちゃんはパンダ衣装を選んでくれたしな~…」ゴソゴソ
美希「春香容赦ないのー、どんなのかな?」ワクワク
千早「は、春香…」ビクビク
春香「ん?何かなこれ…箱?」
美希「随分新しい箱なのー…もしかしてブランド物?」
千早「何も書いてないわね…ねぇもしかしたら高い物かもしれないしそっとしておいた方が」
美希「えいっ」パカッ 千早「…」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 17:17:37.45 ID:xufMScc70
春香「? なにこれ?」
美希「何かの耳……あ、わかった!これ耳のアクセなの!」
千早「犬の耳、かしら?何だか本物みたい」
春香「わぁ、さわりごごちもそっくり!……」
千早「は、春香?」
春香「これで勘弁してあげるよ千早ちゃんっ!」ガバッ
千早「やっ…!いやっ春香やめてっ!」
春香「さんざんやっといて今更それはないよね千早ちゃん…?」ジリジリ
千早「や…いやぁ…」
春香「さ…怖くないよ千早ちゃん…」
千早「は、春香ぁ…」
美希「…春香と千早さん、何だか雰囲気おかしいの」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 17:29:53.08 ID:xufMScc70
千早「うぅ…こんなの私にはとても…」ピョコン
春香「うんうん。よく似合ってるよ千早ちゃん!」
千早「ほ、ほんとに?」
美希「あはは、何だか似合いすぎてて怖いくらいなの!千早さん、お手っ!」
千早「こ、こら美希っ!」
美希「あははっ春香、千早さんイヌが噛みついてきたのー!」
春香「わ、私が飼い主なの!?」
千早「み、美希っ!冗談もいい加減にっ…」
美希「ほらっ、なでなでなの春香」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 17:37:16.18 ID:xufMScc70
春香「え、あ、うん…千早ちゃん、どーどー」ナデナデ
千早「~~~っ!は、春香まで!…もうっ」カァアッ
美希「大人しくなったの…春香はやっぱり千早さんの扱い、一人前なの!」
春香「どういう意味なのそれ…」
美希「? そのまんまだよ?」
春香「…あ、もうこんな時間…そろそろいこっか!…千早ちゃん?どうしたの?」
千早「いえ、何だかこれ、髪に絡まったみたいで…」グイグイ
美希「え?でもそれヘアバンドみたいになってたから絡まったりなんてしないと思うけど?」
春香「千早ちゃん、ちょっと髪見せて?」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 17:42:01.79 ID:xufMScc70
千早「え、ええ…」
春香「確か黒いヘアバンドが…あれ?な、無い?」
千早「え?…そ、そんな!」グイッ 「い、いたっ…!?」
美希「痛い?それ、作り物だよ?」
千早「ひ、引っ張ってみてくれる?」
春香「ん―――!」ギュウウ 千早「い、いたっ…あぅうっ…」
美希「なの―――っ…!」グググッ 千早「ち、ちぎれちゃう…やめて…!」
美希・春香「はぁ、はぁ…」
千早「うぅ…痛い…取れない…」グスッ
春香「どうしよう、美希…」
美希「ミキに聞かれても困るって、ミキ思うな」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 17:47:24.11 ID:xufMScc70
P「あ、三人とも。待たせたな」
春香「い、いえみんなでお喋りしてましたから…」
P「千早はどうしたんだ、そんなデカいヘッドホンつけて」
美希「千早さんどうしても聞きたい音楽があるって言ってさっきからああなのー。お喋りできなくってつまんないの」
千早「……」
P「ははっ、まぁ千早らしいな。」
美希「そーそー、千早さんらしいの」
春香「あははははー…」
P「?」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 17:49:01.09 ID:xufMScc70
千早「…あ、悪夢だわ…何でこんなことに…」ピョコッ
美希「うーん、でも可愛くってちょっとうらやましいの」サワッ
千早「ひゃうっ!?」
春香「美希、いたずらしないの!…ごめんね千早ちゃん、私が…」
千早「は、春香は悪くないわよ…でも、どうしましょう…」
美希「うーん…千早さんの髪の毛の中に隠すのは?」
千早「い、いたたっ…何とか入りそう…」ギュッ
春香「だ、大丈夫?」
千早「あぅっ」ピョコンッ
美希「…しばらくはヘアバンドかヘッドホンでごまかすしか無いの」
千早「そ、そうね…」ショボン
春香(耳が垂れ下がってる…)
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 17:57:16.00 ID:xufMScc70
春香「そ、そうだ千早ちゃん!何かごはんつくろっか!」
美希「あ、ミキも手伝うの!」
千早「春香、美希…いえ悪いわ、そんな…」
美希「千早さん嬉しそうなのー」
千早「そ、そんな…」
美希「耳、さっきまでしょぼんてしてたのがピコピコ動いてるの」
千早「え?やっ…」バッ
春香「み、美希!早くいこっ!」
美希「あっ、春香引っ張らないでなのー!」
春香「耳の事は言っちゃだめだよ!」
美希「だって本当だもん!」
千早「あ、あの…私も、一緒に…」
春香「じゃあね、すぐ戻るから…ごめんね」ガチャン
千早「あ…春香、美希…」シュン
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 18:02:40.70 ID:xufMScc70
――――五分後―――――
千早(…まだかしら二人とも…)
――――十分後―――――
千早(…何かあったのかしら…心配だわ)
―――十五分後―――――
千早「あっ、春香?今どこに居るの?…スーパー…そう。ううん、ごめんなさい電話なんてかけちゃって」ピッ
―――二十分後―――――
千早「…春香、美希…まだかしら…」
「「ただいまー(なの)」」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 18:14:43.21 ID:xufMScc70
千早「!!」ガタッ タタタッ
春香「あ、千早ちゃんお待たせ」
美希「お腹空いたのー…早くつくろ?」
千早「え、ええ…そうね」ピコピコ
美希「あ、また耳が動いてるの。えへへ、千早さんそんなに嬉しい?」
千早「ちっ、ちがっ…これはその、勝手に…」
春香「千早ちゃん、寂しかったんだね…よしよし」ナデナデ
千早「や、やめっ…」ピコピコ
美希「春香ばっかずるいの!ミキもなでなでするのっ!」ナデナデ
千早「うぅー…」ピコピコ
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 18:19:02.93 ID:xufMScc70
春香「いただきまーす!」
美希「……」ジーッ
千早「な、何かしら美希」
美希「…千早さん結構よく食べるね」
千早「…えっ?」
美希「ミキ、もうお腹いっぱいだからあげるの」
千早「わっ、私はそんなに…」ピコピコ
春香「あっ、千早ちゃん私のも食べる?」
千早「そんなに食べられないわ、いつもあまりたくさん食べないから」ピコピコ
春香「いいよいいよ、こういう時にたくさん食べといたほうがいいよ千早ちゃん」
千早「わ、わかったわよ…」モグモグ 「…おいしい」
春香「じぃーっ…」
千早「…春香、何で私の頭を見ているの…」
春香「うん、千早ちゃんが嬉しいのがよくわかるもん」
千早「あっ…」ピコピコ
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 18:23:21.47 ID:xufMScc70
美希「あふぅ…そろそろ帰らないと、パパとママに怒られちゃうの…じゃあね千早さん、きっと朝には取れてると思うの~」
千早「ええ、さようなら。今日は遅くまでごめんなさい」
春香(耳がちょっと垂れてる…やっぱりさみしいのかな…)
千早「…春香も、そろそろ帰らないと終電が無くなっちゃうわ」
春香「ううん、今日は遅くまででも大丈夫だよ」
千早「本当?」
春香(あ、またピンってなった)「うん、だからあと少しくらいは居られると思うよ」
千早「そう…それじゃあ昨日借りた映画があるけど、一緒に見ないかしら?」
春香「え、なになに?千早ちゃんどんな映画見るの?」
千早「結構古い映画だけど、音楽が素晴らしいの」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 18:34:52.48 ID:xufMScc70
『INTERMISSION』♪~~♪~
千早「♪~~…ここの休憩スクリーンの音楽の使い方も最高に…春香?」
春香「すぅ…すぅ…」
千早「もう春香ったら…」
春香「う~ん…」カクッ
千早「きゃっ…!ちょっと春香、私は枕なんかじゃ…」
春香「むにゃむにゃ…」
千早「…っもう」
千早(…春香って結構いい匂いがするわね…香水でも使ってるのかしら?)
千早(甘い匂い…お菓子?違う?)
千早「くんくん…」
千早「こっちのほうが匂いが強いわね」グイッ
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 18:38:48.78 ID:xufMScc70
千早「くんくんくんくん……不思議な匂い…でも、嫌じゃないわ」
春香「うぅ~ん…くすぐったいよう…ちっ、千早ちゃん何してるの!?」
千早「春香って香水とか使うのね。でもとてもいい香り…」スンスン
春香「ちょっ…やぁっ…!千早ちゃんっ!」
千早「…はっ!ご、ごめんなさい春香っ!私どうしてこんな…」
春香「あ、あの…私そろそろ帰るね」
千早「…春香…もしかして、怒ってる?」シュン
春香(うぅ…またそうやって耳をぺったんこにして…)
春香「…怒ってないよ、でも千早ちゃん、おふざけもほどほどにね?」ナデナデ
千早「あぅ…ごめんなさい、春香」
春香(ますますへにゃってなっちゃった…もう少し)ナデナデナデ
千早「うぅ…」ヘニャヘニャ
春香(もういっちょ!)ナデナデナデナデ
千早「くぅ~…きゅうん…」ヘナヘナヘナ
※犬は甘える時にも耳を倒す事があります。不安、怯えの時も同様の反応を示すので状況をよく見て判断しましょう。
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 18:43:57.89 ID:xufMScc70
春香「じゃね千早ちゃん!また明日」
千早「ええ、また明日…」
千早「…春香も帰ってしまったわ…?これは…春香の香水の香り…」
千早「結構香りの強い香水なのね、まだ香りがのこってる」クンクン
千早「……今日はリビングで寝ましょう」
千早「…おやすみなさい、春香」パチリ
――――――――――
春香「ん、美希?美希って香水とか使う?」
春香「…えぇ~そんなに種類があるの?…いまどきはみんな使ってるって…私はお菓子の匂いなんてしないってば!」
春香「美希だっておにぎりの匂いがしたりして…あはははっ、冗談だよ」
春香「うん…初心者向けはそれだね、ありがと」ピッ
春香「お菓子の匂い…とほほ…香水なんてみんなもう使ってるんだ…」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 18:49:15.43 ID:xufMScc70
―――――翌朝―――――
やよい「うっう―――!おはよーございまー…あれ?」
雪歩「ち、千早ちゃん…一体どうしちゃったのぉ~!」
千早「萩原さんはお茶と畳の匂い…」スンスン
雪歩「ひっ…うぅう…」(こ、こわいよぉ…近所の犬みたいだよう…)ブルブル
伊織「ち、千早アンタそういう趣味…きゃっ…な、何よ」
千早「伊織は果物の香りね」
伊織「な、何よ…何なのよアンタ…いきなり顔近づけたり匂い嗅いだり…」
千早「みんな結構色んな香水を使ってるのね。私も使ってみようかしら」
伊織「こ、香水?今日は香水なんてつけて…」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 18:58:09.22 ID:xufMScc70
やよい「千早さんどうしたんですかー?」
千早「あ、おはよう高槻さん」
やよい「うー?千早さんその頭のたすき、どうしたんですか?」
千早「これはヘアバンドよ…そうヘアバンドなの。それ以上でもそれ以下でもないわ」
やよい「うっうー!千早さんおしゃれです!かっこいいです!」
千早「そ、そんな…照れるわ高槻さん」テレテレ
伊織「むー…」
雪歩「い、伊織ちゃん?どうしたの?」
伊織「ふんっだ!雪歩、こっち来なさい!」
雪歩「う、うん…」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:03:09.37 ID:xufMScc70
やよい「? 千早さん、ヘアバンドがずれてますー」
千早「あっ…!」
やよい「? 何だか柔らかい…」
千早「だ、大丈夫よ高槻さん!自分で直せるからっ」パッ
やよい「うっうー?」
千早(危ない…危うくばれる所だったわ…)
やよい「千早さん体おかしくないですか?何だか顔色が悪いですー」
千早「た、高槻さん…ごめんなさい、別に何とも…!」
やよい「? どうしたんですかー?」
千早(…いい匂い…嗅いだ事がないけど、とてもいい匂いがする…)
やよい「はわわっ!?千早さーん?」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:05:06.67 ID:xufMScc70
千早「……」クンクン
やよい「ぷっ、あはははっ!くっ、くすぐったいですー!」
千早「……」グイッ
やよい「やっ!あははっ!わ、笑いがとまんないですっ、あはははっ!」
千早「きゅう~…くぅぅ…」スリスリ
春香「おはようございまー…」
千早「くぅう~、きゅぅーん…」グイグイ
やよい「あっ、はるかっさっ、あはははっ!くすぐったっ…たすけっ…あはははっ!」パタパタ
春香「……」ポカーン
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:07:06.60 ID:xufMScc70
春香「…はっ!こ、こら千早ちゃんっ!冗談もほどほどにっ…!」
千早「! わふ、わふっ!!」ガバッ
春香「っきゃあああっ!」
千早「はるかっはるかー!いいにおい…くぅー…」ギュウッ
やよい「あーっ!ち、千早さん…」
春香「!! 千早ちゃんっ、頭っ頭ー!」
千早「わふ?」ピコピコ
春香「だから耳が出ちゃっ…ひゃあああっ!?」
千早「くぅ~…」ペロペロ
春香「やーめーてー!やよい、助けてー!」
やよい「ち…千早さん…ワンちゃんのマネですか…?」ソロソロ
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:11:17.58 ID:xufMScc70
千早「わふ?」クルッ
春香「…やよい逃げ「わふー!!」
やよい「はわわわー!!」
千早「きゅうぅ~~わふっわふっ♪」ギュウウウ
春香「く、苦しいよぅ千早ちゃん離して~…」
やよい「うぅ~…千早さんよくばりワンちゃんです~…」
千早「わぅっ♪」ペロッ
やよい「あぅっ…助けてください~…あれ?」
千早「わぅわぅっ!」ブンブン
やよい(な、何だろうこれ…し、しっぽ?確かしっぽはワンちゃんが握られると…)
やよい「いちかばちかですっ!えーいっ!」ギュウウウッ
千早「!? あ、あ…あぅうう…」ヘナヘナヘナヘナ
やよい「や、やりましたっ!千早さんごめんなさい…」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:17:50.73 ID:xufMScc70
春香「はぁっ、はぁっ…千早ちゃん!今度は本当に…あれ、な、なにこれ…」
やよい「春香さん、しっぽです!ワンちゃんはしっぽが弱点なんですっ!」
春香「しっぽ…えぇ~?今度はしっぽまで生えちゃったの?どんどん千早ちゃんが犬になってくよぉ~…」
千早「うぅ…何だか頭がぼんやりするわ…」
春香「あ、起きた…大丈夫千早ちゃん?」
千早「? 何だかズボンが窮屈ね」
春香「だ、だめっ!それはっ…」
千早「……」ピョコン
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:19:24.73 ID:xufMScc70
美希「おはようなの~あふぅ…」
千早「う、うぇええ…春香ぁ…高槻さん、どうしよう…」グスグス
春香「…お医者さんに行こう、うん…」
やよい「き、切り取っちゃうんですか…怖いです…」
美希「何だかすごくヘビーな感じなのー…千早さんまだ取れてないんだね、それ」
千早「それだけじゃないのよ…今度は…」ピョコン
美希「わっ、かわいい!しっぽなのー!」ギュッ
千早「あぅうう~…」ヘナヘナヘナ
美希「あれ?千早さんどうしたの、急に元気なくなったの」
春香「犬はしっぽ握られるの嫌がるんだって…」
美希「千早さんほんとに犬になっちゃったのー」
やよい「うっうー、でもワンちゃんみたいに甘えてる千早さんもかわいかったかなーって」
千早「た、高槻さんっ!」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:22:51.22 ID:xufMScc70
美希「へぇ~。ねぇねぇ、どんなだったの?」
やよい「えっとー、まず私の服に鼻を押し付けてきてー、それで春香さんに抱きついてー」
千早・春香「「わ―――――――っ!!!」」
美希「ふぅ~ん…何だか甘えるごとに犬に近づいてるみたいだね」
千早「ど、どうしましょう…どうやったら取れるのかしら、これ…」
美希「…限界まで甘えちゃえばいいんじゃないかな?」
春香「え?何言ってるの美希…」
美希「これ以上ないとこまで甘えちゃえば、どうにかなるかもしれないの!…じゃ、早速なでなでするの~!」ギュッ
春香「それって単に美希が千早ちゃんをなでなでしたいだけじゃ…」
美希「そうとも言うの」ナデナデ
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:26:07.69 ID:xufMScc70
春香「や、やめなよ美希!そんな乱暴に撫でちゃだめっ!」
美希「あーもう…春香ばっかずるいのー。ミキにもー!」
千早「は、春香まで…やめ…あっ…きゅ、くぅ~…」フリフリ
やよい「あ、しっぽが動いてます~よーしよし、うれしいですか千早さん?」ナデナデ
千早「くぅ~」ペロッ
春香「ち、千早ちゃん…」
やよい「あははっ、くすぐったいですっ」
美希「へぇー、千早さん犬になったらすっごく甘えん坊なの!うりうりっ」ギュッ
千早「わぅわぅっ」スリスリ
美希「あはははっ!くすぐったいのー!」
春香「よ、よしよし…大丈夫かなこんなので…ひゃっ」
千早「わぅ~」ペロペロ
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:31:08.68 ID:xufMScc70
春香「も、もう…千早ちゃんったら」
やよい「? あれ、何だ千早さんの耳が小さくなってきましたよー?」
春香「本当だ…それにしっぽも」
美希「えー!そんなのつまんないのー!せっかく千早さんをなでなでできたのにー!」
千早「…はっ!……み、美希…春香…高槻さん…やっ、いやぁっ!は、離してっ!」ジタバタ
春香「きゃっ」
やよい「はわわっ!」
千早「…っ!」タタタッ
美希「あーあ、千早さんがもとに戻っちゃったの…」
春香「ま、まぁ一件落着…かな?」
やよい「うぅー…でもちょっとだけ残念かもー…」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:31:36.62 ID:xufMScc70
――――翌朝―――――
千早「おはようございます」
春香「あっ、おはよう千早ちゃん」
千早「…っ!」カァッ
春香「…あのー…昨日はごめんね」
千早「いえ、私の方こそ…お礼も言わずに帰ってしまって…本当にごめんなさい」
春香「で、でも…もとはといえば私があんな物かぶせたせいで…」
千早「いいのよ、もう消えてしまったみたいだし…科学で説明がつかない事ってあるのね、怖い物だわ」
あずさ「おはようございます~」
千早「あずさん、おはようございます」
春香「あ、おはようございますっ!」
あずさ「おはよう、千早ちゃん春香ちゃん」
千早「! あのあずささん、ここボタンがずれてます」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:32:10.85 ID:xufMScc70
あずさ「あらあら~。朝急いでたから気が付かなかったわ、ありがとう千早ちゃん」ナデナデ
千早「ど、どういたしまして…」
あずさ「千早ちゃんは真面目で良い子ね~。私ったらいつもドジばっかで…」ナデナデ
千早「あ、ありがとうございます…その…そろそろ撫でるのは…」
あずさ「あらあら~。やっぱり少しだけ照れ屋さんね」スッ
千早「は、はい…」ピコピコ
千早「…え?」
あずさ「…?何かしらこれ?」サワサワ
千早「あぅっ、ふぁっ…や、やめっ…」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:32:41.84 ID:xufMScc70
春香「ま、また生えてきちゃった…」
あずさ「あらあら~?」モニモニ
千早「きゅぅ…くぅっ、や、やめっ…わぅっ…」ピョコン
春香「あ、あずささんやめて!千早ちゃんがっ!」
あずささん「?」ナデナデ
千早「…わぅぅううっ!!」
あずさ「きゃっ」
春香「千早ちゃんだめぇえええっ!!」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/22(日) 19:33:20.10 ID:xufMScc70
―――――そう、『それ』は消えたのではなかったのだ。彼女の精神にまで潜り込み、一時的に姿を隠していただけだったのだ…。彼女は今も、己の内に住み着いた獣と共に暮らしている…。
「あらあら~、甘えん坊さんね」
「あ、あずささんっ!千早ちゃんも何でそんなに懐いて…ひゃっ、ま、またいきなり飛びついたりしてっ…」
「うふふ、春香ちゃんの事も大好きって言ってるんだと思うわ」
「わぅわぅっ!」
「ち、千早ちゃあん…」
出会った人間の姿、ひいてはその運命まで変えてしまう恐ろしい『呪いのアクセ』…。アイドル達がこの世に存在する限り、それらもまた永遠に消える事は無いのである。
おしまい。