1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 20:58:16 ID:nKks0jUC0
千早「夕飯、ごちそうさまです」
P「千早はすっかりトップアイドルなのに、ファミレスでごめんな」
千早「構いません。じゅうぶん栄養満点です」
P「普段の食生活悪そうだな…。」
千早「カラオケ、ですか?」
P「ああ、行こう。千早歌うの好きだろ」
千早「プロデューサー、時間が空いてるならばレッスンをしたいのですが」
P「息抜きも大事だ、何事も経験だろ」
千早「はあ」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 20:59:07 ID:nKks0jUC0
――カラオケボックス
オキャクサマ 72ゴウシツニナリマース
P「ウーロン茶二つ」
千早「…貧弱な音響ですね」
P「キラメキラリ!ずっとチュッと♪」チュチュッ
千早「その選曲はどうなんですか」
千早「ふふっ」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:00:02 ID:nKks0jUC0
アリガトゴザイッシャーァ
千早「ええと、1200円」
P「俺が払うよ」
千早「しかし…」
P「いいからいいから」
千早(ここは年上を立てておこうかしら)
千早「それでは、ありがとうございます」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:00:41 ID:nKks0jUC0
P「さて」
千早「それでは、また明日事務所で――」
P「千早の家に行きたいな」
千早「もうすっかり夜ですよ」
P「そうだな」
千早「…」テクテク
千早「ついてこないでください」
P「ついていく」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:01:32 ID:nKks0jUC0
――千早宅
P「おじゃまします、っと」
千早「邪魔です。無理やり押し入って何を言ってるんですか」
P「ずいぶん殺風景な部屋だな」
千早「文句言わないでください。というよりさっさと帰ってください」
千早(何しに来たのかしら)
P「テレビつけるぞ」ピッ
千早「言うと同時に点けるんですね」
ため息をつきながらベッドに腰掛けた。すぐ隣にプロデューサーも。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:02:08 ID:nKks0jUC0
千早「?」
P「千早…」
P「服を脱いで」
千早「どうしたんですか。なんだか、息が荒いんですけど」
P「いいから。服を脱いで」
千早「プロデューサー?」
いつも穏和なプロデューサーが、見たことのない顔をして私の両肩を掴んでいる。こんなに力が強いなんて、知らない。
怖い。
逆らったら、殺されてしまう。
P「千早…」
P「千早、かわいいよ」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:02:42 ID:nKks0jUC0
千早(プロデューサーなんて、嫌いです)
でも、私が黙ってさえいれば――いつも通りでいられる。
生きる場所――歌う場所をくれたのは、プロデューサーだもの。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:04:04 ID:nKks0jUC0
――翌週夜、カラオケボックス
P「恋をっはじめようよ~♪」
ピローン
千早(春香からメールだわ)
『今日のボーカルレッスン千早ちゃんのおかげでうまくできたよ
今電話だいじょうぶかな? 春香』
千早(人前で携帯にかかりっきりなのは失礼な気がするわね)
『もう寝るところなの。おやすみなさい。千早』
P「……」
千早「……」
P「歌うか?千早」
千早「はい」
P「また家行っていいよな?」
千早「…はい」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:04:35 ID:nKks0jUC0
――ある夏の日
春香「お待たせー!」タタタタ
春香「浴衣似合ってるよ、千早ちゃん」
千早「なんだか恥ずかしいわ」
春香「あっそろそろ始まるよ!」
ヒュルルル ドン ドンドン
春香「花火だよ、花火!」
千早「綺麗…」
春香「いっしょに見られてよかったね」
千早「ええ、本当に」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:05:11 ID:nKks0jUC0
――カラオケボックス
P「これが花火大会の写真か」
千早「はい。春香が携帯のカメラの使い方を教えてくれたんです」
P「浴衣よく似合ってるよ」
千早「春香は可愛いですから」
P「千早も可愛いよ」
千早「馬子にも衣装というやつです」
P「ははっ、つれないなぁ」
P「ところでこのあと家行っていい?」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:05:48 ID:nKks0jUC0
開けっぱなしのカーテンから、月明かりがまぶしい。
P「ちーちゃんって呼んでいいかな」
千早「…呼ぶだけならただですよ」
P「ちーちゃん、俺のことPちゃんって呼んでくれない?」
千早「嫌です」
P「えー」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:06:25 ID:nKks0jUC0
――翌週、千早宅
P「シャワー借りるぞ」
千早「あ…その…勝手にしてください。タオルは洗濯機の上です」
P「? どうかしたのか」
千早「今日は…できませんからね、女の子の日なので」
P「……そうか」
P「なんだ、そっか」
千早「…」
P「煙草吸っていいか」
千早「…」コクリ
夜が明ける前、私が目覚めるとプロデューサーはもう帰っていた。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:07:03 ID:nKks0jUC0
――千早宅
千早「春香が泊まりにに来るの、久しぶりね」
春香「ごめーん、終電なくなっちゃって」
千早「構わないわよ」
カッカー カッカー ヴァイ!
春香「あ、メール、プロデューサーさんからだ」
そのとき春香の表情が、さっと凍りついた。
春香「なにこれ」
春香「千早ちゃん?」
春香「プロデューサーさんと何してたの?」
携帯電話が春香の手から滑り落ちて、かしゃんと床に落ちた。
画面には、写真?
私の、寝顔
千早「…帰って」
春香「帰らない」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:07:50 ID:nKks0jUC0
春香「千早ちゃんが全部話してくれて、ちゃんと解決するまで、帰らない」
千早(そんな……)
千早(話す、なんて)
千早(春香にだけは、知られたくない。悲しませたくない)
千早(苦しい)
千早「何の…ことかしら」
春香「あの人と、寝たの?」
千早「…嫌っ、言いたくない…」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:08:23 ID:nKks0jUC0
春香「ねえ、千早ちゃん」
春香「話して」
千早「プロデューサーに――…くっ」
春香「私がメールしたときも、プロデューサーさんといっしょだったんだね」
春香「どうして、もう眠るなんて嘘ついたの」
千早「そんなつもりじゃ…!」
春香「私に、嘘ついたんだ」
春香「もう千早ちゃんのこと信じられない」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:09:05 ID:nKks0jUC0
春香「プロデューサーさんに浴衣姿の写真も送ったんだよね」
春香「信じられないよ。酷いことする男の人相手に」
千早「違う!」
千早「写真を送ったりなんてしてない!」
千早「カラオケで私の携帯に入ってるのを見せただけ!」
千早「そんなこと、それだけは、春香を汚すような真似なんてしてないッ!」
春香「ち、千早ちゃん…」
春香「ごめんね」
千早「それだけは、してないわ、本当に」
春香「ごめんね千早ちゃん」
千早「帰って…」
春香「帰らない」
春香「千早ちゃんが全部話してくれて、ちゃんと解決するまで、帰らない」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:10:00 ID:nKks0jUC0
――事務所
P「おはようございます」
雪歩「ひぃ!」ビクッ
真「! こっちおいで」
バタン! タタタタタ…
ダイジョウブダヨユキホ ウワーンマコトチャーン
P「おい…」
P「女の子って、噂が早いんだな」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:10:38 ID:nKks0jUC0
――千早宅
あずさ「春香ちゃんを駅まで送ってきたわよ」
あずさ「しばらくひとりがいいのよね」
あずさ「あ、あのね私、音無さんに言われて来て、何が起きているかよく知らないのだけど~」
あずさ「元気出るといいわね、千早ちゃん」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:11:20 ID:nKks0jUC0
――事務所
美希「ねえ、そこの人」
P「…なんだい、美希」
P(そこの人、か)
P(いよいよ美希にも嫌われたな、当然か)
美希「プロデューサーは、恥を知るべきだと思うな」
美希「ミキ、知ってるよ」
美希「男の人はみんな、どんなに紳士ぶってても、ホントは女の子をケイベツしてるの」
P「軽蔑だなんて――」
美希「ケイベツしてなきゃ千早さんにあんなヒドイこと、できない」
美希「えっちしなかったら、要らないんだね」
P「……」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:12:15 ID:nKks0jUC0
――千早宅
床ってこんなに冷たかったのね。
寝具を処分した。
きたないから。
フローリングに横たわっていると寒くてたまらない。
けれども身動きする気にもならない。
冷気が骨の髄まで染みわたって、息をするたびに体がきしむ。
千早「……」
千早「…優」
千早「私のこと、待っててくれる…?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:13:15 ID:nKks0jUC0
――路地裏
貴音「奇遇ですね」
千早「四条さん…?」
貴音「なにゆえ裸足なのですか、如月千早」キョトン
千早「え…その…」
千早(はやく、優のところに)
貴音「あちらに馴染みのらぁめん屋があります。ご馳走しましょう」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:14:05 ID:nKks0jUC0
貴音「らぁめんふたつ」キリッ
??「ウィ。」
貴音「歌い手として、ステージに立つ如月千早は輝いていました」ズズー
貴音「ひとりの殿方の手にかかって曇るほどに、千早の輝きは鈍くなってしまったのですか」モグモグ
貴音「アイドルたる千早が輝かずしてどうするのですか」ズルズル
貴音「月は欠けても、また満ちるのですよ」ムッシャムッシャ
千早「そうかもしれないわね」
貴音「早く食べないと麺が伸びてしまいますよ」ズゾゾゾゾ
千早「ええ…」パク
千早「おいしいわ…」
貴音「真美味です」ズズズー
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:14:37 ID:nKks0jUC0
――二週間後
やよい「プロデューサーは、急に決まった研修でアメリカに行ったんだそうです」
やよい「連絡先を聞こうとしたらなぜか伊織ちゃんに止められましたー」
響「あれ?自分はプロデューサーは田舎に戻ったって聞いたよ」
響「お別れもなかったもん。どうしたんだろ?」
伊織「あんなやつ、やよいには1ミリも近づかせたくないし知らせたくないわ」
伊織「刑務所にでも押し込んどけばいいのよ」
亜美「兄ちゃんの代わりに新しい兄ちゃんが来たよ」
真美「オシャレなんだけど、虹色の靴下はセンスがイマイチじゃないかな→?」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/26 21:16:24 ID:nKks0jUC0
春香「悔やんでも過去は変えられないよ」
千早「だから、一緒に未来で輝きましょう」
春香「千早ちゃん、ちょっと大人っぽくなった?」
千早「そんなことないわ。まだまだ子どもよ」
そんな夢を見たの
きっと夢だわ
おわり