1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 04:53:22.82 ID:lOWk+5hN0
伊織「……ねぇ」
美希「…………」
伊織「ちょっと」
美希「……た」
伊織「……た?」
美希「たいよぉけ~ん……むにゃ」
伊織「」プチッ
伊織「いつまでも楽屋で寝てんじゃないわよ!」バン!
美希「ひゃあ!?」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 04:54:25.61 ID:lOWk+5hN0
伊織「ほら!早く着替えて撤収!」
美希「あれ、でこちゃん……」
伊織「ていうかよだれ……ん?何よ」
美希「おでこ……目が無いの。どうしたの?」
伊織「……普通無いわよ!」
こいつは、いったい何なのよ。
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 04:56:04.27 ID:lOWk+5hN0
P「これから、この事務所で一緒に活動することになった子だ。」
美希「ミキは、星井美希なの。
の~んびり、アイドルやれたらなって思うな」
ワー、ヨロシクネ!
オオウ、パツキンデスナ~
テイウカ、スゴイ゙ネ…
クッ
伊織「…………」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 04:56:59.36 ID:lOWk+5hN0
美希「ねぇねぇ」
伊織「な、なにかしら?」
美希「ミキと同い年だよね?」
伊織「えぇ、そうみたいね。私、水瀬伊織よ」
美希「あぁ、それでいおりんかぁ」
伊織「……亜美真美ね。全く……」
美希「…………」ジーッ
伊織「……??」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 04:57:59.77 ID:lOWk+5hN0
美希「……でこちゃん」ボソッ
伊織「……!?」
美希「あ、なんか気に入っちゃった。ミキ、でこちゃんって呼ぼ」
伊織「ちょっとぉ!なんか馬鹿にしてない?」
美希「そんなことないよ?お人形さんみたいでかーわいいの」
伊織「そ……そう?」
美希「でーこちゃん♪」
伊織「っ……!やっぱやめなさいそれぇ!」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 04:59:20.32 ID:lOWk+5hN0
ファーストインプレッションは、決して良くなかったわよ。
化粧、金髪、イマドキで如何にもなファッション。
どこの学校にも何人かはいるような、
毎朝教員と揉めてまで、装飾品やら頭髪、制服改造に勤しむ輩と同じ匂いがしたわ。
しかもそのスタイル。何よそれ、何なのよそれ。
絶対年上かと思ったわよ。
一体何食べて育ったらそんな身体……コホン、まぁこの話はいいわ。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:00:28.59 ID:lOWk+5hN0
とにかく、可愛い顔してるのは分かるけど、
とてもじゃないけどやる気の欠片も感じられなかった。
私は本気でアイドルやってるつもりだったの。
お遊び気分ならさっさとやめてほしいって……正直思ったわ。
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:01:22.73 ID:lOWk+5hN0
真「プロデューサー!美希がね、凄いんですよ!」
春香「そうそう!一回見ただけで振り付けぜ~んぶ覚えちゃって!」
ムコウノディレクターサンニモ、ホメラレチャイマシタ!
カッコヨカッタナァ、ミキ!
でも、違った。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:02:26.91 ID:lOWk+5hN0
レッスンで何度か一緒になって、気にはなってた。
仕事の評判が入ってくるようになって、それで確信したわ。
あんたがただ、ルックスだけでスカウトされてきた訳じゃないってこと。
ホワイトボードが日に日に黄緑で侵蝕されていく様が、
見てて複雑だった。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:03:34.68 ID:lOWk+5hN0
亜美「会場の兄ちゃん姉ちゃーん!」
あずさ「今日はとっても暑い中、私達のライブに来てくれて、ありがとうございま~す」
伊織「まずはあいさつ代わりに、一曲!」
「「「SMOKY THRILL!」」」
はぁ!?
ちょっ、勘違いしないでよね。
悔しくなんかなかったわ。
私は新進気鋭のアイドルユニット、竜宮小町のリーダーなの。
それ以前に、私は天下のスーパーアイドル水瀬伊織ちゃんよ?
あんたなんかに―――
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:04:40.24 ID:lOWk+5hN0
あずさ「……えぇ、分かっています。……はい、……はい。
……すみません、よろしくお願いします」
律子「あずささん……?」
あずさ「えぇ、向こうの皆がフォローしてくれています」
律子「でも、これ以上の遅刻は許されないわね……」
ネェリッチャン! コノクルマ、ソラトカトベナイノ?
トベタラトックニトンデルワヨ……
伊織「…………」ギュッ
あんたなんかに……
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:05:53.40 ID:lOWk+5hN0
亜美「うわぁ! 今ね、ミキミキがチョー頑張って繋いでくれてるって!」
律子「美希が!? そっか……ふふ」
伊織「……私達も、負けてられないわね――
嫉妬なんか、するわけ、無いじゃない……!
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:06:56.52 ID:lOWk+5hN0
あんたは……! いつもそうよ!
なんにも考えてないような顔しといて
人の心見透かしたようなこと言って……
暇さえあれば寝てばっか、打ち合わせも適当で……
そのくせ勘はよくて、仕事も、レッスンも!
あいつにも……所構わずベタベタして……!
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:07:59.66 ID:lOWk+5hN0
何よ――何なのよ――――!
私、負けたくないって……死に物狂いで、ここまできて!
なのに……! あんたは……!
あんたは――
伊織「私は、いったい何なの――?」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:11:11.56 ID:lOWk+5hN0
美希「……でこちゃん」
伊織「もう、嫌……。何言ってんの私」ポロッ
美希「泣いてるの……?」
伊織「……悪い?」
美希「……ううん」
伊織「…………」グスッ
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:12:37.09 ID:lOWk+5hN0
……………………
伊織「……私」
美希「……んー?」
伊織「天才って言葉嫌いなの」
美希「……天才」
伊織「テストで良い点とったりとか、その程度のことで
そう呼んでくる輩っているじゃない」
美希「なんとなく分かるの」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:13:56.41 ID:lOWk+5hN0
伊織「腹立つのよね。私は天才じゃないの。
真面目に勉強すれば誰だってとれるわって」
美希「……でこちゃんらしいの」
伊織「……それに」
美希「……?」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:14:51.74 ID:lOWk+5hN0
伊織「天才はそんなに安いもんじゃないって知ってるもの。
今、隣に本物がいるせいでね」
美希「…………」
伊織「……天才なんか、嫌いよ」
美希「でこちゃん」
伊織「…………」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:15:54.66 ID:lOWk+5hN0
美希「人に言われて嫌なことは、人にも言っちゃダメって思うな」
伊織「……そうね」
美希「でーこちゃん」
伊織「……ん?」
美希「ミキのこと、嫌い?」
伊織「…………」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/08/27(火) 05:17:03.87 ID:lOWk+5hN0
暇さえあれば寝てばっか
打ち合わせも適当で
そのくせ勘はよくて
そうやってまた、人の心見透かしたみたいに――――
美希「……♪」
伊織「……バカ」
おわれ