1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:05:47.91 ID:P9cXVFSeO
――Pの自宅・ベランダ
――05:00
貴音「あなた様」
P「うん?どうした?」
貴音「もう少しで、夜が明けますね」
P「そうだな。寒くないか?」
貴音「ふふっ。大丈夫です。なぜなら」
P「なぜなら?」
貴音「こうして、あなた様と触れ合っているだけで十二分に温かいですから」ギュッ
P「そっか」
貴音「えぇ」
P「…」
貴音「…」
P「なぁ、」
貴音「なんでしょう」
P「後悔、してないか?」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:07:28.17 ID:P9cXVFSeO
貴音「何を、です?」
P「それ、俺に聞く?」
貴音「えぇ。聞いてしまいます」
P「俺と、こうなった事」
貴音「ふふっ」
貴音「それを聞いて、あなた様はどうなさるおつもりなのです?」
P「どうもしないけど、さ」
貴音「ふふっ。そのようなお顔もなさるのですね。あなた様は」
P「どんな顔してる?」
貴音「叱られた、子どものよう」クスッ
P「そんな顔はしてないと思うんだけどなぁ…」
貴音「いいえ。しておりましたとも」クスクス
P「でも…貴音が言うなら、そうなんだろうな」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:09:06.89 ID:P9cXVFSeO
貴音「あら?わたくしは、あなた様にそこまでの信頼を寄せていただけてくださっているのですか?」
P「じゃなきゃ、こんな時間にお前と二人きりでいないだろ?」
P「こんなに身を寄せて、さ」ギュッ
貴音「…」クスッ
P「どうした?」
貴音「いいえ、何も?」クスクス
P「そんな顔して言っても、説得力ないぞ?」
貴音「はて、どの様な顔をしていました?」
P「何か、悪戯を企んでるような顔」
貴音「例えば?」
P「そうだなぁ。亜美が、俺に…貴音「むっ」ギュー
P「つっ!」ズキッ
P「いきなりつねるなよ…」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:10:22.08 ID:P9cXVFSeO
貴音「…」プイッ
P「やきもち、焼いちゃった?」ニヤニヤ
貴音「女という生き物は、常に自分だけを見ていて欲しいものなのです」
P「我が侭だなぁ」
貴音「わたくしとて、例外ではないのですよ?」
P「もちろん、知っているさ」
貴音「何故?」
P「俺が、お前を知っているから」
貴音「ふふっ。御粗末様、とでも申しておきましょうか」クスクス
P「ご馳走様でした」
貴音「順番が、逆ではありませんか?」
P「細かいことは、いいんだよ」
貴音「そうですか」
P「そうそう」
貴音「あっ」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:12:02.01 ID:P9cXVFSeO
P「うん?」
貴音「夜が、少しずつ開けていきます」
P「綺麗な、瑠璃色だよな」
貴音「…」
貴音「ひとつ、よろしいでしょうか」
P「どうした?」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:13:20.85 ID:P9cXVFSeO
貴音「あなた様の瞳には、わたくしはどう映っているのでしょうか」
P「気になる?」
貴音「ふふっ。えぇ」
P「そうだなぁ…」
貴音「おや。その様に考え込んでしまうのですか?」
P「いい表現がなかなか見当たらないんだよ。ちょっと待ってな」
貴音「ふふっ。いついつまでも、待ちますとも」
P「そうだ。あれだ」
貴音「あれ、とは?」
P「空」
貴音「はて」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:14:42.38 ID:P9cXVFSeO
P「見てみろよ。ゆっくり、ゆっくり夜が明けていって瑠璃色になっていくだろ?」
貴音「えぇ」
P「でも、そんな夜明け前の瑠璃色は、一瞬で朝の陽の光で青空になっていくんだ」
貴音「その夜明け前の一瞬の輝きが、また美しいです」
P「つまりは、そういう事」
貴音「はて、仰っている事が良く…」
P「こうやって、俺に寄り添っているお前は…夜明け前の瑠璃色よりも、その一瞬の輝きよりも綺麗だって事だよ」
貴音「…」
貴音「あなた様は、ロマンティストでもあったのですね。少々、意外です」クスクス
P「意外とはなんだ、意外とは」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:16:45.74 ID:P9cXVFSeO
貴音「ふふっ。決して馬鹿にしている訳ではないのです」
貴音「ただ…」
P「ただ?」
貴音「いえ、やはり何でもございません」クスッ
P「そこで言い澱むなよ。気になるじゃないか」
貴音「ふふっ。とっぷしーくれっと、」
貴音「で、ございます」クスッ
P「おっ?久々に聞いたな、それ」
貴音「あなた様にする隠し事も、あと少しになってしまいましたからね」
P「いつか、ぜんぶ知れる時が来るのかな」
貴音「ふふっ。それは」
P「それは?」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:18:20.94 ID:P9cXVFSeO
貴音「あなた様に映る」
貴音「あなた様の中に在る」
貴音「あなた様が仰る…」
貴音「夜明け前より瑠璃色だという、わたくしが…自ずと物語ってくれる事でしょう」クスクス
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:20:34.78 ID:P9cXVFSeO
P「貴音も、人の事は言えないな」
貴音「ふふっ。その様で」
P「さぁ、夜が明けてきた。そろそろ、部屋に戻ろうか」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:21:34.42 ID:P9cXVFSeO
貴音「はい」
P「…」
P「…」ギュッ
貴音「あなた様?急に抱き締められると…その…」
P「その、何?」
貴音「困って…しまいます」
P「うん。貴音のそんな顔を見ちゃうとさ」
貴音「見て、しまうと?」
P「もっと…困らせたくなるな」スッ
貴音「んっ…ふっ…」チュッ
貴音「はぁ…」
貴音「まこと…あなた様には困ってしまいます…」
P「ははっ。お互い様だろ?」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:23:55.48 ID:P9cXVFSeO
貴音「わたくしは、あなた様を困らせた覚えはありませんが?」
P「よく言うよ」
貴音「ふふっ」クスクス
P「さて、さすがに身体が冷えてきた。早く部屋に戻ろう」
貴音「では、最後にひとつだけ」
P「なんだ?」
貴音「あなた様が仰ってくださった…夜明け前より瑠璃色なわたくしには、」
貴音「あなた様が隣にいてくださいます」
P「そんなの、当然だろ?」
貴音「その『当然』が、わたくしにとっては…何物よりも大切な物なのですよ」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:25:31.75 ID:P9cXVFSeO
P「なら、俺をもっと大切にしないとな」
――ガラガラガラ
貴音「あら、何をお望みで?」
P「…で…を…」スタスタスタ
貴音「ふふっ。それは…が…」トテトテトテ
―――
P「もっと…こう…愛され…」
――
貴音「ふふっ。…様は…本当に…あまえんぼ…ですから」クスクス
―カチリ
おわり
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/10/02(火) 00:27:01.32 ID:P9cXVFSeO
はい。ここまでありがとうございました
フィーナ様が好きです。でも、ミアの方がもーっと好きです