1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:33:02.22 ID:0wQsmxez0
この作品はフィクションであり、実在する、
人物・地名・団体とは一切関係ありません。
その点を了承した上でお読みください。
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:33:57.87 ID:0wQsmxez0
17:30/商店街
やよい「えと……、夕ご飯の買い物はおっけーで……。わあ! あれは、福引かなあ?」
やよい「すみませーん。お肉屋さんのおじさん、これは何ですかあ?」
肉屋オジ「おーやよいちゃんかい。いやあ、商店街でやってる福引でねえ。券は持ってるかな?」
やよい「ちょと待ってくださいっ。あ! これですね! 一枚だけもらいましたー」パアア
肉屋オジ「よーし。ならやよいちゃん! このガラガラを回してみな! 何事も、挑戦だよ?」
やよい「よおーっし。がんばりますっ! 集中、しゅーちゅう」ガラガラ
やよい「ええい!」コロンコロン
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:34:58.64 ID:0wQsmxez0
肉屋オジ「お、お、大大大当たりいいいいい~~~!!!」カランカラン
やよい「え、え~!? ほんとうですかあ?」
肉屋オジ「やよいちゃん一等だよ一等! はい、やよいちゃんにはこれ!」ピラリ
やよい「わああ! ありがとーございますぅ! んと……」
やよい「でぃ〇にーしー、ぺあちけっと?」ハテナ
…………
……
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:36:35.30 ID:0wQsmxez0
翌日/11:00/765プロ事務所
やよい「ねえ伊織ちゃん。わたし、どうすればいいかなぁ?」
伊織「あんた運いいわね~。で、誰と行くつもりなのよ?」
やよい「お父さんとお母さんにプレゼントしようとしたんだけど……、
やよいが当てたんだから、久しぶりに誰かを誘って楽しんできなさいって……」
伊織「よかったじゃない。この伊織ちゃんが付き合ってあげてもいいけど、
ペアチケットだし、せっかくだし男を誘いなさいよ」ビシィ
やよい「え~!? そ、そんな人どこにも……」オロオロ
P「あ~。仕事疲れたなあ~。たまには気分転換にどこか遊び行きたいよなあ~。夢があるところが良いな~」
伊織「…………」
やよい「……」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:38:49.22 ID:0wQsmxez0
伊織「やよい。あんたプロデューサーを誘いなさい」
やよい「へっ!? それは……その、め、迷惑になると思うし、わたしと行ってもつまらな」ショボン
伊織「んなこと無いわよ。それにこれはチャンスなのよ、やよい!」
やよい「ちゃんす?」
伊織「そうよ。これはあんたに課せられた試練なの。
アイドルとして、今の自分に無い、新しい魅力を引きだすためのね」
やよい「新しい、みりょく?」
伊織「あんたは可愛いわ。それはもう、この伊織ちゃんが認めるくらいにね。
でもね、可愛いだけじゃトップアイドルにはなれないわ。
私たちには“オトナの魅力”が圧倒的に足らないのよ!」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:42:11.39 ID:0wQsmxez0
やよい「え、私たちって……?」
伊織「あっ……。と、とにかく、やよいはプロデューサーとデートして、
アイドルとしての自分を開拓しなきゃならないのよ。ねえ、絶好の機会だと思わない?」
やよい「それは……、そうだけど……」
伊織「まあ、あまり重く考えずに……。ほら!
日頃から世話になっているプロデューサーへの感謝の気持ちってことでね? どうよやよい?」
やよい「……。じゃ、じゃあ、誘ってみるね!」トテテ
伊織「……。にひひ……」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:45:05.00 ID:0wQsmxez0
やよい「あの……ぷろでゅーさー?」
P「おお。やよいか。お疲れ。何か用か?」
やよい「えと……、次のお休みって、何か予定はありますかあ?」
P「え? えーと、そうだな……」ペラリ
P「うん。特に無いぞ。どうしてだ?」
やよい「実は……、その……。ぷ、ぷろでゅーさー」
P「ん?」
やよい「でーと、してくれますか?」
P「!?!?!?!?」
のワの「!?!?!?」
ゆとり「なの!?!?!?」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:49:10.65 ID:0wQsmxez0
やよい「だ、だめですかあ?」
P「いや待て待て! な、何がなんだか……」
やよい「これ、ぺあのチケットなんですけど……、
ぷろでゅーさーにはいつもお世話になってますし……」
P「ま、まあ。やよいが行きたいって言うなら構わないんだがな」
やよい「ほ、ほんとですか? わたしと、でーとしてくれるんですかあ?」
P「で、デートかどうかは別にして、
せっかく誘ってもらったんだしな。俺でよければ付き合うよ」
やよい「う、うっうー! ありがとございます!
あの、ふつつか者ですが、よろしくお願いしますっ!」
P「なんだか妙なことになったなあ……」
のワの「…………」
ゆとり「…………」
…………
……
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:52:16.19 ID:0wQsmxez0
13:20/765プロ事務所屋上
真「いったいどうしたのさ伊織。いきなり屋上に連れてきて」
雪歩「い、伊織ちゃん。何か危ない顔してるよお」
伊織「実は、アンタたち二人を見込んで頼みがあるのよ……」
真「頼み? へえ、伊織にしては珍しいね……」
雪歩「そ、それで何をすればいいんでしょうか……」
伊織「それがね……」ゴニョゴニョ
真「えええ~~!? やよいとプロデューサーがで、デートおお?」マッコマッコリーン
雪歩「ふ、二人を尾行するんですか~!?」ユキピョーン
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 21:56:00.66 ID:0wQsmxez0
伊織「にひひっ! そうよ。やっぱりやよいの事心配じゃない?
それに、プロデューサーが万が一を起こしたあかつきには……」
真「た、確かにアイドルをプロデュースする立場で、親密にさせてはいけないよね……」
雪歩「き、禁断の恋ですか……、んん~! 気になりますう~」><
伊織「ま、言うなれば、保護者として同伴ね!
もちろん、ディ〇ニーシーのチケットはこの輝ける美貌の持ち主、
スーパーアイドル伊織ちゃんが手配したげるわ。悪い話じゃないでしょ?」
真「それは……。まあボクも久しぶりに遊びたいけど……。雪歩はどうしたい?」
雪歩「わたしは……真ちゃんと一緒ならどこへでも着いて行きますぅ」
真「そ、そう……。はあ、分かったよ伊織。今度の休みだね?」
伊織「決まりねっ! 当日の早朝、家に使いを向かわせるわ。楽しくなってきたわねっ!」
…………
……
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:00:48.69 ID:0wQsmxez0
デート前日/18:00/やよい帰路
やよい「なんだか、緊張してきましたあ……」トボトボ
やよい「プロデューサー、わたしと一緒で楽しいのかなあ?」
やよい「そだ! 明日どんな服来て行くか決めなきゃ……」オロオロ
やよい「いつものパーカーも可愛いし大好きだけど……。
もっと違う方がプロデューサーは嬉しいのかも……」
やよい「伊織ちゃんに相談してみようかな……」
電話ボックス「ガラリ」
やよい「えと……テレホンカードと、電話番号……」ガサゴソ
公衆電話「ピポパ、ポ、パ、ピ」プルルル
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:04:05.45 ID:0wQsmxez0
???「はい、水瀬でございます」
やよい「あ、あのう……。伊織さんいらっしゃいますかあ?
わたし、同じ事務所のアイドルで、高槻やよいっていうんですけど……」
???「高槻やよい様でございますね。
少々お待ちくださいませ。お嬢様にお取次ぎ致しますので」
伊織「もしもしやよい? どうしたのよウチに電話してくるなんて。
ていうか、何で水瀬の番号知ってるのよ」
やよい「事務所の連絡網で……、そ、それどころじゃなくって……。
伊織ちゃん。あの、明日のことなんだけど……」
伊織「明日? ああ。やよいはプロデューサーとデートだったわね」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:10:07.84 ID:0wQsmxez0
やよい「で、デートかあ……」カアッ
伊織「何恥ずかしがってんのよ。自信持ちなさいよ。何か心配事でもあるの?」
やよい「その……、いつもの服で行っていいのかな。
もっと可愛くなった方が、プロデューサーも喜ぶかなって……」
伊織「んー。そうね……。ねえやよい。あんたは可愛くなりたい?」
やよい「へ? それはモチロンだよ」
伊織「……わかったわ! この世界4大美女候補の
伊織ちゃんにすべて任せなさい! とびっきり素敵にしてあげるわ」
やよい「そ、そんなこと出来るの?」
伊織「出来るわよ。私に出来ないことなんか何一つないのよ!」
やよい「あ、ありがとう、伊織ちゃん!」
…………
……
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:15:05.93 ID:0wQsmxez0
デート前日/21:00/水瀬邸
やよい「わあ~! 可愛い洋服がこんなにいっぱい……」
伊織「ドレスルームってやつ? まあ、社交用の服も多いけど、
オシャレで大人っぽいのもたくさんあるわ。これでプロデューサーの心をばっちりつかめるわね!」
やよい「そ、そうかなあ? でも伊織ちゃん。本当に、ありがとう!」
伊織「いいのよやよい。さ……、それじゃコーデ始めましょ」
やよい「うっうー! がんばりますっ!」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:20:32.04 ID:0wQsmxez0
―二時間後―
伊織「うん! 最高にキュートね」
やよい「わ、わああ~」パア
伊織「やっぱり“オトナの魅力”って言ったら、ある程度の『露出』よね!
遊園地ってことも考慮して、下はホットパンツにニーソ、オーダーメイドのブーツね。
それは私のだけど、サイズが合って良かったわ」
伊織「んで、上はアプリコットカラーの薄カーデね。
ま、やよいの髪にも合うし、いつもの元気百倍のやよいとは、
ちょっと違うぞっていう意気を感じさせられると思うわ」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:23:44.41 ID:0wQsmxez0
やよい「プロデューサー、かわいいって言ってくれるかなあ?」
伊織「これで反応ナシだったら伊織ちゃんがぶん殴ってあげるわよ」
やよい「ええ? 伊織ちゃんもでぃ〇にーしー行くの? それならそれで嬉しいかもです」
伊織「い、行かないわよ! せっかくのデートを邪魔したりなんかするもんですか。
ほら、今日はもう寝ましょう。朝は忙しくなるわよ。
それに、髪もおろしてセットしてあげるんだから」
やよい「ありがとう伊織ちゃん。お世話になっちゃって……」
伊織「いーのよ。私が手伝いたいだけなの。さ、お風呂入るわよ」
やよい「うんっ!」
…………
……
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:28:54.13 ID:0wQsmxez0
デート前日/21:00/天海邸春香の部屋
春香「美希。いよいよ明日だね……」
美希「春香。やよいには負けられないの」
春香「うん。ほんと、思わぬ伏兵が居たものね……」
美希「明日のデート、見張り尽くしてやるの」
春香「美希。今日は作戦会議も早めに切り上げて寝ようね。
明日お昼寝とかできないから」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:31:54.34 ID:0wQsmxez0
美希「わかってるの。ハニーが他の女の子にデレデレしてるとこ、
見たくないけど……。美希、がんばるね」
春香「そう……。抜け駆けは、許せないよね」
美希「ハニーはわたせないの」
春香(プロデューサーはわたしの)
美希(ハニーは美希の)
春香&美希((ダーリンなの))
…………
……
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:34:40.86 ID:0wQsmxez0
当日/6:00/水瀬邸
伊織「それじゃ、行ってらっしゃい」
やよい「伊織ちゃん。わたし、頑張ってくるねっ」ノシ
伊織「最高に可愛いわよやよい! 気合入れていきなさいっ!」
やよい「ほんと~に~、ありがと~~~」
伊織「はいはい。ふう……。さてと、それじゃ……」
携帯「ピプポ」
伊織「もしもし真? 起きてる?」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:38:37.67 ID:0wQsmxez0
真「ん……いま起きたところ。って雪歩!? なんでボクのベッドに!?」
雪歩「うーん……真ちゃん、あったかいよお……」
伊織「あんたたち一夜を共にしていたのね」
真「別に特別なことはないからっ! どうせ朝早いし、雪歩が泊まりたいって……」
伊織「ま、いいけどね。それより、
後三十分後に着くように車向かわせるから。急いで準備しなさいよね」
真「ええ!? まだ寝癖とか……、メイクとかしなきゃだし……
ってわあ? どこ触ってるのさ雪歩お!」
雪歩「ふぇ~、何も、聞こえませえ~~ん」スヤスヤ
伊織「とにかく! 光の速さで支度しなさい! じゃあね」
真「あ、ちょまっ、伊織~~~!」
携帯「ブチッ、ツーツー」
伊織「さてと……、わたしも荷物の確認くらいしとこうかしら?」
…………
……
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:43:38.35 ID:0wQsmxez0
9:10/ディ〇ニーシー
やよい「うわああ~! すごい人ですねっ! プロデューサー!」
P「そうだなあ。ま、ここはいつも混むからな。
何しろ全国から人が集まるアミューズメントだし」
やよい「わたし、こういう所来るの初めてなんです~」
P「そうだったのか……。んじゃあ、めいっぱい楽しまないとな!」
やよい「はいっ! よろしくお願いします! プロデューサー!」
やよい(はっ……忘れてましたぁ。きょ、今日のわたしは、オトナの……)
やよい「…………」
P「んー? どしたやよい?」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:48:58.07 ID:0wQsmxez0
やよい「ぷ、プロデューサー。今日のわたし……その、どうですか?」クルリ
P「ん……。そうだな。いつもと違う感じで、新鮮だし、とっても可愛いよ。
やよい。髪もおろしたんだな。似合ってる」
やよい「……///」
P「やよい~。早くファストパス取りに行くぞー」
やよい「あ、あの……。は、はいっ」
やよい(な、なんだろうこのキモチ……わたし嬉しい、のかな)ドキドキ
P「おーい、やーよーいー!」
やよい「はっはい! 待ってください~プロデューサ~!」トテテ
…………
……
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:53:21.84 ID:0wQsmxez0
9:20/ディ〇ニーシー
春香「ここを甘く見てたわ」ズゥーン
美希「人、多過ぎ……、なのぉ」ヘローン
春香「入口で張ってれば見つかると思ったんだけどねぇ……」
美希「やよいの髪は目立つからすぐ見つかるって言ったの、春香だよ~?」
春香「ええ~? ていうか、美希が中々起きないから準備が……」
美希「そ、それより、今はやよいとハニーを探すのが先だよ!」
春香「そう、だね。よーっし。歩きながら策を練ろうっ!」
美希「おーっなの! あっ! 〇ッキーだああ! わーいっ」ペタリ
春香「もお、美希ぃ~~~」
…………
……
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 22:58:37.93 ID:0wQsmxez0
9:20/ディ〇ニーシー
伊織「さてと、ようやく到着ね」
真「なんか朝から疲れちゃったよ……」
雪歩「ね、眠いですう~」
伊織「あんたたちシャキッとしなさいよね?
尾行するのよ? び・こ・う!」
真「わっ! あんまり大きい声で言わないでよ伊織。
注目浴びちゃったらどうするのさ」
伊織「ちゃんと変装してるんだし。大丈夫でしょ?
それより雪歩。あんた何よそのサングラスは」
雪歩「こ、これは響ちゃんが貸してくれて……」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:03:16.87 ID:0wQsmxez0
伊織「もうちょっと可愛く変装しなさいよ……
まあいいわ。それじゃあ行きましょうっ!」
真「ちょっと待ってよ。もうプロデューサーたち見えないけど、どこに行くのさ?」
伊織「伊織ちゃんに任せといてって言ったでしょ?」
携帯「brrr」
伊織「来たわ。ターゲットは“火山”の方へ移動中……。
なるほど、初っぱなからアレに乗るつもりね」
雪歩「アレって、何ですかあ?」
真「ていうか、いったい誰からのメールなのさ……」
伊織「“火山”と言えばひとつしかないでしょ!」
伊織「地球の、中心よ!」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:07:59.32 ID:0wQsmxez0
10:00/火山待機列
P「しっかし、人気アトラクションだけあって、密度がすごいな」
やよい「そーですねえ。でもでも、こういう時間も楽しいですよねっ! えへへ」
P「“恐怖の塔”のファストパスはとったし、ひとまずゆっくり並ぼうか」
やよい「そうですねっ!」
やよい(こういう時、デートなら何の話をするんだろう……?)
やよい(そ、そうだ……。他のひとを見て考えよう……)
カップル男「あんまりくっつくなよ~。歩きにくいだろ~?」
カップル女「え~? だってぇ、出来るだけ触れてたいんだも~ん」
カップル男「仕方ねーなあ。ったくう可愛いやつめ」
やよい「……///」プシュー
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:10:09.22 ID:0wQsmxez0
P「やよい? 顔赤いけど大丈夫か?」
やよい「ふぇっ!? だ、だいじょうぶですっ! はいっ」
やよい(どーしよう、あんなに近づけない……けど)
伊織『これはあんたに課せられた試練なの。
アイドルとして、今の自分に無い、新しい魅力を引きだすためのね』
やよい(もっと、頑張らなくっちゃ……。恥ずかしいけど……でも)
やよい「ぷ、プロデューサー?」
P「んー?」
やよい「そのう……腕を組んでも……いても、イイ、ですか?」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:18:16.55 ID:0wQsmxez0
P「なっ!? ど、どうしたんだ? 藪から棒に……」
やよい「 えと……、人も多いし、わたしドジだから転んじゃうかもだし……」
P「ま、まあ、やよいがそうしたいなら……」
やよい「…………」コクッ
ギュッ……
やよい「歩きにくく、ないですか?」
P「だ、大丈夫だ。やよいこそ、平気か?」
やよい「わ、わたしも。あ、列進みますね」
やよい(男の人の腕って、おおきいなあ。プロデューサー、迷惑じゃ、ないかなあ?)
P(ど、どうしたんだ今日のやよいは……。
服装といい、髪型といい、なんだかオトナっぽいぞ……)
やよい(ドキドキするけど……、これが、わたしの為になるんだよね、伊織ちゃん……)
…………
……
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:22:27.76 ID:0wQsmxez0
10:00/尾行中
伊織「やっぱりやよいは可愛いわねぇ」
真「ていうか、すっごく積極的……、少女漫画みたいで羨ましいかも」
雪歩「男の人とあんなにくっつくなんて、私には考えられないですう~」
真「いーなあ。ボクも女の子以外に好かれればなあ」
伊織「なら、今度プロデューサーに頼んでみればいいじゃない」
雪歩「そ、それはダメです! 真ちゃんは、みんなの王子様だからっ」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:25:42.29 ID:0wQsmxez0
真「ははは。気持ちは嬉しいけどさ雪歩……。ボクも本当はフリフリでキャピキャピの衣装を着て……」
伊織「まっこまっこりーん! でしょ? 恥ずかしいからやめなさいよねあれ」
真「なっ! ば、バカにするなよ伊織~!」ガシッ
伊織「ちょっ! 押さないでよ真っ! きゃ、きゃあ~~」
真「う、うわああ~~!」
雪歩「きゃ、真ちゃんと伊織ちゃんが……」
…………
……
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:29:21.34 ID:0wQsmxez0
春香「プロデューサーさん、見つからないねえ」
美希「…………」
春香「っていうか、ほんと人多過ぎるよねえ。ちょっと休憩しようよ美希」
美希「…………」
春香「美希? どおしたの?」
美希「ハニーの匂いがするの」
春香「ハニー? あ、ああハチミツ的な意味で? そういえばお菓子も美味しいんだよね……」
美希「違うの。ハニーの匂いが、あの山の方からするの」
春香「は、はい?」
美希「だから、ハニーがあっちに居るの! 行くよ! 春香」ガシッ
春香「え、え~~? 美希ィ、ちょっと引っ張らないでよ~、あーれー」クルクル
…………
……
76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:32:09.58 ID:0wQsmxez0
11:00/地球の中心
P「やっと乗れるなー」
やよい「ちょ、ちょっと怖いかもです……」ガクブル
P「ははは。大丈夫だよやよい。精一杯楽しもうな」
やよい「は、はい! プロデューサー」
船員「それでは、快適な旅を、祈っております」ペコリ
ギィィイイ……
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:35:22.67 ID:0wQsmxez0
P「久しぶりだなー。このコースター結構速いんだよ」
やよい「そ、そうなんですか? あ、安全バーとか壊れてたら……」
P「心配症だなやよいは。それより、ちゃんと両手挙げて「わああああ」ってやらないとダメだぞ?」
やよい「手を放すなんて、できませんよお」
P「やよい。右見てみな」
やよい「へ? 右……。な、なんですかこの大きな恐竜さんっ!? 火を吹いてます~」
P「あははは。やよいは怖がりだなあ」
やよい「ば、バカにしないで下さい~」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:39:13.64 ID:0wQsmxez0
11:00/コースター
伊織「とりあえず一つ後ろのに乗れたわね」
真「まあ、ここからじゃよく見えないし、素直にアトラクションを楽しもうか。ね? 雪歩?」
雪歩「な、なんかここ無性に掘りたくなりますね……」
真「雪歩……、危ないからちゃんと座ろうよ」
伊織「そろそろ速度も上がってきそうね」
雪歩「ま、真ちゃん。ちょっと私怖いかもしれないです~」ブルブル
真「ぼ、ボクも身震いしてきたよ……。手つなごうか。雪歩」
雪歩「う、うん。離れないように……」ギュッ
真「ほらっ。伊織も」サッ
伊織「ば、バカいってんじゃないわよっ! なんで伊織ちゃんがあんたと……」
真「まあまあ、そう言わずに……」
伊織「ちょ、ちょっとぉ……。ま、まあ? どうしてもって言うなら……。特別よ、トクベツ。ふんっ」
ガタン、ガタン……ゴゴゴゴゴオ
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:43:26.43 ID:0wQsmxez0
P「さあ、そろそろ本格的に加速するぞ。やよい平気か?」
やよい「は、はい……。心の準備はできてます!」グッ
P「一気に加速したら、すぐに落下するからな。タイミング逃すんじゃないぞ」
やよい「コワイけど……、がんばりますう!」
ゴゴゴゴゴ……ゴアアアアア
真「うわああ!! 速いよこれ~~!!」
雪歩「こ、怖すぎますよお真ちゃーーん」><
伊織「ちょ、あんまり手強く握らないでよお! そんなにされたら……」
真「あれ!? なんだか前が煙で見えないよ!?」
雪歩「も、もしかして……」
伊織「落下するわよっ! 真! 雪歩!」
真&雪歩&伊織「イヤアアアアアアア!!!」
P&やよい「ウーーーワッホーーーイ!!!!」
…………
……
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:48:28.22 ID:0wQsmxez0
11:30/火山出口付近
美希「あっ! 春香。ハニー達出てきたの」
春香「うわあ……ほんとに居たよ」
美希「ちょっと見て春香! あれっ!」
春香「や、やよいとプロデューサーさんが……」
美希&春香「「腕を組んで歩いてる!」
美希「……」
春香「……」
春香「とりあえず、後を追いましょう」
美希「がってんしょうち、なの」
…………
……
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:52:26.00 ID:0wQsmxez0
11:40/喫茶「300エーカーの森」
伊織「とりあえず休憩と、早めの昼食ってとこかしら?」
真「そうみたいだね。でもやよい、楽しそう」
雪歩「真ちゃん。この、はちみつシュークリーム美味しそうだよ~」
伊織「私たちも、お昼にしましょう。真、メニューは?」
真「えーと、これだ。うわあ! 可愛いのが多いねここ」
雪歩「あ……これも美味しそうだなあ。うーん、迷っちゃうよお」
伊織「ゆっくり決めなさいよ雪歩。それより、やよいとプロデューサーは何を食べてるのかしら?」
真「んー。ここからじゃあよく見えな……!?」
伊織「……どうしたのよ真。ヘンな顔して……」
真「伊織! みて! あれ見てよっ!」ビシィ
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:56:17.85 ID:0wQsmxez0
P「あー。『森のBLTサンド』は美味いなあ……。やよいのはどうだ?」
やよい「はいっ! とっても美味しいです! もう、こんな贅沢しちゃっていいのかなって……」
やよい「…………」
P「ん? どうしたやよい? 俺の顔に何かついてるか?」
やよい(プロデューサーのほっぺ、マヨネーズがついてる……)
やよい(こういう時、“オトナ”だったらどうするんだろ……?)
やよい「……」
P「や、やよい?」
やよい「ぷ、プロデューサー」
P「な、何だ?」
やよい「じっとしてて……下さい」スッ
P「!?」
やよい「……ペロリ」
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/25(水) 23:59:53.23 ID:0wQsmxez0
伊織「ちょっ! ラブラブかっ!」
真「思わずツッコミを入れちゃったんだね……」
雪歩「やよいちゃんって、実は大胆なんですねえ」
真「こっちまでドキドキしちゃうね。あーいうの見せられると」
伊織(やよい……。可愛すぎるわねやっぱり)
真「これが、巷で最近話題の“ギャップ萌え”ってやつなのかな」
雪歩「でも真ちゃんは男の子の格好が素敵だと思うなあ」
真「ボクもふりふりファッションしたいよ~」><
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:02:45.63 ID:i64eWaWB0
P「…………」
やよい「……///」
P「やよい。今日、なんかいつもと違うな」
やよい「へっ!? そ、そんなことないですよう」アセアセ
P(思わずときめいてしまった……。いつもの子供っぽさが抜けて……何か、可愛い……)
やよい「ぷ、プロデューサー?」
P「あ、ああ。もう少し休憩したら、出ようか……」
やよい「そ、そうですね……」
…………
……
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:04:51.01 ID:i64eWaWB0
同時刻/300エーカーの森・死角
美希「は、春香ぁ~~。お、落ち着くの」ガシイ
春香「カレのほっぺについたものをぺろり、は私がプロデューサーにやってあげたかったのにぃ……」
美希「み、見つかっちゃうってば。春香あ~」
春香「あ! お店出ていくよ美希。早く追いかけよっ!」
美希「春香が熱くなってきちゃったの……」
…………
……
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:07:26.51 ID:i64eWaWB0
4:20/恐怖の塔
P「次はここな。ファストパスとってあるし、今度は並ばずに済むぞ」
やよい「なんだか特別な気がして、良いですね」
P「そうだな。足元、気をつけて進めよ。アイドルに怪我されちゃ困るしな」
やよい「は、春香さんじゃないんだから、そんなに転びませんよう」
のワの「!?」
やよい「わっ! わわ」ヨロッ
P「おっと」ガシッ
P「ほら言わんこっちゃない。大丈夫か? やよい」
やよい「……///」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:09:32.49 ID:i64eWaWB0
P「やよい?」
やよい(手、握られちゃった……。恥ずかしいかも……)
やよい「だ、大丈夫です! すみません支えてもらっちゃって」
P「いや、それは構わないんだが……その、手……放さないのか……?」
やよい(オトナだったら……ここは?)
やよい「その……、手つないでもらっても、いいですか?」
P「……///」
やよい(も、もう何がオトナでなにがコドモなのか分かんない)
P(こ、これは……。いったいやよいに何が起きてるんだ…!)
P「と、とにかく、先に進もうか」
やよい「は、はいい!」
ギュッ……
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:12:14.75 ID:i64eWaWB0
真「ありゃ~、繋いでますね。あれは」
雪歩「なんだか、やよいちゃんが乙女です」
伊織「これは予想の範疇を超えてきてるわね」
真「ていうか伊織。ボクたちのファストパスいつ用意したの? 自然にプロデューサーの尾行続けてるけどさ」
伊織「手を回したに決まってるじゃない」
真「水瀬財閥カッケーっすね!」
雪歩「真ちゃーん。私たちも手つなごう?」
真「そうだね。中は暗いし、転んじゃったら大変だからね。ほら、伊織も……」
伊織「ま、またなの!? し、仕方ないわねぇ……」
ギュギュッ……
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:15:05.33 ID:i64eWaWB0
春香「こ、今度は手を繋いでますよ。美希さん……」
美希「これは、帰ったらお仕置き決定なの……」
春香「それにしても、ここの中は暗いねえ……。美希、転ばないようにね?」
美希「春香にそれを言われてちゃ、おしまいなの」
春香「ぐぬぬ。あ、それにしてもファストパス、取っておいて良かったね」
美希「美希はね。ハニーのことならなんでも分かるの~」
春香「あはは。流石に嗅覚で居場所察知はできないと思うけど……てわわっ!?」ステン
美希「あーあ。だから言ったのに……春香ってほんとドジっ娘なの」
春香「いたたた……。災難続きだよう~」><
美希「ほら。つかまって? 手つないで歩こ」
春香「美希……うん。ありがと」
ギュ……
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:18:51.48 ID:i64eWaWB0
P「このアトラクションは資産家の大豪邸のエレベーターが舞台なんだよな」
P「だから垂直落下に耐えられるかどうか。俺が前に乗った時は結構内蔵にキちゃったからな」
やよい「怖いです……怖いですけど」
やよい(プロデューサーに手を握ってもらうと、安心する……どうしてだろ)
エレベーターガール「シートベルトを、お締めください」
ガチャ……
P「さ、そろそろ動き出すぞ……」
やよい「はいっプロデューサー!」
104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:21:32.53 ID:i64eWaWB0
伊織「わたしこれ苦手なのよ……」
真「へえ。意外だなあ。絶叫系はめっぽう強いのかなあと思ってた」
雪歩「真ちゃーん。暗くて怖いよお」><ブルブル
真「あはは。雪歩はこわがりだなあ」
伊織「それより、やよいとプロデューサーはどう?」
真「やよい達は最前列に座ってるから……ここからじゃ良く見えないなあ」
伊織「まあ、い、いいわ。耐えましょ」
『のワのウトゥンドゥの呪い』
P「うわーーーーーーー!!!」
やよい「ζ*’ヮ’)ζきゃあー!」
伊織「イヤアアアアアアア!!!」
真「マッコマッコリーーーーン!!」
雪歩「ミスドリラアアアアア!!!」
ゆとり「ナノーーーーーーーーーーー!!」
のワの「…………」
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:25:31.27 ID:i64eWaWB0
15:20/とあるベンチ
P「はあ~~。やっぱりアレはこたえるなあ」
やよい「わ、わたしも足に力がはいりません~」
P「ちょっとそこのベンチで休憩しようか。お! ソフトクリーム売ってるな。ちょっと買ってくるよ」
やよい「あっ……行っちゃった」
やよい「…………」
やよい(結局プロデューサーに甘えっぱなしだなあ。オトナっぽいところ、出せてるのかな?)
やよい「…………」
やよい(何か、ドキドキしてる。どうしちゃったんだろ……)
やよい「…………」
やよい(何からなにまで……、プロデューサーさんに迷惑かけちゃってるよね)
やよい「…………」
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:28:26.03 ID:i64eWaWB0
P「お待たせ。やよい。ほら」スッ
やよい「あっ……。あの、そふとくりーむ、プロデューサーが食べてください」
P「え? いや、俺はお腹いっぱいだし。やよいのために買ってきたんだしさ……」
やよい「わたしは、オトナ……ですから……」
P「や、やよい?」
やよい「ご、ごめんなさい。何でもないんです」
P「そっか」ハムッ
P「おー。これ美味しいなあ。これ、バニラと……アンズが混ざってるのかな? すげーウマイ」
やよい「…………」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:31:39.27 ID:i64eWaWB0
P「是非食べて欲しいなー。やよい、食べたくないか?」
やよい「ず、ずるいですプロデューサー」
P「あはは。ごめん。でもさ、俺はやよいに食べて欲しいんだよ」スッ
やよい「は、恥ずかしいので……その、あまり見ないでください」///
P「はいはい。んじゃ、落とすなよ?」
やよい「……ペロ」
やよい「あまいです……。とっても、美味しいです」
P「だろ? 食べてよかっただろ? それよりもさ、夜になったら、中心の海でショーがあるんだ。よかったら観ないか?」
やよい「はいっ! すっごく楽しみです!」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:34:04.81 ID:i64eWaWB0
真「ついに間接ちゅーしちゃったよ……」
伊織「あくまでも自然なカンジね」
雪歩「き、昨日の晩わたし真ちゃんと……」///
伊織「雪歩は相変わらずなのね……」
真「そ、それよりもさ。水上ショーだって! ボクたちも観ようよ! きっとキレイだと思う」
雪歩「幻想的で素敵だと思いますう」
伊織「ま、やよい達も観るでしょうし、変わらず近くで張ってればいいでしょう」
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:38:37.98 ID:i64eWaWB0
真「でも、この調子だと一線を超えちゃうんじゃないかな?」
伊織「い、一線って? まさか」
雪歩「き、キスですかあ?」
真「幻想的風景に魅せられて、二人はアイドルとプロデューサーという立場を顧みずに、禁断の領域へと足を踏み入れ……」
伊織「なんて事になったら流石にマズイわね。それは阻止しないと」
雪歩「じゃあ、万が一が起きてしまったら、穴掘ってでも止めてみせますう」グッ
真&伊織「「相変わらず(だ)ね、雪歩は……」」
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:40:54.30 ID:i64eWaWB0
美希「ミキもう疲れちゃったの……」
春香「わたしも呪い過ぎて体力が……」
美希「ハニー、ミキの元に帰ってきて~」
春香「諦めちゃだめよ美希。それより、今日の夜の水上ショーが山場ね。ロマンチックな雰囲気に当てられて、もしかしたらチューとかしちゃうかも……」
美希「そ、それはダメなの! ハニーのファーストキスはミキの……」
春香「いや……、プロデューサーさんも学生時代に一回ぐらいは……」
美希「……」
春香「……」
美希&春香「「あるのかなあ?」」
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:42:38.61 ID:i64eWaWB0
20:00/秘密の場所
やよい「プロデューサー? そろそろショー始まっちゃいますよ?」
P「わかってる。実はさ、あのショー観るための穴場があるんだ」
やよい「穴場、ですか?」キョトン
P「そう。すごくキレイに見えるんだ」
やよい「それは、楽しみですねっ」
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:44:23.84 ID:i64eWaWB0
真「ちょっと。プロデューサー達、ショー見ないのかなあ?」
伊織「いえ、違うわ。多分、二人きりになれる場所を探しているのよ!」
雪歩「ふ、二人きりですか~」アセアセ
真「そ、そうなのかな……。ボクたちもショーみたいけど、とにかく追いかけるしかないよね!」
伊織「雪歩! 置いていくわよっ!」
雪歩「ま、待ってください~」><
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:46:27.38 ID:i64eWaWB0
春香「美希……。プロデューサーさんとやよい、人気のないところに……」
美希「ま、マズイの……。どうしよ~春香あ」
春香「ぐぬぬ……。とりあえず追いかけるしかないわね。もしイイムードになった時は、身体を張ってでも阻止するしか……」
美希「ハニー……美希のこと忘れてないよね?」
春香&美希「ゼッタイ、ユルサナイ!」ゴゴゴゴゴゴ
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 00:48:51.90 ID:i64eWaWB0
P「どうだ? やよい」
やよい「とってもよく、見えますね」
中央に広がる、暗い海に、ショーの始まりを告げる陽気な声が響く。楽しげに、水上で踊る〇ッキーさんに、わたしは釘づけになってしまった。
「ようこそ! この素晴らしい、魔法の世界へ!」
P「このショーはな、やよい。相容れない存在である、“水の精”と“火の精”が出会い、恋に落ちるストーリーなんだ」
やよい「あい、いれない存在?」
P「要は、決して一つになることの無い二人が、結ばれる話ってとこかな?」
やよい「ロマンチックです」
幻想的なオーケストラと共に、何本もの水の線が弧を描いて、水の精の登場を演出する。
こうしてプロデューサーと並んで、ショーを見ていると、今、こうして二人きりで居るコトが、すごく特別な気がして、少し気恥ずかしかった。
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 01:05:40.44 ID:i64eWaWB0
P「…………」
やよい「…………」
P「なあ? やよい」
やよい「はい。なんですか? プロデューサー」
名前を呼ばれて、プロデューサーの顔を見あげてみる。淡いブルーのライトに照らされた、穏やかな顔。
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 01:08:09.02 ID:i64eWaWB0
P「今日のやよいさ。やっぱりどこか変じゃなかったか?」
やよい「えっ!? そ、そんなこと……ないですよぅ」
P「俺の目はごまかせないぞ。やよい。なんたって、プロデューサーなんだからな」
やよい「……っ」
いつも、プロデューサーはわたしや他のみんなを、ちゃんと見てくれる。きっと、たぶん、ずっと気づいてたんだろうな。
123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 01:11:42.53 ID:i64eWaWB0
P「いつもは子供っぽくて、元気なやよいが、今日はやけに大人びててさ。そりゃその……、可愛いとは思うんだが。何か無理しているように見えちゃってな」
やよい「……いつごろから、バレてたんですかあ?」
P「まあ、最初から少し変だな、とは思ったけど。さっきソフト買ってきた時にさ」
やよい「ご、ごめんなさいプロデューサー」
結局、わたしは空回りしてばかりで、プロデューサーに迷惑ばかりかけちゃったと思う。
でも、プロデューサーは優しいから、ちょっと変なわたしでも、自然に受け入れてくれたんだ。
P「何か、思うところがあったのか? よかったら、話してほしい」
暖かさをたたえた目をして、わたしの頭をプロデューサーが撫でた。
くすぐったいような、それでも気持ちよくて、胸がどきどきと高鳴る。
やよい「実は……伊織ちゃんが……」
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 01:14:38.68 ID:i64eWaWB0
雪歩「ま、真ちゃん! 火の精が出てきましたよ~! ん~、とってもキレイですねぇ」ポワーン
真「す、すごいや……。み、見て! 少しづつ花火が上がってくよ」
雪歩「真ちゃんとこんなショーが見られて、わたし、幸せです~」ピトッ
真「ちょ、ちょっと雪歩……。あまり近づかないでよ。は、恥ずかしいよ」デレデレ
伊織「ほんと幻想的よね~……ってちがーう! あんたたち、自分たちの本分を忘れたわけ!? やよいとプロデューサーの……」
真「って伊織っ! ちょ、やよいとプロデューサーが……」
伊織「へっ? ま、まさか……」チラリ
真「…………」
伊織「…………」
真&伊織「まずい、かも?」
雪歩「真ちゃ~ん」スリスリ
125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 01:16:56.34 ID:i64eWaWB0
春香「うっわーー!! 素敵だねぇ美希!」パアア
美希「すっごいの! 美希、こんなにキレイなの見たことないの!」キュン
春香「火って……、すごく美しいものなんだね……」トローン
美希「水と火の、ちょーわなの……。美希、心が震えてる……」
春香「…………」
美希「…………」
春香(はっ! ショーに見とれてる場合じゃなかった! プロデューサー達は……)チラリ
美希(……。ハニーの、隣で見たかったなあ……)チラリ
のワの「!?!?!?」
みき「!?!?!?!?」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 01:19:25.88 ID:i64eWaWB0
プロデューサーにわたしの変化の理由を話している間にも、ショーはどんどんクライマックスに近づいていた。
不思議な火の灯りと、海と風だけが知っている水の力が、混ざり合って、まるで魔法の世界に誘われているようだった。
P「なるほどな。伊織の入れ知恵だったわけか……まったくあいつは……」
やよい「でもでも! 伊織ちゃんはわたしのことを思って……。わたし、子供っぽいし……。元気だけが取りえだから、新しい自分を見つけるために……」
P「そういう事か。今日は服装もそうだし、髪も下ろしてるもんな。それに……、いろいろ、あったし」
やよい「あ、あれはそのっ! オトナの魅力って……わたし、どんなのかわからなくって……プロデューサーに迷惑をかけちゃって……」
P「いや、別に責めてるわけじゃないさ。それにやよい。俺も嬉しかったよ。普段と違う、新しいやよいの一面が見れてさ」
やよい「ほ、ほんとですかあ? それは……わたしも嬉しいです」
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 01:21:37.04 ID:i64eWaWB0
クライマックスへ向かう、音楽と魔法の世界。
それと、プロデューサーの言葉に、胸がふるえる。鼓動が速くなって、足に力が入らなくなってしまう。
P「でもな、やよい。無理しなくて、いいんだ」
やよい「わたし、ムリなんて……」
P「確かに、アイドルとしての自分を磨きたいって気持ちはわかるよ。家族のために頑張っているやよいを見てるとさ、ほんとうに尊敬する」
やよい「尊敬されるような、こと……」
P「だけど、やよいの魅力はやっぱり、“人を元気にする力”だと思うんだよ」
129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 01:23:56.51 ID:i64eWaWB0
やよい「人を、元気に……?」
P「ああ。事務所に届くファンレター、読んでるだろ? やよいのファンはみんな、たくさんの元気をくれるやよいに感謝してる。もちろん俺だって、やよいと居ると、楽しくなるんだ」
やよい「わたしが、みんなを楽しくさせる?」
P「ゲンキを与えられる人なんだ。もちろん、オトナなやよいも可愛いと思うんだ。でも、やっぱり俺が好きなやよいは……」
言葉を耳にするのと同時に、よろめくようにわたしは、プロデューサーにしがみついた。
大きな身体に、包み込まれて、優しい暖かさを感じる。
P「やよい? 大丈夫か?」
やよい「ご、ごめんなさい……わたし……」
頭では、わかっているのに。離れなくちゃいけない事、わかっているのに。
何かを求めるように、わたしはプロデューサーにすがり付いていた。
141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 02:15:39.57 ID:i64eWaWB0
プロデューサーが、大きな手で、もう一度わたしの頭を撫でた。
たくさんの光が弾ける海で、水と火の精がゆっくりとその距離を縮めている。
やよい「プロデューサー……その……」
P「やよい?」
やよい「…………///」ググッ
P「なっ……」
ああ。わたしは何をしているんだろう?
ショーは最後の盛り上がりを迎えて、高揚感あふれる音楽と、いくつもの花火が舞い上がる。
真っ暗だった空は途端に彩られて、淡く、あわく、光を受け入れる。
やよい「ぷ、ろ、でゅーさー……す……」
言ってはならない言葉が、わたしの口から漏れるのと同時に、祝福するように、火山の噴火のように、花火が上がる音が聞こえた。
目を閉じていても、何色もの光の線が空へとのびてゆくのが見えるようだった。
ショーが……終わる。
142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 02:18:23.13 ID:i64eWaWB0
その時、聞きなれた声がした。
伊織「そ、それはダメーーー!!!」バタバタ
美希「ハニーは、ミキの、なのーーーー!!!」ダダダ
伊織「きゃうっ!?」ゴッツン
美希「やんっ!」ガッチン
春香「み、美希~。だ、大丈夫!? って……あれ?」
真「い、伊織~! すごい音したよ? あの……大丈夫ですか? って……」
雪歩「ま、真ちゃん。伊織ちゃん。待ってよ~」><
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 02:21:09.66 ID:i64eWaWB0
伊織「…………」ジーッ
美希「……なの?」ジーッ
のワの「……」
真「……」
雪歩「あれ? 春香ちゃんに美希ちゃん。奇遇だね~」
伊織「な、なんであんたが居るのよ美希!」
美希「あ~! でこちゃんっ! もう、痛いよお~」サスリ
真「これはいったい……?」
のワの「ど、どういうことなの……?」
P「お、おまえら……何、してるんだ……?」
…………
……
145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 02:23:47.80 ID:i64eWaWB0
21:30/P車内
P「荷物、忘れ物ないかー?」
春香「はいっ! ばっちりおっけーです。プロデューサーさん!」
真「すみません……、僕たちまで乗せてもらっちゃって」
雪歩「でも、ちょっと狭いかもです……」
伊織「まったくよ……、どうしてこのスーパーアイドル伊織ちゃんが、こんな車ですし詰めにされなきゃいけないのよ」
美希「でこちゃんうるさいの。美希もう眠たいから寝るね~」スピー
伊織「あ、ちょっと! 寄りかかって来ないでよ暑苦しいじゃない……もうっ!」
146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 02:26:28.79 ID:i64eWaWB0
やよい「あはは。でも、ほんとうに驚きましたー。みなさんも来ていたなんて」
春香「そ、そうだよね~。たまたま美希と行こうって約束してて……」
真「ほ、ホントにね~。ボクと雪歩は伊織に誘われただけで……」
伊織「ちょっと! わたしが悪いみたいな言い草じゃないのっ!」
雪歩「でも……とっても満足な一日でした~」ポワン
真「ん? 雪歩も寝るの? じゃあボクも寝かせてもらおうかなあ……」
P「みんな寝て構わないぞ……。プロデューサーとして、責任もって送り届けてやるからな」
春香「さ、さすがにそれは申し訳ないというか……」
P「春香も、気にするなよ。仕事のために、パワー蓄えておいてくれな」
春香「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて……」クタッ
ブロロロロ…………
148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 02:29:06.43 ID:i64eWaWB0
美希「……」スヤスヤナノナノ
伊織「……」スウスウ……ニヒヒッ
真「……」マッコマッコ……リーン
雪歩「……」アナ……ウマッテ…スー
春香「……」ヒザマズキ……ナサイ
P「見事に全員寝ちまったな」
やよい「皆さん、お疲れみたいでしたから」
P「やよいも起きてなくていいんだぞ?」
やよい「そ、そんなわけにはいきませんっ!」
P「ははは。やよいは本当に元気だなあ」
150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 02:31:21.38 ID:i64eWaWB0
やよい「当然です! うっうー! 明日からまた、頑張りますよ~!」
P「やよい、声のトーン、落としなさい」
やよい「はうっ! す、すみませんプロデューサー」ヒソヒソ
P「そこまで小声じゃなくても大丈夫だよ」
やよい「えへへ。すみません」
P「……」
やよい「プロデューサー?」
P「なんだ? やよい」
『でーと、してくれますか?』
FIN
151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/26(木) 02:34:27.24 ID:i64eWaWB0
長くなってしまいましたが以上で終わりです。
読んでいただいた方、本当にありがとうございました。
前回の真美SSに続いて、リクエストのあったやよいSSを書いてみました。
もし、何か希望を言ってくだされば、検討しますの、どしどし意見を下さいませζ*’ヮ’)ζ
それでは、ありがとうございました。