1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 19:45:48 ID:LB3zUO+qP
響「なんか、もう疲れちゃったんだ……」
響「別に仕事は全然辛くない……自分、完璧だし」
響「でも、みんなが自分のこと……ぐすっ」
響「……こうやって話してても、誰も自分のことなんて気にしてない」
響「確かに自分はなんでもできるけど……」
響「ずっと一人なんて……やだ、嫌なのに」
響「最近、いろんな噂を耳にするようになって」
響「例えばおとといは……」
――
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 19:51:07 ID:LB3zUO+qP
ガチャッ
響「はいさー……ん?」
千早「我那覇さんはやっぱり……」
春香「……私もそう思う」
千早「そうでしょう?」
響(自分の話? どうしよう……盗み聞きは良くないけど……)
春香「つけない方がいいと思うんだよね」
千早「なんていうか……自分からわざわざする必要なんて」
春香「絶対つけない方がいいのに、もったいないよね……」
響(な、なんの話をしてるんだ……?)
春香「昨日お仕事一緒だったんだけどしゃべってるときもね、気になっちゃって」
千早「私も。どうしてなのかしら……わざわざあんな」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 19:57:22 ID:LB3zUO+qP
響(えっ?話してるとき……ま、まさかうちなーぐちが出ちゃってたのかっ!?)
春香「だぞーだぞー!って言いながら髪の毛触ったりして」
千早「でも本人はお気に入りみたいだし……」
響(や、やっぱり語尾っていうかうちなーぐちが……?)
春香「ぶっちゃけちゃうと邪魔だよね!」
千早「正直私もそう思ってたわ」
響(う、嘘だ……あの二人がそんなふうに思ってたなんて……)
春香「自分じゃ気がつかないのかな?」
千早「そういうものでしょう、案外人に言われて気がつくものよ」
響(そ、そんな……自分は……)
響「う、うぅ……」
響(とにかく今は事務所に入れないぞ……)
バタン
春香「え? ひ、響ちゃん?」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:00:23 ID:LB3zUO+qP
千早「確かに今のは我那覇さんの声に聞こえたけど……」
千早「……誰もいないみたいね」
春香「あれぇ? 気のせいかなぁ……」
千早「きっと話をしてたから、空耳よ」
春香「あ、うん、そうかも」
千早「それで、話を戻すけれど……実は私一度見たの」
春香「えっ!? も、もしかして……直接?」
千早「えぇ、それはもう……素晴らしかったわ」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:05:17 ID:LB3zUO+qP
春香「いいなぁ……私も見たい!!」
千早「見たことないの?」
春香「うん、写真で一回みただけで」
千早「だったら直接頼めばいいじゃない」
春香「えー! なんか恥ずかしいっていうかさ」
千早「まあ私も言えないからこうしているんだけれど……」
春香「だよねぇ、でも見たいなぁ」
春香「リボン外した響ちゃん!!」
千早「あの可愛さはなんていうか……卑怯よね」
春香「ホントホント!」
千早「ただでさえスタイルもいいのに……うらやましいわ」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:10:36 ID:LB3zUO+qP
春香「あ、でもねでもね! リボンをつけた響ちゃん、あれはあれで可愛いんだよ!」
千早「わかる、わかるわ……」
春香「これ昨日買ったんだけど、どうかな? って目をキラキラさせて聞いてきたりしてさ!」
春香「似合ってるよ! そう言うと満更でもなさそうに照れるのがまた可愛い!!」
千早「なんていうのかしら、あの感じは抱きしめたくなるわね」
春香「でもやっぱり、外した姿も見たい!!」
千早「本人はその可愛さに気が付いてないっていうお決まりのパターンだものね」
春香「それに比べて私はリボン外したら何も残らないし……」
千早「確かにそうね」
春香「ちょ、千早ちゃん!? 早くない!? ねぇ!」
千早「ならこの際春香もリボンを外せばいいのよ。我那覇さんに話しかけやすくなるし」
春香「そ、それは勘弁して!!」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:14:15 ID:LB3zUO+qP
――
響「うちなーぐちは確かにわかりずらいけど……皆そんなに気にしてたなんて」
響「でも、春香たちが言ってることもわかる気がする……」
響「自分のことばっかり考えて、自分だけわかることばを使って……」
響「思い出したらまた悲しくなってきたぞ……」
響「それだけじゃない……昨日だって……」
――
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:17:50 ID:LB3zUO+qP
伊織「あら響おはよう」
響「おっ、おはよう伊織! それにやよいも!」
やよい「あ、響さんおはようございまーす!」
響「そういえば二人はいつも一緒だな~」
伊織「え? たまたま、偶然よ」
やよい「伊織ちゃんとはよく会うんですよ~」
響「いいな~うちは遠いから、なかなか他の皆と途中で会えないし」
やよい「それに、伊織ちゃんとは仲良しですから!」
伊織「ちょ、ちょっとやよい……」
響「あはは、それはすっごくわかるぞ! やよいおり、って感じだな!」
伊織「それに比べて、響はいつも一人よね」
響「え?」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:21:16 ID:LB3zUO+qP
やよい「あ、確かにそうですね~」
響「そ、そうかな……」
響「で、でもほら、事務所にくれば皆と会えるし!」
やよい「でも、響さんは一人でいいと思いますよ!」
響「えっ……」
伊織「そうね、私もそう思うわ」
響「……」
響(ふ、二人ともそんな風に……?)
伊織「なんていうか、困らないものね」
やよい「困らない?」
伊織「ほら、別に響は一人でも」
響(自分はいない方がいいってこと……か? そんなこと……)
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:25:38 ID:LB3zUO+qP
響「そ、そんなこと!」
やよい「でも、そんな感じしますよね!」
響「や、やよい……まで……」
響(二人は……仲がいいから……)
響(それに比べて……自分は、こうやって一人で……)
やよい「あ、それに……」
響「ご、ごめん自分ちょっと……」
響(まさかこの二人が……いやだ……!)
ダッ
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:33:00 ID:LB3zUO+qP
やよい「あ、響さん!」
伊織「トイレかしら?」
やよい「かなぁ? でも、うらやましいよね!」
伊織「まあ確かに、あそこまでなんでも一人でこなせるっていうのは、私も認めざるを得ないわね」
やよい「こなせる?」
伊織「困らない、って言ったでしょ? 響はいろんなことが、一人でもできるのよ」
やよい「そっか! でもでも、響さんが私達の中に入ったらもーっと楽しくなるかなって!」
伊織「そうね、それはもちろんだけど、私だって一人でも問題はないわ」
やよい「伊織ちゃんは、一人の方がいいの?」
伊織「え?」
やよい「私は、響さんや他の皆に比べてあんまりダンスとか得意じゃないし、
できれば伊織ちゃんや響さんと、一緒に頑張れたらなーって。それに一人より皆の方が楽しいでしょ?」
伊織「そ、それは……もちろんよ、当たり前じゃない」
やよい「あ、そうだよね!」
伊織「ただ一人でできるってだけで、私も、響も、皆仲間で頑張るのが一番なんだから」
やよい「うん! それじゃ、今日も頑張らなきゃ!!」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:36:20 ID:LB3zUO+qP
—–
響「別に自分は……一人でいたいわけじゃなくて」
響「仲間がいないってわけでもなくて……でも」
響「だんだん、自分が嫌われてるんじゃないかって……」
響「……自分、一人の方がいいのかな」
響「……そうだ、今朝も」
——
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:41:48 ID:LB3zUO+qP
真「えっと、次の歌の打ち合わせだよね」
響「うん、プロデューサーがしておいた方がいい、って」
真「オッケーそれじゃ……」
美希「おはようなのー!」
雪歩「おはよう、あ、真ちゃんと響ちゃん」
響「あ、美希と雪歩か! はいさーい!」
美希「打ち合わせ?」
真「うん、二人でダンスを踊ることになってさ」
雪歩「それじゃ美希ちゃん、あっちで何かしてようか」
美希「あ、うん」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:46:47 ID:LB3zUO+qP
真「そしたらここは……」
響「うーん、こうした方がよくないか?」
美希「ーーでね」
響(美希の声?)
美希「……くさいの」
響「えっ?」
真「どうかした?」
響「あ、いや、ごめんなんでもない」
響(なんか声が大きいからびっくりしちゃったけど、何の話してるんだろ?)
雪歩「確かに……私もそう思う」
美希「本当嫌なの!」
雪歩「でも、我慢しなきゃ」
美希「……響」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:48:08 ID:h9Muo5x00
響はいいにおいだよ!!
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:50:11 ID:LB3zUO+qP
響「え?」
真「響?」
響「あ、あははごめん! ちょっと美希たちの会話がさ」
真「あ、なるほどね。ごめん、ここからだと僕には聞こえづらくて」
響「自分もたまに聞こえるだけだからついびっくりして! えっとなんだっけ?」
響(自分のこと呼ばれた気がしたけど……気のせい、だよね?)
美希「それがね、響、何て言ったと思う?」
雪歩「え、響ちゃん?」
響(な、何?)
美希「……なの」
真「僕としては、ここで見せ場を作りたいから……」
響(き、聞こえなかったぞ……)
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:55:40 ID:LB3zUO+qP
雪歩「え、えぇえ!?」
美希「あはっ、雪歩驚き過ぎなの!」
雪歩「でもそれって、なんていうか……」
美希「ズバリ、くさいの」
響(な、何?)
美希「まさかあんな……ミキもびっくりしちゃった」
響(な、なんの話……)
雪歩「でも確かにそれは……くさい、かも……」
響(ゆ、雪歩まで!? な、何が……)
美希「なんていうか、流石響ってカンジ」
響「……」
真「ねぇ、響はどう思う? 響?」
響「え? あ、ううんいいと思うぞ!」
響(き、きっと気のせい……こっちに集中しなきゃ……)
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 20:59:38 ID:LB3zUO+qP
響(でも、なんで自分が……)
美希「ミキが思うのは、ほら、響ってペットを飼ってるでしょ? だからだと思うの」
雪歩「ペット?」
美希「そうじゃなきゃ、あんな風にならないでしょ? 今だから言うけど、すっごくくさかったと思わない?」
雪歩「……ま、まあね。ふふっ」
響(臭い……どうして)
響(別に、ペットの皆といるからって……臭くなんて……ない、はず)
響(……雪歩も、そういう風に思ってたのか)
雪歩「でも、響ちゃんらしいかな」
美希「ミキもそう思う!ミキにはとてもじゃないけどできないっていうか」
雪歩「私がそうだったらって考えたら……」
雪歩「とてもじゃないけど……もう顔、あわせられないかも……」
響「なっ……!」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:05:41 ID:LB3zUO+qP
真「ちょっと響、さっきから変だよ?」
響「あ、いや……」
美希「雪歩は大丈夫だよ!全然」
雪歩「う、うん」
響「……み、美希」スッ
響(自分は……)
真「え? ちょ、ちょっと響、どこ行くの?」
美希「あれ……なんか臭いの」
雪歩「え? あ、本当だ……」タタッ
響「じ、自分……」
美希「あれ? 響、どうしたの?」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:09:12 ID:LB3zUO+qP
雪歩「あちち、忘れてた……ごめんね……あれ? 響ちゃん?」
響「……さっきの、ホントなのか?」
雪歩「さっきの……? も、もしかして聞こえてた!?」
美希「本当っていうか、響の話でしょ?」
響「あ、う……」
雪歩「ひ、響ちゃん?」
響「う、うわあああああん!!」ダッ
美希「え? 響?」
真「ど、どうしたんだよ響!」
バタン
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:14:46 ID:LB3zUO+qP
真「行っちゃった……美希、雪歩、何かした?」
雪歩「えっ!? な、何も……でも、もしかしたら……」
美希「響は恥ずかしかったのかも。でも、まさか聞こえてるなんて思わなかったし」
雪歩「これ、一応さっき沸かしてたお茶、よかったら」
美希「さっき臭かったのってこれ?」
雪歩「う、うん……これはちゃんと煎れ直したけど、沸かしっぱなしにしちゃってて……」
真「それで、何の話をしてたの?」
雪歩「えっとね、この前美希ちゃんがグラビアの撮影があったんだって」
美希「真クンも知ってると思うよ、カメラマンで、あのサングラスのおじさんなの」
真「あー……あの、結構厳しいおじさんでしょ? 面倒だよね……」
美希「そうなの、ミキあのおじさん相手だといっつもめんどくさいなーって思ってて」
雪歩「私もあの人は苦手なんだよね……」
美希「それでこの前ね、響と一緒に撮影に行ったの」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:18:45 ID:LB3zUO+qP
美希「相変わらずで、ミキ嫌だったけど確かに写真はうまいから何も言わなかった、でも」
雪歩「響ちゃんがね、カメラマンさんに言ったんだって」
響『もー!そんなにごちゃごちゃ言われたってわかんない!』
響『なんていうか、ありのままの自分たちを写して欲しいぞ! だって、自分このままで十分なんだから!』
響『それに、カメラマンさんもプロなんでしょ? なら、適当に撮ってみてよ!!』
真「……響が?」
美希「うん、ミキもびっくりしちゃったの。今まで何度かカメラマンさんに文句を言ったことはあるけど」
美希「あそこまで”くさい”台詞を言えるってのはすごいなって」
雪歩「私つい笑っちゃったけど、実際に言うのってすごく大変そうだよね」
真「確かに……」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:22:49 ID:LB3zUO+qP
美希「でね、スタッフさんも皆一瞬固まっちゃったんだけど」
美希「カメラマンさん、目の色が変わってそのままはずーっと!何もしゃべらずに撮ってくれたんだよ、すごいでしょ?」
雪歩「私もなんていうか……苦手だから、少し言ってみたことあるけど大丈夫って言われて、それ以上何も言えなくて……」
真「でも、確かに響らしいな~」
美希「なの! それにね、写真が撮り終わった後、こんなことも言ってたの」
響『今日はありがと、カメラマンさん! えへへ、自分のこと綺麗に撮ってくれたかな?』
響『今までの写真もよかったけど、やっぱり自分はありのままを写して欲しかったから!』
美希「なんていうか、ミキの言いたいこと全部言われちゃったカンジ」
雪歩「きっと響ちゃんはペット飼ってるから、自然の表情が一番だってこと、自分自身でわかってるんだよね」
美希「実際その通りなの。美希たちはそのままが一番なんだから、そのまま撮って欲しいっていうのはあるかな」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:26:06 ID:LB3zUO+qP
真「でも確かに響はすごいけどさ、それでカメラマンさんが怒ったらどうするつもりだったんだろう……」
美希「そうなの! だから響はそこもすごいの!」
雪歩「そこまで強く言ってて……私なら、もう撮ってもらえないと思うもん……」
美希「カメラマンさん、すごく機嫌良かったよ? なんていうか、言ってもらってよかった~みたいな」
雪歩「きっとそのカメラマンさんも、私達から意見を言って欲しかった……のかも」
美希「響はそういうところも見てる、なんていうかすごいな、って改めて思ったの!」
真「なるほどね、確かに響らしい、かな」
雪歩「完璧、って言えるのがうらやましいなぁ……本当にそうだもんね」
美希「でもでも、スタイルならミキの方が上なの!」
真「それなら本当は、美希がカメラマンさんに言うべきだったんじゃない?」
美希「え?」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:30:07 ID:LB3zUO+qP
雪歩「あはは、真ちゃん意地悪だなぁ」
美希「そ、それは……それはそれ、これはこれなの!」
真「ま、そうだよね」
雪歩「でも美希ちゃんも響ちゃんも、もちろん真ちゃんもすごいよ……私なんかダメダメで……」
真「そんなことないって、雪歩も十分!」
美希「真クン!ミキは!」
真「うーん、だって美希は、それはそれ、なんでしょ?」
美希「ち、違うの! それも、それはそれなのー!」
真「あはは、冗談だよ冗談」
雪歩「というか、響ちゃんは……?」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:35:35 ID:LB3zUO+qP
—-
響「……う、うぅ」
響「自分のこと……そんな風に……」
響「あの雪歩ですら、自分のこと……くさい、なんて思ってたなんて……」
響「……自分が悪いのかな」
響「気がつかないで、みんなに迷惑かけて……」
響「でも、いいんだ……もう、今日でこの事務所とはさよなら、だから」
響「……765プロのみんな、ありがとな」
響「それと、プロデューサー……そうだ、まだ何も言ってない……」
響「でも今さらあそこには戻りたくない……」
響「……プロデューサーが戻ってくるまで時間つぶそうかな」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:40:19 ID:LB3zUO+qP
――
響「ここならきっと誰とも会わないし……」
春香「あれ?」
千早「あら、もしかしてあれは……」
春香「響ちゃん!!」
響「えっ? あっ……は、春香……」
春香「珍しい、のかな? まさかこんなところで会うなんて!」
響「う、うん……」
春香「何かしてたの?」
響「い、いや特には何もしてないぞ……あっ、な、ない、よ?」
春香「そうなんだ~……あ、それじゃ私たちと一緒に買い物とか、どう?」
響「え? じ、自分……いいのか?」
春香「もちろん! いいよね、千早ちゃん!」
千早「もちろんよ、春香だけのセンスだと頼りないもの」
春香「だ、だから千早ちゃん……」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:45:05 ID:LB3zUO+qP
春香「これとかどうかな!」
響「え?」
千早「似合うんじゃないかしら」
響「そ、そうかな……」
春香「着てみよっ!」
春香「じゃん! どうよ、千早ちゃん!」
響「ど、どうかな……」
千早「でも、ちょっと大きいかもしれないわね」
春香「う~ん、このスタイルでこの柄、もう少し小さ目っていうと結構難しいよね」
響「その、ここまでキラキラした服じゃなくていい……よ?」
春香「ダメダメ! せっかくだしもっと可愛いの着てみて欲しいんだ!」
春香「あっ! この胸元開いたのとかセクシーでいいかも! ねぇ千早ちゃん!」
千早「……春香?」
春香「え? あ、別にわざとじゃないよ!」
千早「……くっ」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:50:23 ID:LB3zUO+qP
春香「ふぅ……結構買ったねー!」
響「いいのか、こんなに?」
春香「うん! ほとんど私の趣味だし、もらって? それでできれば着てほしいかな!」
響「……」
春香「響ちゃん?」
響「……春香たちは、その……自分のこと、嫌いだったり」
春香「え?」
響「方言とか……勝手につかって、なんか……」
春香「……もー!」
ギュッ
響「えっ? ちょ、ちょっと春香!?」
春香「響ちゃん、やっぱり可愛い!」
響「な、何!?」
春香「嫌いなわけないよ、私に言わせたらむしろ大好きだよ!」
響「で、でも……」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 21:55:24 ID:LB3zUO+qP
千早「私たちが我那覇さんを煩わしいなんて思ったこと、ないわよ?」
響「ち、千早も……」
春香「そうだよ! むしろ沖縄は響ちゃんのステータスって言うか!」
千早「春香のリボンみたいなものよ」
春香「な、何かおかしくないそれ……」
響「……そっか、自分勘違いしてたの、かな」
春香「うんうん、響ちゃんはほら、いつでも完璧じゃなきゃいけないから!」
響「そうだった……自分は完璧で」
春香「でも、たまには休まないとそうやって辛くなるでしょ? そういう時は私たちを頼って!」
響「春香……」
千早「力になれれば」
響「千早……」
春香「あーダメ! 我慢できないから、言っちゃう! 響ちゃん!」
響「な、何だ?」
春香「リボンをほどいでください!」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:00:25 ID:LB3zUO+qP
響「えっ?」
春香「髪を下した響ちゃんが見たいんです!」
響「ど、どうして……」
春香「お願いします!」
千早「てっきり春香のリボンをほどけと言ってるのかと思ったけれど」
春香「違うよ!」
響「それは別にいいけど……」
春香「ホント!? やったー!」
春香「それじゃ、またね!」
千早「我那覇さん、また」
響「あ、う、うん……また、またな!!」
響「春香たちは自分のこと嫌いになったわけじゃなかったんだ……」
響「でも……」
やよい「あ、響さん!」
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:05:42 ID:LB3zUO+qP
響「や、やよい……と、伊織」
伊織「何よ、私たちとは会いたくなかったの?」
響「ち、違うぞ!」
やよい「あ、そうだ響さん!」
響「な、何だ?」
やよい「その……今度の新しい曲、ダンスが難しくて。なので、よかったら教えてもらえませんか?」
響「え? じ、自分でいいのか?」
やよい「はい! 響さんに教えてもらえれば安心です!」
伊織「私が教えるって言っても、響響って聞かなかったのよ?」
やよい「ち、違うよ! でもほら、伊織ちゃんもちょっと不安みたいなこと言ってたし」
伊織「わ、私は別に……でも、人数は多い方がいいでしょ? ……響!」
響「わぁ! ど、どうしたんだ?」
伊織「やるからには私たちを完璧にしなさい! アンタ、完璧なんでしょ!」
響「え? あ、う、うん」
伊織「ちょっと、そんなんでできるわけ? もっと声出しなさいよ!」
76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:10:25 ID:LB3zUO+qP
響「も、もちろん! 任せてくれ! なんたって自分は……完璧、完璧だからな!!」
伊織「全く、最初からその元気を出しなさいよ……」
やよい「昨日、なんていうか元気がなかったように見えて、心配してたんです」
響「え? あ、あぁ……」
伊織「でも、その様子なら大丈夫そうね」
響「う、うん……ありがとな、伊織!」
伊織「べ、別に私はアンタのためとかじゃなくて……その、やよいが一緒にって言うから……」
やよい「あ、そろそろ行かなきゃ! それじゃ響さん、伊織ちゃんまた!」
響「あ、うん! またな、やよい!」
伊織「それじゃあ私も、また”事務所”で会いましょう?」
響「……うん! そうだな! またな、伊織!」
響「二人も……心配してくれてた」
響「自分がきっと、深く考え過ぎてただけなんだ!」
響「……事務所、か」
――
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:15:00 ID:LB3zUO+qP
ガチャッ
雪歩「……あっ!」
響「……」
美希「……響」
響「……三人とも、今朝はごめん」
雪歩「う、ううん……」
真「僕も二人から話、聞いたよ」
美希「ごめんね響? 恥ずかしい話、勝手に話したから怒ったんでしょ?」
響「……話?」
真「ほら、カメラマンさんに言った”クサイ”セリフの」
響「くさい……あ、あぁ!」
雪歩「私も深く考えないで……ごめんね……でも、響ちゃんはすごいって思う!」
響「ち、違うんだ自分……」
美希「どういうこと?」
響「……」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:20:08 ID:LB3zUO+qP
真「そういうことだったんだ……」
雪歩「私たち……確かに……」
美希「ひ、響もちろんミキたちは!」
響「う、うん……自分が勝手に勘違いしたのが悪いんだ……」
真「……でも、そういうことだったんだ、ちょっと安心したよ」
響「えっ?」
真「響はやっぱり、すごいなって。どっちにしても、そうやって一人で選べるっていうことがさ」
響「……どういうこと?」
雪歩「私なら……そんなこと言われたら、ここに戻ってこれないよ……」
響「それは……」
美希「もういいの! 響がそんな、ミキ達が思うはずないでしょ?」
響「もちろんだぞ! でも、ちょっと疑っちゃったんだ……」
真「まあ、そういうこともあるよ、気にしないで?」
響「うん、もう自分そういうこと言われても気にしないことにする!」
響「間違えたことしたら、ちゃんと考えるけど……皆がそんなこと言うわけないもんな!」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:25:10 ID:LB3zUO+qP
響(沖縄に帰りたい……なんて、少しでも思った自分が馬鹿だったんだ)
響(皆がそんなこと言うはずないのに、ちょっとそんなふうに聞こえたり)
響(そんなふうに疑ってたら、それこそ誰も信じてくれなくなるぞ!)
響(だからもう、自分決めたんだ!)
響(自分で思ったことは、ちゃんと聞いてみるって!)
響(そりゃやっぱり少しは自分でも気になることが……そういう風に聞こえちゃったわけだし)
響(頑張ってみて、それでもダメだったら……ううん、もっと頑張るんだ!)
響(それでこそ完璧、なんだからな!)
真「あ、電話……プロデューサーから? なんだろ?」
真「はい? ……え、えぇ!? そ、それ本当ですか!?」
美希「何何、真クン!」
真「は、はい……そ、それが……」
響「沖縄、旅行?」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:30:02 ID:LB3zUO+qP
真「なんでもあずささんが迷って探してたら貴音がラーメンを食べてて」
真「その券で亜美と真美が福引を引いたら……沖縄旅行が当たった、とか」
雪歩「す、すごいね! でも、皆で行ける日なんてあるのかな……」
美希「そんなのなくても、行くの! 行くに決まってるの!!」
響「……」
響(あはは、一人で帰るつもりが、765プロみんなで行くことになっちゃった)
響(……でも、やっぱりこっちの方がいいぞ)
響(みんなとワイワイして、こっちの方が……)
響「よーし! その時は自分が、しっかり観光の案内をしてあげるさー!!」
真「おっと、噂をすれば……」
サスガアミダネー チガウヨマミダヨ!!
コラコラ フタリトモケンカシナイ… マコトニ メンヨウデスネ
美希「あはっ! ハニーたちのお帰りなの!」
真「また騒がしくなるね……」
響「……えへへ」
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:35:10 ID:LB3zUO+qP
貴音「おや、真に雪歩、美希と響まで」
亜美「そんなに亜美があてたリョコウケンが欲しかったのか、この欲しがりさんたちめ!」
真美「違うよ! あれは真美が券を渡したから真美のおかげ!」
亜美「ガラガラを回したのは亜美だもん! だから亜美のおかげ!!」
あずさ「こんな賞滅多にないんだから、きっと二人のおかげよ? あら、それよりプロデューサーさんは?」
貴音「先ほど荷物を取りに行ってたような、それとも電話でしょうか」
美希「今皆に電話したのー! これから旅行について、作戦会議なの!!」
亜美「おー! さっすがはミキミキ話が早い!!」
真美「よっしゃー! でもでも、沖縄に一番のりは真美ね!」
亜美「違うよ、亜美があてたから亜美!!」
響「ふふっ……あはは!!」
亜美「あれ? どしたのひびきん?」
響「ううん、なんでもないぞ!」
真美「きっとあれだよ、沖縄に行けるからもうニヤニヤが止まらないんでしょー?」
響「まあ、そんな感じ!」
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:42:41 ID:LB3zUO+qP
響(そうだ、こういうカンジだ!)
響(みんながみんな、いろんなことしてよくわかんないけど楽しくて)
響(だから、自分がよくわからなくなってたんだ)
響(難しいことよくわからないし考えるのもやめる!)
響(ここにいる間はきっとそれが正解だから!!)
響「沖縄、楽しみさー!!」
亜美「うおお! ひびきんが吠えた!!」
真美「そりゃ、真美も楽しみさー!!」
響「あはは! みんなきっと楽しみさー!」
響(きっとこれでいいんだよね)
響(またいろんなことで悩むかもしれないけど)
響(今は沢山の仲間と、それと家族と暮らしてるだけで幸せなんだ!)
美希「それじゃあ人が集まるまで、さっきの響の話でもするの!」
響「え? あ、そういえばそれってなんだっけ?」
美希「カメラマンさんに向かって……」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:52:19 ID:LB3zUO+qP
響「あー!! 思い出した! だ、ダメだぞ美希!」
美希「でも、もう雪歩に話しちゃったよ?」
亜美「えー何々! 亜美も聞きたーい!」
美希「実は響がね!」
響「うぎゃー! やめてくれ美希ー!」
春香「あ、みんな集まってる!」
やよい「みなさーん!」
ワイワイガヤガヤ
亜美「あはは! ひびきん、それ本当?」
響「あっ、も、もー!!美希!! ちょ、ちょっと亜美も他の人に話すのやめるさー!」
響(もしかしたらこれで、くさいなんて言われるかもしれない)
響(でも、自分はそれでいいんだ! 皆、それで楽しんでるわけだし!)
響(偉い人は言ってたぞ!好きの反対は無関心なんだって!)
響(すぐちょっかいをだされるのは大変だけど、それも皆なら!)
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/11 22:55:34 ID:LB3zUO+qP
響「だからもう、何があっても沖縄に帰りたいなんて、言わないぞ!」
真美「どうしたのひびきん?」
響「え? あ、こっちの話さー」
ガチャッ
亜美「あ、兄ちゃん遅いよー!」
美希「ハニー! 早速話、始めるの!」
……実は、皆に話しておくことがある
響(何があっても……自分は、まけない!)
響「それが、自分! 完璧な、我那覇響だからさー!」
完