1:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:18:34.81 ID:5o2T6IhhO
―――
凛「6月はジューンブライドって言うでしょ」
李衣菜「うん、知ってる。ウチのアイドルも何人かモデルやってるよね」
凛「その第一日曜日をプロポーズの日って言うんだって」
李衣菜「へー。調べたんだ?」
凛「これみよがしにゼクシィが置いてあったから。多分大人組が置いていったやつ」
李衣菜「あぁ、あのゼクシィ」
凛「だからね、待ってるんだ」
李衣菜「? なにを?」
凛「プロデューサーが私にプロポーズしてくれるのを。ふふっ」
李衣菜「聞き捨てならない」
2:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:20:57.32 ID:5o2T6IhhO
凛「え? どうして?」
李衣菜「いやいや。プロデューサーにだって選ぶ権利はあると思うな」
凛「絶対私しかないよ。プロデューサーは私を選ばざるを得ない」
李衣菜「……その自信はどこから?」
凛「私は喉から」
李衣菜「風邪薬か」
凛「蒼の系譜は伊達じゃないよ。喉を痛めたら大変」
李衣菜「あぁそういう意味ね。……いやよく分かんないけど」
3:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:22:59.00 ID:5o2T6IhhO
凛「それに、私と結婚するとお得なんだよ」
李衣菜「お得?」
凛「今ならもれなくハナコが付いてくる」
李衣菜「応募者全員サービスかって。普通そこは料理とかでしょ」
凛「料理は……うん。ハナコでなんとか折り合いをつけてもらって」
李衣菜「ハナコちゃんの比重重くない? 頑張ろうよそこは」
4:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:25:15.91 ID:5o2T6IhhO
凛「大丈夫。ハナコは毎日癒やしをもたらしてくれる」
凛「料理できなくても、ハナコはかわいい」
凛「愛想悪くても、ハナコはかわいい」
凛「ハナコさえいれば毎日がバラ色。プロデューサーだってきっとハナコのことを離したくなくなるはず」
凛「だからお得」キリッ
李衣菜「だったら凛じゃなくてハナコちゃんと結婚した方が良くない?」
凛「たしかに」
5:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:27:03.22 ID:5o2T6IhhO
凛「ハナコとの結婚生活……ふふっ♪」ニヘラ
李衣菜「その顔、絶対ステージでは見せられないよね」
凛「見せるのはハナコだけ。もしくはプロデューサー」
李衣菜「私も今見ちゃったけど」
凛「なに、李衣菜も私と結婚したいの? 困るよ、そういうの」
李衣菜「ぶっこんできたね」
6:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:29:01.35 ID:5o2T6IhhO
凛「女同士は結婚できないんだよ、この国では」
李衣菜「知ってるよそれくらい。……あれ、結婚じゃなくて似たようなのはできるようになったんだっけ?」
凛「えっ……」
李衣菜「露骨に後ずさるのやめてくれない? 全然まったくその気はないから」
凛「いくらロックだからって、そんな……あぁでも、李衣菜だったら……」
李衣菜「なんでちょっとまんざらでもない顔になってんの。やめてよ」
7:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:30:56.64 ID:5o2T6IhhO
凛「たしかに李衣菜は料理上手だし」
凛「子犬みたいなかわいさもあるし」
凛「目上にはしっかり敬意を払うし」
凛「あわてんぼで童顔でチョロくてちょっぴりビビりだし」
李衣菜「悪口になってない?」
凛「私にはないものを李衣菜はたくさん持ってる。逆もまた然り……」
凛「つまり」
凛「李衣菜と結婚すれば丸く収まるのでは……!」
李衣菜「収まんないよ。やだよ私」
8:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:32:49.20 ID:5o2T6IhhO
凛「安心して、ハナコも付いてくるよ」
李衣菜「どう安心すればいいのさ」
凛「毎日ハナコを抱っこできるよ」
李衣菜「…………」
凛「朝起きるの苦手でしょ? 私が起こしてあげる」
李衣菜「…………」
凛「それに百合営業しとけば人気も」
李衣菜「営業って言っちゃったよ」
9:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:34:56.70 ID:5o2T6IhhO
凛「じゃあこうしよう」
李衣菜「どうすんの」
凛「私がプロデューサーと結婚して、李衣菜が娘になる」
李衣菜「そう来たかぁ」
凛「もしくは李衣菜がプロデューサーと結婚して私は娘」
李衣菜「ま、まぁプロデューサーとなら結婚してもいい、かな……えへへ」テレ
凛「ねぇお母さん」
李衣菜「やっぱやめ、気色悪い」
10:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:36:53.25 ID:5o2T6IhhO
凛「気色悪いはひどいと思う」
李衣菜「ダメ、生理的に無理」
凛「じゃあ私は犬扱いでいいから飼ってください。李衣菜はプロデューサーと結婚していいから」
李衣菜「とんだ爆弾発言が飛び出しちゃった」
凛「わん」
李衣菜「…………。お手」スッ
凛「わんわん」ソッ
李衣菜「かわいい」
11:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:38:37.86 ID:5o2T6IhhO
凛「私とハナコのダブルわんこが付いてくる」
李衣菜「これはお得かもしれない」ワシャワシャ
凛「わふん」
李衣菜「ていうか私がプロデューサーと結婚するとして、凛はそれでいいわけ?」
凛「プロデューサーと李衣菜が両方手に入るなら私はなんでも」
李衣菜「絶妙に絶妙なこと言うよね」
12:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:40:55.49 ID:5o2T6IhhO
凛「もういっそのこと、私たちがプロデューサーの犬になればいいんじゃないかって思えてきた」
李衣菜「わん?」
凛「李衣菜ってプロデューサーに対する態度がまさに犬だし」
李衣菜「そ、そんなことないよ。私はいつだってロックでクールな一匹狼――」
凛「すっぽ抜けた鳴子がプロデューサーに当たりそうになって、涙目で謝る李衣菜はかわいかった」
李衣菜「ちょっ!? なんで知ってんの、北海道での話じゃんそれ!」
凛「私は李衣菜のことならなんでも知ってるんだよ」ニコォ…
李衣菜「……今日イチ寒気がした……」
13:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:42:52.85 ID:5o2T6IhhO
凛「ふふ、なんてね。プロデューサーに教えてもらったんだ。怒ってないのに必死で謝ってきたって」
李衣菜「ぷ、プロデューサーめぇ……!」
凛「撫でてやったらとたんにおとなしくなって、まるで甘える子犬のようなふにゃふにゃ顔に」
李衣菜「わ、わんわんわん! わんっ!」ペシペシ
凛「あっ、ふふっ。いたいよ李衣菜、そんなに怒らなくても……」
李衣菜「う、うるさいっ! 結婚がどうたらって話はどこ行ったんだよー!」
14:◆5F5enKB7wjS6:2016/06/05(日) 22:44:47.98 ID:5o2T6IhhO
凛「ふふふ、だからプロデューサーに飼ってもらえば――♪」タタタッ
李衣菜「ちがーう! 待て、この~っ――!」テテテッ
P「…………」カタカタ…
P(かわいい)
凛「――ってことで、私と李衣菜、どっちかと結婚してください」
李衣菜「もれなくどっちかが付いてきますっ」
P「はいはい、また今度な」
「「……今度とはいったい」」
おわり