1: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 21:47:48.26 ID:u5CTxKPio
―――事務所
李衣菜「もう1月も下旬なんだけど……」
凛「まぁそうなんだけど。面と向かって挨拶してなかったな、と思って」
李衣菜「そうだっけ? 確かにLINEで済ませたっきりだったかも」
凛「うん。だから、改めて……あけましておめでとう、李衣菜」ペコリ
李衣菜「じゃあ私も。あけましておめでとう、凛」ペコッ
凛「というわけで」
李衣菜「うん?」
凛「お年玉」スッ
李衣菜「……なにその手は」
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2: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 21:49:57.59 ID:u5CTxKPio
凛「…………」
李衣菜「…………」
凛「お年玉ちょうだい、李衣菜」
李衣菜「いやいや、おかしくない? なんで凛にあげなきゃいけないのさ」
凛「だって私たち……相棒だから」キリッ
李衣菜「いい顔してるね」
凛「いい顔……。ふふっ」テレ…
李衣菜「褒めてないよ?」
3: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 21:51:38.84 ID:u5CTxKPio
凛「相棒っていうのはね、李衣菜」
李衣菜「うん」
凛「ときに家族の絆より強いものなんだよ」
李衣菜「そうなんだ?」
凛「そうだよ。だから――」
李衣菜「ハナコちゃんとの絆よりも強いの?」
凛「…………………………うーん」
李衣菜「うん、迷ってくれて安心した」
4: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 21:53:35.89 ID:u5CTxKPio
凛「でもお年玉はほしい」
李衣菜「えー……。お母さんやお父さんにはもらわなかったの?」
凛「うち花屋だから……店番のバイト代がお年玉の代わりなんだ」
李衣菜「あー、年末年始に生まれた人はあんまり周りから祝われない、みたいな感じ?」
凛「うっ……! 私じゃないけど私の中のなにかが傷つく音が聞こえた……」
李衣菜「えっ、な、なんかごめん……」
5: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 21:55:08.81 ID:u5CTxKPio
凛「傷つけられたからほら、お年玉出して」
李衣菜「だんだん強請りと変わらなくなってきてるね……その姿勢ロックだよ、凛」
凛「なにもお金じゃなくてもいいんだよ。こういうのは気持ちが大事だから」
李衣菜「気持ちねぇ……たとえば?」
凛「たとえば……ううん。たとえる必要なんてない――」
凛「私は、李衣菜にもらえるものならなんでも嬉しいから……!」キラキラキラ…
李衣菜「じゃあ食パンの袋をとめるクリップでいいかな」
凛「さすがにもう少しマシなのがいいかな……」
6: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 21:58:47.18 ID:u5CTxKPio
李衣菜「あはは、冗談だって」
凛「ものには限度があるよ……。もうちょっとさ……」
李衣菜「んー、じゃあね……ハナコちゃんのお散歩に付き合う、ってのはどう?」
凛「き、急にグレード跳ね上がったけど……いいの?」
李衣菜「だってハナコちゃんにも新年の挨拶しないとね。えへへ、久しぶりに凛とも遊びたいしさ!」
凛「っ……」フルフル…
李衣菜「ってどうしたの?」
凛「……やっぱり李衣菜は優しい。今年も『心にりーn」
李衣菜「それ以上言ったら口を縫い合わすよ」
凛「ふふ、ロックだね。それこそまさに、心にrあっごめん許して脇腹はやめてああああああああああ」
7: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 22:01:25.09 ID:u5CTxKPio
李衣菜「ったくもう」
凛「」ピクピク…
李衣菜「はぁ……やっぱりやーめた。今年は極力、凛とは関わらないようにしよっと」
凛「……そんなことになったら本格的に死ぬけどいい?」
李衣菜「うーん……蒼い空を見上げるたびに思い出すくらいはしてあげるよ」
凛「………………まぁ、それはそれで悪くないかな」
李衣菜「悪いでしょ、生きる努力してよ」
8: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 22:03:49.45 ID:u5CTxKPio
凛「死ぬときは一緒だよ、李衣菜」
李衣菜「えぇ……。巻き込まないでほしいんだけど」
凛「もちろんハナコも一緒だし、プロデューサーも未央も卯月も、それから……」
李衣菜「待って待って巻き込みすぎ!?」
凛「小梅が喜びそうだね、死体がいっぱいで。ふふ」
李衣菜「あのねぇ……」
凛「……あれ? なんで年の始めからこんな縁起の悪いこと話してるんだろ」
李衣菜「知らないよ!」
9: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 22:06:32.95 ID:u5CTxKPio
凛「そうそう、お年玉の話だった」
李衣菜「話戻ったけどそれはそれでめんどくさいなぁ……」
凛「結局ハナコの散歩には付き合ってくれないってこと……だよね」シュン…
李衣菜「いや、行くよもちろん。言ったでしょ、普通に遊びたいって」
凛「…………。やっぱり心に――!」
李衣菜「だーかーらー! 話がループしてるっての、このバカ凛!」
凛「ふふ、そんな怒らないでよ李衣菜。ふふっ……♪」
10: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 22:08:24.87 ID:u5CTxKPio
李衣菜「ほんとに食パンのクリップ、大量に送ってやろうかな……」
凛「あのクリップ、正式名称は『バッグ・クロージャー』って言うんだよ」
李衣菜「へぇ。無駄に響きかっこいいね」
凛「『アイオライト・バッグ・クロージャー』!」
李衣菜「……それはダサいよ」
凛「( ˘•ω•˘ )」
李衣菜「ぷふっ、そんな顔しなくても……あははっ♪」
11: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 22:11:52.47 ID:u5CTxKPio
凛「もう。李衣菜はまだまだ蒼に対する敬意がなってない。そもそも――」
李衣菜「はいはい、蒼の話はまた今度ね。ハナコちゃんと散歩してるときにでもゆっくり聞くからさ」
凛「……約束だからね? お年玉なんだから、中身もちゃんとしてないとダメだよ」
李衣菜「分かってる分かってる♪ それじゃ、今度の土曜でいいよね」
凛「ん、分かった。楽しみにしてるね」
李衣菜「よーし。週末に向けて、今日もレッスンにお仕事、頑張りますかっ」
凛「ふふ、うん」
12: ◆5F5enKB7wjS6 2016/01/22(金) 22:13:07.04 ID:u5CTxKPio
てくてく……
李衣菜「――あ、そうだっ。新年の挨拶、肝心なのを忘れてた」
凛「え? なんだっけ……」
李衣菜「――今年もよろしく、相棒! へへ♪」
凛「あ――そっか。うん、よろしくね。ふふっ♪」
おわり