【神崎蘭子SS】P「蘭子が引きこもったあッ!?」

1 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 15:49:04.55 :s8kOvg2E0

P「開けろぉ!!、お願いだから開けてくれ!!」ドンドン

P「…悪かったって!、俺が全部悪かったから!」

ドア「……」

P「」

P(…俺、歯医者行こうか、って言っただけなんだけどなあ…)

P(うーん、それか俺が他に何かマズい事を言っちゃったかだが…)

P『ただいま戻りましたー、って、そっか、今日はみんな出てる日か…』

蘭子『な、何故…!?、未だ我が預言書に記されし、汝が帰還の刻では無いが…』

P『ああ、なんか仕事が前倒しになってな…、あれ?、でも蘭子は休みじゃ…』

蘭子『あ、いや、我が邪悪の念の入りし漆黒の宝具が…』ボソボソ

P(…ん、宝具?、忘れ物の事とかだろうか)

2 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 15:52:40.54 :s8kOvg2E0

蘭子『我が任務を遂行せねば…、惑わされし因果がめぎゅり…』ズキッ

P『…!?、どうした!?』

蘭子『うう…、いたい…、あっ、何、これしきの古傷など…』

P『…歯が痛むのか?、俺も予定無いし、今から空いてる歯医者探して…』

蘭子『な、何を!、断じて我が牙に欠けたる点などっにゃいっ!』ズキッ

P(これはまた…、重症だな)

P『…そんなんじゃあ仕事にも差し支えるだろう、ほら、行くぞ』

蘭子『我が魂に誓ってそのような下賤な病では無い!!、歯医者など汝一人でぇ…、一人でぇ…、うう…』

P『何が悲しくて俺一人で行かなきゃいけないんだよ…、そんなに歯医者が嫌か?』

蘭子『…あのキーンってなるのが、すごくイヤで…、な、何故そのような目でこちらを見る!?』

P(い、今のを真顔で聞けってのは無茶だろ…、おまけに虫歯って認めちゃってるし…)

3 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 15:56:18.84 :s8kOvg2E0

蘭子『…忌まわしき甘味めえ、これ程までに我を愚弄するとは…』

P『甘味って、もしかして夜のおやつでも我慢出来なかったとか?』

P(全く…、中学生もまだまだ子供なんだな、まだまだ可愛いもんだ)フフフ

蘭子『わ、笑うな!汝まで我を愚弄するとは…、それに夜のおやちゅなど…』

P『そうかあ、夜のおやちゅねえ、夜のおやちゅ…』アハハハ

蘭子『…わ、笑うなあ!、もういいっ!!、侮辱の罪の重きを思いしれっ!!』バタン ガチャリ

P『あっ!、おい!』

P(あっ、拗ねた、閉め出された、やってしまった)

4 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:01:11.69 :s8kOvg2E0

P(思い返せば、けっこう俺が悪い気もするが…、まあ…、多少はね?)

P(しかし、未だ返事一つすら返ってこない…、完全に手詰まりだ…)

P(強硬突破しようにも、苦情とかの事を考えるとなあ…)

P(あー、でも歯医者はどーするんだよ、何か、何か良い手は…)

ピンポーン

P(誰だ!?、間の悪い)

5 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:04:02.42 :s8kOvg2E0

P「はい…」ガチャ

凛「あ、こんにちは、って、どうしたの?、すごく疲れた顔してるけど…」

P「あのさ…、今、口の中が痛かったりとか、しないよな…?」

凛「え?」

P「いやいや、ごめん、なんでもないんだ、ただ今、仕事部屋に引きこもりがいるだけで」

凛「…え、何それ」

P「あ、いや、実はな…」

6 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:09:04.78 :s8kOvg2E0

凛「ああ…、なるほどね、でも蘭子の気持ち、私は良く分かるな」

P「え?、分かるっていうのは…?、もしかして凛も歯医者…」

凛「違うよ、っていうかさ、プロデューサー、蘭子で遊んじゃダメでしょ」

P「噛み噛みの蘭子が可愛過ぎたんだ、今は深く反省している」

凛「……」

P「…どうした?、突然、黙って」

凛「この□リコン」ボソッ

P(…!!!?)

7 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:11:16.65 :s8kOvg2E0

P「いや、なぜ、なぜ□リコンなんだ、俺が!?、杏とかとは話がだな…」

凛「中学生以下はアウトだよ」

P「いや、なんだ高校生より上はセーフとでも言わんばかりの理屈は」

凛「セーフでしょ」

P「は、はあ、そう…、なのか?」

凛「プロデューサー、私はセーフだと思う」

P「…あれ、今、何の話してたっけ?」

P(というか、今日は凛も休みのはずなんだが…)

8 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:15:28.95 :s8kOvg2E0

凛「引きこもりをどうするか、でしょ」

P「…何かこう、絶妙手みたいのは、ないかねえ」

凛「待つのも大事だよプロデューサー、だからさ、二人でゆっくりお茶でも…」

P「いや、でも向こうがこれ以上占拠されたら、かなり困るしなあ…」

凛「何で、午後は仕事無いし、別に仕事部屋が使えなくたって…」

P「いや、ここも最近実績が上がって残業が増えてきたからさ、仕事部屋に生活用品移しちゃってて…」

凛「……へえ」

凛「…例えば?」

P「寝袋、歯ブラシ、着替え、銭湯道具、冷蔵庫、とかそういうの色々」

凛「……」

P「どうした?、また突然黙りこくって」

凛「……」

凛「……」ドンッ! ガンッ!

P(無言でドアを殴り始めた!?)

9 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:18:09.40 :s8kOvg2E0

P「おい、ちょっと!」

凛「……」ドンッ! ガンッ!

蘭子「…」ウトウト

P「…返事が無いと思ったら寝てたのか…、あ、いやさっきはすまなかった、蘭子」

凛「ねえ、プロデューサー、少しガールズトークをさせてもらっても良い?」

P「は?ガールズトーク?おい、どういう…」ガチャリ

P(ええ…)

P(うん…、また閉め出されたね、これ)

10 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:21:52.92 :s8kOvg2E0

P(時間かかるなあ…、しかし二人で何話してるんだ?、あいつら)

P(しかし何で蘭子は引きこもった上に、寝たんだ…、分からない…)

凛「終わったよ、プロデューサー」ガチャ

蘭子「……。」コクコク

凛「じゃあ、私、今日は帰るね」

P「えっ…、あ、ああ、おつかれ」

凛「後、これ、自信作だから、絶対に残さず食べてね」

P「…?、なんだこれ、クッキー?」

凛「後は蘭子が説明してくれるから、じゃあ」

P「は、はあ…」

P「で、ええっと、これは…」

蘭子「…近世、汝は宵まで働き通しという評だが、やはり暦の感覚までも喪失していたのだな…」

P「…、あっ、あっ、まさかこれは…」

蘭子「この日が登りし時は汝が生誕の日であろう」

P「まさか、このクッキーは…、休みの凛がわざわざ来たのは…」

蘭子「…然り、汝は今、一つの運命を見抜いた」コクコク

蘭子「…あ、あの、それでっ…、それで…」

P「…?」

11 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:24:25.63 :s8kOvg2E0

蘭子「これが、我が漆黒の宝具…」

P「…チョコレート?、手作りなのに綺麗に包装まで…、って…」

蘭子「…わ、私の誕生日プレゼント、チョコレート、ですっ」

蘭子「冷やしたまま渡したくて…、だから仕事部屋の冷蔵庫を借りてて…」

P「じゃあ、俺が帰ってきたときは…、まさか…」

蘭子「…最後の任務にして、因果律が乱れたのだ…、あれはびっくりした…」

P「…なんか、ゴメン」

P「…なら突然、部屋にこもったのも」

蘭子「完成形で渡したかったから…、だから迷惑をかけても籠城しようって…」

P「で、待ってる間にウトウト来て…、ね」

蘭子「な、なんら任務遂行に支障は来してはいない!、ただもう少し冷やそうとして待っていたら…」

P「…なあ、蘭子さ、最近あんまり寝てなかったんだろ」

蘭子「な、何故、それを…」

12 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:26:59.25 :s8kOvg2E0

P「なんかおかしいと思ったんだ、凛と蘭子に閉め出された時に」

P「歯がものすごく痛む、なら喋る時だけ痛むのはおかしくないか、って」

P「もしかして虫歯じゃなくて口内炎なんじゃないか…、って思ってさ」

蘭子「…そうなのか?」

P「えっ」

蘭子「確かにどの歯が諸悪の根元か特定出来なかった!」

P「…ホントに心から歯医者に行きたくなかったのかよ!!」

蘭子「まさか睡眠不足と糖分の過剰摂取を端とする、口内炎だったとは!」

P「…なんか考えすぎな気がしてきた、やっぱり、念のため歯医者行く?」

蘭子「……行ってもいい」

P「えっ、本当に?」

蘭子「ただし、それが終わったら、終わったら…」

蘭子「…宴を二人きりで、するのならば」

P「…全く、良いに決まってるだろ」

蘭子「左様か!、なら支度をしてくる!」タタッ

13 :◆TyqOu6TiTs :2015/09/23(水) 16:30:18.13 :s8kOvg2E0

P(しかし、仕事部屋から蘭子と凛の匂いがするってのはなんか新鮮だな…)

P(つーかおそらく、二人で包装してたんだろうなあ…、蘭子一人であれは無理そうだったし)

P「はあ、もういっそ、引きこもりてー!!、この部屋に」

蘭子「出陣す用意が…、って何を大声で…」

P「なあ蘭子、毎日飯作って、俺、今からここに引きこもるから」

蘭子「甘味の黒魔術で虫歯の病に染められても、良いというならな」

P「…ふっ、やってみろよ」

蘭子「…我が甘き愛の力を思い知れっ!!、プロデューサー!!」

(完)

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