1:2013/05/27(月) 16:04:51.85 :XdZReTe30
幸子「世界で一番カワイイのはこのボクですからね!」伊織「はぁ!?」の続きものです。
やよい・貴音・伊織と、幸子・蘭子・輝子が過去に共演したという設定です。
2:2013/05/27(月) 16:06:53.73 :XdZReTe30
―――モバマスプロダクション 事務所
幸子「……」
幸子「……」カキカキ
薫「さっちゃーん!」タタタタタ
千佳「ねえねえ、さっちゃーん!」タタタタタ
幸子「……? 今、誰かに呼ばれたような……」
薫「さっちゃん聞いてー!」
千佳「聞いて聞いて!」
幸子「ああ、薫さんと千佳さん。どうしたんですか? ボクに何か用ですか?」パタン
ありす「ちょっと二人とも、大丈夫だから……待ってってば」
薫「えー?」
千佳「ありすちゃん、さっちゃんに聞いておいでって、Pくんに言われてたから……」
ありす「それはそうだけど……。あと、ありすって呼ばないで」
幸子「? なんですか、いったい」
3:2013/05/27(月) 16:12:39.08 :XdZReTe30
千佳「あのね、ありすちゃん、宿題がわかんないんだって!」
薫「でもせんせぇ今お仕事で忙しいってー!」
ありす「……どうしても自力では解けない問題がいくつかあったので、プロデューサーに聞きに行ったんです。
そうしたら、……んんっ」
ありす『ごめんな、今ちょっと手が離せなくて。……ああ、幸子がいるじゃないか。幸子なら教えてくれると思うぞ』
ありす「……と言われました」
幸子「プロデューサーさんが?」
ありす「はい。少しお時間を頂いてもいいですか?」
幸子「そうですか、プロデューサーさんがボクを……」チラッ
モバP「……」カタカタ
幸子「……」
幸子「ふふん、いいですよ。ボクに任せてください。どこがわからないんですか?」
ありす「えっと……」
5:2013/05/27(月) 16:18:57.12 :XdZReTe30
幸子「でも、意外ですね」
ありす「え?」
幸子「橘さんは難しい問題があっても、人に聞いたりはしないものだと思ってました。
今まで、勉強を教えてもらっているところなんて見たことがありませんから」
ありす「それは、確かに今まではそうでしたけど……」
ありす「……プロデューサーに、わからないところは素直に人に聞いていいんだよと言われたので」
幸子「言われたとおりに?」
ありす「はい」
薫「ありすちゃんせんせぇのことだいすきだもんね!」
ありす「そっ、お、大きな声で言わないで。そもそも大好きじゃないから」
薫「そうなの? かおるはせんせぇだいすきだよ?」
ありす「薫はそうでも、私は違うの」
千佳「でもありすちゃん、お仕事先にPくんが来てくれたら、いっつも嬉しそうだよねー?」
ありす「ううっ……」
6:2013/05/27(月) 16:22:37.18 :XdZReTe30
ありす「……こほん、それでまず、ここなんですけど」
『絵を見て、当てはまる四字熟語を答えなさい』
ありす「この、ドヤ顔の人の絵が何を表しているのかがわからないんです」
幸子「……」
薫「かおる知ってるよ! 四字熟語って、一石二鳥とか、そういうのだよね?」
ありす「うん、そう。だけど私は、このドヤ顔を表す四字熟語が知りたいの」
千佳「こんな顔だね!」ドヤッ
薫「あははっ、千佳ちゃんそっくりー!」
ありす「……幸子さん、わかりますか?」
幸子「……たぶん、喜色満面か、得意満面のどちらかだと思いますけど……」
幸子(何でしょうか、このボクの胸にちくちく何かが刺さるような気持ちは……)
7:2013/05/27(月) 16:27:59.22 :XdZReTe30
ありす「なるほど……じゃあ、得意満面にしておきます」
千佳「……」ドヤッ
薫「……」ドヤッ
ありす「……二人とも、邪魔するんだったらどっか行って」
千佳「えへへ、ごめんなさい」
薫「もうしませー!」
ありす「……んもう」
幸子「……ふふ」
幸子「三人は仲がいいみたいですね」
千佳「うん! 仲良しだよー!」
薫「そうだよ! かおるはねー、千佳ちゃんもありすちゃんもだいすき!」
千佳「ね、ありすちゃん!」ニコッ
ありす「え……え、と……」カア…
ありす「う、うん…………でも、ありすって言わないで」
幸子(わあ、みんなカワイイですね……。もちろんボクもカワイイですけどね!)
8:2013/05/27(月) 16:33:25.40 :XdZReTe30
ありす「……こほんこほん。……それから、ここもなんですが」
『木耳』
ありす「この言葉の読みがわからないんです」
幸子「……」
ありす「電子辞書で調べれば早いんですが、今日は家に忘れてきてしまって」
幸子「小学校の宿題で、こんなものまで出ましたっけ……」
ありす「なんだか、必須ではないですが、チャレンジ問題というらしいです」
幸子「そういうことですか」
ありす「あの、幸子さん、わかりますか?」
幸子「はい、これなら……」
幸子(……うちには、こういうものが大好きなアイドルがいますから)
10:2013/05/27(月) 16:42:47.67 :XdZReTe30
―――デパート 地下スーパーマーケット 生鮮・日配食品コーナー
やよい「うっうー! 今日は野菜セールの日ですー!」
やよい(おいしいもやしが8割引きだなんて、いつものお店より遠くに来たかいがありましたっ!
ついでに何を買っていこうかなー)
やよい「フンフンフンフフンフンフフンフフフンフフン♪ まーるまるすーぱすたー……」
?「……」フヒヒヒ…ヒヒ
やよい「……」
やよい(なんだろう、あそこのきのこ売り場にいる人……)
やよい(あの髪の毛の色……それに、近くに置いてあるきのこ……。どこかで見たような……)
やよい「……」テクテク
やよい「……あのー?」
?「……ヒッ!? ……あ」
11:>>9 ありがとうございます、ただ結構出てきます:2013/05/27(月) 16:47:35.13 :XdZReTe30
輝子「……き、キミ」
やよい「あっ、やっぱり! この前一緒にお仕事した、モバプロの人ですよね?」
輝子「そ、そうですけど……」
やよい「こんにちは! えっと、えっと……えーっと……」
やよい「……あれ?」
やよい「ごめんなさい、お名前なんでしたっけ……」
輝子「……」
輝子「……フフ」
やよい「……?」
輝子「フフフ……。私、やっぱり、影薄い……」
やよい「? ……ヤッパリカゲウスイさん、ですか?」
輝子「ち、違う……そうじゃない」
12:2013/05/27(月) 16:51:57.98 :XdZReTe30
輝子「私は、ホシショウコ、そ、その、星のように輝く子で、ショウコ……」
やよい「星輝子さんですか! 私は高槻やよいですっ!」
輝子「う、うん……知ってる」
やよい「でも、星輝子さんって、……初めて聞いたような……?」
輝子「……だって誰も聞いてなかったから……」ボソボソ
やよい「ううん、きっと私の勘違いですよね! 輝子さんって呼んでもいいですか?」
輝子「……どうぞ……お、お好きに」
やよい「はいっ! それで、輝子さんも、夜ご飯のお買い物ですか?」
輝子「ま、ま、まあ、そんなところ……かな。……あなたも?」
やよい「はいっ! 今日はなんと、もやしが8割引きなんです!」
輝子「……モヤシ」
やよい「とってもお買い得かなーって!」
輝子「……モヤシイタケ」
やよい「?」
14:2013/05/27(月) 16:58:53.31 :XdZReTe30
―――モバマスプロダクション 事務所
ありす「……ふう」
幸子「これで全部ですか?」
ありす「はい、全部です。ありがとうございます、幸子さん。助かりました」
幸子「このくらい、気にしなくていいですよ。いつでもボクを頼ってください」
ありす「ふふ、もし今日みたいなことがあれば、またお願いします」
千佳「……」ジー…
薫「……ほえー」
ありす「……?」
幸子「? 二人とも、こっちをじっと見て、どうしたんですか?」
千佳「え? あ、えと……」
幸子「ははーん、さては、ボクのカワイさに二人して見とれちゃったんですね」
千佳「ううん、ちがうよ?」
薫「そうじゃないよ?」
幸子「…………そんなにすぐに否定することないじゃないですか」
15:2013/05/27(月) 17:05:39.58 :XdZReTe30
千佳「あのね、さっちゃんとありすちゃん、何だか大人のひとみたいだなーって思ったの。ね?」
薫「ね!」
ありす「大人のひと?」
千佳「うん。えーっとほら、『助かりもうした』とか、『気にしなくていい』とか」
薫「かおるのパパがえらい人と話してるときみたいだったよ。かっこいい!」
幸子「かっこいい、ですか……」
ありす「そんなこと、初めて言われましたね」
千佳「千佳も大きくなったらさっちゃんとありすちゃんみたいになれるかなあ?」
幸子「なれると思いますよ。二人とも」
薫「それもそれも!」
幸子「どれですか?」
16:2013/05/27(月) 17:10:35.23 :XdZReTe30
薫「さっちゃんってどうしていっつもていねい語なの?」
千佳「千佳もふしぎー! 千佳のことも、千佳さんって呼ぶよね?」
ありす「……そういえば、私のことも最初から橘さんって呼んでくれましたよね」
幸子「それは……まあ、こういう話し方をするのが、ボクの癖なんです」
千佳「いいとこのお嬢さまみたいだねっ!」
幸子「お嬢様ですか……んー……」
薫「? さっちゃん、どうしたの?」
幸子「何でもないですよ。ただ、ボクの知っているお嬢様のことを思い出しただけです」
ありす「お嬢様……西園寺さんとか、涼宮さんのことですか?」
幸子「……いえ、あの人たちとは真逆の人です」
ありす「はあ」
17:2013/05/27(月) 17:14:11.08 :XdZReTe30
千佳「そうだ、ありすちゃん!」
ありす「なに?」
千佳「このあと、デパートの屋上でマジカルヒロインショーがあって、
薫ちゃんといっしょに観に行こうって言ってたんだけど、ありすちゃんも来るー?」
ありす「えっ……マジカルヒロインショー?」
千佳「うん。行かなーい?」
幸子「もしかして、日曜日の朝にやってる……」
薫「それそれー! かおるはあんまりよく知らないけど、えっと、たしか女の子が
テクマクマヤコンなんとかかんとかーって言って、きらーんって変身するんだよ!」
幸子「……それ本当ですか?」
薫「あれえ? ちがったかなあ……」
18:2013/05/27(月) 17:21:42.97 :XdZReTe30
ありす「私はそういうの、観てないんだけど……」
千佳「そっかー。さっちゃんは?」
幸子「……あの、ボクがもし行かなかったら、どうするつもりなんですか?」
千佳「二人で行くよ?」
薫「千佳ちゃんとお出かけー!」
千佳「ねー」
薫「ねー」
幸子(どうしよう……いくら何でも、二人だけでデパートに行かせるわけにはいきませんね……。
手の空いてる人は…………いないみたいですし、ここはプロデューサーさんに――)チラッ
モバP「……」カタカタ
幸子「……」
幸子(――お願いするのも無理そうですね……あんなに忙しそうにしているんですから……)
19:2013/05/27(月) 17:26:49.56 :XdZReTe30
幸子「……」
幸子(……まあ、ボクがついていれば大丈夫ですよね! ボクはカワイイですから!)
幸子「みんなで行きましょう」
薫「へっ?」
幸子「こういうのは、みんなで行った方が楽しいんですよ! ね? そうしましょう!」
千佳「おおー」
薫「はーい、そうしまー!」
幸子(一応、プロデューサーさん宛てに書き置きを残しておきましょうか)
幸子「さあ、それじゃあ千佳さん、薫さん、橘さん、行きましょう!」
千佳「うん!」
薫「いっきまーす!」
ありす「は、はい……って、え? あの、私は行くとは一言も……あれ?」
20:2013/05/27(月) 17:37:05.11 :XdZReTe30
―――モバマスプロダクション 事務所
蘭子「……」カキカキ
蘭子(うーん……こっちはもっと明るい方がいいかな?)
蘭子「……♪」カキカキ
藍子「なに描いてるの?」
蘭子「きゃあっ!」バッ
藍子「あっ、ご、ごめんね!? 見てない、見てないから大丈夫!」
蘭子「……ク、ククククク……命拾いしたようね。もしも直視していたなら、アナタの”瞳”は灼かれていたわ。
(び、びっくりしたぁ……。藍子さんかぁ……)」
藍子「ごめんね?」
蘭子「……」
蘭子「資格あるものには、道は開かれる……(藍子さんなら、いいですよ)」
藍子「えっ、見せてくれるの?」
蘭子「……え、ええ」
21:2013/05/27(月) 17:48:02.67 :XdZReTe30
藍子「うわぁ~っ! 蘭子ちゃん、絵、じょうず!」
蘭子「ど、どうやらアナタにも世の歪みを視る力があるようね(そ、そんな、照れちゃいます……えへへ)」
藍子「これ何も見ないで描いたの?」
蘭子「ええ、そうよ」
藍子「すごいねっ」
蘭子「う……こ、この身に纏う黒衣を目視することは適わない……(あ、あんまり褒められると恥ずかしいです)」
藍子「ふふ、ごめんね。まさか見せてもらえるとは思わなくて……」
藍子「この前、プロデューサーさんに見られちゃったときは隠してたから、見られるのは嫌なのかなって」
蘭子「そ、それは……」
蘭子「我が下僕の現身を宿す故に……(プロデューサーの絵を描いてる時だったから……)」
藍子「そういうことかぁ」クス
藍子「それは確かに、プロデューサーさんには見せられないね」
22:2013/05/27(月) 17:54:50.91 :XdZReTe30
モバP「うん、呼んだ?」
蘭子「きゃあっ!?」バッ
藍子「あ、プロデューサーさん」
モバP「大丈夫だよ蘭子、見てない見てない」
蘭子「う、うう……たちの悪い(びっくりさせないで、プロデューサー)」
モバP「ごめん、驚かそうとは思っちゃいなかったんだけど」
藍子「プロデューサーさん、お仕事してたんじゃ?」
モバP「うん、ようやく一段落つきそうだし、ちょっと息抜きにコーヒー淹れようかと思って」
藍子「私お手伝いしましょうか」
モバP「んー、じゃペーパーフィルターセットしてもらっていいかな? 俺水入れてくるから」
藍子「わかりました」
23:2013/05/27(月) 18:02:23.41 :XdZReTe30
モバP「これでよし、と」
藍子「あとは待つだけですね」
モバP「そうだなー」
蘭子「……」
蘭子「我が下僕よ、天より祝福を賜ったのか?(プロデューサー、機嫌良さそう)」
モバP「ああ、わかる?」
蘭子「ククク、この私に見破れない結界はないわ(わかります、何だかいつもよりうきうきしてる感じ)」
藍子「そういえば、最近よく笑ってますね、プロデューサーさん」
モバP「ええ? そう? そんなにわかりやすいかなあ、俺……ちょっと恥ずかしいぞ」
藍子「何かあったんですか?」
モバP「いやな、この前、中学卒業と同時に引っ越しちゃった同級生と久しぶりに会えたんだ」
藍子「そんなことが」
モバP「うん。当時は携帯なんて持ってなかったし、引っ越し先も聞かなかったから諦めてたんだけどさ。
……仕事先で偶然再会して。いやもう、お互い悪ガキだったのがすっかり大きくなっててなー」
蘭子「円環の律に導かれたのね(そういうのいいなー)」
25:2013/05/27(月) 18:11:20.39 :XdZReTe30
モバP「でまあ、同業者だということもわかって、せっかくなら使えるコネは使わないとってことで、
あれからちょくちょくやりとりしてるんだ」
藍子「ふふっ、プロデューサーさん、楽しそうです」
モバP「そう?」
藍子「はい。まるで男の子に戻ったみたい」
モバP「……そうかもな。この歳になってやんちゃ時代の仲間に会うと、どうしてもな」
蘭子「馬鹿な……かつて破壊神と呼ばれた代の記憶がまだ残っているというの?
(プロデューサーのやんちゃだった頃なんて、想像つかない……)」
モバP「ブランコ最大まで漕いで飛び出す遊びとかしてたぞ」
ピピーッ
モバP「お、できた」
26:2013/05/27(月) 18:15:35.62 :XdZReTe30
蘭子「……っ」
藍子「もう。プロデューサーさん、だめですよ、そんな危ないことしたら」
モバP「熱っ……いや、今の俺に言われてもなあ……。……ところで蘭子、どうした?」
蘭子「え?」
藍子「え?」
モバP「ん?」
蘭子「我の名を呼んだか?(私ですか?)」
モバP「蘭子、今一瞬『しまった』って顔しなかったか?」
蘭子「……案ずることはない。この一時、宿る魔力が切れただけ……すぐに回復するわ。
(それなら、使ってた色がなくなっちゃっただけだから平気! 今から買ってきます)」
モバP「ああ、そう……色鉛筆?」
蘭子「然り(うん)」
27:2013/05/27(月) 18:20:45.33 :XdZReTe30
藍子「……よく見てますね、プロデューサーさん」
モバP「うちのプロデューサーはみんなこんなもんだ」
蘭子「いざ、生命の泉に身を浸そう!(じゃあ私、色鉛筆買いに行ってくる!)」
藍子「あ、ちょっと待って蘭子ちゃん。私もついていっていいかな?
さっきレッスン終わったところで、時間もあるし」
蘭子「新たなる闇の眷属……多いに歓迎するわ(もちろん♪)」
藍子「ありがとう。それじゃあプロデューサーさん、少しお散歩に行ってきますねっ」
蘭子「翼よ、主の呼び声に応えよ!(行ってきまーす)」
モバP「ああ、行ってらっしゃい」
モバP「さ、俺もあとひと踏んばり……――ん?」
モバP(何だコレ……書き置き?)
28:2013/05/27(月) 18:28:59.05 :XdZReTe30
―――デパート 雑貨・服飾品エリア
真美「ねーねー、あっちの方に、イタズラグッズもいっぱい売ってる百均が新しくできたんだって!」
亜美「そうなの? それは要チェックっしょ、今から行ってみようよー!」
伊織「ちょっと! アンタたちねえ……」
真美「なに? いおりん」
亜美「いおりんも一緒に行く?」
伊織「あのね、私たちは、衣装のアイデアを考えるために、オフ潰してわざわざデパートまで来たんでしょ?」
千早「そうよ、二人とも。まずはそっちを優先しましょう」
真美「はあ~い」
亜美「ちぇー……」
伊織「まったく……イタズラのことしか考えてないんだから……」
29:2013/05/27(月) 18:37:23.04 :XdZReTe30
真美「でもさー、こういうのは兄ちゃんとか律っちゃんに任せとけばよくない?」
亜美「そーそー。亜美たち、兄ちゃんたちのセンスで困ったことないしさー」
伊織「それは、そうかもしれないけど……でも」
千早「そうはいかないわ」
真美「どーして?」
千早「今度の衣装は借り物じゃないの。事務所の備品として発注するのよ」
伊織「ずっと付き合っていく衣装だもの、任せっきりじゃもったいないじゃない?」
亜美「へえー……そうだったんだ」
伊織「そうだったんだ、って……。アンタたち、プロデューサーと律子の話ちゃんと聞いてた?」
真美「いやー、どうやらムズカシーいお話だったようでしたので……」
伊織「……はぁ……」
30:2013/05/27(月) 18:43:57.10 :XdZReTe30
千早「とにかく今日の目的は、どんな衣装が着たいか、アイデアを持って帰ることよ。
他のみんなもそれぞれ考えているはずだから」
亜美「がってん承知!」
真美「真美たちのファッションセンスが活かされるときが来たようだね!」
伊織「いいこと? あずさや貴音も着られるデザインにするの、忘れないでよね」
亜美「んもう、分かってるってば~」
真美「いおりんったらお小言が多いんだから~」
亜美「亜美たちはイジワルな継母に虐められるかわいそうな双子……」
伊織「誰がイジワルな継母よ!」
千早「……ふふっ」
31:2013/05/27(月) 18:48:28.39 :XdZReTe30
真美「ところでさー、せっかくブティック見て回るんだから、ついでに服買ってかない?」
亜美「おおぅ、それはいい考えですなー。いおりんもそれならいいっしょ?」
伊織「私は用事が済んだあとなら、何したっていいけど」
真美「千早お姉ちゃんは?」
千早「私も構わないわ」
亜美「んじゃ、決まりだねっ」
真美「んー、こーゆーところに来るのも久しぶりだから、胸が戦っちゃうよ~」
伊織「どんな競技なのよ。それを言うなら高鳴る、でしょ」
千早「三人とも楽しそうね。買ってきたら、私にも見せてくれるかしら」
真美「え?」
亜美「え?」
伊織「え?」
千早「……えっ?」
32:2013/05/27(月) 18:56:08.05 :XdZReTe30
千早「私、何かおかしなことを言ったかしら」
伊織「何って、千早は一緒に来ないの?」
千早「ええ。私は一通り服を見たら、店の外で待っているつもりでいたのだけれど」
亜美「ええ~っ? そんなのつまんないじゃーん」
真美「そーだよ、真美たちがバッチリコーディネートしてあげるから、千早お姉ちゃんも一緒に来てよー」
千早「あの、私は別に……服は足りているし」
真美「『ダメだよ、勿体ないよ千早ちゃん! せっかく、千早ちゃんは可愛いんだから!』」
亜美「さっすが真美、はるるんにそっくり!」
千早「ふ、二人とも……」
亜美「じゃそーいうことでっ」
真美「さっさと衣装のアイデア、ゲットしちゃおっか!」
千早「……」
真美「どんなのが似合うかなー」
亜美「キュート系かー、クール系かー……それともあえてパッションかな?」
伊織「にひひっ♪ ……千早、諦めなさい?」
千早「……そうするわ」
35:2013/05/27(月) 19:07:28.23 :XdZReTe30
―――デパート 地下スーパーマーケット 加工・冷凍食品コーナー
響「うーんと……こっちのは、電子レンジで一瞬温めてから入れるけど、
こっちのは、何もしないでそのまま入れればおかずの代わりになるやつ」
貴音「ふむふむ」
響「おかずを最初から全部作ろうとすると大変だから、
まずはこういう冷凍食品をサイドメニューにして、だんだん慣れていくといいぞ」
貴音「そうなのですか」
響「それと、空いたスペースに入れるなら、ミニトマトとかブロッコリーを使うこともよくあるよ」
貴音「なるほど」
響「オススメは……あっ、これとかよさそうだな。冷凍惣菜6種類、お弁当の友!」
貴音「それはそれは、頼りがいのある名前ですね」
響「言っとくけど、お弁当一つにつき1種類だからな。一回で全部使っちゃ駄目だぞ」
貴音「なんと」
36:2013/05/27(月) 19:13:20.09 :XdZReTe30
響「……それにしても、貴音がいきなりお弁当作りを教えてほしいとか言うなんてなー」
貴音「……やはり、おかしいでしょうか?」
響「ううん、そんなことないさー。けど、珍しいから、何か理由があるのかなって」
貴音「いえ、特別なことは何もありませんよ。ただ……」
響「ただ?」
貴音「この頃、仕事先でお腹が空くということがよくあるのです。本番中はなおのこと、
休憩中でも、いつもいつも売り屋へ急いでいては、皆に迷惑がかかりますから」
響「それでお弁当?」
貴音「そうです」
響「ふーん。……でもそれなら、事務所に行く途中のコンビニで何か買った方が楽じゃないの?
あ、それかロケ弁をもらっちゃうとか。お弁当を作るっていっても、朝は忙しいぞ」
貴音「せっかくの機会なので、修行をしようかと思いまして」
響「そっか。ま、貴音なら大丈夫だよね。後で春香とかやよいにも聞いてみるといいぞ。
特にやよいは、お弁当のことなら765プロいち詳しいだろうからなっ!」
貴音「……おや」
37:2013/05/27(月) 19:18:21.91 :XdZReTe30
響「もちろん、自分も協力するぞ! わかんないことがあったらどんどん聞いてよ!」
貴音「……ふむ」
響「……」
貴音「……」
響「……え、あれ? 貴音?」
貴音「……」
響「おーい、たかねー? どうしたんだよー?」
『お弁当にオススメ! 冷凍ミニハンバーグの試食はこちらです!』
貴音「……美味しそうな」
響「貴音」
貴音「はっ」
38:2013/05/27(月) 19:40:42.23 :XdZReTe30
響「さっきお昼食べたばかりだぞ」
貴音「さて、何のことやら。私は、美味しそうな匂いにつられてなどおりませんよ」
響「ホントかなあ……」
貴音「真です」
響「まっ、いいか。それじゃいい感じに時間も潰れたし、買い物の前に、仕事終わらせちゃおう。
ここの屋上に現地集合でいいんだよな?」
貴音「ええ、そのように仰せつかっています。では参りましょうか……」
『えー、こちらは新商品! ご当地インスタントラーメン!
そこの奥さん、どうでしょう? ご試食いかがですか?』
貴音「――申し訳ありません、響、先に屋上へ向かっていただけますか?」
響「え?」
貴音「心配には及びませんよ。必ず追いつきますので……では」
響「え、えっ? 貴音どこいくんだ?」
貴音「らぁめんのもとへ」
響「ちょ、ちょっと待ってよ! たかねー!」
39:2013/05/27(月) 19:55:18.36 :XdZReTe30
―――デパート 地下スーパーマーケット 生鮮・日配食品コーナー
やよい「……なんだか、向こうの方がちょっぴり騒がしいですね?」
輝子「誰か、暴れてるのかも……しれないね」
やよい「ええっ!? ……うー、そんな怖いこと言わないでください……」
輝子「毒キノコ食べては、半狂乱……フヒヒ」
やよい「お店の中できのこを食べる人はいないんじゃないかなーって」
輝子「……」
やよい「……」
輝子「……そうか」
40:2013/05/27(月) 20:00:11.51 :XdZReTe30
やよい「あっ!」
輝子「!?」ビクッ
やよい「よく見たら、輝子さんのカゴ、いろんなきのこでいーっぱいですっ!
もしかして今日、輝子さんのお家はきのこ祭りですか?」
輝子「キノコ……祭り?」
やよい「……えっと、違いました?」
輝子「キノコ祭り。……イイ、そ、それ、いい響き。たぶんそれ」
やよい「えへへ、すごく面白そうですー! それに、きのこは栄養があっておいしいですよね!」
輝子「う、うん。や、やよ……あなたは、わかってる」
やよい「……うーん、きのこかあ……家族のみんなにも食べさせてあげたいかも……」
輝子「……」
やよい(でもでも、今日は高いし……また別の日かなあ)
輝子「そ、それなら」
42:2013/05/27(月) 20:09:16.19 :XdZReTe30
輝子「……」ゴソゴソ
輝子「……これ、あげる」
やよい「え?」
輝子「キノコ……おいしくて、栄養がある、じ、自慢の……トモダチ」
やよい「そ、そんな、ダメですよ! 悪いです!」
輝子「キノコ好きに、悪い人はいない……いないから」
やよい(ど、どうしよう……)
やよい「……」ハッ
やよい「……」ゴソゴソ
やよい「それじゃあ、私からも、はいっ!」
輝子「……モヤシ」
やよい「もやしですっ!」
44:2013/05/27(月) 20:13:27.46 :XdZReTe30
やよい「安くてたくさん食べられて、栄養もあって、とってもおいしいですよ!」
輝子「こ、これを……どうしろと?」
やよい「あの、タダできのこをわけてもらうのは、申し訳ないかなーって気がして……」
輝子「……」
やよい「だから、もやしときのこを交換しませんか? それなら両方食べられますよね!」
輝子「ヒヒッ、そ、それはいい考え」
やよい「えへへっ! こうすると、いつもよりお得な気分かもー!」
輝子「……けど」
輝子「よく考えたら、ま、まだレジ、……行ってないよね」
やよい「はわっ! そうでした!」
45:画像ありがとうございます、もう出ません:2013/05/27(月) 20:50:54.10 :XdZReTe30
―――デパート 雑貨・服飾品エリア
千早「……」
真美「いやー、楽しかったねー」
亜美「ホントホント、千早お姉ちゃんは着せ替えがいがあるよ!」
千早「……元気ね、二人とも」
伊織「ちょっといいかしら? 亜美も真美も、最初の目的、忘れたりしてないでしょうね」
真美「もっちろん! ここ(頭)にアイデアばんばん詰めこんでるよ!」
亜美「インスピレーション溜まりまくりだから、心配しなくてもへーきへーき」
伊織「それを聞いたら不安になったわ」
真美「んじゃ次の店いってみよー!」
亜美「おー!」
千早「今度は別のお店に行くの?」
真美「? トーゼンっしょ?」
46:2013/05/27(月) 20:59:22.31 :XdZReTe30
千早「そういうものなのかしら……」
伊織「……千早って、お店をハシゴしたりしないタイプなのね。予想はしてたけど」
千早「ええ、服を買うなら一店でこと足りるもの」
亜美「あっ、ひょっとして、お気にのお店があるとか?」
千早「お店には、特に拘っていないけれど」
亜美「……これはこれは予想以上ですな、真美隊員」ヒソヒソ
真美「……まったくですな、まさかここまで色気がないとは……」ヒソヒソ
伊織「余計なお世話かもしれないけど、私も千早はもう少しお洒落していいと思うわよ」
千早「お洒落……」
千早「全く興味がないと言えば嘘になるけれど、深く考えたことはなかったわ」
亜美「ならば、そんな千早お姉ちゃんにお届けする、次なるコーディ……――ねいっ!?」
真美「どったの? 亜美」
亜美「あ、あれ見てよ! あれはもしや……伝説といわれたゴスロリでは……」
伊織(ゴスロリ?)
蘭子「あっ」
伊織「あっ」
47:2013/05/27(月) 21:07:40.50 :XdZReTe30
蘭子「闇より生まれた精霊よ、我が召喚に応じるがいい!(こんにちは!)」
亜美「えっ? な、なんかこっち来たよ」
真美「あの黒い人、いおりんに向かって喋ってない?」
伊織「……そうみたいね」
千早「ということは、この子は、水瀬さんのお知り合い?」
伊織「まあ、そんなところ……なんだけど」
蘭子「貴女も円環の律に従ったようね(お久しぶりです。前に共演させていただいた神崎蘭子です)」
伊織「は、はぁ……?」
亜美「……ねえ真美、今の日本語?」
真美「……真美に聞かれても」
千早「……私にも何を言っているのかよくわからないのだけど……」
蘭子「……!(ああっ、やっちゃった!)」
蘭子「あ、あぅ……そ、その(……うう、藍子さん助けてー!)」
藍子「ふふっ、ちょっといいですか?」
藍子「蘭子ちゃんは、『こんにちは、お久しぶりです』って言ってますよ」
伊織「あら、そ、そうなの、こんにちは。……それで、あなたはどちら様?」
48:2013/05/27(月) 21:17:05.72 :XdZReTe30
藍子「あ、ご挨拶が先でしたね。はじめまして、私、モバマスプロダクション所属の高森藍子です」
蘭子「私の名は神崎蘭子、この世の変遷を見定めし者よ!(私は神崎蘭子です! 同じくモバプロ所属です!)」
亜美「なんとまあ……」
真美「ご丁寧にどうも……」
伊織「あなたとははじめましてね。ええと……そうね、まずはこちらも紹介するわ。
765プロの、如月千早、双海亜美、双海真美、それから私は水瀬伊織よ」
千早「はじめまして」
蘭子「暁の女神(はじめまして!)」
藍子「皆さんのことはお話だけ伺っていましたが、お会いできて嬉しいです。
蘭子ちゃんもご一緒したことがあるそうで……事務所のみんながお世話になっています」ペコ
蘭子「悪魔の刻印は忘れ去られた記憶を呼び覚ますわ(その節はありがとうございました)」
藍子「その節はありがとうございました、だそうです」
伊織「こちらこそ。あの日は楽しかったわ」
真美「あー……そういうカンケイかー」
49:2013/05/27(月) 21:26:37.37 :XdZReTe30
亜美「ところでゴスロリのお姉ちゃん」
蘭子「双魔の片割れよ?(私ですか?)」
亜美「その……さ、今しゃべってるのって……何語?」
蘭子「へ?」
亜美「よかったら亜美にそのへんちくりんな言葉教えてよ! なんか面白そうだし!」
蘭子「……(へ、へんちくりん……)」
真美「あ、いいなー! 真美にも教えて!」
蘭子「ククク……いいでしょう、彼我の違いをたっぷりと思い知らせてあげるわ……」
亜美「なんて言ってるの?」
真美「いやーさっぱりー」
亜美「亜美にもさっぱりー」
真美「でもま、いいでしょうって言ってるんだし、いいってことっしょ!」
蘭子「そう、真黒の光が地を照らす……(ご明察!)」
50:2013/05/27(月) 21:35:02.86 :XdZReTe30
千早「二人とも、本当に元気ね……」
藍子「蘭子ちゃんもノリノリみたいですよ」
伊織「こういうときだけは亜美と真美が羨ましいわ」
藍子「そういえば、今日は皆さんどちらに?」
千早「私たちは服を見て回っていたところです」
伊織「新しく衣装を作ることになって、それでちょっとね。あなたたちは?」
藍子「私は蘭子ちゃんの付き添いです。でももう、用は済みました」
蘭子「闇に飲まれよ!」
亜美&真美「「闇に飲まれよ!」」
通行人「!?」
藍子「ふふっ、蘭子ちゃん楽しそう」
藍子「……でも、他の人の邪魔になっちゃいますから、場所を変えましょうか」
伊織(……失礼だけど、あの事務所にもまともな人がいたのね)
51:2013/05/27(月) 21:50:38.30 :XdZReTe30
―――デパート 屋上 特設ステージ客席
幸子(こんにちは、カワイイ輿水幸子です)
幸子(ボクは今、小学生組と一緒に、マジカルヒロインショーを観に来ています)
『これでどうだ!』
『くっ……なかなかやるなっ! けど、自分たちは負けないぞっ!』
『貴女がたが行った暴虐の数々……許されざることです。私たちが直々に成敗してさしあげましょう』
幸子(ボクの事務所にも、こういったショーに出るお仕事がたまに入ります)
幸子(だから、それほどおかしなことでもないんでしょう)
幸子(この前ご一緒した、四条貴音さん)
幸子(舞台の上で、知った顔が演じているのを見つけてしまいました)
『あなたたちを倒してみせる! この世界を守るために!』
『さあて、どこまで保つかなー? どこからでもかかってくるさー!』
『ふふふ……ふふふふふふっ! ……ええ、受けて立ちましょう。そして絶望に打ち震えるがよい!』
幸子(……敵役を)
52:2013/05/27(月) 22:02:15.39 :XdZReTe30
千佳「がんばれーっ! がんばれマジカルストロベリーっ!」
薫「ふぁいとーっ! おー! まけるなー!」
ありす「ああ、右! 右側が空いてますよ、チャンスです!」
幸子(みんな、楽しんでいるみたいで何よりですが……)
『がんばれー!』
『いっけーマジカルラズベリー!』
『ボイセンベリー!』
幸子(周りにいるのは、小学生より下の小さい子か、お母さんがたばかり……)
幸子(……)
幸子(ちょっと居づらいです)
54:2013/05/27(月) 22:16:09.03 :XdZReTe30
『うがあっ! やられたっ!』
『……この私たちが、ここまで追い詰められるとは……』
『観念しなさい! あなたたちの野望はここまでよ!』
幸子(……しかし)
幸子(765プロのような大きなプロダクションのアイドルでも、こういう仕事をするんですね)
『…………ふふふ……』
『何がおかしいの!?』
『貴女がたは既に勝った気でいるようですが……これで終わりだなどと、思わないことです!』バシュッ!
『危ない!』ブォン!
『自分たちに全力を出させたこと、それだけは褒めてやるぞ!』ギィン!
『わかったわ、これが最後の勝負ね……。私たちは絶対に、負けない!』ゴオオオオ
幸子(あ、仕掛けはちょっと豪華)
幸子(でも、小さな仕事も大事にする姿勢は、ボクたちも見習わないと……)
55:2013/05/27(月) 22:34:12.88 :XdZReTe30
―――デパート 屋上 特設ステージ裏手
スタッフ「お疲れさまでしたー」
貴音「お疲れさまでした」
響「お疲れさまでしたー!」
貴音「見事な演技でしたよ、響」
響「ありがと! それに貴音もな! 躱して払うとこ、上手かったぞ!」
貴音「私も、響の、必殺技を受けて後方に跳ぶ演技には感嘆いたしました」
響「へへん、自分、スタントの素質があるって褒められたからな!」
響「……プロデューサーには『そういう危ないのは……』って微妙な顔されたけど」
貴音「その顔が目に浮かぶようです。大切にされていますね、響」
響「えへへ……。あ、あとは振り下ろしがちょっと早すぎたかな。こっちから攻めるところ」
貴音「ええ。そのあとの反撃は、避けるために下がりすぎましたね」
響「次は気をつけないとなー」
幸子(挨拶をしようと思って来ましたが、このレベルの高い楽屋トークは……)
貴音「おや? 貴女は……」
56:2013/05/27(月) 22:44:49.47 :XdZReTe30
幸子「あっ、こんにちは!」
貴音「貴女は、もばぷろの輿水幸子……で間違いないようですね。何故このようなところに?」
幸子「あの、たまたま今のショーを観に来ていたので、ご挨拶しようと」
貴音「それはそれは……わざわざありがとうございます」
響「? 貴音の知り合いか?」
貴音「ええ、以前仕事を共にしたのです」
貴音「紹介しましょう。こちらはもばぷろの輿水幸子。こちらは私の友人の」
響「自分、我那覇響だぞ! よろしくなっ……よろしくお願いします!」
幸子「こちらこそ――」
千佳「あーっ!」
薫「あーっ!」
57:2013/05/27(月) 22:49:50.32 :XdZReTe30
薫「さっちゃんが怪人グレープたちと仲よくしてるー!」
千佳「そんなっ……さっちゃんって、まさか……!」
ありす「そちらの方たちとお知り合いだったんですか?」
幸子「ええまあ、半分は……」
貴音「輿水幸子、こちらの方々は?」
幸子「この子たちはボクと同じ事務所の子たちです」
千佳「さっちゃん! そっちはダメだよ、お願い戻ってきて!」
響「へへん、こいつは自分が乗っとってやったんだ! ついでにお前たちも乗っとってやるぞー!」ウガー
薫「わー♪」
千佳「きゃー♪」
ありす「……」
幸子「……」
貴音「……」
響「……」
ありす「……」
幸子「……」
貴音「……」クスクス
響「……な、なんだよみんなして……」
58:2013/05/27(月) 22:53:13.77 :XdZReTe30
貴音「はて、それはそうと、そちらのしょーとぱんつの方」
薫「かおるのこと?」
貴音「私は貴女ともどこかで会ったかのように思うのですが……私の顔に見覚えはありませんか?」
薫「ええ? うーんと……うーんと……」
薫「……はい! 覚えてる! お料理さしすせそのお姉さんだよね? おおきいほうの!」
貴音「おおきいほうですか……ふふ、確かにそうですね」
貴音「ならば、やはり貴女は、げすとで例の番組に出演したことがあるのですね?」
薫「うん、ありまー!」
貴音「本日は見知った顔によく出会う日のようです」
「――あれっ?」
59:2013/05/27(月) 22:55:05.11 :XdZReTe30
やよい「響さんと貴音さん! こんにちは、ぐうぜんですね!」
薫「あ、ちいさいほうのお姉さんもいたー!」
貴音「なんと、やよいではありませんか」
響「やよい! なんでここにいるんだ?」
やよい「えへへ、今日は野菜セールだったので、このデパートまでお買い物に来たんですっ!」
やよい「いっぱい買っちゃったから、少し休憩してから帰ろうかなーって」
響「ふうん、そうなのか」
輝子「……そして私は、そ、そのおまけです」ヒョコ
貴音「貴女は」
ありす「輝子さん!」
千佳「きのこのお姉ちゃんだー!」
幸子「輝子さんもお買い物ですか?
……両手の袋がきのこで大変なことになっていますけど大丈夫ですか」
輝子「うん」
60:2013/05/27(月) 22:57:20.94 :XdZReTe30
やよい「皆さんは何をしてたんですか?」
響「自分たち、さっきまでこのステージでショーをやってたんだぞ」
やよい「もしかして、ミニライブ!?」
響「いや……ま、魔法少女の……」
千佳「マジカルベリーだよ」
やよい「あっ、それ、聞いたことあります。日曜朝の番組ですよね! 響さんは誰の役……」
響「ま、まあそれは置いといて、やよい」
やよい「?」
響「その買い物袋、重たそうだけど、家まで歩いて持って帰るのか?」
やよい「? はい、そのつもりですよ?」
響「そっか、あのさ、予定だとこれからプロデューサーが迎えに来てくれることになってるんだけど、
自分たち、ついでに買い物をしたいって頼んでたんだ」
響「だから、少し待ってたら、たぶんプロデューサーはやよいも一緒に送ってくれると思うぞ」
やよい「本当ですか!? それはすっごく助かるかもー!」
61:2013/05/27(月) 22:58:59.42 :XdZReTe30
ありす「……?」
ありす「……」
ありす「幸子さん、幸子さん」
幸子「なんですか?」
ありす「さっきから、スタッフの人がずっとこっちを見ているんですけど……」
幸子「どの人ですか」
ありす「あっちの……あのへんの人たちです。さっきまで電話をしていたと思ったら」
幸子「ああ、本当ですね。……それに、あっちの人は頭を抱えて……どうしたんでしょう」
貴音「もし」
ありす「はい?」
貴音「あちらの方がたが私たちを見ているのは、私たちが大人数だからでは?」
ありす「そういうことでも、ないような……」
「――あら?」
62:2013/05/27(月) 23:03:53.32 :XdZReTe30
伊織「やよいじゃない。それに皆も」
やよい「伊織ちゃん!」
亜美&真美「「やよいっち!」」
響「亜美と真美じゃないか!」
千早「我那覇さん?」
貴音「千早まで」
蘭子「巡る風は再び旅人を邂逅させる……(あ、四条貴音さん!)」
ありす「蘭子さん」
藍子「どうしてみんなここに……」
幸子(すごく頼りになりそうな人が……!)
千佳「なんか人がいっぱいだねー」
薫「すごいね! ねっ!」
輝子「ヒッ!? あ、う、うん……」
63:2013/05/27(月) 23:07:20.03 :XdZReTe30
幸子「だいぶ人数が増えましたが……あっ」
ありす「スタッフの人たちがこっちに来ましたね」
スタッフA「あの、皆さんすみません、お伺いしたいことがあるのですが……」
響「ん?」
蘭子「何かしら?(何かご用ですか?)」
スタッフB「765プロさんと、モバプロさんのアイドルの皆さんですよね?」
伊織「ええ、私たちが765プロで」
藍子「私たちがモバプロです」
スタッフA「プロデューサーはいらっしゃいますか?」
藍子「今は私たちだけですけど……お仕事に関係があるお話ですか?」
スタッフA「はい、急な話なのですが……」
スタッフB「皆さんのアイドルとしての活躍を見込んで、ひとつお願いごとが――」
64:2013/05/27(月) 23:29:37.34 :XdZReTe30
「「「ゲリラライブ!?」」」
スタッフA「はい、今日は本当はこのあとにもう一組、イベントを予定していたんですが」
スタッフB「さきほど、急遽来られなくなったと連絡がありまして」
スタッフC「そこで、本来事務所を通すものとは重々承知していますが、
皆さんの都合さえ良ければ、ステージイベントのオファーを今ここでできないかと……」
亜美「だって! どうするどうする~!?」
真美「面白そうな気配がプンプンだね!」
千佳「ショーの続きをやるのー?」
薫「ライブってかおるも出られるのかなあ?」
伊織「アンタたち、落ちつきなさいよ! こんなのは私たちだけじゃ決められないわ」
幸子「ですよね、ボクたち、オフの格好ですし……できるんでしょうか?」
P「まあまあ、真美じゃないけど、面白そうじゃないか」
千早「ですけど、色々と問題が……――」ハッ
モバP「やってみたらいいんじゃないか?」
蘭子「天啓に身を委ね……(そうは言っても……――)」ハッ
「「「プロデューサー!?」」」
65:2013/05/27(月) 23:33:02.20 :XdZReTe30
P「響、貴音、おまたせ。何で他のみんなもいるのかは知らないが」
やよい「すごいぐうぜんなんですよ! たまたまみーんなこのデパートに来てたんですー!」
貴音「プロデューサー、この状況でライブができるのでしょうか」
響「自分、なんにも用意してないぞ! 衣装だって、さっきまで着てた悪役のくらいしかないし……」
真美「別に私服ライブでいいんじゃない?」
千早「ええっ、私服!?」
亜美「千早お姉ちゃんもさっきいい服買ったっしょー、ヘーキだってー。それより兄ちゃん、曲あるの?」
P「曲? ああ、もちろん持ってるぞ。心配するな」
伊織「ちょっと待って、本当にやるつもりなの!? プロデューサー!」
66:2013/05/27(月) 23:35:22.80 :XdZReTe30
藍子「プロデューサーさん、二回目ですけど、お仕事はどうしたんですか?」
モバP「終わらせてから来たよ。幸子たちのことが不安で。……書き置きを残したのは偉い」
幸子「ふふーん、もっと褒めてくれてもいいんですよ!」
薫「せんせぇ、かおるたちライブやるの?」
千佳「はいはーい! 千佳はライブやりたいな!」
蘭子「花々の甘美なる響きなくして、蝶が舞うことはできない……(曲とか音源ありましたっけ?)」
モバP「音源ならあるよ、普段からお前たちの曲は持ち歩いてる。こんなこともあろうかとな」
ありす「準備よすぎませんか」
輝子「ここで、あ、アレやる……やるの? い、言われればやるけど……」
67:2013/05/27(月) 23:38:38.56 :XdZReTe30
モバP「マイクはいくつありますか?」
スタッフA「ハンディは、ワイヤレスが3つ、あと有線入れて7つあります」
P「ああ、それならちょうどいいですね。スピーカーは……」
スタッフB「大きな機材はこっちに……」
アレハコーデ コレハコーデ アーナルホド
伊織「……ねえ、勝手に話が進んでるんだけど。大丈夫なの?」
幸子「まあいいじゃないですか。やりましょうよ、ライブ」
蘭子「冥府の扉をいざ開け放たん!(せっかくの機会ですもんね)」
やよい「また一緒にお仕事できますね!」
輝子「じゃ、と、とりあえず……買い物袋は、こっち」
貴音「ところで、私たちは何を歌えばよろしいのでしょうか」
68:2013/05/27(月) 23:41:22.12 :XdZReTe30
P「そうだな、こんな感じのステージ進行を考えてみた」
真美「早っ!」
ありす「今考えたんですか? これ」
亜美「インド人もビックリだよ……」
モバP「ライブバトル形式か……ならこっちにMC挟んでうちはここで数曲、そちらさんがここで数曲か?」
P「うん、それがいいな。どうだ、みんな?」
響「自分はやるぞ! さっきまで動いてたから、ベストコンディションだしなっ!」
千早「心配なことは色々とありますが、まあ、私は歌えるなら……」
モバP「普段やってるライブバトルのレッスン通りにやれば大丈夫だから! な、やろうぜ!」
藍子「もう……本当に男の子みたいですね、プロデューサーさん?」
千佳「やったー! さっきから千佳もステージ乗りたいなーって思ってたんだ!」
薫「がんばります!」
69:2013/05/27(月) 23:45:57.13 :XdZReTe30
伊織「今日はオフだと思ってたのに、まさかこんなことになるなんてね……」
幸子「ボクたちモバプロアイドルのカワイさをお客さんに知らしめるチャンスですから、容赦しませんよ!」
伊織「にひひっ、アンタは相変わらずね? 私たち765プロだって、負けないわよ!」
P「それじゃあみんな、急なステージだけど――」
モバP「――日頃のレッスンの成果、見せてくれ」
「「「はいっ!」」」
70:2013/05/27(月) 23:46:42.39 :XdZReTe30
―――デパート 屋上 特設ステージ
「皆さん、こんにちは! 合同ゲリラライブへようこそ!」
「今日は事務所対抗ライブ、やっちゃいます!」
「765プロとモバプロのライブバトル! みんなーっ! 楽しんでいってねー!」
おわり
71:2013/05/27(月) 23:47:34.20 :XdZReTe30
以上です。お疲れさまでした。
勢いで書きました。変なとこあったら教えてください。
最後とか。7人のライブバトルとか。
途中レスくれた方々ありがとうございました。
元スレ
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