1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:12:57.09 ID:kjeGQsR00
P「悪い、流石にそれは無理だよ」
千早「……」
P「分かるだろ。俺たちはそういう関係にはなれないんだ」
千早「アイドルと、プロデューサーだから……ですか?」
P「ああ。もしも、バレたら大変なことになるだろ?」
千早「で、ですが……。その、バレないように……」
P「そういう問題じゃないだろ?ほら、下らないこと言ってないでレッスンでもしたらどうだ?」
千早「下らないって、……そんな」
春香「ち、千早ちゃん……」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:14:06.79 ID:kjeGQsR00
春香「あ、あの。プロデューサーさん」
P「ん」
春香「えっと、その……」
P「どうした、何かあった?」
春香「あの、千早ちゃんの事なんですけど」
P「……ああ、聞いてたのか」
春香「はい、……それで、あのですね。えっと……」
P「あのフリ方は思いやりがないと思います、か?」
春香「……だって、下らないとか言ってましたし」
P「仕方ないだろ、アイツ自身のためなんだ」
春香「で、でも」
P「わかった、とりあえず聞いてくれ」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:17:31.57 ID:kjeGQsR00
P「千早にも言ったけど、バレたらどうする?」
P「一般人とか、俳優とか、同じアイドルならまだしも」
P「俺だぞ。……変な噂がたって、ツラいのは千早だろ」
春香「……そ、それは、そうですけど」
P「それに。ここがそういう事務所だってなってみろ。お前だって困るんだ」
P「俺も、確実にクビだしな」
P「だから、……アイツには悪いけど。受け入れるわけにはいかないよ」
P「……でも、そうだな。流石に冷たすぎたよ」
P「フォローとか、そういうの任せてもいいか?お前は千早と仲いいだろ?」
春香「わかりました……」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:21:44.25 ID:kjeGQsR00
春香「千早ちゃん」
千早「……春香」
春香「元気出して、プロデューサーさんだって千早ちゃんが憎くてふったわけじゃないんだよ?」
千早「ええ、それは分かってるわ。私や、事務所のためだったって事も」
千早「でもね、春香」
千早「……それでも、少しツラいわ」
春香「そうだよ、ね……」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:27:12.55 ID:kjeGQsR00
千早「もしかすると、って希望があったのかもしれないし」
千早「いいえ、どうせなら彼ならきっとって思ってかもしれない」
春香「……あ、千早ちゃん。すっぱい葡萄って知ってる?」
千早「イソップ寓話かしら?」
春香「うん。プロデューサーさんに聞いた話なんだけど」
春香「キツネが葡萄が欲しいのに、いくら頑張ってもとれなくて」
春香「結局、キツネは「あの葡萄は酸っぱい。だから食べてあげない」って負け惜しみをいうんだって」
春香「……だ、だから。千早ちゃんも、ね?」
千早「……」
千早「プロデューサーは、私にとって下らない男……」
春香「……ごめん、思えないよね。好きな人なんだもん」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:31:02.35 ID:kjeGQsR00
千早「……ごめんなさい」
春香「えっ、なんで千早ちゃんが」
千早「変に気を使わせてるでしょう?」
春香「だって、千早ちゃんは私の……」
千早「……春香、ありがとう」
千早「おかげで少し、楽になったわ」
春香「……本当?」
千早「ええ。心配しないで……、大丈夫」
千早「もう、大丈夫だから」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:36:23.17 ID:kjeGQsR00
翌日
P「……ちょっとまて、レッスン中止だ」
春香「どうかしたんですか?」
P「どうしたも何も」
P「千早、レッスンに身が入ってないな。心ここにあらずだぞ」
千早「そ、そんなことは」
P「……わかった、千早はちょっと休んでていいぞ」
P「春香、真。そのまま続けてくれ」
春香「あ、はいっ!」
真「ねえ、千早何かあったのかな?」
春香「……みたいだね」
春香(他の人には、いわないほうがいいよね)
春香(やっぱり、大丈夫じゃないみたい……)
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:41:58.32 ID:kjeGQsR00
P「……厄介なことになったな」
春香「プロデューサーさん……、ちょっといいですか?」
P「春香。……千早のこと、真には言ってないよな?」
春香「言えませんよ……」
P「千早のやつ、やっぱりアレか?昨日のことまだ気にしてるのか?」
春香「そうみたいですね。無理ないですよ……」
P「……しょうがないな。このままじゃ、だめかな」
春香「どうするんですか?」
P「とりあえず、後でちょっと社長に相談するよ。案はひとつあるから」
春香「案?」
P「ああ。千早をユニットから外す。俺もアイツもやりづらいだろ?」
P「だから、ちょっと距離をな」
春香「そんな……、それじゃ千早ちゃん、余計に……」
P「そうなったら、また何か考えるよ」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:47:40.01 ID:kjeGQsR00
P「……そういうわけで、彼女をユニットから外させていただきます」
社長「本当に、いいのかい?」
P「はい。この件は全部俺を責任です」
P「……別に、千早がどうとか、そういうのはないんですけど」
P「とにかく。今は、できるだけ距離をとっておくべきかと」
社長「……君がそういうなら、わかったよ」
社長「でも。ちゃんと、君の口から彼女に伝えてやってくれないか」
P「ええ、ユニットの事ですし。ちゃんと三人に伝えますよ」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 20:52:42.70 ID:kjeGQsR00
真「……え?」
千早「……」
P「だから、千早は今日限りで抜けてもらう」
P「理由は、本人が分かってるだろうし、ここでは言わない」
真「千早がレッスンに身が入っていなかったから、ですか?」
P「まったく違うわけじゃないけど、そういう事じゃない」
P「……千早、そういう事だ。わかったな?」
千早「は、……は、い」
P「よし。まあ、千早の後に誰を入れるかは、また後日2人に教えるから」
春香「……はい」
P「今まで、ありがとうな千早」
千早「私も…………ありがとうございました」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:00:24.98 ID:kjeGQsR00
P「じゃあ、今日は2人でレッスンするぞ」
真「ちょ、ちょっと、待ってくださいよ!」
真「そんないきなり千早が抜けちゃって、ボクたち、どうすればいいんですか?」
P「どうすれば、って。なるようにしかならないだろ?」
春香「……でも。千早ちゃんがああなったのは」
P「春香!!……そのことは他言禁止だ、わかったな」
真「春香、何か知ってるの?」
春香「千早ちゃんは、千早ちゃんは……」
P「…………」
春香「……ごめん、やっぱり。言えないよ。千早ちゃんに悪いし……」
真「……そっか、じゃあ。ムリして聞かない方がいいよね」
春香「ごめん……ごめんね」
P「ふう、……今日のレッスンは自主レッスンにする。各自で伸ばしたい分野のレッスンをやっててくれ」
真「プロデューサーは、どうするんですか?」
P「……別の仕事でもやってるよ」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:06:19.12 ID:kjeGQsR00
P(俺がやってること、何か間違ってたか?)
P(あそこでOKして、事務所の利益につながるか?)
P「……いや、考えても無駄かな」
ピリリリリ
P「……はい」
P「あ、先日はどうも」
P「え、本当ですか!?本当に、いいんですか?」
P「……いえ、でも。すこし考えさせてください」
P「また、こちらから、ええ……それでは」
P「……」
ピッ
P(……さて、仕事するか)
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:13:07.79 ID:kjeGQsR00
数日後
真「ほら、美希。ちゃんとレッスンしないと」
美希「やっぱり、千早さんに悪いよ……」
真「……美希がそうしてると、千早は余計に責任感じるんじゃないかな」
美希「真君……」
美希「ミキね、ハニーがミキを選んでくれてすっごく嬉しかったんだけど」
美希「ハニーと同じくらい、千早さんも好きだから、……すっごく、フクザツなの」
春香「……」
美希「ね、ねえ!もしミキが、全然ダメな子だったら」
美希「ハニー、ミキを外して千早さんを入れてくれるかな!?」
春香「だめだよ、……ちゃんとやらないと。……ね?」
美希「そうだよね、……そんなこと、分かってるの」
真「……ほら!レッスン、始めよう?もしかしたら、千早が戻ってきて四人で出来るかもしれないし!」
美希「……うん!」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:21:14.16 ID:kjeGQsR00
P「……なあ、律子」
律子「どうかしましたか?」
P「お前はどう思う?」
律子「……千早のことですか」
律子「そうですね。立場上は、仕方がないのでは?」
P「だろ?じゃあ、なんでこんな空気になるんだろうな」
律子「失恋なんて、そういうものだと思いますよ」
P「……そうか」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:22:38.37 ID:kjeGQsR00
P「なあ、もしさ。寝苦しいベッドから、ふかふかのあったかいベッドに代えられるならどうする?」
P「そのベッドの方が、リクライニングとかあったりするとして」
律子「そうですね。元のベッドによほどの愛着でもなければ、代えると思いますよ」
P「そうか」
律子「プロデューサー、あなたまさか……」
P「ん。……まあ、そういうのもアリかなと」
律子「止める権利はありませんし、……あなたがそうしたいのなら」
P「ありがと」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:27:51.15 ID:kjeGQsR00
数日後
伊織「ねえ、どういう事なの!答えなさいよ律子!」
律子「だから。彼はもうここには来ないわ」
律子「もっと、大きな事務所から声がかかって、それに応じたの」
伊織「……私達を裏切ったのね」
律子「そういう言い方は適切じゃないでしょう?」
伊織「わかってるわよっ……、でも!」
伊織「千早の事で、事務所がギスギスしてて、それで……」
伊織「自分だけ別のところに逃げて、どういうつもりなの!?」
真「い、伊織……」
美希「でこちゃん、落ち着くの!」
伊織「……」
伊織「ごめん……」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:33:09.94 ID:kjeGQsR00
律子「とにかく。新しい人はすぐに呼ぶわ」
律子「彼のことは、忘れたほうがいいわね、特に千早は」
千早「……」
律子「彼はもう、ウチの人間じゃないのよ?」
千早「……ええ、そうね」
春香「千早ちゃん……」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:35:40.51 ID:kjeGQsR00
後P「……あの、如月さん?」
千早「何か」
後P「あの、すいません。指示通りになってもらわないと」
千早「……ですが、前のプロデューサーは」
後P「いや、今のプロデューサーは俺なんですから。俺のやり方で……」
千早「……彼は、私のいい所も、悪いところも、きちんと把握してくれていて」
千早「それで、ちゃんと、私にあった……」
後P「そういわれましても」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:38:20.69 ID:kjeGQsR00
後P「みたいなカンジで、レッスンにならなくて」
律子「……ごめんなさい、あの娘は前任のプロデューサーを信頼していたので」
律子「まだ、その信頼が抜けきってないみたいなんです」
後P「そうですか……」
後P「でも、俺は頑張りますよ。如月さんが、俺についてきてくれるように」
律子「期待していますよ?」
後P「はい、任せてください」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:41:15.50 ID:kjeGQsR00
千早「……プロデューサー」
千早(いままでは、事務所で顔をあわすくらいならできたけど……)
千早(……もう、このまま会えないのかしら)
千早(で、電話……っ、きっと、出てくれる……)
千早(せめて、せめて、一言だけでも……!)
ピッ ピッ ピッ
『おかけになった電話番号は現在使われておりません』
千早「……そんな」
千早「……い、家……、プロデューサーの家」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:45:17.02 ID:kjeGQsR00
千早「……」
千早「引っ越してる……」
千早「そうよね、事務所がかわったんだもの」
千早「……引っ越して、通いやすい、場所にっ……」
千早「う、うう……」
千早「プロデュ……、サー……」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:51:13.55 ID:kjeGQsR00
翌日
後P「如月さんが、きてない?」
律子「はい……」
後P「何かあったんでしょうか」
律子「一応、電話はしたんですが」
律子「理由はわかりませんでしたが……」
律子「声を聞くかぎりでは、……出てこれる状態では」
後P「そうですか……」
律子「あの、千早のこと。知っておいて貰えません?」
律子「本人の了承なしに、言っていいことではないんですけど」
律子「……あなたは、知っているべきだと」
後P「あ、じゃあ。はい、お願いします」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:55:51.29 ID:kjeGQsR00
後P「なるほど……」
律子「ですから、あなたの指示に従えないのも、そういうことなんです」
後P「……わかりました」
後P「でも、前の人。すごいですね、俺だったら、そのままOKしてしまうかも」
律子「それはそれで困りますよ?」
後P「わ、わかってます!」
後P「あの、秋月さん」
律子「はい」
後P「如月さんのことなんですけど」
後P「ある程度、調子が戻るまで活動休止にしませんか?」
律子「……そうですね、事務所にもでてこれないほどの傷を負ってしまってますし」
後P「できるだけ、早く復帰できるように、俺も色々とがんばりますので」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 21:58:00.31 ID:kjeGQsR00
後P(……と、いったものの。俺にできるかな)
後P(いや、いかんいかん!だめだ、弱気になってちゃ)
後P「さ、頑張ろう」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:03:36.91 ID:kjeGQsR00
数ヵ月後
後P「最近、CDの売り上げが落ちる一方だ」
後P「出せば出すほど、売り上げが減っていってる」
後P「……俺のプロデュースがだめなのか?如月さんもまだ復帰できないし」
小鳥「……はい、お茶ですよ」
後P「事務員さん」
小鳥「ふふっ、名前で呼んでくださっていいですよ?」
後P「じゃあ、小鳥さん。お茶、ありがとうございます」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:10:35.13 ID:kjeGQsR00
後P「おれ、だめだめですよね」
小鳥「そんなことはないですよ。頑張っていらっしゃるじゃないですか」
後P「……売り上げ、落ちてますし」
小鳥「前のプロデューサーさんが、凄すぎたんですよ」
小鳥「あれなら、引き抜きがあってもおかしくないですよね」
後P「……だからこそ、如月さんも彼に惹かれた?」
小鳥「きっと、最初は羨望とか、信頼だったんでしょうねえ」
小鳥「それがいつの日か、あの子のなかで愛情に変わってしまっていた」
小鳥「……でも、それは報われなかった」
後P「はは、最初から勝ち目ないですね。俺」
小鳥「……大丈夫、逆転っていう素敵な言葉がありますよ?」
後P「できますかね」
小鳥「あなた次第、ですね」
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:16:02.69 ID:kjeGQsR00
後P「……あは、なんか。頑張ろうって気になれましたよ」
小鳥「それはよかった。あ、お茶のおかわりどうですか?」
後P「まだ飲み干してないので、……」 グイッ
後P「んく、おねがいします」
小鳥「はーい」
後P(前と比較したってしょうがないのはわかってる)
後P(だんだん売り上げが落ちてるのも事実だけど)
後P(だからって、逃げるわけにもいかないよな)
後P(がんばろう。如月さんが戻ってきて、プロデュースできませんじゃかっこ悪いし)
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:22:53.23 ID:kjeGQsR00
数日後
テレビ局 楽屋
後P「お疲れさまです。今日はよかったですよ、ディレクターさんもご機嫌でした」
春香「ふぅ、生放送だからちょっと緊張したなあ」
後P「でも、天海さん転ばなかったじゃないですか」
春香「わ、私だっていつも転ぶわけじゃないですよ!」
真「緊張してたから、逆に大丈夫だったのかな?」
美希「あはっ☆きっとそうなの!」
春香「ちょっと、ふたりとも!」
コンコン
後P「あ、どぞー」
P「よう。久しぶりだな」
春香「……プ、プロデューサーさん」
後P(こ、この人が?)
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:29:33.68 ID:kjeGQsR00
美希「ハ、ハニー……」
P「いやあ、ちょっと通りかかったらお前らの楽屋があったからさ」
P「俺の後任に挨拶しておきたくて、ね!」
後P「……どうも」
P「そんな恐縮しなくても。どう?コイツらの指導は大変だろ」
後P「まあ、はい」
P「けれど。だからこそ、やり甲斐があるだろう?」
後P「そうですね……それは、もう」
P「じゃあ、これからも互いに敵同士。切磋琢磨していこうじゃないか」
P「それじゃ、俺はこれで……、またな。春香、美希、真」
後P「あ、……まってください」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:33:20.04 ID:kjeGQsR00
後P「あの、如月さんにあってあげてくれませんか!?」
P「いきなり、なんだよ」
後P「事情は秋月さんから聞きました。……その、いま、あの娘が求めてるのは」
後P「くやしいけど、俺じゃなくて。あなたです」
P「……それがだめだって、アイツに言っといてくれない?」
後P「お願いします、如月さんに、一言だけでもいいので!」
P「……あのさ」
P「そんな事してる暇ないだろ、お互いにさ」
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:37:44.16 ID:kjeGQsR00
P「千早も、いまは歌える状態じゃない」
P「だったら、それに気をとられてないで。そっちの三人を見てやればいいだろ?」
P「……こんな事に、気をとられているから売り上げが下がっていくんじゃないの?」
後P「ですが!」
P「残酷なこというようだけど、……時には切り捨てることも大事だよ」
後P「俺には、できません」
P「そうか、じゃあ。君はもうダメだ──」
パァンッ!
P「……まさか、お前にビンタされるなんてな」
美希「いくらハニーでも、それ以上はゆるさないの」
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:42:35.12 ID:kjeGQsR00
美希「ミキは、千早さんが戻ってくるって信じてる」
美希「……きっと、プロデューサーが、そうしてくれるの」
P「随分と信頼してるんだな……」
美希「だって、千早さんのためにハニーに頭も下げたりしたんだよ?」
P「……」
美希「それに、もう……ハニーは別の事務所のヒトなんだし」
美希「〝そこの人〟にとやかく言われる筋合いないのー!!!」
P「……ああ、その通りだな。俺もいいすぎた、悪かったな」
P「じゃ、俺は今度こそ帰るよ、千早の復帰。楽しみにしてるよ、ファン一号として」
後P「……ええ」
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:46:52.28 ID:kjeGQsR00
後P「……まずいよ、星井さん。ビンタは」
美希「ごめんなさい……」
真「でも、さすがにアレは言いすぎですよ!」
後P「いいですって、事実だから」
春香「……だめです」
後P「あま、みさん?」
春香「事実じゃないですよ!……プロデューサーさんは、ダメじゃないです!」
美希「うんっ!そうだよ、プロデューサー」
真「今日の生が成功したのも、プロデューサーのおかげですよ」
後P「そ、そうかな?」
春香「はい、そうです!」
後P「……」
後(気、つかわせちゃってるよな)
104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:52:18.41 ID:kjeGQsR00
P「さて」
ピッピッピッ
P「……やあ、律子。お前に話があるんだ」
P「悪い話じゃ、ないと思うぞ?」
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 22:57:33.47 ID:kjeGQsR00
数日後
後P「こ、これは……」
小鳥「まさか、彼がこんなに早く行動するだなんて」
社長「ああ、……おそらく、あちらの社長の援助もあるだろうね」
後P「彼が、事務所を立ち上げた……」
律子「色々な事務所からアイドル、プロデューサー問わずに引抜きをしてるようです」
後P「でも、そんな事務所。もっと大手に潰されてしまうんじゃ?」
律子「……なるほど、それを防ぐためか」
後P「どうかしました?」
律子「いえ、なんでもありません」
律子「……いや、いっておくべきでしょうね」
律子「私も、かれから引き抜きの誘いをうけました。伊織たちも一緒に」
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:03:38.59 ID:kjeGQsR00
律子「彼が私と竜宮小町の力を求めているのもあるでしょうけど」
小鳥「……伊織ちゃん、ですね」
律子「伊織が所属しているとなれば、彼女の実家の名前を出せる」
律子「それを行使するかどうかは別として、手を出しづらくなると思いますよ」
後P「それで、秋月さんは?」
律子「断りましたよ、……あたりまえじゃないですか」
社長「それをきいて、ほっとしたよ」
社長「さすがに二度もヘッドハンティングされてしまっては……、自信を失ってしまうから、ね」
後P「彼がどうであろうと、俺たちは俺たちで頑張らないと」
小鳥「ええ、そうですよね」
119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:08:29.66 ID:kjeGQsR00
律子「……やはり、千早がいないと」
小鳥「…あの、まだ彼女は?」
後P「はい。……まだ、外に出れるような精神状態じゃないみたいです」
社長「復帰を急がせても、彼女のためにはならないよ……」
律子「そうですよね……」
後P「おれ、ちょっと彼女に電話してみますね、……それじゃあ」
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:10:50.15 ID:kjeGQsR00
後P「……」
後P「あ、如月さん?」
千早『あの、どうかしましたか?』
後P「いや、元気かなって」
千早『……もうしわけありません、ご迷惑を』
後P「いいよ、如月さんのペースで大丈夫です」
千早『……あの、この間の生放送みました』
後P「あ、どうでした?」
千早『すごく、よかったですよ』
後P「ありがとう、自信がつきます」
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:13:09.15 ID:kjeGQsR00
後P「……みんな、待ってますから」
千早『……はい』
後P「それじゃ、ゆっくり療養してください」
千早『では、また』
後P「また」
ピッ
後P「……ふう」
後P「お、雪だ」
後P「そうだよなあ、もうすぐ二月だしな」
後P「……二月」
132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:16:54.15 ID:kjeGQsR00
後P「……──っていうのを考えたんですけど」
律子「確かに、シチュエーションとしては申し分ないでしょうけど」
律子「彼女次第、ですね」
後P「……ですから、ものすごく良い先生に」
後P「だめだったら、俺が全部責任をとります。だから、……社長、お願いします!」
社長「……わかった、君に任せよう」
社長「ただし、君一人に責任は負わせないよ、その時は私も一緒だ」
後P「あ」
後P「ありがとうございます!」
135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:22:57.83 ID:kjeGQsR00
春香「ねえ、千早ちゃん」
千早『なにかしら?』
春香「プロデューサーさん。あ、新しい方ね!」
春香「すごく、がんばってるんだよ」
千早『そうみたいね、……あなたの声を聞いていればわかるわ』
千早『ねえ、春香』
春香「ん?」
千早『バレンタイン、一緒にチョコレート作ろうって言ってたわね』
春香「あ、そうだよね。どうする?プロデューサーさんとか、社長に配る?」
千早『……そうね』
春香「うん!そうしよう、ね、千早ちゃん!」
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:25:15.11 ID:kjeGQsR00
2/14
後P「……これ、如月さんから?」
春香「えへへ、私との合作なんですけどね」
春香「まだ外にでるのは難しいみたいなんですけど、これくらいはって」
後P「へえ、そうなんだ」
後P(……これは、もしかしたら、もうすぐでいけるかもしれない、のかな)
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:31:33.05 ID:kjeGQsR00
P「はい、……はい」
P「それでは、ヒトと会う約束があるので、それでは」
ピッ
P「………やあ、律子。来てくれたのか」
律子「バレンタインにこんなレストランに、だなんてシャレていらっしゃいますね」
律子「プロデューサー、いえ。社長といった風が?」
P「いや、プロデューサーでいいよ」
P「なあ、考え直さないか?こっちのほうが、待遇よく出来るぞ」
律子「……そちらに移るつもりはありませんよ」
P「はは、やっぱり即答か。冬馬たちにもにべもなく断られてさ!」
律子「天ヶ瀬冬馬までに手を伸ばしてたんですか」
P「ま。そっちの話はやめだ。……で、千早はどうなんだ」
律子「春香とチョコをつくるくらいには、よくなりつつあるようです」
P「そうか。……そういや、千早ってもうすぐか」
律子「ええ」
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:34:00.13 ID:kjeGQsR00
P「……さて、ここのお代は俺が払っておくとして」
P「引抜とは別に、これを受け取ってくれよ」
律子「……なんですか?」
P「秋月家から、俺の家へのヘッドハンティング♪」
律子「考えてさせてもらいます」
P「……良い返事、待ってるよ」
P「さ、食おう、食おう!俺からのバレンタインのプレゼントだ」
P「ハッピーバレンタイン」
140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:38:10.87 ID:kjeGQsR00
事務所
後P「じゃ、俺はこれで!」
小鳥「はい、お疲れさまです」
後P「小鳥さん、チョコどーもです!」
小鳥「いつも頑張ってる人への敢闘賞です♪」
後P「ありがたく、頂戴しますね!」
後P「……そういえば、星井さんと菊地さんにはおにぎりをもらったんですよ」
小鳥「わあ、手作りですか?」
後P「はい、お昼時だったんで。いい塩加減でしたよ」
後P「……では、また明日」
142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:43:04.26 ID:kjeGQsR00
翌日
後P「……こ、これだ!」
小鳥「どうしたんですか?」
後P「ああ、小鳥さん!あの、如月さんのために書いてもらった曲と詞!届いたんですよ」
小鳥「本当ですか?随分とはやいですね」
後P「いや、なんでもその先生が如月さんのファンらしくて。作詞も作曲もしてくれて!」
小鳥「どれどれ?……わ、いい唱じゃないですか」
後P「彼女、歌うことが好きらしいですし。これなら、歌いたくなって、戻ってきてくれるかなーって!」
小鳥「きっと、大丈夫だと思いますよ!」
後P「はい!あ、俺!さっそく彼女に見せてきます!」
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:46:16.24 ID:kjeGQsR00
千早「……これは?」
後P「如月さんの新曲!」
後P「コレをうたって、復帰しませんか?」
千早「いいんですか……?」
後P「もちろん、これはそのために書いてもらったんですから」
千早「私の、ために」
後P「……で、復帰予定日も決まってるんですよ」
後P「2月25日……如月さんの誕生日、生放送の歌番組!」
146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:48:06.70 ID:kjeGQsR00
後P「あと十日あるから、髪きったり、色々できますし」
後P「歌も覚えられるでしょうし、……ね?」
千早「……歌えるでしょうか」
後P「歌える、きっと」
後P「……どう、ですか?」
千早「……」
千早「やってみます!」
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:50:30.05 ID:kjeGQsR00
2/25
春香「う~、緊張する」
伊織「いや、なんであんたが……」
亜美「でも、亜美も緊張してきたよ→!」
真美「だって、千早お姉ちゃんが戻ってくるんだよ?」
真「いいな、スタジオには冬馬たちもいるんだよね」
美希「いいの、ミキたちはテレビの前で応援するの!」
148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:54:18.08 ID:kjeGQsR00
スタジオ・ 生放送中
司会「ジュピターの三人、ありがとうございました~」
ワー
司会「いや、すごい人気だねー」
北斗「いえいえ、さすがに今日の彼女以上の歓声はとれませんよ」
司会「ほう」
翔太「会場のみんなも、テレビの前のみんなも、今日を楽しみにしてたもんね!」
冬馬「つーわけだ、くやしいけどよ。今日はお前が主役だ」
冬馬「久々に、お前の歌を聞かせてくれよ、なあ……」
冬馬「如月!」
ワァァァァァァァァァ!
千早「……」
150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24(日) 23:56:06.73 ID:kjeGQsR00
司会「千早ちゃーん、復帰おめでとう」
千早「ありがとうございます。……私は、この休業で色々な人に迷惑をかけてしまいました」
千早「だからこそ、今日はここでその人たちへの感謝の気持ちをこめて歌いたいです」
司会「それでは、歌ってもらいましょう!」
司会「如月千早の復帰シングル曲名は───」!
154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25(月) 00:00:09.77 ID:Ixj25mio0
数時間後 765プロ
後P「……さて、みんなそろったかな」
冬馬「ちょっと待てよ、黒井のオッサンから餞別だ」
真「わ、ケーキだ……もうあるのに」
冬馬「いいだろ!ほら、……誕生日のケーキと、復帰祝いだよ」
翔太「人数もいっぱいだし、みんなでたべようよ!」
千早「ありがとうございます…」
後P「じゃあ、みんなそろいましたし、ジュピターのみんなも一緒にお願いです」
後P「せーのっ!」
みんな「お誕生日おめでとーーっ!!!!」