【秋月律子SS】律子「月が綺麗ですね」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 01:48:28 ID:kHDjO4Wm0
P「分かった。結婚しよう」

律子「ファッ!?」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 02:02:00 ID:kHDjO4Wm0
その尚早から立ち直った時、覚悟は決まった。今は何よりも時間が大事だ。

P「律子、なんか甘い物食べに行かないか?」

律子「こんな夜中にケンカ売ってるんですか?ていうか、仕事して下さいよ。それ、今日の朝一の奴でしょ」

P「ダイエットなんかいいじゃないか。仕事?○ソ喰らえだこんなもん!」

嘘だった。酷い嘘だ。どうでもよい仕事などない。ただ、どうでもいい状況なだけだ。

窓をがらりと開ける。眩い位の月光が、煌々とあたりを照らしていた。平日の深夜。街にあるのはため息みたいな排ガスだけ。

律子「ちょっと!」

手に持った書類を振りかぶり、投球姿勢に入る。そう、こんな月の日だ。狂ったってしかないさ。

律子が何か言う前に、手に持った書類を放った。バサバサと宙を舞う書類は、遥か彼方に消えていく。

P「さ。仕事も終わったし。甘い物食いにいこうぜ」

律子「馬鹿!」

P「なんだ?甘い物やなのか?じゃあ飯にするか?」

律子「そうじゃないでしょう?書類、どうするんですか!」

P「もう頭の中に入ってるよ。どーせプレゼンのアンチョコだし」

律子「呆れた人……」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 02:13:12 ID:kHDjO4Wm0
P「明日の事は明日考えよう。さあどうする?夜明けまで時間がないぞ」

律子「もう……。最近、帰ってないんでしょ?帰ってお風呂でも入ってきたらどうですか」

P「まあそれもいいんだけどさ。今日は律子と一緒に居たいんだ」

最後位は。とは、やはり言えなかった。

律子「……何かあったんですか?」

P「なーんにも」

訝しげな律子は眉を寄せている。構うものか。今夜の俺は無敵だ。

そのまま近づいて抱き寄せる。ブラウスの上からでも分かる柔らかい肌。固いブラジャーの紐。

律子「もう…」

P「なあ、前から一度試してみたかったんだ」

耳元で囁く。寒がりな律子の耳は真っ赤。

律子「な、何を……」

P「……それは」

声のトーンを落としていく。胸の中で抱かれるままにされていた腕が緊張するのが分かる。

P「………たるき亭のチョコパフェ。アイス三段済み」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 02:25:20 ID:kHDjO4Wm0
息を飲んだ律子は、小刻みに震えだした。くつくつと噛み殺したような声が漏れている。

P「……そこにバナナを足すんだ。当然生クリームもね。甘くてフワフワ」

言いきる前に律子は噴出した。俺を突き飛ばし、そのまま腹を抱えて笑っている。

四捨五入すれば30に届く男が真夜中にスイーツ食いたさに発狂したと知れば、まあこうなるだろう。

涙まで流す律子にいくらか憤慨しながらも、やはり正解だったと思う。

律子「全く、もう。分かりました。行きましょう。P君、おあやつ食べたかったんだもんねー?」

にゃろう。可愛い顔しやがって。

そうと決まれば早い。手早く戸締りし、電源確認。

律子「消しますよー」

P「おう」

あれでのりのりな律子は先ほどの不満も何処へやら、足早に行ってしまった。

電気の落とされたオフィス。古いながらも良く手入れされた窓ガラスから差し込む光は、心なしか暖かいように感じた。

まるで、真夜中の日の出のようだった。

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 02:37:37 ID:kHDjO4Wm0
たるき亭は時間の割に人が入っていた。

平日深夜の営業で、イトを減らしていたせいか、同じ顔の店員があっちこっちへてんてこ舞いだ。

P「さて、なんにする?」

律子「P君が食べたいものでいいわよー?」

P「律子お姉ちゃんかな」

律子「うわ!やなガキ」

結局例のパフェとちょっとしたつまみと酒を頼んだ。厨房スタッフが少なくて、パフェが出るのが遅くなるからだそうだ。

焦燥を感じないではなかった。が、別に行く宛てもない。律子の親が県外に旅行に行ってなければな。

いや、それも嘘か。どちらかといえば感謝してる。

程なくして厚焼きとげそ唐揚げ、シーザーサラダが届く。

P「じゃあ、お疲れ」

律子「はい。お疲れ様です。…休みじゃない人は飲みすぎないで下さいよ」

P「誰が酒教えたと思ってるんだ」

律子「変に心配性な同僚」

ガランガランと大きな音をたてて客が入ってきた。今日は本当に忙しい日だ。

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 02:50:16 ID:kHDjO4Wm0
P「……俺が教えて無かったら、今頃寿退社よ?」

律子「感謝はしてますよ。だから訴えて無いでしょ?」

P「お前も捕まるからな」

律子「あー、やっぱりここの厚焼きは美味しいわねえ」

P「にゃろう」

律子は幸せそうに厚焼きを頬張りながら、カシスの効いたカクテルに舌鼓をうっている。

甘い酒が苦手な俺はビール。大体ビールだ。たまに焼酎。

この業界は暴れん坊が少なくない。抱いた女の数が勲章になってると思ってる奴も。

未成年の飲酒は法律で禁じられているが、法律は労働者を守らない。だから労働者も法律を守らない。

営業を兼務する我々はその最たる存在だった。

自衛の為にと乞われて始めた飲み方講座は確実に二人の関係を好転させた。

始めの頃に比べると、その関係は砕けすぎの嫌いさえある。

律子「……何見てるんですか」

無意識に凝視していた。律子は憤然として藪睨み。

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 02:59:49 ID:kHDjO4Wm0
P「いや、それ美味そうだなって」

カクテルを指差す。白くて細い指がキュ、と握ったカクテルグラスはまだ半分も減っていなかった。

律子「甘いお酒、駄目なんじゃなかった?」

P「そうなんだけどさ」

律子「……正直に言ったら?」

心臓が止まるかと思った。もしかすれば、ちょっと位は止まっていたかもしれない。

全て見透かされているのだろうか。だとすれば滑稽だ。

安心させようとして、その実安心させてもらっているなんて!

P「な、何言って……」

律子「見れば分かりますよ。……全く」

P「……あ、の」

律子「……そんなに見たいんですか」

P「は?」

律子「……お、お○ぱい」

飲みなれているとは言え、アルコールが気管に入るのは中々にハードだった。

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 03:08:48 ID:kHDjO4Wm0
P「見てないよ!」

律子「嘘。ぼけーと見てたじゃない」

P「だ、だからグラスを」

律子「いーえ、絶対見てました」

P「自意識過剰過ぎィ!」

律子「なんですって!」

店内に怒号が響いた。もちろん俺たちじゃない。俺たちは一歩手前。

個室から覗くと、ひょろりとした青年達が取っ組み合いを始めていた。慌てて止めに入る店員。

しかし、彼らは止まらない。体に似つかわしくない程血走った目をしている。

「死ぬしかないじゃないか!」

絶叫が店内に響いた。お客さま!と厨房スタッフが飛び出していく。

「俺もお前らも!!」

俺は伝票をつかんだ。

P「出ようか」

戸惑う律子の手を取り、万札を伝票に挟んで置いていく。

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 03:21:10 ID:kHDjO4Wm0
律子「ちょっと!痛いですって!」

P「……ごめん」

一気に階段を降り、行き先を見失った所で律子は非難の声をあげた。

律子「本当に、どうしたんですか。やっぱり、何か変ですよプロデューサー」

P「何でもないんだ」

律子「でも……」

P「何でもないって!」

澄んだ冬の空気は、怒気まで伝播させ街を巡った。

律子「プロデューサー……」

くしゃりと歪む顔がはっきりと見えた。月の明かりがくっきりと律子の顔を照らしているからだ。

そう、くっきりと。憎たらしい程に。

P「連れていきたい場所があるんだ」

逃げ場なんか始めから無かった。どうあがいても、この月の光からは逃げられない。

律子は無言だった。俯き唇を噛んで。それでも手を伸ばしてくれた

手をつなぐ。その時まで、ずっとつないでいたいと思う程に小さな手だった。

16: >>14把握 即興かだから許してチョンマゲ 2013/02/26 03:34:45 ID:kHDjO4Wm0
二人で歩いていく。無言のまま。
街のため息は止まらない。往来をクルマが行き交い、歩道には人が集まり始めていた。
街頭モニタは月の光を照り返し、不気味な影を作っている。
夜明けに追い立てられるように、街を行く。夜を追いかけながら。

海の見える丘公園は、埋め立てて作られた人口公園だ。
海を一望できる高台はデートスポットとして有名で、平日でも多くのカップルで賑わっている。
ここに来るつもりは無かった。女々しすぎると思ったからだ。
実際、明るすぎる月は海をどこか間抜けに照らしていてムードもへちまもなかった。

律子「……懐かしいですね」

P「半年ぶりかな」

律子「『……あー、好きかも?』」

P「おいやめろ」

律子「こっちのセリフです。人生初告白が疑問形って……」

P「……こっちも始めてだったんだよ」

律子「小鳥さんの本に出てくる20代後半はそれはもう手慣れてらっしゃいましたよ」

P「あの人そんな本読んでんの?」

律子「ええ。落ちない男はいませんでしたね」

P「あのさぁ……」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 03:49:52 ID:kHDjO4Wm0
空虚な会話だった。お互いにこれが本題で無い事は分かっている。
だがどう切り出した物か。見当もつかない。そして時間も無い筈だった。
今この瞬間に終わりが来てもおかしくない。そう、限られた最後の時間を口論で過ごさなきゃいけないかも知れないのだ。
雲が物凄い速さで流れて行く。顔に水気が当たる。

律子「月が綺麗ですね」

見上げて律子はいった。普段の倍はあるだろうその月はいよいよ光彩を増し、輪郭をぼやけさせていた。
くっきりと月の凹凸まで見えそうだ。当たり前だ。この数十万年の中で1,2を争う光を浴びているのだから。

P「律子」

律子「……っ」

P「律子」

律子「……はい」

P「伝えたい事があるんだ。聞いてくれるか?」

律子「はい」

柔らかいマフラーが顔の半分をふわりと覆った律子は下目がちにこちらを見る。
雰囲気を察しているのだろう。その目は不安の色を滲ませている。

P「ここで告白してからずっと幸せだった」

P「生まれて初めて人を好きになったと思う」

P「律子。俺と、結婚して欲しかった」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 04:19:08 ID:kHDjO4Wm0
律子「……プロデューサー。教えて下さい」

律子「明日、一体、何が起こるんですか?」

そう。誰よりも賢くて察しのいい律子をだまし続けるなんて事は到底無理な話だったのだ。
近くのベンチに座り、どう話そうか考えて、諦めた。俺自身もまだ、確証があるわけではなかったからだ。

わが事務所には天体望遠鏡がある。やよいの弟長介の誕生日に伊織が送ろうとし、え、それは…と辞退された物だ。
結局それは俺が組み立てるハメになり、休憩室に置くことになった。子供たちが休みの日に使えるようにだ。
平日などはもっぱら俺のおもちゃになっているそれはこの異常事態をいち早く伝えた。

満月の大きさは大体手を伸ばした五円玉の穴の大きさに等しい。
つまり、どんな月だろうとそれ以上の大きさにはならないのが常だ。
今日、辺りを照らす月は優に十円玉を超えている。

月を覗いた時、その明るさに驚いた。何かの間違いだと思い、携帯を取り出して事の重大さに気がついた。
NTTの中継が近いこの場所は他に比べて圧倒的に電波が繋がりやすい。シチュエーションにもよるが屋上に行けばほぼバリ4だ。
携帯の電波は圏外になっていた。それは、わざわざ社を中継に近づいても変わる事が無かった。

足りない頭を総動員する。なぜ月が大きくなったのか。単純に接近を考えたが、これはあり得ない。
もっとしっかりした設備を持った研究員達が職業として観測しているはずだ。
そもそもたった数時間で数倍に膨れ上がるような移動は考えられなかった。
明るさの説明もつかない。

そう明るさ。月の明るさだ。
星の明るさは、太陽の光の反射である。それは月も例外ではない。
太陽に何かがあったに違いない。恐るべき何かが。
それによって太陽は光を増し、蒼白になった律子の顔色まで分かる位に月を照らしたのだ。

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 04:32:54 ID:kHDjO4Wm0
律子「……それで」

P「多分、今太陽が出てる所—日本の裏側はドロドロに溶けてる。リンゴを向くみたいに、それは地球をゆっくりと進んでいく筈」

律子「……」

P「それが夜明けに起こる事。俺がキ○ガイじゃなければね」

律子「逃げましょう」

P「どこへ?」

律子「日付変更線から出来るだけ遠ざかるんです。今から飛行機を借りればなんとか」

P「律子」

律子「別にヘリでもいい。伊織に電話して、関連企業に」

P「駄目だよ」

律子「駄目じゃないわ!」

P「落ち着いて。太陽に何かあって、その光が最初に降り注いだ所はドロドロになった。それはね、恐ろしい熱風になって地球を巡るんだ」

律子「あっ……」

P「ここがどうか分からない。でも地球の反対に行く事は、その熱風に向かって行くことと同じなんだ」

P「あの月が大きくなった時に深夜だったここが、多分地球最後の場所だと思う」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 04:41:18 ID:kHDjO4Wm0
貴音「お困りのようですね」

P「貴音!その乗り物は?」

貴音「ちょっとした宇宙船です」

律子「すごい!」

貴音「家来る?」

P・律子「いくいくー!」

二人は月に行き、幸せな結婚をして終了

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 04:58:47 ID:kHDjO4Wm0
沈黙が流れた。あと数時間後には太陽光で微粒子レベルまで分解されるか、食器洗い機みたいに高温の水蒸気で空に巻き上げられるかだ。
そんな状況で話す事は少ない。例えばそれが、恋人同士であったとしても。
出来れば他の子たちのように寝ている間に苦しみも恐怖も無く、安らかに逝って欲しかった。
二十歳にもならない子に酒を飲ませて仕事をさせる同僚は結局彼女に不安と混乱、恐怖しか与えられなかった。

律子「はー、いっか」

長い長い沈黙の後に、律子は言った。どこかふっきれたようだった。

P「すまない。本当は言うべきじゃ無かったと思う」

律子「そうですね。正直にいえば、世界で二番目に聞きたくない話でした」

P「すまん」

律子「でも、世界で一番聞きたくない話じゃなかった。だから、いいです」

P「そっか。ちなみに、聞いても良い?」

律子「何?」

P「時限式死刑宣告以上に聞きたくない事ってあるの?」

律子「……笑いませんか?」

P「笑わないよ」

律子「……別れ話かと思いました」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 05:16:24 ID:kHDjO4Wm0
俺は笑った。大笑いした。律子に付き合って良かった。本当に。
ついつい怖がっていた心に元気が戻ってきた。そうだ。例え地球が滅んだって、俺たちが分かれる訳じゃない。

律子「笑うな!」

ベンチに押し倒される。そのままもみくちゃになってお互いの体をくすぐりあった。

P「律子、結婚してくれ」

律子「……はい!」

この星の、最後の夫婦っていうのも悪くない。いや、むしろ気が利いてるんじゃないか。
こうなったら楽しもう。なんたって、ハネムーンだ。

深夜過ぎでもやってる高級スーパーに行って食べたい物を片っ端からカートに突っ込んだ。
キャビア、フォアグラ、トリュフソース。殻付きカキにフグ。ステーキも焼いてやる。酒も、クラッカーもだ。
笑いながら店内を歩き、見切り品を見て「俺たちの食うもんじゃないな」と嫌味を良い、そんな馬鹿な俺たちを笑った。
支払いはもちろんカード払い。どうせ明日には塵になるのだ。使わなきゃ損である。

月明かりの下でウインドウショッピングしながらどこで最後の時を過ごすか話していると、突然ガシャンと音がた。
振り向けばガラスが粉々に割れている。咄嗟に律子の頭を押さえた。音は続き、やがて断続的になっていった。
雹だ!それも拳大の!すぐ近くのガラスが割れ、さらに中の展示品を粉々に砕いていく。
爆発したようにパールやダイヤ、エメラルドが飛び出し、警報がけたたましく鳴った。

迷っている暇は無かった。律子をかばいながら、街路を走る。

古ぼけたビルはすぐそこだった。

34: >>32即興なんや。すまんな 2013/02/26 05:38:59 ID:kHDjO4Wm0
律子「で、結局ここなのね…」

数時間前に出た事務所に戻り、電気をつけてゆく。
腐っても芸能事務所。ワイヤー入りの強化ガラスは内側から強力なテープで補強されている。
ひびは入っているが、我はしないだろう。
念の為、入口が開いて入ってこないようにバリケードを組み人心地つく。

律子はさっそくいくつかを調理し始めた。俺は適当に買った高そうなシャンパンを開ける。
コルクが出鱈目に飛んでゆき、蛍光灯の一つを割る。気にせず煽る。美味いような不味いような。良く分からない味だった。
会議室はたちまち高級食材を使ったオードブルであふれていった。

P「お、このトリュフソース、プリッツとあうぞ」

律子「うーん、キャビアってしょっぱいですね。お湯でといてみましょうか?」

P「カキにレモン汁かけよう」

律子「ミカンしかないですね」

P「じゃあそれで」

律子「えっ」

生産者が聞けば憤死するような会話をしながら、オードブルを片付けてゆく。
もう少し半狂乱になっても良さそうだが、不思議と落ち着いた気持ちだ。満ち足りてると言っても良い。
あるいはこれが幸せという事かもしれないな、と思った。

食事もそこそこに談話室に行き、ソファで寛ぐ。
女の子が三人座れるソファは、身を寄り添って座るには十分だった。

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 05:53:35 ID:kHDjO4Wm0
P「……」

律子「……」

流石は高い酒なのか。心地よいまどろみだった。
律子も目をつぶっている。寝てるわけではないだろうが。
電気は未だに来ているので、部屋は暖房で快適な状況だった。

律子の指に触れるとくすぐったそうに身をよじる。
俺はポケットから取り出したそれを左手の薬指に、通していく

律子「これ…?」

P「さっき拾ったんだ。通りでさ」

律子「犯罪じゃないですか……」

P「堅い事いうない」

律子「しかもブカブカ。関取じゃないんですから」

P「似合ってるよ」

律子「馬鹿にして」

P「ほんとだよ。似合ってる。綺麗だ」

律子「………うん」

実際、上品なシルバーにダイヤをあしらったそれは律子に似合いの品だった。

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 06:02:33 ID:kHDjO4Wm0
P「……綺麗だ」

律子「あっ」

抱き寄せる。さながら映画の俳優気分だ。どうせなら最後まで格好付けよう。
唇を当て、左手で背中を探りながら、右手でボタンを外してゆく。
鼻先で顎をくすぐりながら唇で後を付ける。あとが増えるたびに、頭に回った手がビクリと震えた。

三回目までは覚えていた。ソファの上、談話室のテーブル、壁。
今までした事がないような事までして、廊下に倒れこんだ。
入り口のバリケードがガタガタと鳴っていた。

律子はいつの間にか寝ていた。起こさないように気を慎重に眼鏡外す。
俺も限界だった。向きあうように体を寄せる。
胸をくすぐる律子の吐息が愛おしい。

世界が暗転した。それは死を意味していた。

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 06:11:51 ID:kHDjO4Wm0
小鳥「あれー?開かないわー」ガタンガタン

貴音「おはようございます。小鳥嬢」

小鳥「おはよう!貴音ちゃん。帰省はどうだった?月、見れた?」

貴音「見れた、というかいた、いうか…」

小鳥「板?」

貴音「いえ…。何かあったのですか?」

小鳥「そうなの!あり得ない程光ってて月光でまぶしい位だったのよ」

貴音「ああ。……程ほどにしろとはいったのですが、何分久々の帰省だったので見送りも派手になってしまいました」

小鳥「…?」

貴音「こちらの方が混乱するからといっても聞かず、大変ご迷惑を…」

小鳥「(なんの話だろ……)」

貴音「ああ、そういうえばこれお土産です」

小鳥「ええー、そんな気を遣わなくてもいいのに」

小鳥「えっ、石?」

貴音「はい。こちらの方はお好きなのでしょう?わざわざ取りに来られる方もいるとか」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 06:20:43 ID:kHDjO4Wm0
小鳥「……えっ、石?」

貴音「私も半信半疑だったのですが、響に聞いた所『鉱物を買ってくるのがぽぴゅらーだ』とのことでしたので」

小鳥「好物違いなんだよなぁ……」

貴音「そうなのですか?」

小鳥「き、気持はありがたく頂くわね~」

貴音「はい。で、このような所で何を?」

小鳥「なんかね、扉の前に荷物あるみたいで開かないの」ガタンガタン

貴音「それはいけません。どれ、手伝いましょう」

小鳥「ありがとう!じゃあせーので行きましょう。せーの!」

ガタン!

小鳥「開いたわ!ありがとう貴音ちゃん。お茶入れるわね」

貴音「お言葉に甘えましょう」

ガチャ

P・律子「Zzzz……」

<ピヨーーーーーーーーーー!!
<はやーーーーーーーーーー!!          

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/26 06:27:10 ID:kHDjO4Wm0
 ,。、_,。、
    く/!j´⌒ヾゝ
  ヾ) ん’ィハハハj’〉
   ヽゝノ´ヮ`ノノ
    丶_●‐●   終わり
      〉  , l〉
     (~~▼~|)
      > ) ノ
     (_/ヽ_)

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