1: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 02:45:43.08 ID:NZX+hF1x0
スタジオ
冬馬「さて……帰るか」
真美「あれあれ~?」
亜美「あまとうじゃ~ん!」
冬馬「ゲッ、765プロ……というか、俺の名前は天ヶ瀬冬馬だ!!」
亜美「今から帰んの?」
真美「1人で?」
冬馬「……そうだ。悪いか?」
亜美「いやいや~…悪くはないけど……」
真美「ちょっと、さみしいよね~?」
冬馬「ぐっ……うるせぇな!関係ねぇだろ!」
P「あっ!亜美!真美!ここにいたのか!」タタタ
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2: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 02:52:06.70 ID:NZX+hF1x0
亜美「あっ!兄ちゃん!」
P「ほら、早く帰るぞ」
真美「うん!ほら、兄ちゃん!」ギュッ
P「わっ……なんだよ、急に手なんか握っちゃって」
亜美「兄ちゃんとラブラブして帰ろうと思って!えい!」ギュッ
P「おいおい……両手に……」
亜美「んっふっふ~!兄ちゃん、両手に菊だねぇ~!」
P「両手に花な。葬式になる」
亜美「じゃね!あまとう!」
真美「ばいば~い!」
冬馬「……………」
冬馬「何だよ……見せつけやがって……」
冬馬「……………」
冬馬「帰ろ……」スタスタ
3: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 02:57:16.66 ID:NZX+hF1x0
冬馬の自宅
冬馬「…………」
冬馬「あのプロデューサー……」
冬馬「他のアイドルとも事務所であんな風に、毎日触れ合ってるんだろうな……」
冬馬「……………」
冬馬「……………」グスッ
冬馬「な、何、泣いてんだ!俺は!」ポロポロ
冬馬「くそっ……止まれよ……涙!」ポロポロ
冬馬「くそっ……くそっ……」ポロポロ
冬馬「俺だって……」
冬馬「あんな風にモテて……彼女作りてぇよ……」グスッ
冬馬「何でモテねぇんだ……俺は……」グスッ
6: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 03:03:51.12 ID:NZX+hF1x0
冬馬「……………」
冬馬「はぁ………もう、こんな遅い時間……」
冬馬「明日は久々に、一日フルで学校か……」
冬馬「早く寝ねえと、遅刻しちまうな」
冬馬「ちゃんと学業も成り立たせないとオヤジに怒られるしな……」
冬馬「はぁ……寝るか……」
冬馬「…………っと、その前に」
冬馬「おやすみ、おふくろ」
冬馬「さて、挨拶も済んだし電気消すか……」
カチッ
9: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 03:15:35.65 ID:NZX+hF1x0
次の日 朝
冬馬「んーっ……よく寝たな」
冬馬「うっし!昨日の事は忘れて、元気に行くぜ!」
冬馬「よし、じゃあ弁当を作って……」
冬馬「いや……パンでも買うか」
冬馬「楽屋の弁当ばっか食ってたからな……米は控えたい」
冬馬「朝飯は昨日の残りもんでも食うか……」
チーン
冬馬「あったまったな……」
冬馬「いただきます」モグモグ
冬馬(学校か………)
冬馬(アイドル活動の方が生活のメインになってるからなぁ……)モグモグ
冬馬(塾とかそろばんとかの、習い事みたいなイメージになってるんだよなぁ……)ごっくん
冬馬「ごちそうさま」
冬馬「よし……身だしなみ整えて、行くか!」
10: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 03:24:42.25 ID:NZX+hF1x0
通学路
冬馬「まだ時間に余裕があるな……」
冬馬「んっ?……あいつは……」
冬馬「よう!男!」
男「ん?……おっ!冬馬!朝から珍しいな!」
冬馬「今日は仕事がオフなんだ」
冬馬「ちゃんと、最後まで授業受けるぜ」
男「へぇ~、冬馬が一日学校にいるなんて、何か変な感じするなぁ」
冬馬「そ、そうか?そんなにいないか?俺?」
男「売れて来てから、昼からとか、早退とかばっかだからな」
冬馬「そういや、そうだな……」
男「毎日ノートをとってる俺に、感謝しろよ?」
冬馬「わかってるって、今度なんか奢らせろよ!」
冬馬「おっ、着いたな、学校」
12: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 03:39:15.38 ID:NZX+hF1x0
下駄箱前
冬馬「今日の一限目なんだっけ?」
男「今日は確か……」
臆病娘「あっ、あのっ、天ヶ瀬くん!」
冬馬「ん?何だ?」
臆病娘「えっと……あ、あの……」///
臆病娘「きょ……今日、久々に学校来るって聞いたから……その……」///
臆病娘「こ、これ!クッキー作って来たんですぅ!」///
臆病娘「よかったら、食べて下さいぃ!」///
冬馬「えっ?あ、え、その……え?」
臆病娘「ど、どうぞぉ!」///バッ
冬馬「あ、さ、サンキュ……?」
臆病娘「じゃ、じゃあね!」///タタタ
冬馬「な、何だ?……何でクッキーを……?」
冬馬「あっ!ま、まさかこれって……俺へのアプローチ!?」
冬馬「じゃあ、今、もしかして俺って……」
冬馬「モ、モテてたんじゃね……?」
冬馬「なぁ!?そうだよな!?男!?」
冬馬「うおぉぉぉぉお!やったぜぇぇぇぇぇえ!!」
男「……………」
男「……いや、違うな」
冬馬「………え?」
13: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 03:53:35.14 ID:NZX+hF1x0
冬馬「違うって……何がだよ?」
男「いいか……お前は、アイドルで有名人だ」
冬馬「あぁ……それが?」
男「そういう奴に、何かをしたとする」
男「そしたら、何をしたにせよ、『私は有名な天ヶ瀬冬馬と関わった』という話題が出来る」
冬馬「………!!」
男「気づいた様だな……」
冬馬「も、もしかして……」
冬馬「さっきの奴は、ただ話題を作るためだけに、俺にクッキーを……?」
男「あぁ……」
冬馬「嘘こけ!!話題作りの為だけに、そんな……」
男「お前は学校にあまり来てないから知らんだろうが……」
男「学校の女子の世界、女子界は、話題を持たなければ、女子グループからハブられるのだ……」
男「話題が無いやつと一緒にいても、つまらないからな……」
男「つまり、学校生活での死を意味する」
冬馬「なっ……そう……なのか?」
男「あまり学校に来てないお前が知らないのは無理はない」
冬馬「くそっ…俺は利用されただけって事かよ……くそっ!」ダンッ
男「そう怒るな……女子には女子の苦労があるんだ」
15: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 04:01:24.91 ID:NZX+hF1x0
冬馬「……まぁ、害が無かったから、よしとする……」
冬馬「くっそ……せっかく彼女をゲッチュ出来ると思ったのによ……」
男「まぁまぁ、落ち込むな、冬馬」
男「一緒にその話題作りの道具を食ってやるよ」
冬馬「あぁ……ありがとよ」
男「なぁに、気にするな」ムシャムシャ
冬馬「うぅ……これが、俺へのアプローチのクッキーだったらよぉ……」グスッ
男「どんまいどんまい、ははは」ムシャムシャ
冬馬(……しかし、チョコで『冬馬君大好き』ってクッキーに書いてるとは…)
冬馬(手の込んだ、話題作りだ……)ムシャムシャ
18: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 04:15:01.25 ID:NZX+hF1x0
一限目
生徒会長「じゃあ、来月始まる学園祭での出し物の話し合いするわよー!」
冬馬「一限目を使って、クラスで話し合いか…」
男「生徒会長、相変わらず眼鏡が似合うなー」
生徒会長「みんな、出し物ちゃんと考えて来た?」
生徒会長「何か案がある人、手上げてー?」
し~~~~~~~~ん……
生徒会長「ちょ、ちょっと!何でみんな手上げないのよ!?」
生徒会長「昨日、考えて来てって言ったじゃない!」
し~~~~~~~~~~~ん………
男(何と言うか…提案したら反感食らうとか、責任とか問われそうだから、言いにくいんだよな……)
生徒会長「………もう!仕方ないわね……はぁ……」
生徒会長「わかりました、私が考えて来たのに……」
冬馬「あっ、なぁ」スッ
生徒会長「えっ?」
19: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 04:31:57.03 ID:NZX+hF1x0
冬馬「えっとよ……今考えたやつなんだけどよ……」
冬馬「学園祭の出し物、カレーの模擬店…何てどうだ?」
冬馬「俺、カレーなら詳しいしよ、カレーなら人気出ると思うぜ?」
冬馬「なぁ、みんな!?どうだ!?」
冬馬「何か意見があるなら、遠慮なく言ってくれ!」
クラス全員「……………」
男「いいな……いいじゃん!カレー!」
女「うん!作り方とか簡単だしね!」
リア充「よし!それにしよう!」
ワイワイ……ガヤガヤ……
生徒会長「……じゃ、じゃあ、それでいい?みんな?」
クラス全員「賛成ーー!」
生徒会長「決定ね!じゃあ、詳しい内容を……」
ワイワイ、ガヤガヤ
男「よかったな!冬馬!」
冬馬「あぁ!みんなが賛同してくれて助かったぜ!」
生徒会長「…………」
22: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 05:10:25.72 ID:NZX+hF1x0
休み時間 廊下
冬馬「二限目は調理実習か……移動しねーと」
不思議ちゃん「天ヶ瀬冬馬……」
冬馬「ん?えっと……」
冬馬「確かあんたは、隣のクラスの不思議ちゃん……」
不思議ちゃん「学園祭にて……あなた方の学級は『かれぇ』の模擬店を開くようですね」
不思議ちゃん「そして、それを提案したのは天ヶ瀬冬馬、あなたですね?」
冬馬「あぁ、そうだが……」
不思議ちゃん「……わかりました」
不思議ちゃん「私は、今ここであなたに、宣戦布告をいたします!」
冬馬「は、はぁ!?宣戦布告?」
冬馬「な、何だよ、いきなり…」
不思議ちゃん「理由は……私の学級は、『らぁめん』の模擬店だからです!」
冬馬「……はぁ?」
冬馬「どういうことだよ?」
23: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 05:21:56.81 ID:NZX+hF1x0
不思議ちゃん「………わかりませんか?」
不思議ちゃん「『らぁめん』と『かれぇ』は……」
不思議ちゃん「切っても切れぬ、闘いの縁があるからです!!」
冬馬「……はぁ?」
不思議ちゃん「昼食の時、人は必ず思います……」
不思議ちゃん「今日は『らぁめん』と『かれぇ』、どちらにしようか……と」
冬馬「……いや、そんなに思わんが…」
不思議ちゃん「何故、この二つが頭に思い浮かぶのか……?」
不思議ちゃん「それは、『らぁめん』と『かれぇ』は闘う運命だからです!!」
不思議ちゃん「そして、勝者のみが食される、弱肉強食の世界!」
不思議ちゃん「この二つは、命懸けで闘っているのです!」
不思議ちゃん「ですから、『らぁめん』と『かれぇ』を選んだ私達とあなた方の学級は……」
不思議ちゃん「闘わなければならない!」
不思議ちゃん「そういう事です」
冬馬(……………)
冬馬(本当、わかんねぇ……)
24: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 05:29:24.62 ID:NZX+hF1x0
冬馬「ま、まぁ、とにかく、学園祭で勝負って事か?」
冬馬「それなら、俺も負けらんねぇ!勝負だ!」
不思議ちゃん「………!!」
冬馬「見てろよ、すげぇ美味いカレーを作ってだな……」
不思議ちゃん「……………」
不思議ちゃん「………しないの、ですね……」
冬馬「ん?なんだ?」
不思議ちゃん「いえ……何も、ふふふ」ニコッ
冬馬(何だ……?本当、わかんねぇな……)
不思議ちゃん「では、学園祭にて、お互い全力を尽くしましょう」
冬馬「あぁ!負けねえからな!」
冬馬「じゃあな!」タタタ
不思議ちゃん「………初めて、ですね」
不思議ちゃん「私を……馬鹿にしない、殿方は……」
不思議ちゃん「………天ヶ瀬、冬馬……ですか……」
26: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 05:43:53.76 ID:NZX+hF1x0
二限目
冬馬「調理実習か……メニューは何だ?」
男「えっと……カレーだ!」
冬馬「何!?タイムリーじゃねぇか!」
冬馬「よし!学園祭前の練習と行こうぜ!」
男「冬馬、ちゃんと作れんのか?」
冬馬「当たり前だ。カレー作りは大の得意だ」
冬馬「カレーの事ならちょっとうるさいぜ」
男「へー、完成楽しみにしとくよ」
冬馬「お前もちゃんと作れよ」
ドジっ子「あの、冬馬くん……」
冬馬「ん?何だ?」
ドジっ子「さっき、カレー作りが得意って言ってたよね?」
冬馬「あぁ、まぁな」
ドジっ子「よかったら、カレー作りの事……色々と、聞いていいかな?」///
ドジっ子「ダメ……かなぁ?」///
冬馬「!!」
冬馬(ま、まさか、これって……!)
冬馬(俺との距離を取ろうとしてるんじゃ……!?)
冬馬(この赤面と、上目使い……間違いない!!)
男(いや、違うな)
冬馬(なにっ!?)
31: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 05:54:02.23 ID:NZX+hF1x0
男(こいつは……本当にカレー作りについて詳しく聞きたいだけだ)
冬馬(な、何で分かんだよ!?)
冬馬(この赤面っぷりは、間違いなく……)
男(彼氏だ)
冬馬(えっ?)
男(きっと彼氏に、手作りのカレーを食べさせたいとドジっ子は思っているんだ……)
男(楽しみだな、喜ぶかな、などと楽しい妄想をしてしまい、ドジっ子は赤面しているんだ……)
男(お前はただの、情報提供者だよ、冬馬)
冬馬(で、でも、上目使いが……)
男(異性を騙す、あざとい手法だよ)
男(現に、お前も騙されてるじゃないか)
冬馬(はっ……!)
男(こうやって、女は異性を騙し、情報をもぎ取って行く……)
男(分かったか?冬馬?)
冬馬(………あぁ)
冬馬(俺はさながら、手の平の上で踊り狂うピエ○。だったんだな……)
ドジっ子「………冬馬、くん?」
32: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 06:08:37.18 ID:NZX+hF1x0
冬馬「あ、あぁ、悪い、今から教える……」
ドジっ子「やったぁ!ありがとう!冬馬くん!」ニコッ
冬馬(この笑顔も、騙す手法何だな……はぁ……)
冬馬「じゃあまず、まな板を取ってくれ」
ドジっ子「うん……わっ、キャア!!」ドンガラ…
冬馬「!!」
冬馬「危ねっ!!」ガシッ
ドジっ子「あっ……」///
冬馬「あっぶねー……気を付けろよ?」
ドジっ子「あ……ありがとう……冬馬くん……」///
冬馬「あぁ…」
双子姉「あっ!ピピンがドジっ子ちゃんの肩抱いてるー!!」
冬馬「え……わ、わぁ!すまねぇ!」
ドジっ子「あっ……いや、そんなぁ……」///
双子妹「ひゅー!ひゅー!羅刹ひゅーひゅー!」
冬馬「ちゃ、茶化すな!あと、名前は天ヶ瀬冬馬だ!」
36: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 06:27:32.89 ID:NZX+hF1x0
10分後
冬馬「完成したな……いただきます」
男「本当に美味いな」モグモグ
冬馬「当たり前だ。俺がほとんど作ったんだからな」
冬馬「さて、俺も食うか…」
ドジっ子「あの、冬馬くん!」
冬馬「ん?なんだ?」
ドジっ子「私の班で作ったカレー……」
ドジっ子「冬馬くんの言う通りにしたら、美味しく出来たよ!」
冬馬「おぉ、よかったな」
ドジっ子「それでね……あのね……よかったらだけど……」///
ドジっ子「今度……私が作った料理を、冬馬くんに食べて欲しくて……」///
ドジっ子「だから……今度の休み、私の家に……遊びに来ない?」///
冬馬(!!)
冬馬(こ……これって……!!)
男「………………」
男「……彼氏……実験……試食……毒味……」ボソボソ
冬馬「!!」
冬馬「わ、悪い、今回はやめとくよ……」
ドジっ子「そっかぁ……」シュン
38: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 07:18:15.46 ID:NZX+hF1x0
休み時間
冬馬「やべっ、調理実習ゆっくりしすぎた!」タタタ
冬馬「早く教室に戻らねぇと、三限目に間に合わなくなる!」タタタ
おっとり女「あらあら~、また廊下を迷っちゃったわ~」
冬馬「…………」タタタ
おっとり女「困ったわぁ~……どうしましょう….」
冬馬「…………」
冬馬「おい、あんた」
おっとり女「はい?」
冬馬「教室の場所、どこだよ?」
おっとり女「えっ?」
冬馬「いいから!早く言えよ!」
おっとり女「は、はい……3-○組です……」
冬馬「はぁ!?さ、3年も通って、学校の廊下迷ってんのかよ!?」
おっとり女「すみません……方向音痴なもんで……」
冬馬「い、いや、別に謝らなくていいけどよ……」
39: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 07:24:39.61 ID:NZX+hF1x0
冬馬「えぇい、とにかく急ぐぞ!」パシッ
おっとり女「キャッ……て、手を……」///
冬馬「走るぞ!」タタタ
おっとり女「あ、は、はいぃ~……」タタタ
冬馬「はぁはぁ……着いたな……」
おっとり女「あ、あの……そろそろ、手を……」///
おっとり女「周りの人が……その……見てますから……」///
冬馬「え?」チラッ
冬馬「あ、あぁ!?」バッ
冬馬「す、すまねぇ!急いでて、つい!」
おっとり女「い、いえ、いいんですよ」///
冬馬「本当、悪かった!じゃあな!」タタタ
おっとり女「あっ、待ってくださ……」
おっとり女「行っちゃった……」
40: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 07:32:39.24 ID:NZX+hF1x0
キーンコーンカーンコーン……
冬馬「あぁ……三限目間に合わなかったか……くそっ!」
冬馬「仕方ねぇ……遅刻なら、もう三限目はサボるか…」
冬馬「ノートは男にでも頼んで……」
冬馬「屋上にでも行って、寝るか」
冬馬「ふわぁ……眠くなって来たな……」
冬馬「飯食ったからだろうな……」スタスタ
冬馬「ふわぁ……屋上に着いたな……」
冬馬「ベンチで寝るか……」
金髪娘「ムニャムニャ……」スースー
冬馬「…………」
冬馬「先客がいたか……」
42: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 07:44:19.58 ID:NZX+hF1x0
冬馬「仕方ねぇ……そこら辺に座っとくか」ストン
冬馬「調理実習で作ったオニギリでも食うか……」スッ
金髪娘「!!」ピクッ
金髪娘「オニギリ!?」ガバッ
冬馬「おわっ!?」ビクッ
金髪娘「ん~?…………見ない顔だね?」
冬馬「な、何だよ、急に起きて……ビックリした……」ドキドキ
金髪娘「………」ジー
冬馬「な、何だよ、俺を見て……」
金髪娘「オニギリ……」ジュルリ
冬馬「そっちを見てたのかよ……いるか?」スッ
金髪娘「ありがとうなの」シュバッ
金髪娘「なかなかなの」モグモグ
冬馬「は、速ぇ……」
金髪娘「……ところで、君だれ?」
冬馬「知らねぇのかよ……職業上、ショックだな……」
43: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 08:04:19.16 ID:NZX+hF1x0
金髪娘「ふ~ん、天ヶ崎竜馬っていうアイドルなんだね」
冬馬「天ヶ瀬冬馬だ!!」
金髪娘「アイドルかぁ~……楽しい?キラキラ出来る?」
冬馬「キラキラは分からねぇが……」
冬馬「まぁ、楽しいとは正直思う」
冬馬「何より、やり甲斐があるからな!常に全力疾走だ!」
金髪娘「疲れるのは、好きじゃないの」
金髪娘「でも……アイドル、かぁ……」
金髪娘「……やってみても、いいかなぁ」
冬馬「何?本気か?」
金髪娘「うん。そこそこ売れればいいかなって」
冬馬「……おい、そんな生半端な気持ちなら、やめておけ」
金髪娘「え?」
冬馬「やるからには、一番を目指す気でやれ!」
冬馬「生半端なやつは、アイドルになる資格なんてねぇ!」
金髪娘「…………」
冬馬「……悪い、熱くなっちまった……」
金髪娘「ううん、ちょっとビックリしたけど気にしてないの」
冬馬「そうか……とにかく、やるからには本気でやれ」
冬馬「そしたら、お前の言う通りキラキラ出来るかもしれねえぞ」
冬馬「じゃっ、次の授業は出るからそろそろ戻る」スクッ
冬馬「じゃあな、やるならテッペン目指せよ!」スタスタ
金髪娘「……あんな真剣な目をして、本気で怒られたの初めてなの」
金髪娘「……天ヶ瀬冬馬かぁ……少し、興味が湧いちゃったな」
44: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 08:17:06.92 ID:NZX+hF1x0
四限目
冬馬「四限目の体育は絶対にサボれねぇぜ!」
冬馬「体を動かせるのは、気持ちがいいぜ!」
先生「はい、じゃあ後は男女共自由に運動しろー」
男「そういえば今日は男女混合だったよな……」
男「おい、冬馬。女子がいるぞ、女子が。」
冬馬「ふんっ、俺には関係ない」
冬馬「…………」ちらっ
男(女子の方をチラッと………)
ボーイッシュ女「やい!天ヶ瀬冬馬!」
冬馬「ん?あー!」
冬馬「ボーイッシュ女か!サッカーボールを持ってるという事は……」
ボーイッシュ女「そう!サッカーの勝負を申し込みに来た!」
ボーイッシュ女「前、昼休みの時に負けたからね……勝負だ!」
冬馬「いいだろう……売られた喧嘩は買うまでだ!」
ボーイッシュ女「じゃあ早速……あのコートで1対1で勝負だ!」タタタ
冬馬「よし!見てろよ!圧勝してやるぜ!」タタタ
男(まぁ、あいつなら………大丈夫だろ)
45: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 08:26:32.05 ID:NZX+hF1x0
15分後
冬馬「はぁ…はぁ………や、やるな」
ボーイッシュ女「はぁ…はぁ………やっぱり、サッカー上手いね」
冬馬「まぁな…特技の一つだからな」
女「あ、あの、ボーイッシュ女ちゃん!」///
ボーイッシュ女「うん?なに?」
女「はい、これ!タオル!」///スッ
ボーイッシュ女「あぁ、ありがとう」
女「カッコよかったね!ボーイッシュ女ちゃん!」///
ボーイッシュ女「ははは……カッコいい、か……」
ボーイッシュ女「…………」
冬馬「……………?」
49: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 08:54:23.68 ID:NZX+hF1x0
水道付近
ボーイッシュ女「フー……冷たくて気持ちいい!」バシャバシャ
冬馬「なぁ……さっきはどうしたんだよ?」
ボーイッシュ女「何が?」
冬馬「何か……女と話してた途中、急に元気が無くなったというか……」
ボーイッシュ女「……ははは、気付いちゃったか……」
ボーイッシュ女「はぁ……皆、ボクの事をよくカッコいいって言ってくれるんだけど……」
ボーイッシュ女「やっぱりボクも女の子だから……」
ボーイッシュ女「可愛いって言われたいな、って思っちゃって……」
ボーイッシュ女「ははは……何てね!今の忘れて!」
冬馬「……………」
冬馬「まぁ……何だ、その……」
冬馬「それ聞いて……その……思ったけどよ……」
冬馬「可愛い所……あるじゃねーかよ」
ボーイッシュ女「………え?」
冬馬「いやっ、そのっ、なんだ……!」///
冬馬「お、お前みたいに、カッコいいって言われてるやつが……」///
冬馬「可愛いって思われたいだなんて……ギャップがあるっていうか……その、なんだ…」///
冬馬「えぇい!今のセリフ、忘れろ!」///
ボーイッシュ女「……………」
ボーイッシュ女「へへっ」///
53: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 09:16:13.77 ID:NZX+hF1x0
昼休み
冬馬「さて、飯でも食うか」
沖縄娘「おーい!元気っ子!サーターアンダギー作って来たぞ!」
元気っ子「うっうー!ありがとうございます!」
冬馬「サーターアンダギーか……おい、沖縄娘」
沖縄娘「あっ!冬馬!」
沖縄娘「何?」
冬馬「それ、ひとつくれよ」
沖縄娘「べぇー!これは元気っ子の為に作って来たやつだからダメー!」
冬馬「チッ…わかったよ」
沖縄娘「まぁ、冬馬がどうしても食べたいっていうならあげるぞ!」
冬馬「ふん、別に。そんなにはいらねえよ」
沖縄娘「つ、強がるのは良くないぞ!ほら、食べろぉ!」グイッ
冬馬「うおっ!急に口に入れ……」モゴモゴ
冬馬「んっ……んん?」モグモグ
沖縄娘「ど、どうだ?」
58: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 09:28:40.04 ID:NZX+hF1x0
冬馬「う……うまいな」モグモグ
沖縄娘「ほ、本当か!?」
冬馬「あぁ、しかも少し甘さが強い……俺の好みだ」
沖縄娘「へへっ、冬馬の好みに合わせて作ったかいがあったぞ!」
冬馬「え?お前、これ元気っ子の為に作ったって……」
沖縄娘「え……あぁっ!!」///
元気っ子「沖縄娘さん、そういえば昨日冬馬さんが1日学校にいる日について先生に聞いてましたね」
元気っ子「それに合わせて、サーターアンダギーを作ってあげてたんですね!沖縄娘さん!」
元気っ子「とっても優しいです!」
沖縄娘「いや……あの……これは……その……」///
双子姉「ひゅーひゅー!」
双子妹「弄られカップルだー!」
沖縄娘・冬馬「か、カップルじゃねーし!」///
61: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 09:50:44.99 ID:NZX+hF1x0
六限目終了
冬馬「んー!……疲れたぁ……やっぱ、勉強は難しいな」
ツンデレ娘「そんな調子で、本当にアイドルと学業が両立出来るの?」
冬馬「んん?……ツンデレ娘か」
ツンデレ娘「三限目もサボっちゃって……出席率最悪よ、あんた」
冬馬「ふんっ、お前に心配される事じゃねーよ」
ツンデレ娘「なによ!せっかく忠告してやってんのに!」
冬馬「いらねぇお世話だ」
双子姉「おやおや~?ツンデレ同士の会話ですかな?」
双子妹「ツンデレ同士の会話は、本心を読み取るのに頭を使いますなぁ~」
ツンデレ娘・冬馬「誰がツンデレだ!(よ!)」
独身教師「はぁ~い!皆、席に着いて~!」
ツンデレ娘「ったく……無理して体壊すんじゃないわよ!」
冬馬「分かったよ、早く席に戻れよ」
ツンデレ娘「………心配、してるんだから……」ボソッ
冬馬「ん?」
ツンデレ娘「……何でもないわよ、じゃあね」タタタ
冬馬「……………」
冬馬「ありがとよ………」ボソッ
62: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 10:08:13.68 ID:NZX+hF1x0
放課後
冬馬「久々の六時間フルは、なかなかこたえるな…」
男「そうか……どうだった?周りの奴らは?」
冬馬「あぁ……俺を心配してくれたりして、いい奴らばっかだよ」
男「そうか……いい友達を持ったな」
冬馬「あぁ」
男「………いい友達を持ったな」
冬馬「あぁ……何で2回言ったんだ?」
男「いいか、恋人とか、彼女じゃないぞ?」
男「いい『友達』だからな!?『友達』だかんな!?」
冬馬「な、何だよ!?そんな友達を強調すんなよ!」
冬馬「そ、それに…あいつらとはそんな関係じゃないって……」
冬馬「俺が……1番知ってるっつーの……くぅ……」ショボーン
男「まぁまぁ……そう気を落とすな」
冬馬「るせぇ!今日はもう、1人で帰る!」
冬馬「じゃあな!!」タタタ
男「……………」
男「何とか、童貞仲間を失わずに済んだな……」
66: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 10:33:12.38 ID:NZX+hF1x0
冬馬「はぁ……何で俺はモテないんだ?……くっそ」トボトボ
冬馬「………ん?あそこにいんの、生徒会長か……?」
生徒会長「……………」トボトボ
冬馬「よお、生徒会長」
生徒会長「あっ……天ヶ瀬冬馬……」
生徒会長「……………」
冬馬「………?」
冬馬「どうした?何か元気ねーな?」
生徒会長「………冬馬は……」
生徒会長「凄いね……カリスマ性というか……皆から信頼されてて……」
冬馬「何のことだ?」
生徒会長「……今日の一限目、冬馬が中心に話が進んだでしょ?」
生徒会長「本当は、私がしないといけない役割なのに……全然出来なくて……」
生徒会長「ダメだなぁ……私って」
冬馬「……………」
冬馬「いや、お前はよくやってるし、出来るやつだよ」
冬馬「そんな風に責任を感じるの、最近の並大抵なやつらじゃ、しようともしないぜ」
冬馬「それに、ちゃんと学園祭の事も先陣切ってしてるしよ」
生徒会長「……………」
冬馬「あとはよ……もっと周りのやつらに頼ったらいいと思うぜ」
冬馬「あいつら、思ってるより頼りになるぜ?」
生徒会長「……そっか、そうだね」
生徒会長「ふふっ、ありがと、元気出てきた」
生徒会長「冬馬って……思ったより、優しいのね」///
67: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 10:53:10.37 ID:NZX+hF1x0
冬馬(!!)
冬馬(な……なんか、この雰囲気良くないか?)ドキドキ
冬馬(このまま行けば、俺にも彼女が……)ドキドキドキドキ
冬馬(いける……いける!!)ドキドキドキドキドキドキ
冬馬「なぁ……生徒会長」
生徒会長「なに?」
冬馬「生徒会長って……好きな奴とか……いるのか?」
生徒会長「なっ!」///
生徒会長「きゅっ、急に何言い出すのよ!?」///
生徒会長「ま、まぁ、ちょっと気になる人なら……」///チラッ
冬馬(この反応!!間違いない!!)
冬馬「な、なぁ!!生徒会長!!」
生徒会長「はっ、はい!?」///
冬馬「そのっ、お、俺と……つつつつつつつ、付き…………」
大声少女「あぁーーー!!生徒会長さぁんだぁーーーーーーーー!!!」
女装男「お、大声少女ちゃん、声大きいよ……」
ヒッキー「近所迷惑?」
72: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 11:19:11.14 ID:NZX+hF1x0
冬馬「!?」ビクッ
生徒会長「あっ、女装男!それに、友達も……」
冬馬「えっ?知り合いか?」
生徒会長「え、えぇ、従弟で……」
冬馬「そ、そうか……」
冬馬(くそっ、雰囲気がぶち壊しだ……)
冬馬(今日の所は撤退だ!)
冬馬「邪魔しちゃ悪いな、あばよ」タタタ
生徒会長「え!?」
生徒会長「ちょ、ちょっと!さっき何を……」
生徒会長「………行っちゃった…」
生徒会長「何だったんだろう……さっき言おうとしたの……?」
74: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 11:35:43.53 ID:NZX+hF1x0
冬馬自宅
冬馬「はぁ……チクショウ、俺って本当についねえなぁ……」
冬馬「……いやいや!プラス思考で行かねえと!!」
冬馬「あの時、別にいい雰囲気じゃなかったかもしれなかったしな!」
冬馬「うん!きっとそうだ!俺の勘違いだったに違いない!」
冬馬「そうそう!よし、この話は終わりだ!」
冬馬「よし!明日の確認するか!」
冬馬「えーと……明日は765プロと共演の撮影があるな……」
冬馬「ひとまず、また学校生活とはおさらばだな……」
冬馬「学園祭の準備とかには出てえなぁ」
冬馬「それに合わせて、スケジュール調整するか」
冬馬「さぁーて……寝るか……」
冬馬「おやすみ、おふくろ」
冬馬「電気消そ…….」
カチッ
冬馬(…………………)
冬馬(あー……モテてぇ……彼女欲しい……)
79: ◆p3yuNM37DY 2014/08/15(金) 11:45:29.97 ID:NZX+hF1x0
次の日 スタジオ
冬馬「おつかれーっす!」
冬馬「うし……帰るか」
真美「あっ!あまとう!」
亜美「おつかれー!」
冬馬「あぁ、おつかれ…って!天ヶ瀬冬馬っつってんだろ!」
真美「ねぇねぇ、あまとうってさぁ……誰かと付き合った事ってあんの?」
冬馬「は、はぁ!?な、なんだよ!いきなり!?」
亜美「いやぁ~、あまとうってそういうの無さそうと思ってぇ~」
冬馬「は、はぁ!?」
冬馬「あ、あ、あるに決まってらぁ!!」
冬馬「そ、そそ、そんなの昔からあるし!マジだし!真実だしぃ!!」
真美「うわぁ……必死だぁ」
亜美「言わずもがな……あまとう」
冬馬「ぐっ………うるせぇなぁ!!」
冬馬「何でだ……何でなんだよぉ!?」
冬馬「なんで俺には彼女が出来ねぇんだ!!」
完