1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 17:40:32.99 ID:M/t3xOqy0
高槻やよいには妹がいる。
まだ小学生だが、将来を期待させるほど顔立ちが整っている。
おそらく高槻家は美形の家系なんだろうな。
やよいの家では、もやしパーティが定期的に開かれるが、
時間を見つけては参加させてもらってる。
食事中も、俺の熱い視線は『かすみちゃん』にだけ注がれていた。
ああ、かすみちゃん、あの麗しい顔を間近で一目見てみたい。
すべすべのお肌。まだ穢れを知らない純粋な心。
――全てを俺色に染めてしまいたい。
そんな思いが、俺を高槻家へと動かすんだろうな。
やよい「プロデューサー。もうみんな寝ましたよ……?」
P「そうだな。そろそろいいか。おいで、やよい?」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 17:44:17.76 ID:M/t3xOqy0
熱烈に抱き合い、口づけを交わす俺たち。
なんていうか、成り行きで恋人同士になってしまった俺たち。
やよいはまあ、かすみちゃんへの予行練習ということでいいだろう。
やよい「あっ……んっ………そんなとこ……恥ずかしい……」
P「いいじゃないか。やよいのここ、とってもキレイだぞ?」
場所をお風呂場に移し、生まれたままの姿になった。
シャワーでやよいの身体のすみずみまで洗っていき、軽く愛撫する。
時々くすぐったそうに身体をよじるやよい。
愛しかった。その顔が、かすみちゃんに重なるようで。
P「さあ、キスのお時間ですよー?」
やよい「ん~~~っ、ん……」
必死に舌を伸ばし、俺の愛情に答えようとしてる。
やよいはやっぱり良い子だ。かすみちゃんさえいなければ、
この子と真剣に付き合っても良かった。
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 17:51:28.49 ID:M/t3xOqy0
やよい「あっ……あっ、だめぇ……もう……イッちゃうぅぅ……!!」
P「我慢しなくていいよ? やよいの可愛いところいっぱい見せてね?」
感度が良いので簡単な愛撫でも何度も達してくれる。
愛液で濡れた手を熱い湯で洗い流し、いよいよ本番だ。
正面から抱き合い、大胆に開いたやよいの足の間に俺のモノが入っていく。
やよい「……あっ!! きてるぅ……Pのが奥まで入ってます……」
P「動くからな。痛かったら言ってくれ」
やよい「あっ……ちょ……待って……あああっ……そんなに強くっ……!!」
激しい上下運動が始まったので戸惑ってるみたいだ。
湿った髪を振り乱しながら喘ぐやよい。
髪を下ろしてると不思議と大人っぽく見える。
俺だけのやよいという気がしてさらに燃え上がるぜ。
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 17:57:51.64 ID:M/t3xOqy0
やよい「はぁはぁっ……またっ……いっちゃうぅうぅ……!!」
P「ははは。何度でもイカせてあげるからな?」
俺は仕事上でも一流の評価をいただいてるが、こっちでも一流のようだった。
やよいの感度が良いというより、俺のテクによるところが多い様だ。
なんとも楽しい夜だった。かすみちゃんと一緒に寝られないのは残念だけどな。
小鳥「最近のやよいちゃん、急に女っぽくなりましたね」
P「えっ」
翌日、元気いっぱいに事務所を出発したやよいを見て小鳥がそう言った。
Pはばつの悪そうな顔をし、そうでしょうかと知らんぷりした。
小鳥「彼氏でもできたんでしょうか?」
P「やよいにですか? 有りえませんよ。
基本的にうちの事務所って恋愛禁止じゃないですか」
小鳥「禁止だったんですか?」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 18:03:36.20 ID:M/t3xOqy0
P「先月社長が決めたんですよ。どっかの事務所アイドルが交際相手の
家で自殺未遂した、とかで大問題になったでしょ」
小鳥「ああ、あの人のことですか。たしか一年くらい活動停止してますよね」
P「万が一あいつらに変化があったら、俺には分かるはずです。
とにかくこの話はこれでおしまい。春香を現場まで送って行きますからね」
やよいとの関係は、死んでも公にはできなかった。
児童を狙った犯罪が横行してる昨今において、
中学生と性的な関係を持つなど絶対に許されないだろう。
P(春香か。あいつも最近頑張ってるよな)
春香「今日はPさんと二人きりでうれしいなぁ」
P「こら。手を繋ぐのは二人だけの時にしなさい」
春香「少しくらいいいじゃないですか!!
今なら誰も見てませんって」
春香はCランクアイドルを脱出してBランクになった。
長距離通勤という事情も考えると、素晴らしい快挙だ。
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 18:10:28.76 ID:M/t3xOqy0
褒めてやらねばならない。そう思ってデートに誘ったのが間違いだった。
全ては成り行きのせいだ。そう。成り行きが悪いのだ。
ーーー
いよいよPと良き仲になったと思っていた春香。
思いとは裏腹に、やよいとPの密会を目撃する。
やよい「お兄ちゃん、もっとぉ」
P「はは。やよいは甘えん坊だな」
春香(え……?)
事務所に忘れ物を取りに来ただけだった。
他の皆はとっくに帰った。やよいは弟たちの面倒を見る必要が
あるから、一番早く帰ることが多いのに。
やよい「幸せすぎて不安なんです。Pは皆から人気だから、
いつか私の元を離れちゃうんじゃないかって」
P(間違いじゃないな。いずれ『かすみちゃん』へステップアップする予定だし)
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 18:17:09.62 ID:M/t3xOqy0
すなわち、やよいが装甲車であるとしたら、
かすみちゃんは重戦車のようなものだ。
よく分からない例えだった。
P「心配するな、やよい。他の奴なんて初めから相手してないよ」
やよい「でも……」
P「どうした?」
やよい「この前、春香さんと二人っきりで話してるところを見たんです。
すっごく仲良さそうでした!! 恋人さんみたいに……」
P「問題ない。リボンとか興味ないんだよね」
ズッゴオオオオオオオオオオオオン!!
フィンランド領に侵入したT34(ソ連製主力戦車)が、
さっそく地雷を踏んでしまったことを想起させるような轟音。
階段付近の壁に謎の穴が開いている。
容赦なくハンマーでも叩きつけた跡のようだ。
Pとやよいは意味も分からず身を寄せ合って震えていたが、
この現象の意味を明日思い知ることになる。
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 18:23:11.07 ID:M/t3xOqy0
翌日の事務所。廊下にて。
パシーーーーン
やよい「え……?」
春香「嘘つかないで。やよいはPさんと付き合ってるんでしょ?」
やよい「そ、そんなことないですぅ……。誤解ですよぉ」
春香「ふーん。頬っぺた引っぱたいたのに、まだとぼける余裕があるんだ?」
やよい「だ、だって……本当に付き合ってないんですよ!!」
パシーーーン
さっきとは反対側の頬が、赤く染まった。
やよい「うっうー……どうしてこんなことするんですかぁ……」
春香「あんたが勝手にPさんを奪おうとするからでしょ。
早く認めなさいよ。隠れてPさんと付き合ってたって」
やよい(でも、本当のことを言ったらPに嫌われちゃうです)
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 18:29:29.63 ID:M/t3xOqy0
Pがやよいと関係を持つ時にはっきり言った。
俺とのことを他の奴に言ったら絶好だからな、と笑顔で。
美希「おはよーなの」
春香「あ、おはよ」
やよい「ううっ……ぐすっ……」
美希「やよいが泣いてるの」
春香「実はね……コソコソ」
美希「えー。そんなことがあったんだ!! 全然知らなかったよ」
やよい「み、美希さん……。春香さんが二度もぶったんですよ?
早く助けて下さ……」
ドガ
無情な蹴りが返答だった。
余談だが、印象派の画家にエドガー・ドガという人物がいる。
ーーーーーー
夕食タイム。きた
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 18:44:10.66 ID:M/t3xOqy0
やよい「み……き……さん?」
美希「ハニーは美希のモノだからね? 勝手に奪っちゃ駄目なの」
春香「あはははは!! さすが美希。よく分かってるじゃん」
やよい「うそ……どうしてみんな私を苛めるんですか?」
春香「どうしてって」
美希「楽しいからかな?」
ドガ
やよい「うわああああああああああん!!」
雪歩「きゃっ」
逃げ出そうとした先には雪歩がいた。
二人でもつれ合うように転がる。
涙目の雪歩が起き上がり、やよいに手を指し伸ばそうとするが、
美希「そいつに手を貸しちゃ駄目なの」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 18:50:39.17 ID:M/t3xOqy0
春香「今制裁中だから。やよいを助けたら雪歩も同罪にしちゃうね★」
雪歩「え……制裁? それってどういう意味ですか?」
やよい「雪歩さんは……どっちの味方なんですか?」
雪歩「ふええ……そんなこと急に言われても返答に困りますぅ。
まだ事情だって把握できてないのにぃ」
春香(ぶりっこ、うぜえ)
美希(こいつもぶん殴りたいの)
雪歩「いじめって社会問題になってますよね?
そんなことしたらPに嫌われちゃいますぅ」
春香「……」
雪歩「私、今から事務所に行って律子さんに知らせてきますから」
制裁が決定した瞬間だった。
雪歩「うっ……!?」
走ろうとした途中で足を引っかけられ、派手に転ぶ。
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 18:56:42.02 ID:M/t3xOqy0
棒高跳びを失敗したオリンピック選手のようだった。
春香「雪歩ってさ、バカでしょ?」
雪歩「うわあああああああああ!!」
美希「あはは。楽しいの。もっと踏んであげるね★」
うつ伏せに倒れてるところに、軽く蹴りを入れられてる。
雪歩「い、痛いよぉおお!! 私までいじめないでええ!!」
春香「前から雪歩のこと気に入らなかったんだよねぇ。
Pさんの前だと特にぶりっこしてさ」
美希「男性恐怖症のくせにハニーとだけは普通に手を握れるとか
おかしいの。本当は男好きなんじゃないの?」
雪歩「そんなことありませんよおおお!!」
春香「うっさいんだよ、おら」
雪歩「いやああああああああ!!」
不良少女の放つ『おらおらステップ』は強烈だったらしい。
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:02:36.85 ID:M/t3xOqy0
どのようなステップなのかは不明なので想像に任せる。
やよい(このままじゃ雪歩さんが……)
やよい「誰か助けてくださあああい!!」
律子「ん? 何かあったの?」ガラッ
そこからの臨機応変振りは神業だった。
春香「へ?」
美希「なんでやよいはそんなに慌ててるの?」
雪歩「……」
律子「あれ? 今やよいが大声出してなかった?」
春香「知りませんよ? ねえ美希?」
美希「うん。雪歩はさっき自分で転んだだけだよね?」
雪歩「え?」
美希「だよね?」ギロ
雪歩「は……はい!! 私ったらドジで困っちゃいますぅ!!」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:08:32.99 ID:M/t3xOqy0
やよい(私も知らない振りしないと後が怖い)
律子「何もなかったのね?」
やよい「すみません、ちょっとゴキブリがいたから叫んだだけだったんです」
この場はやり過ごすことができたが、やよいの行動は春香たちを苛立たせた。
もし現場を律子に見られていたら、最悪だった。
~女子更衣室にて~
春香「馬鹿みたいに大声出してんじゃないよ」
やよい「ぐっ……!!」
ボディブローが入り、激しく咳き込むやよい。
春香「ばれたら私達首になっちゃうじゃない」
美希「やよいみたいなB級と違って美希はAランクなの。
あと少しでSランクも夢じゃないの。分かるかな?」
やよい「……ごめんなさい」シクシク
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:14:49.68 ID:M/t3xOqy0
春香「次ふざけた真似したら、こんなもんじゃすまさないからね」
美希「雪歩も同じなの。返事は?」
雪歩「はい……」
美希「響もそこで隠れてないで出てこいなの」
響「うっ、ばれてたのか……」
春香「全部見てたんでしょ? 言っておくけど、やよいが隠れて
プロデューサーさんを独占してたのがいけないんだからね」
響「……だからって、同じ事務所の仲間に暴力を振るうなんて変だぞ」
千早「我那覇さん。あなたは何もわかってないわ」
響「千早? いつからそこに?」
千早「あの人は全員の共有物でしょ? 勝手に独占した人は
裁かれるべきなのよ。そうだと思わない?」
響「なんだよその考え方。いじめは絶対に許せないぞ……!!」
春香「おっと。こっちは三人だよ?」
美希「かこってフルボッコにしてあげるの」
千早「もちろん、仕事に影響が出ない程度にね★」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:20:11.12 ID:M/t3xOqy0
響。16歳。スターリンとの会話中に一瞬だけ目をそらしてしまい、
スパイ容疑を駆けられたソビエト共産党員(41歳、所帯持ち)の心境を理解した。
響「ま、待て!! 話せばわかるさ!!」
春香「話ですって? なにもないね。
私たちの考えに従うなら、やよいか雪歩を殴りなさい」
響「えええ、なんだって!?」
美希「それが服従の証なの。さっさとやってほしいな」
千早「はいはい、我那覇さんのちょっと良いとこ見てみたいー!!」
響「ボ……」
春香「ボ?」
響「ボマー達に襲われたモリトケー!!」
雪歩「っああああ……!!」
雪歩を軽く突き飛ばしたつもりだったが、思ったより力が入ってしまった。
ロッカーに激しくぶつかり、ぐったりと倒れる雪歩。
乱れた前髪から除く瞳。涙が一粒零れ落ちる。
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:26:21.42 ID:M/t3xOqy0
P「おいいい!! さっきの轟音はなんだ!! ソ連のスパイでもいたのか!?」
春香「プロデューサーさん。ここ女子更衣室ですよ?」
P「あ? 覗きなら毎日してるから安心しろ!!
それよりなんで俺の雪歩が倒れてんだよ!!」
千早(俺の……)
美希(雪歩……?)
雪歩「あぁ……プロデューサー……来てくれたんですね」
P「おいおい!! うおおおおい!! なんで泣いてんのおおお!!
ちょっとやだこれええ!! なにいい!? ねえ、何が起きたのよこれええ!!」
春香「貧血で倒れたそうです。寝坊して朝から何も食べてなかったらしくて」
P「なにいい!!」
――それは重大だ!! 雪歩のことが心配だから病院に行ってくる!!
あとのことは社長と律子に任せるから!! じゃあな!!
雪歩をお姫様抱っこし、春風のように走り去るP。
雪歩のことに夢中だったので、しくしく
泣いてるやよいは視界にすら入らなかったらしい。
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:32:08.35 ID:M/t3xOqy0
春香「はぁ……やっぱり雪歩も黒だったんだね」
美希「あとでお仕置きタイムなの」
千早「楽しみねwwww」
新たな制裁対象としてノミネートしてた雪歩だが、これで確定しそうだった。
ーー
~とある公共施設にて~
P「雪歩。服を脱いでくれないか?」
雪歩「えええええ!? 病院に連れてってくれるんじゃなかったんですか!?」
P「いや、どうせわかってるんだ。貧血ってのは嘘なんだろ?」
雪歩「……」
P「頼むよ。俺の前では嘘つかいないでくれ」
雪歩「……はい」
P「やっぱりな。てことは、雪歩の身体を調べなくちゃならん」
雪歩「なんでですかああ!! ていうか、ここ図書館ですよ!!」
平日なのでいるのは老人ばかり。少しだけ若い親子もいる。
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:36:34.26 ID:M/t3xOqy0
職員(あいつら、さっきからうるせーな)
P「あ?」ギロ
職員「ひっ」
雪歩「係の人を脅してどうするんですか」
P「悪い。ついくせでな。で、本当は何があったんだ?」
雪歩「そ、それは……」
P「俺にも言えないのか? 影でこっそり交際し、
裸の付き合いまでした俺にも?」
雪歩「うぅ……」
P「想像だけど、言ってもいいか?」
雪歩「どうぞ」
P「おまえは響にいじめられてる。違うか?」
雪歩「響ちゃんがそんなことするわけないじゃないですか!!」
P「でも実際にぶっ飛ばされてたじゃん」
雪歩「あれは春香ちゃん達に命令されてやっただけですぅ。
響ちゃんは最後まで私を助けようとしてくれたんですよ」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:42:09.26 ID:M/t3xOqy0
P「えーなにそれ。じゃあなに? 悪いのは実は春香ってこと?
なんか美希とか千早も悪そうな顔してたんだけど」
雪歩「美希ちゃん達も共犯ですぅ」
P「なんだと? つまり、あいつらが雪歩をいじめてるってことなんだな!?
こうしちゃいれねえ!! 今すぐ社長に報告して粛清してもらうぜ!!」
ダダダダダダダダッ
草原を駆けるシマウマのごとく。
目標はもちろん社長室だった。
P「しゃちょおおおお!! ついにわが事務所でもいじめ問題勃発ですよ!!」
社長「んあ? すまん。今起きたところなんだ」
P「はぁ? あんた仕事中に寝てたんですか!?」
社長「今日は珍しく暖かい陽気だからついね。
で、なんだって?」
P「いじめですよ!! いじめ!! 絶対許せませんよね?
あの可憐で可愛くて繊細な雪歩がぶっ飛ばされてたんですよ!!」
社長「……ほう?」 P「いや、ほうって……」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:49:12.16 ID:M/t3xOqy0
社長「ま、うちは人数の多い事務所だしね。喧嘩くらいはあっても不思議じゃない」
P「いやいやいや、何言ってんすか!! 喧嘩じゃなくていじめなんですよ!?」
社長「みんな若いからね。身体を持て余してるのさ」
P(……はぁ? こいつ何言ってんだ? いじめは大問題ってのが
分かってないのか? まるで無関心じゃないか)
社長「雪歩君にも怪我はなかったようだし、よかったじゃないか。
話はそれくらいにして君も仕事に戻りたまえ」
P「その前にいじめ問題を明らかにしましょうよ!!」
社長「いじめか……。そんなものが本当にあれば、そうなるだろうね。
律子君にも訊いてみたが、ただの痴話喧嘩だったそうだよ?」
P(ばかな……。軽くいなされちまった。こうなったらもう社長は
あてにならねえ。直接警察にでも事情を話してみるか……)
社長「待ちたまえ」
P「なっ……」
宿敵ドイツ製のルガーじゃねえか。
信じられないことに俺の心臓を照準してやがる。
この国って銃は規制されてるんじゃなかったのかよ!!
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 19:55:10.32 ID:M/t3xOqy0
社長「君が考えてることはだいたいわかるよ。
だがね、よく考えてみたまえ。今うちの事務所は儲かってる。
千早君や美希君もSランクアイドルが視野に入ってる」
P「だ、だからいじめ問題には目をつむれって言うんですか?」
社長「その通りだ。だいたい君が神経質になりすぎなんだよ。
春香君たちは雪歩君を制裁しようとしただけだ。
陰でこっそり君と付き合ってたことを罰するためにな」
P「ぐぬぬ……。それは確かにいけないことでしたけど……!!」
社長「今後、君の家にも盗聴器を仕掛けさせてもらうよ。
君の携帯にも盗聴システムを組んでおこう。
言っておくが、断じて誰かに命令とかされてないからね?
勘違いしないでくれたまえ」
P(どう考えても裏で誰かが仕組んでるじゃねえか。
くそっ、なんでこんな会社に就職しちまったんだ……)
社長「細心の注意を払って今後のプロデュース活動にはげみたまえ。
あと一か月以内にSランクアイドルを出さなければ粛清する」
P「んなあ!? そんなノルマ初めて聞きましたよ!?」
社長「伊織君たちと相談した結果そうなったのだよ。
人が一番成果を出すときは恐怖を感じてるときらしい」
P「……仮に俺が仕事をばっくれたら?」 社長「粛清する」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 20:02:11.87 ID:M/t3xOqy0
P「アイドルと付き合ったら?」 社長「粛清する」
P「携帯の盗聴を解除したら?」
社長「粛清するに決まってるだろう? 何度も言わせないでくれ。同志よ」
P(この徹底した社会主義者的言動……。
たぶん社長の家族とか人質にとられてそうだなぁ)
溜息を吐きながら社長室を後にした。
社長が家族の写真を握りしめながら泣いてるのが横目に映る。
色々複雑なんだろうな。
スケジュールを確認すると、美希と一緒に新曲の振り付け指導のようだ。
P「美希は運動神経良いから問題なしだな」
美希「うん。ダンスは得意なの。今日もレッスン頑張るのー!!」
P「はは。美希はお利口さんだから助かるよ」
P(純粋にしか見えない美希がいじめに加担してたなんて信じられん)
美希「ねえハニー。携帯見せてよ」
P「な、なんでまた急に?」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 20:08:48.39 ID:M/t3xOqy0
美希「みんなと話し合ったんだけどね、ハニーに変な虫が
つかないように管理した方がいいんじゃないかって」
P「ばっ……俺は仕事用の携帯しか持ち歩いてないぞ」
美希「なんかその反応怪しいなぁ。ちゃんと見せてよ」
P「あふっ!!」
ひざかっくんさせられ、携帯を奪われた。
美希「あーっ!! ハニーったら小鳥とプライベートなメール打ってるの」
P「ぐぬぬ……勝手に見るんじゃありません!!」
美希「おっと。急に動いたら危ないよ?」
P「ごはっ!?」
またしてもひざかっくんさせられ、なさけない声をあえげしまった。
美希「なになに……小鳥愛してる。俺にはお前だけだ。
そう遠くないうちに両親にも小鳥との結婚を認めてもらうつもりだ」
P(……そういえば小鳥も俺の愛人だったか。遊びのつもりだったんだがな)
美希「なにこれ?」 P「いや、その……。むしゃくしゃしてたので」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 20:14:50.73 ID:M/t3xOqy0
美希「イライラしたら小鳥と結婚の約束とかしちゃうの?」
P「はぁ……えっと……すんません」
美希「ふざけないでよ、ハニー」
P「うっ」
美希「ハニーは皆のプロデューサーなの。
勝手に他所の女とくっついちゃだめなの」
P「あの……そんな決まりとかあるんすか?」
美希「大有りなの。ハニーに手を出した女は粛清される決まりなの」
P「馬鹿野郎!! 小鳥さんは純粋な人なんだぞ!!」
美希「でも有罪なの。それとメールの90パーセントが雪歩で
占められてるのはどういうことなの?
毎日モーニングコールとか送っててバカみたい」
P「だって雪歩が可愛いんだもん」
美希「え?」
P「なんでもない!! とにかく雪歩が朝苦手だっていうから、
仕方なく送ってあげてただけなんだ!!」
美希「でも雪歩が高校卒業したら結婚を視野に入れて
付き合おうって書いてあるよ? これはなんなの?」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 20:21:08.45 ID:M/t3xOqy0
P「むぅ……」
美希「それとやよいの家に47回お邪魔したでしょ?
あずささんが報告してくれたの」
P(ちょ、なんでそんなことまでばれてんの!?)
美希「ハニーってロリコン?」
P「おう」
美希「え?」
P「今のは空耳だ!! やよいはお兄ちゃんがいないからさみしいんだってさ!!
だから仕方なくな!! 決して楽しみで遊びに行ったわけじゃないぞ!!
美希「ハニー……。ひどいよ……。アイドルとはそういう関係に
ならないって言ってたのに……」
おっ。
泣きそうになってる。
けっこう可愛いじゃん。
これはチャンスだな。
P「美希。お前の気持ちは分かってる」 美希「あっ」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 20:28:40.79 ID:M/t3xOqy0
背中から美希を抱きしめ、良い雰囲気を作ることにした。
P「俺がどうして美希にそっけない態度とっていたか分かるか?
美希の仕事の邪魔しちゃいけないって思ってな」
美希「そうなの?」
P「ああ。だって美希はうちでも群を抜いてるだろ? ダンスといい、歌といい、
はっきり言って他のアイドルとは別格だと思ってる。だから……な?」
美希「美希はハニーに相手にされてないと思ってたの」
P「その逆さ。美希が魅力的すぎて、簡単には近寄れなかったんだ」
くるっと反転し、俺と向き合った美希。
目と目が合う瞬間~♪ 好きだと錯覚させた。
P「Sランクになったら、本気で美希と付き合おうと思うんだ」
美希「どうせ嘘なんでしょ? 小鳥たちのことはどうするの?」
P「はは。あんな奴らただの遊びさ。本命の美希にたどり着くまでのな。
俺には最初からおまえしか映ってない。好きだ。美希」
前髪をさわり、オデコにキスした。
49: 猿を喰らう…… 投稿日:2013/01/31(木) 20:34:14.98 ID:M/t3xOqy0
美希「あふぅ……」
さすがにあざとすぎたかなって思ったけど、美希的にはオーケーだったみたいだ。
美希「ハニーともっと仲良くなりたいの。ハニーをもっと知りたいの」
P「ああ、またあとでな。今日はお客さんがいるみたいだから」
そう。この部屋には刺客が潜んでいたのだ。
俺の襟に付けられてる超小型盗聴器から美希との会話が知られたんだろうな。
伊織「あんたたち、そこまでよ」
春香「下手な行動をとったら足が吹き飛びますからね?」
社長「まったく、世話を駆けさせないでくれたまえ」
バカどもが構えてるのは、祖国ソビエトで使われていたトカレフTT-33だった。
政治将校殿が占領したウクライナの町で市民を銃殺してたな。
俺は下っ端だったから黙って見てたけど。
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 20:40:34.81 ID:M/t3xOqy0
春香「プロデューサーさん」
P「分かってる。俺はとんだ過ちを犯しちまった」
社長「残念だよ。警告してから一時間もたってないのに」
P「始めに言っておくが、悪いのは美希だぞ?」
美希「ちょ!!」
伊織「責任転嫁しようっての? 迫ったのはあんたの方に見えたけど」
P「ああでもしないと美希が暴走しかねなかったからだ。
現に俺は美希について何とも思っちゃいない」
美希「ええええ!!」
P「よく考えてみろ? 俺をハニーと呼び、積極的に迫って来てたのは
美希の方じゃないか。俺だって大人だから一定の距離は保っていたけどな」
春香「……」
美希「ハニーはやっぱり嘘つきなの」
P「黙って聞いてろ。大体な、俺を再起不能にでもしてみろ。今後の仕事にも
影響しちまうんだぞ? 独りで九人ものアイドルを担当し、
一定の成績をあげるほどだ。俺の代わりはまず見つからないだろう」
社長「くっ……」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 20:47:37.46 ID:M/t3xOqy0
春香「無駄にスペックの高い……」
伊織「……どうやら美希を粛清すれば話はすみそうね」
美希「えええ!! 美希、痛いのいやなのおおおお!!」
春香「じゃあね美希」
伊織「あんたのことは忘れないわ」
2月6日 13:30 星井美希 粛清される
P(ふぅ、邪魔者がいなくなってせいせいしたぜ。
ランクが高いのはまだ千早がいるから安心だな)
それから数日後、俺は本来の目的を思い出すのだった。
P(そうだ、かすみちゃんだ)
書類から目を離し、スーパーの安売り情報をネットで調べてしまう。
もやしパーティはたしか毎週水曜か木曜だったはず。
律子「プロデューサー。テレビ局の担当者から電話ですよ?」
P「あああ、めんどくせえ!! そんなのあとまわしだ!!」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 20:53:58.81 ID:M/t3xOqy0
律子「ちょ、どこ行くんですか!!」
廊下へ飛び出し、やよいにメールを打とうとしたが、
あいにく盗聴されてるんだった。
なぜか俺の送るメールは、アイドル全員に自動転送される仕組みになってる。
理不尽の極みじゃねえか!! これじゃ密会の約束もできやしない!!
……おっ? 美希から一件メールが来てる
『美希は入院しててもハニーのこと忘れてないの。
いつかお見舞いに来てくれるよね?』
俺は二秒で内容を忘れ、かすみちゃんに会う方法を模索した。
P「直接会うしかないか……」
車を飛ばしてやよいの現場まで行こうと思ったが、明らかに怪しすぎる。
しかも会話内容は盗聴器で筒抜け。これで浮気もできないってわけか。
クズどものくせにしっかりしてやがる。
今この事務所にいるのは、律子と小鳥の他に伊織と貴音か。
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 21:01:32.53 ID:M/t3xOqy0
貴音「あなた様。また何か企んでるのですか?」
P「まあそんなことだ」
伊織「あんたねえ。これだけ軽快されてるのに何するつもりよ」
P「俺は人に縛れて生きるのは嫌いなんだ。
毎日同じ時間に職場通勤し、同じ仕事をするのも大嫌い。
だからやりがいのある仕事をしてるのさ」
貴音「何を考えてるのか知りませんが、下手なことをすれば
やよいや雪歩にまで被害が及ぶことをお忘れなく」
P「ふ……それは困るな」
俺は一瞬のすきを突いてスーツについてる盗聴器を粉砕した。
P「伊織。おまえに話がある」
伊織「なによ。やぶからぼうに」
P「どうせ俺のしてることは筒抜けだ。
だから俺の本音を伝えようと思う。好きだ」
伊織「なっ……!!」
貴音「……!!」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/31(木) 21:06:13.51 ID:M/t3xOqy0
P「竜宮小町ができてから伊織と会える時間が少なくなった。
本当にさみしかったんだぞ? 伊織はいつまでも
俺のそばに置いておきたかったのに」
伊織「なあっ……何調子のいいこと言ってんのよ!!」
律子「伊織。相手にしちゃ駄目よ」
P「ん? 俺は本当のことを言ったまでだぞ?
たとえ粛清されても伊織のことは好きでいたい。ずっと。ずーっとな」
マーイ えんどれす ラーブ♪
社長「何がエンドレスラブだ!! この男の言うことほど信用できないものはない!!」
P「失礼ですね。これでも一途なんですよ?」
P(雪歩の次くらいには好きだしな)
伊織「……///」 貴音「おや、伊織もまんざらではなさそうですね」
P「うれしいよ。まるで伊織と両想いみたいじゃないか」
小鳥(今度は伊織ちゃんですか。私のこと完全に忘れてません?)
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欄外 入浴タイム きた