1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:00:13.31 ID:G1/2kc2n0
やよい「伊織ちゃん、今日は本当にありがとう!」
美希「流石はデコちゃんなの!」
亜美「うんうん、いおりんの太っ腹ぶりときたら」
真美「天井知らずですなぁ~」
伊織「い、いいのよ別に、そんなの。単にこの遊園地がうちの系列ってだけのことじゃない」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:04:22.50 ID:G1/2kc2n0
やよい「それでもただで招待してくれるなんてすごいですー!」
美希「うんうん。ミキは懐の深い友達を持って幸せなの」
伊織「も、もう……わかったからそのへんにしときなさい。恥ずかしいじゃないの」
亜美「あれあれ、いおりんったら照れちゃって」
真美「かわゆいですなあ~」
伊織「も、もう! 年上をからかうんじゃないわよ! 亜美! 真美!」
響「…………」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:08:18.61 ID:G1/2kc2n0
やよい「あれ、どうしたんですか? 響さん」
美希「なんか浮かない顔してるの」
響「あ、いや……その……」
伊織「? 何なのよ? 響。もしかして、お腹でも痛いの?」
響「ち、ちがうぞ! えっと、その……伊織には、今日誘ってくれたこと、自分もすっごく感謝してるんだけどさ……」
伊織「?」
響「その……このメンバーって、どういう基準で選んだんだ?」
伊織「えっ?」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:11:21.45 ID:G1/2kc2n0
伊織「そんなの、見ればわかるじゃないの」
響「……と、いうと?」
伊織「遊園地に行って、喜んで遊びそうなメンバーよ!」
響「うぐっ……。や、やっぱりそうなのか……」
やよい「? 響さん? どうしたんですか?」
美希「響が何故かダメージを受けているの」
亜美「ふむ……これはどういうことですかな?」
真美「もしかして~。ひびきん、乗り物弱いとか?」
響「そ、そうじゃなくて……」
伊織「? 何なのよ?」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:16:47.66 ID:G1/2kc2n0
響「……皆、ちょっと自分の学年を言ってみてくれ」
やよい「へ?」
美希「なんでなの?」
響「いいから!」
亜美「? よくわかんないけど、亜美達は中一だよ→」
やよい「私は中二ですー」
美希「ミキは中三なの」
伊織「私も中三よ。それがどうかしたの? 響」
響「うぅ……ほらぁ……」
伊織「?」
響「伊織ぃ……自分は、高二なんだぞ……」
伊織「? 知ってるわよ、そんなこと」
響「だからあ……」
伊織「?」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:18:21.28 ID:G1/2kc2n0
響「この中で、自分だけ、高校生なんだぞ!」
伊織「!?」
やよい「なっ……!」
美希「っ!?」
亜美「な……」
真美「なん……だと……」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:23:08.94 ID:G1/2kc2n0
響「ほらー! やっぱり皆気付いてなかったー! うわあああん!!」
伊織「あ、ああ、そ、そういう……こと……」
やよい「そう言われてみればそうでしたね……」
美希「ぜんっぜん気付いてなかったの……」
亜美「何の違和感も無かったよね」
真美「違和感仕事しろ→」
響「うぅ……皆ひどいぞ……自分、皆より、お姉さんなのに……」
伊織「ま、まあいいじゃない……響、遊園地好きでしょ?」
響「ぐすっ……お、沖縄には遊園地ってなかったからわかんないけど、楽しそうだなとは思うぞ……」
伊織「ほ、ほら! ならいいじゃない!」
響「で、でもでもぉ……なんかこう、自分、高校生なのに、中学生の皆と同じ扱いなのかなって思ったらなんか……」
亜美「あー、ひびきんが拗ね拗ねモードに入っちゃったねぇ」
真美「可愛いから許す」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:32:35.47 ID:G1/2kc2n0
伊織「い、いや、そういうことじゃないわよ? ただなんていうか、響って年の割に子どもっぽいっていうか……あっ」
響「あー! 今……今子どもっぽいって言ったー! うわあああん!!」
美希「あーあ。デコちゃんったらいーけないの。いけないの」
亜美「いーやーや」
真美「こーやーや」
伊織「ちょ、ちょっと! 黙りなさいよあんた達! え、えっとね響、今のは、その、言葉のあやっていうか……」
響「うぅ……も、もういいんだぞ……」
伊織「響?」
響「じ、自分……本当は皆よりお姉さんだけど……でも、あんまりそういう風には思われてないって、なんとなく気付いてたし……ぐすっ」
伊織「い、いや、だからね響。えっと、その……」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:34:50.64 ID:G1/2kc2n0
やよい「そんなことないです!」
響「!? やよい……?」
やよい「響さんはちゃんとお姉さんです!」
響「い、今更そんなこと言ったって……」
やよい「だって響さん、私より背、高いですもん!」
響「!?」
やよい「だから響さんは、立派なお姉さんです!」
響「や、やよい……!」
やよい「ね? 響さん?」
響「う、ううっ……や、やよい~~!!」
やよい「きゃっ、ひ、響さん……」
響「うぅ~、ありがとお~、やよい~!!」
やよい「ふふっ。いいんですよ、響さん。だからもう、泣かないでください」
響「うんっ……! ありがどお、やよいぃ……ぐずっ……」
やよい「ふふ。よしよし」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:44:34.11 ID:G1/2kc2n0
響「……うぅっ、ぐすっ、ありがとね、やよい」
やよい「いえいえ。あ、響さん。お鼻が出てますよ。はい、ちーん」
響「ちーん」
亜美「…………」
真美「…………」
伊織「……えっ、と」
美希「……ミキ的には、もうそろそろ出発したいなーって思うな」
亜美「ミキに同じ!」
真美「それを言うなら右に同じ、でしょ→」
亜美「あ、間違えちゃったよ~てへぺろ!」
真美「あはははは」
亜美「あはははは」
響「? 亜美に真美、何笑ってるんだ? なんかバカっぽいぞ」
亜美「…………」
真美「…………」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:57:47.11 ID:G1/2kc2n0
伊織「……じゃ、じゃあ、そろそろ出発しましょうか。皆、何から乗りたい?」
美希「ミキ的には、やっぱりジェットコースターかな~」
亜美「うんうん、やっぱ最初からガンガンいかないとね☆」
真美「基本っしょ→」
響「……ねぇやよい、ジェットコースターって、あの、ゴーッていくやつだよね?」
やよい「はい、そうですよー! あっ! 響さん! あれじゃないですか?」
響「えっ」
ゴーッ キャー キャー シヌー フォカヌポォー
響「…………」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/14(火) 23:59:44.95 ID:G1/2kc2n0
伊織「じゃあ最初はそうしましょうか」
美希「よーっし! じゃあ速く走って並ぶのー!」
亜美「あー! ミキミキ待ってよ→」
真美「フライングはずるいよミキミキ→」
伊織「こらこら。急がなくたって、並ばずに乗れるわよ」
亜美「あ、そっか!」
真美「流石は水瀬家の力ですなあ」
伊織「う、うるさいわね……もう」
美希「でもでも、せっかくだから競争なの! ビリの人は後でジュースおごりなの!」
亜美「うぇっ!?」
真美「ちょ、おま」
美希「じゃ、そーゆーことで! よーい……スタートなの!」
亜美「あーっ!」
真美「待ってよミキミキー!」
伊織「もー! いきなりそういうこと言うのはやめなさいっての! こらー! 待ちなさーいっ!」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 00:05:10.66 ID:R7wQG8gz0
やよい「あー! 皆走って行っちゃいましたー! 響さん、私たちも早く……って、あれ?」
響「…………」
やよい「響さん?」
響「え? あ、ああ……ど、どうしたんだ? やよい」
やよい「どうしたんだって……皆、とっくに走って行っちゃいましたよ?」
響「え? あ、ああ……」
やよい「美希さんが、ビリの人はジュースおごりだーって。だから響さん、早く私達も行きましょー!」
響「い、行くって……あ、あの、ジェットコースターのとこに……か?」
やよい「? そうですよー? ほら、早くしないと、ビリに……」
響「ぐ……ぐわあああっっっ!!!」
やよい「!? ひ、響さん!?」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 00:12:23.14 ID:R7wQG8gz0
響「ぐ、ぐぅっ……や、やよい……どうやら自分は、ここまでのようだぞ……」
やよい「う゛ぅえ゛っ!? ど、どーしたんですかあ!?」
響「え、ええっと、その、自分、あ、足が……」
やよい「あ、足? 足が痛いんですか?」
響「そ、そうなんだ……だからやよい、ここは自分に任せて、先に……」
やよい「そんなことできません! 響さん、怪我なら救護室に行かなきゃ!」
響「えっ! い、いやいいんだやよい、そういうのは……」
やよい「めっですよ、響さん! 怪我はちゃんと治療しなきゃ、悪化しちゃいます!」
響「い、いや、えっと、自分のこれはその、古傷的なアレで……」
やよい「?」
響「だ、だからやよい、その、自分の事はいいから、先に……」
伊織「ちょっとあんた達。何やってんのよ」
響「あっ」
やよい「伊織ちゃん。どうしたの?」
伊織「どうしたのじゃないわよ。いつまで経っても来ないから、様子見に来たのよ。ほら、美希達が待ってるから早く……」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 00:18:13.66 ID:R7wQG8gz0
やよい「でも伊織ちゃん。響さんが足痛いって」
伊織「? 足?」
響「う……」
伊織「…………」
響「…………」
伊織「……なるほど、ね」
やよい「?」
伊織「ちょっと待ってなさい」
ポパピプペ
伊織「もしもし美希? うん、悪いんだけど先に乗ってて。うん。ええ、後で合流するから。うん。また連絡するわ。じゃあね」
ピッ
響「伊織……」
伊織「まったく、もう、手間掛けさせんじゃないわよ」
響「あ、ありがとう……伊織……」
やよい「?」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 00:22:26.00 ID:R7wQG8gz0
伊織「さて、じゃあ私達もなんか乗る?」
響「そ、そうだな」
やよい「でも響さんが足痛いから、あんまり激しくないのがいいんじゃないかなあ」
響「そ、そうだったな」
伊織「そうねぇ……じゃああれなんかどうかしら」
やよい「メリーゴーランド……」
伊織「あれなら、響“の足”も、大丈夫なんじゃない?」
響「お、おう! そうだな!」
やよい「うっうー! じゃああれに乗りましょー!」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 00:30:20.99 ID:R7wQG8gz0
~メリーゴーランド~
響「あっははは! 楽しいなあ!! あっははは!!」
やよい「うっうー! 私も、すーっごく楽しいですー!」
伊織「もう、二人とも子どもみたいなんだから……ふふっ」
響「ふ~、楽しかったあ」
やよい「私もです! 初めて乗ったけど、こんなに楽しいなんて知りませんでしたー!」
響「えっ。やよいも初めてなのか? メリーゴーランド」
やよい「はい。私の家貧乏だから、今まで遊園地なんて来たことなくって……」
響「……そっか」
やよい「……はい」
伊織「ちょっとほら、何しんみりしてんのよ。次行くわよ、次!」
やよい「……ふふっ。伊織ちゃんも、なんだか楽しそうですー」
響「……だな」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 00:38:57.63 ID:R7wQG8gz0
伊織「? なんか言った?」
やよい「ふふっ。なんでもないですー。ね、響さん」
響「うん、なんでもないぞー」
伊織「? 何なのよ、もう……ほら、着いたわよ」
響「お、次はなんだーって……え?」
やよい「あーっ! お化け屋敷ですー!」
響「…………」
伊織「ふっふっふ。このお化け屋敷はね、この遊園地で一番のウリなんだって。めっちゃくっちゃ怖いらしいわよ」
やよい「うえー!? そうなのー!?」
伊織「ま、パパから聞いた話だけどね。私も入るのは今日が初めてよ」
やよい「そーなんだー。大丈夫かなあ……」
響「…………」
伊織「まあそうは言っても、所詮は子供だましの作り物……って、響?」
響「……え? ど、どうしたんだ? 伊織?」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 00:48:35.62 ID:R7wQG8gz0
伊織「いや、どうしたんだって……あんた、すっごく汗かいてるけど……まさか」
響「う……」
伊織「……これ“も”ダメなわけ……?」
響「う、うぐっ……」
やよい「……も?」
伊織「あっ」
やよい「も、って、どういう……」
響「なっ、ななななんでもないぞ、やよい! さー! 早く入ろうか!」
やよい「わっ! ひ、響さん、引っ張らないでくださいー!」
伊織「あ、ちょ、こらっ。待ちなさ……」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 00:51:04.37 ID:R7wQG8gz0
美希「あー! デコちゃんなのー!」
伊織「デコちゃん言うな! って、あら、あんた達も来たの?」
亜美「絶叫系三つ続けて乗ってきたとこだよ→」
真美「そろそろいおりん達と合流しようと思ったら、ちょうどいおりんが見えたってわけ」
美希「デコちゃんのおでこはよく光るから見つけやすかったの」
伊織「だからデコちゃん言うな! しかも何がよく光るよ! 失礼ね!」
亜美「……って、ひびきんとやよいっちは? いおりん」
伊織「えっ? 二人なら……あれ?」
真美「いないよ→?」
伊織(あ、あのまま入っちゃったのね……)
美希「もしかしてデコちゃん、迷子なの?」
伊織「違うわよ! 二人はここに入ったの! そこにあんた達が来たから……」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 00:56:16.30 ID:R7wQG8gz0
亜美「そ→なんだ! じゃー亜美達も入ろー!」
真美「うんうん! お化け屋敷とか、チョー久しぶりだし楽しそ→」
美希「ミキも早く入って涼みたいの」
伊織「えっ、あっ……(でも今入って、もし追いついたりしたら……)」
亜美「? どしたの? いおりん?」
真美「あれあれ~もしかしてぇ、いおりんてば怖くなっちゃったのかな? かな?」
伊織「ち、違うわよ! 何で私が!」
美希「じゃあ早く入ろうなの……ミキは暑くて溶けそうなの……」
伊織「い、言われなくても入るわよ、ほら」
亜美「わ→い」
真美「おー! すずしー」
伊織(まあ……大丈夫よね……。 やよいも一緒なんだし……うん……)
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 01:03:28.24 ID:R7wQG8gz0
~一方その頃~
ベロベロバー
響「ぎゃああああああああ!!!!」
やよい「わあっ! ……なんだ、ちょうちんかあ。びっくりしたあ」
響「うぅぅぅ……やよいぃ、怖いよぉ……」
やよい「大丈夫ですよ、響さん。ほら、これただのちょうちんです」
響「うぅっ……もう帰りたいよぉ……」
やよい「響さん……」
響「ぐすっ、ご、ごめんねやよい……さっきから、こんなんばっかで……」
やよい「いえいえ。全然大丈夫ですよー」
響「じ、自分、お姉さんなのに、こんな……ぐずっ」
やよい「あ……(そういえばそうだった……)」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 01:11:27.06 ID:R7wQG8gz0
響「ぐすっ、今日、ここに来てすぐのときも、やよいに慰めてもらったし……本当、ごめんね……」
やよい「響さん……そんな、気にしないでください。誰だって苦手なもののひとつくらい、ありますから」
響「…………」フルフル
やよい「? 響さん?」
響「ひ、ひとつじゃないんだ……」
やよい「え?」
響「さ、さっき、ジェットコースター乗る前に、足痛いって言ったけど……あ、あれ、ウソなんだ……」
やよい「……えっ」
響「ホントはさ……怖かったんだ、ジェットコースター……」
やよい「……それならそうと言ってくれれば、別に……」
響「…………」フルフル
やよい「響さん……」
響「……自分、やよいよりお姉さんだから、その、そういうカッコ悪いとこ、やよいに見せたくなくて……」
やよい「…………」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 01:18:06.24 ID:R7wQG8gz0
響「で、でも……だめだよね。結局、こうやって、ボロが出て……余計、カッコ悪いとこ……」
やよい「……響さん」
ギュッ
響「! や、やよい……」
やよい「大丈夫ですよ」
響「やよい……」
やよい「心配しなくても……響さんは、元々カッコ悪いところもありましたから」
響「うんうん……って、ええっ!?」
やよい「……ふふっ。やっぱり、気付いてなかったんですね」
響「う、うん……。自分では、完ペキなつもりだったんだけど……」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 01:20:52.85 ID:R7wQG8gz0
やよい「本当に完璧な人なら、さっきみたいに、年下の私に慰められたりしないと思います」
響「うぐっ……」
やよい「それに、鼻ちーんしてもらったりとかも」
響「うぅ……」
やよい「でも」
響「?」
やよい「私は、そういう響さんの方が好きです」
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 01:34:00.38 ID:R7wQG8gz0
響「やよい……」
やよい「完璧じゃなくても。カッコ悪くても」
響「…………」
やよい「もう高校二年生なのに、妙に子どもっぽくても。それで実際に子ども扱いされて、拗ねちゃったりしても」
響「う…………」
やよい「拗ねちゃった挙句、泣いちゃったりしても。さらに泣いちゃった挙句、年下の私に鼻ちーんしてもらったりしても」
響「う、うぐ……」
やよい「ジェットコースターが怖くても。しかもそれを隠すために、また子どもみたいなウソをついたりしても」
響「あ、あうぅ……」
やよい「さらにお化け屋敷も怖くて、そのうえまたそれを隠そうとして、無理やりそこに入ったりしても」
響「や、やよい……もうそのへんで……」
やよい「でもいざ入ってみたらやっぱり怖くて、私に泣きついたりしても」
響「や、やよい~……」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 01:42:51.06 ID:R7wQG8gz0
やよい「……ふふっ」
響「?」
やよい「……それでも最後は、そういう自分の弱いところを……カッコ悪いところを全部、私に見せてくれる。……さらけ出してくれる」
響「……やよい……」
やよい「だから私は、そういう響さんが好きなんです」
響「……………」
やよい「私は、何もかも完璧にこなしちゃう響さんよりも……自分のカッコ悪いところ、全部認めて、さらけ出して……こうやって泣いてる響さんの方が……ずっとずーっと、カッコイイって思います!」
響「ほ、本当……? やよい……」
やよい「はい!」
響「そ、そっか……ぐすっ」
やよい「だから響さん。もう無理に、お姉さんぶらなくてもいいんですよ」
響「……でもそこはお姉さんでいたい」
やよい「そ……そうですか」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 01:49:45.63 ID:R7wQG8gz0
響「……だって自分、高校二年生だし……やよいより、三歳も年上だし……」
やよい「……じゃあ化け屋敷の残りの順路、私の前に立って進んでくれますか?」
響「…………」フルフル
やよい「もう、困ったお姉さんですね」
響「……ごめんね、やよい……」
やよい「ふふっ。大丈夫です。今私、すっごく嬉しいですから!」
響「? そうなの?」
やよい「はい! ほら響さん、早く行きましょう! 伊織ちゃんが来ちゃいますよ」
響「あ、ああ、そうだな! 行こう! やよい!」
やよい「……って言いながら、しっかり私の背中に隠れるんですね……」
響「……だって怖いんだもん」
やよい「くすっ。はいはい。じゃ、行きましょー!」
響「あ、ま、待ってやよい。もうちょっとゆっくり……」
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 02:02:47.75 ID:R7wQG8gz0
~一方亜美達~
亜美「あ→! 出口だよ→」
真美「うお、まぶしっ」
美希「結構長かったの……もうお腹ペコペコなの」
伊織「パパが言うだけあって、なかなか迫力あったわね~(響は大丈夫だったのかしら……。結局追いつきはしなかったけど……)」
美希「あ、響とやよいなの!」
伊織「えっ」
響「あれー? 美希達も入ってたのかー?」
美希「うん。さっき、ここの入り口でデコちゃんと合流したの」
伊織「だからデコちゃん言うなっての!」
やよい「そーだったんだあ」
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 02:06:33.03 ID:R7wQG8gz0
亜美「んん~? なんか、意外とケロっとしてるねえ」
真美「ホントだ~。てっきり、泣き疲れてグロッキー状態だと思ったのに~」
響「だ、誰が泣くんだぞ! 失礼な!」
真美「んっふっふ~? 別に真美は、ひびきんが泣いてたなんて言ってないよ→?」
響「う、うぐっ……。そ、それならいいけど……」
伊織「はいはい、いつまでやってんの。もうそろそろお昼にするわよ」
やよい「わーい! お昼ごはん楽しみですー!」
美希「ミキはおにぎりが食べたいの!」
伊織「じゃあ皆、園内のレストランに移動するわよ」
亜美「ほ→い」
真美「もうお腹ぺこちゃんだよ→」
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 02:12:40.94 ID:R7wQG8gz0
やよい「何があるのかなあー。もやし炒めとかあるかなあー。ねえ、響さんは何にします?」
響「そうだな~。自分はやっぱり、ゴーヤチャンプルーとかかなあ」
やよい「あはは、響さんらしいですね!」
響「うん、自分、やっぱり好きなものが好きだからな!」
やよい「? どういうことですかあ?」
響「いや、なんていうか、好きなものは好き、苦手なものは苦手、って、なんか……それでいいのかなって」
やよい「響さん」
響「やよいのおかげで、なんか気付けたんだ。好きなものも苦手なものも、全部、思ったままに受け入れたらいいんじゃないかなって。それでどうするかは、それから考えたらいいんだって」
やよい「はい! 私も、そう思います!」
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 02:30:04.08 ID:R7wQG8gz0
響「えへへ……ありがとうね、やよい」
やよい「いえいえ、そんな、私なんて何もしてないです」
伊織「ちょっと響、やよいー? 何二人で話し込んでるのよ! 置いてっちゃうわよー?」
やよい「あ、待って-伊織ちゃん! ほら、響さんも早く!」
響「よーし! じゃあやよい、レストランまで競争だぞ! よーい、どん!」
やよい「あー! そんないきなりずるいですー! 待ってくださいー!」
響「待ったら競争にならないだろー!」
やよい「うっうー! そういうこと言うなら、さっきのこと皆に話しちゃいますよー?」
響「わーっ! そ、それはだめーっ! じ、自分のお姉さんとしての威厳があっ!」
やよい「じゃあそこで止まってくださーい! はいすとーっぷ!」
響「うぅ……やよいは結構強引だぞ……」
やよい「何か言いました?」
響「な、なんでもない……」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 02:45:40.09 ID:R7wQG8gz0
伊織「もー! 二人して、何ちんたらやってんのよ!」
響「だってやよいが……」
伊織「やよいがどうしたの?」
やよい「…………」ジー
響「……なんでもないぞ」
やよい「くすくす」
伊織「?(……何があったか分からないけど、ま、取り越し苦労だったみたいね)」
亜美「も→、三人とも遅いよ→!」
真美「早く早く→!」
美希「ふふっ。早くしないと、ビリの人はジュースおごりなの。よーい、ドン!」
伊織「うえっ! また!?」
亜美「も→、相変わらず唐突すぎだよミキミキ→」
真美「汚いなさすが星井きたない」
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 02:46:37.79 ID:R7wQG8gz0
やよい「た、大変ですー! 早く行かないとー!」
響「よーし! 任せろやよい!」ギュッ
やよい「えっ?」
響「自分、足の速さには自信あるからなっ! それそれそれーっ!」
やよい「わー!? ひ、響さん、ちょ、まっ……」
亜美「うにゃーっ! ひびきんが凄まじい勢いで迫ってくるーっ!」
真美「しかもやよいっちを引っ張りながら……だと……」
美希「ふふふっ。流石は響。相手にとって不足はないの!」
伊織「……ったく、もう。皆子どもなんだからっ。こら、待ちなさーいっ!」
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/15(水) 02:47:26.31 ID:R7wQG8gz0
やよい「ひ、響さん、は、速すぎっ……」
響「……自分、お姉さんだからなっ」
やよい「……え?」
響「……だから、その、やよいは……安心して、自分についてくればいいさー!」
やよい「…………」
響「……やよい?」
やよい「……はいっ!」
響「よーし! じゃあ一気にごぼう抜きだーっ! それそれそれーっ!」
了