【姫川友紀SS】モバP「え? 野球の試合ですか?」

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:15:58.53 ID:14e0kss80

初投稿です。正直いろいろ理解してない部分があります。

モバマスSS。あまりラブコメ要素はないかもしれません。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369840558

2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:16:34.54 ID:14e0kss80
ちひろ「はい。もしよければ、Pさんにも出てほしいな、と思いまして……」

モバP「えっとー。急に言われてなにがなにやらなんですけど」

ちひろ「そうですよね」アセアセ

ちひろ「ごほん。実はですね。知り合いで草野球チームの監督をなさってる方がいるんです」

モバP「それで?」

ちひろ「その方に野球の試合を申し込まれまして」

モバP「ちょっと待ってください! 申し込まれたって、ちひろさん。うちの会社に野球チームなんてありませんよ?」

ちひろ「いやー、そうなんですけどね。素人チームでもいいから、とにかく腕試しをしたいとかなんとかで」

モバP「はぁ……(腕試し?)」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:18:57.83 ID:14e0kss80

ちひろ「それに、お得意様からの申し出なので断れないんですよ」

モバP(お得意様って……詳しく聞くのはやめておこう。その後が怖いし)

ちひろ「それから、野球できる人なら一人いるじゃないですか。ここに!」ビシ

モバP「俺ですか? ……もしかして、ちひろさん。俺が野球経験者って知ってたんですか?」

ちひろ「知ってますよ! しかも、甲子園勝利ピッチャー。凄いじゃないですか。調べた甲斐がありましたよ!」

モバP「甲子園で勝利って……たかが一勝したくらいですよ」

ちひろ「その一勝が難しいんじゃないですか!」

モバP「……」

ちひろ「ま、そういうことなんでヨロシク頼みましたよ! 当日はピッチャーで!」

モバP「え、ええ。わかりました。あと、もう一つ質問なんですけど。うちの会社って男が俺と社長しかいないんですけどそれは……」

ちひろ「他のメンバーはアイドルたちに任せようと思ってます」

モバP「は」

ちひろ「だから、うちのアイドルに――」

モバP「千川ぁぁぁ!」ガシ

ちひろ「きゃ! じょ、女性の胸倉を掴まないでください!」

モバP「ふざけんなよ! 我が社のアイドルに傷一つでもついたらどうすんだ、ゴラァ!」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:19:51.49 ID:14e0kss80
ちひろ「服伸びちゃいますぅ!」

モバP「『う』を小さくするな! 俺の可愛いアイドルになにかあったら責任とれんのか!?」

モバP「それに屋外スポーツだと日焼けのしちまうだろが!」

ちひろ「ま、待ってください! アイドル達の希望なんです!」

モバP「え」パ

ちひろ「ゲホっ、ゲホ。し、試合当日にオフになってるうちのアイドルに聞いてみたらやりたいって子がいたんですよ」

モバP「で、でもなんでまた……」

ちひろ「体を動かしたいって言ってたんです」

モバP「だって、レッスンで体は動かしてますよ……?」裏声

ちひろ「球技とレッスンはまた別物でしょう」

モバP「た、確かにレッスンよりも野球の方が面白いですけど……」

ちひろ「アイドル達がやりたいって言ってるんですからPさんは反論できませんよね」ニッコリ

モバP「……わかりました。さっきは取り乱してすみませんでした」ペコリ

ちひろ「いえいえ。わかってくれればいいんですよ」

ちひろ(本当は嫌がってた子もいたんだけど、ある条件を出したらころりと落ちたんですよPさん)

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:22:07.17 ID:14e0kss80
―――数時間前―――

事務所

ちひろ「んーっと。これで全員かな?」

凛「なんですか? 急にお話って」ムス

あやめ「わたくしもお話が気になります!」キラキラ

木場「折角のオフだったんだが……」

友紀「今日のキャッツの試合見たいんで手短にお願いチッヒー!」

多田「私も、早く帰りたいですー」

きらり「ちひろちゃんにゃっほーい☆ お仕事で疲れてない?」

まゆ「うふ……Pさん関連の話だって聞いたから来たんですけどぉ」

菜々「ナナもおうち帰りたいです。腰が痛くて痛くて……あ」

ちひろ「あらら、あやめちゃんとまゆちゃんと姫川さん以外はお疲れモードかしら」

ちひろ「まぁ、いっか」

ちひろ「みなさん聞いてください。ここに招集されたからにはりゆうがあります。それは……」

凛「それは?」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:23:57.93 ID:14e0kss80
ちひろ「突然ですが、来週の日曜日にある、野球の試合に出てもらいます!」

一同『』

ちひろ「あ、あれ。ここは燃える場面なんだけど……ほら! みんなは日本代表みたく選ばれて招集されたんだよ!?」

凛「はぁ……なにかと思えば。私、帰るね」スタスタ

ちひろ「ちょっと凛ちゃん!」

りいな「私も、レッスン以外で体動かすのは」

ちひろ「えぇ!?」

まゆ「まゆもがっかりですぅ。ちひろさんったらPさんのことだって言ったのに。嘘はダメですよ」ニッコリ

ちひろ「ひぃ!」

菜々「ナナも動きたくないです」

ちひろ「年配者が意地を見せないでどうするんですか!」

菜々「ちょ! ナナはリアルJKですよ! じゅうななさいですよ!」

木場「私は構わないが。野球なんて面白いじゃないか」

ちひろ「さすが海外帰りです!」

あやめ「わたくしも参加します! なんだか楽しそうです!」

ちひろ「あやめちゃん……」ウル

友紀「あたしはキャッツのデイゲームが見たいんだけど、まぁ久々にやるのもいっか!」

ちひろ「サンキューユッキ!」

きらり「きらりもやてっみるにぃー☆」

ちひろ「きらりちゃん!」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:25:16.26 ID:14e0kss80
支援感謝です。

凛「人が集まってよかったじゃん。それじゃ私は家に戻るから」

ちひろ(やばい! 凛ちゃん、それからまゆちゃんにりいなちゃんとナナさんが事務所のドアに向かっている! まゆちゃんは冷たい瞳でこっち見てるし! ここは仕方ない。奥の手を……)

ちひろ「もし、Pさんも参加するって言ったら?」

一同『』ピク

ちひろ(まだ決まったわけじゃないけど……どうせPさんなら来るでしょ)

ちひろ「それから、その試合で活躍した人には、景品としてPさんとのデート権をお付けします!」

凛「……実は最近野球に興味あったんだよねー。いつそういう仕事が回ってくるかわからないし。やってみるのもいいかなぁ」

ちひろ(もっとましな言い訳はなかったのか!)

まゆ「まゆ勘違いしちゃったじゃないですかぁ。そういうのは早く言ってくださいよ」

ちひろ「う、うん。(凄くいい笑顔をしておられる……)」

りいな「野球ってとってもロックだと思うんですよね!」

ちひろ「そうよね。うんうん。チョウロックダヨー(どこがロックなのか私には良くわかんないけど……)」

菜々「きゃは☆ウサミン星では今野球は大人気なんですよー?」

ちひろ(笑顔を作ってるけど瞳の奥に炎が見え隠れしている。これがじゅうななさいの本気か)

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:26:45.21 ID:14e0kss80
木場「ふふ、決まりのようだね」

友紀「おっしゃー! 宮崎のアーチストと呼ばれたこのあたしの実力を披露しちゃうか!」

あやめ「本番が待ち遠しいです! ニンニン!」

きらり「みんなではハピハピしよ!」

ちひろ「それじゃあ、みんな参加って事で」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:28:11.07 ID:14e0kss80
―――現在―――

ちひろ(最初から上手く行くとは思ってなかったら作戦立てておいて正解だったわ)

ちひろ(みんなちょろくて可愛い)

モバP「やるのはわかりましたよ。アイドルの件もみんなの意向なら仕方ないです」

ちひろ「はい」ニヤニヤ

モバP「そういえば、ちひろさんもやるんですか?」

ちひろ「私は監督です!」

モバP「はぁ……わかりました。それじゃあ、日時と場所を教えてください。その日は僕が送迎しますから」

ちひろ「そうですよね!」

モバP「ちひろさんは自家用車か電車を使ってくださいね」

ちひろ「」

モバP「後、念頭に入れておいてほしいのは俺はもう、当分の間ボールを握ってないですからね? 昔と同じようなピッチングは無理ですよ」

ちひろ「わかってますよ」

モバP「それじゃ、書類整理終ったらでいいですから、メモ帳にでも書いて俺に渡してください」

ちひろ「はい……」シュン

モバP「さ、仕事仕事!」

モバP(そっか、ちひろさんはあの夏の出来事を知ってるんだ)カタカタ

実況 ウッタ。オオキナダキュウダ。ハイルノカ。ハイリソウダ。ハイッタ! ギャクテンサヨナラホームランダ。モバPガックリとマウンドジョウデウナダレマス。

モバP(あれからもう数年か。傷はもう癒えたし。ボールもおそらく投げられる)

モバP(正直な話を言えば野球なんてしたくはない。けど、ここで断るのもかっこ悪いしな)

モバP(みんなの目の前で恥ずかしい真似出来ないぞ俺。)

モバP(今日は家に帰ったら早速昔の感覚を取り戻す訓練でもするか)

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:30:38.10 ID:14e0kss80
モバP(もしかしたら、なまりになまって大変なことになってるかも)

モバP(一回戦は完封勝利。二回戦はさよなら負けって。そりゃ、人間腐るよな)

モバP(プロを目指さす大学行ってそのままプロデューサーになれたのもあの出来事のおかげってのも皮肉だよな)

モバP(懐かしい)

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:31:46.04 ID:14e0kss80
―――試合当日―――

埼玉県、某スポーツグランド。

モバP「よーっしみんな着いたぞ。ここが今日の試合会場だ」

一同『おぉ』

モバP「日差しが強くなりそうだから日焼け止めを忘れるなよ。それから柔軟体操も――」

凛「なんだか、今日のP活き活きしてる。まるで、仕事の時みたい」

木場「彼も楽しみだったんだろう」

友紀「いやー、プロデューサーが野球に対しての愛情が深い人だとは思わなかったよ!」

凛「木場さん、そういえばちひろさんは?」

木場「彼女なら遅れてくるようだよ。なんでも電車が遅れてるだとか」

凛「そうなんですか」

モバP「そうだ。全員ルールは把握してるよな?」

一同『』コク

モバP「なら安心だ。よし柔軟終ったらキャッチボールをやるぞ。その後は軽くノックだな」

きらり「がんばるにぃ! Pちゃんも一緒にはぴはぴするぅ?」

モバP「そうだな。今日は一緒にしような」

きらり「おにゃーしゃー☆」

りいな「Pさん、本日はロックで行きましょう!」

モバP「おう、野球はクールだぞ」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:33:33.38 ID:14e0kss80
りいな「ですよね!」「Pさんのかっこいいところがいっぱい見れますように(小声)」

まゆ「今何か言いましたかぁ?」

りいな「何も言ってないです!」ピシ

まゆ「そうですかぁ。もしPさんのことだったら私――」

モバP「こらこら。まゆ、りいなを怖がらせるなよ。今日は一緒に頑張ろうな」

まゆ「うふ。Pさんがそういうなら」

りいな(助かった)

菜々「きゃは☆ Pさん菜々の若々しいプレイを見ててくださいね!」

モバP「若い人が若々しいなんて言葉は使わないんですけどそれわ……あ……(察し)」

菜々「しまった! って、私で遊ばないでください」

モバP「ごめんなさい(可愛い)」

あやめ「P殿! 忍者の力見せますよ!」

モバP「あやめは足速そうだよなー」

あやめ「はい! 五十メートル走は学校でも一番早いんですよ」

モバP「おぉ! さすが忍者。期待してるぞ」

あやめ「はい!」

木場「そうだ。P、今日は私が君の女房役を勤めるとしよう」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:34:57.10 ID:14e0kss80
一同『え』

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:36:50.86 ID:14e0kss80
モバP「そうですね。この面子だと木場さんが一番信頼できます」

凛「……女房役って」

まゆ「うふふ……」

りいな「これって野球ですよね?」

あやめ「むむむ」

きらり「?」

菜々(ほとんどが、勘違いしてるけど黙っておこう)

凛「ちょっとP。どういうこと。一番信頼できるって」

りいな「そうですよ!」

モバP「えぇ!? だって木場さんなにやらせても上手いし」

凛「それじゃあなに? 私じゃ不満?」

モバP「不満? 体格だって木場さんの方がいいし。凛にもしものことがあったら……」

木場「その分、私は上手くできると思うよ」

凛「た、体格……?私、そんなに魅力的じゃないの!」

モバP「ん?」

木場さん(これは私の言い方が悪かったな)

菜々(歯車が噛み合っていないとはまさにこのこと)

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:38:33.36 ID:14e0kss80
まゆ「うふふ。うふふ。うふふ」メモチョウにカキカキ

あやめ「P殿……」

モバP「あやめまでどうしたんだよ」

モバP「あ、どうやら対戦チームの人が来たみたいだ。ごめん、ちょっと挨拶に行って来る」

りいな「行っちゃった」

友紀「いやぁ、木場さんがキャッチャーか。これは祝勝会待ったなし!」

り、ま、りい、あ『そういう意味だったんだ」

凛(だとしたら、プロデューサーは私の身を大事にしてくれて……)

凛「♪」

きらり「凛ちゃん機嫌がいいにぃ!」

凛「さあね」

モバP「おはようございます」

相手チームの監督「すみませんね。今日はわざわざ。あれ、そういえば千川さんは?」

モバP「いえいえ。千川は少し遅れてくるようですよ」

監督「そうでしたか。……それにしても、女の子がいっぱいいますね」

モバP「すいません。人が集まらなくて」

監督「なるほど。あーいやいや。こっちも無理にお願いしましたから」

モバP「けど、みんな身体能力は高いのでもしかしたら……なんて!」

監督「はっはっはっは。大丈夫ですよ。野球の怖さは知ってますから」

モバP(過去のシーンがフラッシュバックしてきやがった。くそ)

監督「それじゃ、今日はいいゲームにしましょう」

         握手
          
モバP「はい! それじゃあ」

モバP(ふー。初対面の人にはなれてるからな。それにしても…あの人どこがでみたことあるような。気のせいか)

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:40:03.21 ID:14e0kss80
―――試合開始

相手チーム一同「よろしくお願いします」低音

アイドル一同「よろしくお願いします」高音

モバP「オーダー発表するぞ」

  一番 セカンド 浜口あやめ

 二番 キャッチャー 木場真奈美

 三番 ピッチャー モバP

 四番 ファースト 諸星きらり

 五番 ショート 姫川友紀

 六番 サード 渋谷凜

 七番 レフト 安部菜々

 八番 ライト 佐久間まゆ

 九番 センター 多田李衣菜

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:41:33.17 ID:14e0kss80
ちひろ「ちょっと、それ私が言いたかったんですけど」

モバP「遅れてきたのに?」

ちひろ「遅延は仕方ないじゃないですか!」

モバP「さぁ、はりきっていくぞ!」

一同「はい!」

ちひろ「無視!?」

モバP(今回は時間でグラウンドを借りてる。だから、借りてる時間内で試合をしなくちゃいけない。おそらく6イニングかそこらでゲームセットだろう)

モバP「まぁ、そんなことは別にいいんだけど。問題は……」

相手ピッチャー「ぅ!」

 ズリュリュリュ。バシン

モバP「相手ピッチャーのレベルが尋常じゃない」

ちひろ「今年から加入してきた選手らしいですよ。去年まで硬式でやってたとか」

モバP「腕試しの意味がわかった」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:43:51.61 ID:14e0kss80
モバP(けど、硬式をやっていたってことはこちらにも付け入る隙はあるな。球も速いだけで軽そうだし。バットに当たってくれればだけど)

 ※今回は草野球なので使っている球は軟式です。軟式と硬式の違いはボールの違いです。硬式は硬いボールを使っています。プロ野球や高校野球で使用されています。軟式は柔らかいボールです。それから、硬式でやっていた人がいきなり軟式をやるのはあまりよくないみたいです。念のため。それから私はあまり野球に詳しくないんでご了承ください

モバP「あやめちょっといいか?」

あやめ「は、はい?」裏声

モバP「萎縮しちゃってるな。けど、大丈夫」

あやめ「なにがですか?」

モバP「どうやらやつは去年まで硬式をやっていたんだ」

あやめ「?」

モバP「うーん。詳しくは説明しないけど要は制球が定まらないんだよ。硬式に比べて軟式の球は柔らかいんだ。それでいつもと感覚が違って制球が少し乱れる」

あやめ「はぁ……つまりふぉあぼーるを狙えばいいんですね!」

モバP「まぁ、そんなとこ」

あやめ「わかりました! それじゃあ、打席に行って参ります!」

モバP(投球練習を見た感じ軟式に移ってからまだまだ日は浅いみたいだしな)」

あやめ「お願いします!」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:45:28.32 ID:14e0kss80
審判 プレイ

 ボール

 ボール

 ボール

モバP(よしよし。制球が定まってないぞ)

 ストライック

 ストライック

モバP(ああ、やばい。あやめが振らないのをいいことに急速やキレを意識せずに丁寧にストライク取りにきやがった)

あやめ「ぴ、P殿」

モバP(打てあやめ)パクパク

あやめ「うぅ……あ、そうだ!」

 カコン

モバP「バントだと!」

モバP(しかも、サード目掛けて勢いを殺した絶妙なセーフティーバント)

あやめ「ニンニン!」

相手サード「クソ!」

キャッチ

一塁に送球

塁審 セーフ

モバP「らくらくセーフだと…あやめ本当に足速いな」

あやめ「P殿見ててくださいましたか!」

モバP「ナイスバントあやめー!」

ちひろ「凄いというかなんていうか。さすが忍者汚い」

モバP「くせ物ですね」

モバP「次は注目の木場さん」

モバP「それじゃあ、ちひろさん。僕は打席を控えているんでベンチから一旦外れますね」

ちひろ「頑張ってくださいよ」

モバP「はい」

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:48:10.99 ID:14e0kss80
 ノーアウト 一塁

木場「さて、頑張るか」

モバP(木場さんはどういうバッティングをするのか)

 スゥ

モバP(バントか……木場さんならもうちょっと強気で勝負すると思ったけど)

ピッチャー

リリース

木場さんの元へボールが向かう

木場「ふ!」

モバP「バントすると見せかけてバットを引いた!」

カキン!

センター前にボールが落ちる。ヒット

モバP「ナイスヒッティング木場さん!」

木場さん「ふぅ。危なかった。なかなかやるなあの投手」

ちひろ「海外帰りは別格。私は今日それを痛感しました」

モバP「次は俺の打順か」

友紀「声出していこー!」

凛「P頑張ってー」

まゆ「見てますよぉ。ずっと」

りいな「Pさんロック魂ですよ!」

きらり「Pちゃんファイトだにぃ!」

モバP(応援されると恥ずかしいな)

モバP(集中集中。えっとさっき見た球種はストレートとカーブ。うーん叩くならストレートかな)

モバP(早いだけのストレートは簡単に打てるからな)

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:49:10.91 ID:14e0kss80
ピッチャー

リリース

Pの元へボール。

モバP(狙い通りストレート!)

 カキン!

レフトとセンターの間を抜ける。

 センターがボールを捕りに言ってる間にあやめ帰塁。一点先制

 センターがボールを拾ってセカンドへ。

 木場さん三塁でストップモバP二塁でストップ。

モバP「おっしゃぁ!」ガッツポーズ

凛(かっこいい)

まゆ(当然)

りいな(かっこいい)

きらり(☆×○@¥^-」_・)

友紀「おっしゃー! 先制点! この勝負もらったぁ!」

あやめ(かっこいい)

KIBA(やるね)

ちひろ(そういえばこの前Pさんに借りてた一万円どうしよう。まぁいっか。どうせ忘れてるだろうし)

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:50:52.96 ID:14e0kss80
菜々(かっこいい)

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:51:49.19 ID:14e0kss80
菜々の分をぼけて忘れてたわけじゃないですよ。いやほんと。

モバP(よし、次はきらりだな)

きらり「ホームラン狙うぅ!」

相手チーム『おぉ』

モバP(いや失礼だろ。確かに大物スラッガーみたいだけど)

モバP(やばい。でもこっから見ても圧倒的威圧感。ピッチャー萎縮しちゃってるよ)

きらり「来い」低音

相手チーム『え』

モバPチーム『え』

審判団『え』

きらり「どうしにぃ?」

モバP「あれ?今幻聴が。 低音ボイスが確かに俺の耳に。気のせいか」

ノーアウト 二塁三塁

ピッチャー

リリース

きらり「ふん」

ブルゥゥゥン!

きらり「ん? おしい☆」

ス ス ストライック

モバP(明らかに女の子が出していいようなスイングの音じゃなかったぞ)

ピッチャー

リリース

きらり「きらりんあたーっく☆」

ガキン!

 センターの遥か頭上を越えそのままスポーツグラウンドの外にある林へと消えていった。

モバP「なん……だと……」

ちひろ「予定調和」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 00:53:29.07 ID:14e0kss80
実はこれから先はためてないんですよ……

それにもう眠い。

ペース落ちるかもしれませんー。

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:02:31.31 ID:14e0kss80
木場さんゆっくりと本塁を踏む。P、唖然としながらも帰塁。きらり、スキップしながらダイヤモンドを一周。

ホームベース場で木場さんモバPとハイタッチ。

きらり「きらりんぱわー☆」

モバP「あご外れそうになったぞ! きらりは野球選手になれるな!(お世辞とか抜きで)」

木場「海外でもこんなのとはあったことがなかったよ」

きらり「褒められたにぃ☆」

モバP「さて、それじゃあベンチに帰るぞ」

友紀「よっしゃ! P私の一本足打法見ててね!」

モバP[おう!」

モバP(なんだかんだで友紀は野球好きだけど出来るのか?)

友紀「お願いします!」

モバP(一本足打法はいいんだけどさ。大きく足上げすぎじゃね?)

※友紀が真似しているのは王選手の一本足打法です。王さんのは一本足はフラミンゴ打法といって普通よりも大きく足を上げています。

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:10:25.94 ID:14e0kss80
友紀「ピッチャーびびってるへいへいへい」

ピッチャー「」イラ

ピッチャー

リリース

内角の直球。友紀の胸元。

友紀、ボールが当たっていないのに倒れこむ。

友紀「イタイタイ。あたったよね! 今! ここ、ここ!」腕あたりを示しながら

審判 デットボール

モバP「」

グラウンド内一同「」

ちひろ「あ、当たってましたか? ちょっとギリギリだったので」

モバP「いや、当たってるようには見えるけどあれは当たってないよ」

ちひろ「でも、本人が言ってますし」

モバP「ひ、広島の……これ以上は言ってはいけないか」

モバP「まさか、フラミンゴは実は詐欺師だったのか」

※友紀がやったのは達川光男さんの芸――ではないです。詳しくは調べてください。グラウンドの詐欺師と呼ばれてました。

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:16:50.46 ID:14e0kss80
モバP(その後、凜がバットに当てて内野ゴロの併殺打)

モバP(ツーアウトになってからの菜々の三振)

モバP(初回は四得点か。いい感じだな。相手も少なからず油断してただろうし。こっからが本番だな)

モバP(打撃には相当力を注いでくるだろう)

KIBA「P、ちょっといいかい」

モバP[はい、どうしました?」

KIBA「配球なんだが、君に任せたほうがいいかい?」

モバP「……いえ、木場さんに任せますよ」

KIBA「そうか。プランとしては緩急を駆使してって感じかな?」

モバP「? 的確ですね」

KIBA「軟式ボールは硬式ボールに比べて空気抵抗を受けやすいからね」

KIBA「速球派は嫌がるかもしれない。しかし、緩急をつけてのらりくらりとかわすピッチングが持ち味の君にはうってつけ球だろ?」

モバP「木場さんって野球やってました?」

KIBA「いいや? 初めてだが」

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:27:18.61 ID:14e0kss80
モバP(きらりレベルの化け物だよな)

KIBA「それから、君が投げれるのは……」

モバP「カーブとチェンジアップですかね。それからナックルなんかも昔は決め球にしてましたけど握力とボールの問題で封印ですね」

KIBA「そうだな。そのボールだとこの球だと全然変化しない。けれど、チェンジアップは……有効だろ?」

モバP「だからなんで知ってるんですか」

KIBA「元々チャンジアップはストレートとの緩急で打者を誘惑するものだろ?」

KIBA「さらに、この球は空気抵抗を受けやすくて余計にストレートとの球速に差が出る」

KIBA「この二球種を駆使していくぞ。キミのストレートは重みのあるいい球だ」

KIBA「易々打たれないだろう」

モバP(なんだろう。この人があのときの俺の女房役だったらどれだけよかったんだろう)

モバP(すまんわが友よ。俺は浮気者のようだ)

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:29:55.28 ID:14e0kss80
てか、意識してなかったけど、いざ年齢で見ると凄い構成だな。

そして、KIBAさんの圧倒的存在感。

きらりは今年のドラフト一位候補

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:32:34.64 ID:14e0kss80
モバP「さぁ、頑張って守っていくぞ」

一同「はい」

アイドルメンバー守備に付く。

ピッチャー P

キャッチャー KIBA

ファースト きらり

セカンド あやめ

ショート 友紀

サード 凜

レフト じゅうななさい

ライト ストーカー

センター にわか

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:34:27.81 ID:14e0kss80

モバP(まずは、先頭打者)

モバP(ひょろっとしてるけど足は速そうだな)

モバP(正直バックには期待できないから三振狙うしかないんだよな)

KIBA(直球を内角に)サイン

モバP(わかりました)コク

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:38:51.31 ID:14e0kss80

ピッチャー

リリース

内角に来た球を強引に当てる。勢いのないボテボテのサードゴロ。

モバP(そっちは凜か!)

凜「え、え、え、え」

モバP(仕方ない!)

モバP、サードベースへ疾走。凜がボールを捕球する前にボールを掴み一塁に送球

急ぎすぎたためかボールがきらりの頭上を越えそうになる。

しかし、きらりの手が伸びてギリギリ後ろにそらさないで済む。

一塁は結局セーフ。内野安打。

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:44:53.08 ID:14e0kss80
モバP(きらりならどんな球でも捕ってくれそうだな)

モバP(これなら以外に凜に捕らせても大丈夫だったかも)

凜「ごめんプロデューサー」

モバP「気にするなって。あれだよ。アイドルの仕事するときにミスしないことなんてあんまりないだろ?」

凜「うん」

モバP「ミスをして人間は生長する。それにたかがお遊び野球だ。大丈夫だって」

凜「……うん」

モバP(あれ、余計に落ち込んでいる)

KIAB「どんまいだ! ペナントレースだとこういうことは一日は必ず起こる!」

友紀「それ、私がいう台詞だと…」

あやめ「そうですよー! P殿も気にするなっていってますし」

きらり「どんなボールでもきらりならとれるにぃ☆」

凜「みんなありがとう」

モバP(ナイスフォローみんな)

モバP(そして、KIBAさんはなぜここでペナントレースを引き合いに出した)

外野陣(楽しそうだな)

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:45:54.52 ID:14e0kss80

プロ野球の公式戦。日本では毎年4~10月をシーズンとして、優勝旗(ペナント)をかけて、セ、パ両リーグとも1球団144試合のリーグ戦を行う。◇アメリカのメジャーリーグではアメリカンリーグ、ナショナルリーグとも1球団につき162試合が行われ、「レギュラーシーズン」と呼ぶ。

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:53:15.23 ID:14e0kss80
モバP(まぁ、切り替えるか)

ノーアウト一塁

モバP(お次はどうする)

木場(外角の低めのストレート)

モバP(わかりました)

ピッチャー

リリース

注文通りの外角低めのストレート。

すると、一塁ランナーがスタート。

モバP(盗塁警戒してなかった!)

KIBAのキャッチャーミットにボールが納まる。

KIBA(私に挑むのか……いいだろう)

すばやい動きで二塁へと矢のような送球。

友紀がそれを受け取りアウト。

KIBAの強肩でワンナウト。

モバP「え」

KIBA「いかせないよ」

モバP「な、ないっすプレイ(どうなってんだよ)」

ちひろ「海外で鍛えたあの肩。さすが木場さん」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 01:56:22.24 ID:14e0kss80
―――同時刻―――

グラウンド外

?「やっぱりPさんここでしたか」

?「どれどれ、試合はどんな感じに……」

?「勝ってる。これはカワイイ僕が来たおかげですね!」ドヤァ

?「あ、今投げてるのがPさんか」

?「うーん。しばらくはここで見ていますか」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 02:05:49.48 ID:14e0kss80
パッション、三人 クール三人 キュート二人ならあと一人はお察し。

グラウンド内

KIBA(ここだ!)

モバP(はい!)

あれから、ストライクをひとつ稼いで2ストライク

ピッチャー

リリース

真ん中低目から落ちる変化球チェンジアップ。バットが空を切る。

ストライック バッターアウト

KIBA「ナイスピッチング」

モバP「ありがとうございます!」

モバP(なんだろう。KIBAさんに褒められるとすっげー嬉しい)

凜(Pが木場さんにときめいてる。)ム

まゆ(私の視力を侮らないでください。ここからでもPさんの表情が丸わかり。KIBAさん相手だと刃傷沙汰を起こしてもなにも解決できませんねぇ。どうしましょう)

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 02:11:02.42 ID:14e0kss80
モバマスP(次はどこですか!)

KIBA(内角に直球だ)

ピッチャー

リリース

外角高めのストレート。バッター手を出す。

モバP「やべ!」

快音と共にセカンドと二塁ベースの間を唸るように白球が飛んでいく。

あやめ「ニンニン!」

しかし、あやめが飛びつきグラブにボールが収まる。

すばやく体勢を立て直して一塁送球。

少し高くボールが浮いたもののきらりが腕を伸ばしてランナーアウト。

スリーアウトチェンジ

モバP「ナイスあやめ!」

あやめ「これが忍ドルの力です!」

KIBA「ナイスプレーだ」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 02:14:24.15 ID:14e0kss80
試合はそのまま4-0のまま進んでいく。

モバPとKIBAの見事なバッテリーで三振の山を築いてった。

外野にボールがいくことはなく完璧なピッチング。

内野を抜けようとしても友紀あやめの固い二遊間がシャットアウト。

試合は五回裏へ……

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 02:21:15.20 ID:14e0kss80
モバP(試合時間的にもこの回が終わって次の回で終了か)

モバP(この回も三者凡退で抑えるか)

KIBA(真ん中から外に外れるカーブで)

モバP(はい)

ピッチャー

リリース

ど真ん中から曲がるカーブ――しかし変化量は極めて少なくほぼ真ん中。

バッターバットを振りぬく。綺麗なセンター前ヒット。

そのまま、りいながボールを後ろにそらす。

その間にランナー二塁に到達。

ノーアウト二塁。

ここで今まで好投を続けていたPが捕まる。

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 12:06:14.75 ID:14e0kss80
次の打者相手に四球。さらに、後続のバッターに立て続けに連打を打たれその回は10得点のビックイニング。結局Pは投げぬきマウンドを去っていく。

ベンチ内

モバP「くそ!」ドン ベンチ

モバP(なんだよ……なんで俺はいつもこうなんだよ!)

モバP(てか、なに熱くなってんだよ。たかが草野球だろ)

モバP(どうして、俺は悔しいんだよ!)ドン ベンチ

ちひろ「……」

ちひろ「すみません。アイドルのみんな集まってもらってもいいかな?」

一同『』サァ

ちひろ「みんなに話しておきたいことがあるの」

ちひろ「実はPさんはかくかくしかじかで――」

木場「なるほど。彼は甲子園に出るほどのピッチャーだったのか。あれだけ出来るのにも納得だ」

ちひろ「はい。でも話したとおり彼は若干トラウマのようになっています。甲子園の逆転サヨナラホームランで」

凛「そう……だったんだ」

凛(私、Pのことなんにも知らなかったんだね)シュン

りいな(そんな辛い過去が……)

あやめ(P殿……)

きらり(Pちゃん可哀想……)

安部菜々(その試合もしかしたら見たことあるかも)

友紀(なにその熱い展開)

まゆ(もちろんまゆは知ってましたよぉ。ただ、Pさんがどれほど苦しんだのか知ってれば総易々口には出せません)

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 12:10:59.28 ID:14e0kss80
ちひろ「なので、そういった意味でも、私は今日の試合。勝たせてあげたいんです」

ちひろ「どんな試合であれ勝ちには変りありません。燻ってた数年間の憂いも、多少なりと改善されるでしょう」

ちひろ「けど、もし負けた場合は……」

木場「最悪、心がぽっきりいってしまうと」

ちひろ「はい。今回も自分のせいで負けた。その自己嫌悪の念に苛まれるでしょうし」

ちひろ「周りのみんなに申し訳ない。わざわざ集まってもらったのに。勝たせて上げられない」

ちひろ「いつもは自分が指導しているのに。これじゃあ示しがつかない。考えられる負の感情は未知数」

ちひろ「けれど、その分勝ったときの幸福度は高いはず」

ちひろ「みなさん。この回がラスト。常時助けられてるPさんに恩返しをする時間がきましたよ」

一同「」コク

ちひろ「それじゃあ、この回の先頭バッターの凛ちゃん! 重要だよ!」

凛「うん。わかってる」

モバP(はぁ……)

木場「どうした。長い年月ピッチャーをやってればこういうこともあるだろう」

モバP「今までで一番最悪ですよ」

木場「そうか……」

モバP「すみませんね。かっこ悪いところをお見せしてしまって」

木場「そんなことはない。少なくともこちらのベンチでそう思ってるのは一人もいないよ」

モバP「そうだといいんですけどね」

木場「そう悲観するな」

モバP「そう……ですよね。たかが、ゲーム。お遊びじゃないか。負けたって大丈夫」

モバP(けど、なんだろう。甲子園のマウンドで味わったあの感覚。それが今俺の心のうちにある)

モバP「木場さん、なんで俺がリードを任せたと思います」

木場「……」

モバP「どうやら気付いてたみたいですね」

モバP「なぁ、みんなも聞き耳を立てているんだろ?」

一同「」ビク

モバP「いいんだ。聞いてくれ」

モバP「俺は逃げ道を作ったんだ。自分の精神的苦痛を和らげるために」

モバP「木場さんに任せればある程度俺が全部悪いとは言い切れなくなるからな」

モバP「配球が悪かった。もし負けたらそう言い訳をして自分を納得させようとしたんだ」

モバP「けど、木場さんの配球は完璧。俺に落ち度があった」

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 12:16:02.14 ID:14e0kss80
モバP「みんなには毎回「逃げるな」そう言ってるけど実は一番俺が逃げている人間なんだよ」

モバP「数年前のマウンドの上だって臆病風に吹かれて逃げたかったんだ」

モバP「実はプロにだってなれてたはずなんだ。ドラフトで下位指名があったし」

モバP「でも、結局プロの世界が怖くて俺はそれを断った」

モバP「その後はお察しの通り大学では野球をやらずに普通に勉強だけやってた」

モバP「偉そうで高尚な言葉並べてるけど、結局は俺はお前らよりも出来の悪い人間なんだよ」

モバP「ごめんな。ほんと」

一同『……』

ちひろ「逃げることの一体なにが悪いんですか」

モバP「え?」

ちひろ「逃げたっていいじゃないですか。弱くたっていいじゃないですか」

ちひろ「私は悪いことだとは思いません」

モバP「だって……」

ちひろ「それじゃあ、あなたが歩んできた逃げの道は誇れないようなものなんですか?」

ちひろ「逃げてやってきた芸能界はそんなに悪いものですか?」

ちひろ「野球選手になるに比べてそんなに花はないかもしれません。裏方の仕事ですし」

ちひろ「けど、出会ってきたアイドル達に対して酷くないです?その発言は私、許せません」

ちひろ「私はまるで、アイドルとの仕事は仕方なくやってる。そう聞こえましたよ」

モバP「違います! そんなんで言ったわけじゃないんです……」

ちひろ「でも、私にはそんな風に聞こえましたよ」

モバP「そんなこと胸が裂けても思いません! こんなに輝いていて翼を持っている彼女達をプロデュースしていることは誇りです!」

モバP「仕方なくやっているなんて、そんなのは全然思いません。だって楽しいですもん!」

ちひろ「でしょ? あなたは逃げ道の中で掛け替えのないものを掴んだはずです」

ちひろ「それはレール通りの道では手に入れられないものかもしれません」

ちひろ「逃げたっていいんです。ただ前を向いていれば」

モバP「前を……」

ちひろ「それに過去は過去です。現在があるのは変るためなんじゃないですか? 今のあなたなら立ち向かえますよね?」

ちひろ「逃げは悪いことではないです。でも、Pさんはもう逃げたくないんですよね?」

モバP「はい。でも――」

ちひろ「泣き言は聞きたくないです!」

モバP「…」ビク

ちひろ「私はあなたを評価しています。プロデューサーとして。社会人として。それから……ひ、一人の男として」

ちひろ「だ、だから! ……もうなんだか変な雰囲気になちゃったじゃないですか!」

モバP「……はい! 俺、やります」

ちひろ「その意気です。それじゃ、Pさんが逃げた道で育った華たちが活躍する場面を観戦しますか」

モバP「はい!」

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 12:45:38.18 ID:14e0kss80
友紀「そうですよPさん! あたしはPさんにスカウトされなかったらこうしてないんだし!」

りいな「はい。私もPさんがいてくれたからロックなアイドルを目指せるんです」

まゆ「まゆはどんなPさんでも好きですよぉ」

菜々「私も、Pさんに発掘されなかったら化石のままでしたからね」

木場「私も感謝しているんだよ。こうして私の知らない世界を教えてくれる君は本当にいいパートナーだ」

木場「替え難い財産だよ。それに自分を棚に置いて指導するのは基本だろ?」

あやめ「P殿!わたくしの成長した姿をご覧ください!」

きらり「Pちゃん、ハピハピするにぃ♪ きらりんぱわー☆」

モバP「みんな…!」

凛(なんかベンチが騒がしい)

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 15:16:13.09 ID:14e0kss80
審判 プレイ

ピッチャー

リリース

ストライック

凛(最初は頼りなさそうだったPさん。けど、今は違う)

凛(世界で誰よりも頼れる人間。男の人)

凛(世界で誰よりも私に期待してくれてる人間。男の人)

凛(ここで、打たなきゃ。Pに対する恩返しはトップアイドルになることだけど、一足早いプレゼント)

凛(打つ!)

ピッチャー

リリース

 制球が乱れてストレート。ど真ん中。

凛(それに、今打たなきゃデート権がもらえない!)

カキン!

ピッチャー返し。センター前ヒット。

モバP「ナイスバッティング!」

凛「…」ニコ

73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 15:16:46.87 ID:14e0kss80
ノーアウト 一塁

菜々(思い出しました)

菜々(あれは数年前の夏テレビの前での出来事です)

菜々(たまたま、点けた番組が甲子園だった)

菜々(そこには悠然とマウンドに立ってたくましく投げている一人の投手が写されていました)

菜々(しなやかな投球ホームから威力のある速球。キレのある変化球)

菜々(野球をしらない菜々ですら虜になってしまいました)

菜々(けれど、その投手はサヨナラを浴びて二回戦敗退)

菜々(あの時はなぜだか、菜々まで泣いちゃいました)

菜々(しかし、そのおかげでいろいろ大変だったあの時期を乗り越えられたのかもしれません)

菜々(彼も頑張ってたんだ。私もがんばんなきゃって)

菜々(その彼がおそらくPさん。数奇なめぐり合わせ)

菜々(アイドルになる前から励まされてた私は――)

菜々(打つ!)

ピッチャー

リリース

 内角に少し甘めに入ったストレート。

菜々(そして、デート権は菜々が戴く!)

がこん

 ショートへのボテボテのゴロ。ゲッツーコース。ショートセカンドへと送球。

 しかし、スタートを早く切っていた凜は間一髪セーフ。

 セカンドは慌ててファースとへと送球。アウト。

モバP「ナイスラン、凛!」

凛(実はテンションが上がって盗塁を狙おうとしてたとは言えない)

モバP「菜々もよくバットに当てたな!」

菜々「は、はい(うぅ……デート権)」

74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 15:19:09.57 ID:14e0kss80
ワンナウト 二塁

まゆ(うふふ、ちょっとPさんが私をスカウトしてきたときのことを思い出しちゃいました)

まゆ(一生懸命頭を下げてお願いしているPさんは真剣で凛々しい顔立ちをしてました)

まゆ(あそこですかねぇ。まゆが惚れちゃったのわぁ)

まゆ(優柔不断ですぐフラフラ他の女の子と所に行ってしまいます。けどそこは私が改善してあげないとですねぇ)ニッコリ

まゆ(まぁ、そこを含めてまゆはPさんの全てを愛していますからねぇ)

まゆ(それに他のところに行ってしまうのは易しいからですし。そこは仕方ないかもですぅ)

まゆ(正妻としてまゆはこの場面)

まゆ(打つ!)

ピッチャー

リリース

内角厳しいところ。ボール

まゆ(それにあのピッチャー。前の打席でPさんにボールをぶつけたんですよねぇ)

まゆ「ふふ、どうしましょうか。いたぶるだけじゃ面白くないですしー。もっと絶望に歪んだ顔がまゆは見たいですぅ。Pさんに与えた痛みの数十倍。いや、数百倍の痛みを害虫〔あれ〕に味あわせないと気が済みません。精神的、肉体的。どちらにしましょうか。迷うことなき両方ですよね」ニッコリ

75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 15:19:43.92 ID:14e0kss80
モバP「な、なんかまゆがぶつぶつ呟いているんですけど」

ちひろ「相手を呪殺しそうないきおいですね……」

モバP「あれが俺が育てたアイドル」

ちひろ「リッパジャナイデスカー」

ピッチャー

リリース

ストライック

ボール

ストライック

まゆ(ふふ、ここからが本番ですよぉ……)

ピッチャー

リリース

カキン

ファール

リリース

カキン

ファール

カキン

ファール

ファール

ファール

ボール

ファール

ボール

モバP「凄い粘りだ」

ちひろ(粘りというかねちっこいというか)

まゆ「」ニッコリ

まゆ(そろそろいいですかねぇ? それじゃあ、肉体的のほうに移行しますか)

ピッチャー

リリース

 甘く入ったストレート。

まゆ(デート権は誰にも渡しませぇん)

 バットの芯でボール捉える。ピッチャーに痛烈な打球。ピッチャーの足にボールがヒットする。苦痛に顔をゆがめるピッチャー。

その間にまゆは悠々と一塁ベースを踏む。

モバP「うわ、痛そうだな」

ちひろ(今の絶対狙ってましたよね? 打つ瞬間目が光ってましたし)

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 15:27:11.88 ID:14e0kss80
ワンナウト

一塁、三塁

りいな(私の打席。なんとしても打つぞー)

りいな(周りからにわかにわかといじられ続けていたのにPさんだけはそんなこと一言も言わなかった)

りいな(毎回私の適当なロック談義を真剣に聞いてくれいた)

りいな(面白くもなんともない私の話を常に一生懸命に耳に入れてくれた)

りいな(私が奇声を上げてうっひょーっと言ったときはアイドル的にNGだからと本格的に怒ってくれた)

りいな(ここでいつものお礼をしないと……)

りいな(うつ!)

ピッチャー

リリース

りいな(それに、デート権も掛かっていますし!)

 外角高めのストレート。りいなのバットは風を切る。

りいな「あ、あれ? ちょっと待ってください。タイムです!」

審判 タイム

モバP「どうしたんだ? りいなのやつ戻ってきて」

ちひろ「なにかあったんですかね?」

りいな「すいません。足見てもらえますか?」

モバP「足?」

りいな「なんか痛くて……」

 検査中

モバP「こうすると痛いか?」クイ

りいな「イタ!」

モバP「うーん。腫れもないし軽い捻挫だな」

りいな「ね、捻挫」

モバP「ちひろさん、どうしましょう。このままりいなに続けさせるわけにも……」

りいな「Pさん! だ、大丈夫ですよ!」

ちひろ「ダメよ。一応アイドルなんで怪我を悪化させたらそれこそPさんに迷惑掛けちゃうよ?」

りいな「ぐぬぬ」

モバP「でも困りましたね。うちには控えはいませんし」

ちひろ「そうですね。誰かいればいいんですけど」

?「こんなときに僕の出番ですね」

一同『この声は!』

77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 16:33:30.84 ID:14e0kss80
モバP[幸子! お前……どうしてここに!」

幸子「Pさんの危機に駆けつける! 当然じゃないですか!」

モバP「いやいやいや。そういうことじゃなくて」

ちひろ「まぁ、いいじゃないですか。ここは任せてみましょう」

モバP「……はい」

りいな(出番取られた)シュン

バッターコウタイ サチコ

幸子「ふふふ、可愛いボクならホームラン間違い無しですね」ドヤァ

幸子「さぁ、どんなボールでも打ち返してみせますよ!」

ちひろ(フラグを立てないで! Pさんのメンタルが掛かっているの!)

幸子(Pさんの瞳にボクは一体どんな目で移っているんでしょうね?)チラチラ

幸子(間違いなく、ピンチを救ってくれる天使でしょうね!)

モバP(幸子のことだからなんだかんだで面白い出塁の仕方をしてくれるだろ)

審判 プレイ

ピッチャー

リリース

外角カーブ。大きく外れてボール。

幸子「そんなんじゃ、ボクを討ち取れないですよ!」

相手バッテリー「」イライラ

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:26:02.79 ID:14e0kss80
相手キャッチャー(インコースの速球でびびらせろ)

相手ピッチャー「」コク

幸子「花は桜木、女は幸子! いきます!」

モバP(ん? その言葉って……)

ピッチャー

リリース

幸子(この球を待っていた!)

ボールは制球力を欠いて幸子の顔面目掛けて近づいていく。

ちひろ「あぁ、このままじゃ!」

幸子「えい」

大きく体を反らしながらバットにボールを当てる。

モバP「その球を打つのかよ!」

ちひろ(まさかのフラグブレイカー幸子)

 レフト前にポテンと落ちる。その間に凛がホームベースへ。まゆは二塁でストップ。

5-10

幸子「」ドヤァ ガッツポーズ

幸子(僕だって学習するんですよ)

幸子(いつもの僕だったらあのまま顔面にボールを当てて芸人のように振舞っていたでしょう)

幸子(もしくはゲッツーでゲームセット)

幸子(だが、僕はそれを予期しました!)

幸子(まぁ、可愛い僕だから出来るんですけどね)

モバP「岩鬼並の悪球打ちだったな」

モバP「それに打つ前の掛け声。元々悪い球が来るのを知ってたみたいだな」

※岩鬼正美 漫画ドカベンのキャラクター。とんでもない悪球打ち。しかしストライクは打てない。座右の銘は「花は桜木、男は岩鬼」詳しくは調べてね

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:26:37.19 ID:14e0kss80
あやめ「次はわたくしの番です! ニンニン!」

モバP「よし、頑張れよー!」

あやめ(P殿は本当に素晴らしいかたです)

あやめ(いつも笑顔で、優しくて。疲れているだろうに自分の心配よりアイドルの心配)

あやめ(そ、それにかっこいいですし……)

あやめ(そんなP殿にわたくしが還元できるもの)

あやめ(それは少ないかもしれません)チラ

あやめ(その少ない数のなかでヒットを打って役に立てるなら……)

あやめ(打つ!)

ピッチャー

リリース

ボール

ボール

ストライク

モバP「バッティングカウントか。しっかり振れよあやめ!」

※バッティングカウント ボールが先行していて打者が有利な状態。

ピッチャー

リリース

内角から外に逃げていくカーブ。

あやめ(そこはだめです!)

カキン

レフトとセンターの間を綺麗に射抜く。

まゆ、ホームへと帰還。相手レフト処理に手間取っている間に幸子もホームに。あやめは三塁でストップ。

7-10

モバP「ナイスバッティング! そろそろ、みんなの目もあの球に慣れてきたな」

あやめ(P殿が喜んでくださってる!)ガッツーポーズ

あやめ(あ、そういえば活躍したらわたくしにもしっかり報酬は出るのかな?)

モバP「それにしてもうちのアイドルはやっぱり凄いな。あんなピッチャーから得点をこうも奪うなんて」

ちひろ「ふふ、よかったですね♪」

モバP「……はい。本当に。本当に良かったです」

モバP「それじゃあ、バット振ってきますね」

ちひろ「いってらっしゃいです」ニコ

83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:27:39.12 ID:14e0kss80
ワンナウト

三塁

木場(ここまで来たらなにも思うまい)

木場(彼女達が健気に繋いで回ってきたこの打席)

木場(最年長者であるこのわた――)

木場(年長者であるこの私が打たないとな!)

菜々(木場さん。菜々にはわかっちゃいましたよ)真顔

木場(打つ!)

ピッチャー

リリース

内角低めいっぱいストライク。

木場(あのピッチャー。私とPときらりのときだけは気合入っているな)

木場(まぁ、それが仇となってこうして連打することはできたんだが)

木場(ストレートとカーブの二択)

木場(ここは……)

ピッチャー

リリース

内角低めいっぱいの渾身のストレート。

木場(若い!)

キン!

右中間ライナー破っていく。あやめがホームベースを帰ってくる。

8-10

木場、二塁で止まる。

モバP「よし! 二点差!」

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:29:17.68 ID:14e0kss80
ワンナウト

二塁

モバP(そっか。わかったぞ。なんで俺が嫌な気持ちになっていたか)

モバP(俺はアイドル達の目の前で負けるのを恐れていた。それが現実となったから)

モバP(あの時もそう。甲子園で負けるのが怖くて臆病になっていた)

モバP(だから、試合の大きさ関係なく既視感を抱いたんだな)

モバP(後は逃げている自分に嫌気が差してたんだろう)

モバP(けれど、もう俺はあの時と違う。一人前のプロデューサー。一人前の社会人。それから一人前の一人の男になるために。俺はここで打って次の回も抑える!)

モバP(俺がこんな人間になれたのはあいつらのおかげ。負けられない!)

モバP(打つ!)

ピッチャー

リリース

ボール

ストライック

ストライック

モバP(やべ、あっという間に追い込まれちった)

ピッチャー

リリース

モバP(ここで一発を狙っても同点)

モバP(それならしっかりミートをするか?)

モバP「いや……なにも考えるな」

モバP(来た球を跳ね返そう)

 真ん中から外れるカーブ

モバP「く!」

キン

審判 ファール

85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:29:51.54 ID:14e0kss80
モバP(あぶねー)

モバP(我ながらナイスカットだったな)

モバP(狙い球をしぼるか)

モバP(このバッテリーは見た感じお互い若い)

モバP(ピッチャーは19歳だ)

モバP(木場さんのリードならタイミングの合ってないカーブをもう一球放るだろう)

モバP(でも、あのピッチャーはストレートに相当な自身がある)

モバP(なら、来るとしたら……)

ピッチャー

リリース

内角高めストレート。

モバP(案の定内角高めのストレート!)

カキン!

モバP「捉えた! 長打!」

センターオーバー。それもぐんぐん伸びていく。

モバP(ここのグラウンドは基本的にかなりの広さだからホームランの場合。ランニングで帰ってくる)

モバP(さっきのきらりみたいにネットを越えるなんていうのはほぼあり得ない)

モバP(てか、人間ならまず越えない思う)

モバP(そして、この当たりなら……狙える)

センターがボールを追っている間に木場ホームイン。9-10

 センターがボールを拾う。Pはすでに二塁を蹴っている

センターからセカンドへとボールが中継される。Pはもう三塁を蹴っていた。

セカンドがホームへと好返球。モバPヘッドスライディング。

モバP(頼む! 間に合ってくれ!)

 ズシャァ

ちひろ「クロスプレー!」

審判……

86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:42:13.99 ID:14e0kss80
 アウト

アイドル一同『ぁ……』

ツーアウト

 ランナー無

モバP「すまん……みんな。折角繋いでくれたチャンスだったのに」

ちひろ「仕方ないですよ。後は後続に任せましょう」

アイドル一同『そうですよ』

モバP「みんな、ありがとう!」

きらり(正直きらりがここまでアイドルを続けられるとは思ってもなかった)

きらり(これもそれも全部Pさんのおかげだと思う)

きらり(きらりの可愛いものを集める趣味にも嫌な顔一つせずに付き合ってくれた)

きらり(人より少しばかり身長が大きいことも逆に魅力だと褒めてくれた)

きらり(きらりの本気、見せるよ!)

きらり(打つ!)

モバP「な、なんだ。あのきらりから放たれている気は」

ちひろ「砂塵が舞っているのも雰囲気出すぎですしね」

モバP「顔つきまるでさっきと別人だし」

ちひろ「あれじゃ、まるで魔王ですよ」

相手ピッチャー「」ブルブル

相手ピッチャー「よっこいしょ」

モバP「ま、まさか敬遠……」

ちひろ「ここで勝負するよりかは姫川さんに回したほうがいいですからね……」

ボール

ボール

ボール

ボール

ファアボール

きらり(チキン野郎が)ギロ

相手ピッチャー「ひ」

モバP「覚醒魔王は蘭子じゃなくてきらりに似合うと思うの」

87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:44:18.46 ID:14e0kss80
ツーアウト 一塁

友紀(懐かしいな。ちょっと思い出しちゃったよ。確かモバPと知り合ったのって野球の球場なんだよね)

友紀(シュチュエーションは違うけどその日のキャッツの試合もこんな感じだった)

友紀(絶対絶命誰かが打たなきゃ試合が終ってしまう)

友紀(けど、そのときのPは目をキラキラさせて応援してた)

友紀(その目は本当に綺麗で一瞬であたしの心に突き刺さったよ)

友紀(そして、喋りかけたら意気投合。さらにはアイドルにまでなっちゃうんだからめちゃくちゃだよ)

友紀(でもさ。P。あたしとっても幸せだよ)

友紀(同点弾でPの肩の荷を少しでも減らす!)

ピッチャー

リリース

すると、一塁にいたきらりがスタートをきる。投球モーションを盗んだ完璧なスタート。友紀はボールを見送る。

ストライック

キャッチャー投げることが出来ずに溜息をついた。

モバP(よくもまぁ、ああやって機敏だよな)

ちひろ(ショートの人が凄く怯えていましたよ)

ピッチャー

リリース

友紀(デート権はあたしが戴くよ!)

カキン

綺麗なピッチャー返しでセンター正面にヒット。きらり三塁を回る。しかし、思いのほか友紀の打球は早くすぐに捕球されキャッチャーへとレーザービーム。

モバP「きらり、それは暴走だ!」

 きらりがホームベースに到達する前にボールが帰ってくる。キャッチャーしっかりブロックして――

きらり「ふんならば」ドガン

きらりのタックルにキャッチャーはそのまま後ろへと転倒。その際にボールを零してしまう。

審判 セ セーフ

グラウンド一同『』

10-10

※ 実際にタックルをすると危ないから気をつけてください

88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:46:58.06 ID:14e0kss80
きらり「やったねPちゃん!」

モバP「せ、せやな」

モバP(頼むからもっとアイドルらしいプレイをしてくれよ)

モバP「さて、次は凛か」

ツーアウト

二塁

凛(ここで真打の登場)

凛(このお膳立て。拾わないわけにはいかない)

凛(この流れを作ったのは私。そして、ここで逆転すれば私のMVPは待ったなし!)

凛(正妻は私)

まゆ「」イラ

ピッチャー

リリース

ストライック

凛(ん? さっきよりも感じが違う気が……)

木場「どうやら、下位打線も本気で抑えに来るようだね」

モバP「そうみたいですね」

モバP(なぜ、人目でわかる。絶対素人じゃないでしょ)

ストライック

凛(ちょっとこれはやばい)

凛(とりあえず私は難しいこと考えてもだめだから……)

凛(真ん中にきたら振ってみよ)

ピッチャー

リリース

真ん中に直球

凛(うそ! ほんとに来た)

コツン

センターにひょろひょろとフライが上がる。

凛(あー)

友紀(こりゃ、だめそうだな)

モバP・木場「走れ、友紀!」

友紀「え! あ、はい!」

ゆらゆらとあがったフライはセカンドとセンターのちょうど中間あたりに落ちようとしている。

モバP「まだだ。まだポテンヒットがある!」

友紀、ホームベースを踏む。

モバP「よし! これでボールが落ちてくれれば!」

モバP(落ちろ落ちろ!)

アイドル『落ちて!』

まゆ「堕ちてください」ニヘェ

相手チーム『落ちるなぁぁぁ!』

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:48:02.69 ID:14e0kss80
コテーン

凛「やった!」

モバP「落ちた!」

ちひろ「つまり、逆転ですね!」

アイドル一同『わぁぁ』

モバP「ナイスヒットだ凛!」

凛「うん!」

凛(デート……)

まゆ「」チィ

11-10

その後、安部が三振に倒れて終了。

裏の攻撃へと変る。

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:49:03.24 ID:14e0kss80
モバP「いくぞ」

モバP(同点にはできなかったけど、俺はバッティングより投球に意識を向けないとな)

モバP「木場さん、あの一ついいですか」

木場「どうしたんだ?」

モバP「次は俺の好きな通りにやらせてもらっていいですか?」

木場「いいだろう。存分にやってみるといい」

モバP「はい。一応サインだけ送ってもらって気に入らなかったら首を振るんで」

木場「わかった」スタスタ

モバP(さぁ、脱皮の時間だ)

ノーアウト

木場(外角の低め直球)

モバP「」フルフル

木場(ほう。そうか。ならこれだな)

モバP「」コク

ピッチャー

リリース

内角低め直球ストライク。

木場(強気だな)

木場(次はチェンジアップ)

モバP「」フルフル

木場(もう一球ほしいのか?)

モバP「」コク

91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:49:38.97 ID:14e0kss80
ピッチャー

リリース

内角低めにストレート。ストライク

ツーストライク

木場(随分強気だが……)

木場(じゃあ、次は……これだ)

モバP「」コク

ピッチャー

リリース

内角ギリギリいっぱいにカーブ。見送り三振。

木場(さっきよりもキレが上がっている)

木場(怖くないのか?)

木場(いや、信頼しているのかもな)

木場(自分とバック。そして私を)

ワンナウト

木場(そら、もういっちょ内角だ!)

ピッチャー

リリース

 カキン

木場(む、やはり読まれていたか)

レフト方向へと白球は向かう。

モバP(菜々、後ろに反らすなよー)

菜々(私はバッティングでは活躍できませんでした)

菜々(けど、守備なら)ズサー

明らかにヒット性の辺りを安部が滑り込み好守。

菜々「あ、あれ? 本当にとちゃった」

グラウンド内『パチパチぱちぱち』

菜々「なんかやってしまいました……」

ちひろ「今年の安部は若い」

モバP(菜々……これは次で抑えないとな)

ツーアウト

審判 バッターコウタイ

92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:50:48.15 ID:14e0kss80
モバP「お、ここで交代か」

監督「よろしくお願いします!」

木場(まさか、相手チームの監督が出てくるなんて)

モバP(まぁ、誰が出ても抑えるけ――)

モバP(もしかして、この打撃フォーム……)

モバP(まさか!)

木場(Pの様子がおかしいな)

モバP(なるほど。しかも、ここで出てきたって事は向こうも気付いてるな)

モバP(よし、そうとわかったら勝負だ)

ピッチャー

リリース

ボール

木場(うーん。カーブには手を出してくれないか)

モバP(もう相手にはいろいろばれてるだろうしさて、どうするか)

木場(とりあえず外角低めストレート)

モバP「」フルフル

木場(内角か)

ピッチャー

リリース

内角低めのストレート。バッターバットを振りぬく。

カキン

 快音と共に白球は遠くへと飛んでいく。

93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:51:38.00 ID:14e0kss80
 しかし、大きな打球はひだりへと切れていく。

ファール

木場(危なかったな。しょうがない。次はチェンジアップだ)

モバP()コク

ピッチャー

リリース

 低め落ちる変化球。見逃し。ストライク

木場(一応ツーストライクに追い込んだが……大丈夫か。あれ)

モバP(うわ、やべー。凄く脈打ってるよ心臓が)

モバP(息苦しい)

モバP(頑張れ俺の体)

実況 ウッタ。オオキナダキュウダ。ハイルノカ。ハイリソウダ。ハイッタ! ギャクテンサヨナラホームランダ。モバPガックリとマウンドジョウデウナダレマス。

モバP(こんなときに限って残響が……)

モバP(やめろ。うるさい。こびり付くな)

凛「プロデューサー! 頑張ってー!」

モバP「凛……」

モバP(いつもは大きな声なんかださない凛があんなに一生懸命……)

幸子「見てますよー! 僕の目の前で醜態を晒さないでくださいねー!」

まゆ(まゆは言葉は必要ないです。もうイヤって程伝わっているはずですからぁ☆)

菜々「ウサミン星のみんなも見てるんですからかっこいいところみせてくださいよ!」

モバP(外野からも……)

あやめ「P殿打たれてもわたくしがフォローします!」

友紀「あたしの存在もわすれないでね!」

きらり「頑張るにぃ☆」

木場「さぁ、来い」

モバP(そうだよな。みんなの応援が俺を変えてくれる)

ピッチャー大きく振りかぶって。第四球目を投げた。

94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:52:32.68 ID:14e0kss80
審判団『整列!』

アイドル一同『ありがとうございました』高音

相手チーム『ありがとうございました』低音

95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:53:05.79 ID:14e0kss80
―――試合終了後―――

ベンチ

アイドル一同『』ズゥーン

モバP「ど、どうしたんだよみんな。通夜の後みたく…」

ちひろ「だって、試合は監督にホームランを打たれちゃって結局引き分けだったじゃないですか」

モバP「あー、まぁ確かにそうでしたね」

アイドル一同『グスン』

モバP「もう! お前らのせいじゃないだろ!」

アイドル『でも……』

モバP「でもじゃない。それにさ。俺はこの試合、勝つ事が重要だったとは思わないんだよ」

モバP「今日は引き分けだけど、甲子園のときに負けた試合にもし勝った場合よりも大きなものを俺は得たと思うよ」

モバP「自分自身にしっかり向き合うこと。それから今日の試合でアイドルとの絆の深さを再確認したからな」

モバP「今日はみんな。本当にどうもありがとう。大事ななにかを思い出したよ」

アイドル『うぇぇぇぇん』(木場さん以外)

モバP「わぁ、こら。その人数で俺に突撃するな!」

ちひろ「よかったですね。Pさんモテモテで」

モバP「よくないでしょ!」

ちひろ「あ、そういえば今日一番活躍した選手なんですけど」

アイドル一同『』シュタ

モバP(一斉に大人しくなった)

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:53:50.33 ID:14e0kss80
ちひろ「ごほん。えっとー今日はみなさん大変良かったと思います」

ちひろ「誰に栄えある優秀選手の座にふさわしいかと聞かれれば全員です?」

モバP「一体何の話です?」

ちひろ「しかし、それじゃあ、みんなは納得しないだろうから僭越ながら私が決めさせていただきました」

モバP「無視ですか」

ちひろ「今回の優秀選手は、この私千川ちひろです」

アイドル『は』

KIBA(ちひろさんは選手じゃないんだがな……)

ちひろ「Pさんを立ち上がらせたあの一言。これがなければ今回の試合。引き分けるのは不可能だったでしょう」

ちひろ「ゆえに私がPさんとデートします!」ウデニガシ

モバP「え」

凛「……千川さんちょっと裏まで来てくれない」

あやめ「ひどいですよそんなの!」

まゆ「うふ」自分の背中にそっと腕を回す。

きらり「ちひろちゃんずるいにぃ! きらりもPちゃんとデートすぅ!」

りいな「ちひろさんロックじゃないですよ!」

友紀「えぇー。あたしPと一緒に野球観戦したかったのにぃ」

菜々(まぁ、なんていうか予想は出来てました)

木場(ちひろさんらしいな)

幸子「僕、そんな話一言も聞いてないですよ!?」

97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:54:23.49 ID:14e0kss80
モバP(面倒だから相手チームに挨拶してこよ)

相手監督「いやー、今回は本当におしかったよ」

モバP「お互い様ですね」

監督「……」

 握手

モバP「……」

監督「両方とも言葉にしなくてもわかってるみたいだな」

モバP「ありがとう。本当に。今日は有意義な日曜日だったよ」

監督「あ、それから最後に一つ」

モバP「ん?」

監督「千川ちひろには気をつけろよー」スタスタ

モバP(どういう意味だ?)

モバP(まぁ、いいか)

モバP(いやぁ、今日はビールが上手いだろうなー)

モバP(空は快晴。俺の心も快晴)

りいな「あ、ちひろさん! 逃げないでください」

まゆ「待って下さいよぉ。お説教はこれからですよ?」

凛「屠る」

あやめ「わたくしからは逃げられませんよ!」

きらり「きらりも一緒に遊びたーい☆」

友紀「お、案外今日の試合間に合うかもしれないな」

木場「あぁ、そうだ安部さん。この後一杯どうだ?」

安部「あぁ、最高です! スポーツ終った後なんで――あ」

安部「まぁ、今日はいいです。とりあえずキャラは置いておいて。木場さんと飲みたい気分です!」

木場(ぶっちゃけちゃったよ)

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:55:32.56 ID:14e0kss80
 アイドルの騒ぎ声と風の残響。モバPは空を仰ぎ大きく深呼吸をする。季節は六月。もうそろそろ、高校生たちの熱い夏が始まる。白球を追いかけ、時には挫折し時には栄光を掴む。努力した分だけ報われるとは限らない。しかし、少年達は汗を流し続ける。夏の鬱陶しい熱風の中。少年達はただ一つの目標に向かって競い合う。甲子園優勝という名の栄光を掴むために――

99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 17:56:23.67 ID:14e0kss80
お・わ・り

110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 19:13:32.38 ID:14e0kss80
 

あれから数日後

事務所内

友紀「ねぇ、Pさん。この前の試合楽しかったねー」

モバP「そうだな。楽しかったな」カタカタ

友紀「いやー、それでさ! あの後家に帰ってキャッツの応援してたらうちのエースピッチャーが完全試合しちゃってさ!」

モバP「キャッツ……のエースピッチャー? もしかしてAのこと?」

友紀「お、よく知ってるじゃん! 昨日は本当に凄かったんだよ!」

友紀「14奪三振。圧巻だったなぁ。火の玉のようなストレートにキレのあるスライダー!」

友紀「まじ、私と同い年とは思えないよー」

モバP「まぁ、確かにあいつは世間一般でも老け顔だからなー」カタカタ

友紀「そういうんじゃないんだって! こうなんていうかオーラ?」

モバP「はいはい」

モバP「お前もAに会えるようなアイドルにならないとな」カタカタ

友紀「最近頑張ってるし後ちょっとでしょ! 国民的アイドルになればきっと会えるはずだし」

友紀「でも、ちょっと最近モチベーション上がんないって言うか…」

モバP「悩み事か?」スゥ

友紀(こうなると仕事を一旦中断するんだ)

友紀(しかも、この前の試合が終ってからさらに一段と男の顔になってるし)

友紀(こうなんていうか頼りになりそうな感じ)

モバP「……モチベーションが上がらないのか」

モバP「なぁ、友紀。もし野球選手に会えたならテンション上がりそうか?」

友紀(冗談で言ったのに本気にされてるし)

友紀「うんうん! とくにキャッツの選手に会えたら千人力ですよ!」

友紀(まぁ、言うのは無料だからいいよね)

モバP「そっかぁ……」

モバP「なら、会ってみるか」

友紀「え」

111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 21:31:02.48 ID:14e0kss80

都内某所。レストラン

友紀「P、P~。本当にその……会えるの?」

モバP「疑ってるのか?」

友紀「だってあの日本を背負うであろうキャッツのエースのAさんだよ!」

モバP「それが? 友紀が会いたいっていったんだろ?」

友紀「言っただけで会えるなんて思ってもなかったよ!」

モバP「ははは、よかったな。これでお前のモチベーションも上がるな」

モバP「それにいつもの友紀ならもっとテンション上がって大喜びすると俺は思ったんだけどな……」

友紀「さすがに笑えないよ……」

友紀「あー、緊張してきたー! 服装とかおかしくないかな!?」

モバP「大丈夫大丈夫。可愛い可愛い」

友紀「うーん」

モバP「お、どうやら来たようだぞ」

友紀「ひ」カチンコチン

A「兄さんごめん。待たせたかな?」

モバP「おう、久しぶり」

モバP「悪いな急に呼び出したりして」

友紀「にいさん?」

モバP「あぁ、実はな。Aは俺の義理の弟なんだ」

友紀「……え、だって顔にてないし」

モバP「話を聞けって。義理」

A「初めまして。姫川さん……でいいんだっけ」

友紀「は、はい! キャッツファンのアイドルれふ!」ビシ

モバP(最後で噛むなよ)

A「話はいつも聞いてますよ。兄さんってば事あるごとに姫川さんの名前――」

モバP「おい」

A「あはは、そんな怖い顔しなくても……」

友紀「あ、あの。握手いいですか?」

A「うん。いいですよ」

握手

友紀「うわぁ!」キラキラ

モバP「……」

A(妬いてるなぁ……これはやっぱり兄さん好きなんだな)

A(それにさっき外から見てた感じだと姫川さんも兄さんに好意的だったからなぁ)

A「いやー。しかしびっくりしたよ。兄さん一生一人身かと思ったらこんないい女性がいるなんて」

モバP「ちょ、馬鹿!」友紀「なに言ってるんですか!」

A(二人とも顔赤くなってるし)

112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 21:41:01.09 ID:14e0kss80
―――数時間後―――

友紀「それで聞いてくださいよAさん。そこでPさんがね?」

A・P(だいぶ酔いが回ってきてるな)

モバP「えっと、友紀。そろそろワイン飲むのをやめようか」

友紀「Pさんに私を縛る権利はあるんですか!?」

モバP「一応プロデューサーなんですけど! 止める権利はあるよ」

A「ふふふ、あ、そろそろ僕は時間が……」

モバP「もう帰るのか?」

A「うん。睡眠不足だと本来の力発揮できないからこうやって外食の日でも早く帰るようにしてるんだ」

モバP「プロの選手は大変だな」

A「……兄さんも来ればよかったのに」

モバP「ははは、プロデューサー業が楽しくて今となっちゃこっち選んで正解だったと思うよ」

A「そっか。ならなにもいえないね」

A「それじゃ、お会計はぼくの奢りで」

モバP「太っ腹だな」

A「お金は持ってるからね」

友紀「えー、もう帰っちゃうんですかー!」

A「いつでも会えますから」

友紀「……」シュン

モバP「さぁ、友紀俺らも帰るぞ」

友紀「わかりました」

113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 22:00:49.10 ID:14e0kss80

屋外

友紀「うっひー。夜風が気持ちいいー!」

モバP「……」

モバP「なぁ友紀。今日は……楽しかったか?」

友紀「そりゃもちろん! いやーこんなに興奮したのは日本シリーズ以来だなー」

モバP「そうか……Aはいいやつだっただろ?」

友紀「そうですねー。創造通りで誠実で優しいひとだったなー」

友紀「オーラとかがあって」

モバP「そ、そうだよな。うんうん。なんなら今度からは定期的に――」

友紀「でも、やっぱり私はPのほうが全然好きかも」

モバP「え……」

友紀「当たり前じゃん。Aさんとはまだ数時間しか喋ってないだよ?」

モバP「だったらこれから喋ればいいじゃないか」

友紀「なんで?」

友紀「もしかして、PはAさんとの仲を取り持ってくれようとしたの?」

モバP「……まぁ」

友紀「はは、ばかだなーPは!」

114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 22:16:51.21 ID:14e0kss80

友紀「Pはさ。あたしのことどう思ってるの?」

モバP「どうって一人のアイドルとして――」

友紀「そうじゃないよ。男としてあたしのことをどう思ってるの?」

モバP「……」

モバP「答えなきゃダメか?」

友紀「うん」

モバP「ごめんな。今はこれで許してくれ」ダキ

友紀「はは、Pさん後ろから抱き着いてくるなんて反則だなー」

モバP「友紀はどう思ってるんだ?」

友紀「あたしもこれで許してもらおうかな」モバPノテクビヲ ギュ

モバP「そういうことか……」

モバP「当分先のことなんだけどさ」

友紀「うん」

モバP「もし友紀がアイドルとして引退したとき」

モバP「そのときまでにもし今と同じ気持ちでいたら」

モバP「俺と結婚してくれないか」

友紀「うわ、ど直球」

モバP「ええ!?だめか?」

友紀「ううん。嬉しいよ」

モバP「なんだよ脅かすなよ」

友紀「さてと、それじゃあ明日も頑張りますか! かっ飛ばすぞー!」

モバP「そうだな!」

115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 22:41:16.80 ID:14e0kss80

―――数年後―――

公園

友紀「P! いくよ!」

モバP「キャッチボールなんだから思いっきりなげるなよ!」

友紀「わかってるって!」

友紀(私が引退したのはつい先月。ラストはライブで有終の美を飾った)

友紀(みんなに惜しまれて舞台から引くのは本当に辛かったな)

友紀(それと、Pと私の関係は未だに平行線)

友紀(あたしはてっきり引退後すぐにPがアプローチしてくるのかと思いきやそんなことはなかった)

友紀(もしかして、あの約束忘れてるのかな?)

友紀「そりゃあぁ!」

モバP「だから全力投球するなって」

友紀(ストレス発散)

モバP「あぁ、そうだ。友紀ちょっと待ってろ」

友紀(Pが徐にポケットからネームペンをだしてなにかをボールに書いている)

モバP「それじゃあ友紀。座ってくれ」

友紀「えぇ、Pさんも全力投球するんじゃん!」

モバP「いいから。座れって」

友紀「しかたないなー」

モバP「ほら、いくぞ!」ヒュ

友紀「ぐほー。いい球。グラブの音が心地いいねー!」バシン

116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 22:41:46.15 ID:14e0kss80
モバP「友紀、ボールを見てくれないか」

友紀「? いいけど」

友紀(何かいてたんだろうな)

ボール「けっこんしよう」

友紀「え?」

モバP「いい直球だっただろ?」

友紀「ちょ、ちょっと待ってよ。心の準備が……」

モバP「口で言わなきゃダメか?」

友紀「いいよ! 言わなくて!」

友紀「あぁ、嘘。やっぱりちゃんと言ってほしいかも」

モバP「好きだ結婚してくれ」

友紀「」シュボ

モバP(すげー真っ赤)

友紀「てか、Pは本当にいいの?」

モバP「今更なに言ってるんだよ」

友紀「そ、そうだよね」

モバP「それで返事なんだけど」

友紀「ぺ、ペンかして!」

モバP「……ほらよ」

友紀「よ、よしこれでおk」カキカキ

友紀「それじゃあ、P! あたしも全力で投げるからね!」

モバP「よし! 来い!」

友紀「ふん」シュ

モバP「お、いい球」バシン

モバP(そして、どれどれ。友紀は何を書いたのか)

ボール「ベットの上では優しくしてください」

モバP「」

友紀(あぁ、もう。お酒の力を借りたいよ)自分のグラブで顔を覆い隠す

モバP「えっとー。OKって意味だよな?」

友紀「」コクコク

モバP「そっか。ありがとな」ニコ

友紀(その時のPの笑顔を私は一生忘れることが出来なかった)

117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 22:42:37.06 ID:14e0kss80
end

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