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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 20:56:20.58 ID:FwtcE+v20
居酒屋
友紀「いやぁ、でもびっくりしたよ。拓海ちゃんはともかく、文香ちゃんもこういうところ来るんだね」
拓海「アタシはともかくってのはどういう意味だァ、ああ?」
友紀「だって、拓海ちゃんってヤンキーなんでしょ?だから、若いうちからこういう居酒屋来てても違和感ないかなーって」
拓海「アタシはヤンキーじゃねえ、元特攻だっての。それに酒もタバコも興味はねえよ」
菜々「ヤンキーと暴走族って違うんですか?」
拓海「違う違う。な?」
文香「…えっ?」
拓海「違うだろ?」
文香「さあ……私にはよくわかりませんが……」
拓海「なんだよ、違いの分からねえヤツばっかりだ」ケッ
菜々「今日はお二人だけですか?お酒、飲んでなんかないですよね?」
文香「いえ…プロデューサーさんと撮影の打ち上げに……私たちはジュースです」
友紀「来てるんだ、プロデューサー」
菜々「プロデューサーさんはどこに?おトイレですか?」
拓海「ああ、酔って吐いてる。やっぱダメだわ、あの人」
友紀「お酒弱いからなぁー」
菜々「弱いくせに好きなんですよね」
友紀「苦労するタイプだよ、あれは」
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 20:58:28.70 ID:FwtcE+v20
文香「ちょっとプロデューサーさんの様子を見てきます」スッ
拓海「おう、頼んだ」
友紀「あっ、店員さーん。中ジョッキ1つ」
拓海「二人は普通に飲みに来たのか?」
友紀「うん、休みが被ったから買い物して、一杯やりにきたー」
菜々「あっ、ナナはもちろん、ジュースですよ!17歳ですからね!」
友紀「無理することないのになあ……あ、なにこれ、美味しそう」
拓海「あぁ、なんだっけ……なんか……揚げモンだろ」
菜々「なんか揚げモンって……」
友紀「もーらいっ」パクッ
拓海「それ、文香のだぞ?」
友紀「いいじゃーん、もう一皿頼めば。んー!うまー!なんだろ、お肉なのは間違いないんだけど…」
拓海「マジで?……ちょっとアタシも」パクッ
菜々「あーあー、拓海ちゃんまで…」
拓海「へへっ、悪ぃな文香……おー!なんだこりゃ、うめえ!初めて食う味だな」
友紀「ねー!美味しいよこれ!本当、なんの揚げ物なんだろ」
菜々「え…そんなに美味しいんですか………じゃ、じゃあ菜々も…ごめんなさい、文香ちゃん」パクッ
友紀「あっははー、同罪同罪!」
菜々「へぇ~!確かにとっても美味しい!鶏肉?とはまた違いますかねぇ」
拓海「なんだろうな、これ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:00:05.49 ID:FwtcE+v20
文香「…戻りました」ガタッ
友紀「おかえり~。どうだった、プロデューサーは」
文香「ダメですね。マーライオンのようでした」
拓海「だらしねぇなぁ…」
友紀「ちょっとあたしも見てくるー!」ガタッ
菜々「ああもう、そっとしておいてあげましょうよぅ…」
文香「………おや?」
拓海「ん?」
文香「………私の揚げ物がないのですが…」
菜々「あっ、ごめんなさい、それは……」
拓海「悪ぃ悪ぃ、みんなで食っちまった」
文香「えっ!?」
拓海「全部」
文香「そ、そんな……まだ食べてないのに……」
拓海「悪かったって」
文香「美味しかったですか…?」
拓海「おお、もう絶品も絶品!なんの肉だったのかわからねえけど」
文香「くぅ………食べたかったのに…!」
菜々「も、もう一皿頼みましょう!ね?」
拓海「そうそう、あれなんて料理だ?」
文香「それが、私もにもわからないんですよね……プロデューサーさんが注文したのですが、運ばれてくる前にトイレに駆け込んでしまったので」
拓海「プロデューサーが頼んだのか…」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:02:25.46 ID:FwtcE+v20
友紀「たっだいまー!」ガタッ
菜々「おかえりなさい。どうでした?」
友紀「すっごいよー!もう顔真っ白になってた!」
文香「友紀さん、私の揚げ物食べたでしょう」
友紀「えっ?ああ、ごめんねー!もう一つ頼もうよ!美味しかったし!」
菜々「それが、プロデューサーが注文したので、なんていうメニューなのか分からないんですよ」
友紀「えぇ~?メニューみれば大体分かるんじゃないの?」
菜々「あー、確かにそうですね……って、うわっ!?なんですか、このメニュー表の分厚さは!?」
文香「……ここのお店はメニューの豊富さが売りなんです」
拓海「すげぇぞ?和洋中、全部食える」
菜々「うわぁ…これはちょっとしたタウンページですよ…しかも、メニューの写真とかないんですか」
文香「はい……更に言えば、ジャンル毎の分類すらされていないのです」
友紀「粗雑ーぅ!」
菜々「……別なの頼みます?」
友紀「えぇー!?やだやだ!さっきの謎揚げ食べたぁ~いぃ~!」
文香「私も食べてみたいです………気になって仕方がありません…」
拓海「なら探してみるしかねぇな」
友紀「あっ!だったらゲームしようよ!」
菜々「ゲーム?」
友紀「さっきの謎揚げの正体が分かるまで帰っちゃダメゲーム!」
菜々「えぇ~?なんですかそれ…」
拓海「面白そうだな!」
文香「……いいでしょう、絶対に謎揚げを食べてみせます……!」
菜々「なんでそんなにやる気満々なんですか…」
友紀「やる気まんまんマーーーン!やる気ビーーーーーーーーーム!!!」
菜々「きゅぴぴぴーーーーん!!!やる気電波受信!!!ちょっと、プロデューサーの様子を見てきますから、その間に注文しちゃってていいですよ!絶対に当てましょう!」ガタッ
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:03:52.58 ID:FwtcE+v20
友紀「……なに、やる気電波って」
拓海「アンタがやりだしたんだろうが」
文香「そんなことより早く注文しましょう…」
友紀「むむっ!文香ちゃんからとてつもないやる気を感じる…!もしかして、やる気まんまんマンレディだったりする?」
文香「そうです…私はやる気まんまんマンレディ……謎揚げの正体を暴く知的探求者…」
友紀「やる気まんまんマンレディってなんだろうね」
拓海「アンタがやりだしたんだろって……とりあえず、揚げモンだろ?それっぽいものをいくつか頼んでみっか」
文香「では……手作りメンチカツ、ミートボール揚げ、トンカツあたりを攻めてみましょうか」
友紀「おおっ、手堅いねぇ~。いい牽制球」
拓海「まあ、そのあたりが無難か」
文香「……………」
拓海「……………?」
文香「あ…あの…注文してもらえますか…?」
拓海「えっ…ああ………すみませーん!手作りメンチとぉ…」
文香「……すみません」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:06:26.05 ID:FwtcE+v20
菜々「ただいま戻りましたー」ガタッ
友紀「おかえりー」
菜々「いやー、大丈夫ですかね、プロデューサー。水みたいなの吐いてましたけど」
拓海「えぇ…?まあ……あいつなら大丈夫だろ……アタシらのプロデューサーを信じようぜ?」
文香「熱い展開ですね…」
友紀「信じるっていってもゲロ吐いてるだけだもんなぁ……」
菜々「あ、オーダーきましたよ」
拓海「どれ……」モグモグ
文香「あむ……」
友紀「うーん……美味しいけど…」
菜々「…どれでもないですね」
拓海「ハズレかぁ」
文香「…そういえば、謎揚げの味を知っているのってみなさんだけなんですよね」
菜々「確かに」
文香「どんな味でしたか?」
友紀「えー?肉味」
拓海「うん……肉味だった」
文香「なんですか肉味って……」
菜々「いやでも、本当に肉味としか言い表せない味でしたよねぇ」
拓海「そうそう。すげー美味い肉味」
文香「そうですか……」
友紀「噛んだらサクサクの衣がシャオッ!中のふんわりお肉からジューシーな肉汁がじゅわあ~っと溢れて…」
菜々「そういえば、ちょっと歯ごたえのあるものが入ってましたよね」
拓海「あー…あったかもな。それも肉っぽかったけど」
文香「あっ、それいいヒントで……ぁ痛ッ!!!!」ガターン
拓海「えっ!?」
友紀「なにぃ……?」
文香「攣ったっ……足攣りました……ッ!」
拓海「なんで突然…」
友紀「あっははははは!」
文香「ああ……痛い……いた……ひたひぃ……!」
菜々「足が攣った時は、一度立って、アキレス腱を伸ばすようにするといいですよ」
文香「いやダメです…!痛い、痛いですもん……!立てないです…!」
菜々「いいから立ってください。脹脛を元の状態に戻してあげないと…」
文香「ああああ痛いです!あっ……だめ……あー…あー!」
友紀「あはははははははは!!!」
文香「笑わないでください!!!」
菜々「脹脛マッサージしてあげますから、ほら」モミモミ
文香「くぅぅ…!………ごめんなさい…神様ごめんなさい……!」
拓海「足攣った時って何故か神様に謝るよな……あ、ちょっとプロデューサー見てくるわ」ガタッ
友紀「いってらー」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:08:27.52 ID:FwtcE+v20
文香「ふぅ……ふぅ……治まりました」
友紀「そういうのっていきなりくるから嫌だよねー。店員さーん、ビールおかわりー!」
菜々「ナナもこの前、寝てるときに急に攣って死ぬ思いをしましたよ」
友紀「歳なんじゃない?」
菜々「やっぱりそうですかねぇ……って、ナナは永遠の17歳ですから!この中じゃ最年少!やったーーーーー!!!!」
友紀「次なに頼む?」
文香「そうですね……歯ごたえがあるものが入っていたそうなので、食感がありそうなものを頼んでみましょうか」
友紀「じゃーあー………軟骨入り鳥団子揚げ、砂肝入り鳥団子揚げ、さいころステーキ入り鳥団子揚げってのを頼んでみようか」
文香「良い選択です……ナイスチョイス……」
友紀「店員さーん、追加で注文いいですかー?」
菜々「怒涛の鳥団子押し」
文香「さいころステーキ入りって凄いですね……」
友紀「ね~」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:09:27.79 ID:FwtcE+v20
拓海「うぃ~」ガタッ
文香「お帰りなさい」
拓海「なんか、黒いの吐いてたけど、大丈夫だろ」
菜々「なんで自己完結しちゃったんですか…」
友紀「きたよ~、鳥団子シリーズ」
拓海「なんだこりゃ」
文香「食感がありそうなものをチョイスしてみました」
拓海「なるほどなぁ」
友紀「あーん!……うーん、おいちい!」モグモグ
菜々「美味しいですね、これ!」モグモグ
文香「これは正解を掴んだのでは…!」
拓海「いや、美味いけど、謎揚げとは形が違うぜ?」モグモグ
菜々「確かに、謎揚げは楕円形で、もうちょっと大きかったですかねぇ」
文香「……………なんでそれを先に言わないんですか、馬鹿なんですか」
拓海「そんなキレんなよ…」
文香「キレてないです。ほら、さっさと食べて次注文しますよ」
菜々「えぇ…キリがないですよぅ…」
友紀「ちょっとプロデューサーに正解聞いてくるよ」ガタッ
文香「あっ!ダメですよ!ズルですよ、ズル、そんなの!」
拓海「今から頼むやつがハズレたら正解を聞けばいいだろ。ほらほら、なに頼むよ」
文香「…仕方ないですね、それでいきますか」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:11:05.58 ID:FwtcE+v20
菜々「この、めちゃくちゃ美味しい揚げとかどうですか?当店オススメって書いてありますし」
拓海「適当なネーミングだな…」
文香「ふむ……ではその、めちゃくちゃ美味しい揚げと、爆弾揚げというのを頼んでみましょう……拓海さん」
拓海「ったく……店員さーん!」
菜々「爆弾揚げってなんなんですかねぇ」
拓海「爆弾を揚げたんだろ」
菜々「そんな適当な返事しないでくださいよぅ」
拓海「正直、もう胃もたれしてきた……これ食ったら帰ろうぜ?」
文香「ダメですよ……当てるまで帰れません」
拓海「強情だなあ…」
菜々「爆弾揚げっていうくらいだから、大きいんじゃないですかね」
文香「確かに……」
拓海「おー、早い、もうきた……うわあ、案の定、デケェな、爆弾揚げ」
菜々「すっごい…手のひらぐらいありますよ……でもこれ、さつま揚げですよね」
拓海「でっかいさつま揚げだな。謎揚げじゃねえな」
文香「くぅ……では本命のめちゃくちゃ美味しい揚げを待ちましょう…」
菜々「じゃあ、この爆弾揚げ食べちゃいますよ?」
文香「どうぞ……あまり、さつま揚げが好きではないので」
菜々「美味しいんですけどねぇ、さつま揚げ」モグモグ
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:11:54.38 ID:FwtcE+v20
友紀「…………」ガタッ
拓海「お帰り」
友紀「…………」
菜々「…?……どうかしました?」
友紀「プロデューサーが吐いてるの見てたら…もらっちゃったぁ……」
菜々「あちゃ~…」
友紀「口の中が気持ち悪いよぅ……具合悪いぃ……もう帰ろうよぉ~……」
文香「あっ、めちゃくちゃ美味しい揚げがきましたよ…!」
拓海「うわぁ…ちっちぇ…これぼんじりのから揚げじゃねえか?」
文香「ぐぅぅぅぅ………!友紀さん、正体は……プロデューサーさんから謎揚げの正体は聞いてきましたか…!」
友紀「え……あー……謎揚げね…あれ、謎揚げだって」
文香「……はい?」
友紀「だから…『謎揚げ』っていうメニューなんだってさ」
文香「…………ハアアアアアアアアア!!?」
拓海「くっだらねぇ、帰ろうぜ」
文香「待ってください!せめて…せめて謎揚げを食べてから帰りたいです…!」
友紀「それ一日一皿限定のメニューなんだってさ」
文香「」
菜々「へぇ~、やっぱり美味しかっただけありますね」
拓海「だな」
友紀「さーて、帰ろう帰ろう」
拓海「ほら、いくぞ文香」
文香「……………ふぇぇぇん」グスッ
菜々「えっ!?」
拓海「泣くほどかよ…」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:15:51.04 ID:FwtcE+v20
文香「私だけ…食べてない……」グスッ
友紀「また食べに来ればいーじゃーん」
拓海「そうそう。ほら、送ってってやるから…」
文香「拓海さんの運転は荒いから嫌です……」
拓海「うっせぇな!いいから帰るぞ!」
菜々「あのぅ…プロデューサーはどうします?」
友紀「タクシー呼んでおけば、適当に帰るでしょ。お会計済ませてくるね」
拓海「ああ、ゴチっす!……ほら、早く立てって」
文香「そんなに急かさないでくださ……ぁ痛ッ!!!……ああまた…足が…!!!…神様……!!!」
終劇
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:16:33.95 ID:FwtcE+v20
これにて終了ですー
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/21(木) 21:24:28.79 ID:u1BZ67uto
伝票見れば(ry
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/22(金) 00:20:42.05 ID:qSaLSqi5O
結局謎揚げってなんだったんだ……
乙
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/22(金) 11:27:08.64 ID:PuqkoRTx0
乙
謎の肉を使った謎の揚げ物か…