1: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:29:47.03 ID:O2BhniSDO
ジリジリ
P「…暑いな」
P「(今日に限ってみると、梅雨も明けたんじゃないかって日和だ…)」
P「ぐへぇ」
楓「…大丈夫ですか?」ピト
ヒヤッ
P「うおう!」
楓「あ、ごめんなさい…そんなにびっくりされるとは思わなくて」クス
P「あ、い、いえ…こちらこそ」
P「……でもわざとでしょ?」
楓「もちろん♪」ニコ
P「…」ハア
楓「はい。水分補給は、ちゃんとしなきゃだめですよー?」ハイ
P「……」
P「…ありがとう、ございます」
楓「いえ」
2: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:30:57.21 ID:TYk5A0HQo
パキ
P「…」ゴク
楓「…」コクコク
P「…」プハ
楓「…」
楓「…ねっちゅー症には、ね、注意しよー…」ボソ
P「」ブッ
楓「!」
3: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:32:05.32 ID:O2BhniSDO
楓「い、いまの面白かったですか?」キラキラ
P「……いや…ち、ちょっと強引ですかね…」ボタボタ
楓「そうですかー…」シュン
楓「あ、えと…」ゴソ
楓「ハンカチ。どうぞ」
P「あ、どうも…」フキフキ
P「…」
楓「? どうかなさいましたか?」
P「…いえ」
P「(楓さんに笑わされて、楓さんにハンカチを借りるのって――)」
P「(なぜか物凄く釈然としない!)」
楓「?」キョトン
4: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:33:48.49 ID:TYk5A0HQo
カンカン…
P「楓さんは――今日はレッスンでしたね」
楓「はい。まだ時間があるので…」ガサ
楓「お弁当買って来たんです。しばらくのんびりしてようかなって」
P「そうですか」
ガチャ
P「おはようございまーす」
楓「おはようございます」
P「……、!?」
小梅「あっ……お、おはよう…ございます」
5: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:36:07.61 ID:O2BhniSDO
P「……うん、おはよう。えっと…小梅さん?」
小梅「? な、なん…ですか?」サン?
「……」「……」「……」「……」
P「…この大量のてるてる坊主は一体…?」
小梅「あ、えと…こ、これは…」
P「なにか呼ぶところですか?」
小梅「? な、なんで…ぷ、プロデューサーさん、さっきから敬語なんです…?」
P「べつに怖くなんてないからな」
楓「わー。どれもちゃんとデザインがあるんですねー」スゴイ
P「! か、楓さん! 迂闊に近寄るとまずいですよ!」
小梅「??」
6: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:37:46.76 ID:TYk5A0HQo
柚「?」
柚「あ! Pサンおはよー」フリフリ
P「お、柚か。おはよう」
柚「うん」グリグリ
P「…」
柚「?」キュ
P「……まさか、この大量のてるてる坊主は――柚が作ったのか?」
柚「う? うん。小梅チャンに手伝ってもらったんだー」
小梅「て、……て、手伝い、ました」フンス
「……」「……」「……」「……」
P「…そうですか」
柚「うんっ」ニパッ
P「(笑顔が眩しい)」
7: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:38:34.66 ID:O2BhniSDO
P「……えっと、まあ」
P「ほどほどにな」ハハ…
柚「はーい」
小梅「は、はい」
仁奈「仁奈を呼びやがりましたか!?」
P「お、おはよう仁奈」
仁奈「はいっ。おはようごぜーます!」ニパッ
楓「ぷっ」
P「そこー許可なく笑うのは禁止ですよー」
仁奈「??」
8: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:39:44.66 ID:TYk5A0HQo
「……」「……」「……」「……」
ヒョイ
P「…これは……ずいぶん裾の長い服を来たてるてる坊主だな」
小梅「あ、そ、それ……あ、あの子が手伝ってくれた――やつ、です…」
P「……」ゾゾッ
P「ほ、ほぉお」
柚「Pサン震えてるよ? エアコン効き過ぎかなー」
P「お、おぉ…」
小梅「?」
9: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:41:05.47 ID:O2BhniSDO
小梅「……昔…お世話になった、人、だって…」
柚「そうなんだー」ヘー
P「(なぜ思い出の人を模したてるてる坊主を作ろうと思ったんだ、その子は)」ワカラン
小梅「え、えへへ……あの子も、けっこう…手伝って、くれました…」
P「……」チラ
「……」「……」「……」「……」
P「…」
P「(いよいよ、最初に言った台詞が妙な現実味を…)」ブル
柚「Pサントイレ行くー?」
P「余計なお世話だい」
柚「てへ?」
10: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:41:36.18 ID:TYk5A0HQo
柚「でーきた!」モサ
P「…」
P「なあ」
柚「ん?」
P「今日はいい天気だけど――明日も晴れて欲しいとか、そういうことか?」
柚「…あー」
柚「ううん。違う違う」フルフル
P「?」
11: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:42:06.31 ID:O2BhniSDO
柚「これはこうするんだー」クル
P「?」
「……」「……」「……」「……」
P「…? ひっくり返すのか」
柚「うん。とーりつさせておくと、逆に雨が降るようになるんだって!」
P「とーりつ?」
小梅「と、…倒立、ですね。……そ、そんな風に、言われている地方も…あ、あるみたい、です」ハイ
P「ああ、倒立ね。なるほど」
柚「うん」
P「……」
柚「…」ニコニコ
P「え? 雨降って欲しいの?」
柚「? うん、そうだよ?」
P「……あ、そう」
柚「うんっ」
12: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:44:26.05 ID:TYk5A0HQo
P「……まあたしかに」
P「…少しくら雨が降った方が、涼しいかもしれないけど…」
柚「うー…そういうことじゃないカモ…」
P「あれ?」
柚「もう。Pサンってば分かってないなー。分かってないったら分かってないよー」ペチペチ
P「いたい」
柚「てへ♪」ペチペチ
P「(…うちのアイドルは俺の頭を叩くのが好きだな)」コドモカ
楓「…」ペチペチ
P「楓さん。せめて真顔はやめてください」
楓「…」ニヤ
P「(こわっ)」
13: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:45:13.63 ID:O2BhniSDO
柚「♪」ペチペチ
楓「♪」ペチペチ
小梅「……」
P「…どうでもいいけど」
小梅「?」
P「小梅は叩かないんだな。届くようにしゃがんでやろうか」
比奈「どんな配慮ッスか」
P「いたのか比奈」オハヨウ
比奈「いま来たところでス」ウス
小梅「あ、…えへ。ぷ、プロデューサーさん…あ、ありがとう。でも、大丈夫」
P「そうか?」
小梅「う、うん」コクン
小梅「…だ、だって……わ、私の代わりに、あの子が……」//
P「……」
P「(なぜそこで照れる)」
比奈「プロデューサー」
P「うむ」
比奈「いままでお世話になりました」
P「いやいや! 冗談でもやめて!」
小梅「??」
14: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:47:04.42 ID:TYk5A0HQo
比奈「てるてる坊主ッスか」
P「ああ」
柚「見てみてー。あれ、アタシが作ったPサン坊主!」ピッ
P「……意外と似てる。でもその呼び方はやめて」
比奈「スーツを模してあるだけにも見えまスけど」
柚「PサンはそれだけでPサンだって分かるからすごいよね!」
P「ちょっと傷つくぞ、それ」グサ
P「…? あれはキノコの形…?」
P「……」ヒョイ モゾ…
P「…ガチでキノコ入ってんじゃねーか!」バシッ
輝子「あ、あ…き、キノコをいじめないで…」
P「お前もいたのか!」
輝子「い、いましたよー。…どうせぼっちですけど…」フヒ
輝子「フヒ、さ、さり気ないキノコアピールだよ……こ、これでプロデューサーの脳裏にはキノコの残像が刷り込まれ…」ブツブツ
P「こえぇよ」
比奈「じゃ、私らも一緒にてるてるキノコ作るッス」
輝子「……」
比奈「う、うん」コクン
P「てるてるキノコて」
15: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:47:55.70 ID:O2BhniSDO
シュッ
楓「プロデューサーさんも、お一つどうですか?」
P「…………」
楓「?」
比奈「まあたしかに、そんな台詞と一緒に、楓さんティッシュを渡されるのはある意味――」
P「それ以上は言わんでいい」
比奈「ッス」
楓「??」
P「…そうですね。じゃあ一個、俺も作ろうかな」
楓「はい」ニコ
柚「よーし」パンパン
柚「あーしたあーめになーれ♪」
P「でもやっぱお願いするのは雨なんだ」グリグリ
柚「てへ!」
P「(なんか勢いでごまかされた)」
16: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:49:47.06 ID:TYk5A0HQo
・
・
・
ザー…
P「……」
P「…お、恐るべしあの子……そして、てるてるキノコ…。まさか本当に雨になるとは…」
P「…まあ、梅雨だしな。そりゃ雨くらい、いくらでも降るか…」ハア
P「さて。じゃあ傘持ってと」
17: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:50:49.93 ID:O2BhniSDO
バシャバシャ
P「……まあ、涼しげなのは悪くないな」
柚「そうだね」
P「……」
P「びっくりした」
柚「えー。そうでもなさそうだけど」ケラケラ
P「いつからそこに?」
柚「さー?」
P「…傘は?」
柚「ん? 持ってない。パーカー着てるし、大丈夫かなって!」
P「大丈夫じゃないだろ」
柚「…。てへ」
P「……ったく」
ギュ
柚「…」
P「梅雨なんだから。傘はちゃんと持ち歩くんだぞ」
柚「…うん。ごめんなさい」
P「いや、べつに怒ってるわけじゃないけど」
18: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:51:28.86 ID:TYk5A0HQo
ギュ
P「…」
柚「くっつかないと濡れちゃうからね」
P「そうだな」
柚「うん」
19: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:52:04.01 ID:O2BhniSDO
ザー…
P「…ちょっと…雨が弱くなるまで、そこで雨宿りして行くか」
柚「あ、うん。いいと思う」
P「そっか」
柚「うん」
20: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:52:53.04 ID:TYk5A0HQo
ザアアアアア…
柚「ふにゃー。びしょびしょだよー…」フルフル
P「猫みたいだな。ほら、タオル」ポイ
柚「ありがとっ」ワシワシ
柚「…ん」ブル
P「寒いか?」
柚「…ん、ちょっと…」
P「俺の上着も濡れちゃってるからな…」
柚「また、くっつけばいいと思う」
P「…そうだな」
柚「うん」
21: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:53:42.05 ID:O2BhniSDO
ザアアアアア…
P「……雨、強いなぁ」
柚「強いねぇ」
P「梅雨だな」
柚「梅雨だね」
P「…この前楓さんとも、こんな風に雨宿りしたよ」
柚「ほう」
P「へ?」
柚「Pサン。女の子といるときに、べつの女の子の話はしちゃだめだよ! 習わなかったの?」ペチ
P「いて」
P「…すいません」
柚「えへへ。いいよー」
柚「…いまは、アタシとお話してくれてるし」
P「うん」
22: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:54:12.27 ID:TYk5A0HQo
ザアアアアア…
P「…」
柚「…」
P「…」
柚「…雨ってさ」
P「ん?」
柚「…黙ってても、話してなくても、音があって……静かにならなくて、いいよね」
柚「アタシの代わりに喋ってくれてるみたいで」
P「……そうかもな」
P「…なあ」
柚「ん?」
P「…すごく柚らしくない台詞だと思ったって言ったら、怒るか?」
柚「…へへ。ううん。自覚あるし」
P「はは。そっか」
柚「うん」
23: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:54:41.74 ID:O2BhniSDO
柚「でも、ま」
P「ん?」
柚「たまには、こんなアタシもいいんじゃないかと」
柚「…ね?」ニコ
P「…うん。いいと思う」
柚「…そっか。ありがと」
P「いえいえ」
柚「……」エヘヘ…
24: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:55:09.66 ID:TYk5A0HQo
サアアア…
P「そろそろ弱くなって来たな…行くか」
柚「あ、うん」
柚「…」
P「柚?」
柚「…Pサン、ごめんね…」ボソ
P「…」
柚「…あ、えと…な、なんでもないよ! 行こっか!」パッ
P「…」
P「うん」
25: ◆qEJgO2U6bM 2013/06/16(日) 14:55:38.46 ID:O2BhniSDO
P「なあ柚」
柚「うん?」
ポン
柚「わぷ」
P「…また来年、一緒に雨宿りでもしようか」
柚「…」
柚「…へへ。なにその約束…」クス
柚「……でも、うん。喜んで!」
P「おう」
柚「てへへ。…ありがとーPサン」ニヘラ
P「どういたしまして」