1:2013/06/09(日) 20:19:01.83 :ip/6wiZRo
ある日の事務所―――
李衣菜「…………」ポケーッ
P「…………」カタカタ…
李衣菜「あー……」
P「……。…………」カタカタ
李衣菜「いーい天気ぃ……」
P「…………そうだなぁ」
李衣菜「ですねぇ……」
2:2013/06/09(日) 20:20:38.29 :ip/6wiZRo
P「…………」カタカタ…
李衣菜「見てください、雲が流れていきます……」
P「そうだなぁ……」
李衣菜「……あ、ツバメ飛んでる……」
P「そうだなぁ……」
李衣菜「…………」
P「…………」カタカタ
李衣菜「……私ってロックですよね」
P「……そうかなぁ」
3:2013/06/09(日) 20:21:44.85 :ip/6wiZRo
李衣菜「……ちょっとー、そこは『そうだなぁ』でしょー」ムクッ
P「そうかなぁ」
李衣菜「もう……」
P「なぁ、李衣菜」カタカタ
李衣菜「なんですかー?」
P「ソファーに寝転がってるなら、ちょっと麦茶持ってきてくれよ」
李衣菜「えー。今忙しいですー」ゴロゴロー
4:2013/06/09(日) 20:22:38.62 :ip/6wiZRo
P「そう言うと思ったよ……」スタスタ
李衣菜「あ、私にもくださーい」
P「ホット麦茶ってロックだと思う」ガチャリ
李衣菜「あぁーいやですー」
P「冗談、冗談。氷は?」コポコポ
李衣菜「3つー」
P「……6つじゃないのか」
李衣菜「なんでですー? それだと多いですよー」
P「ロックだから6……いや、なんでもない」ポチャンポチャン
李衣菜「んー?」
5:2013/06/09(日) 20:23:37.66 :ip/6wiZRo
P「お待たせ」
李衣菜「どーもですっ」
P「ほら、起きて俺も座らせてくれ。まさか横になったまま飲む気か?」
李衣菜「起こしてほしいなー」
P「杏かお前は……」
李衣菜「自堕落ってロックじゃありません?」
P「いらないなら二つとも俺が飲むぞ」
李衣菜「あぁっ、嘘です起きますっ」ガバッ
6:2013/06/09(日) 20:24:40.26 :ip/6wiZRo
P「まったく、女子高生がだらしない……隣座るぞ」ポフン
李衣菜「はい、どうぞ……いやぁ、事務所に来るとつい気が緩んじゃって。えへへ」
P「お前、夕方からレッスンだろう? 先に行って自主練でもしてれば……」
李衣菜「んー、やっぱりこうやってのんびりするのも必要だと思うんです」
P「なにをいっちょ前に。……ま、たまには充電もいるか」
李衣菜「ですよね! それじゃ乾杯ですっ」
P「ほいほい」
かちんっ
7:2013/06/09(日) 20:25:48.54 :ip/6wiZRo
李衣菜「んく、んく……ぷはっ、おいしー♪」
P「ごくごく……うん、冷たいし最高だな」
李衣菜「もう夏ですねー」
P「だなー。早いもんだ……」
李衣菜「でも感傷に浸ってる暇はありませんよっ、時間は待ってくれませんから!」
P「なら自主練行けよなー」
李衣菜「……時には振り返ることも大事ですよねっ」
P「おいこら」
8:2013/06/09(日) 20:26:57.21 :ip/6wiZRo
李衣菜「ほ、ほら! よく言うじゃないですか、ロックとは振り返ることだって!」
P「言わねーよ。聞いたことないぞ」
李衣菜「ろ、ロックアイドル多田李衣菜の名言が、今ここに誕生したのだ!」
P「李衣菜はバカだなぁ」
李衣菜「ひどい!」
P「あはは」
李衣菜「もー!」
―――
――
―
9:2013/06/09(日) 20:28:10.14 :ip/6wiZRo
P「…………」ボーッ
李衣菜「…………」ボーッ
麦茶「カラン…」
P「空、青いなぁ」
李衣菜「はい……」
P「李衣菜の初ライブの時も、こんな晴れの日だったな」
李衣菜「……そうでしたっけ。覚えてないです」
P「はは、お前緊張してたもんな。うん、今日と変わらない青空だったよ」
李衣菜「そっかぁ……」
10:2013/06/09(日) 20:30:11.78 :ip/6wiZRo
P「…………」グビッ
李衣菜「…………」
P「…………」
李衣菜「…………私は」
P「ん?」
李衣菜「私は……変わったかなぁ」
P「李衣菜は自分でどう思うんだ?」
李衣菜「自分でですか? うーん……」
P「…………」
李衣菜「……よく分かんないです」
P「そっか」
11:2013/06/09(日) 20:31:22.11 :ip/6wiZRo
李衣菜「…………」コクコク
P「…………」
李衣菜「…………」コトッ
P「……俺は、李衣菜は変わってないと思うよ」
李衣菜「……そうですか?」
P「うん、出会った頃からな。見栄っ張りでお調子者で、失敗も多くて……」
李衣菜「マイナス部分ばっかり!?」
12:2013/06/09(日) 20:32:41.30 :ip/6wiZRo
李衣菜「うぅー……」ショボーン
P「でもな」
李衣菜「……なんですかぁ」
P「それでもお前は前向きで……何度つまづいても転んでも、すぐに立ち上がるんだ」
李衣菜「!」
P「少しずつだけど確実に前進してて……そういうところ、カッコいいぞ。李衣菜」
李衣菜「……~~ッ!」プイッ
P「……あれ? 前進してるってことはやっぱり昔とは変わってるのかな?」
李衣菜「…………」カァァァ
13:2013/06/09(日) 20:33:58.34 :ip/6wiZRo
P「まぁスタンスは変わってないし……李衣菜?」
李衣菜「そ、その……ありがとう、ございます」
P「うん? あぁ、思ったこと言っただけだよ」
李衣菜「そうですか……えへへ」
P「……なんだ、もしかして照れてるのか?」
李衣菜「そ、そりゃ照れますよ……いつもはからかって終わりなんですもん」
P「李衣菜は可愛いなぁ」
李衣菜「ほら、そうやって。……もう」クスッ
14:2013/06/09(日) 20:35:30.61 :ip/6wiZRo
P「…………」ゴクゴク
李衣菜「…………」クピクピ
P「…………」
李衣菜「……えへへ。でも嬉しいな」
P「うん?」
李衣菜「プロデューサーがそう思っててくれて……とっても嬉しいです」
李衣菜「プロデューサーが見ててくれるなら私、安心してまっすぐ進めます!」
P「……うん、脇目も振らず突っ走れ。ちゃんと見てるからな!」
李衣菜「えぇ、見ててくださいね!」
15:2013/06/09(日) 20:36:55.01 :ip/6wiZRo
P「よぉし、これからもよろしく頼むぞ、李衣菜」
李衣菜「へへ、もちろんですっ」
P「……一緒に頑張っていこうな」ナデナデ
李衣菜「!」
李衣菜「はいっ!」ニコッ
―――
――
―
16:2013/06/09(日) 20:38:30.78 :ip/6wiZRo
P「さて、そろそろ仕事に戻らないと」
李衣菜「えー、もう少しのんびりしましょうよー」
P「これでも忙しいんだけどな……」
李衣菜「ちょっとくらいいいじゃないですか……って、ん?」
チルルルル…
P「どうした?」
李衣菜「いえ、今ツバメがビルの隙間に……」
17:2013/06/09(日) 20:39:39.48 :ip/6wiZRo
P「ツバメ?」
李衣菜「はい、さっきも見て……窓から見えるかなー」ガラッ
P「どれどれ……って」
ツバメ「チチチッ、チルルルル!」
P「おお!? 巣ができてるじゃんか!」
李衣菜「ホントですかっ? んんーっ、見えないー!」ググッ
18:2013/06/09(日) 20:40:44.09 :ip/6wiZRo
P「あはは、身長足りないか」
李衣菜「むっ、ちっちゃくないです!」
P「はいはい……おー、雛までいるのか」
ツバメ「ゴハンデスヨーチルル」
雛「オナカヘッターチチチー」
李衣菜「雛!? 見たいっ、雛見たいですっ!」ピョンッ ピョンッ
P「あ、こら跳ねるな危ないから!」
李衣菜「で、でもぉ……」
P「はぁ……分かった分かった、見せてやるからちょっと腕広げろ」
19:2013/06/09(日) 20:42:32.84 :ip/6wiZRo
李衣菜「え? なんで……こうですか?」
P「うし、持ち上げるぞー」
李衣菜「えっ、ええ!?」
ぐいっ
李衣菜「おおっ、おおおおお! パワフルですプロデューサー!」
P「軽いなぁお前。どうだ、これで見えるか?」
李衣菜「あ、ぁあんくしゅぐった、うひひへへぇ」クネクネ
P「ぶっ、変な声出すな!」
20:2013/06/09(日) 20:43:41.97 :ip/6wiZRo
李衣菜「だっ、だってぇ!」
P「いいから早く見ろって、ほら!」グイッ
李衣菜「あぁっ! 今胸触ったぁー!」
P「ちょっ、触ってないから! 大声出すなよ、窓全開なんだぞ!?」
ツバメ「チルルルル」
―――ドアの向こう
<ギャーギャー
ちひろ「……まったくもう、事務所でイチャイチャして……ふふっ♪」
―――
李衣菜「プロデューサーのえ◯ちー、あははっ♪」
P「やめてー!」
おわり
21:2013/06/09(日) 20:44:35.75 :ip/6wiZRo
というお話だったのさ
だりーなかわいいロックの日
22:2013/06/09(日) 20:47:18.16 :9zg4Nlp/0
おつおつ
まったりしていい雰囲気
23:2013/06/09(日) 22:29:28.29 :nWnG9hTUO
乙
だりーな可愛い!
元スレ
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