2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 17:58:54.47 ID:lNw1P8GiP
留美(仕事を辞めてしまった……)
ハァ……
留美(あの仕事自体にはもう未練などないけれど)
ウゥ……
留美(平日に何もしないで公園のベンチに座っている私って……)
ハァ……
留美「……」
ハァ……
留美「……ねぇ」
「? 何でしょうか?」
留美「そんなに溜息ついてどうしたのかしら?」
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 17:59:32.02 ID:lNw1P8GiP
「いやぁ、お恥ずかしいんですが仕事でミスをしてしまって……」
留美「ミスくらい誰でもあるわ」
「そうなんですが……大事な案件がダメになったんですよ……」
留美「それはまずいわね。先方には謝りに行ったの?」
「えっと……」
留美「……早く謝りに行かないと取り返しがつかないことになるわよ」
「そう……ですね……」
留美「はぁ……私がついて行ってあげるからさっさと行くわよ」
「えっ……そんな悪いですよ」
留美「そんなこと気にしている状況かしら?」
「……違いますね」
留美「なら行きましょうか。えっと……」
P「あっ、自分はPと申します」
留美「私は和久井留美よ。留美でいいわ。ほら準備しなさい」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:00:11.09 ID:lNw1P8GiP
P「留美さんはすごいですね。これで先方との関係がなくならなくてすみました」
P「本当にありがとうございます」
留美「別にいいわよ。それより……」
P「?」
留美「ミスをしたらすぐ謝ることよ。時間が経ったら取り返しのつかないことになるわ」
P「……その通りです」
留美「日付を間違えたようだけど……手帳には予定を書いておいたの?」
P「一応書いておいたんですが……どこに書いたか分からなくなってしまって……」
留美「それじゃ意味がないわ……どんな書き方してるか見せてくれないかしら?」
P「それはさすがに……」
留美「別に誰かに漏らしたりとかしないわ」
P「……本当ですか?」
留美「本当よ。心配なら誓約書でも書きましょうか?」
P「そこまでは……これです」
留美「……もう少し整理して書いた方がいいわね……」
P「おっしゃる通りです……」
留美「書き方くらいなら教えてあげるわ」
P「本当ですか! 助かります」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:01:36.33 ID:lNw1P8GiP
P「へぇ。だいぶ見やすくなりましたね」
留美「これならミスすることも減るはずよ」
P「ええ。本当になんと言っていいか……」
留美「別に気にしないでいいわ。それより……時間は大丈夫なの?」
P「あ……」
留美「早く行きなさい」
P「そうします。今日は本当にありがとうございました」
留美「次からは気を付けるのよ」
P「はい。……それでは」
留美「えぇ。さようなら」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:02:32.30 ID:lNw1P8GiP
留美(また一人……仕事も話し相手もいないのはつらいわね)
タッタッタッ
P「留美さーん!」
留美「!? どうしたのP君。早く仕事に戻らないと――」
P「留美さんってこの後時間空いていますか?」
留美「……えぇ。暇よ」
P「それは良かった。もしよければついて来てほしいんですが……」
留美「それはどういう意味?」
P「えっと、あなたにお任せしたい仕事があるんです!」
留美「……はぁ」
P「続きは事務所でお話ししますよ」
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:03:16.86 ID:lNw1P8GiP
― 事務所 ―
留美(勢いに押されてついて来てしまったけれど……)
留美(まさか変な仕事ではないでしょうね)
留美(まぁどうでもいいかしら……なるようになれ、ってことね)
ちひろ「どうぞ」
留美「あら、ありがとう」
ちひろ「いいえ」
留美(……芸人の方かしら)
P「お待たせしました。まず初めに……」
留美「何かしら?」
P「今どのようなお仕事をされていますか?」
留美「今は無職よ」
P「あ……すみません。いや、でもその方が都合がいいのか……」ゴニョゴニョ
留美「?」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:04:09.86 ID:lNw1P8GiP
P「前はどのようなお仕事だったんですか」
留美「秘書をやっていたわ」
P「成程。通りで……」
留美「それで、仕事っていうのは事務職なのかしら?」
P「いえ。事務ではなくて留美さんには――」
P「アイドルをやっていただきたいんです。」
留美「……は?」
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:04:53.92 ID:lNw1P8GiP
留美「あなた、ふざけてるの?」
P「ふざけてなんかいませんよ。実はここってアイドル事務所なんですよ」
留美「……」
P「留美さんならきっとトップアイ――」
留美「帰るわ」
P「え? ちょっと待ってください!」
留美「あなたがこういう人だとは思わなかったわ」
P「本当の事ですよ! 僕は嘘なんかついていません!」
P「それなら実際にレッスンしているところでも見ていってください! ね!?」
留美「……はぁ。分かったわ」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:05:46.56 ID:lNw1P8GiP
P「どうです? 信じてもらえましたか?」
留美「一応はね。でも何で私なのかしら? 20後半までいってるのに……」
P「歳なんて関係ないですよ。留美さんが魅力的だからです」
留美「……」
P「あれ? 僕変なこと言いましたか?」
留美「自覚ないのね……いいわ、付き合ってあげる」
P「……! それなら――」
留美「ただし。アイドルがどういう仕事か分からないからあなたに頼るけど……いいかしら?」
P「ええ、任せてください」
留美「よろしくお願いするわ、P君」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:06:46.80 ID:lNw1P8GiP
― 数日後 ―
留美「ちひろさん、お茶よ」
ちひろ「ありがとうございます。留美さん」
留美(正式にアイドルとなったけど……そう簡単に仕事が入るわけでもないわよね)
留美(ここまでしたことといえば……レッスンとお茶くみぐらいかしら……)
留美(本当にこれでいいのかしら?)
P「ただ今戻りました」
ちひろ「おかえりなさいPさん」
留美「お帰りP君。いまお茶を――」
P「留美さん! 仕事持ってきましたよ!」
留美「……私に? 意外とできる人なのね……」
留美「それでどんなお仕事なの?」
P「それはですね――」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:07:26.85 ID:lNw1P8GiP
留美「P君……」
P「何でしょうか? 留美さん」
留美「確かに仕事が欲しいと言ったけれど……」
留美「ウエディングドレスはどうなのかしら」
P「そうですか? 似合ってますよ」
留美「……そう」
留美(こういう人なのね)
P「先方に留美さんの宣材写真を見せたらすぐOKをもらえましたよ」
留美「……それは良かったわ。……P君」
P「どうしよう……緊張してきた……」
留美「……」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:08:18.19 ID:lNw1P8GiP
留美「別にP君が撮られるわけではないのよ?」
P「そうなんですけど……」
留美「……はぁ、しっかりしなさい。あなたはプロデューサーなのよ?」
P「ええ、分かってはいるんですが……どうにも……」
留美「あなたもプロなのだから仕事はしっかりしなさい」
P「はい。でも――」
留美「私に任せなさい。いいわね?」
P「……! 分かりました。よろしくお願いします」
留美「大丈夫よ。すぐ終わらせるわ」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/16(金) 18:08:54.74 ID:lNw1P8GiP
P「お疲れ様です。留美さん」
留美「やっぱり慣れないことは疲れるわね」
P「バッチリでしたよ。先方も喜んでくれていました」
留美「それは良かったわ。それとP君……」
P「はい?」
留美「あまり他の子の前でうろたえない方がいいわよ」
留美「P君がしっかりしなくちゃ他の子も安心できないわ」
P「……そうですよね。気を付けます」
留美「大丈夫よ。P君ならできるようになるから」
P「そうでしょうか……?」
留美「えぇ。何といっても」
留美「私が信頼しているのだから」
おわり