1:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:04:02.07 :wUk4AEmw0
楓「…」
楓「…」
P「?」
P「…楓さん」
楓「?…あ、プロデューサー。こんにちは」ニコ
P「…こんにちは」
P「あと少しで開演です。準備は大丈夫ですか?」
楓「たぶん…」
P「たぶんですか」
楓「はい。…その、…とっても緊張してます」
P「はい」
楓「はい」
楓「だから少し、お話、してくれませんか?」
P「分かりました。少しだけ」
楓「はい、少しだけ…ふふ、ありがとうございます」
・シリーズ
・前々々回:モバP「あらしのまえの」
2:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:07:08.44 :AAPC/H2ro
楓「…」
楓「すごいですね。お客様がたくさんで…あふれちゃいそう」
P「すごいですね」
P「みんな楓さんたちを応援に来てくれた人たちですよ」
楓「はい」
楓「……すごいですな…」
P(緊張が伝わって来るな)
3:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:07:53.09 :wUk4AEmw0
楓「はー…」
楓「…本当に…」
楓「すごく…遠いところまで、来ちゃったなぁって…思います」
P「はい」
楓「後ろを振り向くのが、少し、怖いくらい」
P「…怖い、ですか」
楓「怖いです。とても」
楓「もちろんここまで来れたことは、嬉しいですけど、でも…」
楓「……ふふ。そんなことを言っても、もうしょうがないですね。ショーの前なのに…ふふ…」
P「…一応アイドルのライブですけどね…」
楓「では今度は、高垣楓のばくしょうショー、とか…」
P(自分でハードルをあげるんですか)
P「…『少々』にかかると縁起がよくないので、やめておきましょう」
楓「おお」ナルホド…
4:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:09:00.05 :AAPC/H2ro
楓「…」ニコ
楓「それに、自分がきちんとまっすぐ進んで来れたかどうかなんて、分からないですものね」
P「ええ」
P「いつでもまっすぐ進むことが目的でもないですから」
楓「はい」
楓「私の場合は、とにかく迷子にならないようにと…それは幸い、大丈夫みたいだから…」
P「迷子ですか」クス
楓「はい。迷子は、いやだなーって思います。さみしいですから」
楓「でもちゃんと、プロデューサーと、みんなが手を引いてくれたので、なんとかここまで一緒に来れました」
P「…なんだか、子どもみたいですね」
楓「あ…ひどい。お、大人ですよー」
P「…それは大人のポーズですか」
楓「お、大人のポーズです」
楓「……」ハズカシイ…
P「はは」
5:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:09:57.91 :wUk4AEmw0
P「緊張はほぐれましたか?」
楓「はい。少し…だけ」
楓「プロデューサー」
P「はい」
楓「…私、もう…過去を振り返るのはやめようって、決めたんです」
楓「こ、怖いからだけじゃないですよ」
P「はい」
楓「は、はい。…いまの私には、目標…みたいなものを教えてくれる、」
楓「…私の手を引いてくれる人がいるから。昔の私とは、ちがいます」
P「…はい」
楓「新し楓です」
P「…ちゃんと母音が揃ってますね」
楓「ふふー」エヘヘ
6:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:11:02.77 :AAPC/H2ro
楓「だからプロデューサー」ニコ
楓「これからもきっと、ずっと、私のことを忘れて、置いて行ったりしないでくださいね」
P「…」
楓「…ほら、もう時間」
楓「ね。手、握ってください」
P「…」
P「……」
ギュ
P「…」
楓「…」
楓「…」ニコ
楓「この手をはなさないで」
楓「約束、してくれますか?」
P「…」
P「…はい。はなしません。きっと」
楓「約束」
P「約束」
7:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:11:36.96 :wUk4AEmw0
楓「…ふふ」
楓「ありがとう」
P「…」
P「……この人は、ずるいなぁっ…と、思ったって、言ったら怒りますか?」
楓「…」フルフル
楓「怒りません。私も、ずるいなーって思います」クス
P「ずるいですよね」
楓「ずるいですねー」
8:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:12:25.02 :AAPC/H2ro
楓「自分でもびっくりです。私、いつからこんなに欲張りになったのかな…」
P「…いい感じに言っても、ずるいものはずるいですからね」
楓「うふふ」
P「…」…ハァ
9:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:13:26.91 :wUk4AEmw0
楓「…」
楓「今日は」
楓「いまの、すごく嬉しかった、大切なあなたの声を抱いて、歌います。そしてプロデューサーに、私の気持ちを、もう一度伝えて…」
楓「……きっと後悔はさせませんから」ニコ
P「…」
P「楽しみに、してます。ちょっと胃痛を気にしつつ」
楓「はい。ふふふっ」
10:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:14:25.54 :AAPC/H2ro
比奈「…あ」
比奈「いたいた。二人ともー、もう時間でスよー…あ、まあべつにプロデューサーはいいんでスけど」
P「なにそれひどい」
比奈「いやいや」
楓「ふふっ。じゃあ今日はプロデューサーも一緒にステージに」
P「あがりません」
柚「柚と回る!?」ニパッ
P「回らない」
仁奈「仁奈とキグルミを着るですか!」モフッ
P「着ない」
比奈「比奈と可愛い衣裳を着まス?」
P「着な…なぜ比奈?」
比奈「あ、い、一応流れを汲んでみたっス」テレ
柚「かわいー」
仁奈「かわいいですよー」
楓「可愛いなー」
比奈「え、えへへ。どもども」
11:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:15:01.57 :wUk4AEmw0
比奈「さ、さて。気合も入ったところで、じゃー、行くっスよー」
柚「へへっりょうかい!ぽいぽいっとててっとやっちゃう!」
仁奈「おー。仁奈はもふもふとはね回るですよー!」
P「バラバラじゃねえか」
楓「…」クスクス
楓「…じゃあ私も、行って来ます。プロデューサー」
P「はい。頑張ってください」
楓「…」ニコ
楓「大丈夫です」
12:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:15:37.92 :AAPC/H2ro
楓「ふふ。私もまぜてまぜて…」
柚「おー。今日も四人でたくさんあそぼーっ」
比奈「…いや、ライブでス。これライブ」
仁奈「そうですよっ柚おねーさん違うです!会場のみんなであそぼですよー!!」
柚「あーそかっ。そうだねーにへへっ」
比奈「そ、そこっスか?いや、それもそうでスけど…それもそっか」
楓「うん。そうね」
13:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:16:32.54 :wUk4AEmw0
<オー P「…」 P(…楽しそうだな) 楓「?」 楓「プロデューサーも一緒ですよー」 P「?」 楓「…ここ…私の胸に、ね」 P「…」 P「はい。そう、でしたね」 楓「はい」 14:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:18:10.66 :AAPC/H2ro 楓「それじゃあ」 柚「行って来ますっ」パッ 仁奈「仁奈のことちゃんと見ててくだせー!」モフピョン 比奈「ついでに…余裕があれば私もよろしくっス」 楓「…」ニコ 楓(これからも私は、変わらずに、変わりながら…迷子にならないように、あなたの声を抱いて) 楓(…私は。) 楓「…」 楓「行って来ますね」 P「はい。行ってらっしゃい」 ・・・・おしまい 15:◆qEJgO2U6bM:2014/04/07(月) 16:19:01.08 :wUk4AEmw0 おわりん スレタイは、スピッツの『楓』という曲から歌詞を引いてます。正確には「君の声を」です 元スレ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396854241