1: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:33:12.43 ID:YAPlfFwE0
凛「プロデューサー。それじゃ、また明日ね」
P「ああ。気をつけて帰るんだぞ」
卯月「お疲れ様でした!」
未央「バイバイ、プロデューサー!」
P「おう。2人も気をつけてな」
バタン
P「さてと、俺もぼちぼち帰る準備するか」
楓「あ、プロデューサー。もう帰るんですか?」
P「ええ。やることはやったんで」
楓「なら、一緒に帰りましょう」
P「そうですね」
3: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:36:28.81 ID:YAPlfFwE0
帰り道
P「………」
楓「………」
P「ふう。今日も疲れたな」
楓「ふふっ。兄さんはいつも疲れていますね」
P「大人数のスケジュールを管理するのって大変なんだぞ? しかも全員女性だし」
楓「でも、仕事に充実感は感じているんですよね?」
P「そりゃあな。アイドルのプロデューサーは、一応天職だと思ってる」
P「それでも、身体や精神がこたえるのとは別問題だしな」
楓「愚痴なら聞いてあげますよ。お酒と一緒に」
P「そんなこと言って、理由つけて飲みたいだけじゃないのか?」
楓「あ、ばれちゃいました?」
P「おい」
4: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:38:41.91 ID:YAPlfFwE0
P「まあ、今日は飲みに行ってもいいかな。もうすぐ給料日だし」
楓「現金をもらって元気に……ふふっ」
P「さ、今日はどこの店に行く?」
楓「反応がないと寂しいです……」
女性にしては高身長。すらりとした大人っぽいスタイルから繰り出される寒いギャグ。
彼女――高垣楓は、何を隠そう俺の妹である。年はひとつしか違わないが、間違いなく実妹である。
半年前。アイドルのプロデューサーとして働いていた俺は、モデル業で悩んでいた楓に対して、半ば冗談でアイドルへの転身を勧めてみた。
そうしたら思いのほか食いついてきて、今にいたるというわけだ。
兄妹関係を隠しているわけではないが、一応職場ではアイドルとプロデューサーという関係を前提に接している。
ちなみに、現在は兄妹2人で仲良く同居中。
5: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:41:03.81 ID:YAPlfFwE0
とある日の朝
P「……ぐう」
楓「おはようございまーす……(小声)」ガチャ
P「……すぴー」
楓「起きてますかー……?」
P「……すう」
楓「……ふふっ」スッ
楓「(静かに枕元まで移動して……)」
6: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:42:50.96 ID:YAPlfFwE0
楓「ふう~~っ」
P「ぬわおっ!? な、なんだ!?」
楓「おはようございます、兄さん♪」
P「楓か……お前、何したんだ」
楓「兄さんの耳に息を吹きかけました」
P「理由は」
楓「喜んでもらえるかと思って」
P「びっくりするだけだわ!」
楓「そうですか? 気持ち良かったりとかは?」
P「そんなもん……!」
P「……ちょっとゾクッときた」
楓「素直な兄さんは好きです」
楓「もう一度してあげましょうか」
P「結構です。ほら、さっさと出てけ。着替えるから」
楓「残念」ショボーン
7: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:45:08.14 ID:YAPlfFwE0
朝食中
P「楓」
楓「なんでしょう」
P「お前はもっと兄に対して敬意を持つべきだ」
楓「敬意? いったいどのような経緯でそんなことを」
P「頻繁に行われる今朝のようなイタズラを経験してそう感じた」
楓「乙女のかわいいイタズラですよ?」
P「25にもなって自分を乙女と言うのはどうなんだろうな」
楓「では、少しだけ敬意をもって接してみましょう」
P「おう」
8: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:47:07.45 ID:YAPlfFwE0
楓「……コホン」
楓「さすがはお兄様です」
P「はい?」
楓「この目玉焼き。一切形が崩れていませんし、塩コショウの塩梅も絶妙」
楓「まさに目玉焼きづくりの天才です」
楓「なかなかできることじゃないよ(裏声)」
P「よくわからんが馬鹿にしてないか?」
楓「いいえ。事実おいしいじゃないですか、兄さんの作る目玉焼き」
楓「あと、だし巻き卵もおいしいですよね。おつまみに最適です」
P「食べ物のことばっかりだな……」
P「他にないのか? 顔がかっこいいとかさ」
楓「……え?」
P「真顔でその反応はちょっと悲しくなる」
9: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:49:44.61 ID:YAPlfFwE0
とある休日
楓「2人で並んで買い物だなんて、まるでデートみたいですね」
P「そう思うか?」
楓「兄さんは不満ですか? 私がデートの相手だと」
P「そういうわけじゃないが……今日の買い物リストを朗読してみてくれ」
楓「ええと……マイナスドライバー、洗濯ばさみ、スポンジ、トイレットペーパー、あとは夕食の材料ですね」
P「恋人と一緒に買いに行くにしては所帯じみていると思わないか」
10: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:52:37.44 ID:YAPlfFwE0
楓「なるほど……そうですね。これは夫婦で買いに行くものですね」
P「妹よ。そんなに俺とデートしていることにしたいのか」
楓「あら。私は兄さんとなら結婚してもいいと思っていますよ?」
P「嘘だろ」
楓「はい。でも、今日は甘えたい気分なので」ギュッ
P「お、おい。さすがにアイドルが街中で腕をからめるのは」
楓「大丈夫ですよ。最低限の変装(帽子と眼鏡)はしていますし、たとえバレても兄妹同士のスキンシップです」
11: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:55:12.70 ID:YAPlfFwE0
P「まったく……」
楓「悪い気分ではないでしょう?」ニコニコ
P「……まあ、見た目だけなら美人が相手だからな」
楓「む。なんだか引っかかる言い方ですね」
P「中身が激寒ダジャレお姉さんじゃなければなあ」
楓「そんなこと言う人には……えいっ。こちょこちょ~」
P「うおっ!? ば、ばかやめっ、はははっ!」
P「この、お返しだ!」
楓「きゃっ、ふふっ、ちょ、ちょっと兄さん、それやりすぎ、ふふふっ」
12: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 19:58:41.56 ID:YAPlfFwE0
凛「………」←たまたま近場にいた
凛「休日の街中で何やってんの、あのふたり……」
13: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:02:24.50 ID:YAPlfFwE0
とある日の夜
美優「どうも、お邪魔します」
P「どうぞどうぞ。狭い部屋ですけど」
楓「今日は3人で宅飲みですね」
楓「ここでならいくらでも酔い潰れて大丈夫なので、遠慮なく飲みましょう」
美優「いえいえ、さすがに潰れるまでは飲まないようにします」
14: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:05:12.91 ID:YAPlfFwE0
楓「迷惑とか、気にしなくてもいいんですよ?」
美優「……Pさんに、はしたないところを見せたくないので……」ボソリ
P「さて、早速酒を用意っと……あれ、美優さんどうかしましたか?」
美優「い、いえっ……! なんでもないですから……!」
楓「………」
楓「兄さん、兄さん」チョンチョン
P「ん?」
楓「今日のお酒、強いのを選んでください」ゴニョゴニョ
P「いいけど、どうして」
楓「ひょっとすると、美優さんの本音が聞けるかもしれないので」
15: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:11:25.55 ID:YAPlfFwE0
しばらく経って
楓「うーん……あぅ~」グッタリ
P「あんなこと言ってたくせに、自分が先に潰れるのか……」
美優「結構ハイペースで飲んでられましたから……」
17: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:12:37.75 ID:YAPlfFwE0
美優「でも、珍しいですね……普段なら、楓さんが一番アルコールに強いのに」
P「ああ、店で飲む時はそうですね。でもこいつ、うちで飲む時は大抵先に潰れるんです」
美優「そうなんですか? へえ……こちらで飲むのは初めてなので、知りませんでした」
楓「……すう」
P「おっと、ついに眠り出した」
P「とりあえず、毛布でもかけておこう」
18: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:14:02.56 ID:YAPlfFwE0
美優「………」チビチビ
P「どうしました? そんなに遠慮せず、もっと飲んでいいですよ」
美優「いえ、その……楓さんが寝てしまったので、ふたりきりだなって、思いまして……」
P「そういえば、美優さんとふたりで飲むっていうのは初めてですかね」
美優「はい……」
美優「あの、Pさん」
P「なんですか」
美優「わ、私達……同い年ですよね」
P「ええ、そうですけど。それがなにか」
美優「えっと……まあ、それはあまり関係ないんですけれども」
P「関係ないんですか」
20: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:16:10.50 ID:YAPlfFwE0
美優「その……私、Pさんのことが、その――」
ガシッ
P「ん?」
楓「………」ジー
P「なんだ楓、起きたのか。寝るんなら自分の部屋に」
楓「おんぶ」
P・美優「えっ」
楓「兄さん。おんぶして連れてって」トロン
21: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:19:03.19 ID:YAPlfFwE0
P「あー、またいつものが出たな」
美優「いつもの?」
P「こいつ、家で酔い潰れると子供みたいに甘えてくるんですよ。普段の数倍レベルで」
楓「ねー、いいでしょう? いっつもしてくれてるんだから……ね?」ギュー
P「わ、いきなり抱きつくなっ。まったく、なんでお前はうちで飲むといつもそうなるんだ?」
楓「だって、私と兄さんの家だもの……落ち着きすぎて、つい酔いに負けちゃうの」ダキッ
楓「ほら、はやくぅ」
22: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:20:03.85 ID:YAPlfFwE0
P「今日は我慢しろ。美優さん来てるんだから」
楓「……みゆさん?」
楓「………あ」
P「お前、酔って美優さんの存在忘れてたな?」
楓「……ええと、その」
楓「お、お見苦しいところをお見せしまして」
美優「うふふ、いいんですよ。楓さんのかわいらしい一面も見られましたから」
楓「さ、さすがに恥ずかしいです……」
P「楓のうろたえる姿は珍しいな」
23: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:20:43.83 ID:YAPlfFwE0
飲み会も終わって
美優「すみません。泊まらせていただくことになってしまって……」
P「問題ないですよ。ちょうど空き部屋もありましたし」
P「それじゃ、おやすみなさい」
美優「はい。おやすみなさい」
P「さて、美優さんの案内もすんだし」
P「おーい楓。お前も部屋行って早く寝ろよー」
楓「……はあ。今日は失敗しちゃいました」
P「美優さんは他人に言いふらすような人じゃないし、安心していいと思うぞ」
楓「それはそうですけど」
24: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:21:29.05 ID:YAPlfFwE0
楓「………」
P「どうした。ぼーっとして」
楓「兄さん……兄さんは、いつかいい人を見つけて結婚しますよね」
P「……なんだ? 急に」
楓「酔っ払いの話に脈絡はないものです」
P「自分で言うのか……」
25: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:22:05.04 ID:YAPlfFwE0
P「まあ、いつかは結婚したいと思ってる。でも、それは楓も同じだろう」
P「アイドルを引退して、どこかの男と結婚する。そんな日が多分やってくる」
楓「そうですね……でも」
楓「その日が来るまでは、こうして兄さんと一緒にいたいです」
P「……ああ。俺もそう思う」
楓「ふふっ」
楓「それじゃあ、おやすみなさい」
P「おやすみ」
おしまい
28: ◆C2VTzcV58A:2015/06/10(水) 20:27:33.91 ID:YAPlfFwE0
楓さんは成人してるけど25歳児だし、ちょっとくらい妹にしてもバレへんか
短いですがお付き合いいただきありがとうございました
次はおそらく未成年のアイドルを妹として描くと思います
転載元
モバP「俺の妹がこんなに25歳児なわけがない」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433932382/