モバP「まゆからお弁当を貰った」 【渋谷凛SS】

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:19:16.76 :J7uzXIHL0

P「しかも、手作りだぞ。手作り!」

渋谷凛「ふーん、良かったね。いつもはコンビニの出来合いだし」

P「ああ、これでお昼に冷えたメシを食べなくてすむ……」

凛「……お弁当も冷えてるんじゃない?」

P「人のぬくもりがあるんだよ!」

凛「言いたいことはわかるけど……」

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:19:44.29 :J7uzXIHL0

P「ところで、だ。手作りお弁当の差し入れ……これはあるんじゃないか」

凛「事件性?」

P「違う! 愛情、ラブ!」

凛「えー……それはちょっと、考え過ぎでしょ」

P「いやいや、親愛で差し入れるなら、手作りでもお菓子までだろう」

P「しかし、お弁当! これはもう、恋愛以外ありえない!」

凛「普段の感謝って線もあるよ。自分の分を作るついでなら、手間もないし」

P「さっきから水を差してくるな」

凛「客観的に意見を述べてるだけ」

P「ありすみたいなことを言って」

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:20:11.73 :J7uzXIHL0

P「なら、中身を見てみよう。そうすればはっきりするはずだ」

凛「真犯人?」

P「どうしても警察を介入させたいようだな」

P「いいか、俺はまゆに自分の好物を話したことがある」

凛「……図々しい」

P「待て待て! 誤解だ。作ってもらおうと、俺から話したんじゃなくて、まゆから訊いてきたんだ」

P「ともかく、まゆは俺の好物を知ってる。それがこのお弁当に反映されていれば……」

凛「ついでじゃなくて、しっかり手間をかけて作ってある?」

P「その通り! つまりは愛情の証拠になるわけだ」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:20:46.96 :J7uzXIHL0

P「それでは、いざ、ご開帳!」

パカッ

P「から揚げ、ハンバーグ、きのこ炒め、煮玉子」

凛(茶色い)

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:21:15.00 :J7uzXIHL0

P「――まさしく、俺の好物!」

凛「……ご飯にでんぶでハートマーク」

P「愛情だよなぁ!?」

凛「これは……そうかも」

P「ははは、いやぁ、照れるなぁ!」

凛「でも、浮かれてていいの?」

P「え?」

凛「アイドルとプロデューサーでしょ」

P「俺と凛?」

凛「まゆとプロデューサー」

P「……そうだった」

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:21:47.55 :J7uzXIHL0

P「うわぁ、どうしよう……スキャンダルだよ」

凛「プロデューサーって、浮き沈みが激しいよね」

P「このお弁当、もはや告白だよな? 俺、なにかしら答えなきゃ駄目だよな?」

P「ええ……告白の断り方とか知らないよ……。いや、だからって付き合うのは」

凛「プロデューサー」

P「いや、別に嫌いじゃないよ。良い子だし。でも、歳とか、その前にアイドルだし」

凛「まだ告白って決まったわけじゃないから」

P「本当か!?」

凛「本当に、浮き沈みが激しいよね」

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:22:14.66 :J7uzXIHL0

P「俺の気分じゃない。今は告白かどうかが大事だ」

凛「……お弁当の理由が、愛情かは分からないから」

P「え、いや、さっきはっきりしただろう」

凛「もしかしたら、まゆも同じ内容のお弁当を持ってるかも」

P「なるほど。まゆがお昼に食べたいものが、偶然俺の好物だったかもしれないのか!」

P「なんなら、まゆが気遣って、俺に合わせてくれたのかもしれないし」

P「ハートマークは、でんぶが余ったから使ったのかもしれない」

P「というか、そもそも渡すお弁当を間違えたのかもしれない」

P「本当は別に本命の相手がいたのかも――」

凛「きりがないからやめて」

P「はい」

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:22:43.54 :J7uzXIHL0

凛「結局、お弁当の真意はまゆにしか分からないし、気にしなくていいんじゃないかな」

P「ううむ、それもそうか! ……実際、変に勘ぐったらまゆにも迷惑だしな」

凛「そうそう。気にせず、お昼に食べればいいよ」

P「よしよし、お昼が楽しみだなぁ!」

昼時

P「ふふふ、ようやく昼休憩だ。まゆの手作りお弁当を……」

「あれー、まゆちゃん。今日はお弁当じゃないの?」

P「ん?」もぐもぐ

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:23:12.17 :J7uzXIHL0

佐久間まゆ「はい。今日はちょっと、時間がなかったから」

「寝坊した?」

まゆ「いえ、ちょっと……お弁当にこだわってしまって。うふ」

「えー、お弁当がないのに?」

まゆ「まゆの分じゃありませんからぁ」

「え、もしかして……まゆちゃんってば、大胆なんだ!」

まゆ「うふふ」

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:23:40.40 :J7uzXIHL0

P「凛、凛はいるか!」

凛「……ご飯食べてる途中なんだけど」

P「すまん。だが、緊急事態だ!」

凛「とうとう捕まるの?」

P「凛は俺をどう認識してるんだ!?」

凛「十六歳のお弁当で騒ぐ□リコン」

P「反論がしづらい……あ、そうだ。そのお弁当!」

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:24:58.77 :J7uzXIHL0

P「あのお弁当、ついでじゃなかったんだよ!」

凛「どういうこと?」

P「まゆは自分のお弁当を作れないくらい、俺のお弁当に集中したらしいんだ」

P「こうなると、気にせずにはいらない。あのお弁当は愛情か?」

凛「それは……愛情かも」

P「だろう!? どうしよう、俺はもう、引退ライブの計画を立てた方がいいのか!?」

凛「プロデューサーって、意外と乗り気だよね」

P「できれば避けたいけど、まゆって可愛いし、良い子だし……」

凛「ふーん。プロデューサーはそれでいいの?」

P「え」

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:25:28.60 :J7uzXIHL0

凛「軽い気持ちでまゆを受け入れていいの?」

P「それは――いや、駄目だ」

P「俺はまゆの傍にいたいんじゃない。裏で支えてやりたいだけだ」

P「それも一番近くじゃない。プロデューサーとして、一人のファンとして、アイドルのまゆを支えたい」

凛「……よかった。それじゃあ、すべきことは分かるよね?」

P「ああ、ありがとうな。凛」

まゆ「まゆがどうかしましたかぁ?」

P「あああああああ!」

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:25:55.11 :J7uzXIHL0

まゆ「す、すみません。プロデューサーさんを驚かせるつもりはなかったんですよぉ……?」

まゆ「ただ、用事があって。その時、まゆを呼んでくれていたようでしたから……うふ」

P「い、いや、その、だな。あの、えっと」

凛「プロデューサー」

P「ん! まゆ、お弁当のことなんだが」

まゆ「はい。お口に合いましたかぁ?」

P「え、ああ、美味かったぞ。俺の好物ばかりだったし、嬉しかった」

まゆ「うふ、良かったです。プロデューサーさんのために作りましたから……」

P「そ、それはつまり」

まゆ「ええ、プロデューサーさんのことを想って」

P「――まゆ、そのことだが」

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:26:32.53 :J7uzXIHL0

まゆ「そうだ、輝子ちゃんはいますかぁ?」

P「え……し、輝子?」

まゆ「はい。輝子ちゃんにもお弁当を作ってきたので、探してるんですけど」

P「ん、んん?」

凛「輝子なら、今はレッスン終わりでロッカールームにいると思うよ」

まゆ「あら、そうなんですか。ありがとう、凛ちゃん」

P「えーっと、まゆ。お弁当は、俺だけに作ったわけじゃ……?」

まゆ「そうですよぉ? 輝子ちゃんにはきのこを貰ったので、そのお礼」

P「あ、あー……そうなの。あは、あはは!」

P「二つも作れば、そりゃ時間がかかるよな。うん!」

まゆ「はい。まゆ、プロデューサーさんのために、しっかり作りましたからぁ……」

P「はっはっは、輝子のためでもあるだろう? まゆは良い子だなぁ」

まゆ「……はい。それでは、まゆはもう行きますね。休憩が終わるまでに、輝子ちゃんに渡さなきゃ」

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:27:20.58 :J7uzXIHL0

凛「一件落着、だね」

P「……ああ」

凛「……なんで落ち込んでるの?」

P「いや、何もないなら、それはそれでがっかりというか」

凛「□リコン」

P「いやいや、そうじゃなくて。そもそも、女子高生は□リじゃないって!」

凛「ふーん……じゃあ、恋愛対象なんだ?」

P「え、いや、あはは! お仕事しなくちゃ!」

凛「……まったく」

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:28:31.67 :J7uzXIHL0

次の日

P「昨日のまゆのお弁当、美味かったなぁ」

P「今日はコンビニで買うか。はぁ……」

凛「プロデューサー」

P「おお、凛。おはよう」

凛「うん、おはよう。……これ」

P「おお? なんだかほのかに温かいな。なんだ?」

凛「お弁当」

P「え?」

凛「プロデューサーが好きな物、作ったから」

凛「あと、その……でんぶで、ハートマークも」

P「凛」

凛「感想……感想を、聞かせてね。それじゃ、レッスンあるから」

P「え、おい、ちょっと……」

P「……顔を真っ赤にして、手作りお弁当を渡す……これは、あるか?」

P「――誰か、誰かいるか!?」

                              おわり

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:29:57.46 :J7uzXIHL0

おまけ

P「お、輝子。まゆのお弁当はどうだった?」

輝子「ああ、Pもまゆさんから貰ったんだよな……ふひひ」

輝子「美味しかった……きのこも、良い具合で」

P「だよな! 味もそうだが、見た目もでんぶでハートマークとか、なかなか凝ってたしな」

輝子「ハート……? なかったと思うけど……」

P「え?」

P「え!?」

           おわり

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/28(月) 18:30:49.11 :J7uzXIHL0

以上です。

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