1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:04:00.07 ID:iBMlq8ns0
―――ある夜・765プロ事務所―――
千早「……」ペラッ
伊織「……」ブツブツ
伊織(私と千早の二人きりだと、あまり会話はないわね…)
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:05:19.96 ID:iBMlq8ns0
伊織「ね、ねぇ千早、アンタは何でこんな時間まで残ってるの? そのスケジュール表も何度も見返してるみたいだけど…」
千早「あなたと同じ理由よ、水瀬さん」ペラッ
伊織「えっ!? ちょっと、それどういう意味よ!?」ドキッ
千早「あなたと同じように、私も高槻さんが事務所に帰るのが遅いと思って、心配して待っているの」ペラッ
伊織「!? な、ななな何言ってるの、私はこうやって台本の読み込みをしてるだけで、やよいのことなんて……考えてもいなかったわよ!!」
千早「そう、じゃあ私の勘違いだったみたいね」
伊織(まったく千早は何言ってるのかしら! 確かに今日はまだやよいに会ってないから、帰りくらい待ってあげて、ついでに車で家まで送ってやってもいいかしら、とはほんの少しだけ思ってたけど… それはあくまで慈悲の心で情けをかけてあげようと思っただけであって…)
ガチャ
やよい「ただいま帰りましたー!」
伊織・千早「!!」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:06:22.17 ID:iBMlq8ns0
千早「お帰りなさい、高槻さん」
伊織「………お帰り」ブツブツ
伊織(やっと帰ってきたわね… この伊織ちゃんを待たせるなんて100年早い…って、別に待ってないけど!!)ブンブン
やよい「あれっ?事務所、千早さんと伊織ちゃんだけなんですかー?」
千早「ええ、みんなはもう帰ってしまったし、音無さんは仕事で少し外に出ているわ」
やよい「そうなんですかー!」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:07:29.28 ID:iBMlq8ns0
千早「高槻さん、今日はかなり遅い時間まで仕事が入っていたのね」
やよい「はい!今日はお父さんもお母さんも仕事が早く終わる日だったので、家の仕事はお休みして、営業の後でプロデューサーに今度のライブのダンスをおさらいしてもらってたんですー!」
伊織(あの無能プロデューサー…こんな時間までレッスンだなんて、教え方が悪いに決まってるわ!)
千早「それは大変だったわね、お疲れ様」
やよい「ありがとうございます! ぜーったい、ライブ成功させなきゃですもんねー!」
千早「そうね、みんなで頑張りましょう」ニコッ
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:08:28.84 ID:iBMlq8ns0
ガタッ
伊織「あーーもう! こんなの覚えられないわよ!!」バシーン
やよい「!! 伊織ちゃん、どうしたのー!?」
千早「水瀬さんは、今度竜宮小町で出演するドラマの台本を覚えるために事務所に居残りしてるのよ」
伊織「一週間でこんな量なんて、無理に決まってるわ! このスーパーアイドル水瀬伊織ちゃんにも、限界ってもんはあるのよ!」
やよい「うー…伊織ちゃん、荒れてます―…」オロオロ
千早「だいぶ煮詰まってるみたいだし、今日はそれまでにしておいたほうがいいんじゃないかしら?」
伊織「……そうね、じゃあ今日はもう帰って、お風呂ででもゆっくり台本を読み込むとするわ」
千早「それが賢明ね」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:09:44.44 ID:iBMlq8ns0
伊織「じゃあ、私は帰るんだけど…その、えっと… やよい、あんたも一緒に…」モジモジ
やよい「……あの! お風呂で思い出したんですけど…」
伊織「!? ど、どうかしたの、やよい?」
伊織(もう! せっかくのタイミングだったのに何を言い出すのよ、この子は!)
やよい「私、今日はいーっぱい汗をかいたから、ちょっと汗臭かったかも…です。 ごめんなさい、千早さん、伊織ちゃん!」
千早・伊織「!?」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:11:07.86 ID:iBMlq8ns0
伊織「な、何言ってるのよ! そんなこと全然ないわよ!」アセアセ
千早「そうよ、高槻さんが汗臭いなんてあるはずがないわ」
伊織(なんてまっすぐな眼で…!)
やよい「うー、でもでも…」ウルウル
千早「それに、汗をかいたのは高槻さんが一生懸命レッスンを頑張った証拠でしょう? だったら、恥ずかしがることなんてないわ」ニコッ
やよい「…! うっうー!! なんかジーンときちゃいました! ありがとうございますーっ!!」ガルーン
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:12:11.00 ID:iBMlq8ns0
伊織(…いつ見ても、千早のやよいに対する優しさは異常ね)
千早「じゃあ、高槻さんも早くお風呂に…あっ」
伊織(やよいを可愛がる気持ちはわかるんだけど、千早って何をするか予測できないところがあるから…)
千早「ふふっ、いいことを思いついたわ」
伊織(私がちゃんとやよいを見ててあげなきゃダメね! まったく、やよいは世話がかかるんだから…)
千早「高槻さん、一緒に銭湯に行きましょう」伊織「ちょっと!」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:13:49.48 ID:iBMlq8ns0
伊織「私が決心を固めているそばで早速何を言ってるのよ! もう!!」
千早「水瀬さん、一体何の話かしら?」
やよい「せん…とう…? 千早さん、せんとうって何ですかー?」
千早「銭湯というのは、お金を払えば誰でも利用できる、とっても大きなお風呂のことよ」
やよい「えっ! 大きなお風呂って、この前事務所のみんなで海に行ったときに泊まった旅館のお風呂くらいですかー!?」
千早「銭湯によってはもっともっと広いところもあるわね」
やよい「えーーーっ!!! 行ってみたいですー!」キラキラ
伊織(10人や20人くらい、普通のお風呂なら入れるでしょ!)
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:15:10.92 ID:iBMlq8ns0
千早「私はあずささんとよく事務所の近所の銭湯に行くのだけど、ここから車で10分くらいのところに新しくて大きな銭湯ができたらしくて、興味があったのよね」
千早「着替えならレッスン用の一式が事務所に置いてあるし、ソープ類やタオルも銭湯で買えるから問題ないわ」
やよい「私、銭湯行ってみたいです! 千早さん!」キラキラ
伊織(うまくやよいを取り込んだわね、千早…! やよいとお風呂だなんて…その魂胆は見え見えなんだから!)
千早「じゃあ行きましょう、今タクシーを呼ぶわね。 水瀬さん、悪いけどお先に失礼するわ」
伊織「ちょちょちょっと!! 待ちなさいよ!! 何で私は帰宅の流れなのよ!!」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:17:07.34 ID:iBMlq8ns0
千早「えっ、だってさっき帰るって言っていたじゃない」
伊織「うっ…そ、それでもちょっとは誘ってみるもんでしょうが!」
千早「あら、じゃあ水瀬さんも銭湯に行きたいってこと?」
伊織「そそそそんなわけないでしょ!! でも、しょ、庶民の文化の知識も人の上に立つ者には必要な教養だってお父様が…」ブツブツ
千早「はいはい、じゃあ三人で行きましょう。 高槻さんもその方がいいわよね?」
やよい「もっちろんですー! うっうー! とーっても楽しみだね、伊織ちゃん♪」
伊織「もう、しょうがないわね… 今回だけは、この伊織ちゃんも付き合ってあげるわ! 感謝しなさいよねっ!」フンッ
伊織(銭湯でのいろいろな危険、とりわけ千早の魔の手からやよいを守るためには仕方ないわ! そう、これは仕方のないこと!断じてやよいとのお風呂に惹かれたわけではないんだから!)
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:20:53.55 ID:iBMlq8ns0
伊織「じゃあ、今から新堂に迎えに来てもらうからそれで行きましょ。 小鳥が帰ってきたら出発するわよ!」
やよい「はーーい!!みんなで銭湯ですーーっ!!」
―――しばらく後・水瀬家送迎用車内―――
やよい「このイス、すっごくふかふかで座り心地がいいですー! ねっ、伊織ちゃん!」
伊織「そうかしら? これが私の普通だから、あまりよくわからないわ」
千早「新堂さん、本当にありがとうございます。 運転もですし、まさかお風呂セットや着替えの用意まで…」
新堂「いえいえ、お嬢様のご友人のお役に立てて光栄でございます。 それにお着替えなどの準備はお嬢様が詳しく指示を…」
伊織「ちょっと新堂! 余計なこと言わずに黙って運転してなさいよ!!」アセアセ
伊織(事務所のみんながいつウチに泊まりに来てもいいように、全員分のパジャマを用意してたなんてバレたら…… 考えただけで恥ずかしいわ!)
伊織(ウチに誰かが泊まりに来る予定もないのに、私としたことが何考えてたのかしら…馬鹿ね)
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:22:45.03 ID:iBMlq8ns0
やよい「それにしても、小鳥さんもすっごく行きたがってましたねー…」
千早「ええ、仕事さえなければ一緒に行けたのだけれど…残念ね」
伊織「そ、そうね… 残念だわ…」
伊織(小鳥なんて、765プロで頭一つ抜けた危険人物じゃない… とっても手に負えないわよ!)
新堂「皆様、そろそろお着きですよ」
やよい「うわーー! おっきいですね、千早さん!」
千早「そうね、最近の銭湯は規模が大きいとは聞いていたけれど、やっぱり私の行きつけの銭湯とは全く別物ね」
伊織「『わっほい温泉』…なんだか気の抜ける名前の銭湯ね…」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:24:47.47 ID:iBMlq8ns0
キキッ
ガチャッ
新堂「では、いってらっしゃいませお嬢様方」
伊織「ありがとう新堂、あなたもお風呂に入っていてもいいのよ?」
新堂「とんでもありません、勤務中でございますから」
伊織「そ、じゃあ待ってなさい。 頼んだわよ」
新堂「かしこまりました、お嬢様」
新堂(あのお嬢様が銭湯に行きたいから車を出せとおっしゃる日が来るとは… 人と出会い、人は変わっていくものですね)
新堂(そして、お嬢様はよいご友人と出会われたようです)
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:26:59.73 ID:iBMlq8ns0
ウィーン
やよい「一番乗りですー! はわっ、いきなりお風呂っぽくないかもー!」
千早「入口すぐのスペースでは、お風呂から上がった人が食事やマッサージが楽しめるようになっているのね」
番台「いらっしゃい! お嬢ちゃんたち、お風呂に入りに来たんだね?」
やよい「はい! おーーっきなお風呂楽しみですーーっ!」
番台「そうかい、楽しんでおいで。 入湯料は小学生は200円、中学生以上は500円だよ」
伊織「ちょっと!! この三人の誰が小学生に見えたか言ってみなさいよ!! 答え次第では許さないんだから!!」
千早「全員中学生以上です、はい1500円」サッ
番台「毎度あり、はいこれタオルねー」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:28:28.48 ID:iBMlq8ns0
やよい「あの、千早さん…お金は……」
千早「私が誘ったんだもの、これくらい気にしないで。 さあ行きましょう」ニコッ
やよい「あ、ありがとうございますーっ!! うっうー、千早さん大好きですー!」ガルーン
千早「ふふっ、私も大好きよ、高槻さん」ニコッ
伊織(な、なんなのよこの空気!! 500円ぽっちでこんなにやよいの心をつかむなんて卑怯だわ!……じゃなくて!)モヤモヤ
千早「水瀬さん、どうかしたの? ほら、行きましょう」
伊織「わ、わかってるわよ!」アセアセ
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:29:54.12 ID:iBMlq8ns0
―――脱衣所―――
千早「二人とも、ここで服を脱いでロッカーに入れておくのよ」
やよい「はわっ、やっぱり他のお客さんもいるんですねー! ちょっと恥ずかしいかも…えへへー」
伊織「女しかいないんだから恥ずかしいことなんてないわよ」シュル
千早「そうね、慣れればどうということはないわ」バサッ
伊織(千早…ためらいもなく普通に脱いでいくわね…海に行ったときは水着になるのも嫌がっていたのに…)
伊織(やはりこの三人であれば大差はないから気にしないということなのかしら…でも…)
伊織(この中で最年長なのに最小という事実はどう受け入れているのかしら…)
千早「水瀬さん、私はそんなこと気にしてはいないわよ」
伊織「!?!?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:33:20.87 ID:iBMlq8ns0
やよい「? 何の話ですか、千早さん?」キョトン
千早「何でもないわ、高槻さん。 さあ、行きましょうか」
やよい「はい! うわーっ、千早さん…色白で細くて、なんだか妖精さんみたいかも!」
千早「もう、高槻さんったら…恥ずかしいわ」
伊織(完全に心を読まれていた… 千早、あなたは一体…)ガクガク
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:34:35.79 ID:iBMlq8ns0
―――浴場―――
ガラッ
やよい「うわーーーっ! ねえねえ伊織ちゃん、すっごく広いよ!!」
伊織「そ、そうね…うちの本邸のお風呂の半分くらいの広さね…」
千早「この銭湯は、お風呂の種類の豊富さがウリみたいね」
伊織「ふーん、まあそれなりには楽しめそうね。 早速入りましょ」千早「水瀬さん、それはルール違反だわ」ガシッ
伊織「ひっ!!」ビクゥ
千早「銭湯は、利用する人みんなが楽しめるようにルールがあるの。 湯船に浸かる前に体を洗うことも、その一つよ」
伊織「そ…そうね、失念していたわ… ごめんなさい」ドキドキ
千早「わかってくれたらいいのよ」ニコッ
伊織(こ…殺されるかと思ったわ……)
やよい「それじゃあ、みんなで背中の流しっこしましょー!!」
伊織・千早「!!!」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:37:48.99 ID:iBMlq8ns0
やよい「私、家だと弟たちの体を洗ってあげたりしてるので、とーーっても上手なんですよー!」
伊織「で…でも、別に私たちが洗いっこをする必要は…」モジモジ
千早「ふふっ、面白そうね。 ぜひやりましょう」
伊織(! そうよ、千早の好きなようにさせてはいけない!)
伊織「じゃあやよい、私の背中を流しなさい! どのくらいのウデか見てあげるわ!」
やよい「よーし! 頑張るよ、伊織ちゃん!」
伊織「そして千早! あんたの背中は私が流してあげるから、前に座りなさい!」
伊織(よし! これで千早の毒牙からやよいを…って、あれ??)
千早「それじゃあ、後で私が高槻さんの背中を流してあげるわね」
やよい「はい!お願いしますー!」
伊織(しまったあああ!!! 一番オイシイ役…じゃなくてアブナイ役を千早に渡してしまったわ!)
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:40:18.27 ID:iBMlq8ns0
やよい「よーし、いっくよー! えいっ!」ゴシゴシ
伊織「ひゃっ!? ちょ、ちょっと、やよい~!」ジタバタ
伊織(小さいころ、お風呂係のメイドに背中を流してもらったことくらいあるけど…やよいの手は小さいから、なんだか初めての感触でくすぐったいわ!)
やよい「こら! ジッとしなきゃダメでしょ、伊織! なーんちゃって♪ 普段の自分のマネしちゃいましたー!」ゴシゴシ
伊織(!?!?)
伊織(か、可愛すぎるわ…)ポー
千早「水瀬さん、私も洗って欲しいのだけれど」
伊織「!! い、今洗うわ! この伊織ちゃんに奉仕させるなんて、身に余る光栄と思いなさい!」ゴシゴシゴシゴシ
千早「出来れば、もう少し弱めでお願いしたいのだけれど」
伊織(こうしてじっくりと見てみると、千早ってホントに華奢で作り物みたいね…)ゴシゴシ
伊織(肌も真っ白だし、妖精みたいっていうやよいの言葉もわかる気がするわ…)ゴシゴシ
千早「水瀬さん、もういいわありがとう」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:41:51.20 ID:iBMlq8ns0
やよい「はい! 終わったよ伊織ちゃん! 上手だったでしょー?」ニコニコ
伊織「あっ、ありがと… 確かになかなかのテクニックだったわ!」
千早「じゃあ、高槻さんの背中は私が洗うわね」
やよい「は、はい! お願いします! 家では洗ってあげるばっかりだから、なんだか照れくさいかも…えへへー」
伊織(ああ、なんてこと… やよいの背中が千早の好きにされるのを黙って見ることしかできないなんて…!)
千早「高槻さんの背中、綺麗ね… 天使の羽が生えていても不思議じゃないくらい」ゴシゴシ
伊織(いいこと言うじゃない千早!! そこ代わりなさい!!)
やよい「気持ちいいです、千早さん♪ 弟たちの気持ちもわかったかなーって!」
千早「そう、よかったわ。 ふふっ、じゃあ今は私が高槻さんのお姉さんみたいね」ゴシゴシ
やよい「うっうー!! 千早お姉ちゃんは優しくて大好きですーっ!」
千早「あらあら、やよいは甘えんぼさんね」ゴシゴシ
伊織(何なのよこの空気は!! この伊織ちゃんを差し置いて~!!)ギリギリ
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:43:11.00 ID:iBMlq8ns0
千早「さあ、体も洗い終わったことだし、あとはゆっくりお風呂を楽しみましょう」
やよい「はいー! あっ! このお風呂、色がとっても綺麗ですー!」
伊織「【ラベンダー風呂】だって。あら、なかなかいい香りじゃない♪」チャポ
千早「ふぅ… やっぱり、家で入るお風呂とは解放感が違うわね。家ではなかなか足も伸ばせないもの」
やよい「ゆったりできて気持ちいいね、伊織ちゃん!」
伊織「……そうね」
伊織(広さに関してはもうコメントを差し控えたほうがよさそうね)
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:43:58.71 ID:iBMlq8ns0
伊織「このお風呂…【電気風呂】? どういう意味かしら?」
やよい「はわっ! ひょっとして、お風呂の中で電気がビリビリ―ってなってるんじゃ…」ブルブル
伊織「馬鹿ね、そんなことして何の意味があるっていうのよ。 入ってみれば意味がわか…」チャポ
伊織「るっ!!!」ビリビリ
やよい「伊織ちゃん!?」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:45:15.11 ID:iBMlq8ns0
伊織「な、何よこれ…!! 湯船の中で漏電してるわ! 責任者を呼びなさい、訴訟も辞さないわよ!!」
千早「ふふっ…ふふふ…」プルプル
伊織「ちょっと千早! 何笑ってるのよ!!」
千早「水瀬さん、言うのが遅くてごめんなさい。この電気風呂はね、その名の通り電気が流れていて、電気の効果でマッサージしてくれるのよ」
やよい「電気でマッサージなんてはいてくですねー!」
千早「電気風呂は初めはびっくりするから、言おうと思ってたんだけど…ふふっ」プッ
千早「水瀬さんの反応が見たい欲求に駆られてしまって言い出せなかったの、ごめんなさい」プクク
伊織「あんたが謝る気ゼロってのはよーくわかったわ! 表に出なさい!!」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:47:04.35 ID:iBMlq8ns0
千早「というわけで表に出たわ」
伊織「表って、露天風呂じゃないの…」
やよい「露天風呂もあるなんて、びっくりしちゃいましたー!」
千早「ここの露天風呂は、隣の県の源泉を毎朝輸送して使用しているらしいわ。こんな近所で本物の温泉に入れるなんて素晴らしいことね」
やよい「このお湯、ホントの温泉だったんですかー!? どうりで、お肌がなんだかすべすべするって思ってましたー!」
伊織「まったく、さっきの恨みは温泉ぐらいじゃ忘れないんだから… でも、案外いいお湯ね」
ビュービュー
やよい「はわわっ、風が吹くとやっぱり寒いです~」ブルブル
伊織「寒い中あえて熱い温泉に入るってのも贅沢だけど、ちょっと寒すぎるかしらね。そろそろ中に戻りましょ」
千早「そうね。じゃあ次はひたすら温まりましょうか」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:50:32.11 ID:iBMlq8ns0
伊織「で、サウナってわけね」
千早「体も温まるし、老廃物を出して文字通り体を綺麗にできるわよ」
やよい「すっごく汗をかいてきましたー! こうやって汗をかくと、『でらっくす効果』があるんだよね、伊織ちゃん!」
伊織「『デトックス効果』よ…まったくもう」クスッ
伊織(サウナも家にもっといい設備のものがあるけど、一人であんまり入らないから結構久しぶりね…)
伊織「よーし! じゃあ今からサウナ耐久レースよ! 最初に音をあげた方は伊織ちゃんに100%のオレンジジュースを献上しなさい! にひひっ♪」
やよい「もー、それじゃあ伊織ちゃんしか得しないからダメだよー!」
伊織「この私がアンタたちに負けるはずがないからいいのよ! それじゃあスタート!」
やよい「ぜーったい負けないんだから!」
千早「もう、無理しちゃだめよ二人とも」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:54:36.12 ID:iBMlq8ns0
―――15分後―――
やよい「……」ポケー
千早「高槻さん、ちょっとのぼせてるみたいだけど大丈夫?」
やよい「ちはやさん… ちょっと、ぼーっとしてますー… えへへ」ポー
伊織「この伊織ちゃんに食らいつこうとするからそうなるのよ!」ダラダラ
伊織(案外頑張るじゃない、やよい…!)
千早「……。高槻さん、もう出ましょう。スポーツドリンクを買ってくるから、ちょっと待っててね」ガタッ
やよい「くらくらです~」ポー
伊織「! ちょっと、まだ勝負は終わってないわよ!」
千早「勝負なら私の負けでいいわ。水瀬さんもそろそろ無理しないで出なさい。脱水症状を甘く見ちゃだめよ」ガチャ
伊織「ちょっと、千早!! っ……!」
伊織「なんなのよ、もう…」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:55:47.95 ID:iBMlq8ns0
伊織(何やってるのかしら、私…)
伊織(『千早の魔の手からやよいを守る』なんて言って、一人で空回って… 結局、良いところなんて全然見せられなかったわね)
伊織(私も、千早みたいに素直に行動に移せたらよかったのかしら…)
伊織「もう!! このサウナ暑すぎよ!!」ガタッ
伊織(とりあえず、まずはやよいにサウナで無理させてしまったことを謝ろう…)ガチャ
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 16:59:03.80 ID:iBMlq8ns0
ガヤガヤ
子供「うわぁぁぁぁぁん!!」
伊織(なによ、何だか騒がしいわね…って、やよいと千早じゃない!)
母親「ちょっと!! あんたたちもっと誠意をこめて謝れないの!? うちの子がこんなに泣いてるのよ!!?」
やよい「うう~… ごめんなさい…」ジワッ
千早「すみませんでした…。でもその子が勢いよくぶつかってきたから、避けきれなくて…」
母親「またそうやって言い訳するの!? うちの子は怪我してたかもしれないのよ!! もしそうだったらあんたたち責任とれるの!!?」
千早「それは……」
母親「もういい、あんたたちの誠意はよーくわかったわ!! これは警察に解決してもらうしかないようね!!」
千早・やよい「――!」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:01:37.81 ID:iBMlq8ns0
伊織「何が警察よ、馬ッ鹿じゃないの?」
全員「!!!」
やよい「伊織…ちゃん…」ポロポロ
母親「はあ!? 何よアンタ、部外者は黙ってなさい!!」
伊織「私はそこで震えてる二人の友達よ、部外者じゃないわ。さっきからずいぶん上からの態度で二人に説教してたみたいだけど、あなたの方こそちゃんと銭湯の『ルール』を守ってたのかしら?」
母親「ルール?何をわけのわからないことを…」
伊織「私は状況を見てないから何とも言えないのだけど… 誰か、この子供をこの前から見てた人はいないかしら?」
利用客たち「………」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:04:04.00 ID:iBMlq8ns0
おばさん「…私、見てましたよ。ずいぶん元気に走り回ってたので、お母さんは注意しないのかなと思って見てたんです」
ギャル「私も見てた。ぶつかった瞬間も見てたけど、ぶつかられた二人は何も悪くなかったよ」
母親「なによ、勝手なこと言って… 子供をずっと見てるなんて、そんなことできるわけないでしょ!!」
伊織「開き直るのはやめなさい!! 子供を銭湯に連れてくる時はしっかり子供を見て、危なかったら注意するのが親のルール!!」
母親「っ…!」
伊織「銭湯は、利用する人みんなが楽しめるようにルールがあるのよ! ルールが守れないなら銭湯に来る資格はないわ!!」
千早「水瀬さん…」
母親「この…っ!! もういいわ!! 行くわよ、騎士(ないと)ちゃん!」ガラッ
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:06:05.02 ID:iBMlq8ns0
伊織「ふぅ…。 まったく、あんたたちは私がいないとダメダメなんだから…わっ!!」ガバッ
やよい「伊織ちゃん… うわぁぁぁん!」ギュッ
伊織「ちょっとやよい! い、今は裸なのよ!? 抱きついたら…!」アセアセ
やよい「わたし、怖くって…、ホントにありがとう……」グスッ
伊織「……もう、いいのよ。さっきはサウナで無理やり勝負にして悪かったわね」ギュッ
千早「水瀬さん… 本当に助かったわ。 私、いきなりのことで冷静さを失ってしまって…」
伊織「ああいう輩には、弱気でいたら舐められるのよ。こっちが正しいなら強気でいきなさい!」
伊織(まあ、これでちょっとは挽回…かしら?)
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:07:34.69 ID:iBMlq8ns0
―――『わっほい温泉』出入口―――
番台「ありがとうございましたー! またのお越しを!」ウィーン
やよい「お風呂上がりのコーヒー牛乳は最高でしたねー!」ニコニコ
伊織「泣いたカラスがもう笑うとはこのことね」
千早「ふふっ。 最後はちょっとだけ嫌な思いをしたかもしれないけど、銭湯っていいものでしょう?」
やよい「はいーー!! また、すぐにでも来たいかなーって! えへへー」
伊織「そんなこと言って、また厄介なことに巻き込まれたらどうするのよ!」
やよい「そのときは、もちろん伊織ちゃんがまた守ってくれるから大丈夫っ!! ねっ、伊織ちゃん♪」ギュ
伊織「……! し、仕方ないわね…このスーパーアイドル水瀬伊織ちゃんが守ってあげるから、感謝しなさい!」ギュ
伊織(やよいの手、温かいわね…)
伊織(幸せだわ…)
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:09:41.70 ID:iBMlq8ns0
トントン
伊織「もう!! ちょっと何!? いいところなんだから邪魔するんじゃないわよ!」
男「仲良くお手手繋いでるところ悪いんだけど…お話いいかな? お嬢ちゃん」
伊織「…!!」
男「ついさっきの話なんだけど、俺のヨメが気の強いガキに恥かかされたって言うんだよ…、お前で間違いないよなぁ?」
やよい「うう~、伊織ちゃん…」ガクガク
千早「水瀬さん……!」
伊織「ええそうよ、だから何?」
千早・やよい「!!」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:11:08.80 ID:iBMlq8ns0
男「そうか、ならちょっとこっちに来なよ…! ガキだからって調子乗ってんじゃねぇぞ…!!」グイッ
千早「やめなさい! 手を放して!!」
伊織「いいの千早、大丈夫。…ねえアンタ、一つ言っておきたいんだけどいいかしら?」
男「なんだ? 今更謝罪でもしたくなったのか?」ニヤニヤ
伊織「この私にそういう手段を使うなら、特殊な訓練を受けた精鋭10人がかりで来ることね」
男「はぁ~!? 何言ってんだこの…うっ!!」ドサッ
千早・やよい「!?!?」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:13:01.63 ID:iBMlq8ns0
伊織「来るのが5秒遅いわね、汚らわしい手が私に触れてしまったじゃない」
新堂「申し訳ございません、お嬢様。 こちらハンカチに御座います」
千早・やよい「新堂さん!!」
伊織「にひひっ♪ 誘拐経験豊富な水瀬財閥のご令嬢を舐めるんじゃないわよ! さあ車を出しなさい新堂、湯冷めしてしまうわ」
新堂「かしこまりました。 皆様も、お家までお送りしますのでどうぞお乗りください」
やよい「あ、ありがとうございます…。 この男の人、気絶しちゃったんですかー?」
新堂「そうですね、この寒空でしばらくはぐっすりかと」
千早「恐るべし、水瀬財閥ね…」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:16:33.88 ID:iBMlq8ns0
―――翌日・765プロ事務所―――
やよい「それでね、伊織ちゃんがすーっごくかっこよかったんですよー!!」
春香「へぇー…私も行きたかったなぁ、銭湯!」
真「ボクがいれば、そんな不届き者にはガツーンと言ってやったのに!」
雪歩「真ちゃんの場合、言葉よりも手が出ちゃいそうかも…」
千早「そういうわけで、今度の合同レッスン終わりにでも、みんなでお風呂に行きたいねって言ってたのよ」
貴音「それは絆も深まり、まこと良き考えかと」
やよい「!! いいこと思いついちゃいましたー! 銭湯もだけど、伊織ちゃんの家のお風呂もすーっごく広いんだよね!」
伊織「ええ。 正直言って、そこらの銭湯と同じクオリティだと思ってたら腰抜かすわよ?」
やよい「じゃあ、今度伊織ちゃんのお家でお泊り会をして、みんなでお風呂に入りたいですーっ!」
伊織「!!」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:18:44.44 ID:iBMlq8ns0
春香「わっ! それすっごく楽しそうだね、やよい♪」
やよい「ですよね、春香さん♪」
雪歩「でも、伊織ちゃんのお家に迷惑じゃないかな…?」
伊織「べ、別に、アンタたち10人ちょっとが来たくらいじゃ何の迷惑にもならないわよ…」
真「じゃあ、ホントに皆で行ってもいいんだね、伊織!?」
伊織「もう、いいって言ってるでしょ! 騒々しくなりそうで今から目まいがするわ!」
千早「ふふっ…。 楽しくなりそうね」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:21:51.94 ID:iBMlq8ns0
伊織(まったく…やよいは勝手なんだから)
伊織(でも、昨日も楽しかったし、765プロみんなでだったらもっと楽しいかもね…)
やよい「うっうー!! 伊織ちゃん! お泊り会決定のお祝いで、いつものやつ、やっちゃいましょー!!」
伊織「はいはい、仕方ないわねぇ…」クスッ
伊織(そうよ、やよいと一緒ならなんだって楽しいに決まってるわ!)
やよい「はい、たーーっち!!」やよい・伊織「いぇいっ!!!」
おわり
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:22:35.40 ID:iBMlq8ns0
終わりです、ありがとうございました!
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/21(金) 17:46:02.63 ID:O5TFudIkP
やっぱ千早って天使だわ