P「如月千早か。どんな子なんだろう」【如月千早SS】

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 21:59:58 ID:5oAOrwpN0
P「今日からは俺が如月の担当になる。よろしく頼む」

千早「新しいプロデューサー? 前の方は?」

P「ストレスでゲロ吐いて辞めた」

千早「……またですか。ではこれからよろしくお願いします、新しいプロデューサー」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:01:24 ID:5oAOrwpN0
P「初対面だし、自己紹介でもしてもらおうかな」

千早「構いませんが、履歴書やプロフィールに書いてあること以外は特に」

P「プロフィールっていうと……趣味は、歌と音楽鑑賞、だっけ?」

千早「はい」

P「特技も歌?」

千早「そうですね」

P「歌、好きなんだ」

千早「はい」

P「ふーん」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:04:14 ID:5oAOrwpN0
【ダンスレッスン】

P「今日は朝からレッスンの予定が入ってる。支度してくれ」

千早「ボーカルレッスンですか?」

P「いや、ダンス。初回だから俺も付いていく」

千早「……踊れることは、それほど重要でしょうか。私は歌を評価して欲しいのに」

P「重要だよ。如月はアイドルだからな」

千早「アイドルだから……ですか。そこで思考停止するのは少し浅はかだと思います」

P「そうか? できることのレパートリーが増えたら、色々とお声もかかりやすくなるだろう」

千早「それは……不本意ですが、そうでしょう」

P「その分、大舞台に出る機会も増えて、より多くの人に歌を聴いてもらえるじゃないか」

千早「……確かに」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:07:35 ID:5oAOrwpN0
P「そこそこは動けるみたいだな」

千早「一応、自主的に筋トレはしてますから」

P「筋トレか……」

千早「何か問題がありますか?」

P「下手な筋肉のつけ方をすると良くない。後で俺がトレーナーに相談しておく」

千早「相談?」

P「ダンスの専門家ならどこをどれだけ鍛えれば良いか、よく知ってるはずだろ?」

千早「……そう言われてみると、素人考えで無茶するより効率は良さそうですね」

P「そういうこと。何事もまずは効率重視だ」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:12:29 ID:5oAOrwpN0
千早「あなたは……今までのプロデューサーとは違います」

P「そうか?」

千早「下手な愛想笑いもしませんし、私の機嫌を伺ったりもしませんし」

P「ディレクターや、よその営業担当が相手ならともかく、如月に愛想笑いしてどうする?」

千早「でも前のプロデューサーも、その前の人も、私を腫れ物のように扱っていました」

P「へぇ。よく分からないけど、如月はそういう風に扱って欲しいのか?」

千早「……嫌に決まっています、そんなの」

P「じゃあ、今のままでいい?」

千早「はい。今のままがいいです」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:15:50 ID:5oAOrwpN0
【初オーディション】

P「今日は音楽番組のオーディションだ。合格すればデビューだぞ」

千早「アピールポイントは何が重視されるのですか?」

P「今回はボーカルだな。もしかしたら、如月なら余裕かも」

千早「……ですが、オーディションへの参加は初めてです。うまくできるかどうか」

P「え、初めて?」

千早「はい……」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:21:13 ID:5oAOrwpN0
P「デビュー前でも、オーディションの1つや2つ受けてると思ってたけど」

千早「今まではどのプロデューサーも、二週間程度で辞めてしまいましたから」

P「……オーディションまでこぎつけられなかったのか」

千早「はい。ですが、原因は私にあるんです。私、うまくコミュニケーションが取れませんから」

P「そうか? 俺はそんなに困ってないけど」

千早「それは……あなたが変なんです」

P「その変な俺と噛み合ってる如月も変ってことか」

千早「……くっ」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:26:22 ID:5oAOrwpN0
オーディション後――

審査員「合格は……2番と5番!」

千早「……受かった」

P「おめでとう。これで堂々のデビューだな」

千早「…………あの。ありがとうございます」

P「俺は何もしてない。如月の実力だ」

千早「実力、ですか……それなら尚更、あなたにお聞きしたいことがあります」

P「なんだ?」

千早「どうして、ろくにレッスンも受けていない私が、このオーディションに受かると?」

P「それは……もちろん、如月の地力を踏まえた上で決めた。でも決定的だったのは、アレだ」

千早「アレ?」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:30:25 ID:5oAOrwpN0
P「初めて会った日、『特技も歌?』って質問したの覚えてるか?」

千早「よく覚えています。なぜ改めて聞いたのか疑問でしたし」

P「あの時、如月が自信満々で『そうです』って答えたからだよ。その日のうちに応募した」

千早「ええ……!? そ、それだけで……?」

P「迷ってるだけ時間の無駄だからな。どうせデビュー前なんだし、何でもやってみるもんさ」

千早「なんだか……すごい人です。思い切りがいいというか」

P「でも、結果的に良かっただろ。如月の歌は評価に値する物だってことが分かったんだから」

千早「……はい。これからも、よろしくお願いします」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:36:02 ID:5oAOrwpN0
【ボーカルレッスン】

千早「おはようございます」

P「おはよう。今日も早いな」

千早「朝のジョギングのために早起きしていますから」

P「へえ、ジョギングか……じゃあ喉渇いてるだろ、お茶でも淹れてやろう」

千早「気を使って頂かなくて結構です。甘やかされる為にアイドルになった訳ではありませんし」

P「いや……如月は歌が命のアイドルだから、もっと喉を大事にして欲しいだけだ」

千早「……そうですか。それなら、お言葉に甘えて」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:39:44 ID:5oAOrwpN0
千早「ふぅ……ご馳走様でした」

P「ところで歌といえば、今日は午後からボーカルレッスンだったな」

千早「そうですが、何か?」

P「今回は俺も付いていく」

千早「え?」

P「少しな。如月の歌を聴いて、色々勉強しようかなと」

千早「……まあ、なんでも、いいですけれど」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:43:33 ID:5oAOrwpN0
P「あおいぃぃ~とりぃぃぃ~もぉししあぁわぁせぇぇぇ~」

千早「それでは演歌です。私のデビュー曲を馬鹿にするなんて、最低です」

P「俺は大真面目だ。そもそも、この曲が難しいのが悪いんだ」

千早「言ってることが無茶苦茶です……ところで、なぜ急に『蒼い鳥』を歌ってみたいなんて」

P「俺は如月のプロデューサーだからな」

千早「……どういうことでしょうか?」

P「どこが歌いづらいとか、どこで息継ぎするかとか、把握しとかないとアドバイスもできないだろう」

千早「それは……私としても助かりますけど、歌唱力が絶望的では意味が……」

P「それを言うな」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:48:03 ID:5oAOrwpN0
【番組の都合】

千早「納得できません」

P「だいたい予想できるけど、何がだ?」

千早「あのディレクター、この番組は私がメインじゃないからもう少し下手に歌えと」

P「……やっぱりか。でもデビュー曲の初披露、思いっきり歌いたいよな」

千早「はい……私、どうすればいいのか。せっかくオーディションに合格したのに……」

P「…………」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:51:49 ID:5oAOrwpN0
P「如月……すまない」

千早「えっ?」

P「俺にもっと力があれば、意見もできる。偉くなればゴリ押しもできる」

千早「…………」

P「でも今の俺では、無理なんだ。無名のプロデューサーでは……」

千早「…………」

P「こればかりは、本当に……すまない……」

千早「…………」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 22:55:38 ID:5oAOrwpN0
春香「――って、昨日そんなことがあったんだ。それで千早ちゃんはどうしたの?」

千早「自分がギリギリ許せる範囲で下手に歌ったら、OKが出たわ」

春香「え……千早ちゃんが自分から折れたの!?」

千早「しょうがないでしょう」

春香「……なんか、意外」

千早「プロデューサーが無理と言うのだから、無理なのでしょうし」

春香「へぇ……プロデューサーさんのこと、結構信用してるんだね」

千早「べ、別にそういうわけではないけれど……」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:00:12 ID:5oAOrwpN0
P「昨日は、如月に悪いことをしたな……」

律子「芸能界にいる以上、避けられない話ですよね」

P「でも将来大舞台に上がる如月のことを考えると、下手に反論して経歴にキズをつけたくなかったんだ」

律子「……その判断は間違いじゃないと思います。同じプロデューサーとして賛同しますよ」

P「ありがとう……ただ、如月がすんなりと承知してくれたのが意外なんだ」

律子「それだけ、千早に信用されてるってことじゃないんですか?」

P「別にそういうわけじゃないと思うけど……」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:04:25 ID:5oAOrwpN0
【初ライブ】

P「――さて。今日は初のソロライブだ」

千早「はい。あの、プロデューサー」

P「なんだ?」

千早「プロデューサーが発言権を得るためには、どうすればいいのでしょうか」

P「……俺のプロデュースのもと、如月が成長して、もっと活躍していくこと、かな」

千早「そうすれば、この前のようなことは……」

P「うん、徐々に減っていくとは思う」

千早「……分かりました。私が努力することは、あなたの為になり、私の為にもなる」

P「そうだけど、俺もいるんだから一人で頑張られてもなぁ」

千早「あ……二人で、ですね。すみません。拗ねないでください」

P「拗ねてないし」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:07:47 ID:5oAOrwpN0
ライブ後――

千早「ふう……」

P「おつかれ。ほら、タオル」

千早「だから甘やかさないでくださいと……」

P「早く汗拭かないと風邪ひくだろ。そしたら如月も、俺も困るんだ」

千早「……そうですね。たまには素直に受け取ります」

P「いいライブだったよ。でもこれだけ人が集まるなら、ハコはもっと大きい方が良かったな」

千早「はい。まだこんな規模では満足できません」

P「だよな……よし、次はもう少し上を狙おう。社長や律子にも相談してみるよ」

千早「是非、お願いします」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:12:24 ID:5oAOrwpN0
【ランキング】

P「如月、ちょっとこれ見てみろ」

千早「なんですか? えっと、月間のCD売上ランキング?」

P「この間リリースした『蒼い鳥』が約1万枚で、50位にランクインしてる。上出来だ」

千早「い、1万枚ですか……?」

P「初シングルでそれだけ売れたのも凄いけど、50位に入ったことが大きい」

千早「1万枚……」

P「50と51じゃ雲泥の差がある。ランキングサイトは50位までを表示させるところが多いしな」

千早「いちまん……」

P「パッと見て目に入るかどうかの違いは大きい。これからもっと宣伝すれば……如月?」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:17:40 ID:5oAOrwpN0
P「無理もないか。最初のうちは、自分のCDを買った人が1万人もいるとは信じがたいだろうから」

千早「は、はい……」

P「でも嘘じゃない。現に、この前の番組の視聴者やライブ参加者から、何十通もファンレターが届いてる」

千早「ファンレター……」

P「あと、これはまだ未確定だけど……次の番組のお誘いも来ている。しかも2つ」

千早「2つも……」

P「ただ『蒼い鳥』に傾倒しすぎると一発屋になるから、二曲目も考え始めてて――」

千早「私が……私、アイドルに……」

P「……今さら自覚したのか。もう立派なアイドルだよ、如月千早は」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:22:48 ID:5oAOrwpN0
【水着撮影】

千早「水着……ですか」

P「これも名前を売るために必要なんだ。将来を考えて、ここは我慢してくれないか?」

千早「プロデューサーがそう仰るのなら……でも、私の体に需要があるとは思えませんけど」

P「ところが、ファンは色々な如月の姿を見たいと思ってるんだよ」

千早「……理解に苦しみます」

P「そういうのに敏感な年頃のはずなのにな。もっと友達が増えれば分かるかな」

千早「失礼です。私にだって友達の1人や2人くらい……」

カメラマン「如月さーん、準備できたんでお願いしまーす」

千早「あ……はい。今行きます」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:28:28 ID:5oAOrwpN0
カメラマン「はいこっち見てェ」

千早「こうでしょうか」クルッ

カメラマン「いいねェいいねェ、小さいのは最ッ高だねェ!」パシャパシャ

千早「……くっ」

P「…………」

カメラマン「スレンダーな体がなんともたまらないねェ」パシャパシャ

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:32:53 ID:5oAOrwpN0
P「すまない」

千早「……屈辱です。ただの写真撮影だけでも不愉快なのに、水着のうえ……」

P「悪かった。まさかカメラマンがあんな可哀想な人間だったとは」

千早「これで成果が出なかったら、本当にプロデューサーを恨みます」

P「ごめんなさい」

千早「はぁ……もういいです。気分転換に、次の曲の話でもしませんか?」

P「そ、そうだな。『目が逢う瞬間』って曲なんだけど――」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:38:07 ID:5oAOrwpN0
【ストレス】

千早「プロデューサー。曲のことでご相談が」

律子「しーっ」

千早「…………?」

P「Zzz……」

千早「デスクで寝てるの……?」

律子「寝かせてあげましょう。ここ数日は家にも帰ってないみたいだから」

千早「帰ってない……? 律子、どういうこと?」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:44:58 ID:5oAOrwpN0
P「Zzz……」

P「Zzz……」

P「――あっ? い、いま何時だ!?」

律子「まだ夕方ですよ、ご心配なく」

P「そ……そうか。気付いたら寝てたってことは、やっぱり疲れてるのか……」

律子「最近、上手くいかないことも多かったんでしょう? ストレス疲れですよ、きっと」

P「……番組もライブも撮影も、如月が満足する形でやらせてやれなかったんだ」

律子「千早の前にまず自分でしょう。体を壊したら本末転倒ですよ?」

P「いや、如月のデビュー&50位入りで、一気に仕事が増えたんだ。ここで挽回しないと」

律子「………………」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:51:30 ID:5oAOrwpN0
P「よし。気合入れ直して頑張るか!」

千早「……プロデューサー」ズイ

P「うおっ!? い、いたのか如月」

千早「はい。そこの壁の裏に」

P「じゃあもしかして、今の話……」

千早「全部聞いていました。私のせいで、プロデューサーが……」

P「…………」

千早「……どうして……」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/24 23:56:30 ID:5oAOrwpN0
P「……律子は、如月が聞いてるって知ってたのか?」

律子「むしろ、私がこっそり聞いておけって言いました」

P「なんで……」

律子「どうせ頑張るなら、二人で支え合って頑張ればいいじゃないですか」

P「……俺はプロデューサーだぞ。アイドルに……」

律子「弱味を見せてはいけない、ですか? だからって一人で頑張って倒れて、何か生み出せます?」

千早「それに『一人で頑張られてもな』と言ったのはあなたです。ご自分の発言には責任を持って下さい」

P「ぐぅ……頭いいヤツが揃うと手に負えん……」

千早「何か言いました?」

P「何でもないです」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:01:41 ID:wJKrq2dQ0
律子「ということで、今日は帰って寝てください」

P「次の打合せ資料が1ミリもできてないんだけど」

律子「明日やればいいことは明日やる! 千早、強制連行」

千早「分かったわ」ガシッ

P「ちょ……如月、俺はお前のために」

千早「身を削ってまで何かをしてほしいなんて、私は一言も言っていません」

P「…………」

千早「あと、私はもうプロデューサーを失いたくありませんから。あなたが休むなら何でもします」

P「……それを今言うのは、卑怯だろ……」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:06:25 ID:wJKrq2dQ0
【Pの家】

P「……あの」

千早「はい」ジー

P「そんなに見られてると寝られない……」

千早「プロデューサーが寝たら帰ります」

P「ええ~……そうだ、そろそろ帰った方がいい。親御さんも心配してるだろうし」

千早「私は一人暮らしです。ご存知でしょう?」

P「そうだった……」

千早「いいから早く寝てください。子守唄でも歌いましょうか?」

P「恥ずかしいからやめて……」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:12:36 ID:wJKrq2dQ0
千早「……プロデューサー?」

P「Zzz……」

千早「本当に寝たみたいね。これなら当分起きてこないでしょう」

千早「……いつも、いつも本当にありがとうございます、プロデューサー」

千早「私の我儘に付き合っていただいて、こんなになるまで頑張って」

千早「今日くらいは、ごゆっくりお休みになってください」

カシャッ

千早「……寝顔を待ち受けしたら怒られるかしら……」

千早「って、何を考えてるの、私……///」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:15:34 ID:wJKrq2dQ0
【呼び方】

P「今日、夜にレッスン入ってたな。何時までか覚えてるか?」

千早「最長でも21時くらいですね」

P「じゃあその頃に迎えに行く。いつも通り家まで送るから」

千早「すみません、プロデューサー」

P「それが仕事だからな。それにしても最近は、ずっと如月といるような気がする」

千早「そうですね。出社から帰宅まで一緒の日もありますし」

春香「…………」ジー

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:18:14 ID:wJKrq2dQ0
春香「なんか、二人とも丸くなりましたね」

千早「そうかしら?」

P「だとすれば、如月と……お互い不満を言える関係になったから、だろうな」

春香「……『如月』って、距離が縮まったのに、まだ苗字で呼んでるんですね」

P「え?」

千早「ちょ、ちょっと。春香?」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:21:06 ID:wJKrq2dQ0
春香「だってプロデューサーさん、律子さんのことは『律子』って呼んでるよ?」

千早「そ、そうだけど……プロデューサー、私はどちらでも結構ですから」

P「…………」

千早「…………」

P「ち……千早」

千早「はい!?」

P「うわっ、これ恥ずいな……///」

千早「うぅ、ずるいです、こんなの……///」

春香「……あれ。軽い気持ちで言っただけなのに」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:25:45 ID:wJKrq2dQ0
【興味のあるもの】

P「きさら……ち、千早は、アレだな」

千早「な、何でしょうか……? 慣れませんね、これは」

P「千早千早千早千早千早千早千早!!」

千早「!?」

P「いっぱい呼べば慣れるかと思って千早」

千早「語尾につけないでください……それで、私が何なのですか?」

P「ああ、ほら。なんか淡々と物事を考えるフシがあるよな。歌以外のことには興味ないのか?」

千早「……まったく興味がない訳では。最近は友人を増やす努力もしていますし」

P「へぇー、千早がね……」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:29:56 ID:wJKrq2dQ0
P「そういえば、たまに春香以外とも話してるな」

千早「はい。そもそも『友達が増えればなぁ』と言ったのはあなたでしょう」

P「……確かに言った。この前も思ったけど、よく俺の発言なんか覚えてるな」

千早「何か問題が?」

P「いや。俺ってそこそこ信頼されてるのかなって」

千早「信頼してはいけませんか?」

P「いけなくないです」

千早「………………」

P「………………」

千早「……あ、い、今の、無しで……///」

P「言って恥ずかしくなるなら言うなよ……///」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:33:34 ID:wJKrq2dQ0
【家】

千早「どれがいいのかしら……」

P「どうした、千早。何見てるんだ?」

千早「あ……家のカタログです。もしトップアイドルになったら、どういう家に住もうかなと」

P「将来設計か。今のうちから考えてるなんて偉いな」

千早「取らぬ狸の、ですけれど。私はこの家など好みですが」

P「どれどれ……いやこれ、全部の窓が北向きだし、部屋も少ないだろ。リビングも狭い」

千早「一人で住むのなら、必要最低限の機能さえあれば問題ありません」

P「え? 旦那と子供は?」

千早「えっ?」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:37:08 ID:wJKrq2dQ0
P「……普通に忘れてたのか。好きな人とかいないのか?」

千早「好きな、人……」

千早「…………」ジー

P「……なんだ?」

千早「い、いえ!? いません、そんな人!」

P「そんな全力で否定しなくても……そうか、いないのか」

千早「……ちなみに、好きな人などとはまったく関係の無いお話ですけれど」

P「ん?」

千早「その、あなたはどんな家がいいと思われますか? いえ、あくまで男性の意見の一例として……」

P「俺なら……そうだなあ」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:40:41 ID:wJKrq2dQ0
P「子供は男の子が1人として、自由に使える部屋は3つ。東か南向きの窓と、ベランダも欲しいな」

千早「私は女の子2人が理想です。部屋は私と旦那さんの分を入れると3つでは足りませんね」

P「男の子がいないと寂しくないか?」

千早「それは男性の考えです。客観的に見れば女の子の方が育てやすいんです」

P「女の子は夜道とか危ないぞ。俺の帰りが遅くなった時どうするんだ」

千早「私が迎えに行きます。その頃にはアイドルを引退して共働きにはなっていないはずです」

P「それはそれで千早が危ないんじゃないか」

千早「40過ぎの女性を狙う男なんていません」

P「25で産んだら子供が5歳のとき30だろ。十分危ないから」

千早「そもそも引退する時期を25と――」

律子「……家の話は?」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:55:07 ID:wJKrq2dQ0
【二曲目】

P「このライブが、『目が逢う瞬間』の初披露になる。うまく行くといいけどな」

千早「……プロデューサー。絆創膏とか持っていませんか?」

P「絆創膏? ケガしたのか」

千早「ケガ……というか」

P「……珍しく歯切れが悪いな」

千早「先ほど楽屋で、メインのアーティストの方に『アイドル風情が調子に乗るな』と言われまして」

P「…………あん?」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 00:57:46 ID:wJKrq2dQ0
千早「黙っていたら腕を抓られたので、振り払って逃げてきました。でも、少し腫れてしまって……」

P「……千早は不器用だな」

千早「すみません。黙り通す以外のやり方が思いつきませんでした」

P「言い返さなかったのか」

千早「以前の私なら……でも、もし降板させられたら、私もプロデューサーも困りますから」

P「そうか。よく耐えたな」ナデナデ

千早「あっ……」

P「……ご、ごめん。思わず撫でてしまった」

千早「い、いえ……嫌では、ありません……///」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 01:02:53 ID:wJKrq2dQ0
【快挙】

P「ご、ごごご、5万!? しかもランキング10位!」

千早「…………(呆然)」

高木「大したものだよ、キミも如月くんも。今夜はお祝いだな!」

律子「今月のシングルのラインナップが不作だったとはいえ……」

小鳥「それでも、二曲目で10位は快挙ですよ!」

P「……なんか、現実味が無い……」

千早「わ、私もです……とりあえず、春香に報告してきます」

P「俺は……そうだ、寝よう。これは夢だ」

律子「寝てる場合か! 追加で宣伝かけないと、私も手伝いますから!」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 01:06:34 ID:wJKrq2dQ0
――
――――
――――――

P「ん~、あれから一週間経って、少しは落ち着いたかな」

律子「しばらくは色んなとこからの電話が鳴りっ放しでしたからね。嬉しい悲鳴です」

千早「……プロデューサー」

P「えっ、千早……まだ帰ってなかったのか?」

律子「……私、ちょっとコンビニ行ってきますね」ガチャッ

P「? 行ってらっしゃい」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 01:09:53 ID:wJKrq2dQ0
千早「プロデューサー。良かったら……今日、うちにいらっしゃいませんか?」

P「……送り迎えで割と行ってると思うけど。改まってどうした?」

千早「そ、そういうことではなくて……」

P「…………」

千早「ランキング10位……ここまで連れてきてくれたお礼に、夕食をご馳走したいんです」

P「……二人だけで、お祝いってことか?」

千早「は……はい。駄目でしょうか……」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 01:14:09 ID:wJKrq2dQ0
P「嬉しいお誘いだけどな……やっぱり駄目だ」

千早「…………」

P「年頃の女性の……しかもアイドルの家に、男性が上がりこむのはよくないだろ」

千早「……はい」

P「加えて、俺は千早のプロデューサーだ。もし世間にバレたら事務所まで……」

千早「……そう、ですね……その答えも」

千早「本当は、分かっていたのに……」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 01:16:35 ID:wJKrq2dQ0
千早「でも……でも、私は……!」

P「つらいけど。千早がアイドルを続ける限り、俺も気持ちには応えられない」

千早「………………」

千早「…………えっ?」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 01:20:16 ID:wJKrq2dQ0
千早「その……私のプロデューサーへの想いは、伝わって……」

P「さっきので、さすがにな……」

千早「でも私がアイドルだから、気持ちには応えられない」

P「……そうだよ」

千早「それなら逆に、もし十数年経って、私が普通の女性に戻ったら」

P「ちょ……言わなきゃダメか、その先……///」

千早「…………///」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/25 01:22:57 ID:wJKrq2dQ0
P「……千早の傍で、気長に待つよ。千早のプロデューサーとして」

千早「はい……これからもよろしくお願いします。ずっと、ずっと……」

律子「あー、外は寒いなぁ。私も彼氏欲しいなぁ……」

終わり

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