【天海春香SS】春香「春香さんが転んだ!」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 21:58:13.62 ID:sTyyNa/K0
(ドンガラガッシャン!)

春香「あいたたたた……えへへ」

(シーン)

春香「えっ、な、なんで誰も振り向いてくれないんですか?!」

春香「可愛い可愛い春香さんが転んだんですよ?!」

(シーン)

春香「そんな……一体何が起きているというの……?!」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:03:44.28 ID:sTyyNa/K0
P「……」カタカタ

春香「プロデューサーさんっ!」

P「ん?」カタカタ

春香「春香さんが転んだ!」ドンガラガッシャン!

P「そうか」カタカタ

春香「そ、そうかじゃないですよ! 春香さんが転んだんですよ!?」

P「あー、頑張れ」カタカタ

春香「そ、そんな……」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:09:17.67 ID:sTyyNa/K0
春香「ちーはーやーちゃんっ!」

千早「どうしたの?」

春香「春香さんが転んだ!」ドンガラガッシャン!

千早「……何してるの?」

春香「え、何って……」

千早「もう、馬鹿な事やらないで。ほら、片付けましょう?」

春香「あ、うん……」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:15:28.20 ID:sTyyNa/K0
春香「みんなー、おはよう!」

亜美「あ、はるるんやっほ→」

律子「調子は良さそうね」

やよい「うっうー! 今日もお仕事頑張りましょう!」

春香「あ、やよい!」

やよい「? なんですかー?」

春香「春香さんが……」

春香「転んだ!」ドンガラガッシャン!

やよい「……?」

春香「え、えっとね! 今のは、だるまさんが転んだとかけて、私が転んじゃった、って言う……」

やよい「お仕事前に、怪我するようなことはしない方がいいですよ……?」

春香「あ……うん……」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:20:44.60 ID:sTyyNa/K0
春香「…………」

春香「私、何か間違ってたのかな……」

春香「転ぶことこそが、私のアイデンティティであり、愛されてるポイントだと思ってたのに……」

春香「馬鹿にされるとかならまだしも、完全なスルー……とうとうやよいにまで……」

春香「私は……私とは……」

春香「私って一体……何だったの……?」

春香「そっかぁ……アイデンティティなんて……なかったんだね……」

春香「あは、あはは……あははははは…………!!!」

(ピシャァンッ!!)

(カカァッ!!!!!!)

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:26:12.25 ID:sTyyNa/K0
(タタタタタッ)

千早「大変です、プロデューサー!!」ガチャァッ!

P「ど、どうしたんだ千早!?」

千早「……お、落ち着いて聞いて欲しいの」ハァッハァッ

P「あ、あぁ……」ゴクリ

千早「春香が……」

P「春香が?」

千早「春香さんが、転ばないんです……!」

P「なん……だと……?」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:31:19.48 ID:sTyyNa/K0
P「馬鹿な、有り得ない」

千早「けれど、現に!」

P「いいか、春香が転ぶというのは確定事項だ。それは手を放せばリンゴが地に落ちる如く」

P「春香が転ばない。それはつまり、永久不変の摂理の否定、世界の崩壊に他ならない」

P「そんなことになったら……」

千早「……なったら?」ゴクリ

P「世界は……滅亡するぞ」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:35:52.77 ID:sTyyNa/K0
千早「そ、そうですね。きっと、私の勘違いだと思います」

P「ああ、全く、心臓が止まるかと思ったよ……」

(ガチャッ)

春香「おはようございます」

千早「あ、春香……」

P「お、おはよう……」

春香「どうしたんですか」

P「あ、足元にバナナの皮が……」

春香「え」

(フミッ)

春香「ああもう、汚いなぁ。誰だろう……」ヒョイッ

春香「ちゃんと、汚らしいゴミは、処分しないと……」ポイッ

P千早「「?!?!」」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:40:41.21 ID:sTyyNa/K0
春香「あ、お茶切れてる。お仕事は午後からですし、買い出し行ってきますね」ガチャッ

(バタン)

千早「…………」

P「な、なんてこったァ……!」ガクガク

千早「おしまいよ……世界に、もう救いはないんだわ……」ブルブル

「いえ、まだ手はあります!」

千早「あ、あなたは!」

P「律子!!」

律子「話は聞かせてもらいました!」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:46:06.99 ID:sTyyNa/K0
律子「春香さんが転ばない……この摂理に反した現象は、確かに世界を狂わせてしまうわ」

律子「そして、春香の影響は、もう世界各地に出ている……」ピッ

千早「テレビ……」

『ダウ平均株価が半額まで急下落』ピッ

『エッフェル塔が離陸』ピッ

『世界各地の活火山が活発化』ピッ

『エジプトのスフィンクス、ニャーと鳴く』ピッ

P「なんてこった…………」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:50:59.49 ID:sTyyNa/K0
律子「このままでは、地球そのものに影響を及ぼしかねないわ」

千早「くっ……一体、どうすれば!?」

P「くそ……何か打つ手があるのか!」

律子「それは……」

「わたくしからお話しさせていただきましょう」

千早「あ、あなたは!」

P「貴音!」

貴音「申し訳ありません。四条の家で儀式の準備をしており、遅れてしまいました」

律子「春香を元に戻すためには、この儀式を成功させなければならないわ」

P「儀式……?」

律子「さぁ、765プロを全員集めなさい!」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 22:55:46.71 ID:sTyyNa/K0
伊織「で、なんで私達が集められてるわけ?」

真「別に、春香を助ける為って言うなら文句はないけど……」

響「どうしてなのかくらい知りたいぞ」

律子「理由は、春香がこうなってしまった原因にあるわ」

高木「ど、どういうことなのかね?」

P「俺達は、あまりにも”春香が転ぶ”ということを当然視しすぎて、最早見向きもしなくなっていた……」

律子「最近はみんな、春香が転んでも気にも留めていなかったでしょう?」

亜美「そういや、こないだいきなりずっこけた時も……」

やよい「う、うぅ……そんなつもりじゃ……」

P「やよいだけが悪いわけじゃないさ」

千早「ただ、アイデンティティを否定され、春香が自分自身について悩んでいたのは事実……」

美希「でも、どうしてこんなに大事なの?」

P「それは……」ピッ

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:00:55.47 ID:sTyyNa/K0
『クレムリン周辺に大量のUFOが出現』ピッ

『アマゾン川が北アメリカ大陸まで浸食』

『正体不明の感染症が蔓延』

『スフィンクス、お手を覚える』

雪歩「こ、これって……!?」

千早「……これは、春香が転ばなくなったことにより、宇宙の法則が乱れた結果よ」

あずさ「あ、あらあら~……大変そうねぇ……」

小鳥「春香が転ばなくて宇宙がヤバイ、ということね……」

P「天文台によると、太陽の異常活動も観測されているようだ」

真美「あわわわ……やばいじゃん! どうするのさ!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:05:59.15 ID:sTyyNa/K0
貴音「そこで、皆様に四条の儀式を執り行っていただきます」

亜美「お姫ちん!」

貴音「実は、四条に伝わる古文書では、この出来事が数千年前から予見されておりました」

貴音「『東の國に住まう民の姫、彼の者が行ひを静と為す時、世に混沌が訪れん』……」

響「民の姫って、まさか……!」

貴音「そう……アイドルのこと、で間違いありません」

貴音「そして、続く一節にはこう書かれています」

貴音「『儀式に依りて、彼の者の行ひを是とせよ。さすれば、再び平穏が訪れん』、と……」

P「その儀式こそが」

律子「四条の家に代々伝わる……」

貴音P律子「「「彼の者、転びたまふ」」」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:10:25.75 ID:sTyyNa/K0
分かりづらくてゴメンネ、一部さんづけはタイトルに合わせてるだけや
宇宙がヤバイはただの語呂

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:14:03.00 ID:sTyyNa/K0
律子「それじゃあみんな、儀式の用意をするわよ」

P「事務所の中の家具を全て、横に寄せるんだ!」

千早「スペースを作って……」

貴音「その上で、床に陣を!」

(コレハアッチニ)

(コモノモドカシテ)

(イソガナイトハルカガ…)

(ヤイノヤイノヤイノ……)

―――――

――――

―――

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:20:01.99 ID:sTyyNa/K0
(ガチャッ)

春香「ただいま。色々買い足してきましたよ」

(ズラァッ!)

春香「え、みんな一列に並んでどうしたの」

千早「……春香、遊びましょう?」ニッコリ

春香「え、遊ぶって、みんな、仕事は」

P「今日は全部キャンセルだ。急遽、やることが出来てな」

春香「やること」

春香「それって、この」

(チラッ)

春香「春香さんが転んだ、のことですか」クスッ

貴音「!?」ゾクゥッ

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:25:50.00 ID:sTyyNa/K0
春香「みんな、都合がいいですよね」

春香「この前は、私が転んでも何も言わなかったのに」

春香「大変になった途端これですか。あーあ」

千早「は、春香……?」オソルオソル

貴音「如月千早っ!!!!」

千早「ッ!?」ビクッ

貴音「ち、近付いてはなりません……その者は最早、春香であって、春香でない者」

貴音「数千年前から予見されていた最悪……悪しき因縁に、憑りつかれています!!」

春香「酷いなぁ、四条さん」

春香「……ふふっ、ふふふっ…………!」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:31:42.07 ID:sTyyNa/K0
貴音「しかし、この事務所の陣に足を踏み入れたからには、最早逃げられぬはず!」

春香「そうみたいですねー。仕方ないなぁ。可愛い可愛い春香さんは優しいから、付き合ってあげるよ」

(テク…テク…テク…)

P「みんな……巻き込んで済まない」

高木「いや、君が謝ることではない。社長である、私の責任だ」

伊織「し、仕方ないわね……春香のためなら、手伝ってやるわよ……」

雪歩「元の、優しい春香ちゃんに戻ってほしいですから……」

千早「誰も、春香を見捨てたりなんてしません。だってみんな……」

全員「「「仲間だもんげ!」」」

P「みんな……!」

春香「ふふっ……いつまで強がってられるかなぁ……」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:35:20.73 ID:sTyyNa/K0
P「……じゃあ、始めるぞ」

春香「準備は、いい?」

全員「「「応ッッッッ!!!!」」」

THE TIME OF RETRIBUTION…

BATTLE…

DECIDE OF DESTINY…

春香「行くよ」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:40:47.96 ID:sTyyNa/K0
春香「『春香さんが』……」

(((ヒタッヒタッヒタッ…)))

春香「『転んだ』っ!!」カカッ

(((ピタッ)))

春香「……ふふっ、流石にそんなすぐには終わらないよね」

春香「じゃあ……」スッ

亜美(……! 戻った、チャンス!!)

(ダッ)

貴音「っ!?」

貴音(亜美、いけません!)

P(嫌な予感が……する!)

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:45:39.76 ID:sTyyNa/K0
(スススッ)

亜美(足音も立てずに)

(スススッ)

亜美(さっさと……)

春香「……」

亜美(捕まえて……)

(スススッ)

亜美(はるるんを助けるッ!!!)

(ダンッ!)

春香「……ふふっ」ギラッ

貴音「亜美、逃げなさい!!!」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:51:10.26 ID:sTyyNa/K0
亜美「ここまで来れば亜美の射程っしょおおおおお!!!!」

亜美「この達磨殺しの亜美を嘗めるなぁぁぁぁっぁああああっっっっ!!!」グワァッ!

春香「……ふふっ、だめだよ、亜美」

(スゥッ)

亜美「っ?! 一度壁を向いたのにこっちを――」

春香「私、まだ『春香さんが転んだ』、言い始めてないよ?」

亜美「しまっ――」

春香「焦ったね、亜美。『動いた』ね?」ニコッ

亜美「こ、この悪寒……足元から這いずりあがってくるような恐怖!」

貴音「亜美!!」

亜美「ごめん、みんな……亜美、負けちったよ……」

春香「亜美、『アウト』」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/13(木) 23:55:34.01 ID:sTyyNa/K0
亜美「あ……」

(ドサッ)

真美「っ!」

真美(動いちゃ、ダメ……!)

P(耐えろ、真美……!)

春香「それに、四条さんも、『動いた』ね?」

貴音「……わたくしと、したことが……」

春香「四条さんも……『アウト』」

貴音「この儀式を完遂すれば、春香も含め、皆、助かるはず……」

貴音「あなた様……御武運を……」

(ドサッ)

春香「ふふふ、助けようとして自分も動いちゃうんじゃ仕方ないよねぇ……」

春香「二次災害、ってやつだね」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:00:35.35 ID:+GAU8eSI0
P「っ……!」

春香「プロデューサーさん、悔しそうですね」

春香「ところで、このゲームの名前、覚えていますか?」

P(……だるまさんが転んだ、じゃ……?)

春香「『春香さんが転んだ』、ですよ?」

亜美「…………」ピクッ

貴音「…………」ピクッ

P「…………ッ!?」

P(まさか……まさか!!)

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:05:28.72 ID:+GAU8eSI0
亜美「……いたたた……派手に転んじゃったぁ……」

貴音「も、もうっ! プロデューサーさん、見ないでくださいよ!」

全員「「「っ!?」」」

春香「そう、転んだのは、亜美でも貴音でもない……『春香さん』なんですよ」

春香「そして……春香さんは、二人も三人も居ません」

春香「『いるべきところ』へ……」

亜美「えへへ、わざとですよ、わざと!」フラフラ

貴音「そうだ、今度クッキー焼いてきますね!」フラフラ

(ズブブブブ)

P(は、春香の中に、二人が……!)

真美「…………っ」ワナワナ

P(耐えろ真美、耐えてくれっ……!)

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:11:14.98 ID:+GAU8eSI0
春香「あれ、真美、震えてるの?」

真美「……」

春香「気のせいかなぁ……動いてるように見えたんだけどなぁ……」

春香「……『まこと、面妖なこともあるのですね』♪」

P(まさか春香っ……二人の個性を……!)ゾクゥッ

春香「ふふ、『真美、もうそんな悪あがきしてないで、さっさと負けちゃおうぜい☆』」

真美「」ブチッ

P(やめろ、真美!!!)

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:15:25.40 ID:+GAU8eSI0
真美「うあああああああああっ!!!!!」ダダダッ

真美「亜美を、返せえええええええ!!!!!!」ダンッ

春香「……真美ちゃん、『動いちゃった』んだね」

(ビクンッ)

真美「ぁっ……か……」

春香「真美ちゃん、『アウト』」

(ドサッ)

真美「……」

真美「もー、また転んじゃいましたぁ……私ったらドジだなぁ……」スクッ

真美「こんなじゃ、オーディションも上手くいかないよぉ……」フラフラ

(ズブブブブ)

春香「……『うあうあ→、まだ二回目を言ってすらないのにぃ』」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:20:19.26 ID:+GAU8eSI0
春香「じゃあ後ろ向くよー」クルッ

千早「プロデューサー、気付いていますか」ボソッ

P「ああ、春香の髪の毛……」ボソッ

P「銀髪になった上、サイドアップとサイドテールが生えている……」

律子「取り込まれて、いるのね……」

春香「行きまーす。『はーるーかーさー』……」

真響「「チャンスっ!」」ダダダッ

P「っおい、よせ!」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:26:22.04 ID:+GAU8eSI0
真(へっへーん、あの速さなら余裕で届くもんね!)

響(自分達ならなんくるないさー!)

真「春香を……みんなを……」

響「返せえええええっ!!!」ダッ

春香「『んが転んだ』ッ!」グルッ

真「うそっ?! 早っ――」

春香「真、響ちゃん、『動いた』ね」

響「あ……」ビクンッ

春香「真、響ちゃん、『アウト』」

(ドサッドサッ)

春香「ふふ、先走っちゃダメだよ」

真「のワの」ズブブブブ

響「ジュッ!」ズブブブブ

春香「……『さぁて、みんな気合入れて、とっととやっちゃうさー!』」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:30:34.29 ID:+GAU8eSI0
千早(……ポニーテールが生えて……少しカッコ良くなってる気がする……)

春香「行きますよー、『春香さんが』」

春香「『転んだ』っ!」グルッ!

(ピタァッ)

春香「……うん、流石に残った人たちは慎重だね」

やよい「……あわっ!?」

(ドテッ)

伊織「やよいっ!?」

春香「あーあ、『動いちゃった』……今のはちょっと可哀想だったね、頑張ったのにね」

春香「伊織ちゃんも、心配だからって『動いちゃ』ダメだよー?」

やよい「あ、ぁ……」

伊織「う、うぐぅ……!」

春香「やよい、伊織、『アウト』」

(ドサッドサッ)

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:35:59.63 ID:+GAU8eSI0
やよい「かっかー!」ズブブブブ

伊織「ねぇ見てくださいよ! この子、私にそっくりで可愛いと思いませんか?」ズブブブブ

春香「……『にひひっ、結構人も減ってきたかなーって!』」

千早(ツインテールが生えて……)

P(髪が後退してる……)

律子(輝かしいわね……)

春香「ここら辺でちょっと、世界の情勢を見てみましょうか」ピッ

『イギリスとヨーロッパ沿岸が接触』

『ISSが錐もみ回転しつつ地球圏を離脱』

『南極で今、セカンドインパクトがアツい!』

『スフィンクス、警察スフィンクス試験を目指す』

春香「うわぁ、大変ですね! 早く止めないとまずいっしょ→!」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:40:38.18 ID:+GAU8eSI0
春香「ふふふ、それでは……参ります」

P(……これまでと雰囲気が?)

春香「『春香さんが』……」

美希「これって……もしかすると……」

(ダッ)

千早「美希!?」

P(あんなところから届くはずが……!)

春香「『転んだ』!」グルッ

美希「うぅっ!」

春香「美希、『動いた』」

P(美希……!!)

美希「ハニー……任せた、の……」ドサッ

雪歩(……美希ちゃん、まさか……!)

春香「美希、はいたーっち♪」

美希「わっほい!」ズブブブブ

68: スフィンクス可愛いじゃん 投稿日:2012/12/14(金) 00:45:33.56 ID:+GAU8eSI0
P(美希は分かってて突っ込んだんだ! 最後、俺に何かを託した……!)

P(美希は……何か、気付いたのか……?!)

春香「あふぅ……なんだか眠くなってきちゃった。次行くよー」

P(春香は、敗者の個性を取り込んでいる)

春香「『春香さんが』……」

P(そして、さっきからは、それが露骨に……)

P(……そうか!)ティンッ

P「って、うわっ?!」ズルッ

千早(プロデューサー!?)

律子(あ、あのタイミングじゃ……!)

春香「『転ん』」

P(くそっ……考え込んでて、足元が……!)グラッ

P(……終わった――)

春香「『だ』!」グルッ

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:50:37.32 ID:+GAU8eSI0
高木「そうはさせん!」バッ

小鳥「見えなければ、いいんですよね!」ババッ

P(社長、小鳥さん?!)ドタッ

春香「……なんと? ハニーが転んだと思ったのに→」

高木「代わりに……うっ」

小鳥「私達が……あぅっ」

春香「『動いちゃった』、けどNE……!」

P(すみません……すみません……!)

高木「我々より、君の方が重要な戦力だ……」

小鳥「頼みましたよ……」

春香「社長、小鳥さん、『アウト』」

春香「代わりに二人を貰うから、なんくるないさー!」

社長「ワン、ツー、スリー!」ズブブブブ

小鳥「ヴぁい!」ズブブブブ

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 00:55:52.84 ID:+GAU8eSI0
P(うぅっ……な、何故か春香の顔が良く見えない……インカムが増えている!)

律子(これで残るは、プロデューサー殿、私、千早、あずささん、雪歩……)

千早(……二人は)チラッ

雪歩「……」キッ

あずさ「……」ウルウル

P(あずささんは完全に呑まれてるな……雪歩は……?)

春香「おっほん! それじゃあ次にいくピヨ!」

P(ピヨなんて言ってたっけ……)

春香「『春香さんが』……」

雪歩「ぷ、プロデューサー」ボソッ

P「どうした?」ボソッ

雪歩「……美希ちゃんの読みは、多分当たってます。あとは、お願いしますぅ!!」

P「雪歩?!」

雪歩「と、とりゃぁぁぁ~!」ダダッ

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:00:37.32 ID:+GAU8eSI0
春香「『転んだ』」

雪歩「ひぅっ!?」ビクッ

春香「どうしたのかね、急にそんなに動いちってさ→、無謀だって思うな」

雪歩「わ、分かってて、ですもん!」

春香「『へぇ、雪歩……そんな子だったんだ』」

雪歩「ま、真ちゃんの真似、しないで……!」

春香「真じゃないよ、ボクは春香だ。これも、ボクの個性の一つだよ」

雪歩「は、春香ちゃん……戻って……」

春香「雪歩、『アウト』」

雪歩「これはどなたでしょうかね~……あ痛ッ?!」ズブブブブ

春香「……『あ、穴掘って埋まってますぅ』……」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:06:12.58 ID:+GAU8eSI0
春香「う、うぅ……お、思わぬ思い出を引き出しちゃったの……」

P(そうか、雪歩……個性を取り込むことで、逆に弱点を増やすことが出来れば……!)

春香「うぅ……じゃ、じゃあ次、行くYO……」クルッ

律子(成程、そういうことね……!)

律子(……保険は、かけておきましょうか)スッ

千早(律子……何を……?)

春香「『春香さんが』……」

春香「『転んだ』っ!」グルッ

(ピタッ)

律子(よし、全員止まっ――)

P(いや、一人だけ!)

あずさ「あ、あらあら~?」ドテッ

P(こ、ここまで残ってたのが奇跡的なくらいなんだ……!)

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:10:35.96 ID:+GAU8eSI0
春香「あずささん、『動いちゃった』な」

あずさ「あ……ぁ……!」

P(あずささん!)

あずさ「ぷ、プロデューサーさん……」

あずさ「必ず、助けてくださいね……?」ニコッ

春香「あずささん、『アウト』」

(ドサッ)

律子(あずささん……!)

あずさ「ふふふ……あははは! 崇め奉りなさぁい!!」ズブブブブ

P(あれは春香の素だったのか……)

春香「……『あらあら~、あと、三人だけ、ね?』」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:15:48.75 ID:+GAU8eSI0
春香「『はーるーかーさーんーがー』……」

律子(でも、チャンスよ! あずささんを吸収したせいか、おっとりしている!)

P(魔人ブウかよ……)

千早(一歩ずつ、確実に詰めていく……!)

春香「『転んだ』~」クルッ

(ピタァッ)

春香「……流石はこの三人、というわけですね……『春香さんが』……」

律子(この距離なら、確実!)

(スッ)

千早(行ける?!)

P(行け、律子!)

律子(届け……!)

(コロコロッ)

P「?! 罠だ!」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:20:29.83 ID:+GAU8eSI0
千早「律子、足元よ!」

律子「えっ?! 眼鏡無いと良く見えな――」

(コロコロッ)

律子「ビー玉!?」ズルッ

春香「『転んだ』~」

律子「きゃっ!?」ドテッ

春香「ありゃりゃ→、りっちゃん……転んじゃいましたぁ……」

律子「……!」キッ

春香「あれ? 律子……さん、眼鏡……」

律子「頼みましたよ、プロデューサー殿!」

春香「律子さん、『アウト』」

律子「ぐっ……」ドサッ

P(律子……!)

律子「え~っ!? まだいいじゃないですか! これからホームビd」ズブブブブ

P(マーメイの罠……!)

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:25:45.12 ID:+GAU8eSI0
春香「あ、あれ? ボク、急に目が良く見えなくなったぞ?」

千早(! そのためにわざわざ眼鏡を!)

P(でかした、律子!)

春香「おかしいなぁ……『春香さんが』」

千早(私が……!)ジリッ

P(慎重に、慎重に……)ジリッ

春香「『転んだ』!」グルッ

((ピタァッ))

春香「……『春香さんが』」

((ジリ…ジリ…))

春香「『転んだ』ぁ!」グルッ

((ピタァッ))

春香「……」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:30:37.47 ID:+GAU8eSI0
千早(あと、少し……!)

P(……まずい、千早が空気に呑まれかけてる……!)

春香「……『春香さんが』……」

千早(絶対に……!)カタカタ

P(力が入りすぎてる!)

春香「『転んだ』!」グルッ

千早「っ!」プルッ

P「!」

春香「……千早ちゃん、動いた?」

千早「……」

春香「ねぇ、千早ちゃんってば」

千早「……っ」カタ…

P(ダメだ、千早!!)

千早「う、うぅ……!」カタカタカタカタ

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:35:49.78 ID:+GAU8eSI0
春香「緊張しすぎて、震えちゃったんだね……」

千早「……っ」カタカタブルブル

春香「残念だけど、『動いてる』よ?」

千早「……春香……お願い、戻って……!」

春香「千早ちゃん、『アウト』」

千早「――」ガクンッ

P(千早ぁっ!!!)

千早「プロデューサーさんは、今も、そして、これからも……」ズブブブブ

春香「……『プロデューサー、いい加減、無駄なことは終わりにしましょう』」

P(残ったのは、俺一人、か……)

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:40:47.89 ID:+GAU8eSI0
P(何の因果か……一番無個性な俺が残るとは)

春香「『春香さんが』……」

P(しかしすごい見た目だな……)ススッ

春香「『転んだ』~」クルッ

P(ええと、銀髪ショートにサイドテールサイドアップポニーテールツインテールが生え)ピタァッ

春香「……『春香さんが』」

P(額は後退し顔はなんか見えにくくなりインカムを装着し)ススッ

春香「……『転んだ』~」クルッ

P(ややおっとりした感じで眠そうになり近眼でやや胸が小さくなり)ススッ

春香「……『春香さんが』」

P「わっ!!」

春香「ひぅっ!? こ、『転んだ』?」クルッ

P(そして若干オドオドしている)ピタァッ

P(見た目どう見てもクリーチャー……)

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:46:04.63 ID:+GAU8eSI0
春香「いい加減、辞めましょうよ」

P「……」

春香「今の私なら、誰にも無個性なんて言わせませんよ!」

P(そりゃ言われないだろうなどう見ても)

春香「……プロデューサーさんも強情ですね」

春香「分かりましたよ最後までやりますよーだ。『春香さんが』」

P(そうだなぁ、終わらせるか)

(ススッ)

P「ふあぁ」

春香「あふぅ……じゃないの」

(ススッ)

春香「ころ」

P「わっ!」

春香「ひぅっ!?」ビクゥッ

P(罪悪感が半端ないなコレ)ススッ

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:51:25.67 ID:+GAU8eSI0
P(でも随分近づいたぞ)

春香「『転んだ』~」クルッ

P(おっと……)ピクッ

春香「……」

P(い、一瞬動いちまったか?)

春香「……うぐぐ、良く見えない……」ゴシゴシ

P(ほっ……サンキュー律子)

春香「『春香さんが』」

P「よっ、今日の服も可愛いな」スッ

春香「へへっ、そうですか? このフリフリも……って違う!」

P「そういやこないだ借りたゲーム、詰まっちゃったんだけど」スッ

春香「仕方ないな→、どこだい兄(c)……じゃなくて!」

P「この前探してた既刊、近くの書店で売ってましたよ」スッ

春香「ほ、本当ですか?! 急いで買いに行k……ってそれも違う!」

春香「『転んだっ!』」クルッ

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 01:55:51.59 ID:+GAU8eSI0
P「……」ピタァッ

春香「ぐぬぬ……!」

春香「『春香さんが』……」

P(あとちょっとだな)スッ

春香「『転』」

P(お、手を伸ばせば届くか?)

P「春香さん、はいターッチ!」

春香「!」クルッ

P春香「「いぇいっ♪」」パンッ

P「言う前に振り向いたな?」

春香「あ」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:00:34.86 ID:+GAU8eSI0
P「『後ろを向いた』な?」

春香「あ……ぁ!」

P「ルールに反して……!」

(ズズズズズ)

春香「ど、どうしてええええええ?!」

P「四条の陣に裁いてもらうがいいッ! 悪しき因縁よ!」

(ズオォォォオオオ!!)

春香「あ……うぐ……陣から、腕が伸びてきてぇ……!」

春香「こ、これも全て……」

黒春香「吸収してやるぅ!!!」ズズッ

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:05:53.11 ID:+GAU8eSI0
P「いやダメだろう、それは春香さん転んだで遊んでないしな」

黒春香「えええっ! ずるいですよそんなの!」

P「恨むならハイタッチしちゃった自分を恨めよ……」

黒春香「いやあああああああ!!!!」

(シュルルン)

P「うぉっ、春香から変な黒井の出て来た! 社長か?!」

黒春香「あ、うぅ……どこに、連れてかれるの……」

P「貴音に聞け」

(キュポン)

P「ふー、持ってて良かった47巻」

P「さて、なんか変な黒井のは陣の中に消えたけど」

春香「……」

P「どうしよう……春香がクリーチャーのままや……」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:10:41.04 ID:+GAU8eSI0
P「さっきまでの緊迫感が嘘みたいだな……」

春香「……」

P「しかし、春香からの反応がない。これはゆゆしき事態だ」

春香「……」

P「春香さーん、朝ですよ、朝っ!」グイグイ

春香「……」

P「チクショウ、全く反応が返ってこないぞ」

春香「……」

P「なんで貴音さんは開幕速攻食われましたかねぇ……」

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:15:45.82 ID:+GAU8eSI0
P「んー、そういや、願い自体は春香自身のものなんだよなぁ」

P「個性個性って」

春香「…………」

P「……春香さーん」

春香「……」

P「世界各地の状況は……」ピッ

『富士山、本日中にも爆発か』

『太平洋に謎の大陸が浮上』

『火星の生物と交信成功』

『スフィンクス、大きすぎる為試験断念』

P「なんくるねぇな」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:20:33.32 ID:+GAU8eSI0
P「春香の個性ってなんだっけ……」

春香「……」

P「転ぶこと……?」

春香「……」

P「……足払いっ!」

(ドンガラガッシャン!)

P「なんて奴だ……意識を失いつつもあざとい転び方を……!」

P「やっぱり春香、お前は天性の転びニストだよ!」

春香「……」

P「見ろ、『春香さんが転んだ』を終え、転んだのは春香さん一人だぞ!」

P「つまり、転ぶということは、春香さんの個性だったんだよ!」

P「な、なんだってーーーー?!」

P「……虚しい」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:25:29.25 ID:+GAU8eSI0
春香「……」ピカァ

P「ん……? 春香の身体が光り始めた……?!」

(カカッ!!)

P「うわぁっ!?」

(ポポポポポポポポポポポポポポンッ!)

P「な、なんだ?!」

春香’s「……」

P「……春香が15人に分裂している……」

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:31:04.93 ID:+GAU8eSI0
P「良く見ると、春香の外見がそれぞれ違う……」

P「……! 個性が分配されている!」

春香「……」

P「こっちは凸!」

春香「……」

P「こっちは顔が黒い!」

春香’s

P「まとまっていた個性が、それぞれに分かれたのか……」

春香’s「……」ムクムクムクッ

P「! 春香たちが膨張し始めたぞ!」

P「そ、それぞれが、それぞれの個性元と同じサイズに……!」

春香’s「……」

(パパパァンッパパパパァンパパパパァンパパァンパァンッッ!!!!)

P「は、破裂したぁぁぁあああ!!!?」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:36:22.93 ID:+GAU8eSI0
P「な、なんだ!? 全部、全部空気嫁だったのか? 空気春香だったのか!?」

千早「……う、うぅ……私は……?」

P「千早!?」

千早「プロデューサー……私、いままで、何を……?」

P「良かった……無事だったのか……!」

律子「うー、頭がキーンとする……」

P「律子も!」

(イタタタ…)

(オワッタノ…?)

(ジムショ…ヨネ…)

P「みんな……みんな!」

P「そうか、春香の繭の中で成長し、それが弾けて、みんなが羽化したんだな……!」

千早「ちょっと何言ってるのかよく分からないです」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:41:19.13 ID:+GAU8eSI0
春香「……う、うぅ……」クラッ

P「春香!」ダッ

春香「プロデューサー……?」

P「春香……俺達が悪かった……お前の、お前のアイデンティティを、否定したりしたから……!」

春香「そ、そんなことないです……悪いのは、私だったんです……」

P「春香……お前、さっきまでのことを覚えて……!」

春香「私、みんなに酷いことしちゃったんです! みんなを怖がらせて、煽って、跪かせて……!」

P「最後の話は初耳だ」

春香「こんな私を、みんなが許してくれるはずが……」

春香「私なんて、さっきの黒い私と一緒に消えてしまえば良かった……!」

千早「何を言ってるの、春香!」

春香「千早ちゃん……」

千早「みんな、春香を助けるために必死だったのよ! 消えればよかったなんて、言わないで……!」グスッ

春香「ぢばや゙ぢゃ゙あ゙ん゙……!」

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:45:56.04 ID:+GAU8eSI0
貴音「急遽いい話風にまとめ、これにて、一件落着、ということですね」

P「ああ、これがプロデューサーの手腕だ。ところで、あの陣に吸い込まれると、どこに行くんだ?」

貴音「ふふふ、知りたいですか? “贖罪の行く末”を……」ニヤァッ

P「?! け、結構です!」ゾクゥッ

P(今の貴音の気配はなんだったんだ……あと一歩踏み込んでいたら、殺られていた……!)

春香「……プロデューサーさん、ごめんなさい!」

P「過ちを気に病む事は無い。ただ認めて、次の糧にすれば良い」

春香「プロデューサーさん……でも、ごめんなさい」

P「はは、だから謝らなくていいと」

春香「プロデューサーさんの方が私より個性がないのに、こんなこと気にして……!」

P「」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:50:17.93 ID:+GAU8eSI0
春香「でも、あの黒い私はどこに行ってしまったんでしょう……」

千早「薄らと覚えているわ……あの、陣に吸い込まれた春香の姿……」

P「春香本人ではないとはいえ、少し心が痛むな」

春香「……あながち、他人だとも思えないんです」

千早「え?」

春香「きっと、あの黒い影は、私の奥底に居た……」

P「……よそう、そんな話は」

春香「でも!」

P「せっかく解決したんだ。今日は、いい気分で帰ろう」ニカッ

春香千早「「プロデューサー」さん……!」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 02:55:31.44 ID:+GAU8eSI0
千早「ではお腹が空いたので夕食に行きましょう」

春香「勿論奢ってくださいね」

P「ははは、仕方のないやつらだ。今日は俺が食わせてやろう」

春香「はいっ! プロデューサーさん、夕食ですよ、夕食っ!」

春香「ひゃわわっ?!」ズルッ

(ドンガラガッシャン!)

春香「いたたた……は、春香さんが転んじゃいました……」

P「全く、春香はまた転んだのか。慌てすぎだぞ!」

千早「もう、ドジなんだからっ!」

全員「「「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!」」」

春香(ああ、そうだ……!)

春香「ここが、私の居場所なんだ……!」

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 03:00:54.27 ID:+GAU8eSI0
黒春香「……うぅ……」

(グツグツ)

黒春香「熱いよぉ……」

(グラグラ)

黒春香「こんなの、聞いてないよ……」

(ゴォォォオオッ)

黒春香「熱いよ……辛いよ……」

(ザンッザンッザンッザンッ)

黒春香「プロデューサーさぁん……!」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 03:05:54.72 ID:+GAU8eSI0
(ペラッ)

P「味噌ラーメンお願いします」

春香「私はチャーシューメン!」

千早「じゃあ……煮卵ラーメンで……」

黒春香「はい、ただいま……ってプロデューサーさん!?」

P「お、お前!?」

春香「黒い私!?」

千早「ど、どうしてこんな場所で……」

黒春香「……ぐすっ、陣に吸い込まれたらぁ……」

貴音『あなたは、わたくしが満足する一杯ができるまで、無料でラーメンを作り続けるのです』

黒春香「って……!」

(グツグツ)

黒春香「私はお菓子専門なのに……」

126: さるった 投稿日:2012/12/14(金) 03:22:27.61 ID:+GAU8eSI0
P「満足する一杯が完成したらどうするんだ」

黒春香「え、私のとこに戻りますけど」

春香「えっ」

千早「えっ」

P「えっ、お前悪しき因縁なんじゃないの?」

黒春香「えっ、言ってることがよく分かりませんけど、私は私の素ですよ?」

春香「……」

P「え、悪しき因縁のせいで黒くなったんじゃ」

黒春香「ダークサイドにそそのかされましたけど、事務所での言動のベースは素ですよ」

春香「……」

P「春香……」

春香「のワの」

P「随分と個性豊かじゃないかお前」

129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 03:34:14.36 ID:+GAU8eSI0
黒春香「あ、ラジオ付けますね」プチッ

『えー、世界の異変は急速に収束しつつある模様です』プツッ

『ISSが存在した衛星軌道上に、エッフェル塔が確認されたとのことです』プツッ

『クレムリンはUFOとの関与を否定』プツッ

『本日未明より、スフィンクスの婚約会見が……』プツッ

P「……なんとかなりそうだな」

千早「ええ、なんとか」

春香黒春香「「……」」

P「……ラーメン、食おうか」

千早「ええ……」

黒春香「……どうぞ」トンッ

(ズルッ)

P「……美味しくない」

黒春香「はい……」

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 03:43:08.62 ID:+GAU8eSI0
(prrrrr)

P「あ、電話か」

(ピッ)

P「もしもし」

高木『わ、私だ』

P「社長、震え声でどうしたんです?」

高木『君たちに伝えねばならんことがあってな……』

P「はぁ」

高木『……昼間、株価が暴落しただろう?』

P「ええ」

高木『我が765プロもそのあおりを受けてな……』

P「何か不味いことでも……?」

高木『倒産だ』

P「えっ」

高木『倒産だ』

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 03:51:01.79 ID:+GAU8eSI0
P「……」ピッ

千早「何か……?」

P「春香さんが転んで765プロが倒産した」

千早「えっ」

P「俺は明日から職無しだ……」

千早「そ、そんな……!」

春香「だ、大丈夫ですよプロデューサーさん!」

P「春香……?」

春香黒春香「「わ、私が、養いますから!」」ドッギャ~ン!

P「お前……!」

黒春香「このラーメン屋台でも!」

春香「どこかの事務所に移籍して、頑張ってでも!」

春香黒春香「「絶対に、幸せにしてみせますから!」」

P「春香ぁ……! 俺は、お前の担当になれて、本当に幸せだ……!」

千早「良かったですね、ヒモプロデューサー……!」グスッ

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 03:57:35.85 ID:+GAU8eSI0
P「俺だって、きっと手に職見つけて……春香の、生涯のプロデューサーになってやるからな!」

千早「ぐすっ……いい話ね……!」

春香黒春香((えへへ、プロデューサーさん……大好きです!))

春香黒春香「「ククク、計算通り……あっ」」

P千早「「えっ」」

春香黒春香「「…………」」

春香黒春香「「きゃっ! 転んじゃったぁ!」」ドンガラガッシャン!

(バシャァン!)

P千早「「あっつ!!?」」ビッシャァ!

春香黒春香「「えへへ、可愛い可愛い春香さんが転んじゃいましたよ!」」

P千早「「…………」」ビチャビチャ

春香黒春香「「のワの」」

P「ちょっと表出ろ」

おしまい

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/14(金) 04:03:00.22 ID:+GAU8eSI0
タイトルだけで見切り発車するとこういうことになります、オチ未定投下はしてはいけない(戒め)
あと貴音のらぁめんをラーメンにしてしまった
こんなのに遅くまで付き合わせてすまんかった、乙

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