【天海春香SS】春香「プロデューサーさんって弱いよね」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 17:48:50.95 ID:Fe9Sk9Q10
千早「春香?」

春香「前から不思議だったんだ。なんであんなに弱いのかな?」

千早「……急にどうしたの?」

春香「いや、だから、弱いなーって」

千早「確かに、プロデューサーは少し頼りないかもしれないわ」

千早「だけど、私たちを力強く支えてくれてること、春香も知ってるでしょ?」

春香「え!? ち、違うよ、千早ちゃん!」

千早「何が違うの? プロデューサーは雑草よ」

春香「雑草!?」

千早「あっ、今のはその、力強さの例えで……」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 17:53:36.52 ID:Fe9Sk9Q10
春香「もう、びっくりさせないでよ…」

千早「それは私のセリフだと思うわ」

春香「あのね、私が言ってるのはジャンケンのことだよ、ジャンケン」

千早「じゃんけん?」

春香「そうそう。帰る前に、よくプロデューサーさんとジャンケンするよね?」

千早「プロデューサーが運試しって言ってるあれのこと?」

春香「うん。千早ちゃんって、プロデューサーさんに負けたことある?」

千早「プロデューサーに?」

春香「うん。私、一度も負けたことないんだ」

千早「……私もないわね」

春香「やっぱり。いつも私たちが勝つんだよ。不思議じゃない?」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 17:58:39.80 ID:Fe9Sk9Q10
千早「言われてみればそうね。プロデューサーは運がないのかしら?」

春香「うーん、特に不運なイメージないけど……」

千早「ぷふっ、は、春香、今のうーんって、ふふふっ」

春香「ダジャレじゃないよ! 心外だよ! 本当にやめて!!」

千早「はぁはぁ……でも、運のない人にプロデュースされるのは考えものね」

春香「実力だけの世界じゃないから、少し不安になっちゃうね」

千早「ふふ、心配する必要はないわ。プロデューサーの運の無さは、ジャンケンに限ったことだから」

春香「えっ、どうして?」

千早「プロデューサー、この前、商店街の福引きでお米を当てたみたいよ。高槻さんが喜んでたわ」

春香「へー。そういえば、懸賞によく応募してるね。この前も、自転車が当たって喜んでたし」

千早「それなのに、ジャンケンが弱いってことは」

春香「負け癖が染み付いてるのかな?」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:02:10.41 ID:Fe9Sk9Q10
千早「きっと、小さい時から弱かったのよ」

春香「あれだけ弱いと、一種の才能だね」

千早「まったくうらやましくないわね」

春香「……プロデューサーさん、ちょっとかわいそうかも」

千早「どうして? ジャンケンで負けて損することなんてあるかしら?」

春香「今はないのかもしれないよ? でも子供のころなら、ジャンケンの弱さは致命的だよ」

千早「……確かにそうね。ジャンケンで何かを決めることは多かったと思うわ」

春香「ジャンケンより公平な手段はないからね」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:06:19.56 ID:Fe9Sk9Q10
春香「ジャンケンで決めることって何があったかな?」

千早「すぐに思いつくのは給食のおかわりね」

春香「あっ、わかるわかる! 学校休んだ子がいた時のデザート戦争だね!」

千早「人気のおかずが余ってる時もジャンケンしてたわ。私は参加したことないけど」

春香「プロデューサーさんは参加しただろうね! でも、何も得られずがっかりしながら席に戻るんだよ……」

千早「小学生のプロデューサー……」

春香「千早ちゃん?」

千早「え? ええ、確かに気の毒ね」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:12:37.21 ID:Fe9Sk9Q10
春香「……そうだ!」

千早「どうしたの?」

春香「プロデューサーさんは、ジャンケンで負けて損をしてません!」

千早「えっ? 何?」

春香「ほら、ジャンケンが弱いことをポジティブに解釈してあげるんだよ!」

千早「……時々、春香の言ってることがわからないわ」

春香「えっ、わからない? たとえば……」

春香「プロデューサーさんは、給食を食べ過ぎず、健康的な食生活を送れました! とか?」

千早「なるほど。プロデューサーがスリムでいられるのも、ジャンケンが弱いおかげってことね!」

春香「そういうこと!」

千早「プロデューサーがジャンケン弱者でよかったわ!」

春香「本当だね!」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:19:13.71 ID:Fe9Sk9Q10
千早「他にジャンケンで決めることといえば……」

春香「あ、思い出したよ!」

千早「何?」

春香「えっとね、私のクラスはジャンケンで学級委員を決めてたんだ」

千早「それはいいのかしら?」

春香「良くないかもしれないけど、誰も立候補しない時は仕方ないからって」

千早「誰かが手を挙げるまで、黙って待ってるのは苦痛よね」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:25:33.11 ID:Fe9Sk9Q10
春香「さすがに全員でジャンケンはしなかったよ。まずは何人か推薦されて」

千早「そのあとで決めるのね。プロデューサーは、人がいいから推薦されたでしょうね」

春香「そしてジャンケンに負け、晴れて学級委員に!」

千早「ふふふ、嫌々ながらも、なってしまった以上はちゃんと働いたと思うわ」

春香「そして、いつの間にか責任感とリーダーシップを手に入れるんだよ!」

千早「その時の経験が、今のプロデュース業にもいかされてるのかしら?」

春香「プロデューサーが敏腕でいられるのも、ジャンケンが弱いおかげだね!」

千早「ジャンケンが弱い星の下に生まれたことを、プロデューサーは感謝すべきね!」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:26:38.58 ID:Fe9Sk9Q10
—–

春香「……ということです、プロデューサーさん!」

P「どういうことだよ。近づいてきたと思ったら急に漫才始めて」

千早「えっ、漫才ですか?」

P「二人はあるあるネタでM-1にでも出るのか? 正直、一回戦突破も難しいぞ」

春香「違いますよ! 私はともかく、千早ちゃんは芸人じゃありません!」

P「別に春香も芸人じゃないから」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:34:53.56 ID:Fe9Sk9Q10
P「で、なんなんだ? 目の前でいきなり、弱者とか雑草とか言われた俺はどうすればいい?」

春香「ジャンケンで負けることの素晴らしさ、わかってもらえましたか?」

千早「もう悩まなくていいんですよ。プロデューサー」

P「悩んでないから。悪いけど、俺はジャンケン弱くないぞ」

春香「またまた~」

千早「恥ずかしがらなくてもいいんですよ」

P「いや本当だって。それで、話は終わりか?」

春香「ふっふっふ。ジャンケンの弱いプロデューサーさんに、朗報ですよ、朗報!」

千早「来週、お休みありましたよね?」

P「ああ、例の765プロ設立記念日だろ?  社長が急に休みにするって」

春香「そう、ジャンケンで負けるとアイドルとその日にお出かけできるんです!」

千早「良かったですね!」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:38:08.30 ID:Fe9Sk9Q10
P「……アイドルってお前たちか?」

千早「当然です」

春香「嬉しいですか?」

P「世間的にはそうかもな。だが、俺は給料日前だから出費は控えたいんだ」

春香「私は今月の電話代が大変なことになってますけど、頑張ります!」

千早「私はもっと食費を切り詰めれば、いえ、食事しなければなんとか」

P「あ、コレは奢らされるわ」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:45:20.80 ID:Fe9Sk9Q10
春香「では、代表して、天海春香いきます!」

P「ジャンケンからは逃れられないのね」

春香「ふふ、サクッと負けちゃってください! 準備はいいですか?」

P「はいよ」

春香「せーのっ、じゃーんけん……ぽんっ!」

春香「って、私の勝ちに決まって……」

春香「え?」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 18:52:13.01 ID:Fe9Sk9Q10
P「よしっ、俺の勝ちだな?  じゃあ、この話は無かったことに」

春香「ま、待ってください!」

P「ん?」

春香「プロデューサーさんには、負けてもらわないと困るんですっ!」

P(俺が勝てば解決じゃないのか?)

春香「千早ちゃん!」

千早「ええ、わかってるわ、春香。プロデューサー、私の相手をお願いします」

P「……いいけどさ、負けたら挑戦権ないからな?」

千早「ええ、チャンスは一度で十分です」

P「そうか、じゃあいくぞ?」

千早「はい。では、じゃんけん……ぽんっ!」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 19:00:53.70 ID:Fe9Sk9Q10
千早「くっ、そんなはずは……」

P「残念だったな。じゃあ俺は仕事の続きを」

春香「ど、どうしよう、千早ちゃん!」

千早「ええ。このままでは、プロデューサーはトラウマに苦しめられたままね」

春香「こうなったら……」

千早「最後の手段ね……」

千早「コホン、あー悔しいわ! ジャンケンに勝つと、プロデューサーとデートできたのに!」

P「千早!?」

 ガタッ ガタガタッ ガタッ

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 19:10:10.96 ID:Fe9Sk9Q10
真美「真美参上! 兄ちゃん、真美にもジャンケンする資格あるよね!」

P「いや、えっと……おい千早!」

千早「ふふ、困りましたね、プロデューサー」

美希「ハニー、ショッピングに行こ? ミキは指輪が見たいの!」

貴音「あなた様をお連れしたいらぁめん屋があります」

真「プロデューサー自転車持ってましたよね? サイクリングに行きましょうよ!」

雪歩「や、焼肉が食べたいですぅ!」

やよい「うっうー! もやし祭りに招待しちゃいますっ!」

響「じ、自分は、えーっと、どうしよう? 勝ってから決めるぞ!」

春香「はーい、一列に並んで下さーい」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 19:18:40.99 ID:Fe9Sk9Q10
—–


P「はい、お疲れさん」

美希「み、ミキが負けるはずないの…」

真美「ザコキャラの兄ちゃんはどこ行っちゃったの!?」

真「うーん、油断したかなぁー」

雪歩「焼肉……」

やよい「残念でしたっ!」

P(正直、負けても問題なさそうなのもあったが、ひいきはダメだよな)

P「あはは、今日は運がいいのかもな。さて、資料作りを」

 ガチャ

竜宮組「ただいま戻りました!」

P「おう、お疲れ様」

伊織「……いったい何の騒ぎ?」

春香「えへへ、実はね!」

P「あっ、まずい」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 19:26:25.71 ID:Fe9Sk9Q10
—–

P「危なかった……」

亜美「兄ちゃんは弱いって真美から聞いてたのに~!!」

あずさ「あら~、惜しかったわ~」

伊織「私に勝つなんて……なかなかやるわね♪」

律子「うーん、ちょっとデータが足りなかったか。お見事です、プロデューサー殿!」

P「あはは……」

P(竜宮組は完全に運だった…)

P「でも、これでみんな終わったな? 今度こそ仕事を」

小鳥「……あ、あの~」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 19:34:01.35 ID:Fe9Sk9Q10
P「……音無さん、まさか」

小鳥「いやー、私もお願いしちゃったりして」

P「いや、しかし……」

亜美「いいんじゃない? どうせ兄ちゃんの勝ちっしょ」

貴音「本日のプロデューサーは、圧倒的な強さを誇っています」

やよい「不公平はいけませんよ!」

P「うっ……わかりました。では、じゃーん、けーん……」

小鳥「ぽんっ!」

P小鳥「「あっ」」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 19:45:08.93 ID:Fe9Sk9Q10
春香「プロデューサーさんの勝ちですか? なんだ、本当に強かったんですね!」

響「ち、違う! 勝ったのはぴよ子だぞ!?」

春香「えっ!? ど、どうしてプロデューサーさんが負けちゃうんですか!」

P「今日の春香はどうしちゃったんだ? 言ってることが無茶苦茶じゃないか?」

小鳥「ええっと……どうしましょう?」

P「いいですよ、約束ですから。それに、音無さんと出かけるのは、なんだか楽しそうですね」

小鳥「ピヨッ!? ……でも、ピンチなんですよね? ご馳走していただくわけには……」

P「では、カッコ悪いですけど、今回だけは割り勘でもいいですか?」

小鳥「ふふ、気を使っていただかなくても大丈夫ですよ……って、あら? 今回っていうのは…」

P「ええ、それとは別の日に、あらためてご馳走したいと思ったんですけど……ダメですか?」

小鳥「ぜ、ぜひっ!!」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 19:53:23.51 ID:Fe9Sk9Q10
春香「……」ポカーン

千早「ねえ、春香」

春香「……何?」

千早「私、ジャンケンは運だけでなく、駆け引きも重要だとわかったわ」

春香「そっか。そうだね。プロデューサーさんは駆け引き上手だね」

千早「もう、落ち込まないの。春香にはまだ、大事な仕事が残ってるでしょ?」

春香「あ、そうだった! メインヒロインのお仕事が残ってたんだ!」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/12/10(月) 20:01:40.19 ID:Fe9Sk9Q10
—–

春香「えー、コホン。アイドルマスターをご覧のみなさん! 今週は小鳥さんエンドという誰得な展開でしたね……」

春香「次回はもっと頑張りますっ! メインヒロイン天海春香の活躍を楽しみに待っててください!」

春香「よーっし、では、張り切っていきますよ~?」

春香「じゃん!けん!ぽん……ってうわあぁ!!」

ドンガラガッシャーン

千早(……あざとい)

終わり

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