1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:04:04.17 ID:QoVNHx2R0
P「はっ?」
美希「恋だよ、恋。恋してないの?」
P「な、何を言い出すんだ急に」
美希「…………」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:06:31.33 ID:QoVNHx2R0
P「……な、なんだよ。じーっと見て……」
美希「……ふふっ」
P「?」
美希「ミキ、分かっちゃったの。プロデューサーは恋してる、って」
P「は、はあ? な、何を根拠にそんなこと」
美希「ほら、その証拠にスッゴク慌ててるの」
P「なっ……」
美希「あと、カオも真っ赤なの」
P「えっ!?」バッ
美希「ウソなの」
P「…………」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:09:40.87 ID:QoVNHx2R0
美希「ふふっ。ね、ミキの目は誤魔化せないの」
P「……ふん。別に、美希には関係ないだろう。俺が恋していようがいまいが」
美希「確かに関係無いけど、折角だから誰に恋してるかも当ててあげるね」
P「は、はあ? な、何を言って……」
美希「はい! 今のでもう大体分かったの!」
P「う、ウソつけ。そんなハッタリ……」
美希「ハッタリじゃないもん。だってそれ、うちの事務所の人でしょ?」
P「!」
美希「ほらその顔。図星なの」
P「…………」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:12:44.85 ID:QoVNHx2R0
美希「もしミキの知らない人だったら、当てるって言われただけで動揺するはずないの。だって当たるわけないんだから」
P「う……」
美希「プロデューサーは、ミキが本当に当てちゃうかもって思ったから焦ったの」
P「…………」
美希「で、ミキとプロデューサーの共通の知り合いで、プロデューサーが恋しちゃうくらい近い位置にいる人なんて、もうこの事務所にしかいないの」
P「…………」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:15:44.54 ID:QoVNHx2R0
美希「……以上の推理をもとに、プロデューサーの年齢とかを考えて導き出される結論は――……」
P「音無さんだよ」
美希「そう、こと――って、先に言っちゃやーなの!」
P「ふん。せめて一矢は報いさせてもらったぞ」
美希「もう……プロデューサーったら大人気ないの」
P「美希が俺をからかうのが悪い」
美希「ちぇっ。なの」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:19:34.98 ID:QoVNHx2R0
美希「まあでもやっぱり小鳥だったかあ。律子だとちょっと年が離れちゃうもんね」
P「まあ、別に年が近いからっていう理由でもないけどな……」
美希「でも、流石にミキ達アイドルには恋しないでしょ?」
P「まあ……なるべくそういう意識は持たないように気を付けてる、いや、付けてたかな」
美希「付けてた? 過去形なの?」
P「うん。だって今はもう……」
美希「ああ、もう想い人がいるからってことなの」
P「ま、まあ……」
美希「お熱いねー」ニヤニヤ
P「い、いいだろっ、もう……」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:22:44.23 ID:QoVNHx2R0
美希「で? で? いつから小鳥のこと好きになったの?」
P「ええ? も、もういいだろこの話は……」
美希「ここまで来たら乗りかかった船なの!」
P「それなんか使い方違わないか? 大体他の人に知られたら……」
美希「大丈夫大丈夫! ミキはこう見えても口は堅い方なの!」
P「イマイチ信用できないんだが……。まあ、別にそんな大層な話でもないからいいか」
美希「やった!」
P「でも、絶対に皆には内緒だぞ?」
美希「うんうん」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:26:19.53 ID:QoVNHx2R0
P「まあ厳密にいつから、って言われてもはっきりとはいえないんだが……」
美希「いつの間にか、ってカンジ?」
P「そうだなあ……最初はまあ、普通の同僚って感じで……」
美希「可愛いとは思ってた?」
P「……それは、まあ」
美希「思ってたんだ~」ニヤニヤ
P「いや、音無さんを見てそう思わん男はいないと思うぞ……」
美希「まあそうだよね~。で、それからそれから?」
P「うん。まあ仕事柄、一緒に残って事務作業したり、仕事終わりに飲みに行くこともそれなりにあって……」
美希「酒の勢いでガバッと!?」
P「んなわけないだろ」
美希「一応お約束かなって」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:31:03.64 ID:QoVNHx2R0
P「それでまあ、なんとなく良いなーって思うようにはなってたんだ」
美希「ふむふむ」
P「で、あれは確か……そうだ。美希達がここまでの人気アイドルになるきっかけになった、あの765プロオールスターライブのとき」
美希「ああ、うん」
P「あのときの仕事量は、そりゃもう尋常じゃないくらいでな……方々との連絡やら交渉やらでもうてんてこ舞いだったんだ」
美希「そうだろうね……」
P「それで、俺も音無さんも、もうほとんど連日、終電ギリギリまで事務所に残って仕事してたんだ」
美希「それでついに終電を逃した二人が!?」
P「だから、んなわけないだろ」
美希「まあ一応お約束かなって」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:36:24.96 ID:QoVNHx2R0
P「それで、いよいよライブまで一週間を切った頃のある日、夜の11時くらいだったかな?」
美希「ドキドキなの」
P「俺も流石にもう疲労が溜まってて、やらなきゃいけないことはまだ山積みなのに、全然仕事が進まなくてな」
美希「うん」
P「あーもうしんどい、もう無理! って思って、パソコンの画面から顔を上げると……音無さんと目が合ったんだ」
美希「目と目が逢う~♪」
P「茶化すんならもうこの話はおしまい」
美希「ああっ、冗談なの!」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:41:45.39 ID:QoVNHx2R0
P「ったく……それで、音無さんと目が合って……」
美希「うんうん」
P「音無さん、自分も疲れてるはずなのに……いつもと同じ、いや、いつも以上に良い笑顔で……俺に、微笑んでくれたんだ」
美希「…………」
P「その瞬間、たったそれだけのことなのに……俺はすごくほっとしたんだ」
美希「…………」
P「お互い、言葉も交わさず、ただ一瞬目が合い、微笑んでもらっただけなのに……な」
美希「……それが、小鳥を好きになった理由なの?」
P「……うん。多分」
美希「多分?」
P「いや、そのときはそこまで意識しなかったけど……でも、その日以降、気が付けば音無さんのことをよく考えるようになったから……」
美希「……へぇ」
P「だから多分、俺はあの時……彼女に恋をしたんだと思う」
美希「…………」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:45:40.68 ID:QoVNHx2R0
P「はは、なんていうか……改めて言葉にすると恥ずかしいな、やっぱり」
美希「…………」
P「な、なんだ。黙りこくって。もうこれ以上は何もないぞ?」
美希「ミキ、やっぱりよく分かんないの」
P「え?」
美希「疲れてる時に微笑んでもらって、それで好きになっちゃうんなら……別に、小鳥じゃなくても良かったんじゃないの?」
P「…………」
美希「たとえば律子とかでも、さ」
P「……まあ、そりゃ絶対そうならなかったとは言い切れないけど」
美希「ほら!」
P「まあでも、なんていうかな、あの時、ただほっとしただけじゃなくて……こうも思ったんだ」
美希「?」
P「『ああ、このままこの人と一緒にいたいな』って」
美希「…………」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:50:42.06 ID:QoVNHx2R0
P「美希はさ、すっごくしんどい時や疲れてる時ってどうしてる?」
美希「んー……寝るかな」
P「……まあ、そうだろうな」
美希「だって疲れを取るには寝るのが一番なの」
P「それはその通りなんだが、もしすっごくしんどくても、寝ないでやらなきゃいけないことがあったら、どうする?」
美希「えぇー……そんなの、想像したくないの」
P「まあたとえばの話だから」
美希「んー……まあ、やらなきゃいけないんなら、しんどくてもやるんじゃないかな?」
P「そういうときに、誰かと話したり、傍に居てほしいって思ったりするか?」
美希「うーん……あんまり思わないかな。自分がすごくしんどいときに、誰かと話したり、一緒に居たりするのは余計に疲れちゃうの」
P「まあ、そうだろうな。実は俺も、そうだったんだ」
美希「? どういうこと?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 00:57:45.25 ID:QoVNHx2R0
P「……俺、実は学生の頃に付き合ってた彼女がいたんだけど」
美希「今日はエイプリルフールじゃないよ?」
P「お前な……」
美希「あはっ。冗談なの。それで?」
P「うん。そのときの彼女とも、まあまあ上手くやってたんだけど」
美希「……けど?」
P「俺が就職活動とかですごく疲れてるとき、彼女と一緒に居て、『ああ、なんかしんどいな』って思ってる自分に気付いたんだ」
美希「…………」
P「それと同時に、彼女と一緒に居ないとき、自分一人でいるときの方が『楽だ』と感じてる自分にも気付いた」
美希「……それで、別れたの?」
P「……うん。後で聞いたら、彼女も同じように感じてた、ってさ」
美希「……ふぅん」
P「それでまあ、さっきの音無さんの話に戻るんだが……」
美希「……小鳥とは、しんどいときに一緒に居ても、しんどくない、ってこと?」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 01:00:53.15 ID:QoVNHx2R0
P「それはそうなんだが……それだけじゃない。いや、それ以上というか……」
美希「? 何なの?」
P「『しんどいときにこそ一緒に居たい』……そう、思えたんだ」
美希「しんどいときに、こそ……」
P「ああ。一緒に居てしんどくないってだけじゃない。しんどいからこそ、一緒に居たいんだ」
美希「…………」
P「……って、何熱く語ってるんだ、俺。カッコ悪いな……」
美希「……ううん」
P「美希」
美希「カッコ悪くなんて、ないよ」
P「…………」
美希「今のプロデューサー、ちょっとカッコ良かったの」
P「美希……」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 01:09:14.92 ID:QoVNHx2R0
美希「あはっ。もしも……」
P「? 何だ?」
美希「もしも……これが違う世界のお話だったら、ミキ、プロデューサーのこと……スキになってたかも」
P「え、ええっ!? そ、それはマズいぞ美希! だって俺達はプロデューサーとアイドル……」
美希「もう! だから違う世界のお話だったら、って言ったの!」
P「あ、ああそうか……いや、それならいいんだ」
美希「もう……美希に惚れられて迷惑がる男なんて、世界中探してもプロデューサーくらいなの」
P「ああいや、迷惑なんてとんでもない。身に余る光栄だよ」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 01:10:19.25 ID:QoVNHx2R0
美希「……なんかウソっぽいの」
P「ウソじゃないって」
美希「……ふふっ。まあでも、なんかそんな気がしたの。もし違う世界で出会っていたら、って」
P「……もしそうなら、その世界の俺は幸せ者だな」
美希「そう?」
P「そりゃそうだよ。今や日本中にその名を轟かせているトップアイドルに好いてもらえるなんて、男としてそれ以上の幸せはないだろう?」
美希「……でも、こっちの世界のプロデューサーにとっては、それ以上の幸せがあるんでしょ?」
P「……まあ、な」
美希「…………」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 01:16:20.46 ID:QoVNHx2R0
P「……っと。もうこんな時間か。そろそろ行かないとな」
美希「待って、プロデューサー」
P「ん? 何だ美希。お前ももうすぐ仕事に……」
美希「まだ、一番肝心なことを聞いてないの」
P「え?」
美希「これからどうするの? ……小鳥のこと」
P「それは……」
美希「好きですって、言わないの?」
P「…………」
美希「…………」
P「……今はまだ、な」
美希「! どうして?」
P「今、ようやく765プロは軌道に乗り始めたところだ。俺が変な事を言って、音無さんの仕事に支障を出すわけにはいかないだろう」
美希「! そんな……そんなこと言ってたら……」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 01:21:28.86 ID:QoVNHx2R0
P「……大丈夫」
美希「えっ」
P「いつになるかは分からないけど……いつか必ず言うよ。俺の口から、好きです、って」
美希「…………」
P「だからまあ……それまではそっと見守っておいてほしいというか……」
美希「……ふふっ」
P「? 美希?」
美希「そんな悠長なこと言って、他の人に取られちゃっても知らないの」
P「なっ!? こ、怖いこと言うなよ美希……いやまさか、小鳥さんに限ってそんなことは……」
美希「クスクス」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 01:26:18.46 ID:QoVNHx2R0
P「っと、そろそろ行かないと本当にヤバい! じゃあな美希! あ、このことは他言無用で!」
美希「はいはい、わかってるのー」
P「サンキュー美希! それじゃ、また後で!」ダダッ
美希「…………」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/22(月) 01:28:00.51 ID:QoVNHx2R0
美希「…………」
美希「一人になったら、急に静かになっちゃったの」
美希「…………」
美希「……恋、かぁ」
美希「…………」
美希「ミキもいつか恋、するのかな?」
美希「…………」
美希「大好きは~にぃ~♪」
美希「…………」
美希「……なーんて、ね」
了