1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:17:36.05 ID:9IzpATZU0
今更バレンタインかよと思われるかもしれませんがw
伊織SSです
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:20:39.37 ID:77Fk99cR0
はよ
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:21:13.44 ID:9IzpATZU0
2月14日
伊織「ふぅ。やっと仕事終わったわね」
いつもは竜宮小町で仕事をしている私だけど、今日は一人で収録なの。
今度やるっていう連続ドラマの撮影なんだけど、ここんとこ毎日で、正直疲れたわ。
伊織「あら?もうこんな時間なの?急がなきゃ」
気がつけばもう午後6時。もう、今日は特別な日だっていうのに。
あの番組ディレクターのせいで時間がかかってしまったじゃない。
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:22:49.70 ID:9IzpATZU0
ガチャ、バタン!
伊織「765プロまで急ぐわよ。途中で寄りたいところがあるんだけど」
新堂「承知しております。では、少々急ぎますゆえ、シートベルトを」
伊織「分かってるわよ」
新堂の車に乗って、大急ぎで765プロを目指す。予約していたアレを持って、ね。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:24:31.77 ID:9IzpATZU0
新堂「少々お待ち下さい。例のものをお持ちいたします」
伊織「いいわよ。私がとりに行くわ」
新堂「しかし」
伊織「これくらい大丈夫よ。アンタは車に乗ってなさい」
新堂「……かしこまりました」
店に着いたようね。車から降りた私は自動ドアをくぐり、店内へと入る。いい匂いね。
店員「いらっしゃいませー」
伊織「水瀬です。予約していたチョコレートティラミスをお願いするわ」
店員「水瀬様ですね。少々お待ち下さい」
にひひっ。これでアイツも大喜び間違いなしね。
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:26:20.09 ID:9IzpATZU0
新堂「よろしいですかな?」
伊織「ええ。全速力でお願い。ただしケーキが崩れないようにしなさい」
新堂「かしこまりました」
イルミネーションの街道を、新堂の車は駆け抜けて行く。すぐに765プロが見えてきた。
時刻は……午後6時30分。流石に帰ってはいないでしょうけど、事務所にアイツは
いるかしら?
新堂「到着でございます」
伊織「ありがとう。迎えはよこさなくていいわ。律子に送ってもらうから」
新堂「かしこまりました」
車から降りると、新堂の車は安全運転で帰って行った。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:28:39.71 ID:9IzpATZU0
トテトテトテ、ガチャリ
伊織「戻ったわよ」
やよい「あ、伊織ちゃん!おかえりなさーい!」
小鳥「お疲れ様。一人大変だったでしょう?」
律子「ごめんなさい。あずささんの撮影でトラブっちゃって、迎えに行けなかったのよ」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:30:12.32 ID:9IzpATZU0
あずさ「ごめんなさい~。今度、何か埋め合わせをさせてね」
伊織「いいわよそんなの。それより、アイツはいるの?」
亜美「兄ちゃんなら奥でみんなと話してるYO!」
伊織「ふ、ふーん」
まさかみんないるなんて。ちょっと渡しづらいわね。
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:32:10.88 ID:9IzpATZU0
春香「今日もお疲れ様です。プロデューサーさん!」
P「春香もお疲れ。今日は調子よかったしな」
響「ホント、最初のころの春香の音外しは凄まじかったさー」
春香「え、えへへ。で、でもほら、最近は努力の甲斐あって、少しずつ、ね?」
P「これからも努力だな」
春香「トホホ……あ、そうだ!プロデューサーさん」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:34:10.00 ID:9IzpATZU0
P「ん?」
春香「今日って何の日か知ってますか?」
P「えーと今日は、2月14日……もしかして、チョコレートもらえたりするのか?」
春香「えっへへー。はい、ハッピーバレンタイン!受け取ってください!」
P「お、ホントにくれるのか?嬉しいな」
春香「いつもお世話になってますからねっ」
伊織「…………」
……まあ、春香がチョコレートを作るのくらいは予想できたもの。抜かりはないわ。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:36:09.13 ID:9IzpATZU0
美希「ミキも作ってきたの!……ミキと一緒に、もらってほしいな」
P「……チョコだけもらうよ」
美希「一緒じゃないと、や」
律子「…………」ピキッ
美希「り、律子、さん。ジョーダンだからそんな怖い顔しないで欲しいの……」
律子「プロデューサー!いい加減美希を甘やかすのはやめてくださいっ」
P「俺かよ!?」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:38:03.02 ID:9IzpATZU0
響「うがー!春香も美希もずるいぞ!自分が先に渡そうと思ったのに!」
P「お?響もチョコレート持って来てくれたのか?」
響「え?あ!い、いやべべべ別に!」
P「そ、そうか。違うのか」
響「あ!いや、そうじゃなくて……ああもう!完全にタイミングを逃しちゃったぞー!」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:40:05.40 ID:9IzpATZU0
貴音「響。こういったものはたいみんぐではありません。素直になれば、いつでもその機会はやってくるものです」
貴音「ということで、あ、貴方様……」
P「ん?どうかしたか?」
貴音「は、初めてちょこれーとなるものを、その……つ、作ってみたのですが、ど、どうぞ!」
P「おお!まさか貴音から手作りチョコをもらえるなんて思わなかったな!ありがとう」
貴音「!!」パァアア
響「ああ、貴音まで!……うう、こ、これ!自分も作ったんだぞ!」
P「ありがとう。味わって食べなきゃな」
響「へへーん。貴音と一緒に作ったんだぞ。自分たち、完璧だからな!」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:42:10.84 ID:9IzpATZU0
真美「おーい兄ちゃーん!」
亜美「亜美たちも作ったんだよー!」
P「あはは。二人ともありがとう」
真美「んっふっふー。アレをいれたから兄ちゃんノックアウト間違いなしだね!」
亜美「そうそう!きっと心も体もとろけちゃうYO!」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:44:03.66 ID:9IzpATZU0
P「な、何をいれたんだお前たち……」
亜美真美「食べてからのお楽しみっしょー!」
P「怖いよ!変なもの入ってたら承知しないぞ!」
伊織「…………っ」
……まさか、亜美真美の二人も?作ったってことは、やっぱり、手作りなの……?
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:46:03.25 ID:9IzpATZU0
ガチャリ
真「ただいまー!」
雪歩「ただいま戻りましたぁ」
小鳥「二人ともおかえりなさい。寒かったでしょ?」
真「えへへ。確かに寒かったですけど、ふたりで帰りに肉まん買って食べてきたんです」
雪歩「美味しかったね、真ちゃん」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:47:41.80 ID:9IzpATZU0
真「あのお店の肉まん美味しいんだよね!……あ、プロデューサー!」
P「おお、真、雪歩。お疲れ」
真「はい、これ!」
P「お?あっはは。今日はいっぱいチョコレートもらってるなぁ」
真「ちぇー、やっぱみんな先に渡してたか。まあ、なんてったってバレンタインですから!こっちのピンクの箱がボクので、白い箱が雪歩のですよ」
雪歩「自分で作ったりしたの初めてで……きっとおいしくないと思いますけど、受け取ってもらえますか?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:49:48.31 ID:9IzpATZU0
P「もちろんだよ。あとでじっくり食べる……ん? 春香たちはそっちで何やってるんだ?」
春香「ほら、千早ちゃん。せっかく作ったんだから」
千早「だ、だけど……」
やよい「千早さんのチョコ、とっても上手でしたよ!」
千早「高槻さん……ありがとう!」
やよい「えへへ。実は、春香さんと美希さんに作り方教えてもらって、千早さんと作ったんです」
やよい「とーっても楽しかったんですよー!」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:51:34.89 ID:9IzpATZU0
美希「やよいと千早さんのチョコレート作りをプロデュースなの!我ながらカワイくできたって思うな」
P「美希監修ならハズレはないな」
春香「ほら、千早ちゃん!」
千早「きゃっ、お、押さないでよ春香。わかったから……」
千早「いつもありがとうございます。これ、どうぞ」
やよい「受け取ってください!」
P「ありがとな」
やよい「えへっ。あ、これ、かすみからです!」
P「かすみちゃんからも?あはは、こりゃ今度お礼言わないとな」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:53:49.71 ID:9IzpATZU0
小鳥「プロデューサーさーん」
P「なんです?小鳥さん」
小鳥「バレンタインなんてガラじゃないかも知れないですけど……どうぞ」
P「おお、ありがとうございます。2個ですか?」
小鳥「こっちは律子さんのです」
律子「!?!?!?」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:55:33.85 ID:9IzpATZU0
律子「ちょ、ちょっとおおお!!!チョコが見当たらないと思ったら!何してるんですか小鳥さん!」
小鳥「だってこうでもしないと絶対律子さん渡さないじゃないですか」
律子「もう!」
あずさ「あのー、私も作ってみました~。どうぞ」
P「あずささんも?わあ、嬉しいな。ありがとうございます!」
あずさ「小鳥さんのお家で3人でつくったんです~」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:57:39.02 ID:9IzpATZU0
小鳥「家にあったレシピ本で作ったつまらないものですけど、レシピどおりですから美味しいはずですよね!」
P「構いませんよそんなの。律子もありがとな!」
律子「も、ってなんですか!……もう」
伊織「…………」
伊織「なによ……っ」
私以外……みんな手作りだって言うの?……律子も?亜美も?あずさも?
なによ…………そんなの……。
私だけ……こんなの……っ。
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 00:59:23.92 ID:9IzpATZU0
P「あ、そういえば伊織も、もしかしてチョコくれたりする?」
伊織「!」
やよい「わーっ、伊織ちゃんも作ってきたんですかー?」
美希「デコちゃんのデザイン、すっごく気になるの!」
伊織「う、うるさいわね!調子に乗り過ぎよ!誰があんたなんかにチョコなんか!」
P「えっ……そ、そか、ごめん」
伊織「……っ!」ダッ!
P「え?ちょ、待て伊織!」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:01:17.02 ID:9IzpATZU0
やよい「伊織ちゃん!」
P「どうしたんだ伊織のやつ」
やよい「私、見てきます!」
P「けど……」
やよい「任せてくれませんか?プロデューサー」
美希「ミキも、やよいに任せた方がいいって思うな」
P「……わかった。じゃあ、頼むぞ、やよい」
やよい「はい!」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:03:21.27 ID:9IzpATZU0
気がつけば、事務所の階段を駆け下りていた。なんでかしらね、涙が止まらなかった。
裏口の扉を乱暴に開けて、外に出る。まだ外は息が白くなるくらいに寒かった。
味だけは折り紙つきのはずなのに……。絶対喜んでくれるって確信があったのに。
渡せなかった。私が一番好きなお店で買ったチョコレートティラミスなのに……。
伊織「はぁ……はぁ……」
伊織「なによそれっ!……みんなしてずるいじゃない……!」
伊織「私だって……今日は楽しみだったんだから!」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:05:15.51 ID:9IzpATZU0
ついに涙が零れた。火がついたように私は泣きだしてしまった。裏口の前だから人はいないけれど……誰かが降りてきたら見つかっちゃうわね。
伊織「……こんなもの……っ!」
やよい「伊織ちゃん!」
伊織「!!」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:07:04.11 ID:9IzpATZU0
目の前にあった鉄製のくずかごに、ティラミスを箱ごと投げつけようとした時、後ろでやよいの声が聞こえた。その一瞬で、投げ入れるのを躊躇してしまった。
やよい「伊織ちゃん!」
伊織「……なによ」
やよい「それ……プロデューサーにあげるんじゃ……」
伊織「……食べたいならやよいにあげるわ。中身はぐちゃぐちゃだけど、まだ食べられると思うから」
やよい「どうして?どうして捨てようなんてするの?」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:09:30.93 ID:9IzpATZU0
伊織「……こんな……こんなの!渡せるわけないじゃない!」
伊織「他のみんなは全部手作りで!あのあずさや亜美だって自分で作ったりしてるのに!」
伊織「こんな出来あいの……ケーキなんかで……」
やよい「伊織ちゃん……」
伊織「……フフ、私ったら何やってるのかしら……。こんなくだらないことで」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:11:19.47 ID:9IzpATZU0
やよい「…………」
伊織「あーあ。もうバレンタイン終わっちゃうわね。帰ってシャワーでも浴びようかしら」
やよい「…………」
伊織「じゃあね。みんなには心配しないでって言っておいてね」
やよい「くだらなくなんかない!」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:13:14.12 ID:9IzpATZU0
伊織「……えっ?」
やよい「伊織ちゃんはプロデューサーにチョコを渡したかったんじゃないの?」
伊織「もういいのよ。別に渡したかったわけじゃないわ」
やよい「だったら……だったら!」
やよい「何で泣いてるの!?」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:15:06.00 ID:9IzpATZU0
伊織「!!……っ」
やよい「哀しいから?悔しいから?どっちにしたって、何も無いのに泣いたりなんかしないよ?」
伊織「それは……」
やよい「……ちゃんと、渡そう?」
伊織「でも……っ!」
やよい「伊織ちゃん……一緒にチョコレート、作ろう?」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:16:57.78 ID:9IzpATZU0
伊織「やよい……でももう、バレンタインは今日なのよ?」
やよい「いつなんて関係ないよ。チョコレートをわたすことが、一番重要だから」
やよい。もう、どうしてアンタはいつもそうなのよ……。
こんなときばっかり意地張って……ううん、違うわね。意地を張ってたのは私の方。
いつも素直になれないのは、私の方よね。
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:18:50.11 ID:9IzpATZU0
美希「ミキも手伝うの!」
伊織「えっ?」
美希「デコちゃんお料理とかしてなさそうだし、一から教えてあげるの!」
美希「ミキのライバルになっちゃうけどね。あはっ☆」
貴音「やよいの言うとおりですよ?大事なのはたいみんぐではありません。素直になることです」
春香「プロデューサーさんには内緒にしておくから。明日から特訓始めようよ!」
伊織「……あんたたち……」
あーもう。また涙が出てきちゃったじゃない……。
でも、なんかスッキリしたわ。そうね、たまには力を借りて見ようかしら。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:21:02.56 ID:9IzpATZU0
■翌日
春香宅
春香「いらっしゃーい」
伊織「まったく、なんでわざわざ一番遠いアンタの家でやるのよ」
美希「春香の家にはお菓子を作るあれやこれやが一通りそろってるの」
やよい「春香さんの家のキッチンはいつもいい匂いがします!」
春香「えへへ。じゃあ早速始めようよ!」
美希「デコちゃんはどんなチョコレートを作るの?」
伊織「デコちゃんゆーな!」
やよい「昨日はケーキを渡そうとしてたんでしょ?だったら、ケーキを作った方がいいんじゃないかなーって」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:23:03.35 ID:9IzpATZU0
伊織「そうね。チョコレートティラミスにしようかしら」
美希「うーん……でも、いきなりティラミスは難しいって思うな」
美希「材料はあるの?」
春香「そうだなぁ……ココアパウダーは余ってるけど……」
春香「ティラミスだったら、マスカルポーネがないとダメかな」
やよい「あのー、ますかるぽーねってなんですか?」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:24:51.62 ID:9IzpATZU0
美希「クリームチーズのことなの。ティラミスには欠かせないって思うな」
伊織「わかったわ。じゃあ今すぐ新堂に――」
春香「まあ待って。みんなで買いに行こうよ」
伊織「えーなんでよ。わざわざそんなこと」
春香「こういうのは買い物から始めるのが一番なんだ。自分にあった材料を選ばなくちゃ」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:26:51.79 ID:9IzpATZU0
美希「そうそう。それに、行った先で見つける材料も沢山あるの!」
やよい「みんなで買い物って楽しいですよねー!一人一個までのタイムセールでいーっぱい買えちゃいますー!」
美希「今回はそんな買い物はしないって思うな……」
春香「まあ、そう言うこと。一緒に行こう?」
伊織「わかったわ。そこまで言うなら仕方ないわね」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:28:40.64 ID:9IzpATZU0
■近所のスーパー
やよい「わーっ!もやしが……もやしが一袋7円で売ってます!どうしましょう!?」
春香「あ、あはは……。やよいが買いたいなら買ってもいいけど、今日はお菓子を作ろう?」
やよい「はわっ!そうでしたー!……今日は諦めます」
伊織「新堂に頼んであとでやよいの家に送るわ」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:30:31.21 ID:9IzpATZU0
やよい「ほ、ホント!?助かりますー!」キラキラ
美希「えーっと……あ、マスカルポーネ見つけたの」
伊織「こんな安っぽいのでいいの?」
春香「スーパーだからあんまり高級なのはないけど、これがあれば十分だよ」
春香「あとはチョコレートと生クリームと……」ブツブツ
伊織「へえ。スーパーって何でもあるのね」
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:32:31.80 ID:9IzpATZU0
■再び春香宅
美希「レッツクッキングなのー!」
やよい「おー!」
伊織「まずはどうするの?」
春香「チョコレートを包丁で刻むんだよ。こうやって」トントン
伊織「お、おっと……っ」カタン、カタン
美希「うああ、デコちゃん危なっかしいの……」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:34:10.88 ID:9IzpATZU0
伊織「デコちゃんゆーな!……いっ!?」
春香「あちゃー、切っちゃったか……ばんそうこうとってくるから待っててね」
春香「あ、そうだ。美希とやよいでマスカルポーネとそこの材料を混ぜといてね」
美希「了解なの」
やよい「任せてくださーい!」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:36:29.95 ID:9IzpATZU0
春香「これでよしっと」
伊織「案外固いのね。スパッと切れるもんだと思ってたわ」
美希「スパッと切れたのはデコちゃんの指なの」
伊織「アンタのせいよ!デコちゃんゆーな!」
春香「まあまあ、作業進めようよ」
春香「これを混ぜて、チョコレートをとろとろになるまで溶かすの」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:38:34.18 ID:9IzpATZU0
>>60
いえ、特にそう言うわけでもありませんw調理は割愛します
■しばらくして
美希「完成なのー!」
やよい「うっうー!とっても美味しそうです!お店で売ってそうかも!」
春香「初めてにしては上出来じゃないかな。私もティラミスってあんまり作ったことなくて」
伊織「じゃ、じゃあ、食べてみるわよ」
やよい「いっただっきまーす!」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:41:21.51 ID:9IzpATZU0
美希「うん。美味しいの」
伊織「なんだかちょっと味薄いわね……」
春香「ちょっと生クリームが少ないかな……まあ、今からいろいろ改善していけばもんだいないんじゃないかな」
伊織「あんまり時間はかけられないわ。4日……いえ、3日で仕上げるわ!」
伊織「もっと材料を買ってくるわよ!」
春香「ええっ!?……お、お金の方が……」
伊織「私が全部出せばいいでしょ。ほら、行くわよ!」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:42:51.56 ID:9IzpATZU0
こうして数日間、伊織の特訓は続いた。
美希「デコちゃん!焦げてるの!」
伊織「デコちゃんゆーな!えーっと……もう、どうすりゃいいのよ!」
やよい「はわっ!伊織ちゃん!それはそっちに入れちゃだめだよ!」
伊織「ええっ!?そうなの!?」
春香「あわわ!そんなにココアかけたら粉っぽくなっちゃうよ!」
伊織「これくらいの方が……うっ……苦い」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:44:54.01 ID:9IzpATZU0
5日後 2月19日
■765プロ
美希「3日どころか結局5日くらいかかっちゃったの……」
春香「でも、とっても美味しいティラミスが出来たよ!」
やよい「伊織ちゃん……がんばって!」
伊織「わ、分かってるわよ。あとは……アイツに渡すだけよね……」
春香「確か、もう少ししたらプロデューサーさんが外回りから帰ってくるはずだよ」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:46:51.75 ID:9IzpATZU0
美希「ミキたちはお仕事に出かけるけど、あとはデコちゃん次第なの」
伊織「そ、そうね……」
美希(デコちゃん緊張しすぎてツッコむの忘れてるの……)
やよい「それじゃ伊織ちゃん、いってきまーす!」ガルーン
春香「ファイト!」
美希「行ってきますなのー!」バタン
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:48:33.74 ID:9IzpATZU0
伊織「…………」
ここで頑張らなきゃ。何緊張してんのよ私ったら。
……でも、心臓が飛び出そうなくらいね。アイツがすぐさま帰ってきたらと思うと……!
P「ただいまー」
伊織「ひゃあ!?」
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:50:20.38 ID:9IzpATZU0
P「おおう!? どうした……伊織か?」
伊織「いきなり入ってくんじゃないわよこのバカ!」
P「い、いや……ごめん。何かマズかったか?」
伊織「べ、別に……」
そういえばアイツと顔を合わせるのは5日ぶりね。飛び出したっきり顔を見なかったから……。
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:52:10.90 ID:9IzpATZU0
P「何してたんだ?」
伊織「何もしてないわよ。くつろいでただけ」
P「そ、そうか……」
伊織「そうよ」
完全に渡せる空気じゃなくなっちゃったわね……。どうしようかしら……。
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:54:02.93 ID:9IzpATZU0
P「…………」カタカタ
伊織「…………」チラッ
P「…………」カタタタッターン
伊織「…………」チラッ
P「なあ伊織」
伊織「な、なによ」
P「他のみんなはいないのか?」
伊織「さっき仕事に行ったわよ」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:56:03.69 ID:9IzpATZU0
P「そっか……」
伊織「…………」
P「なあ伊織」
伊織「今度は何よ」
P「さっきから俺の方ばっか見てないか?」
伊織「な!ななななにを! そんなわけないでしょ!」
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 01:58:06.11 ID:9IzpATZU0
P「そ、そか」
伊織「…………」
P「…………」カタカタ
伊織「…………」チラッ
あ、またデスクワーク始めてる……。会話、途切れちゃったわね……。
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:00:03.00 ID:9IzpATZU0
伊織「…………」
P「…………」カタカタ
伊織「……あ、あの……」ボソ
P「ああっ!!」ガタッ
伊織「!?」ビクゥ
P「書類を仕事先に忘れてきてる!」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:02:06.90 ID:9IzpATZU0
伊織「もう!脅かすんじゃないわよ」
P「ああ、悪い……。ちょっと取りに行ってくるから、留守番頼むな」
伊織「え、ちょ、ちょっと」
P「すぐ戻ってくる!」ガチャ、バタン
伊織「…………」
何でこんな時にそんな用事思い出すのよ……。バカなんだから。
でも、内心ちょっとホッとするわね。先週はそんなに緊張しなかったのに、なんでいざ渡そうとなるとこうも言いづらいのかしら。
……戻ってくるまでヒマね。
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:04:02.66 ID:9IzpATZU0
■1時間後
伊織「……あーもう、遅いわね!」イライラ
ガチャリ
伊織「!」
真「たっだいまー!……あれ、伊織だけ?」
伊織「……ええ。他は誰もいないわ」
真「な、なんでそんな残念そうな顔するのさ」
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:06:02.76 ID:9IzpATZU0
伊織「別に。何でもないわよ」
真「むーっ。……まあ、いいけど」
伊織「アンタはもう仕事終わったの?」
真「うん。いやーやっぱりスポーツ番組のロケは楽しいのなんのって。……あ、でも、僕のイメージがその方向で固まるのはやっぱりまずいよなぁ……ブツブツ」
伊織「……はぁ」
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:08:12.45 ID:9IzpATZU0
■更に1時間後
伊織「もう、なんで来ないのよ!」
雪歩「い、伊織ちゃん?どうかしたの?」
伊織「どうしたもこうしたもないわよ!遅すぎるって言ってんの!」
雪歩「お、落ちついて伊織ちゃん!何があったの?」
伊織「なんで用事で出てったきり戻らないのよ。この伊織ちゃんを待たせるなんて何考えてんのよプロデューサーは!」
雪歩「ぷ、プロデューサーを待ってるの?」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:10:07.85 ID:9IzpATZU0
伊織「そうよ。もう2時間もたってるのに!」
ガチャリ
伊織「!」
小鳥「ただいまー」
伊織「ぬああああああ!」
小鳥「!?」
雪歩「お、落ちつこうよ。ね?お茶淹れてくるから!」
小鳥「な、なんか私帰ってきちゃいけなかったのかしら?」
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:12:22.43 ID:9IzpATZU0
■更に更に1時間後
雪歩「そ、それじゃ、私はこれで」
小鳥「お疲れ様。そろそろ外が暗くなってきたから、気をつけてね」
雪歩「はいですぅ。……またね、伊織ちゃん」
伊織「…………」イライラ
雪歩「あ、あはは……」
バタン
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:14:07.98 ID:9IzpATZU0
伊織「あーもう我慢ならない!電話してやるわ!」ピポパ
『おかけになった番号は現在、電波の届かないところにあるか、電源が入っておりません』
伊織「…………」
伊織「……どこまで行ってるのよアイツ」ピッ
小鳥「どうかしたの?」
伊織「つながらないのよ。電波の届かないとこまで行くならそう言えばいいのに」
小鳥「プロデューサーさん、そんな遠いところまで行ってたかしら?」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:16:17.55 ID:9IzpATZU0
伊織「どういうことよ?」
小鳥「今日行った仕事先は隣町だから、車ならものの30分で往復できるはずだけど……」
伊織「えっ?30分?」
伊織「アイツもう3時間以上も出てったきりよ?」
小鳥「そんなはずはないと思うんだけどな……」
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:18:11.95 ID:9IzpATZU0
伊織「…………」
まさか……アイツの身に何か……?
……まさか、そんなわけないわよね……。きっと、渋滞か何かに巻き込まれて……。
小鳥「電話にも出ないのはおかしいわね……ダメだ、私のもつながらない」
伊織「……大丈夫よ。そんなわけ……そんなわけ、ないんだから」
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:20:08.36 ID:9IzpATZU0
■更に更に更に1時間後
伊織「何でよ……何してんのよ……もう4時間じゃない」
小鳥「きっと大丈夫よ。すぐに帰ってくるわ」
伊織「『すぐ戻ってくる』って言ってもう4時間以上も帰ってこないのよ!?」
小鳥「…………」
伊織「プロデューサーに何かあったら……」
外はもう真っ暗。周りのビルにも灯りがつき始めている。
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:22:03.11 ID:9IzpATZU0
゙チャリ
伊織「きた……?」
春香「ただいまー」
やよい「ただいまですー」
美希「ただいまなのー!」
伊織「…………」
小鳥「みんなおかえりなさい……お茶入れるわね」
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:24:03.66 ID:9IzpATZU0
春香「ありがとうございます。あ、伊織!」
伊織「…………」
美希「ちゃんと渡せた?」
伊織「…………」クビフリ
春香「え?まだ渡してないの?」
やよい「そういえば、プロデューサーはどこでしょう?」
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:26:09.89 ID:9IzpATZU0
伊織「戻ってこないのよ……」
春香「え?」
伊織「どれだけ待っても……戻ってこないの……」
美希「そ、そんなはずないの」
伊織「確かに一度帰ってきたわ。でも……渡す間もなく仕事先に忘れ物を取りに行って……」
伊織「電話もつながらないの……」
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:28:03.16 ID:9IzpATZU0
やよい「ええっ?そんなはず……」
春香「き、きっと何かの間違いだよ」
美希「そ、そうそう。もうすぐ帰ってくるの!」
伊織「…………」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:30:04.24 ID:9IzpATZU0
■そしてその2時間後
小鳥「もう夜の9時になっちゃったわね……どうしたんだろう」
春香「どうしよう……電車に間に合わないよ」
春香「でももしほんとにプロデューサーさんが帰ってこなかったらと思うと帰れないし……」
美希「縁起でもないこと言わないで欲しいの!」
春香「あ……ご、ごめん」
やよい「うぅ……プロデューサー……」
伊織「…………」
早く帰ってきなさいよ……。帰ってこないと許さないんだから……。
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:32:05.24 ID:9IzpATZU0
また、扉が開いた。
伊織「お願い……!」
響「はいさーい!」
貴音「遅くなってしまいました。ですが今宵の月はまこと、綺麗ですね」
伊織「やっぱり、違うのね……」
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:34:11.49 ID:9IzpATZU0
響「ん?どうしたんだみんな。元気ないぞー?」
春香「ぷ、プロデューサーさんが……」
美希「やめるの!きっと大丈夫なの!」
春香「でも……っ!」
小鳥「…………プロデューサーさんがまだ戻っていなくて」
伊織「…………」
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:36:10.51 ID:9IzpATZU0
響「プロデューサーがどうかしたのか?」
貴音「はて?何かあったのですか?」
響「あーそういえば、ちょっと苦しそうだったかもしれないさー」
伊織「!どういうことよ!何か知ってるの!?」
響「えっ?ど、どうしたんだ?」
美希「苦しそうだって、どういうことなの!?」
春香「もしかして、ほんとに事故に……?」
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:38:07.37 ID:9IzpATZU0
うそ……嘘よ……。そんな、アイツが事故にあったなんて!
だって、すぐに帰るって言ったんだもの!
響「事故?何言ってるか分からないぞ?」
貴音「確かに苦しそうですが……少々食べすぎたのかもしれませんね」
やよい「へっ?……食べすぎ……ですか?」
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:40:09.17 ID:9IzpATZU0
ガチャリ
P「ただいまー……」
やよい「あ!」
伊織「ああっ!」
春香「プロデューサさんが……!」
美希「帰ってきたの!」
小鳥「はぁ~よかった。どうなるかと思いましたよ……心配させないでください」
P「みんなまだいたのか……春香、早く帰らないと終電終わるぞ?」
春香「えへへっ。分かってますよ」
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:42:15.26 ID:9IzpATZU0
伊織「バカああああああああああああっっっ!!!」
P「え?」
伊織「このバカ!今の今までどこで何やってたのよ!」
伊織「何が『すぐ帰ってくる』よ!どんだけ待ったと思ってんの!?」
伊織「真が帰っても、雪歩が帰っても帰ってこないんだから!」
伊織「一体どんだけ心配したか分かってんの!?」
103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:44:26.56 ID:9IzpATZU0
P「あ、ああ。すまん。車が途中でエンスト起こしてさ。どうやら故障したらしくて、ちょっと修理というか応急処置をしてもらってたんだ」
P「連絡しようって思ったんだけど、ケータイの充電が切れててね……」
P「で、修理が終わったら帰りに偶然二人と合流して、ラーメン食ってきたんだけど……ちょっと食い過ぎた」
響「だから替え玉はやめた方がいいって言ったんだぞ」
貴音「しかし、まこと、よい食べっぷりを見せて頂きました」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:46:20.79 ID:9IzpATZU0
伊織「もう……ホントに……心配したんだから」
春香「さーて、じゃあ、みんな帰るよー」
美希「ハニーとデコちゃんを残すのはシャクだけど、今日だけは仕方ないの」
やよい「響さん、一緒に帰りましょー!」
響「うん、いいぞ!……でも、なんで伊織は置いてくんだ?」
春香「いいからいいから。早く、小鳥さんも帰りますよ」
小鳥「ピヨッ?わ、私も?」
バタン
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:48:09.57 ID:9IzpATZU0
P「え?なんだなんだ?」
伊織「ねえ」
P「お?なんだ伊織」
伊織「……今更だけど、チョコ欲しかったりするの?」
P「え?チョコ?……もしかして、バレンタインの……」
伊織「……別にアンタの為なんかじゃないんだから……。こ、これは、たまたま美味しく出来たから持ってきただけよ」
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:50:07.25 ID:9IzpATZU0
伊織「……食べるの?」
P「……もらっていいのか?」
伊織「あーもう!バカ!食べるのって聞いてんだから分かりなさいよ!」
伊織「……それとも、やっぱり」
P「いや、もちろんもらうさ。どこにあるんだ?」
伊織「そう……」
食べてくれるんだ。
私は給湯室の冷蔵庫を開けて、一つの箱を取り出した。春香に包み方を教えてもらって、なんとか包んだ一品ね。
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:52:05.36 ID:9IzpATZU0
伊織「あの時は……その。悪かったわ」
P「俺の方こそ、ごめんな」
伊織「何であんたが謝るのよ」
P「俺が軽々しく、チョコくれるのかって聞いたりしたから……」
伊織「それは違うわ。あの時は……渡したくなかっただけ」
P「え?じゃ、何で今日は……」
伊織「いちいちそんなの気にするんじゃないわよ。はい、これ」
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:54:08.87 ID:9IzpATZU0
P「……おお。ティラミスか。自分で作ったのか?」
伊織「ふんっ。私だけ手作りじゃないわけないでしょ?」
P「いま食べてもいいか?」
伊織「さっき食べすぎたんじゃなかったの?」
P「甘いものは別バラだからな」
伊織「……そう」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:56:02.53 ID:9IzpATZU0
ホント、いっつも無理するんだから。あとでモドしたりなんかしたら承知しないんだからね。
でも、なんだろう。素直にうれしいわね、こういうの。
伊織「だったら、じっくり味わって食べなさいよね。このスーパーアイドル伊織ちゃんが丹精込めてつくったんだから。にひひっ」
ハッピー・バレンタインの延長戦。まあ悪くないんじゃない?
Fin
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/23(土) 02:58:31.85 ID:9IzpATZU0
はい。ここまでで終了となります。ホントはもうちょっと早く投下する予定だったんですけどねw
ここまで読んで頂いた方、支援して下さった方、そして一度でもここを開いてくださった方に感謝です。
ありがとうございましたー!