1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 18:30:19.12 ID:MGXwNV9b0
~事務所~
P「……」カタカタ
乙倉悠貴「……」ソワソワ
P 「……」カタカタ
悠貴「……あのっ、プロデューサーさんっ。少しいいですかっ?」
P「ん? なんだ、悠貴」
悠貴「お仕事中に申し訳ないんですけどっ……」
P「別にいいよ。急ぎの仕事でもないしな」
2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 18:32:34.03 ID:MGXwNV9b0
悠貴「ありがとうございますっ。あのっ……プロデューサーさんに手伝って欲しいことがあるんですっ」
P「おう。なにを手伝えばいいんだ?」
悠貴「ドラマの役の、練習をっ……」
P「ああ、『探偵・鬼ヶ島羅刹』のか。面白いよ、あれ」
悠貴「ですよねっ!トリックとかっ、毎回驚かされます……って、そうじゃなくてっ」
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 18:34:51.62 ID:MGXwNV9b0
悠貴「……実は、次の撮影で告白する場面があるんですっ」
P「うん」
悠貴「それでっ、そのっ……プロデューサーさんに、あ、相手役をしてもらいたいなって……」 モジモジ
P「……俺に?」
悠貴「はいっ……」
P「……」
悠貴「ダ、ダメでしょうかっ……?」
P「……もしかして……」
悠貴「えっ?」
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 18:37:44.25 ID:AHHD50m60
P「いや、なんでもない。……もちろんOKだよ」
悠貴「ありがとうございますっ!」
P「おう。でも、俺に天ヶ瀬冬馬の代わりがつとまるのかな 」ハハハ
悠貴「大丈夫ですよっ!天ヶ瀬さんも、よくセリフ忘れちゃったりしてますしっ」
P「そうなのか……完璧な人だと思ってた」
悠貴「天ヶ瀬さんは、結構おっちょこちょいですよっ。……でも」
悠貴「ぶっきらぼうに見えて……実は気配りができる、優しい方ですっ」
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 18:40:34.35 ID:AHHD50m60
P「……よかったな、そんな人と組めて」
悠貴「プロデューサーさんが頑張ってくださったおかげですよっ」
P「……ありがとな。これからも、もっともっと頑張るよ」
悠貴「私もっ、プロデューサーさんに負けないくらい頑張りますっ!」
P「その意気その意気。……じゃ、とりあえず始めるか」
悠貴「はいっ!」
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 18:42:44.83 ID:AHHD50m60
P「悠貴、台本くれるか?」
悠貴「あっ、そうですねっ。えっと……」ゴソゴソ
悠貴「……ありましたっ。はいっ、プロデューサーさんっ」
P「サンキュー。……ふーむ」ペラペラ
P「おっ、ここかな。えっと……」
P「『ありがとう。俺も同じ気持ちだ。……好きだよ、○○』……まあ、普通だな」
悠貴「普通かもしれないですけどっ、私は好きですよっ? 変にかっこつけるよりもいいと思いますっ」
P「そうだな。俺もキザなセリフはできれば……って思ってたんだ」
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 18:45:26.48 ID:AHHD50m60
悠貴「そうですよっ! プロデューサーさんにキザなセリフは似合いませんっ」
P「おおう、断言するか……」
悠貴「だって、プロデューサーさんはいつもの姿が一番……か、かっこいいですからっ!」
P「そうか? ありがとな。……悠貴も、いつも通りが一番かわいいよ」
悠貴「えへへっ……ありがとうございますっ!」
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 18:47:27.46 ID:AHHD50m60
P「まあ、悠貴はどんな時でもかわいいんだけどな」
悠貴「えっ……か、からかわないでくださいっ」
P「ははは」
悠貴「もうっ……」
P「すまんすまん。……ところで、そろそろやらないか?」
悠貴「あっ、そうですねっ。やりましょうっ!」
9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 18:50:28.89 ID:AHHD50m60
P「じゃあ、始めるぞ。えっと……」
悠貴「あ……! ちょ、ちょっと待ってくださいっ!」
P「どうした?」
悠貴「あの……名前を、わ、私の名前で呼んでくれませんかっ?」
P「えっ? 役の名前じゃなくて?」
悠貴「はいっ……」
P「あ……うん、いいぞ……」
悠貴「……ありがとうございますっ! それじゃあっ、セリフお願いしますっ」
P「……」
悠貴「……プロデューサーさん?」
P「……なんでもない。よし、やろう」
10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:03:23.03 ID:AHHD50m60
~廊下~
緒方智絵里「~♪」テクテク
智絵里 (えへへ……今日も四葉のクローバー見つけちゃった。最近、幸せだなあ……)
智絵里 (どれもこれも、Pさんと……事務所のみんなのおかげ……)
智絵里 (Pさんと出会って……アイドルになれたから私も変われた……)
智絵里 (このままずっと、幸せが続くといいな……あれ?)
『どうしたんだ? こんなところに呼び出して』
智絵里 (Pさんの声……誰かと話してる……?)
11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:05:01.96 ID:AHHD50m60
『あのっ……実は、私……』
智絵里 (悠貴ちゃん、かな……? どんなお話を……) チラッ
悠貴「私、あなたのことが……あなたのことが好きなんですっ!」
智絵里 (!?)
P「……」
悠貴「……初めて会ったときから、ずっと好きでしたっ。だけどっ、関係が壊れるのが怖くて今まで打ち明けられなかったんですっ……」
悠貴「でもっ、もうあなたへの想いを抑えることができなくなって……お願いしますっ、あなたの気持ちも聞かせてくださいっ」
P「……」
12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:07:06.23 ID:AHHD50m60
智絵里 (ど、どうしよう……このまま見ててもいいのかな……) アタフタ
P「……ありがとう。俺も同じ気持ちだ。……好きだよ、悠貴」
智絵里 (……えっ)
悠貴「……嬉しいですっ」
智絵里 (そ、そんな……まさか……)
P「悠貴……」
悠貴「Pさん……」
智絵里 (……!)
智絵里 (も、もう、ダメ……!) タタタッ
13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:09:25.35 ID:AHHD50m60
P「……で」
P「このあと、悲鳴が聞こえてきて」
悠貴「はいっ」
P「そこで起きた事件を、天ヶ瀬冬馬演じる鬼ヶ島羅刹がビシッと解決すると」
悠貴「はいっ」
P「なるほどな……というか、台本なしでもできてるじゃないか。すごいぞ」
14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:10:46.43 ID:AHHD50m60
悠貴「えへへっ……」
P「だけど、最後だけ間違ったな」
悠貴「えっ!?」
P「Pさん、じゃなくて羅刹さんだろ?」
悠貴「あっ……」
P「俺の名前を呼んでどうする」ハハハ
悠貴「……そう、ですねっ……」
P「どうする? もう一回やるか?」
悠貴「……はいっ、お願いしますっ!」
15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:12:43.46 ID:AHHD50m60
~廊下~
智絵里「…………!」タタタッ
智絵里「はあっ……はあっ……」
智絵里「……」ヘタッ
智絵里 (そんな……こんなことって……)
『好きなんですっ!』
『好きだよ、悠貴』
智絵里 (こんな……ことって……) グスッ
智絵里「うぅぅ……ひっく……」
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:14:28.29 ID:AHHD50m60
??「あれ?……どうしたんですかぁ、智絵里ちゃん」
智絵里「悠貴ちゃんが……Pさんに……好きだって……」
??「それで?」
智絵里「Pさんも……ゆ、悠貴ちゃんのことが……好きだって……ひっく」
??「……そう、なんですかぁ」
智絵里「うぅ……って、えっ? ま、まゆちゃん!?」
佐久間まゆ「……悠貴ちゃんは、私のかわいいかわいい後輩ですけどぉ……ちょっとお話する必要がありそうですねぇ……」ニコォ
智絵里「あ、あああ……」
18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:17:04.81 ID:AHHD50m60
智絵里 (どっ、どどどうしよう……ま、まゆちゃんに話しちゃうなんて……)
まゆ「いつもの部屋ですよね?……ちょっと行ってきますねぇ」
智絵里「ま、待ってまゆちゃん!」
まゆ「……どうしてですかぁ?」
智絵里「えっと……それは……」
まゆ「なにもないなら、もう行きますよぉ」スタスタ
智絵里「ああ……」
智絵里「ど、どうしよう……!」
水本ゆかり「あれは……智絵里ちゃん?」
五十嵐響子「どうかしたんでしょうか?」
19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:18:59.46 ID:AHHD50m60
ガチャ バタン
まゆ「おはようございます」
悠貴「あっ、まゆさん。おはようございますっ!」
まゆ「……悠貴ちゃん、Pさんはどこですかぁ?」
悠貴「ああ、プロデューサーさんなら、もうお仕事に行かれましたよっ?」
まゆ「……そうですか」
悠貴「はいっ」
まゆ「……」
悠貴「……? まゆさん、どうかされたんですかっ?」
まゆ「……ちょっと、悠貴ちゃんとお話したいんです。……いいですかぁ?」
悠貴「はいっ。大丈夫ですっ!」
まゆ「うふ、じゃあ別の部屋でお話しましょう……来てください……」
悠貴「……? はいっ」
20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:20:56.14 ID:AHHD50m60
~~~~
ゆかり「……それで、まゆちゃんが行ってしまったと」
智絵里「うん……」
響子「悠貴ちゃんと、Pさんが……ねぇ……」
ゆかり「ちょっと意外ですね……」
智絵里 (ちょっと……?)
ゆかり「でも、二人はどうするんでしょう? もしも手を出してしまったら犯罪ですよ?」
智絵里「それは、わからないけど……」
ゆかり「まあ、Pさんに限ってそんなことはないと思いますが……」
智絵里「……」
21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:22:24.75 ID:AHHD50m60
響子「……よしっ! Pさんを思いとどまらせましょう!」
ゆかり「えっ?」
響子「このままだと、取り返しのつかないことになるかもしれません! そうなる前に早く!」
智絵里「だ、だけど、どこにいるのかわからないし……」
響子「ですよね……」ガクッ
ゆかり「……取り敢えず、現場に行ってみては? ここにいるよりはいいでしょうし」
智絵里「確かにそうだね……」
響子「それじゃあ、行きましょう!」
タタタッ
22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:24:33.07 ID:AHHD50m60
智絵里「さっきは、この部屋にいたんだけど……」
ゆかり「誰もいませんね」キョロキョロ
響子「違うところ、探してみましょうか……」
P「あれ? お前たち、なにやってるんだ?」
智絵里「ひっ!?」
23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:26:06.83 ID:AHHD50m60
ゆかり「ぴ、Pさん……いたんですか」
響子「も~っ、驚かせないでくださいよ!」
P「す、すまない。……で、こんなところでなにやってるんだ?」
響子「なにって、Pさんを探していたんですよ!」
P「俺を? どうしてだ?」
智絵里「そのっ、Pさんに……か、考え直してもらうためです……」
P「……?」
24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:27:33.42 ID:AHHD50m60
ゆかり「……間違っていたらすみません。……Pさんは、悠貴ちゃんと付き合っているんですか?」
P「……は?」
ゆかり「違うんですか?」
P「ちょっと待ってくれ。どうして、そうなってるんだ?」
響子「智絵里ちゃんが、告白するところを見ていたらしくて……」
智絵里「す、すみません……覗き見するつもりはなかったんですけど……」
25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:29:01.72 ID:AHHD50m60
P「告白……悠貴に……ああ、もしかして……」
ゆかり「心当たりがあるんですか……? まさか本当に……」
P「違う違う。智絵里が見たのは多分、演技の練習しているところだ」
智絵里「え、演技?」
P「ああ。次のドラマに、告白する場面があるから、相手役をやってくれって悠貴に頼まれたんだよ」
三人「……」
P「うん」
26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:33:18.74 ID:AHHD50m60
ゆかり「……ということは、つまり」
響子「これは……」
智絵里「すっ、すみません! 私が勘違いしたばっかりにっ」
ゆかり「……いえ、いいんです。勘違いは誰にでもありますし」
響子「むしろ、よかったですよ! Pさんが正常な人だってわかったんですからっ」
P「……お前たちには、俺がそんなことをするような奴に見えていたのか」 ハァ
響子「あっ!?そ、そんなことは……はい、 すみません……」
27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:34:56.20 ID:AHHD50m60
P「冗談だよ。……とにかく、誤解が解けてよかったよかった」ハハハ
ゆかり「ふふっ、そうですねっ」
響子「あははっ……」
智絵里 (はあ……私の勘違いで、みんなに迷惑かけちゃった……)
智絵里 (でも、勘違いでよかったな……えへへ)
智絵里 (……あれ? なにか忘れてるような……)
28:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:36:40.69 ID:AHHD50m60
P「……そうそうみんな、まゆがどこにいるか知らないか? もうすぐ仕事なんだけど……」
智絵里 (そうだ、まゆちゃんのこと忘れてた……)
ゆかり「まゆちゃんなら、悠貴ちゃんと一緒らしいですよ? ですよね、智絵里ちゃん」
智絵里「う、うん。そのはずなんだけど……」
響子「悠貴ちゃんの居場所もわからないんですよね……」
P「だよな……探しに行かないと――」
29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:38:20.85 ID:AHHD50m60
響子「……! ちょ、ちょっと待ってください!」
P「ん?」
響子「なにか、聞こえませんか……?」
『……やめて………どうし……』
『……こと………関係ない……』
P「確かに……多分、あっちの部屋からだな」
ゆかり「なにか、不穏な単語が聞こえたような気がしましたけど……」
響子「いったい、なにが……」
『ま、待って! せめて話を……話を聞いてくださいっ!』
P「!?」
30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:40:59.04 ID:AHHD50m60
ゆかり「今のって、悠貴ちゃんの声ですよね……?」
『聞く必要などないわ。……死んでちょうだい』
智絵里「ま、まゆちゃん……」
『そんなっ! ひっ……こ、来ないで……』
『うふ、うふふふふふふふふふ……』
『い、いや……いやあああああああああっ!!』
31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:42:25.81 ID:AHHD50m60
ガチャ バタン
P「悠貴っ!!!」
まゆ「あら……?」
P「おいまゆ!! 悠貴になに……って」
悠貴「あれっ? プロデューサーさん、どうしたんですかっ?」
P「ゆ、悠貴……大丈夫なのか……?」
悠貴「えっ? ど、どうしてですかっ?」
P「だって、あんなに大きな声で悲鳴を……」
32:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:43:59.50 ID:AHHD50m60
悠貴「悲鳴?……ああ」
ゆかり「……! もしかして……」
悠貴「……あれは、まゆさんに手伝ってもらってたんですよっ。演技の練習を」
響子「あ、やっぱり」
P「な、なんだ……よかった」
まゆ「……Pさん、まゆになにか言うことがあるんじゃないですかぁ?」
P「ああ、そうだな。……まゆ、怒鳴ったりして悪かった。すまない」
まゆ「うふ、いいですよ♪ 許してあげます」
33:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:45:33.92 ID:AHHD50m60
智絵里 (よかった……大変なことになってなくて……) ホッ
P「……そうそう、まゆ。そろそろ仕事だぞ? 準備できてるか?」
まゆ「はい♪ いつでも大丈夫ですよぉ」
P「よし、じゃあもう行こうか。……そうそう、悠貴」
悠貴「はいっ、なんでしょう?」
P「演技の練習を続けるなら、ゆかりたちにアドバイスもらったらどうだ?」
34:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:47:12.82 ID:AHHD50m60
ゆかり「私たちに、ですか?」
P「三人とも色々な役を経験してるだろ? ホラーとか、ファンタジーとか……」
響子「あ、確かにそうですね……聖靴学園とか」ナルホド
P「よろしく頼むぞ。……待たせたな、まゆ。行こうか」
まゆ「はい♪……悠貴ちゃん」
悠貴「……? なんですかっ」
35:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:49:30.09 ID:AHHD50m60
まゆ「……頑張って、くださいね?」
悠貴「……!はいっ、頑張りますっ!」
まゆ「うふふ……」
ガチャ バタン
悠貴「それじゃあ、皆さん。お願いしても……?」
ゆかり「ええ、いいですよ」
響子「教えられることなら、なんでも教えます!」
智絵里「わ、私でよかったら……」
悠貴「みなさんっ、ありがとうございますっ!」
ゆかり「いえいえ」
響子「よしっ、じゃあ始めましょう!」
36:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:51:00.64 ID:AHHD50m60
~車内~
P「……」
まゆ「……」
P「まゆ。珍しく黙ってるけど……なにかあったのか?」
まゆ「……Pさん」
P「おう」
まゆ「Pさんは……まゆのこと、好きですか?」
P「……おう」
37:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:52:27.67 ID:AHHD50m60
まゆ「じゃあ、みんなのことは?」
P「……まゆのことも、みんなのことも、好きだ」
まゆ「……Pさんなら、そう言うと思ってました」
P「……まゆ」
まゆ「……少し、お話してもいいですか?」
P「……ああ」
38:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:53:53.30 ID:AHHD50m60
まゆ「まゆは、Pさんが大好きです。……いえ、愛しています」
まゆ「でもPさんは、いつもみんなを見てました。……まゆだけじゃなくて、みんなを」
まゆ「まゆだけを見ていてほしい、まゆだけを好きでいてほしい、まゆだけを……愛してほしい」
まゆ「そんなふうに、いつも思ってました」
39:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:55:21.19 ID:AHHD50m60
まゆ「……でもまゆ、気づいたんです」
まゆ「そんなことをしても、Pさんは……みんなのことが大好きなPさんは、絶対に喜ばない」
まゆ「まゆは……Pさんが悲しむ姿なんて見たくない。まゆのせいでそんなことになるのだけは……絶対にイヤなんです」
40:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:56:34.92 ID:AHHD50m60
P「……」
まゆ「もちろんまゆは……いつか、Pさんの隣に立ちたいですけど」
まゆ「もしも、その時……別の人が立っていたとしても」
まゆ「それが、Pさんが心から望んだことなら……まゆは、Pさんの幸せを願います」
まゆ「だって、Pさんの幸せは、まゆの幸せ。……Pさんの悲しみは、まゆの悲しみですから」
41:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:58:14.84 ID:AHHD50m60
P「……すまない、まゆ。俺は……」
まゆ「うふふっ。もちろん、諦めるなんてこと、しませんよ? Pさんが振り向いてくれる、その時まで……」
P「まゆ、お前……」
まゆ「いいんです。……さあ、お仕事頑張りましょう?」
P「……ああ」
まゆ「……」
まゆ (……やっぱり、厳しい道ですね。でも……)
42:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 19:59:55.52 ID:AHHD50m60
~~~~
まゆ「……演技の練習?」
悠貴「はいっ」
まゆ「なんだ、そうだったんですかぁ……」
悠貴「す、すみませんっ。勘違いさせてしまったみたいで……」
まゆ「……いえ、いいんです。智絵里ちゃんも悠貴ちゃんも悪くないですから」
43:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:00:28.24 ID:AHHD50m60
~~~~
まゆ「……演技の練習?」
悠貴「はいっ」
まゆ「なんだ、そうだったんですかぁ……」
悠貴「す、すみませんっ。勘違いさせてしまったみたいで……」
まゆ「……いえ、いいんです。智絵里ちゃんも悠貴ちゃんも悪くないですから」
44:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:01:16.79 ID:AHHD50m60
まゆ (でも、そんなお願いをするってことは……やっぱり……)
悠貴「そうだっ!まゆさん、もしよければ練習に付き合ってもらっても……まゆさん?」
まゆ「……」
悠貴「まゆさん? どうかしたんですかっ?」
まゆ「……悠貴ちゃん」
悠貴「はいっ」
45:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:02:17.08 ID:AHHD50m60
まゆ「悠貴ちゃんは、Pさんのこと好きですかぁ?」
悠貴「えぇっ!? え、えっと……」
まゆ「正直に、お願いします」
悠貴「……はいっ、大好きですっ!」
まゆ「……そうですかぁ」
まゆ (やっぱり、ですね……)
悠貴「でも……」
まゆ「?」
46:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:04:13.00 ID:AHHD50m60
悠貴「……子どもの私なんて、相手にされてませんよねっ……」
まゆ「……」
悠貴「事務所のみなさんは、素敵な方ばかりですし……」
まゆ「悠貴ちゃんも、十分素敵ですよぉ?」
悠貴「そうでしょうかっ……」
まゆ「……」
まゆ「……大丈夫、悠貴ちゃん」
47:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:05:28.46 ID:AHHD50m60
まゆ「確かに、今は相手にされていないかもしれません」
まゆ「……でもそれなら、自分を磨けばいいんです。いつかそんな日が来ると信じて」
悠貴「まゆさん……」
まゆ「待って、待って、待ち続けて……その間に、自分にできることをやりきるんです。……そうすれば」
まゆ「……どんな結果になっても、悔いはないと思うから」
48:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:09:04.88 ID:AHHD50m60
悠貴「……!」
まゆ「……でも、みんなも譲る気はないと思いますけどね。もちろん、まゆもです」
悠貴「……わ、私も負けませんっ!」
まゆ「うふふ、その意気です。……それじゃあ練習、始めましょうかぁ」
悠貴「……まゆさんっ」
まゆ「はい?」
49:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:10:39.63 ID:AHHD50m60
悠貴「あのっ、うまく言えないんですけどっ……ありがとうございましたっ!」
まゆ「いえいえ。……頑張って、くださいねぇ?」
悠貴「はいっ、頑張りますっ!」
まゆ (……絶対、負けませんよ? 悠貴ちゃん)
50:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:12:05.70 ID:AHHD50m60
~~~~
P「ただいま……なんて言っても誰もいないか」
悠貴「あっ、プロデューサーさんっ!」
P 「……」
悠貴「お疲れ様ですっ!」
P「……ありがとう、悠貴。まだ残ってたのか」
悠貴「す、すみませんっ……」
51:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:13:23.60 ID:AHHD50m60
P「いや、別にいいんだけど……どうしたんだ? 俺になにか用か?」
悠貴「……そのっ、プロデューサーさんに、伝えたいことがあって……」
P「……!」
悠貴「今、いいですかっ?」
P「……おう」
52:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:14:56.86 ID:AHHD50m60
悠貴「あのっ、私……私っ」
P「……」
悠貴「――私、トップアイドルになりたいんですっ!」
P「え……?」
53:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:16:39.19 ID:AHHD50m60
悠貴「今までは、かわいくなれれば……かわいいアイドルになれればいいなって思ってましたけどっ」
悠貴「でも、今は違います……今は、トップアイドルを目指してみたいんですっ!」
P「……簡単な道じゃないぞ」
悠貴「……確かに、私一人で進むには長すぎる道です……でもっ」
P「プロデューサーさんや……事務所のみなさんと一緒に進んでいけば、きっと……」
悠貴「進んでいった先にある……明るくてきれいな景色を、見ることができると思うんですっ!」
54:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:18:17.80 ID:AHHD50m60
P「……」
P「……そうだな。確かに、景色を見せるのは俺の仕事だ」
P「だけど、見ようと思わなければ……決して見ることはできないよな」
P「……嬉しいよ。悠貴が気持ちを伝えてくれて」
悠貴「私も……私の気持ちを、伝えられてよかったですっ」
P「……ただ、一つだけ聞いてもいいか? いったい、どうして……」
P「……」
55:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:19:51.10 ID:AHHD50m60
悠貴「どうして、なんですかっ?」
P「……いや、なんでもない。忘れてくれ」
悠貴「? わかりました……」
P「……もう遅いし、送っていくよ」
悠貴「はいっ」
56:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:21:43.39 ID:AHHD50m60
~寮~
P「……ここまでだな」
悠貴「送ってくださってありがとうございましたっ!」
P「どうしいたしまして。……じゃあな悠貴」
悠貴「あっ、プロデューサーさんっ」
P「ん?」
57:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:23:33.74 ID:AHHD50m60
悠貴「私、トップアイドル目指して頑張りますからっ」
悠貴「明日からも……プロデュース、よろしくお願いしますねっ!」
P 「おう。……任せてくれ」
悠貴 (……もしも私がトップアイドルになれたら、その時は――)
58:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:25:15.77 ID:AHHD50m60
悠貴「ふふっ……じゃあおやすみなさい、プロデューサーさんっ」
P「おやすみ、悠貴」
悠貴 (――私の心からの気持ち、伝えますからねっ!)
59:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/17(火) 20:26:38.42 ID:AHHD50m60
これで終わりです。
思いやりの気持ちは大切だと思います。自分勝手になってはいけませんよね。
見てくれた方々、どうもありがとうございました!
転載元
悠貴「大好きですっ!」まゆ「そうですかぁ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426584618/