【佐藤心SS】モバP「心さんって、涙腺緩いですよね」

1: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:12:33.46 ID:LXUYg8uWO
心「え、そうだっけ?」

P「そうですよ」

心「んー……まあ、年取ると涙もろくなっちゃうからなぁ」

P「もう26ですからねえ」

心「だねえ」

P「………」

心「………」

心「女の前で歳の話はするなあっ!!」バンバンッ

P「いまさら!?」

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2: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:13:43.70 ID:LXUYg8uWO
P「実は子どものころからよく泣いてた……とかではないんですか?」

P「意外と泣き虫だったとか」

心「あははっ! はぁとが泣き虫~? そんなわけないじゃん☆」

心「小さいころはねえ、それこそ男子とよく喧嘩もしたし、そのたびあつーい友情を積み上げてきたもんよ♪」

心「みんなも『はぁとちゃんつよーい!』って言ってくれてたし、超スウィーティーだったな☆」

P「スウィーティーの欠片も感じないんですが」

心「え? なんで」

P「だって、喧嘩って叩いたり蹴ったりもしたんじゃないんですか?」

心「いや、勝負方法はお菓子作り」

P「超スウィーティーだ!!」

P「え、男子も全員ノってくれたんですか?」

心「料理ができない場合はカラオケでもよかったぞ♪」

P「それ本当に喧嘩だったんですか?」

3: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:15:19.78 ID:LXUYg8uWO
P「なんか、少女時代から濃ゆい人生送って来たんですね」

心「まーね☆はぁとってばみんなのエンジェルだから、自然といろんな人や物が集まってくるってゆーか☆」

心「いやあ、人気者は辛いわ☆」

P「ところで、最近涙腺が緩くなったというお話ですが」

心「スルーが雑!」

P「これを一緒に見てほしいんですよ」

心「ん? ……映画のDVD?」

P「奏から借りたんですけど、あの子がお勧めしてくるにしては珍しく感動系の物語だそうで」

P「どうせ見るなら思い切り感動したいので、隣に涙もろい人がいてくれたらいいなと」

心「なるほどー。隣が泣いてると自分も涙がじわーっと出てくるアレかぁ♪」

心「でもはぁと、そこまでオンオン泣くわけじゃないけどねー♪」

P「ダメですか」

心「んー……でも、奏ちゃんおススメの映画は興味あるし♪ とりあえず観る☆」

P「お、観てくれますか」

心「うん♪」

4: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:16:40.15 ID:LXUYg8uWO
P「じゃあ、今から準備しますね」ゴソゴソ

心「………」

心「……ほんとは、あなたと一緒に映画を観たいだけなんだけどね」ボソッ

P「………」ゴソゴソ

心「………」

心「ほんとはっ!! あなたと一緒に映画を観たいだけなんだけどねっ!!!」

P「耳元で叫ばないでくださいっ!」キーーン

心「いや聞こえてないのかと思って」

P「めっちゃ小声で言ってたじゃないですか。あれ聞こえないように言ったんじゃないんですか」

心「ああいうのはボソッと言ったほうが奥ゆかしさがあるだろ☆ や~ん、はぁとってば大和撫子☆」

P「その後耳を破壊せんとばかりに叫んだら、奥ゆかしさの欠片もないですよね」

心「それはそれ♪ これはこれ♪」

P「いや全然別の話じゃないと思いますが……準備できたんで、映画観ましょうか」

心「よーし、ばっちり感動するぞー☆」

5: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:17:26.46 ID:LXUYg8uWO
上映開始5分

『じゃあ、いってきます!』

P(この男子学生が主人公かな。家には母親しかいないみたいだけど……)チラ

心「ぐすん」

P(え、もう泣いてる?)

心「うぅ……こういう雰囲気ダメ……」グスグス

P(まだ家から出て登校してるだけなのに!? どこに泣くポイントが……)

6: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:18:27.20 ID:LXUYg8uWO
上映開始50分

心「うううぅぅ」ズビビビ

心「うっ……ぐすっ……」チーン

心「がんばったね……がんばったね……ううぅ」

P「………」

P(感動のシーンなんだが……隣が号泣しすぎて逆に涙が引っ込んでしまった)

心「しくしくしくしく……」

P(周りが泣きすぎると、そっちに気を取られすぎて感情が収まるものなんだな……初めて実感した)

7: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:21:27.81 ID:LXUYg8uWO
ガチャリ

奏「ただいま。レッスン、終わったわ」

P「おかえり、奏。ちょうど今、貸してもらった映画を観終わったところだよ」

奏「へえ、そうなの。どう、感想は?」

P「それが――」

心「か゛な゛て゛ぢゃあ゛あ゛ん゛!!」ダキッ

奏「きゃっ」

心「お゛お゛お゛お゛ん゛」

奏「え、ちょっと。なに? ニャンちゅう?」

心「感動したぞこらああ! ずびびび」

奏「は、はあ……それは、なにより?」

P「すごいな、あの奏が珍しく戸惑っている」

9: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:22:21.74 ID:LXUYg8uWO
P「大号泣でしたね。奏が対応に困って逃げるくらい」

心「た、たまたまだからっ! 普段は感動映画観てもこんなに泣かないんだからな☆」

P「いいじゃないですか。感動できるってことは、登場人物への感情移入ができるってことだろうし、演技系の仕事の素質があるかも」

心「それはそれでうれしいけど!」

心「……泣きすぎて、変な顔になってなかった?」

P「いや、全然」

心「ほっ」

11: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:23:12.69 ID:LXUYg8uWO
心「とにかく、今回は特別だったの♪ 偶然泣きのスイッチがバシッと入る内容だったから、号泣しただけ!」

心「一週間分の涙流したから、もう当分は何も出てこないぞ☆」

P「そうなんですか?」

心「そう☆ ひょっとして疑ってるの~?」

心「嘘だと思うなら試してみて♪ また感動映画持ってきてもいいから♪」

P「はあ、それじゃあ」

P「総選挙の中間順位、Paで5位です。前回圏外からの大躍進です」

P「流れに乗れれば3位以内も夢じゃないです」

心「………」

心「………」

心「」ブワッ

P「さっきより涙出る速度がやばい」

12: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:24:28.10 ID:LXUYg8uWO
心「えぐっ、えぐっ」

P「はいティッシュ」

心「ううううぅ」チーン

心「こ、これは違うから……来週の涙を前借りしてるだけだからぁ」

P「別に強がらなくてもいいじゃないですか。努力の成果が出たわけなんだし、喜んで泣いたって誰も笑いませんよ」

心「で、でも、まだ中間だよ? 最終結果が出たわけでもないのに……それに、まだ上には何人もいるんだし。おかしいって……」

P「かまいません。それに、どうしてもって言うなら」

P「これからもっと頑張って、次は『おかしくないうれし泣き』をできるようにしましょう」

心「………」

心「プロデューサー」

P「はい」

心「そのセリフ、ちょっと臭いね……」

P「えぇ……うまく決めたつもりだったのに」

心「あははっ……うん、おかげで涙引っ込んだ♪ サンキュ☆」

P「涙引くのと同時にドン引きされてません? すごい複雑なんですけど」

心「気にすんな☆ ドン引きまではいってないから☆」

P「フォローが微妙」

13: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:25:24.15 ID:LXUYg8uWO
心「ま、元気出せよっ!」

P「いつの間に俺が慰められる側になったんですかね」

心「世の中ギブ&テイク☆ やられたらやり返せ☆」

心「はぁとは最後まで全力疾走だから、ちゃーんとついてきてよ?」ニコッ

P「はいはい、わかってますよ」

心「……お願いね、プロデューサー」

心「しっかし、今度こそ涙は出し切った! もう泣かない!」

P「また言ってる」

心「今度こそは本当!」

P「まあ、どっちでもいいですけど……お腹すきましたし、食堂にいきます?」

P「なんか、今日限定の特別なラーメンがあるとか」

心「限定メニュー? いくいく♪ はぁと、そういうのはとりあえず食べるタイプ☆」

14: ◆C2VTzcV58A 2016/05/08(日) 17:26:16.56 ID:LXUYg8uWO
その後

P「限定ラーメン……超激辛ピリピリラーメン」

心「辛いぃぃ……スウィーティーじゃなくてスパイシー……」シクシク

P「まだ涙出るじゃないですか」

心「辛いもの食べたら出るのは生理現象だろぉ~?」

P「あはは」

心「む~……おまえもくえっ!」グイッ

P「むぐっ! ……辛っ!!」

心「ふはは☆」

奏「………」

奏「お邪魔しないほうがよさそうね、あれは」フフ

おしまい

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