【二宮飛鳥SS】佐藤心「ねえ、手伝って☆」 二宮飛鳥「………」

1: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:23:46.24 ID:VcunSbGZO

心「お願い♪」

飛鳥「いや」

心「ちょっとだけ♪ 先っちょだけだから☆」

飛鳥「断る」

心「ねーねー☆ お願いよー♪」

ガチャリ

梨沙「おはよう――」

心「頼むから切らせろ☆」ジョキンジョキン

梨沙「き、切り裂き魔!?」

心「違うわ!」

飛鳥「梨沙が思っているような猟奇的殺人現場ではないから安心していいよ」

2: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:25:07.79 ID:VcunSbGZO

梨沙「へえ、美容師の職場体験ねえ」

心「そ♪ 女の子が憧れる職業ナンバーワンと名高いアレだぞ☆」

梨沙「そうなの?」

飛鳥「上位ではあるだろうけど、トップだとは聞いたことがないな」

心「そのへんはノリで流せ☆」

心「とにかく、その美容師の練習に付き合ってほしいというワケよ♪」

梨沙「それで飛鳥を実験台にしようとしてたのね」

心「ちょーっと先っちょ揃えるだけ☆ 手先は器用だから安心していいって言ってるのに」

心「余裕のよっちゃんだな☆」

梨沙「よっちゃん? よっちゃんってハートさんの妹のことよね? なんで急に出てくるの」

心「ああいや、確かにはぁとの妹はよっちゃんだけれども、今のはそっちのよっちゃんじゃなくて……」

飛鳥「今時の若者に通じにくい言葉を使うと苦労するね」

心「黙らっしゃい! はぁとも若者ですー!」ブーブー

梨沙「で、よっちゃんって誰なの?」

心「えっと、だから……」

心「誰なん?」

飛鳥「ボクに聞かれても困る」

梨沙「??」

3: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:26:47.80 ID:VcunSbGZO

飛鳥「なんにせよ、ボクはイヤだ」

心「固いこと言わないで♪ 新たなセカイが開けるかもしれないよ?」

飛鳥「ボクにもセカイを選択する権利くらいある」

心「むー……」

梨沙「ま、飛鳥は髪にこだわりあるもんね」

心「こうなったら」

心「りさちゅわあ~ん☆」

梨沙「キモッ」

心「引くな☆ ね、ちょっとだけ付き合って?」

梨沙「えー」

心「お願い! この通りっ」ペコリ

梨沙「………」

梨沙「しょーがないわねー」

心「梨沙ちゃん!」

梨沙「ただし! ハサミは使うの禁止!」

心「えー?」

梨沙「ミスされたら困るのはこっちなのよ? 美容師って切るだけじゃなくて、髪型のセットとかシャンプーとかもやるんだし、そっちの練習しなさいよ」

心「んー……ま、付き合ってくれるだけでありがたいよね♪ サンキュ☆」

4: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:27:42.49 ID:VcunSbGZO

心「ではお客様、こちらの席へどうぞ☆」

梨沙「あ、そこからやるんだ」

心「しゅがーはぁと美容院は丁寧なサービスがモットーですので♪」

心「さてさて、どんな髪型にしてやろうかうふふふ☆」フヘヘ

梨沙「……なんか急に身震いがしたんだけど」

心「ヘッヘッヘ、シンパイスルコトハナイ」

梨沙「めちゃくちゃ心配になってきたわ!」

飛鳥「……頑張れ」

梨沙「飛鳥、アンタこうなることわかってて……」

心「かかれー☆」

梨沙「きゃーーっ!?」

5: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:28:40.48 ID:VcunSbGZO

そして――

心「じゃじゃーん☆ サイドポニー♪」

梨沙「………」カガミジロジロ

梨沙「あ、意外とイケるわね」

心「でしょ? さっきも言ったけど、手先は器用なんだから♪」

心「お客様に似合うような形に整えちゃったぞ☆」

梨沙「へえ……うん、いい!」

梨沙「今日はこの髪型でいようかな……」ニコニコ

飛鳥「……うまいね」

心「どーよ♪ 今になってやっぱりしてほしいって言っても遅いんだからな☆」

心「どこかのヘアアレンジが趣味の子よりも上手だったりして~」

飛鳥「む………」←趣味:漫画を描くこと・ラジオを聴くこと・ヘアアレンジ

飛鳥「いいだろう……梨沙。少し頭を借りるよ」

梨沙「え?」

6: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:30:51.01 ID:VcunSbGZO

飛鳥「………」

飛鳥「できた。おだんご二つだ」

梨沙「ふーん……こっちもいいかも!」

心「む、やるな……」

心「ならこっちはこうだーっ!」

梨沙「ちょ、また変えるの?」

心「ふんふんふんふん☆」

心「完成! 清純派な三つ編み☆」

梨沙「へー、三つ編みも案外悪くないわね」

飛鳥「ならばボクは――」

飛鳥「ここであえて、王道をいくポニーテールだ」

梨沙「ツインテールもいいけど、ポニーテールもたまにはいいわね」

心「くっ……ならこっちはこれ!」

飛鳥「そう来るならこちらはこれだ」

心「ならならこっちは!」

飛鳥「さらにこちらは――」

梨沙「って、いつまでもアタシの髪で遊んでるんじゃないわよっ!」

心「あ、ごめん」

飛鳥「すまない。つい熱くなってしまった……」

7: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:31:47.42 ID:VcunSbGZO

梨沙「まったく! アタシの髪はアンタ達のおもちゃじゃないのよ!」

飛鳥「その通りだね……しかし、これだけ長くて綺麗な髪だと、つい」

心「イジリがいがあるってゆーか、ね☆」

梨沙「はあ……まあ、髪を褒められるのはイヤじゃないけど」

梨沙「やっぱりアタシは……」イジイジ

梨沙「これね!」

心「お、見慣れたツインテールに戻った」

飛鳥「確かに、その髪型が一番キミらしいかな」

梨沙「でしょ?」ニコニコ

8: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:32:48.92 ID:VcunSbGZO

その日の夜 飛鳥の部屋

心「お邪魔しまーす☆」

飛鳥「……なんの用?」

心「いやー、部屋でひとりでビール飲んでたら寂しくなっちゃって♪」

心「来ちゃった☆」キャハッ

飛鳥「そういうアピールは異性に向けてやるものだと思うけど」

梨沙「ビール飲んでたから顔が赤いのね」

心「あれ、梨沙ちゃんなんでいるの?」

梨沙「泊まりにきたから」

心「またかい。キミほんとに飛鳥ちゃん好きだな~」

飛鳥「連絡を取り合っているうちに、梨沙のお母様とは世間話ができるくらいに打ち解けてしまった」

梨沙「べつにそういうわけじゃないからっ。漫画がいっぱいあるから、読みに来てるだけ!」

飛鳥「漫画が読みたいだけなら、貸してあげるから家で読めば――」

梨沙「重いから持って帰るのがメンドーなの!」

飛鳥「……そう。ならいい」フッ

心「素直じゃないなぁ♪」

9: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:34:16.27 ID:VcunSbGZO

かぽーん

梨沙「で、なんで3人で寮の大浴場に?」

心「裸の付き合い♪」

飛鳥「もともと梨沙とは入るつもりだったし、心さんが増えただけだね」

10: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:35:37.67 ID:VcunSbGZO

心「はーい♪ それじゃあ、わしゃわしゃしましょーねー♪」ワシャワシャ

梨沙「頭洗ってくれるのはいいけど、赤ちゃん相手にしてるみたいな言い方やめなさいよね」

飛鳥「美容師の練習の続きかい?」

心「その通り☆ あとで飛鳥ちゃんの頭も洗ってあげるよ?」

飛鳥「……なら、お願いするよ」

心「お、いつになく素直」

飛鳥「いつもはひねくれていて悪かったね」

心「もう、そんな言い方しないの♪」

梨沙「じゃあ、ハートさんの頭はアタシと飛鳥が一緒に洗えばおあいこね」

心「ヨロシク☆」

11: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:36:41.87 ID:VcunSbGZO

ざぶーん

心「はー、極楽極楽♪」

心「そういえば、やっぱり飛鳥ちゃんお風呂入る時はエクステ外すんだ」

飛鳥「当然だろう」

心「こうして見ると、ちょっぴりボーイッシュだね♪」

梨沙「飛鳥はもともとの髪はそんなに長くないから、お風呂の時楽でいいわね」

心「はぁと達は、湯船につかるのにも髪洗うのにも一手間かかるもんな♪」

梨沙「髪を湯船につけるのはマナー違反だから、頭の上で髪をまとめないと」

心「ま、好きでやってるからいいんだけど☆」

心「見よ、この美しいうなじを! このまま上がれば湯上り美人のいっちょあがりよ☆」

梨沙「湯上り美人~?」

心「なんか文句あっか☆」

12: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:37:42.98 ID:VcunSbGZO

心「胸だって結構大きいんだぞ?」

飛鳥「……確かに」チラリ

心「ふふふ、羨ましいだろう♪」

梨沙「あ、アタシはまだまだこれからだし!」

飛鳥「張り合うつもりはないけれど、ボクもまだ伸び白はある」

心「おっきくなれよ、二人とも☆ はぁとみたいなオトナのボディーを目指せ!」

梨沙「オトナのボディー……」

心「なんなら胸触ってみてもいいよ?」

梨沙「………」サワサワ

梨沙「う……悔しいけど柔らかい」

心「ふはは☆」

梨沙「胸以外は?」

心「別にいいぞ♪」

梨沙「じゃあお腹」

ぷにっ

心「貴様触れてはならんところをーー!!」ガルルルル

梨沙「わわっ、別にいいって言ったでしょうが!?」

飛鳥「胸はよくてお腹はダメなのか……」

心「ぷにぷになんてしてないからな!」

13: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:38:42.81 ID:VcunSbGZO

心「とりあえず、二人のおかげで美容師のお仕事にチャレンジする準備ができたな♪ サンキュー☆」

飛鳥「それはよかった」

梨沙「にしても、やけにノリノリね」

心「ま、美容師は小さい頃になりたかった職業のひとつだしね。その時の夢がある意味叶うわけだから、多少は気合いも入るっしょ☆」

梨沙「夢だったの?」

心「たくさんあるうちのひとつだけどな♪ お花屋さんとか、ケーキ屋さんとか、花嫁さんとか……子どもの頃は、そういう『なりたいもの』がいくらでもあったから」

心「最終的に、そのどれにも負けないアイドルっていう職業に就いたわけだけど」

心「そう考えると、はぁとも幸せ者だな☆」

飛鳥「幸せ者、か」

14: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:39:46.42 ID:VcunSbGZO

心「飛鳥ちゃんや梨沙ちゃんは、まだ夢をたくさん見ていい年頃だから、今のうちにたくさん見ておくんだぞー?」

心「可能性をいっぱい秘めてる時期だからな♪」

飛鳥「可能性……」

梨沙「アタシはきっと、なろうと思えばたいていのものにはなれちゃうわね!」

心「さすがの自信……飛鳥ちゃんは?」

飛鳥「……ボクも」

飛鳥「ボクも、いろんな可能性を、セカイを感じてみたい。今は、そう思えるよ」

心「若いねえ」

飛鳥「あぁ、若いさ。まだまだ、子どもだからね」

15: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:41:56.52 ID:VcunSbGZO

お風呂から上がって

飛鳥の部屋

梨沙「アタシはやっぱり将来総理大臣に……」

飛鳥「大きい夢だね」

梨沙「いいでしょ、別に。それより、漫画描けた?」

飛鳥「そんなにすぐに描けるものじゃないさ」

梨沙「ふーん……アンタ、将来漫画家になろう、とか考えたことないの?」

飛鳥「さぁ、どうだろうね」

梨沙「真面目に答える気ないわね……」

16: ◆C2VTzcV58A 2016/03/01(火) 14:45:03.98 ID:VcunSbGZO

シュガーハートの部屋

心「あーあ、やっぱり前途ある若者はいいなあ……」

心「うーん……あ、そうだ」

Prrrr

心「もしもし、プロデューサー? 今大丈夫?」

心「いや、別になにかあったわけじゃないんだけどさ……ちょっと話付き合え☆」

心「いいだろ、他愛のない話でも♪」

心「……よしよし、それでこそプロデューサー♪ でねでね、話っていうのは」

心「今度、みんなで温泉にでも――」

おしまい

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