【荒木比奈SS】荒木比奈「視線を感じるっス」

1:2013/04/09(火) 00:45:27.57 :LJH9JFkr0

星輝子「あ、はい。見ててすいません……」

比奈「いやいや、輝子ちゃんではないっスよ」

輝子「でも……わ、私とヒナさん以外、事務所にいませんよ……?」

比奈「そんなことはないと思うんっスけど」

輝子「もしかして、キノコですか。フヒヒ……そうですね、私としたことが親友を忘れるなんて」

比奈「あー……さすがに菌類の視線は感じ取れないっスね」

2:2013/04/09(火) 00:46:25.86 :LJH9JFkr0

輝子「そ、そうですか。……キノコ」

比奈「えっと、少し周りを見てほしいっス」

輝子「周り?」

輝子(――あ、プロデューサーが観葉植物の裏に)

輝子「ぷ、プロデューサーですか」

比奈「そうでス。なにをしてるんっスかね?」

輝子「きっと、キノコの気持ちになろうとしてる……」

比奈「もしそうだったら、ちょっと関係を考え直そうと思うっスよ」

3:2013/04/09(火) 00:47:08.34 :LJH9JFkr0

輝子「キノコ……」

比奈「とりあえず、おびき寄せまスか」ゴソゴソ

輝子「な、なんですか、それ……」

比奈「煙草っスよ」

輝子「煙草より……き、キノコの方が良いと思います……」

比奈「キノコを咥えるのは、絵面的に勘弁してほしいっス」

4:2013/04/09(火) 00:48:27.61 :LJH9JFkr0

比奈「まあ、煙草ってのは冗談っスよ。本当はシガレットチョコでス。一本どうっスか」

輝子「あ、ありがとうございます……フヒヒ」

モバP「なにをしてるんだ、お前ら!」

輝子(プロデューサーが、植木鉢をなぎ倒して走ってきた!?)

5:2013/04/09(火) 00:49:51.18 :LJH9JFkr0

比奈「こんにちわっス。プロデューサー」

P「芸能界ではおはようございますだぞ――いや、そんなことはどうでも良い。お、お前、煙草って」

輝子「プロデューサー、ち、違う」

P「輝子もだ! 比奈は二十歳だが、お前はまだ未成年なんだぞ?」

輝子「す、すいません……」

6:2013/04/09(火) 00:50:24.52 :LJH9JFkr0

比奈「プロデューサー、これはチョコでスよ。シガレットチョコレート」

P「……え、あ、本当だ。剥いたら茶色い」

比奈「間抜けが見つかったっスね」

P「血管は浮き出てないぞ」

比奈「青筋は浮かんだっスよ?」

P「驚いただけだ。怒ってない」

7:2013/04/09(火) 00:51:33.43 :LJH9JFkr0

P「悪かったな、輝子。びっくりしただろ?」

輝子「フヒヒ……許すよ、親友だから」

比奈「さてプロデューサー、聞きたいことがありまスよ」

P「ん、なんだ?」

比奈「なんで隠れてこっちを見てたんでスか」

P「なにを言ってるんだ? 俺は今事務所に来たばかりだよ」

比奈「バレバレでスから、さっさと言ってほしいっス」

P「……もしかして、見えてた?」

比奈「どうして見えてないと思ってたんっスかね」

P「息を止めてたし」

輝子「息?」

比奈「伝わり難いジョークっスよ」

8:2013/04/09(火) 00:52:19.39 :LJH9JFkr0

P「本当に深い理由は無いんだよ。比奈が勉三さんに似てるな、と思ったら体が勝手に」

比奈「浪人した憶えはないっスけど」

P「共通点は多いと思わないか」

比奈「多くても嬉しくないっスよ」

P「運転が下手だったりしない?」

比奈「なんで勉三さんにこだわりを見せるんでスかね」

9:2013/04/09(火) 00:53:12.96 :LJH9JFkr0

輝子「あの、もしかして……ヒナさんの誕生日に関係があったり」

比奈「え、ああ、そうえば今日だったっスね」

P「――おいおい、よく分かったな」

輝子「フヒヒ……キノコの気持ちは、て、手に取るように分かるから」

P「比奈、俺はバカにされてるのか」

比奈「どっちかっていうと、菌類つながりでコケにされてるっスよ」

輝子「あ、いや、すいません……親友の間違いです……」

10:2013/04/09(火) 00:54:04.72 :LJH9JFkr0

P(ん? 輝子が俺の傍まで寄って来た)

輝子「……プロデューサーも、ひ、ヒナさんにプレゼントを渡すの?」ボソボソ

P「そういう言い方ってことは、輝子もか」ボソボソ

輝子「タイミングを見て、渡そうかと思ってて。……プロデューサーは、どうして隠れてたんですか」ボソボソ

P「誰かに見られると照れ臭かったから、比奈が一人になるのを待ってたんだ」ボソボソ

輝子「す、すいません、私が邪魔でしたね。フヒヒ、やっぱり私にはボッチがお似合い……」ボソボソ

P「違う、違うぞ。今の発言にそんな他意は込めてない!」

11:2013/04/09(火) 00:55:04.62 :LJH9JFkr0

輝子「プロデューサー、わ、私はここにいて良いの?」

P「もちろんだ。俺たちは親友だろ」

輝子「……違います」

P「え、そ、そんな」

輝子「私とプロデューサーは――大親友だよ」

P「輝子ぉ!」 輝子「プロデューサー!」

比奈「目の前で耳打ちし合ってたと思ったら、突然なんでスか」

12:2013/04/09(火) 00:55:44.27 :LJH9JFkr0

P「なんだよ、水を差すなよ浪人生」

比奈「アニメでは合格してまスよ」

輝子「ぷ、プロデューサー、プレゼントを渡さなきゃ」ボソボソ

P(そうだった)

14:2013/04/09(火) 00:56:28.44 :LJH9JFkr0

P「改めて、比奈、誕生日おめでとう」

比奈「今日は勉三さんの誕生日だったんでスね。知らなかったっスよ」

P「すみませんでした」

15:2013/04/09(火) 00:57:26.67 :LJH9JFkr0

比奈「なにを謝っているナリか」

P「悪かったよ、照れ臭かったんだ」

比奈「……さすがに、勉三さん扱いされたら傷つくっスよ?」

P「すまん。このプレゼントは、比奈をちゃんと女性として扱って選んだから、受け取ってくれ」ゴソゴソ

比奈「ありがとうございまス。その、開けて良いっスか」

P「どうぞ」

比奈「ではでは」ガサガサ

比奈「――香水、でスか」

16:2013/04/09(火) 00:58:25.78 :LJH9JFkr0

P「臭いが強すぎないものを選んでみたんだ」

比奈「……プロデューサー、今から出かけないっスか」

P「ん? 構わんが、どこかに用があるのか」

比奈「いえ、さっそくこの香水を使ってみようかと。せっかくだから、外に出たいんでスよ」

P「おお、今からつけてくれるのか。そうなると、なんだかデートみたいだなぁ」

比奈「そうっスね。デートみたいっス」

P「それじゃ、行くか」

比奈「はいっス」

P(……あれ、なんか忘れてるような)

17:2013/04/09(火) 00:58:58.17 :LJH9JFkr0

輝子(プロデューサーとヒナさん、行っちゃった)

輝子「プレゼント、渡せなかった」

輝子「フヒヒ……キノコーキノコーボッチノコーホシショウコー」

18:2013/04/09(火) 01:00:03.48 :LJH9JFkr0

翌日

比奈「視線を感じるっス」

P「念写でもされてるんじゃないか」

比奈「吸血鬼はアタシじゃなくて、向こうっスよ」

P「向こう?」

P(――あ、輝子が観葉植物の裏に)

輝子(遅れちゃったし、もっとタイミングを見て、渡さなきゃ)

                          おわり

元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365435927

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