【緒方智絵里SS】武内P「緒方さんと飲むことに」 智絵里「甘いジュースが好きです」 

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 18:35:00.34 :G9SuJ9moO

アニメ最終回後の設定です

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 18:37:36.75 :G9SuJ9moO

346プロ 中庭

武内P「………」スタスタ

武内P「? あれは……」

智絵里「………」モクモク

智絵里「うーん。今日はなかなか見つからないなあ……」

武内P「緒方さん」

智絵里「きゃっ!? あ、プロデューサーさん……」

武内P「すみません。驚かせてしまいましたか」

智絵里「いえ、大丈夫です」

武内P「……四つ葉のクローバー探し、ですか」

智絵里「あ、はい。今日はこの後、お仕事もレッスンもないので……本腰を入れて探してます」

智絵里「でも……そういう時に限って、なかなか見つからなくて」エヘヘ

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 18:40:10.48 :G9SuJ9moO

武内P「………」ガサガサ

智絵里「プロデューサーさん?」

武内P「自分も、手伝います」

智絵里「そ、そんな……悪いです。手も汚れちゃうし」

武内P「かまいません。夕方の会議まで、少し時間を持て余していたところですから」

武内P「それに……こうしていると、昔を思い出せます」

智絵里「昔……?」

武内P「子どもの頃は、自分も、四つ葉のクローバーを探していました」

智絵里「そうなんですか?」

武内P「はい。多くの大人が、一度は通る道かと」

智絵里「多くの人が……ちひろさんとか?」

武内P「ええ、おそらく」

智絵里「……美城専務、とか?」

武内P「………」

武内P「小さい頃は、あったのではないでしょうか」

智絵里「そういうものですか……専務が……」

智絵里「………」

智絵里「ぷっ」

武内P「……緒方さん?」

智絵里「あ、いえ、その。今のは……ちょっと、専務が四つ葉のクローバーを探している光景を想像したら、つい」ブンブン

智絵里「……誰にも、言わないでくださいね」モジモジ

武内P「はい。わかりました」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 18:44:33.97 :G9SuJ9moO

武内P「………」

武内P「……っ、これは」

智絵里「プロデューサーさん?」

武内P「見つかりました。四つ葉のクローバーです」スッ

智絵里「わあ……プロデューサーさん、すごいです。わたし、見落としていたみたい……」

武内P「たまたまです……どうぞ」

智絵里「ありがとうございます」ペコリ

智絵里「………」ガサガサ

武内P「緒方さん? まだ、探されるのですか?」

智絵里「え? だって、プロデューサーさんのぶんも見つけないと……」

武内P「私の?」

智絵里「一緒に探してくれたから……今度は、わたしがプロデューサーさんに、四つ葉のクローバーを見つけてあげる番です」グッ

武内P「いえ、そのお気持ちだけで」

智絵里「だ、ダメです。探しますっ」フンス

武内P「………」

武内P「わかりました。手伝います」

智絵里「がんばりましょう」ニコニコ

武内P「……はい」

武内P(彼女のプロデュースを始めて、もう一年半以上……)

武内P(今では、しっかり私の目を見て話してくれるようになった)

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 18:54:08.45 :G9SuJ9moO

智絵里「あっ……ありました! 四つ葉ですっ」

武内P「おめでとうございます」

智絵里「はいっ。えと、じゃあ……どうぞ。これは、プロデューサーさんのクローバーです」

武内P「ありがとうございます」

智絵里「えへへ……ちょっと疲れちゃいました」

智絵里「喉、かわいちゃったなぁ……」

武内P「自分もです」

智絵里「………」

武内P「………」

智絵里(え、えっと)

武内P(この後、どう会話をつなげれば……)

武内P「……緒方さん」

智絵里「はい?」

武内P「よろしければ、向こうのカフェで……お茶でも、いかがでしょう」

智絵里「あ、はい。お茶しましょう、そうしましょう」

武内P(緒方さんと落ち着いて話す機会は久しぶりのはず……)

智絵里(久しぶりにプロデューサーさんとお話し……えっと、なにを話そうかな)

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 18:56:51.46 :G9SuJ9moO

菜々「いらっしゃいませー!」

菜々「二名様ですね! こちらの席へどうぞ!」

武内P「コーヒーをひとつ、お願いします」

智絵里「わたしはクリームソーダと……あっ。このケーキ、新発売なんですか?」

菜々「ええ! 店長おすすめのメニューですよー」

智絵里「じゃあ、これも一緒に」

菜々「かしこまりました! 少々お待ちください」タタタッ

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 18:59:25.87 :G9SuJ9moO

智絵里「えへへ、ケーキとクリームソーダ……」ニコニコ

武内P「……楽しみですか?」

智絵里「……はっ!?」

智絵里「あ、その……すみません。恥ずかしいところを見せちゃって」カアァ

智絵里「子どもっぽいですよね。クリームソーダではしゃいじゃって……でも、甘い物は好きで。かな子ちゃんとも、スイーツめぐりとかしてて」

武内P「……いいことだと、思います」

智絵里「え?」

武内P「誰かと好みを共有することは、楽しみにつながります」

武内P「それと……自分も、甘い物は好きなので」

智絵里「プロデューサーさん……」

武内P「つまり……美味しいから、大丈夫ではないかと」

智絵里「……ふふ、そうですね」

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:01:49.91 :G9SuJ9moO

智絵里「体重はちゃんと管理してますから、安心してください。食べすぎたかなって思ったら、そのぶん運動します」

武内P「無理は、しないでください」

智絵里「はい」

菜々「大丈夫ですよ。若いうちは、多少いっぱい食べても代謝でどうにでもなりますから!」

菜々「その点、ナナはもう……っとと。おまたせしました! コーヒーとクリームソーダ、そして新発売のチョコレートケーキです!」

武内P「では、いただきましょう」

智絵里「いただきます」パン

菜々(よかったぁ。ナナをいじるタイプの人達じゃなくて……危ない危ない)

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:04:19.28 :G9SuJ9moO

智絵里「おいしい……あとでかな子ちゃん達にも教えてあげよう」パクパク

武内P「………」

智絵里「……プロデューサーさん? わたしの顔、なにかついてますか?」

武内P「いえ」

武内P「……よく、笑顔を見せてくれるようになりました」

智絵里「笑顔……わたし、今笑ってました?」

武内P「はい。先ほど、四つ葉のクローバーを探していた時も……いい、笑顔でした」

智絵里「そ、そうかな……」アハハ

智絵里「でも……最近、ううん。もうずっと前から……毎日が楽しいんです」

智絵里「辛いこともあるけど……たくさんの人と出会って、だんだん人見知りもしないようになって……わたし、ちょっとずつ、変われているのかなって」

智絵里「バラエティ番組で揉まれているうちに、打たれ強くなれたのかも」

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:05:48.73 :G9SuJ9moO

武内P「……初めてのバラエティ番組の収録では、こちらのミスで正しい収録内容を伝えられませんでした。あの時は、本当に……」

智絵里「あの時はびっくりしました。クイズ番組って聞いていたのに、マシュマロを飛ばしたり、粉まみれになったり……」

智絵里「でも、今はもう、いい思い出です。その後のバンジージャンプも含めて。KBYDの皆さんとも仲良くなれましたし」

智絵里「あれで、身体を張るお仕事にチャレンジするきっかけもつかめたし……えっと、怪我の功名? です、はい」

武内P「そう言っていただけると、こちらも救われます」

智絵里「最近は、バラエティにもすっかり慣れちゃいました。たとえば、この前の収録で――」

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:09:19.82 :G9SuJ9moO

MC『智絵里ちゃんは四つ葉のクローバー集めるのが趣味なん?』

智絵里『はい。大好きです』

MC『そんなに集めてどうするん? ベジタリアン?』

智絵里『そうそう、サラダに混ぜるとおいしい……って、食べるわけじゃありませんっ』ナンデヤネン!

ギャラリー『かわいいー!』

智絵里「――という感じで、ノリツッコミもそれなりには」

武内P「あの番組は私も見ました。緒方さんの魅力が、視聴者の方にも伝わったのではないかと思います」

智絵里「だと、うれしいです。えへへ」

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:10:38.80 :G9SuJ9moO

智絵里「ノリツッコミのやり方は、笑美ちゃんに教えてもらったんです」

武内P「難波さんに……」

智絵里「はい、そうです」

智絵里「他にも、わからないこととか、難しいこととかがあったら、みんなが力になってくれるんです。それがとても心強くて、安心できて」

智絵里「わたしが頑張れるのは、そうやってみんなが支えてくれるからなんだって思います」

智絵里「いつか、みんなにお返しができればいいんですけど……」

武内P「……特別に、意識する必要はありません」

武内P「緒方さんが、周りの方達に助けてもらっているように……緒方さんもきっと、知らず知らずのうちに、皆さんの力になっているはずです」

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:12:19.78 :G9SuJ9moO

智絵里「そうなんでしょうか」

武内P「自分は、そう思います」

武内P「確認する方法は……皆さんに、直接お聞きすればわかるかと」

智絵里「そ、そんなことできませんっ。恥ずかしいです」ワタワタ

武内P「そうですか」

智絵里「そうですっ。……えっと、話、変えますね」

智絵里「プロデューサーさんにも、少し相談したいことがあって」

武内P「なんでしょう」

智絵里「ファンの人達のことなんですけど……あの、たまに握手会で、わたしとの将来設計を語る人とかがいて」

武内P「将来設計、ですか……」

智絵里「そういう人達には、どう接したらいいのかなって。もちろん、応援してくれるのはうれしいんですけど……」

智絵里「それで、男の人の気持ちは、同じ男の人に聞いてみるのがいいかと思ったんです」

智絵里「相談事ができる男の人って、プロデューサーさんしかいませんし……」

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:14:27.60 :G9SuJ9moO

武内P「……わかりました。そういうことであれば、今後いつでも聞いてください」

武内P「私なりに考えて、意見を出していきます」

智絵里「ありがとうございます」

智絵里「やっぱりファンの人達には、ひとりひとりちゃんと向き合いたいので」ニコッ

武内P「……そうですね」

武内P「他にはなにか、困ったことなどはありませんか」

智絵里「困ったこと……は、ないです。でも、聞いてもらいたいことはいくつかあります」

智絵里「まずは、この前幸子ちゃんと一緒にお仕事をしたんですけど――」

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:16:41.58 :G9SuJ9moO

智絵里「――なんてこともあって」フフ

武内P「それは、観客の方々も喜んだのではないでしょうか」

智絵里「たぶん、そうだと思います」

智絵里「それと、もうひとつ………あ」

武内P「どうかしましたか」

智絵里「いえ……なんだか、わたしだけ勝手におしゃべりしちゃってるかなと思って」

武内P「問題はありません。プロデューサーとして、緒方さんのお話はたくさん聞いておきたいので」

武内P「それに、双葉さんにも……」

智絵里「杏ちゃん? 杏ちゃんが、どうかしたんですか」

武内P「ええ……よく、緒方さんと三村さんの近況について聞かれます。その時、答えられることが多いほうがよいので」

智絵里「そうなんですか。……でも、それなら直接、メールとかでわたし達に聞けばいいのに。どうしてプロデューサーさんに……?」

武内P「それは……想像はつきますが、私の口からは、答えかねます」

智絵里「?」キョトン

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:17:48.34 :G9SuJ9moO

武内P「今日いただいた四つ葉のクローバーは、本の栞にしようと考えています」

智絵里「いいですね。それなら、いつでも使えますし」

武内P「はい。大切にさせていただきます」

智絵里「えへへ」

智絵里「……やっぱり、同じなんですね」

武内P「?」

智絵里「四つ葉のクローバーと同じで……幸せは、自分から手を伸ばすものだなって、今思いました」

智絵里「待っているだけの頃には、もう戻りたくないですから」

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:20:56.92 :G9SuJ9moO

智絵里「もうすぐ、冬ですね」

武内P「はい。紅葉の季節も終わって、風も冷たくなってきました」

智絵里「……わたし、昔は冬が好きじゃありませんでした。寒いのは、なんだか寂しくて」

智絵里「でも、今は違います。冬のいいところとか、だんだんわかってきて、好きになれそう」

智絵里「冬だけじゃないです。アイドルになってから、いろんなものを好きになれるようになったと思います」

智絵里「プロデューサーさんは、笑顔が増えたって言ってくれましたけど……きっと、その理由がこれなのかな」

武内P「緒方さん……」

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:23:58.53 :G9SuJ9moO

智絵里「いろんな人を見て、聞いて、話して、感じて……いっぱいいっぱい、好きになれました」

智絵里「だから、これからもっと、たくさんのことを好きになっていきたいです」

智絵里「何年も経って……アイドルを引退した後も」

智絵里「……できる、かな」

武内P「………」

武内P「できます。今のあなたなら、きっと」

智絵里「プロデューサーさん……ありがとうございます」

智絵里「………」

智絵里「あっ……一応言っておきますけど、今のは別に、アイドルをやめる気とかそういうわけじゃないので」アタフタ

武内P「はい」

智絵里「なので……えっと」

智絵里「これからも、よろしくお願いします」

武内P「もちろんです。私は、あなたのプロデューサーですから」

智絵里「……はいっ!」

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/29(月) 19:25:13.58 :G9SuJ9moO

武内P「……そろそろ、会議の時間です」

智絵里「あ、はい。がんばってください」

武内P「はい。では、自分はこれで……」

武内P「………」

智絵里「どうかしましたか?」

武内P「ひとつ、言い忘れていたことがありました」

武内P「自分も、太鼓の達人を練習したので……今度、時間があれば一緒に」

智絵里「………」

智絵里「はい。プロデューサーさんの腕、見せてもらいます」キリッ

武内P(自信に満ち溢れた表情だ……やはり、緒方さんと好みを共有するなら、これか)

おわり

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