1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 11:58:02.10 ID:+QpkafLAO
拓海「大体誕生日だからってなんだってんだ。別にいつもと変わらない1日だろ?」
P「記念日ってそんなもんだろ。普段と変わらないけど、何かが違う日だし。それを形に残したくてさ」
拓海「ま、まあ気持ちは嬉しいけどよ。Pが稼いだ金なんだから自分のために使えって」
P「一番有意義な使い方が拓海へのプレゼントだと思ったんだが」
拓海「折れねぇなああんたも」
P「今更だな。渋とさが売りなのは拓海がよく知ってるだろ?」
拓海「それもそうだな」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1375844282
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 12:07:07.28 ID:+QpkafLAO
拓海「でもいらねえ」
P「えー」
拓海「ガキか! あー……、なら今日付き合え。Pも午後は時間あるんだろ?」
P「拓海の誕生日プレゼント買いに行くために空けてたからな」
拓海「なら問題ないな。ちょっと待ってろ。バイク取ってくるから」
P「出掛けるんなら車出すぞ?」
拓海「今日はアタシが運転したい気分なんだよ」
P「なら姫の意向に従うとするか」
拓海「だ、誰が姫だッ! 変な事言ってねーで準備してろ!」
P「へいへい」
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 12:17:19.52 ID:+QpkafLAO
………
…
P「さすがにヘルメットは被るんだな」
拓海「このバイクには不釣り合いだけどな。被らねえとうるせー奴がいるし」
P「そりゃ元交通課だしな、あの人」
拓海「めんどくさい後輩だよ、たくっ。じゃあ行くぞ。ちゃんと腰のベルト掴んどけよ?」
P「抱き付くという手もあるんだが」
拓海「振り落とされてぇなら好きにしな」
P「それは困るからベルト掴んどくよ」
拓海「賢明だな。行くぜ!」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 12:44:30.11 ID:+QpkafLAO
P「いい風だなー」
拓海「な? 夏はバイクのほうがいいんだよ」
P「信号で止まると現実が帰ってくる」
拓海「それも醍醐味のひとつだと割り切るしかねーな」
P「割り切るにはなかなか過酷だけどな。で、どこに行くんだ?」
拓海「さあ?」
P「さあって」
拓海「2人きりで話せる時間が欲しかっただけだから、どこに行くかは決めてねーんだよ」
P「事務所でも出来ないかそれ」
拓海「事務所だといろいろ邪魔が入りそうだからし」
P「はは、確かに」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 12:53:54.75 ID:+QpkafLAO
P「で、話ってのはなんだ?」
拓海「んー。どうもPがアタシのこと勘違いしてる節があったからな」
P「そうか?」
拓海「ああ。アタシはよ、誕生日とか記念日とか、あんまり大事にするほうじゃねーんだ」
P「なんで?」
拓海「なんつーかな……。アタシは毎日必死に生きてるんだ。手を抜くことを知らねーから」
P「いいことじゃないか。手抜きの人生なんてつまらないしな」
拓海「わかってんじゃねーか」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 13:04:41.79 ID:+QpkafLAO
拓海「毎日必死だとさ、毎日が記念日みたいになるんだ。だから誕生日だっていつもと変わらない、ただの特別な日」
P「言いたいことはなんとなく分かるけど、支離滅裂じゃないかそれ」
拓海「あー……。こういう小難しいことを言葉にするのは慣れてねーんだよ」
P「拓海らしいな」
拓海「うるせェッ! 振り落とすぞ!」
P「横暴だ!」
拓海「嫌なら黙って掴まってろ!」ブオンッ
P「スピード上げるな! 事故る!」
拓海「この程度で事故ってちゃ、特攻隊長は務まんねえよ!」
P「元だろが! やめて!」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 13:13:39.30 ID:+QpkafLAO
………
…
拓海「いい潮風だな。おいP。いつまでへばってんだよ」
P「あんな速度で走られたら誰でもこうなるっての……」
拓海「アタシをアイドルにしたくせにだらしねえな。ほら、海辺まで行こーぜ」
P「着替えてきてよかったよ。砂浜をスーツ姿で歩いてたら変な目で見られてただろな……」
拓海「アタシが一番最初に大笑いしてただろな」
P「ひどい」
拓海「ははっ。ほら、行くぞ」
P「へいへい」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 13:21:22.52 ID:+QpkafLAO
拓海「んー! 冷たくて気持ちいいな!」
P「海に来るんだったら水着も持ってくればよかったな。泳げてたし、俺も目の保養になってたし」
拓海「意味分かんねえよ。たく、次の仕事にしろ、なんでアタシの水着姿なんか見たいんだか……」
P「そりゃあ魅力的だからに決まってるだろ」
拓海「は、ハァッ!? ね、寝言言ってんじゃねーよ!」
P「事実を述べたまでだけどな」
拓海「あ、暑さで頭イかれたんじゃねーか!? 冷ましてやるよ!」パシャッ
P「冷たっ。着替えないんだからやめろ!」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 13:35:33.86 ID:+QpkafLAO
拓海「知るかよ! そりゃ!」
P「がぶっ!? し、塩っ辛い!」
拓海「あはは! 飲んでやんの」
P「……いい度胸だ拓海君。この私にこれほどの水を掛けるとは」
拓海「ん……? おいバカよせ。悪ふざけが過ぎたのは謝るから――」
P「遅いわ! 喰らいやがれ!」バシャン
拓海「きゃっ!? や、やりやがったなテメェ!」バシャ
P「まだやるか! そりゃそりゃ!」
拓海「やーめーろー!」
P「こっちのセリフだ!」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 14:44:42.20 ID:+QpkafLAO
拓海「どーすんだよこれ。着替えも持ってきてねーのに」
P「先に仕掛けたのはお前だろ……」
拓海「大人気ねえ奴」
P「うるせい。帰りに服買ってやるからそれで許せ」
拓海「……それ誕生日プレゼントとかいうんじゃねえだろな」
P「ぎくぎくっ」
拓海「本当にしつこいなあんたは。まあいいや、代わりにPの服はアタシが買ってやるよ」
P「いいって。普段着なんか滅多に着ないんだから」
拓海「Pが断るならアタシも断り続けるぞ?」
P「う……、わ、分かったよ」
拓海「おう」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 14:54:43.08 ID:+QpkafLAO
拓海「じゃあ乾くまで潮風にでも当たるとするか」
P「そうだな」
拓海「……なあ、P」
P「ん?」
拓海「アタシは、さ。あんたからいっぱいプレゼント貰ってんだよ」
P「記憶にないが」
拓海「こんな生活、ちょっと前まで考えられなかったし。喧嘩がアタシの人生だと思ってたしよ」
P「物騒だなおい」
拓海「悪かったな、たく。でさ、そんな生活も悪くないって気付けたし……。感謝してるんだぜ?」
P「そう言ってもらえるなら嬉しい限りだよ」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/07(水) 15:11:13.96 ID:+QpkafLAO
拓海「たまに恥ずかしい仕事もあるけどな」
P「拓海が可愛いから仕方ないさ」
拓海「う、うるせェッ! 茶化すな! あー……。まあ、そんなのも含めた新鮮な毎日をくれたのはPなんだ。プレゼントはこれだけで充分なんだよ」
P「そっか」
拓海「おう。だから、こういうのはこれきりにしろよ?」
P「善処する」
拓海「直す気ないな?」
P「バレたか」
拓海「まったく、変な奴に捕まっちまったもんだぜ」
P「逃がさないからな?」
拓海「逃げるつもりもねーよ。てゆーかPこそ逃げんじゃねえぞ?」
P「有り得ない話だな」
拓海「ならいいんだ。アタシにとって服とかアクセサリーより、あー……」
P「なんだ?」
拓海「Pがそばに居てくれることが、一番のプレゼントなんだからよ」ニカッ
おわり