【高垣楓SS】モバP「石の下の蛇」

1:2013/06/09(日) 22:42:00.76 :pmc/dcOM0

モバマスSSです。

ペキッ

楓「あら…?」

楓(何か踏んだかしら…)

楓「気のせいかしら」

楓(久々にちひろさんやPさんと飲んだから、酔ったんですかね…)

2:2013/06/09(日) 22:45:10.05 :pmc/dcOM0

P「楓さん平気かなぁ…」

P(まだそこまで遅くないし平気かなぁ。それよりこっちの方が…)

ちひろ「あはは。プロデューサーさんどうかされました?」

P「いえ、なんでもないですよ」

ちひろ「むぅ。嘘でーすー。他の女の子のことを考えていましたね?」ペシペシ

P「いやいや、女の子のことは…」

ちひろ「女の子のことはってことは、女性のことを考えていたんですねっ!楓さんとか、菜々さんとか!」

P「ちょっと待ってください。菜々はまだ17歳ですって」

ちひろ「あぁ、そうでしたっけ?ってことは楓さんのことを考えてたんですね!」

P「まぁ、ちゃんと帰れたかなぁって」

ちひろ「心配なら電話してみればいいんじゃないんですかぁ?」

P「そうですね。後でします。それじゃ、ちひろさんも帰りましょうか」

ちひろ「まだ、飲めますよ?というか、飲まなければやってられないんです!」

P「話なら聞きますよ?」

ちひろ「あ、本当ですか?実はですね…」

P「はい」

3:2013/06/09(日) 22:47:03.05 :pmc/dcOM0

ちひろ「プロデューサーさんが最近構ってくれなくてですね…」

P「いいことじゃないですか。仕事忙しいってことなんですから」

ちひろ「まぁ、そうなんですけどね…。でも、なんだか蔑ろにされた気がしてですね」グスッ

P「ちひろさん…」

ちひろ「あ、あはははは。ちょっとだけセンチになっちゃいましたね」

P「よしっ!飲み直しますか!」

ちひろ「え、えぇっ?」

P「もう、今日はとことん付き合いますよ。事務員さんがそんなにストレス溜め込んじゃ、事務所内の雰囲気が悪くなっちゃいますしね」

ちひろ「どうも、ありがとうございます」

P「さて、どこで飲みましょうかね…。それともファミレスの方がいいですかね?」

ちひろ「そ、そうですねぇ。お酒はもういいかなーって感じです」

P「分かりました。それじゃ、そうしましょうか。ここの近くでどこかにありましたっけ?」

ちひろ「ちょっと分からないですねぇ…」

P「うーん…」

P(どうしようかなぁ…)

4:2013/06/09(日) 22:50:26.16 :pmc/dcOM0

P「あ、そうだ。ちひろさんの家の近くにファミレスありますよね」

ちひろ「ありますけど…」

P「ちひろさんがいつでも帰れるようにそっちにしましょう」

ちひろ「…いっそ私の家でもいいですけどね」ボソッ

P「流石にそれはマズいですよ」

ちひろ「こういう時は聞いてちゃだめですよ」カァァ

P「すみません。それじゃ、行きましょうか」

ちひろ「はい」

5:2013/06/09(日) 22:53:45.89 :pmc/dcOM0

ファミレス

P「あ、二人でお願いします」

店員「かしこまりましたー」

ちひろ「すみませんプロデューサーさん」ペコリ

P「いいですって。こういうのもたまにはいいと思います」

ちひろ「優しいですね…」

P「俺が好きでやってるんで気にしないで下さい」

ちひろ「そ、そうですか?それでですね――」

6:2013/06/09(日) 22:59:58.87 :pmc/dcOM0

楓「……七時。もう起きなきゃ」ポケー

楓(今日は朝から仕事のはず)

楓「…お水飲もうっと」

事務所

楓「おはようございます」

ちひろ「おはよう…ございます…」ズキズキ

P「あ、楓さんおはようございます…」

楓「お二人共どうされましたか?」

ちひろ「いやですね…昨日ちょっと」

楓「あれからまだ飲まれてたんですか?」

P「飲んではいないんですけど明け方まで起きてまして…」

楓「大丈夫ですか?」

7:2013/06/09(日) 23:02:57.46 :pmc/dcOM0

P「はい。そう言えば今日は朝からでしたね。それじゃ行きましょうか」

楓「お酒抜けてますか?」

P「えぇ。平気ですよ。それじゃ、ちひろさん、他の人にそんな姿見せないで下さいね」

ちひろ「えぇ。分かってますよ」

P「それじゃ、行ってきますね」バタンッ

――

ちひろ「うう。スタドリを自分で飲む羽目になるとは…」ゴクゴク

蘭子「やみのま!」

ちひろ「ぶっ!…あ、蘭子ちゃんおはよう」ダラダラ

蘭子「ひっ!や、闇からの刺客かっ!」

8:2013/06/09(日) 23:18:23.69 :pmc/dcOM0

スタジオ

P「…ん?」

楓「何かありましたか?」

P「いや、ちょっと先歩いて貰っていいですか?」

楓「はい。分かりました」スタスタスタ

P(なんか楓さんの後ろに何か付いていってる…?)

P「楓さん」

楓「はい?」

P「目の前になにかいますか?」

楓「えっと…Pさんがいますけど」

P「俺以外には?」

楓「特に…いませんね」

P「そうですか。変なこと聞いてすみません」

楓「はい…?分かりました」

P(きっと俺が疲れてるだけだな。そうに違いない)

P「それじゃ、頑張ってきてくださいね」

楓「はい。行ってきます」

9:2013/06/09(日) 23:21:02.95 :pmc/dcOM0

P「さてと…この間に出来ることを」

P「この仕事は蘭子と卯月で…いや、杏でもいいかな」

P「いや、あいつのお守り出来るやつじゃないと無理だな。蘭子じゃ厳しいか…。下手すりゃ涙目になりそうだ」

P「でも、卯月と絡ませるのはありか…」

P「あ、いや、でも。うーん…」

楓「Pさん?」

P「あ、楓さん。終わったんですか?」

楓「えぇ。終わりました」

P「すみません。ちょっと考えごとしてまして…」

楓「これだけ多くの人をプロデュースしてるのですからしょうがないですよ。…何か私にも出来ることはありますか?」

P「いや、平気です。楓さんが頑張っているのを見れば俺も元気出ますよ。それじゃ、一度事務所に戻ってからレッスンです」

楓「……無理しないで下さいね」

10:2013/06/09(日) 23:24:18.84 :pmc/dcOM0

事務所

P「ただいま戻りました」

楓「戻りましたー」

ちひろ「あ、お帰りなさい二人とも」

P「あれ?ちひろさん服着替えたんですか?」

ちひろ「えぇ。ちょっと色々ありまして」

P「もしかして…」

ちひろ「いえっ!恐らくプロデューサーさんが考えていることはしてませんからっ!」

P「それならいいんですけど」

楓「それじゃ、私は失礼しますね」

P「あ、はい。行ってらっしゃい。さてと、俺も事務仕事手伝いますね」

ちひろ「あ、はい。分かりました。あ、それじゃこれをお願いします」

蘭子「やみのま!あ、我が下僕よ。この地に降り立ったのか」

P「お、こんにちは蘭子。レッスン終わりか。お疲れさま」

蘭子「いかにも。……お?」

P「ん?どうした蘭子。首を傾げて」

蘭子「いや…力に翳りが感じられるのだが」

P「俺は元気だぞ?」

11:2013/06/09(日) 23:27:05.84 :pmc/dcOM0

蘭子「我が魔眼に偽りは通じぬぞ?しばしの間、力を蓄えるために闇に身を委ねるべきではないのか?」

P「そんなことはないと思うけど」

蘭子「魔王の言葉聞けぬと言うのか?」

ちひろ「プロデューサーさん寝てきたらどうですか?」

P「いや、むしろ俺よりちひろさんが寝ないと…」

ちひろ「…それじゃ、私が一時間寝ますから、そのあと寝てください。いいですね?」

P「分かりました。それじゃそうさせて貰います」

ちひろ「はい。それじゃ、私が最初に失礼しますね」

P「はい。さて…俺は…」

蘭子「わ、我が下僕よ」ペシペシ

P「ん?なんだ?」

蘭子「下僕であるなら、魔王を退屈させるべきではないと思うのだが…」

P「なんだ遊んで欲しいのか」

蘭子「つ、疲れてないなら」コクコク

P「だから平気だって。それじゃ、なにしようか?」

蘭子「そ、そうですね――」

13:2013/06/09(日) 23:29:16.27 :pmc/dcOM0

ちひろ「…おはようございます…何してるんですか?」

P「あ、おはようございます。いや、ちょっと蘭子と遊んでいまして」

蘭子「そ、それで、かの漆黒の勇者は悲しみを抱えいずこへ?」キラキラ

ちひろ「漆黒の勇者?」

P「昔のよくある設定です。そういうのが好きな友達に聞かされた話です。丁度、蘭子と同じ年代だったので合うかなぁと思
ったらビンゴでした」

蘭子「……」キラキラ

ちひろ(蘭子ちゃんがプロデューサーさんをキラキラした目で見つめてますね…)

蘭子「…はっ!いや、もうそこまで悪の軍勢が迫ってきていたのか!」

ちひろ「誰が悪魔ですかっ!」

P「違いますよちひろさん。意外に一時間って早いもんだよな」

ちひろ「あぁ、なるほど」カァァ

ちひろ(なんでわかるんでしょう…)

15:2013/06/09(日) 23:31:58.03 :pmc/dcOM0

ちひろ「あ、それじゃ、プロデューサーさんもお休みになってくださいよ」

P「え?あ、平気ですって」

ちひろ「まぁまぁ。蘭子ちゃんが体調悪そうに見えたって言うんですから」

P「ま、まぁそこまで言うなら…。蘭子おやすみ」

蘭子「今はしばし闇に身を委ねよ!」

ちひろ「おやすみなさい」

16:2013/06/09(日) 23:35:15.73 :pmc/dcOM0

仮眠室

P「疲れてる顔してたかなぁ…俺」

P「まぁ、昨日は全然寝てないけどさ…」

P「ちょっとだけ寝ますか」スー

ちひろ「静かですね。寝ちゃったんですかね」

蘭子「今は、闇に身を委ねているのだ」

ちひろ「それじゃ、私たちは静かにしてましょうか」

蘭子「う、うむ」

ちひろ「さて…ってあの人結局仕事やってないんですね…」

蘭子「そ、それは、私に…」アタフタ

ちひろ「いえ、いいんですよ。アイドルのプロデュースが本分なんですから」

ちひろ「それより、蘭子ちゃんは疲れてないんですか?」

蘭子「私は先ほど下僕から魔翌力を吸収したからそれほどでは…」

17:2013/06/09(日) 23:44:15.39 :pmc/dcOMo

ちひろ「吸収って、お話以外に一体なにしてたんですかっ!?」

蘭子「え、あ、いや、ただお話を聞いてただけです…」

ちひろ「そうですか…。それは良かったです」ホッ

蘭子(ちひろさん何を想像したんだろう…まさかっ!)ボンッ

ちひろ「ら、蘭子ちゃん?」

蘭子「い、いや、いくら我が下僕と雖も、そのような契りは…」カァァ

ちひろ(可愛いなぁ、蘭子ちゃん)

蘭子「そ、それでは失礼しましゅっ!」バタンッ

ちひろ「あ、そっちは仮眠室…」

18:2013/06/09(日) 23:46:50.46 :pmc/dcOMo

蘭子「はぁ…。あれ?ここ…仮眠室?」
P「……」スー

蘭子「あ、プロデューサーさん」

蘭子(お、起こしちゃまずいよね…)

蘭子「でも…」ソー

蘭子(ちょっとだけ気になる…)チラッ

P「……」スー

蘭子「これくらいなら…いい、よね…?」

19:2013/06/09(日) 23:51:47.87 :pmc/dcOMo

ちひろ(そろそろ、蘭子ちゃんが入ってから大分時間が経つんですけど…)

ちひろ「なにしてるんですかねぇ…」

ちひろ「プロデューサーさーん…」チラッ

ちひろ「あっ…」

蘭子「ん…」スー

P「…zzz」

ちひろ(プロデューサーさんにもたれる感じで蘭子ちゃんが寝てる…)

ちひろ「しょうがないですね。今回だけですからね」バタンッ

20:2013/06/09(日) 23:57:26.69 :pmc/dcOMo

P「……ん?今何時だ」

蘭子「ん。プロデューサー…」スー

P「これはどういう状況だ…?ってか今――」サァ

P(落ち着け。一時間寝るはずが、三時間寝てるだって…)

P(今日の予定はえーと。よし、問題ない!)

P「はぁ…。心臓が止まるかと思った。ちひろさんに一言言っておこう…」

P「その前になんで蘭子がここにいるんだろ…」

P(やっぱり蘭子も疲れてたのかな)

P「お疲れ様」ナデナデ

蘭子「ん…」スリスリ

P「さて、俺は仕事に戻ろう」ガチャ

21:2013/06/10(月) 00:01:25.62 :Rz/eFQiJo

P「ちひろさん起こしてくれてもいいじゃないですか」

ちひろ「あまりにも気持ちよさそうだったので…」

P「まぁ、確かに体の疲れは取れましたけど」

ちひろ「ならいいじゃないですか。お仕事の電話もありませんでしたし」

ちひろ「プロデューサーさんが寝ている間に書類は粗方片づけておきましたんで、営業でもなんでも行って平気ですよ」

P「そうですか?それじゃ行ってきますね」

ちひろ「はい。行ってらっしゃーい」

P「はい。行ってきます」

22:2013/06/10(月) 00:05:50.34 :Rz/eFQiJo

事務所

P「ただいま戻りました…」

P(やっぱり杏も何か一つウリがないとプレゼンするのが難しいな。どんな子?って聞かれて飴くれとは言えないし…)

P「才能はあるんだけどなぁ…」

ちひろ「お疲れ様です。その様子だとあまり芳しくなかったみたいですね」

P「えぇ。まぁこういう時もありますし、地道にやっていきたいと思いますよ」

楓「あ、お帰りなさい」

蘭子「や、やみのま!」

P「あぁ、楓さんに蘭子お疲れ様」

楓「えぇ。私はもうそろそろ帰ろうかと思いますけど」

蘭子「私も、この漆黒の羽を休めに……」

P「あ、それじゃ送りますよ。二人とも」

楓「そうですか?ありがとうございます」

蘭子「ほ、褒めて遣わす」

P「それじゃ、付いてきて下さいね」

楓「はい」

蘭子「……?」

蘭子(なんか楓さんの後ろになにかいる…?)

P「おーい蘭子?置いてくぞー」

蘭子「あ、はいっ!」

蘭子(なんだったんだろう…)

23:2013/06/10(月) 00:06:33.53 :Rz/eFQiJo

車内

P「二人とも後ろに乗ってくれ」

楓「分かりました」

P「事務所からだと、どっちの家の方が近いんですかねぇ…」

楓「蘭子ちゃんどう?」

蘭子「えっ…多分、そっちの方が…」

楓「だそうです」

P「了解しました」

24:2013/06/10(月) 00:12:52.16 :Rz/eFQiJo

蘭子(楓さんって不思議な感じのする人だなぁ…)チラッ

楓「……」ジー

蘭子「ひっ!な、なんですか…?」

楓「蘭子ちゃんって…可愛いですね」

蘭子「……へ?」

楓「髪も綺麗ですし…お姫様みたいです。そう思いませんかPさん」

P「そうですねー。俺もそう思いますよ」

蘭子「あうう…」カァァ

P「もちろん楓さんも可愛いと思いますよ」

楓「あ、どうもありがとうございます…」

P「それじゃ、そろそろ着くんで降りる準備して下さい」

楓「はい。ありがとうございます」

25:2013/06/10(月) 00:18:05.45 :Rz/eFQiJo

楓「それじゃ、失礼しますね」

P「はい。お疲れ様でした」

蘭子「……」ジー

蘭子(気になる…)

P「どうした蘭子?」

蘭子「あの…楓さん」

楓「はい?」

蘭子「…神の使いが影に溶けているのだが」

楓「……?」キョトン

蘭子「あう…そのえーと…」

蘭子「お部屋見ちゃだめですか?」

楓「いいえ。構いませんよふふ…」

26:2013/06/10(月) 00:23:27.49 :Rz/eFQiJo

P「それじゃ、俺は事務所に戻るんで、何かあったら連絡してくださいね」

楓「はい。それじゃお疲れ様でした」

蘭子「や、やみのま!」

楓「さて、私の部屋に行きましょうか」

蘭子「は、はい」

蘭子(綺麗なマンションだなぁ…)

27:2013/06/10(月) 00:25:43.43 :Rz/eFQiJo

楓の部屋

楓「蘭子ちゃんは何か食べますか?」

蘭子「あ、いえ、平気です…」

楓「私もご飯食べるので遠慮しなくてもいいですよ?」

蘭子「あ…それじゃ、楓さんの赴くままに…お願いします」

楓「分かりました」

蘭子(うう…蛇が気になるけどなにも出来ない…)

楓「何もない部屋だけれど、ゆっくりしていって構いませんから」

蘭子「あ、どうも、ありがとうございます」

楓「気にしないでいいですよ。最近はお酒飲みに来る、ちひろさんや菜々さんしか来ませんから」

蘭子「ウサミン星の住人はまだ…?」

楓「あ、そうですね。ちひろさんくらいしか来ませんからね」

楓(一応隠してるんでしたっけ…?)

楓「はい。これを運んで貰っていいですか?」

蘭子「え、あ、はい。分かりました」

28:2013/06/10(月) 00:26:17.82 :Rz/eFQiJo

楓「それじゃ、いただきます」

蘭子「いただきます」

楓「お酒飲む機会が増えてきて、飲まない時は、ちょっとセーブしないといけないから質素なご飯でごめんなさいね」

蘭子「おいしい…です」

楓「それは良かったわ。ふふ」

蘭子(楓さん綺麗だなぁ…。クールだし)

楓「そう言えば、蘭子さんはそれ私服なんですか?」

蘭子「そうですけど…?」

楓「家に、素敵なステッキとかありそうですね。ふふ…」

蘭子「ステッキは…、その、ないですね」

楓「それは残念です」シュン

29:2013/06/10(月) 00:29:13.40 :Rz/eFQiJo

楓「ごちそうさまでした」

蘭子「あ、ごちそうさまでした。美味しかったです」

楓「……」

蘭子「……」

蘭子(会話が続かないよぉ…)

楓「そう言えば」

蘭子「は、はいっ。なんですか?」

楓「どうして私の家に来たんですか?」

蘭子「じ、実は、我が魔眼が、幻視の白蛇を捉えたのだ」

楓「蛇がいたんですか?」

蘭子「いかにも」

蘭子(やった。通じた♪)

30:2013/06/10(月) 00:29:52.59 :Rz/eFQiJo

楓「さっきもプロデューサーが同じことを言ってましたねぇ。私の目には見えないんですけども」キョロキョロ

蘭子(いることにはいるんだけど、何もしないし、気にしなくていいのかな…?)

蘭子(あ、でももしかしたら、何かするのはもっと夜なのかも…)

楓「蘭子ちゃんが気になるならずっといてもいいですよ」

蘭子「え、あっ、はい。どうもありがとうございます」

楓「ただ、泊まるとかする場合はちゃんとお家に連絡してね」

蘭子「は、はい」コクコク

32:2013/06/10(月) 00:35:36.72 :Rz/eFQiJo

――

楓「結局泊まることにされたんですか?」

蘭子「う、うん」

楓「分かりました。それじゃ、お布団用意しますね」

蘭子「お手伝いしましょうか?」

楓「平気ですよ」

楓(あ、Pさんに電話しておかなきゃ)

33:2013/06/10(月) 00:36:06.40 :Rz/eFQiJo

楓「あ、もしもし」

P『はい。こんばんは。蘭子を迎えに行きますか?』

楓「その件なんですけど、蘭子ちゃん今日は家に泊まることになりましたという報告を」

P『何か問題があって帰りたくないとか…?』

楓「そういうことじゃないですよ。お泊り会のような感じです」

P『なるほど。あ、間違っても――』

楓「今日はお酒は家にはないですから安心してくださいね」

P『分かってるようでなによりです。それじゃ、蘭子にもよろしく伝えておいて下さい』

楓「はい。分かりました。それじゃ失礼しますね」

34:2013/06/10(月) 00:40:52.97 :Rz/eFQiJo

楓「蘭子ちゃんそろそろ寝ますか?」

蘭子「そ、そうですね」

楓「こっちのお布団に寝て下さい」

蘭子「楓さん、その…」

楓「どうかしましたか?私は久々に修学旅行に来たみたいでわくわくしてるんですけど」ワクワク

蘭子「えっ?」

楓「とりあえず、お布団に入って下さい。電気消しますから」

蘭子「は、はい」

楓「それじゃ、電気消しますね」パチッ

楓「それでなんですが、今好きな人とかいるんですか?」

蘭子「えぇっ!?」カァァ

楓「私たちアイドルだから恋愛は厳禁ですけど、今は私たちしかいないですから、思う存分ぶっちゃけちゃっていいですよ」ワクワク

蘭子「え、あ、その…」

楓「私が思うにですね…」ンー

楓「蘭子ちゃんはPさ――」

蘭子「わー!ないです!そんなことないですっ」バタバタ

楓「その反応…まさか本当に…」

蘭子「うぅ…知りません!そ、そういう楓さんは…どうなんですか」

楓「私ですか?そうですねぇ…いませんよ?」

蘭子「えっ、そうなんですか?」

蘭子(てっきりプロデューサーさんだと…)

楓「ふふっ…♪」

35:2013/06/10(月) 00:42:31.39 :Rz/eFQiJo

蘭子「……」スー

楓「寝ちゃいましたか」

楓(ちょっとはしゃぎ過ぎちゃいましたね)

楓「おやすみなさい」

36:2013/06/10(月) 00:43:18.26 :Rz/eFQiJo

楓「ここはどこ…?」キョロキョロ

楓(夢にしてはやけにはっきりしてますけど)

?「もし…」

楓「どちら様…あっ!」

楓(上半身が女の人で下半身が蛇…?)

?「もし…?」

楓「あ、はい。なんでしょう?」

?「私は、あなたに助けられた蛇です」

楓「蛇助けなんてした記憶はないんですけど…」

?「そうですね。私はあなたが石段を歩いている時に踏んだ――」

楓「あぁ、その音だったんですね」

?「はい。おかげで私は自由になれました。これで成仏出来そうです」

楓「それはよかったですね」

?「えぇ。それで、何か恩返しがしたいと思いまして…」

楓「恩返しですか…?」

37:2013/06/10(月) 00:45:42.44 :Rz/eFQiJo

?「はい。出来る範囲でですが」

楓「叶えて欲しいことですか…。なんだか昔話みたいですね」

楓「…叶えて欲しいこと。私にはありません」

?「な、ないんですか?」

楓「えぇ。考えてみると、もう…願いは叶っちゃってるんですよ。それに――」

?「なんですか?」

楓「いえ、なんでもないですよ」

楓(本当に欲しいものは自分で手に入れなきゃダメですし)

?「……」

楓(あ、悩んじゃってる…それじゃ、どうしようかなぁ…)

楓「あ、それじゃあですね。お守りを下さい」

?「お守りですか…?」

楓「はい。蛇を模した形の奴を。三つほど」

?「…分かりました。それじゃこれを」

楓「はい。ありがとうございます。綺麗な白い蛇ですね」

?「それでは失礼します。ありがとうございました」

楓「えぇ、今度はへびぃなことにならないといいですね」

?「はい。そうだといいです…以前あなたに良く似た人に会った気がします」

楓「そんなに人様の前に現れるんですか?」

?「あなたとその人の前だけでしたね。須磨辺りだったでしょうか。それでは失礼します」

楓(…ここまでリアルな夢だと疲れって取れるんでしょうか…?)

38:2013/06/10(月) 00:48:42.26 :Rz/eFQiJo

楓「……疲れは取れてますね」

楓「あぁ、本当にくれたみたいですね。白蛇のお守り」

蘭子「ん……」ポケー

楓「あ、おはようございます」

蘭子「わずらわしーい…むにゃ」スー

39:2013/06/10(月) 00:51:33.35 :Rz/eFQiJo

事務所

楓「おはようございます」

蘭子「やみのま!」

P「おはよう二人共」

楓「あ、そう言えば、これをあげます」

P「なんですか?これ」

楓「曰くつきのお守りですよ。効果は分かりませんけど」

蘭子「新たなアーティファクトよっ!」ドヤ

P「あー、蘭子はこういうの好きそうだな。ありがとうございますね」

楓「いえいえ。やはり本当のお願いは自分の力で叶えなきゃいけませんからね」

P「なんの話ですか?」

楓「とってもへびぃな話です。…ふふ」ニコッ

40:2013/06/10(月) 00:53:24.26 :Rz/eFQiJo

おしまいです。
見て下さった方ありがとうございます。

44:2013/06/10(月) 01:52:32.10 :Rz/eFQiJo

タイトルで分かった方がいるとは思いますが、これは、宇治拾遺物語「石橋の下の蛇」を参考にしています。

元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370785320

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