【佐久間まゆSS】まゆ「付き添って、付き添われて」

1: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:05:53.64 ID:Aswq2Bgc0

―CGプロ事務所―

まゆ「ええと、ここをこうして……」チクチク

雪美「まゆ……」テクテク

まゆ「あら?こんにちは雪美ちゃん。今日はもう終わりですかぁ?」チクチク

雪美「今日はレッスンだけ……まゆは……?」

まゆ「まゆも終わりですよ。Pさんが事務所に帰ってこられるまで、編み物でもして待って
   ようと思いまして」チクチク

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2: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:06:47.84 ID:Aswq2Bgc0

雪美「じゃあ……ひま……?」

まゆ「暇と言えば暇ですねえ。何かご用ですかぁ?」ニコ

雪美「少し……つきあって……」ジッ

まゆ「?」

まゆ(そう言って、雪美ちゃんはおもちゃの猫じゃらしをまゆの前で軽くふりました)

3: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:08:06.23 ID:Aswq2Bgc0

―電車―

 ガタン ガタン

まゆ「暇とは言いましたが、一応Pさんを待っていたんですがねえ……」ハア

雪美「迷惑……だった……?」

まゆ「いえいえ、雪美ちゃんを1人で行かせるわけにはいきませんから。事務所には
   まゆしか居ませんでしたし、付き添うのは当然ですよぉ」ナデナデ

雪美「ありがとう……まゆ……やさしい……」ニコ

まゆ「一応おねえさんですからねえ。765プロに着いたら起こしてあげますから、寝てても
   いいですよぉ」ナデナデ

まゆ(雪美ちゃんは先日、765プロとのお仕事で一緒になった我那覇響さんに猫じゃらしを
   貸してもらったそうです。それを返しに行くのに、まゆに付き添いを頼みました)

4: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:09:04.94 ID:Aswq2Bgc0

雪美「おかげでペロと……仲直りができた……お礼も言いたい……」

まゆ「雪美ちゃんはえらいですねえ。Pさんはお忙しいですから、付き添いをお願いする
   にもなかなかつかまりませんしねえ」

雪美「それも……ある……だけど」

まゆ「?」

雪美「いつまでも……こども扱い……されたくない……私でも……これくらいできる」グッ

まゆ(へえ、この子……)

5: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:10:38.94 ID:Aswq2Bgc0

雪美「それに私は……凛とは違う……Pにべたべた甘えたりしない……」キッパリ

まゆ「ぶふっ!? 」

雪美「……?……まゆ?」キョトン

まゆ「く、くくくっ……なんでもありませんよお……」プルプル

まゆ(凛さんは最近加蓮さんと奈緒さんとユニットを組んで、Pさんは彼女達にかかり
   きりになってますからねえ。そうでなくても凛さんは普段から忠犬のように
   Pさんのそばにいますけど、雪美ちゃんにはそう見えていましたか……)クスクス

6: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:11:46.09 ID:Aswq2Bgc0

雪美「凛はもっとまゆを……見習うべき……まゆはPを……こまらせない……」

まゆ「そうでもありませんけどねえ……」ポツリ

まゆ(まゆは基本的に『待ち』のスタイルを取ってますからねえ。偶然を装ってPさんの
   行く場所に先回りしたりとか。凛さんみたいに直接的な方法ではありませんから、
   雪美ちゃんにはそう見えるのでしょうかねえ……)

7: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:12:37.50 ID:Aswq2Bgc0

まゆ「凛さんとはやり方が違うだけで、まゆもPさんに迷惑をかけているかもしれません。
   みんなPさんの事が大好きですから、アプローチも色々あるんですよぉ?」

雪美「アプローチ……?」

まゆ「う~ん、なんて言いましょうか……Pさんに近づく方法とでも言いましょうか。
   どうすればPさんに好きになってもらえるかという作戦ですねえ」

雪美「作戦……?そんなことする必要……あるの……?」

まゆ「え……?」ピクッ

8: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:13:36.81 ID:Aswq2Bgc0

雪美「Pは……私達のこと好きだから……スカウトした……違う?」

まゆ「……!? 」ハッ

雪美「だったら……私達は……アイドル……頑張ればいい。大好きな……Pのために……」

まゆ「…………ふふっ」

雪美「まゆ……?」

9: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:14:44.00 ID:Aswq2Bgc0

まゆ「まさか雪美ちゃんに教えられるとは思いませんでした。これは思わぬ所に強敵が
   いましたねえ……」ナデナデ

雪美「私……なにかおかしなこと……言った?」

まゆ「いえいえ。雪美ちゃんは間違ってませんよ。間違ってるのはまゆの方……じゃ
   なくて『まゆ達』の方でしたから。教えてくれてありがとうございました」クスクス

まゆ(今の話を凛さんが聞いたらどんな顔をするでしょうか。凛さん、まゆにばかり
   気を取られていると、雪美ちゃんに負けてしまいますよ―――――?)

10: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:16:12.56 ID:Aswq2Bgc0

―765プロ―

小鳥「CGプロの佐城雪美ちゃんと付き添いの佐久間まゆさんですね。千川さんからお話は
   伺っています。プロデューサーさんと響ちゃんはもうすぐ帰ってくるので、応接
   スペースでお待ちください」

まゆ「ありがとうございます。それではお言葉に甘えさせて戴きます」ペコリ

雪美「ありがとう……ございます……」カチコチ

小鳥「ふふ、そんなに緊張しなくて大丈夫よ。さっきプロデューサーさんにお菓子を
   買って来るように言っておいたから、楽しみにしててね」ニコニコ

雪美「は、はいっ……」ギュッ

まゆ(しがみついちゃって。そういえば雪美ちゃんって、元々人見知りする子だったわね。
   他の年少組より落ち着いてるから忘れていたわ)ヨシヨシ

11: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:17:23.92 ID:Aswq2Bgc0

P「ただいま戻りました~」ガチャ

響「ただいまー!! 」

小鳥「あ、プロデューサーさん丁度良い所に。CGプロの佐城さんが来られましたよ」

P「スマン、待たせたか……って、あれ?佐久間まゆさん?雪美ちゃんの付き添いって
  君だったのか」

まゆ「まゆの事ご存知なんですか?確かまゆは、765プロさんとご一緒した事はなかったと
   思いますけど……」

P「こう見えても業界長いんでな。仙台でモデルをやっていた頃から君の事は知ってるよ。
  CGプロでアイドルになったとは聞いていたが、本当だったんだな」

まゆ「そうでしたか。改めましてCGプロの佐久間まゆです。宜しくお願いします」ペコ

12: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:18:27.02 ID:Aswq2Bgc0

響「おー!雪美来てくれたのか!どうだ?ちゃんとペロとは仲直り出来たか?」

雪美「うん……響のおかげ……これありがとう……」サッ

響「わざわざ返しに来てくれてありがとな!美希にも見習わせたいぞ。同じ事務所なのに
  貸したアクセや雑誌が返ってこないし……」ブツブツ

P「ははは、今度俺からも言っておくよ。響、帰って来たばかりで悪いがお茶とお菓子の
  準備をしてくれないか?俺は二人を応接スペースに案内するから」

響「わかったぞ!ゴージャスセレブプリンだったら紅茶の方がいいかな。雪歩に美味しい
  淹れ方教えてもらったから楽しみにしててくれ!」ルンルン♪

13: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:19:32.25 ID:Aswq2Bgc0

―――

P「CGプロからここまで遠かっただろう。途中で迷ったりしなかったか?」

雪美「だいじょうぶ……まゆが……いてくれたから……」

まゆ「雪美ちゃんもあらかじめ調べていたみたいだったので、まゆは着いて行っただけ
   ですけどねえ。お手伝いしたのは電車の乗り換えくらいでしょうか」

響「ああ、よくわかるぞ。自分もいまだに東京駅や渋谷駅は迷いそうになるからな」

P「お前はいい加減に慣れろよ。東京に住んで何年になるんだよ」

響「し、しょうがないじゃないか!沖縄には電車なんてなかったんだし!」アセアセ

15: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:20:46.72 ID:Aswq2Bgc0

雪美「響……電車のれないの……?」

響「の、乗れるぞ!電車に乗るくらい楽勝だぞ!」

P「ああ、そうだな。響は電車には乗れるけど駅から出られないんだよな。この前なんて
  東京駅の地下8階で半べそかいて……響「わ―――――!! うが―――――!! 」」

まゆ「うふふ……プロデューサーさんと響さんは仲が良いですねえ」クスクス

響「いじめられてるだけだぞ……亜美真美がいなくてよかったさ……」ズーン

16: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:21:34.62 ID:Aswq2Bgc0

P「ははは、それも信頼関係があるからだろう?俺達仲良しだもんな!」

響「確かに仲良しだけど……そうじゃなくて自分はプロデューサーの事が……その……
  あーもうっ!! 」ジタバタ

P「どうした?何暴れてるんだよ」ドウドウ

雪美「鈍感……」ハア

まゆ「ですねえ。プロデューサーさんって、みなさんそうなのでしょうか……」ハア

P「な、なんだよ二人まで……」アセアセ

17: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:22:55.60 ID:Aswq2Bgc0

―――

響「へえ、編み物が好きなのか!自分も得意だぞ!」

まゆ「奇遇ですねえ。響さんはダンスやスポーツがお好きかと思ってましたが」

響「自分完璧だからな!ダンスだろうが編み物だろうが料理だろうがスポーツだろうが
  なんでも来いだぞ!ちなみにどんなの作るんだ?」ワクワク

まゆ「そうですねえ。寒い季節はマフラーや手袋を編みますが、今はハンカチにレースの
   エジングを付けています。確か編みかけの物がカバンの中に……あ、ありました。
   これですね」ファサ…

響「う……上手い……」ゴクリ

P「へえ、大したもんだな。まるで売り物みたいだ」マジマジ

まゆ「いえいえ、まだまだ人にお見せ出来るレベルではありません。これくらいなら
   少し練習すれば出来ますから……」モジモジ

18: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:24:14.79 ID:Aswq2Bgc0

雪美「まゆは……私の撮影衣装にも……レースつけてくれた……」

まゆ「そういえばそんな事もありましたねえ。あの時はまゆが手芸店で選んで買った
   市販品を縫い付けただけですけど」

P「そんなことも出来るのか。さすが元モデル、センスも抜群だな」

響「じ、自分だってこれくらい出来るぞ!レース編みはやった事ないけど……」ゴニョゴニョ

P「そうなのか?というか俺お前のプロデューサーになって結構経つけど、お前が編み物
  好きな事すっかり忘れてたよ。いつもダンスしてるかペットと遊んでいるかだし」

響「それはプロデューサーがそういうお仕事ばかりとって来るからでしょ!! 自分だって
  たまには雪歩みたいに、ゆっくり座って静かにお仕事がしたいぞ!! 」プンプン

19: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:25:29.15 ID:Aswq2Bgc0

P「そうか。だったら一度企画として通してみるかな。まゆちゃんも一緒にどうだ?
  響と編み物対決とかさ」

響「なんで対決になるさ!? もっとフレンドリーな感じでやりたいぞ!! 」ギョッ

まゆ「お仕事でしたら、事務所に戻ってCGのPさんに相談しないといけませんが……」

響「そ、そうだよな!急に言われても難しいよな……」アセアセ

まゆ「でも、大先輩の765プロさんとのお仕事でしたらおそらく通るでしょうねえ。
   その時はまゆも全力でやりたいと思います……」ニヤリ

雪美「まゆ……やる気いっぱい……」キラキラ

響(『殺る気』の間違いじゃないのか……?敵に回すと厄介な相手だって、自分の野性の
  勘が叫んでるぞ。そういえばハム蔵は最初からまゆを怖がってたな。今日はやけに
  大人しいし……)ゾクリ

ハム蔵「ヂュ…………」ブルブル

20: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:26:17.44 ID:Aswq2Bgc0

P「まあ考えておいてくれ。雪美ちゃんも良い子だし、CGプロとはまた一緒に仕事したい
  と思ってるよ。これからも一緒にアイドル業界を盛り上げていこう!」

まゆ「はい。こちらこそ今後とも宜しくお願いします」ニコ

雪美「おー……」

響「こりゃ帰ったら特訓しなくちゃいけないな。かぎ針どこにしまったっけ……」

21: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:27:12.81 ID:Aswq2Bgc0

***

まゆ「今日はありがとうございました。連絡なしで伺ったのにご丁寧におもてなしをして
   戴いて、そのうえご馳走にまでなってしまって」

P「いや、こちらこそ長々と引き留めてしまって悪かったな。雪美ちゃんも寝ちゃったし、
  出来ればCGプロまで送ってあげたいが……」ブロロン

雪美「すぅ……」

まゆ「いえ、駅までで十分です。雪美ちゃんはまゆがしっかり連れて帰りますから」ニコ

響「まゆは良いお母さんになりそうだな!いや、その前にお嫁さんか!」ハハハ

まゆ「どうでしょうねえ。向こうもそう想ってくれていたら良いですけど……」フフフ…

22: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:28:33.70 ID:Aswq2Bgc0

P「好きな人がいるのか?大丈夫さ、まゆちゃんだったら素敵なお嫁さんにもお母さんにも
  なれる!俺が自信を持って保証するよ!」グッ

響「鈍感プロデューサーに保証されたって嬉しくないぞ。大体プロデューサーとして
  アイドルにその発言はどうかと思うけど」ジト

P「お、俺だってプロデューサーという立場上アイドルの恋愛を応援するような事は
  表だって言えないが、しかしいつだってアイドルの子達の幸せを一番に考えている
  んだぞ!なんてったって自分が惚れてプロデュースしてるんだからな!」アセアセ

響「惚れ……!? そ、そんな恥ずかしい事はっきり言うなこのヘンタイプロデューサー!!」

P「なんでだよ!? どうして変態扱いされないといけないんだよ!? 」

23: 1 ◆uBsihWZc.Y 2013/05/25(土) 18:32:06.94 ID:Aswq2Bgc0

 ギャーギャー

まゆ(自分が惚れて……ですか。そうですよね。雪美ちゃんの言う通り、Pさんが私達の
   事を好きじゃないはずがないですよね。その中で一番になる為には、一番魅力的な
   アイドルになるのが正しくて……)フフッ

まゆ「お二人のように、軽口や冗談を言い合える仲というのも素敵ですね。ただ相手に
   尽くすだけでは得られない、親愛の情のようなものを感じます」ウフフ…

P「いや、そんな崇高なものではないと思うが……」

響「シンアイ?なんだそれ?中国の坊さんか?」キョトン

まゆ「アイドルのお仕事以外にも、765プロさんからお勉強させて戴く事は多そうです。
   これからもまゆ達と仲良くして下さいね♪」ニッコリ

END

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