1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:46:56.31 ID:NSC9/ZWt0
真美「寒い!!」
響「お、真美お帰りー!」
貴音「やはり冬場は、熱いお茶が心に染みますね」
雪歩「えへへ、あ、真美ちゃんもどうぞ」
真美「ありがとーゆきぴょん! 熱っ!」
真「あはは、真美は寒かったり熱かったり、大変だなあ」
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:47:22.51 ID:NSC9/ZWt0
千早「ねえ、春香。この録音機器、どうやって使うのかしら?」
春香「ここの赤いボタン押してできない?」
千早「赤いボタン? ただのライトなんだけど……」
春香「それは電源入ってるか確かめるランプだよ」
やよい「美希さーん、起きてください~!」
美希「うーん、まだ早いの……」
響「まったく、美希はしょうがないなあ」
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:48:40.72 ID:NSC9/ZWt0
ガタン
伊織「もー!! なんなのよ!!」
律子「なんなのよって程じゃないでしょ? よくある話よ、この世界では」
亜美「そうは言ってもりっちゃん、亜美たちこのままじゃ、社長にこーさんさせられちゃうよ!」
律子「降参? ああ、解散ね。そうね、1年で結果出さなきゃいけないからね……」
あずさ「大丈夫でしょうか? この調子で、ジュピターに……」
律子「焦らず行けばいいんです。そうすれば結果はついてきますから」
真「皆? 何があったの?」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:50:13.46 ID:NSC9/ZWt0
伊織「私たちのCDの初週売上ランキングが72位だったのよ……」
千早「くっ、忌々しい数字ね……」
春香「あー、でも、次頑張ればきっと……」
亜美「社長に言われたのは、ユニットできるのが1年間ってことなんだよー! 急がないと、えーと、解散、解散させられちゃうんだよ!」
貴音「ですが、ここで立ち止まって何を言おうと、次に期待するしかないのです。亜美、焦らず行きましょう。律子の言うとおりです」
亜美「うぅ、はーい……」
真美「亜美、とりあえず、ゆきぴょんのお茶でも飲んでリラックスしな」
あずさ「私もいただいちゃおうかしら? うふふ」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:50:55.25 ID:NSC9/ZWt0
バタン
P「おーい、お前らー。お知らせだぞ」
雪歩「おしらせ? も、もしかして……事務所が潰れちゃうんですか?」
やよい「給食費払えなくなっちゃいます! それはだめです!」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:52:10.11 ID:NSC9/ZWt0
P「縁起でもないこと言うなよ……なんと、765プロに仕事が入ったぞ!」
皆「おお!」
P「雪歩、真」
雪歩「は、はい!」
真「はい!」
P「お前ら二人と俺で、地方テレビCMの撮影会場に今から向かう。先に車に乗っといてくれ」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:52:42.03 ID:NSC9/ZWt0
真「わっかりましたー! 雪歩! 行こう!」
雪歩「あ、真ちゃん! 待ってよー!」
伊織「真、ずいぶんと張り切ってるわね……」
P「まあ、それが真の役割だからな……この時期に撮影の仕事をとれてよかった」
千早「あの、何か企んでるんですか?」
P「ああ、そうだよ。雪歩の誕生日の準備をしてもらう」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:53:20.94 ID:NSC9/ZWt0
春香「えへへ、なんとなく予想ついてました! 天海春香、頑張ります!」
貴音「真、すばらしきことですね。私もできる限りで支援いたしましょう」
律子「ちょ、プロデューサー? そんな費用、どこから……」
P「律子……」
律子「はい?」
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:54:01.14 ID:NSC9/ZWt0
P「俺の……ポケットだよ……」
律子「……すばらしいです」
P「小鳥さんがケーキ買ってきてくれるはずなんで、それを待ちましょう。皆は飾りつけをよろしくな」
亜美「オッケーだよ! 兄ちゃん!」
真美「真美にお任せだよ!」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:54:30.70 ID:NSC9/ZWt0
あずさ「あらあら、何だか楽しくなってきたわね」
響「よっし! 自分、何かおいしいもの作っちゃうからね!」
やよい「うっうー! 私も手伝いますー!」
美希「ミキの分もよろしくなの」
伊織「あんた、いつ起きたの?」
美希「今なの」
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 20:54:57.54 ID:NSC9/ZWt0
千早「パーティーの準備……ねぇ、私は何をすればいいのかしら」
春香「千早ちゃん、一緒に飾り、手伝ってくれない?」
千早「どうやって?」
春香「えへへ、折り紙を切って、わっか作るの!」
P「じゃあ、俺行ってくるから! 後は頼んだぞ!」
伊織「このスーパーアイドル伊織ちゃんに任せておきなさい!」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/12/24(火) 21:16:06.86 ID:NSC9/ZWt0
雪歩「私も大好き! 地元の味!」
監督「カット」
雪歩「あうぅ……」
監督「だめだな……全くいいものを感じられない」
雪歩「す、すみません……」
監督「謝ってほしくない。OKを出せ。それを謝罪と受取ろう」
雪歩「は、はい」
監督「休憩だ。少し喉を潤してくる」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:16:34.51 ID:NSC9/ZWt0
真「……雪歩? 大丈夫?」
雪歩「うぅ……難しくて……真ちゃん、待たせてごめんね」
真「いや、いいんだよ。監督も男の人だし、少し怖い感じだから、雪歩も緊張しちゃってるんでしょ?」
P「うーん……雪歩、うまくいってないみたいだな」
雪歩「いい笑顔ができてないって、私もわかってるんですけど……プロデューサー、どうしたら……」
P「……そうだなぁ……」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:17:32.85 ID:NSC9/ZWt0
その頃、事務所――
小鳥「ただいまー。ケーキ買ってきましたよ」
春香「わあ! これで準備は整いましたね! 私、持っていきますよ!」
小鳥「い、いや、い、いいのよ春香ちゃん!」
春香「小鳥さんこそ遠慮せずに……ほら、ケーキなんて重くもないんですから……」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:18:31.49 ID:NSC9/ZWt0
響「は、春香は、やめたほうがいいんじゃ……」
春香「え? わっ、きゃあああ!!」
ドンガラガッシャーン
春香「あいたたた……」
美希「ああ! ミキのケーキが……」
春香「あ」
伊織「1000人見たら1000人が予想できたことよ。焦る必要も何もないわ……ってケーキないじゃない!!!」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:19:12.82 ID:NSC9/ZWt0
真美「誕生日ケーキのない誕生日なんて……」
亜美「髭のないソリッド・スネークだよ!!」
貴音「困りましたね……落ちた部分は責任をもって私が食べるとして……」
響「全部貴音食べちゃうじゃないか!」
貴音「……はて」
律子「もう!! ボケまくらないの! 突っ込み少ないのよ!? 真もいないし!」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:20:07.12 ID:NSC9/ZWt0
撮影現場
P「俺さ、雪歩はコスモスみたいな人だなって、思うんだよね」
雪歩「コスモス?」
P「ああ、コスモスの花言葉は確か……」
真「乙女の真心、ですよね。かわいくて素敵な言葉です」
P「そう、特に白いコスモスには、美麗、純潔、優美なんて言葉が並んでいる」
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:20:56.81 ID:NSC9/ZWt0
雪歩「私は、皆みたいな笑顔はできないし……ダメダメで……この撮影も、真ちゃんだけのほうがよかったんじゃ……」
真「雪歩、そんなこと言わないでよ。ボク、雪歩が雪歩なりに、一生懸命頑張ってるのを知ってるよ?」
雪歩「真ちゃん……」
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:21:30.79 ID:NSC9/ZWt0
P「いいか、雪歩……監督の指示だけが、演技じゃない、見せ方じゃない。雪歩には、誰にも負けない『自分を変えたい』という強い信念と、白いコスモスのような純潔な心を持っているんだ……って、ちょっと臭すぎたかな?」
真「いいと思いますよ。ボク、そういうの嫌いじゃないです」
雪歩「……プロデューサー……真ちゃん……」
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:22:06.09 ID:NSC9/ZWt0
P「雪歩」ギュッ
雪歩「はわっ! て、手を……」
P「お前ならできるよ。やっておいで」
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:22:46.89 ID:NSC9/ZWt0
雪歩「……はい! 行ってきます!!」
真「雪歩」
雪歩「真ちゃんも、ありがとう」ニコッ
真「あ……」
P「……真、どう思った?」
真「あの雪歩が、あんなふうに笑ったのは、初めて見ました……。今の雪歩なら、絶対……」
P「……そうだな。信じよう」
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:23:34.85 ID:NSC9/ZWt0
雪歩「私も大好きな、地元の味。クリーミーキャラメルを、よろしくね♪」
監督「…………なんだ、これは?」
雪歩「私なりに考えた、結果です……だめ、でしょうか?」
監督「……いや、いい。先ほどの菊池君とは違うベクトルだ……私の求めていたものではないが……萩原さん、とてもいいよ」
雪歩「あ、ありがとうございますぅ!」
真「き、菊池君って……いやな響きだなあ……雪歩は萩原さんなのに……」
P「あはは、まあまあ」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:24:09.08 ID:NSC9/ZWt0
監督「すぐに演出を変えるぞ。萩原さんの方向に合わせる。できるか?」
スタッフ「は、は、はいぃ!!」
監督「私も手伝おう。できるまで帰れないことを許せ」
スタッフ「と、ととととんでもない!!」
監督「萩原さん」
雪歩「はい!」
監督「君はまだ、アイドルとして駆け出しらしいな」
雪歩「そ、そうなんです……でも……」
真(あの雪歩が、男の人と目を見て会話できてる……)
P(俺もまだ目を見てもらえないことのほうが多いのに……)
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:24:40.99 ID:NSC9/ZWt0
雪歩「私、自分を変えるためにも、ここでは終われません……そして……フェスで勝つことが、今の私の目標ですぅ!」
監督「……そうか。応援してるよ。これは監督としてでなく、君のファンとして、だ」
雪歩「あ、ありがとうございます!!!」
真「やーりぃ!」
P(そうか、雪歩……お前はそんなことを、思って……)
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:25:36.46 ID:NSC9/ZWt0
事務所
春香「ごめんね! 小鳥さんも本当にすみませんでした!」
あずさ「春香ちゃん? 謝るなら、「雪歩ちゃんに謝らないと」
亜美「ちなみに、あずさお姉ちゃんなら?」
あずさ「うーん、とっても悲しいわね~。しばらく許せないかも、うふふ♪」
真美「あずさ、お姉ちゃん?」
美希「これが魔王あずさなの」
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:26:09.72 ID:NSC9/ZWt0
やよい「とりあえず、落ちちゃったケーキはお掃除完了です!」
貴音「とてももったいないですね……私が、地球にやさしい処理をしようと思っていたのですが……」
響「本気で食べるつもりだったのか? 貴音」
貴音「ふふ、とっぷしーくれっとです」
響「使い方違うような」
千早「使い方なんてあるの?」
貴音「それも秘密です」
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:26:40.92 ID:NSC9/ZWt0
律子「……まあ、春香、そういう日もあるわよ」
春香「一日一回転びます! いぇい!」
小鳥「ごまかしきれてないわよ、春香ちゃん、かわいいけど」
ガチャッ
春香「ひぃ」
P「ただいまーって……なんだよこの空気は……」
真「あれ? 準備、終わってないの?」
真美「あれ? ゆきぴょんは?」
P「雪歩はもう少し後だ。ちょっとした細工をしてあってな……」
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:27:10.74 ID:NSC9/ZWt0
真「プロデューサーってば、雪歩をだますために、車が動かなくなったふりしたんですよ」
小鳥「思い切りましたね……また随分と」
P「俺と真で車押して事務所向かうから、雪歩は先に帰っててくれってな」
真「雪歩がだまされてくれて助かりましたよ」
P「そして、コンビニでこれを買ってきた。小鳥さん、ケーキは?」
春香「ごめんなさい!!!」
P「えぇ!? なんでそんな完璧なフォームの土下座を!?」
P(まるで俺が前働いていた会社でミスを起こした時のような……)
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:28:25.64 ID:NSC9/ZWt0
伊織「だーかーら、謝る相手が違うでしょって」
春香「あは、そうだったそうだった」
亜美「はるるんはサンタクロース並みにあわてんぼうですな」
春香「あはは」
千早「笑うところじゃないと思うんだけれど……」
やよい「これ、ここを引っ張って使うんですか?」
P「ああ、そうだよ」
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:29:29.08 ID:NSC9/ZWt0
美希「やよいは、クラッカー使ったことないの?」
やよい「はい、はじめてですー! 食べるクラッカーは、何度かありますよ!」
小鳥「は、はじめて? それは、あっちの意味でのはじめてかしら?」
律子「小鳥さん? やよいは違法ですからね?」
やよい「いほう?」
小鳥「なんでもないのよやよいちゃん! あははははは……はぁ」
真「そろそろ雪歩帰ってきちゃう!」
響「かくれるぞー!」
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:31:00.29 ID:NSC9/ZWt0
…………………………
ガチャッ
雪歩「ただいまもどりましたあ。あれ?」
雪歩(だれも、いない? 真っ暗だし……電気はどこにあったっけ……?)
パン、パン!
雪歩「ひぃいいいいい!」
真美「電気きゃもぉおーん!」
パチッ
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:31:31.34 ID:NSC9/ZWt0
皆「雪歩!! お誕生日おめでとう!!」
春香「そしてごめんなさい! ケーキ転んで落しちゃいました!」
雪歩「皆……えへへ、嬉しいな。家以外で祝ってもらったのは初めてだよ」
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:32:07.18 ID:NSC9/ZWt0
貴音「では、ぱーてぃーの盛大な食事を、豪快にいただくとしましょう」
響「じゃんじゃん作るから、いっぱい食べてね!」
春香「雪歩? そのぉ、怒ってないですか?」
雪歩「うん、全然。それより、もっと大事なプレゼント、もらいましたから」
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:33:25.84 ID:NSC9/ZWt0
春香「え? どういうこと?」
雪歩「えへへ……」
(P「雪歩」ギュッ
雪歩「はわっ! て、手を……」
P「お前ならできるよ。やっておいで」)
雪歩(プロデューサー、あなたの手、とっても温かい手でした……)
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:34:46.41 ID:NSC9/ZWt0
真「そういえばプロデューサー?」
P「んー?」
真「コスモスの花言葉、もう一つあるのを知ってますか?」
P「なんだよ?」
真「へへ、乙女の愛情、ですよ」
――HAPPY BIRTHDAY YUKIHO――
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:38:01.67 ID:NSC9/ZWt0
おしまいです。雪歩、間に合ってよかった。
雪歩は、多分アイマスのキャラの中で、一番強い心を持った人だと思います。
弱気でダメな自分を変えたいという勇気が、雪歩の強さであり、最高の個性だと信じております。
閲覧ありがとうございました。よろしければ、過去作
律子「魔法をかけられた」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386738616/l50
も是非。
次回は竜宮小町とニュージェネレーションを書きたいですね。
またよろしくおねがいします
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/24(火) 21:57:40.27 ID:wOKLnR9fo
乙!
前向きなのはいいことだ!
あと細かいけど「菊地」ね