1: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/06(水) 23:33:56.02 ID:jAtyKiyH0
春香「人は誰でも、華やかな夢にあこがれます。
世界中を旅したい者、大きな家に住みたい者。
はたまた、……大金を、手にしたい者。
すべての夢の終着点。それがこの、THE QUIZ SHOW!」
<THE QUIZ SHOW>
春香「皆様こんばんは、MC-AMAMIです。本日も午後9時、
ブーブーエステレビS1スタジオから1時間の生放送、生放送でお送りします!」
春香「それでは、早速本日のゲストに登場していただきましょう。
アイドル、我那覇響! VTRで生い立ちをご覧頂きます」
プシュー
響「みんなー! はいさーい!」
客『はいさーい!』
春香「我那覇響。沖縄県出身。961プロダクションから『プロジェクト・フェアリー』の1人としてデビュー。
その後ソロ活動でオリジナルアルバムを多数発売する売れっ子に。……というわけで、
売れっ子アイドル我那覇さんの登場です!」
響「はいさい! 司会者さん。今日はよろしくね」
春香「よろしくお願いします! いやあ、それにしても元気印って感じですね!
『プロジェクト・フェアリー』の時はクールキャラで押していた分の反動でしょうか?」
響「うう……フェアリーの時の話は、あんまりしないでほしいぞ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1360161214
2: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/06(水) 23:39:36.06 ID:jAtyKiyH0
春香「それでは! ルールの説明をさせていただきます。
問題は全部で7問。全て正解すると賞金の1000万円を獲得しますが、
その賞金を賭けて、自らの夢を現実にする『ドリームチャンス』への挑戦権を得ることができます」
響「ふふん、バッチリ予習したぞ! 自分、完璧だからな」
春香「楽屋にルールブック置きましたからね」アハハハハ
響「ううーっ……」
春香「それではお伺いします。我那覇響さん、あなたの夢は――何ですか?」
響「よし、これは決めてるんだ! 自分のツアーライブをブーブーエス負担でやって欲しいな!」
春香「……分かりました! 我那覇響が自らの夢を賭けて挑みます。It’s show time!」
響「よろしく!」
春香「よろしくお願いします」
AD「CM入りましたー。導入まで1分でーす」
響「それじゃ、席に座ってるね」
春香「はい、じゃあ私も……」
千早『春香』
春香「っ! ……千早ちゃん」
千早『このインカムから指示する時は、名前を出すなって言ったでしょう』
春香「ご、ごめんなさい」
3: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/06(水) 23:45:30.19 ID:jAtyKiyH0
千早『今回の挑戦者の資料には、目を通したわよね?』
春香「う、うん」
千早『伝えてあると思うけど、第4問から問題が変わっているから。目を通しておいてね』プツッ
春香「分かりました」
AD「CM明けまーす」
<Q1>
春香「それでは、早速第1問!
……我那覇響の所属する961プロダクションの設立年は次のうち、いつ?」
響「お?」
春香「A、1945年。B、1955年。C、1965年、D、1975年」
響「ええっと、そんなに新しくもないから、B!」
春香「正解です!」
<GET 100,000>
春香「いやぁ、さすが我那覇さん。所属事務所にもお詳しいんですね」
響「あはは、そりゃ自分完璧だもんね」
春香「ね、見栄も完璧」キャハハハ
響「……」
4: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/06(水) 23:52:20.20 ID:jAtyKiyH0
<Q2>
春香「では、第2問!
……年をとるに連れて聞こえなくなる、高い周波数の音を何という?」
春香「A、ビー音。B、バード音。C、モスキート音。D、ジャングル音」
響「ふふーん、Cだぞ!」
春香「……正解!」
<GET 500,000>
春香「さっすが! 雑学にも長けているんですね!」
響「まあねー」
春香「憧れちゃいます。スタイルも性格も良くて、挙句の果てに頭もいい。
これ、私とか勝てませんよねぇ!?」
観客『かてなーい』
響「もー、お世辞がうまいなー、司会者さん!」
春香「はい、第3問!
……音楽ファイルの拡張子、wmaは何の略?」
春香「A、Windows Media Audio。B、World Mistake Alt。C、Windy Master Ask。D、When My Ancle」
響「Aっぽいね」
春香「せいかーい!」
<GET 1,000,000>
5: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:01:01.11 ID:9R+b4NKS0
春香「すごいなぁ、すごいなぁ! ひ・び・き・ちゃん!」
響「うぎゃっ、突然の名前呼び!」アハハ
春香「こんなに順調だと、ドリームチャンスも完璧かもしれませんねぇ!」
響「そうかな、そうかな!?」
春香「もう、ここでドリームチャンス獲得のアピールをしちゃってくださいよ!」
響「えーっ!? よーし。みんなー! ライブ絶対来てねー!」パチパチパチパチ
春香「では、第4問!
まずは、こちらをお聞き下さい!」
♪KisS / プロジェクト・フェアリー
響「ねえキースキースキースっ、なんじゅーっかーいもー♪」
春香「この曲は先日我那覇さんのシングル『Brand New Day!』のカップリング曲として入った
『KisS』のプロジェクト・フェアリーバージョンです」
響「この曲には、とっても思い入れがあるんだ!」
春香「問題! ……プロジェクト・フェアリーの中に居なかったメンバーは、次のうち誰?」
春香「A、我那覇響。B、四条貴音。C、……星井美希。D、MC-AMAMI」
響「Dだな!」
春香「正解でーす!」
<GET 2,000,000>
響「この曲を歌ってた時は、まだ3人で笑えてて……。でも、突然美希がああなっちゃって、
自分、美希やもう一人のメンバーの貴音も励ますために頑張るんだ!」
春香「そうなんです。メンバーの一人の星井美希さん、2年前に亡くなっているんですね」
6: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:08:52.62 ID:9R+b4NKS0
観客『ええー』
響「美希、事故で……。自分、美希に空から見守ってもらって、こうしてアイドルをやってるんだ」
春香「お辛いですよね……。ですがクイズの神は我那覇さんを感傷に浸らせてはくれません。
第5問!」
響「頑張るぞ!」
春香「……プロジェクト・フェアリーの解散原因となった、直接的な原因はどれ?」
響「えっ?」
春香「A、星井美希の事故死。B、四条貴音の移籍。C、我那覇響の脱退。D、事務所の方針」
響「そ、そんなの、自分達以外誰も知らな」
春香「すみません、言い忘れていました。我那覇さん……私は、あなたの全てを知っています」
響「――っ!?」
――
美希『美希、認めないの! 響がソロデビューなんて』
貴音『わたくしも同様です。響、今までこの三人でやってきたではありませんか』
響『違うんだ! 自分のやりたいアイドルは、こんなんじゃない!』
美希『どういうことなの!? 響、何かあるなら言って欲しいの!』
貴音『そうです響。何が不満なのですか』
響『だって、このグループのリーダーは、美希じゃないか! 自分は美希や貴音の引き立て役のまま、
スポットライトが当たらないまま芸能界から消えていくなんて嫌だぞ!』
7: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:14:21.65 ID:9R+b4NKS0
美希『そんなの、わがままなの!』
響『うるさい! 美希には自分のキモチなんて、一生わかんないぞ!
もう、こんなグループ辞めてやる!』
――
春香「新曲、決まってたんですよね? 『オーバーマスター』、『KisS』に続く3曲目が。
どうして解散しちゃったのか、私気になるなぁ。
……あっ、私じゃなくて視聴者の皆さんでしたね。私は全て知っていますから」
響「…………C」
春香「せーいかーい!」
<GET 4,000,000>
響「…………」
春香「いやあ、それにしてもビックリです。
……我那覇さん。どうしてひとり、脱退してしまったんですか?」
響「……音楽性が違ったんだ」
春香「音楽性? 与えられた曲と衣装で踊り歌うアイドルに音楽性ですか?
はぁ、それはまた大層な」
響「うるさい! 馬鹿にするな!」
8: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:23:00.86 ID:9R+b4NKS0
春香「なるほど。脱退して自然に解散した瞬間、星井美希さんが事故死。
波瀾万丈なアイドル人生を、過ごされているんですね」
響「っ! そう……そうなんだ! 自分、いろんなことに押しつぶされそうになったけど、
それでも頑張れているのは後押ししてくれたフェアリーの二人のおかげさー!
みんな、応援してくれー!」
観客『がんばれー』
春香「素晴らしい! 観客をも巻き込むそのカリスマ性もまた、アイドルの素質ですね。
それでは、第6問に参ります!」
<Q6>
春香「……元プロジェクト・フェアリー、四条貴音の現在の役職は?
A、961プロ事務員。B、961プロ社長。C、961プロのプロデューサー。D、961プロの研修生アイドル」
響「…………なんなんだ」
春香「はい?」
響「あんた、貴音の何を知ってるんだ!」
春香「知ってますよー? 全部」
響「こんなの、テレビで流すことじゃないよ……」
――
貴音『響、美希の葬儀で言うのもどうかと思うのですが、わたくしはアイドルを辞めることに致しました』
響『えっ? ちょっと、待ってよ。貴音となら、美希がいなくなってもまた組める、って思って――』
貴音『申し訳ありません。もう、自分で決めたことなのです』
響『そう、なのか……』
貴音『ですが、黒井社長のご厚意もあり、事務員として雇っていただけることになりました』
響『事務、員』
貴音『はい。これからは、ソロとして活躍してゆく響を全力でさぽぉとさせていただきます』
響『……』
――
9: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:29:43.26 ID:9R+b4NKS0
響「あんたさ」
春香「はい」
響「何が目的なんだ? フェアリーのこと、探ってさ。復活でもさせたいの?
残念だけどそれは無理だよ。だってもう美希はいないんだから」
春香「そう、ですねー。フェアリーのお三方がもう見られないのは残念でなりません」
響「…………Aだよ」
春香「えっ?」
響「Aの、事務員」
春香「……正解です!」
<GET 8,000,000>
春香「いやあ、やっぱりすごいなぁ。波瀾万丈じゃあないですか!」
響「……」
春香「――第7問、行きましょうか」
10: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:34:02.15 ID:9R+b4NKS0
<Q7>
春香「第7問!
……星井美希さんの、死因はどれ?」
響「はぁ!? 何だよそれ! あんた知ってんのか!?」
春香「ええ、まあ」
響「なんで生放送で美希の死因なんて言わなくちゃいけないんだよ!」
春香「あなたはご友人のことを売ってまで、夢を叶えたいですか?」
響「え……?」
春香「ご友人を裏切って脱退したんですよね?
だったら、また裏切って夢を叶えることぐらい、楽勝でしょう」
響「………………」
春香「A、圧死。B、溺死。C、転落死。D、過労死」
響「……ぁ」
春香「答えないんですか?」
響「……」
春香「あっれー? 答えないと番組の尺が足りなくなっちゃいますよー! ほら、テレビ、テレビ!」
響「……」
春香「…………じゃあ、奥義使いましょう! 奥義!」
<奥義>
11: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:40:02.80 ID:9R+b4NKS0
春香「奥義は『召喚』『導きの手』『以心伝心』の3種類。
ストップボタンを押して当たったものによって、問題のヒントが得られるでしょう」
春香「それでは、ルーレットスタート! ほら、我那覇さん押してください!」
響「……」
春香「押して! 押してーっ!」
響「……っ!」ボン
春香「はい、止まりました! 『召喚』~!」
プシュー
貴音「……」ペコリ
響「た……貴音……!?」
春香「召喚では、問題のヒントを知っている方をお呼びしています。
それでは、自己紹介をお願いしても……?」
貴音「はい。……四条貴音、961プロダクションで事務を担当しております」
春香「それでは、ヒントをお願いします!」
響「ヒント……!?」
貴音「はい。黒井社長に手渡された、ある音声データがあります。
わたくしも、1回しか聞いておりません。
響、これをどう考えるかは、あなたにお任せします」
春香「それでは、この音声データ……再生できる? できる! 再生していただきましょう! どうぞっ」
12: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:50:24.70 ID:9R+b4NKS0
『美希、やっぱり納得できないの』
『まだその話? こんなとこに呼び出して……自分、忙しいんだけど!』
『ねえ響、やっぱり考えなおして欲しいの。美希、まだまだフェアリーでやって……』
『うるさいなぁ! もう自分には関係ない!』
『待って!』
『うわっ、何するんだバカっ!』ドンッ
『きゃああああああっ!』ガシュッ
ドンッ
春香「……はい、四条さんでした。ありがとうございました!
会場の皆様、大きな拍手をー!」パチパチ…
響「……」
春香「これ、死因どころか……ねぇ。事故じゃなかったんですね」
響「……」
春香「正解を、どうぞ!」
響「…………C」
春香「……正解です!」
<GET 10,000,000>
春香「さて、さすが我那覇さん。予定通りドリームチャンスの権利を得ましたよ?
夢は『ライブツアー』で変わりありませんか?」
響「……なんでだよ」
春香「どうしました?」
響「どうしてあんな録音が残ってるんだよ! 事務所の裏階段なんて、人が滅多に……あっ」
春香「……ふふっ。それは四条さんに伺うのが早いのではないでしょうか?
ドリーム、チャーンス!」
<DREAM CHANCE!>
春香「ドリームチャンスの問題です!
…………星井美希が転落した時、最後に言った言葉はどれ?」
響「あんた、知ってるの!? ねえ!」
春香「知ってますよ? ……A、「どうして」。B、「ごめんなさい」。C、「呪ってやる」。D、「ひびき」……」
13: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:53:38.58 ID:9R+b4NKS0
――
美希「美希、やっぱり納得できないの」
響「……まだその話? こんなとこに呼び出して……自分、忙しいんだけど!」
美希「ねえ響、やっぱり考えなおして欲しいの。美希、まだまだフェアリーでやって……」
響「うるさいなぁ! もう自分には関係ない!」
美希「待って!」ガシッ
響「うわっ、何するんだバカっ!」ドンッ
美希「きゃああああああっ!」ガシュッ
響「……ぁ…………ぁ……」
美希「……」
響「自分……人、殺した? 美希、美希……?」
美希「――あ…………ご、めん…………なさい……」
――
響「……!」
春香「時間ないですよ?」
14: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 00:56:40.65 ID:9R+b4NKS0
響「……ギブアップ」
春香「ほえー?」
響「ギブアップだよ! ギブアップ!」
春香「そうですか……残念。
ギブ、アーップ!」
<GIVE UP!>
春香「残念ながら我那覇響は、自らの夢を叶えることができませんでした。
次なる挑戦者は誰でしょうか? ――あなたの夢を、叶えます!」
響「…………人生、終わった……」
15: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 01:00:19.84 ID:9R+b4NKS0
千早「……お疲れ様、春香」
春香「……」
千早「我那覇響ね、任意同行だそうよ」
春香「……はい」
千早「…………ねえ、思い出した? マコトのこと」
春香「……マ、コト……?」
千早「思い出してよ、早く」
春香「……えっ……?」
千早「あなたが思い出さないと、もっと犠牲者が増えてしまうから」
春香「……」
千早「まあ、これからも頼むわよ。MC-AMAMIさん」
春香「…………、はい」
20: >>18 ありがとうございます! 2013/02/07(木) 21:20:26.27 ID:9R+b4NKS0
アナウンサー「というわけで、本日は詩集『コスモス』で一躍スターに!
人気作家の水瀬伊織さんにお越しいただきましたー!」
伊織「ありがとうございました~っ!」
AD「はい、OKです」
雪歩「お疲れ様です、伊織ちゃん」
伊織「ええ、ありがとう雪歩。……次のテレビはいつなの?」
雪歩「えっと、明日またブーブーエスに来てもらうことになっていますけど……。
って、うわっ! あれっ?」
やよい「よいしょ……っと!」
伊織「ん? なによ雪……って、あんた誰?」
やよい「こんにちはー! 私、ブーブーエステレビの者ですが」
伊織「そりゃ、こん中にいる関係者なんて大抵そうでしょ?」
やよい「あなたを……ザ・クイズショウにご招待いたしまーす! うっうー!」サッ
21: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:22:56.22 ID:9R+b4NKS0
伊織「ザ・クイズショウ……? どれどれ。
『水瀬伊織様。あなたは国民1億3000万人の中から、
ザ・クイズショウにゲストとして参加できる権利を得ました』?」
やよい「はいっ!」
雪歩「それって、あの、なんでも夢を叶えてくれる、って言う……」
やよい「えーと、あなたは?」
雪歩「水瀬伊織ちゃんの、メディアマネージャーです」
やよい「メディアマネージャー? ええっと、伊織ちゃんがテレビとかに出るときの
担当、ってことで良いんですか?」
雪歩「は、はい。そうです」
伊織「ちょっと、アンタなんで下の名前で呼んでくるのよ!」
やよい「えっと、じゃあ、お待ちしてますねー!」
伊織「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! もう……」
雪歩「伊織ちゃん、どうしますか? クイズショウ」
伊織「どうしましょう。あんなスタッフのいる番組、信用ならないけど」
22: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:28:03.10 ID:9R+b4NKS0
バタン
千早「……お疲れ様、春香」
春香「……ちはや、ちゃん」
千早「これ、今日のゲストの資料よ」ペラッ
春香「…………水瀬、伊織?」
千早「有名な作家ね。作家といっても小説じゃなくて、詩。ポエム」
春香「……」
千早「……あなたのやることは1つだけ。分かってるわよね?」
春香「……はい」
千早「……マコトのことも、思い出してくれないとね」
バタン
春香「マコ……ト……?」
23: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:32:49.00 ID:9R+b4NKS0
千早「おはようございます」
スタッフ『おはようございまーす』
律子「千早、おはよう」
千早「律子。……おはようございます」
律子「前回みたいな不祥事、許されないからね」
千早「何を仰るんです。数字、相当良かったみたいですけど」
律子「……視聴率がよくても、あれは充分放送事故に該当するわ」
千早「だったら、今日の放送で何かあればプロデューサー権限で止めてみればいいじゃないですか」
律子「……あなたの行動には、私のクビがかかってるの。分かる?」
千早「分かってますよ」
律子「…………どこがよ」
24: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:39:07.01 ID:9R+b4NKS0
AD「本番1分前でーす」
春香「…………」
■
千早「皆さん、よろしくお願いします」
スタッフ『よろしくお願いしまーす』
律子「……よろしく」
スタッフ「本番10秒前。9、8、7……」
■
AD「6、5、4、3」
春香「……よし」スクッ
AD「2、1!」
25: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:43:42.46 ID:9R+b4NKS0
春香「人は誰でも、華やかな夢にあこがれます。
世界中を旅したい者、大きな家に住みたい者。
はたまた、……大金を、手にしたい者。
すべての夢の終着点。それがこの、THE QUIZ SHOW!」
<THE QUIZ SHOW>
春香「こんばんは、MC-AMAMIです! 本日も午後9時、
ブーブーエステレビ・S1スタジオから1時間の生放送、生放送でお送りしますよっ」
春香「それでは、早速本日のゲストに登場していただきましょう。
詩人、水瀬伊織~っ! VTRで生い立ちをご覧頂きます!」
プシュー
伊織「こんばんはー!」
観客『きゃああああ!』
春香「水瀬伊織。東京都出身。半年前、詩集『ALRIGHT』を出版しミリオンセラーに。
先日第2弾の詩集・『コスモス』を発売し、今最も多忙な作家といわれている。
…………さあさあさあさあ! あの水瀬さんがなんと! クイズショウに来てくれましたー!」
伊織「天海さん、よろしくね!」
春香「はい、よろしくお願いします! いやあ、お綺麗ですね。アイドルも出来そう……」
伊織「そんなことありませんよォ!」
26: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:46:19.81 ID:9R+b4NKS0
春香「それでは、ルールの説明をさせていただきます!
問題は全部で7問。全て正解すると賞金の1000万円を獲得しますが、
その賞金を賭けて、自らの夢を現実にする『ドリームチャンス』への挑戦権を得ることができます」
伊織「夢を現実に! とっても素敵な響きねっ」
春香「お伺いします。水瀬伊織さん、あなたの夢は――何ですか?」
伊織「えーと……私の詩集を、ドラマ化して欲しいですね」
春香「詩集!? 詩をドラマにということですか?」
伊織「はいぃ、私の詩からドラマのシナリオを、作ってくれればなーと」
春香「……承知いたしました。それでは、水瀬伊織が自らの夢を賭けて挑みます。
It’s show time!」
AD「CM入りましたー!」
伊織「よろしくお願いしますぅ」
春香「よろしくお願いします、水瀬さん」
27: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:52:46.37 ID:9R+b4NKS0
■
律子「ちょっと……詩からドラマなんて、無茶に決まってるじゃない。
短歌や俳句からドラマ作るようなもんよ」
千早「律子、焦らず行きましょう。水瀬伊織がドリームチャンスをクリアしなければいいんですから」
律子「随分と強気じゃない……。何か秘策でもあるの?」
千早「秘策、ですか。いいえ。ですが、なんとなく彼女はクリア出来ないような気がします。
自分の秘密を犠牲にしてまで、得るべき夢なのでしょうか?」
律子「秘密……って、まさかあなた、また問題を勝手に差し替えたの!?」
千早「何か問題でも?」
律子「大有りよ! また前回みたいなことになったら……」
千早「大いに結構じゃないですか。そうなれば、ドリームチャンスは達成されないんですから」
■
28: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:54:34.82 ID:9R+b4NKS0
<Q1>
春香「それでは、早速第1問です!
……日本最古の随筆は、次のうちどれ?」
春香「A、源氏物語。B、枕草子。C、古今和歌集、D、1Q84」
伊織「B!」
春香「せいかーい!」
<GET 100,000>
春香「いやあ、さすが! さすが作家! よっ、売れっ子作家!」
伊織「いえいえ、私なんて全然で」
春香「ちなみに、今まで書いたものの中で一番お気に入りの詩というのは?」
伊織「えっ……えっ、と……。『インフェルノ』ですかね! そう、『インフェルノ』」
春香「『インフェルノ』ですか? では、そちらをこちらに表示していただきましょう!」
伊織「あっ、表示されるんですね」
春香「時は、流れるもの。時代は、変わるもの。
人は愛するものとして、どんな気持ちを。どんな言葉で、
どんな表情から伝えれば――幸せと呼べるのだろう」
伊織「あはは、ちょっと恥ずかしいですね」
春香「いやあ……名前負けですね」
伊織「え?」
29: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:56:45.79 ID:9R+b4NKS0
伊織「ちょっと、それってどういう……」
春香「第2問! ……1991年に没した日本の詩人、相田みつをさんが初めて発表した詩集は
次のうちどれ?」
伊織「……」
春香「A、おかげさん。B、一生感動一生青春。C、いのちいっぱい。D、にんげんだもの」
伊織「えーと……えーと…………え? あの、この方は有名なんですか?」
春香「ええ、有名ですよ。……特に作家さんや詩人さんには」
伊織「っ!」
春香「……分かりませんか?」
伊織「えーと……奥義、使います。あはは」
春香「出ましたっ、おおーぎです!」
<奥義>
30: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 21:59:59.64 ID:9R+b4NKS0
春香「奥義は『召喚』『導きの手』『以心伝心』の3種類。
ストップボタンを押して当たったものによって、問題のヒントが得られるでしょう」
伊織「みなさん、お願いしますねっ!」
春香「ルーレットスタート!」
伊織「……えーい! ストップ!」ポン
春香「はい、止まりました! 『導きの手』っ!」
伊織「み、導きの……?」
春香「今から観客の皆様には、自分が正解だと思う選択肢のボタンを押して頂きます。
事前に配ったスイッチを手にとって下さい。
水瀬さんは、その情報をツテに回答することができます!」
伊織「あ、なるほど! そうなんだ~!」
春香「では、どうぞ! 押してください!」
<A:3%、B:0%、C:12%、D:85%>
伊織「じゃあ、信じます! D!」
春香「……正解でーす!」
<GET 500,000>
31: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:02:48.64 ID:9R+b4NKS0
春香「第3問!
……水瀬伊織さんの書いた詩でないものは、次のうちどれでしょう?」
伊織「えっ……」
春香「A、『心、私であるためにある』。B、『ユラリ、フワリ。花のようにユメが咲いて』。
C、『今度雨が降った日は、家で夢を話そう』。D、『そばにいると約束をした貴方は嘘つきだね』」
伊織「…………えーと」
春香「あれ? 水瀬さん、自分で書いた文章ぐらい覚えててくださいよー!」アハハ
伊織「……えーと、D……?」
春香「…………え?」
伊織「え、あ、やっぱDじゃなくて」
春香「正解ー!」
<GET 1,000,000>
伊織「ふう……」
春香「ちなみにAは『インフェルノ』、Bは『コスモス』、Cは『今日が笑えたら』の文章です」
32: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:06:04.47 ID:9R+b4NKS0
春香「どうして一瞬詰まっちゃったんでしょうねぇ……。
まさか! 自分で書いてなくて見たことがないなんてことは」アハハハハ
伊織「そんなことあるわけないじゃない!」バンッ
春香「……水瀬さん?」
伊織「あっ……あはは、すみませーん! さあ、次の問題お願いしまーす♪」
春香「はい! では、第4問!
……こちらをご覧ください」
伊織「!」
春香「この中に、水瀬伊織さんのメディアマネージャーである萩原雪歩さんがいらっしゃいます。
どの方でしょうか?」
伊織「え、えーっと……Aの方です!」
春香「正解!」
<GET 2,000,000>
春香「水瀬さんはこの方とお仕事をしていらっしゃるんですね」
伊織「そ、そうですね」
春香「あ、今もスタジオにいらっしゃいますね。萩原さーん!」ブンブン
雪歩「! ~~~っ!」
伊織「あ、あのっ。彼女、あがり症なんでこれぐらいで勘弁してください」
春香「あ、すみません……。私調子にノッちゃうととことんですからね!」アハハ
33: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:16:38.20 ID:9R+b4NKS0
春香「では、第5問!」
伊織「あの、ちょっと待って下さい」
春香「はい?」
伊織「ちょっと前から気になってたんですけど……あなた、本名は?」
春香「天海……春香、ですが」
伊織「ああ、やっぱり! 私、あなたと前にお会いしました!」
春香「え……? そんなことありませんよ。だって私は、あなたのこと――っ!!」
■
律子「え、何……? 頭、痛いの?」
千早「…………やっと」
律子「何か知ってるの?」
千早「……いいえ、何も知りません」
律子「どうしましょう、放送止めてでも助けたほうが……」
千早「大丈夫です」
律子「え?」
千早「このまま、放送を続けましょう。いつか収まりますから」
34: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:19:44.63 ID:9R+b4NKS0
春香「は……あっ! ううっ……!」
伊織「あ、あの、天海さん? 天海さん!」
春香「……! ……はぁっ」
伊織「あの、大丈夫……?」
春香「…………あ、すみません! 大丈夫です。もー、いきなりナンパもどきされて焦ったなー」アハハハハ
春香「では、気を取り直して第5問です!
……この『コスモス』に収録されている詩の中に、三連作があります。
三つ続けて読むと、意味がわかるという作品なんですが――。
さて、次のうち、連作となっているものはどれでしょうか?」
伊織「れ、連作?」
春香「A、『星々の輝き』から『透明な宇宙』。B、『世界の因果』から『砂時計』。
C、『身近な喜び』から『明日の記憶』。D、『未来の風景』から『眠り姫』」
伊織「連作って……」チラッ
雪歩「……」
春香「水瀬さん! 正解をどうぞ!」
伊織「えーっと……」チラッ
雪歩「……A、A」
伊織「……Aですね!」
春香「せいかーい!」
<GET 4,000,000>
35: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:22:33.30 ID:9R+b4NKS0
春香「いやあ、大分お困りに……」
伊織「ええ、そうかもしれないですね! あははは」
春香「ちなみに、『星々の輝き』と『透明な宇宙』の間には、何が入るんですか?」
伊織「え、えーと、それは……皆さんに、ぜひ読んで確かめていただきたいです! はい!」
春香「そう、ですか……。いやー、こんな時でも営業を忘れない! さすがカリスマ!」アハハハハ
春香「それでは、第6問に参りましょう。
……水瀬さんがデビューする1ヶ月前、詩集が出版される直前で取り消された、ある一人の作家が居ます。
次のうち、それは誰でしょう?」
伊織「っ!?」
雪歩「!」
春香「A、我那覇響。B、MC-AMAMI。C、萩原雪歩。D、秋月律子」
■
律子「私じゃないわよ!」
千早「分かってます」
春香『いやあ、一体どうしてこの方、出版が取り消されてしまったんでしょうね』
伊織『……』
千早「…………」
■
36: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:25:44.59 ID:9R+b4NKS0
伊織「あの」
春香「はい?」
伊織「この問題、答えた所で何の意味があるんでしょうか?」
春香「え?」
伊織「だって、この問題の答えなんて、知っている人は……」
春香「水瀬さん。私は――あなたの、全てを知っています」
伊織「全てを……?」
春香「さあ、お答えください!」
伊織「…………」
春香「夢を、手に入れるために!」
伊織「…………。…………C」
春香「正解です!」
<GET 8,000,000>
春香「そうなんです。今、水瀬さんを担当している萩原さん……。
デビューを取り消された作家さんだったんですねぇ」
伊織「……あなたは」
春香「……?」
伊織「あなたは、何をどこまで知っているの?」
37: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:31:15.53 ID:9R+b4NKS0
春香「――全てです。全てを、知っています」
伊織「……本当に、全部知っているっていうの? もしかしてあなた、」
春香「第7問!」
伊織「……っ」
春香「――出版が取り消された萩原雪歩さんの詩集。タイトルは次のうちどれ?」
伊織「え!?」
春香「A、インフェルノ。B、ALRIGHT。C、コスモス。D、何度も言えるよ。
……あれ、おっかしいなぁ。これ、みんなあなたの詩のタイトルじゃないですか?」
伊織「……それは」
春香「どうしてなんですかねぇ。出版が取り消された萩原さんの詩集、タイトルが水瀬さんの詩と同じ。
やっぱり、あなた自分で書いてないんじゃないですか?」
伊織「だから! そんなことないって言ってるでしょ!」バンッ
春香「……嘘は自分の首を絞めるだけですよ?」
伊織「……!」
春香「答えられませんか」
伊織「……答えられる。答えられるわよ!」
春香「水瀬さん、キャラ! キャラ忘れてます! 猫かぶんないとーっ!」アハハ
伊織「……Bよ」
春香「は?」
伊織「Bよ! ALRIGHTよ!」
春香「……正解でーす!」
<GET 10,000,000>
38: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:39:36.40 ID:9R+b4NKS0
春香「さて、水瀬さん。あなたはドリームチャンスの権利を獲得しました。
行使……は、するとして。”夢”は変更しますか?」
伊織「…………変えないわよ」
春香「……ドリーム、チャーンス!」
<DREAM CHANCE>
春香「ドリームチャンスの問題です! 正解すれば、あなたの夢が現実に!」
伊織「早く問題を言って」
春香「はい。…………今までの水瀬伊織の作品の、本当の作者は誰?」
伊織「はぁ!?」
春香「A、MC-AMAMI。B、萩原雪歩。C、如月千早。D、四条貴音」
■
律子「……なによこれ」
千早「…………はい?」
律子「先週の放送と、何も変わりないじゃないの!」
千早「そうですか?」
律子「こんな、ゲストを晒し者にして……」
千早「律子、よく考えてみてください。彼女たちは、晒されるだけのことを平気でやってきたんです。
生放送番組で社会的な地位を失うだけだなんて、大分軽い罪だと想いませんか?」
■
39: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:43:30.29 ID:9R+b4NKS0
春香「あなたの名前がありませんよ、水瀬伊織さん」
伊織「…………」
春香「やっぱり、あなた何も書いてないじゃないですか」
伊織「……」
春香「さて、問題はいかがですか。正解をどうぞ!」
伊織「……」
春香「答えられませんか?」
伊織「…………うるさい」
春香「じゃあ、奥義使いましょう! 奥義!」
伊織「うるさい」
春香「奥義でーす!」
伊織「うるさいって言ってるでしょう!」ドンッ
<奥義>
春香「ルーレット、スタート!」
伊織「…………」バンッ
春香「はい、止まりました! 『召喚』!」
プシュー
雪歩「……こんばんは」
伊織「雪歩! 何してるのよ!」
春香「水瀬さんのマネージャー、萩原雪歩さんでーす!」
雪歩「よろしくお願いします」
春香「では、ヒントを」
伊織「やめて……やめなさいよ……やめて……!」
40: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:50:50.72 ID:9R+b4NKS0
雪歩「『心、私であるためにある』……。この詩には、まだ発表していない、続きがあります」
春香「続きですか! では、お願いします」
雪歩「…………廻りまわる秒針を止めても、時間が止まることは決してない。
でも、もし止められたなら――それが永遠だろうか?
……廻り続けれたら永遠だろうか?
止めること、保つこと、似て非なるもの。
……只一つ言えるのは、全て 私であるためにある」
春香「…………萩原雪歩さんでした! 拍手ーっ!」パチパチ…
春香「いやぁ、大ヒントじゃないですか! これ」
伊織「……デタラメよ」
春香「デタラメで、あんなに水瀬さんらしい詩が出来ますかね?」
伊織「……偽物よ」
春香「…………偽物?」
伊織「偽物よ、あんなの! だってそうでしょう!
アンタたちは、私の何を知っているの!? 知らないでしょう!
同様に雪歩のことだって、これっぽっちも知らないでしょう!
……だったら、だったら――!」
春香「……?」
伊織「誰が発表して、誰がこれを書いたって大口叩いても同じじゃない!
こんな詩集、誰が書いたって同じものになるわよ!」
春香「……」
伊織「あの女の代わりに私が表に出て、何がいけないの!?
私、罪なんて欠片も犯してないわよ!
……社長が、あの女より私が作者の方が面白そうだって言ったから、従っただけよ!」
春香「…………」
伊織「そうよ、私はなんにも悪くない! 悪いのはあいつらよ!
あんなのを書いた雪歩が悪いんだわ! 私は悪くない!」
41: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:56:28.04 ID:9R+b4NKS0
伊織「ねえ、そうでしょう! アンタたち、そう思うでしょう!」
春香「……ふざけないで」
伊織「はぁ!?」
春香「ふざけないで! あなたそれで満足なの!?
他人の才能で評価されて、本当に良いの!?
……今のあなたは、他人の権力や思考におんぶにだっこの操り人形なんだよ!?」
伊織「……っ」
春香「罪!? あなたは一生許されない罪をもう犯してる! 萩原さんの気持ちを傷つけた責任をどう取るの!?」
伊織「……」
春香「…………正解を」
伊織「……ないわ……………………この中に、正解なんてない……」
春香「……残念!」
<Failure!>
春香「残念ながら今回の挑戦者、水瀬伊織は…………自らの夢を叶えることができませんでした。
次なる挑戦者は誰でしょうか? ――あなたの夢を、叶えます!」
パチパチパチパチパチパチ……。
伊織「……」
42: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 22:58:37.55 ID:9R+b4NKS0
■
千早「お疲れ様でした」
スタッフ『お疲れ様でしたー』
律子「ねえ」
千早「……はい?」
律子「……結局、どうするのよ」
千早「何がですか?」
律子「だって、水瀬伊織は盗作をしていたんでしょう?
本とかも、いろいろと」
千早「それは、私たちの仕事ではありませんよ」
律子「…………そう、だけど」
■
43: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 23:02:27.38 ID:9R+b4NKS0
ギィ
千早「……お疲れ様」
春香「…………千早ちゃん?」
千早「番組の途中、頭痛があったでしょう」
春香「……」コクッ
千早「思い出した?」
春香「……え……?」
千早「マコトのこと」
春香「――」
――
春香『マコト! ねえ、マコト! 起きてよ!』
千早『……春香? まさか、マコトを』
春香『……違う! 私は、私は……!』
千早『マコト、マコト! 大丈夫なの!? ねえ、春香! どういうことか説明して!』
春香『ち……ちが…………ま……まこ……』
――
春香「!」
44: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 23:04:59.89 ID:9R+b4NKS0
千早「思い出したようね?」
春香「……ぇ…………マコト……マコト……?」
千早「そうよ、あなたはマコトを殺したのよ?」
春香「…………ぅ、うそ……」
千早「嘘じゃないわ。私はこの目でしっかりと見たのよ」
春香「……そんな、そんなはず…………」
千早「やっと、思い出してくれたのね……!」
春香「……ぁ」
千早「……?」
――
千早『春香、マコト。おはよう』
春香『おっはよー! ほら、マコトも……って、どうしたの、そのペンダント?』
――
春香「……ペンダント…………」
千早「…………!」
45: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 23:06:44.71 ID:9R+b4NKS0
千早「そんなくだらないことも思い出したの?」
春香「…………千早ちゃん……あなたは……何者……?」
千早「……」
春香「だれなの?」
千早「…………煩い」
春香「…………」
千早「次も、よろしくね」
バタン
春香「…………マコト、ペンダント、千早ちゃん……?」
46: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/07(木) 23:09:34.79 ID:9R+b4NKS0
第2話終わりです。解答者は伊織、作家です。
765プロ総出演のドラマ、みたいな感じで考えていただければ、違和感なくスッといけると思います。
やよいがテレビ局に勤めるのはちょっと非現実的ですので。可愛いですけども。
クイズショウはあんまりネタがないので、すっと完結できたらなと思います。
またよろしくお願いします。
お読みいただき、ありがとうございました。
次話もよければ、よろしくお願いします。
49: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 21:54:01.44 ID:zCHCrNNZ0
春香「…………」
――
春香『どうしたの、そのペンダント?』
?『千早がくれたんだ! お揃いでねっ』
千早『ごめんね、春香。春香がこういうのをつけているところを、あまり見たことがないから……』
春香『もう、二人共ひどいよぅ。私だけのけもの……』
?『じゃ、じゃあさ! こんど春香の分も買いに行こうよ! 千早っ』
千早『そうね』
――
春香「…………」
50: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 21:58:49.94 ID:zCHCrNNZ0
――
春香『千早ちゃんとマコトと三人で、どっか行きたいなぁ』
?『いいね! こういう時は企画好きの千早に考えてもらうよ?』
千早『もう、仕方ないわね。じゃあ――ミステリーツアーに参加するの、とかは?』
春香『ミステリーツアー?』
千早『バスに乗って、温泉街とか、行き場の分からない旅をするのよ』
?『面白そうだね、それ! じゃあ、春香のペンダントを買った後で、
みんなでつけて遊びに行こうよ!』
春香『さんせーっ!』
――
春香「……ぁ…………」
51: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:04:26.65 ID:zCHCrNNZ0
ギィ
千早「…………春香」
春香「千早、ちゃん……」
千早「これ、今日の資料だから」
春香「ねぇ、マコトって……誰なの? 一体……私と千早ちゃんと、何の関係が……?」
千早「……」
春香「私が、殺したの?」
千早「…………そうよ」
春香「……どうして」
千早「自分の胸にでも聞きなさい」
バタン
春香「……」
52: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:10:04.91 ID:zCHCrNNZ0
あずさ「……ふう」
亜美「あずさお姉ちゃん、お客さんだよー!」
あずさ「あら~? どなたかしら?」ガチャ
やよい「……あっ!」
あずさ「あっ、えっと、どな」
やよい「三浦あずささん! ブーブーエステレビの者です!」
亜美「どしてテレビ局がうちの喫茶店に来るの!? もしかして取材っ!? ロケっ!?」
やよい「あなたを……ザ・クイズショウにご招待しちゃいますー!」サッ
あずさ「ザ・クイズショウって、あの夢を叶えてくれるって言う番組かしら?」
やよい「はいっ」
あずさ「どうして、私なの?」
やよい「番組が国民1億3000万人の中から選びました!」
亜美「説明になってないね……」
53: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:13:31.35 ID:zCHCrNNZ0
あずさ「えっと、えーっと……?」
やよい「あ、じゃあお待ちしてますね! うっうー!」
亜美「あっ、ちょっと待っ……足速っ! 追いつけないよ→……」
あずさ「亜美ちゃん、これって、出るべきなのかしら?」
亜美「うーん……出たいなら出ちゃったほうがいいんじゃないかな」
あずさ「……そう、かしらねぇ」
亜美「あっ、真美にもソーダンしてみよーか!」
あずさ「そうね、聞いてみたいわぁ」
亜美「ケータイ取り出しポパピプペ……あ、もっしー真美? えっとね、あずさお姉ちゃんがね」
あずさ「……ザ・クイズショウ…………?」
54: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:15:51.88 ID:zCHCrNNZ0
律子「おはよー」
千早「おはようございます」
スタッフ『おはようございまーす』
律子「千早。今日の回答者、どうしてこの人なの?」
千早「今日は元々一般枠ですから。……何か?」
律子「いえ、我那覇響に水瀬伊織。有名人を陥れてきたあなたにしては、
大分おとなしそうな一般人よねって」
千早「そうかもしれませんね。今までに比べて」
律子「ねえ。我那覇響と水瀬伊織と今回の――三浦あずさには、なにか共通点でもあるの?」
千早「…………まあ、後々お話しますよ」
55: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:20:54.62 ID:zCHCrNNZ0
律子「みんなー。今日は久しぶりの一般人参加よー! 盛り上がって行きましょう!」
スタッフ『はーい』
スタッフ「本番10秒前。9、8、7、6、5……」
■
AD「4、3」
春香「……」スクッ
AD「2、1!」
56: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:24:28.72 ID:zCHCrNNZ0
春香「人は誰でも、華やかな夢にあこがれます。
世界中を旅したい者、大きな家に住みたい者。
はたまた、……大金を、手にしたい者。
すべての夢の終着点。それがこの、THE QUIZ SHOW!」
<THE QUIZ SHOW>
春香「全国のクイズショウファンの皆様こんばんは、MC-AMAMIです!
本日もブーブーエステレビ・S1スタジオから1時間ぶっ通しの生放送ですよ!」
春香「今日はなんと! 一般の方から参加して頂きます! 登場していただきましょう。
カフェ経営者、三浦あずさ~っ!」
プシュー
あずさ「こんばんは~」
春香「三浦あずさ。東京都出身。高校卒業後、バス添乗員として『765観光』に勤務するも、
乗っていたバスが事故に遭い、退職。以降、『Cafe三浦』を開店し、経営。現在に至る。
……というわけで、今回の挑戦者、三浦さんは元バスガイドのカフェ店長!」
あずさ「よろしくお願いします~」
春香「いやあ、それにしてもナイスバディですね! 皆さん、見てくださいこのグラマラスさ!」
あずさ「あ、あの……?」
57: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:26:54.67 ID:zCHCrNNZ0
春香「それでは、ルールの説明をさせていただきます。
問題は全部で7問。全て正解すると賞金の1000万円を獲得しますが、
その賞金を賭けて、自らの夢を現実にする『ドリームチャンス』への挑戦権を得ることができます」
あずさ「分かりました」
春香「お伺いします。……三浦あずささん、あなたの夢は――何ですか?」
あずさ「え、えーっと、今、私が経営しています喫茶店を、ぜひ宣伝して欲しいですね~」
春香「分かりました! あなたの喫茶店『Cafe三浦』の宣伝をお約束しましょう。
それでは、三浦あずさが自らの夢を賭けて挑みます。
It’s show time!」
AD「CM入りましたー!」
あずさ「あの、よろしくお願いします!」
春香「よろしくお願いします、三浦さん」
あずさ「あの、失礼かもしれないんですけど」
春香「はい?」
あずさ「以前、どこかでお会いしませんでしたか?」
春香「え? いや、それは――……ッ!!」
あずさ「えっ? えっ? あ、あの、司会者さん?」
58: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:30:40.27 ID:zCHCrNNZ0
■
春香『は……っ! ……ぁ……っ!』
千早「また、始まった」
律子「ちょっと、これ放っておいていいの? あと40秒で、CMが」
千早「CM明けても頭痛が続いているようでも、生放送は続けますよ」
律子「え!? どうして!」
千早「放送に穴を開けたくはないでしょう。律子プロデューサー」
律子「……っ」
■
春香「あ…………ぁ――――! ……う……」
あずさ「あのっ、大丈夫ですか?」
春香「すみません……大丈夫です。それでは、席の方へ」
あずさ「あ、はい!」
59: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:33:35.30 ID:zCHCrNNZ0
<Q1>
春香「それでは! 早速第1問へ行きましょう!
……三菱ふそうが製造している、非常に多くの会社に取り入れられている観光バスの車種は?」
春香「A、エアロモンスター。B、エアロクィーン。C、エア……」
あずさ「Bです」
春香「正解!」
<GET 100,000>
春香「やっぱり早いですね、さすが元バスガイドさん!」
あずさ「いえいえ、仲間の運転手さんが車種マニアで」
春香「なるほど。バスの種類にも造詣が深かった方なんですね」
あずさ「はい~」
春香「それでは、第2問!
……携帯電話の通信などに使用される情報の送信単位は何でしょう?」
春香「A、セグメント。B、エムリット。C、パケット。D、スティーブハモンド」
あずさ「えーっと……すみません、分かりません~」
春香「そうですか? それでは、奥義を使いましょう!」
60: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:36:09.25 ID:zCHCrNNZ0
春香「おおおおーぎ、です!」
<奥義>
春香「奥義は『召喚』『導きの手』『以心伝心』の3種類。
ストップボタンを押して当たったものによって、問題のヒントが得られるでしょう」
あずさ「あ、これを押すんですね」
春香「ルーレット、スタートっ!」
あずさ「えいっ」ポン
春香「ついに出たー! 『以心伝心』っ」
あずさ「おおー」パチパチ
春香「さて、今回とある場所と中継が繋がっております。
中継先の、高槻さん?」
<Cafe三浦←→S1スタジオ>
やよい『はーい! クイズショウスタッフの、高槻やよいでーっす!』
亜美『いえーい! テレビテレビー!』
真美『お姉ちゃん見てるー!?』
春香「いやあ、テンションの高い中継先ですねぇ。
こちら、Cafe三浦でアルバイトをしております、双海真美さん・亜美さんでーす!」パチパチパチパチ
あずさ「亜美ちゃんと、真美ちゃん!」
61: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:39:55.69 ID:zCHCrNNZ0
やよい『それでは! お二人にヒントを頂きたいと思いまーっす!』
春香「さあ、三浦さん! クイズの内容をどうぞ!」
あずさ「はい、えーっと……『携帯電話の通信などに使用される情報の送信単位』を聞く問題で、
選択肢はAがセグメント、Bのエムリット、Cのパケット、Dのスティー」
真美『分かった! Cだよ!』
亜美『メールが趣味の亜美たちには簡単すぎましたなぁ』
あずさ「Cでいいのね~?」
亜美『おうよ!』
真美『おうともさ!』
春香「双海さん、高槻さん、ありがとうございました! それでは、解答をどーぞ!」
あずさ「Cで!」
春香「正解でーす!」
<GET 500,000>
62: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:44:20.65 ID:zCHCrNNZ0
春香「それでは、第3問です!
……この中で、765観光でよく一緒に行動していた運転手は誰?」
あずさ「えっ?」
春香「A、高木順二朗。B、秋月律子。C、高槻やよい。D、我那覇響」
あずさ「えっと、この中から写真を選べばいいんですよね?」
春香「はい」
あずさ「Aです」
春香「せーいかーいっ!」
<GET 1,000,000>
あずさ「あの……」
春香「なんですか?」
あずさ「これって、本当に正解、分かってらっしゃるんですか?
だってこれって、ほとんど私しか知らない……」
春香「三浦さん、私は――あなたのすべてを知っています」
あずさ「……?」
63: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:47:41.03 ID:zCHCrNNZ0
春香「第4問。
……三浦さんが会社をやめるきっかけになった…………原因は……」
あずさ「……事故、です」
春香「……………………事故? ――ッ! は……ぁ……っ!」
■
律子「ちょっと! 千早、どうする気なの!?」
千早「大丈夫です。ずっと続くようであれば、放送切り替えます。
準備、お願いします」
律子「もう……」
64: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:49:13.49 ID:zCHCrNNZ0
――
あずさ『この度は、765観光主催・ミステリーツアーにご参加いただき、ありがとうございます~』
響『よっ! 待ってましたー!』
美希『楽しみなの~!』
?『うわあ、どこに行くんだろう。楽しみだね! 春香、千早!』
春香『うんっ! とっても楽しみ……』
千早『素敵な場所に、着くといいわね』
――
春香「……っ! ああ…………!」
あずさ「あの、司会者さん!」
――
伊織『……? なんだか、揺れるわね』
?『なんだろ、さっきから振動が……』
運転手『ハンドルがきれなくなった!』
春香『えっ!?』
千早『嘘……』
運転手『くそっ!』
?『うわあ!』
美希『きゃあ!』
――
65: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:51:45.72 ID:zCHCrNNZ0
春香『…………っ、千早ちゃん、マコト!』
?『……』
春香『海……? あっ、マコト! ねえ、マコト! 起きてよ! マコ……あれ?』
ガシュッ
春香『なに、これ……金属片?』
?『……ぅ』
春香『っマコト! ねえ、マコト! 起きてよ!』
千早『春香! マコ…………? 春香、まさか……マコトを』
春香『……違う! 私は、私は……!』
千早『マコト、マコト! 大丈夫なの!? ねえ、春香! どういうことか説明して!』
春香『ち……ちが…………ま……まこ……』
――
春香「っ! ……ふー…………すみません。正解です」
<GET 2,000,000>
66: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 22:55:51.77 ID:zCHCrNNZ0
あずさ「あの、大丈夫なんですか?」
春香「えっと、はい。大丈夫です。ほうら、元気元気~!」アハハハハ
あずさ「……なら、いいんですが……」
春香「第5問です。
……三浦さんの担当していた、バスツアーの事故の唯一の死亡者は次のうち……誰?」
あずさ「し、死亡者……ですか?」
春香「A、MC-AMAMI。B、如月千早。C、四条貴音。D、…………菊地真」
あずさ「…………D」
春香「――正解です……」
<GET 4,000,000>
春香「そうですか、唯一の、死亡者……マコトは……」
あずさ「……私の、せいなんです」
春香「え?」
あずさ「私が、運転手の異変に気づいていれば、こんなことには」
67: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 23:00:46.21 ID:zCHCrNNZ0
春香「……」
あずさ「……」
春香「……第……6問です。
…………三浦さんが、救った乗客は次のうち……誰?」
あずさ「え?」
■
千早「…………」
律子「ねえ、これって…………もしかして、『765バス衝突事故』?」
千早「……私、あのバスに乗ってたんです」
律子「…………え?」
■
春香「A、如月千早。B、萩原雪歩。C、水瀬伊織。D、……天海春香」
あずさ「…………C、の方です」
春香「……正解」
<GET 8,000,000>
68: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 23:06:38.74 ID:zCHCrNNZ0
春香「水瀬伊織さんを、救っていらっしゃったんですね」
あずさ「ちょうど、投げ出された所に居たので。
……菊地さんは、気がついた時には、もう……植物状態に」
春香「…………植物状態?」
あずさ「はい」
春香「……死んだんじゃ、なくてですか?」
あずさ「はい。病院に、運ばれて行きました。覚えています」
春香「植物……状態?」
――
真『…………』
千早『ねえ、起きてよ。真……お願い、お願いだから……』
――
春香「……ぁっ! ああ…………っ!」
――
春香『金属片……?』
真『……ぅ』
春香『っ真! ねえ、真! 起きてよ!』
救急隊員『すみません、病院に搬送します!』
春香『……! 真、真!』
――
春香「千早……ちゃん、は? いない……?」
■
千早「放送を止めてください!」
律子「……今なの?」
千早「早く!」
律子「え、ええ! 放送切り替えて!」
■
69: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 23:10:28.90 ID:zCHCrNNZ0
ギィ…
千早「落ち着いたかしら? 三浦あずさだけど、今回のお詫びも兼ねて
喫茶店の宣伝は約束したわ」
春香「千早、ちゃん。……ねえ、真はバス事故で死んだ訳じゃなかったの?
植物状態だって……どうして死んだの?」
千早「ああ、そのこと。……――あなたが呼吸を止めたのよ」
春香「――え?」
千早「真の人工呼吸器を外してね。覚えてない?」
春香「そんな……そんなはず!」
千早「その後あなたは――病院の屋上から飛び降りて、一連の記憶を失った」
春香「…………うそだ」
千早「嘘じゃないわ、春香」
春香「そんな、そんなはず……! 真を、私が……殺した?」
――
真『えへへっ! ゲットー! やーりぃ』
春香『あー! ずるいよー、まーこーとー』
千早『ふふふっ、賑やかね』
――
春香「……」
千早「…………じゃあね」
バタン
春香「…………」
70: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 23:13:16.10 ID:zCHCrNNZ0
――
真『……』
春香『…………真……』ガシッ
ピピピピッ! ピピピピッ!
春香『――――――っ!』
千早『……はる、か……? ……っ! 真! 真! 真っ!!』
――
春香「……」
――
千早『春香!』
春香『来ないで! 来たらここから、飛び降りる!』
千早『馬鹿なことはやめて! どうして真の呼吸器を外したの!?』
春香『や、やめて……こっちに、来ないで――! あっ……!』
千早『! は、るかっ!』
ドン
――
春香「…………ぁぁ……ぁぁっ! あああっ!」
71: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/08(金) 23:17:15.96 ID:zCHCrNNZ0
第3話終わりです。原作ベースは主人公達の過去が明らかになり始める7話/8話です。
踏襲して行きたいと思います。
一応(美希は回想ですが)、全員のアイドルが出演しました。
クイズショウの定番の逆指名と、懺悔回を書きたいと思っています。
お読みいただき、ありがとうございました。次話も、よろしくお願いします。
74: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:25:56.14 ID:tD9St01u0
春香「…………」
――
真『……』
春香『……! 海……?』
――
春香「…………ぁ」
――
真『……ぅ』
春香『っ真! ねえ、真! 起きてよ!』
救急隊員『すみません、病院に搬送します!』
春香『……! 真、真!』
――
春香「……?」
75: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:26:56.39 ID:tD9St01u0
――
真『……』
春香『…………真……ごめんね……』ガシッ
ピピピピッ! ピピピピッ!
春香『――――――っ!』
――
春香「…………わた、しだ。私が――殺した」
ギィ…
千早「……そろそろ時間よ。準備して」
春香「…………千早ちゃん」
千早「……なに?」
春香「……私は、どうして真を殺したのかな」
千早「…………知らないわ。知りたくもない」
76: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:27:42.58 ID:tD9St01u0
やよい「……千早さん、おはようございます」
千早「おはよう、高槻さん」
やよい「あの、これ……用意していた、おクスリです」
千早「……ありがとう」カラン
やよい「えっと……それ、本当に使っちゃうんですか?」
千早「……時期が来ればね」
やよい「…………何も感じず、一瞬で」
千早「ええ」
やよい「…………失礼します」
ガチャン
千早「……」カラン
77: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:28:22.54 ID:tD9St01u0
律子「……おはよ」
千早「おはようございます」
律子「私ね、先週の放送事故の責任取って、異動することになったから」
千早「そうですか」
律子「そうですか、ってねぇ……! あんた、自分が何したか分かってんの!?」
千早「分かってますよ。いいじゃないですか、クビにならないだけ」
律子「……」
■
春香「…………ぁぅ」
■
やよい「……っ」ギュッ
78: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:29:12.56 ID:tD9St01u0
AD「本番10秒前。9、8……」
春香「…………まこ……と……」
■
千早「……ちょっと、出てきます」
律子「え? ちょっと、どういうことよ!」
千早「音無さん」
小鳥「は、はいっ!」
千早「今日、Dの仕事、任せます」
小鳥「えっ? は、はい!」
千早「……」ガチャン
律子「…………もう放送、始まっちゃうわよ!」
■
AD「2、1!」
春香「……」スック
■
千早「…………ふぅ」
79: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:30:11.03 ID:tD9St01u0
春香「人は誰でも、華やかな夢にあこがれます。
世界中を旅したい者、大きな家に住みたい者。
はたまた、……大金を、手にしたい者。
すべての夢の終着点。それがこの、THE QUIZ SHOW!」
<THE QUIZ SHOW>
春香「こんばんは、ザ・クイズショウへようこそ。司会は私、MC-AMAMIです!
本日もブーブーエステレビ・S1スタジオから1時間ぶっ通しの生放送でお送りします!」
春香「それでは登場していただきましょう! 今回のゲス……」
プシュー
千早「……」ニヤリ
春香「え……?」
千早「皆様こんばんは。ザ・クイズショウのディレクター、如月千早です。
本日の放送は”特別編”と題し、私がMCを担当します」
ザワザワ…
春香「ちょっ……あの、どういうことですか如月さん!」
千早「そして回答者は――MC-AMAMIこと、天海春香」
80: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:31:16.51 ID:tD9St01u0
■
律子「どういうこと……?」
小鳥「律子さん……ごめんなさい」
律子「え……? ま、まさか小鳥さん、知ってたんですか!?」
小鳥「……」
律子「勝手なことしないでください!」
■
千早「それでは、紹介VTR、どうぞ」
■
小鳥「……」 PLAY>
律子「……Vも、問題も、作ってあるのね……?」
■
千早「天海春香。東京都出身。高校在学中、とある事故に巻き込まれ記憶障害になる。
その後如月ディレクターがザ・クイズショウのMCに抜擢し、現在に至る。
……天海さん、記憶障害なんですね」
春香「……そう、ですけど関係ありません」
81: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:32:13.46 ID:tD9St01u0
千早「記憶がないって、お辛いでしょう?」
春香「……」
千早「……ルール説明は省略しても、よろしいですか?」
春香「そ、そりゃあルール分かってなかったら辛いでしょ!」アハハハハ
千早「分かりました。それでは天海さん――お伺いします。
あなたの夢は、何ですか?」
春香「――――全ての真実を知ること……」
千早「……分かりました。それでは天海さんがドリームチャンスをクリアした暁には、
全ての真実をお教えしましょう」
■
律子「記憶、障害……?」
■
千早「それでは! 天海春香が自らの夢をかけて挑みます。
It’s show time!」
AD「…………CM、入りましたー……」
82: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:32:46.71 ID:tD9St01u0
春香「……どういうことなんですか」
千早「何が?」
春香「だって、生放送なんですよ!?」
千早「だからよ。面白いじゃない?
……今までのあなたがやってきたように、クイズで思い出させてあげる。真のこと」
春香「真……」
■
律子「真って……?」
小鳥「……千早ちゃんが巻き込まれた事故の、唯一の死亡者だそうです」
律子「事故? もしかして、三浦あずさのバス……」
■
千早「さぁ、回答者席へどうぞ?」
春香「……」
83: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:33:34.36 ID:tD9St01u0
千早「どうですか、回答者席の座り心地は?」
春香「あんまり良いモノではありませんね」
千早「では、第1問!
……天海さんの母親が死んだのは、あなたが何歳のとき?」
春香「っ!」
千早「A、13歳。B、15歳。C、16歳。D、17歳」
春香「……Bの15歳」
千早「はい、正解です」
<GET 100,000>
千早「そうなんですか、お母さんを亡くされているんですか。
ちなみに、お父さんは?」
春香「……顔も知りません」
千早「そう、ですか……」
84: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:34:08.21 ID:tD9St01u0
千早「第2問!
…………この中で、あなたとクラスメートだったのは誰?」
春香「……」
千早「……A、秋月律子。B、三浦あずさ。C、音無小鳥。D……菊地真」
春香「…………D」
千早「正解です」
<GET 500,000>
千早「そう。そして私と天海さんも、クラスメートなんですよ」
春香「そうですね……」
千早「第3問!
……3人で行くことになったバスツアーは誰が計画した?」
春香「……え?」
千早「A、如月千早。B、天海春香。C、菊地真。D、三浦あずさ」
春香「えっと……A?」
千早「正解」
<GET 1,000,000>
85: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:35:08.88 ID:tD9St01u0
千早「どんどん行きましょうか」
春香「あ、あのっ、如月さん。さっきから進行が、早くありません?
MCならきちんと尺考えて。ほら、テレビテレ……」
千早「第4問!
……バスツアーのバスが事故に遭った原因は?」
春香「……?」
――
伊織『……? なんだか、揺れるわね』
真『なんだろ、さっきから振動が……』
運転手『ハンドルがきれなくなった!』
春香『えっ!?』
――
千早「A、トラックとの衝突。B、整備不良。C、バスジャック。D、居眠り」
――
あずさ『皆さん、つかまってください!』
響『な、何が起きてるんさ!?』
雪歩『私まだ死にたくないですっ』
あずさ『お、落ち着いて! 落ち着いて下さいっ!』
――
86: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:35:55.22 ID:tD9St01u0
春香「……B、ですか?」
千早「そう、正解です」
<GET 2,000,000>
千早「あの時、ハンドルが突然操作できなくなって」
春香「……バスは、何かとぶつかって……」
千早「私たちは、走行していた道路の真横にあった海岸に、投げ出された」
春香「海岸……」
■
律子「見つけた!」
小鳥「えっ?」
律子「『765観光ツアーバス衝突事故』。海近くの店舗とぶつかって、バスは大破……。
乗客はほぼ全員バス外に投げ出され、その中の一人、菊地真さんが死亡……」
小鳥「それ、新聞記事ですか?」
律子「知り合いの記者に探してもらいました。それにしても……。
もしかして、この二人は乗客……」
■
87: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:36:29.13 ID:tD9St01u0
春香「で、でも三浦さんは」
千早「三浦あずさと水瀬伊織、運転手はバスから投げ出されませんでした。
結果、瀕死の水瀬伊織を三浦あずさと運転手が救助し、バスから飛び出した」
春香「そんな……」
千早「第5問。
バスから投げ出された後、菊地真に対して天海春香がとった行動は次のうちどれ?」
■
律子「あれ、でも菊地真さんって、事故から何日かは生きてる……」
■
千早「A、人工呼吸。B、心臓マッサージ。C、刺さっていた金属片を抜いた。D、救助隊への通報」
春香「……」
――
ザバーン
春香『…………っ? 千早ちゃん、真!?』
真『……』
春香『つめたっ……海? ……っ、真! ねえ、真! 起きてよ! まこ……あれ?』
ガシュッ
春香『金属片……?』
真『……ぅ』
春香『っ真! ねえ、真! 起きてよ!』
救急隊員『すみません、病院に搬送します!』
春香『……! 真、真!』
――
88: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:37:36.50 ID:tD9St01u0
春香「C。……刺さっていた、金属片を抜きました」
千早「正解です」
<GET 4,000,000>
千早「偶然近くにいた救助隊が一番最初に助けたのは真でした。
誰が見ても分かるぐらいに、一番傷ついていたんです」
春香「……」
■
律子「…………すぐ救出されたのに? 死んでしまった……?」
■
千早「あなたが金属片を抜いたから、彼女の腹部は真っ赤に染まってた」
春香「!」
千早「でもね、抜こうが抜かまいが、あの時既に真は駄目だったのよ。
第6問、菊地真が事故後、陥った状況は次のうちどれ?」
春香「状況……?」
千早「A、ショック状態。B、錯乱状態。C、興奮状態。D、……植物状態」
――
医者『……もう、手の施しようがありません』
春香『そんな! お願いします、真を助けて下さい!』
千早『私からも、お願いします!』
医者『…………』
春香『そん、な……』
医者『脳に酸素が行き渡っておらず、植物状態です。
以前のように話すことはおろか、目を開けることも……』
――
89: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:38:11.67 ID:tD9St01u0
春香「……D?」
千早「…………正解」
<GET 8,000,000>
千早「あなたが金属片を抜かなかったとしても、既に真は植物状態だったの。
仕方ないのよ」
春香「でも……まだ、真は死んでない。
どうして真は死んでしまったんですか? やっぱり、本当に私が――」
千早「第7問。
菊地真の死亡後、あなたの取った行動はどれ?」
春香「え――?」
千早「A、車の運転。B、飲酒。C、喫煙。D、――自殺未遂」
春香「――――」
――
千早『真! 真っ! ……っ!?』
ガチャン
千早『春香!?』
春香『来ないで! 来たらここから、飛び降りる!』
千早『馬鹿なことはやめて! どうして真の呼吸器を外したの!?』
春香『や、やめて……こっちに、来ないで――! あっ……!』
千早『! は、るかっ!』
――
春香「――D」
90: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:38:51.93 ID:tD9St01u0
千早「正解です」
<GET 10,000,000>
千早「これで賞金は一千万円。天海さん、この賞金と引き換えに記憶を取り戻すことが可能です。
問題はあと一問、そしてあなたの欠けた記憶のピースもあとひとつ」
春香「……真が、どうして死んだか」
千早「そう、菊地真の死因。ドリームチャンス、挑戦しますね?」
春香「…………はい」
千早「あなたの夢に変わりはありませんね?」
春香「……ありません」
千早「思い出したいんですね?」
春香「……ええ」
千早「それがたとえ残酷な真実でも?」
春香「ああ、もう! 早くして!」
千早「……ドリーム、チャーンス!」
<DREAM CHANCE>
91: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:40:24.95 ID:tD9St01u0
千早「問題。
……菊地真の死因は?」
春香「え……」
千早「A、溺死、B、焼死……」
――
真『……』
春香『…………真……ごめんね……』ガシッ
ピピピピッ! ピピピピッ!
春香『――――――っ!』
――
千早「……D、窒息死」
春香「…………あぁ」
92: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:40:52.98 ID:tD9St01u0
千早「分かる?」
春香「…………うそだ」
千早「え?」
春香「私は、真のことは絶対に殺してない!」
千早「そう、あなたが……」
春香「うそだ、うそだ、嘘だ!」
千早「……私はしっかりと見たのよ。あなたが真を殺した瞬間を!」
春香「…………いや」
千早「ほうら、思い出してみて。はっきりとイメージが出来るでしょう?」
春香「………………違う」
千早「それが真実よ」
春香「……ありえない」
千早「そう、認めない気なのね」
93: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:41:28.48 ID:tD9St01u0
春香「――なんで」
千早「何が?」
春香「わた……しだとして、どうして真を」
千早「そうね…………じゃあ、ヒント」
春香「ヒント?」
千早「あの時のペンダント――春香の分は、結局買えなかった」
春香「……」
千早「でも私も真も、しっかりと胸につけて出かけた」
春香「ペン、ダント」
千早「旅行までに春香の分も買おう、って言ったあのペンダントを、あなただけつけていなかった」
春香「…………」
千早「買う約束をしたのは――――誰でしょう?」
春香「……まさか」
94: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:42:29.64 ID:tD9St01u0
――
真『じゃ、じゃあさ! こんど春香の分も買いに行こうよ! 千早っ』
――
春香「…………そんな」
千早「泣いている暇があれば、早く回答しなさいよ。人殺し」
春香「人……殺、し…………?」
千早「私は変わったわ。親友に、親友が殺されたあの日から」
春香「…………」
千早「さあ、天海さん。……答えをどうぞ!」
春香「…………」
千早「早く……早く答えてよ! 天海春香!」
春香「――――――D…………窒息死」
95: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:43:21.58 ID:tD9St01u0
千早「…………正解」
<Congratulations!!>
千早「ねえ、あなた最低よ?」
春香「……」グスッ
千早「だってそうでしょう! 自分だけプレゼントがなかったから、殺した?
頭おかしいんじゃないの!?」
春香「……」
千早「ねえ、真を返してよ」
春香「……」
千早「真を、返してよ!」
春香「…………ぅ……」ポロポロ
千早「今回の回答者、天海春香は見事。自らの夢を叶えることが出来ました。
次回、ザ・クイズショウは最終回――特別編として、天海春香が今までの罪を全て懺悔します」
春香「ぁ…………ぇぅ……」
■
律子「……なによこれ、こんなの公開処刑じゃないの!」
春香『…………ぁ……』
小鳥「…………」
律子「千早……なんなのよ」
96: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:44:05.92 ID:tD9St01u0
ギィ…
やよい「……あの」
春香「…………?」
やよい「千早さんには、黙っててくださいね。
これ」スッ
春香「…………これは……?」
やよい「春香さん……が飛び降りた病院の、その時の監視カメラのVTRです」
春香「……え?」
やよい「思い出してください。そして、千早さんを止めてください。
千早さん、死ぬ気なんです」
春香「…………」
やよい「お願いします。真さんのためにも! では……」
ガチャン
春香「…………?」
97: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:46:20.63 ID:tD9St01u0
ガチャン
PLAY>
春香「……!」
春香『――! ――――!!』
千早『――――、――!』
ドンッ
春香『――!』
千早『……――……――――!』
春香「…………? 箱になにか……」
カチャ…
春香「…………アクセサリーと、手紙?」
――――
真『――――はる――――プレゼント――――――』
千早『真――――――』
――
春香「――――!」
――
春香『……真の、カバン…………? ……!』
春香『…………うそ……!』
『春香、黙っててゴメン。
実はもう、春香の分は買ってあったんだ。
でも言うのが照れくさいから、この手紙で我慢してね。
これは、ボクと千早からの――』
――
98: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:46:48.44 ID:tD9St01u0
春香「…………なんだ」
春香「……やっぱり、嘘の記憶だ」
春香「真を殺したのは、私じゃなくて」
ギィ…
千早「……次の放送で、懺悔してもらうから」
春香「…………」
千早「あなたの今までの罪。洗いざらい全てね」
春香「……はい」
千早「じゃあね」
バタン
春香「…………千早ちゃんだ」
99: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/10(日) 17:58:44.07 ID:tD9St01u0
第4話終わりです。回答者はMC-AMAMIこと天海春香でした。
次回は原作ですと「THE LAST SHOW」という副題がつけられた放送のところです。
映画化決まったのに暗いSSですみません。
お読みいただき、ありがとうございました。次話も、よろしくお願いします。
102: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:02:31.68 ID:/ztlaSLE0
ギィ…
千早「時間よ、春香」
春香「…………」
■
律子「皆さん。今までお疲れ様でした。
今日でザ・クイズショウは終わりますが――、
絶対に放送を全うさせましょう!」
■
やよい「うぅ……」
■
小鳥「サブタイトルは『THE LAST SHOW』です」
■
千早「……」カラン
■
春香「…………今日、伝えるんだ。千早ちゃんに、真実を」
103: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:03:18.21 ID:/ztlaSLE0
律子「千早」
千早「律子」
律子「今日で最後ね、クイズショウ」
千早「そうですね」
律子「…………本当に天海春香に懺悔させるの?」
千早「そうですよ」
律子「そう……」
千早「じゃあ、私スタジオで見てきます。……音無さん、任せます」
小鳥「は、はいっ!」
律子「……」
104: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:04:07.69 ID:/ztlaSLE0
スタッフ「本番10秒前。9、8、7、6、5……」
春香「…………」
スタッフ「4、3」
千早「…………」ニヤ
スタッフ「2、1!」
【ON AIR ―放送中―】
春香「…………」
千早「……?」
春香「…………」
105: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:05:10.30 ID:/ztlaSLE0
■
律子「何……? どうして動かないの……?」
■
千早「…………?」
春香「……」ギロリ
千早「っ!」
春香「――――さて、私は今この場所で、夢を見ていました。
人間だけが見ることが出来る夢。神々が我々に与えし、至高の特権。
それが、夢をみることです」
千早「……? いつものセリフじゃ、ない?」
春香「あなたの夢はなんですか? 富、名誉、美しい容姿? それとも、大好物を一生食べ続けたい?
この場所は、そんな夢を叶える場所です」
千早「……」
春香「さて、私は2年前、ある罪を犯しました。今日は特別編と題し、私が今までの罪を懺悔します。
――ですが!」
千早「!?」
106: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:05:49.57 ID:/ztlaSLE0
春香「ここは『夢を叶える』場所。そんな場所に、私の懺悔はふさわしくありません。
本日の回答者をご紹介しましょう。当番組ディレクター、如月千早ー!」
千早「なっ……!?」
春香「さあさあどうぞこちらへ! 如月千早さん」
千早「どういうことなの、春香!?」
春香「言ったでしょう? ここは夢を叶える場所。そして、私が罪を懺悔することはあなたの夢……」
千早「……私がドリームチャンスをクリアしたら、懺悔すると?」
春香「はい、そういうことになります。そして今日は――私が、あの事故の隠された真実を伝えます」
千早「真実!? そんなのあなたが殺した、で終わったじゃない!」
春香「いいえ、如月さん。あなたは忘れている。真が死んだあの日の出来事を。
私は、あなたの全てを知っています」
千早「はぁ!? 戯言はやめ……」
春香「――如月さん。あなたの夢は、なんですか?」
千早「っ……。……天海春香に、罪を懺悔させること」
春香「承知いたしました! それでは、あなたがドリームチャンスをクリアできた暁には。
――罪を懺悔しましょう。もちろん、懺悔するべき罪があったらの話ですが」
107: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:06:59.55 ID:/ztlaSLE0
千早「春香ァ!」
春香「それでは! 如月千早が自らの夢をかけて挑みます。THE QUIZ SHOW!!」
<THE QUIZ SHOW>
AD「CM入りました!」
春香「あの……これ、問題です。お願いします」
AD「分かりました」
春香「……さて」
千早「……随分と勝手な真似をしてくれたわね」
春香「…………そうかもしれませんね」
千早「……何をする気なの?」
春香「全ての真実を伝える、それだけです」
千早「…………」
春香「さあ、お座り下さい?」
千早「……」
108: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:07:43.25 ID:/ztlaSLE0
春香「第1問!
……あなたの弟、優くんは他界していますが、その死因はどれ?」
千早「……っ」
春香「A、事故死。B、病死、C」
千早「A。……事故死」
春香「正解です!」
<GET 100,000>
千早「くだらない」
春香「はい?」
千早「くだらないですよ、こんなの。
……聞いて何になるんですか?」
春香「まあまあ、お付き合い下さいよ! それでは第2問!
……あなたのお父さんの職業は次のうちどれ?」
千早「……」
109: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:08:26.87 ID:/ztlaSLE0
春香「A、国会議員。B、大物代議士。C、映画監督。D……ブーブーエステレビ会長」
千早「D」
春香「正解!」
<GET 500,000>
春香「あーれれー? おっかしいです、ねぇ。……苗字が違うようですけど」
千早「離婚してますから」
春香「そう、ですか。
そのコネを使って今まで生放送で好き勝手やってきた、と」
千早「……何か文句ありますか?」
春香「いいえ! とんでもない。では、第3問!」
春香「この『ザ・クイズショウ』を使ってあなたが企んだことは?」
110: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:09:30.81 ID:/ztlaSLE0
千早「……?」
春香「A、回答者の救済。B、回答者の支援。C、回答者への投資。D、回答者への復讐」
千早「……」
春香「……言ったでしょう? あなたの全てを知っているって」
――
やよい『あの、ザ・クイズショウへの協力は構いませんが……どうしてですか?』
千早『何が?』
やよい『どうして、我那覇響さん、星井美希さん、水瀬伊織さん、萩原雪歩さん、三浦あずささん……
この5人をクイズショウに』
千早『まあ、星井美希は死んでいるし、萩原雪歩は水瀬伊織にくっついているので、実質3人。
…………復讐してやるの』
やよい『復讐……』
千早『どうして真が死んで、彼女らが生きなければならないのか……。
生きるにしても、彼女らは罪を償うべきよ』
――
千早「D」
春香「正解です!」
<GET 1,000,000>
111: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:10:02.31 ID:/ztlaSLE0
春香「第4問!
……菊地真の父親の職業は何?」
千早「レーサー」
春香「……正解です」
<GET 4,000,000>
春香「すごいなぁ、選択肢を言う前から」
千早「そのせいか、真は女らしくなりたいと思うようになった」
春香「その通りです。真はボーイッシュながら、女らしい服装や仕草にも憧れを持っていました」
千早「……何がしたいの?」
春香「第5問!」
千早「……」
春香「あなたが私や真によく薦めていたポップスはどれ?」
春香「A、プロジェクト・フェアリーの『KisS』。B、星井美希の『relations』。
C、我那覇響の『Next Life』。D、四条貴音の『フラワーガール』」
千早「A」
112: >>111 金額は2,000,000です 2013/02/11(月) 20:11:08.18 ID:/ztlaSLE0
――
千早『ねえキースキースキーッス♪』
真『千早、またそれ聞いてるの?』
春香『飽きないねぇ』
千早『この曲、アイドルの歌なのにとっても綺麗だと思わない?』
真『でも、今時カセットだなんて……』
千早『私、音楽プレーヤーは持っていないから』
春香『まあ、いいんじゃないかな。千早ちゃんっぽいし』
――
春香「正解でーす!」
<GET 4,000,000>
千早「懐かしいわね」
春香「そうですねぇ。まさかメンバーの一人がああ○るとは思いもしませんでしたが」
千早「早く、次」
春香「第6問!」
113: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:11:42.03 ID:/ztlaSLE0
春香「天海春香が病院の屋上から飛び降りた時、その場所に居たのは?」
千早「え?」
春香「A、秋月律子。B、如月千早。C、星井美希。D、三浦あずさ」
千早「……B」
春香「正解!」
<GET 8,000,000>
千早「何よこの問題」
春香「何よ、って……。私に関する問題ですが?」
千早「こんなの当たり前じゃない。私があなたを止めに行って、あなたは落ちた」
春香「――果たしてそうでしょうか?」
千早「はぁ?」
春香「私が真を殺して、飛び降りた。これが、全て真実ではないとしたら?」
千早「何を言ってるの? 私はこの目でハッキリと見たのよ。
あなたが真を殺して、飛び降りようとするところを。事実、私はあなたを止めた」
春香「それが作られた偽装の記憶だとしたら?」
千早「笑えない冗談ね」
春香「…………第7問!」
114: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:12:36.91 ID:/ztlaSLE0
春香「菊地真とあなたが私に計画したサプライズは何?」
千早「サプライズ?」
春香「A、旅行先の変更。B、誕生日ケーキの入刀。C、ペンダントの贈呈。D、有名芸能人の挨拶」
千早「……」
春香「覚えてませんか?」
千早「サプライズ……?」
春香「あなたは真と計画していたんです。私に対して」
千早「…………ああ、分かったわ。C」
春香「……せいかーい! あなたはドリームチャンスの挑戦権を獲得しました。挑戦しますね?」
<GET 10,000,000>
千早「ええ。……あれはサプライズだったのかしら」
春香「そういうことになります。あなた達は、二人でつけていたペンダントを私にも贈ろうと考えていた。
ですが結局それは渡せず……バスは事故に遭った」
千早「……」
115: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:13:27.62 ID:/ztlaSLE0
春香「前回の放送で、あなたはこう言いました。
私が真を殺したのは、『ペンダントをもらえなかった嫉妬だ』と」
千早「ええ」
春香「ですがおかしくありませんか?」
千早「何が」
春香「だってあなたの理屈だと、真が私に渡す予定のペンダントなんて最初から『無かったもの』のように思えます」
千早「……?」
春香「あなたが私に渡せば良かったのではありませんか?」
千早「……そんな余裕は」
春香「ありませんでしたね。だからこそあなたの理屈はおかしい」
千早「……」
春香「真はサプライズを企画していながらも、事故に遭い私にペンダントを渡すことは出来なかった。
あなたはそれを知っていながら渡すことはおろかペンダントのことも伝えず、
私がペンダントをもらえなかった恨みで真を殺したことを、恨み続けている……」
千早「…………何が言いたいの?」
春香「だってあなたの理屈だと、あなたが私にペンダントのことを一言でも伝えていれば
真は死ななかったということになるんですよ?」
千早「何、私のせいだって言うの? 私が悪いっていうの!? ふざけないで」
春香「別にそうは言ってませんよ。ただ――あまりにも自分勝手だなぁ、と」
千早「春香ああああああああああ!!」
春香「ドリイイイム、チャアアアアンス!」
<DREAM CHANCE>
116: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:14:35.63 ID:/ztlaSLE0
春香「問題!
………………菊地真を殺害したのは誰?」
千早「そんなのあなたに決まって……」
春香「A、三浦あずさ。B、音無小鳥。C、双海真美。D…………如月千早」
千早「はぁ!?」
春香「おっかしーなぁ……私の名前がありませんよ?」
千早「こんなのデタラメに決まってるでしょう!?」
春香「そして、代わりにあなたの名前がある……」
千早「ねえどこまで真を足蹴にすれば気が済むの!」
春香「如月さん! ……落ち着いてください。そして――思い出してください!」
千早「何を!」
春香「――あなたはさっき、こう言いましたね?
私が真を殺して、飛び降りようとするところをその目でハッキリと見たと」
千早「ええ」
春香「私はどうやって真を殺したんですか?」
千早「決まってるでしょう! 人工呼吸器を――」
春香「……見ていたならなぜそれを止めなかったんですか?」
千早「――――ッ!」
117: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:15:32.70 ID:/ztlaSLE0
――
真『……』
春香『…………真……ごめんね……』ガシッ
ピピピピッ! ピピピピッ!
春香『――――――っ!』
――
春香「私があなたに”人工呼吸器”の話を聞く前に抱いた最初のイメージは、
ナイフで真を刺し殺すものでした」
千早「……」
春香「後にそれがバス事故の時に金属片を抜いた記憶だと分かりましたが、
その後も私は混乱していた。だって私は真の人工呼吸器を、外していないから」
千早「……だからそれは――」
春香「記憶のすり替えというものがあるらしいです。御存知ですか?」
千早「……いいえ」
春香「自分にとって都合の悪い真実を、他人がやったように脳がすり替えてしまうんです」
千早「……それで?」
春香「私は気づきました。もし如月さんの記憶の中で、
私が真を殺し飛び降りたように”書き換え”られていれば……殺害イメージの混乱にも合点がいきます」
千早「……」
春香「こちら、真の入院した病院さんからお借りしたDVDです。
私が飛び降りたあの日、病院の屋上の監視カメラです」
千早「……は!?」
118: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:16:13.61 ID:/ztlaSLE0
春香「見てみましょうよ。ね? 見てみましょう。VTR、スタート!」
■
小鳥「……」 PLAY>
■
春香『千早ちゃん! バカなことはやめて!!』
千早『黙っていて、春香!』
春香『お願いだよ!』
千早『私は、もうすぐ真のところへ行くの……』
春香『危ないからっ』
千早『ばっ、ばか、春香っ!』
ドンッ
春香『――ぁっ!』
千早『……ひっ……きゃあああ!』
タッタッタッ…
千早「………………え?」
春香「この映像を見ても分かる通り、先に屋上にいて――飛び降りようとしていたのは、
如月千早さん、あなたですよね?」
千早「…………うそ」
119: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:16:50.10 ID:/ztlaSLE0
春香「まずあなたは1つ、記憶を書き換えていたことになりますね」
――
千早『春香!』
春香『来ないで! 来たらここから、飛び降りる!』
千早『馬鹿なことはやめて! どうして真の呼吸器を外したの!?』
春香『や、やめて……こっちに、来ないで――! あっ……!』
千早『! は、るかっ!』
ドン
――
千早「……」
春香「私が飛び降り、目覚めた時。既に記憶は飛んでいました。
そして1年という時間が経過していた。そう、私は1年も眠っていたんです」
千早「……」
春香「あなたは私が目覚めた日――私の記憶が無いことにショックを受け、
記憶を書き換えた。菊地真を殺したのは、天海春香ということにしてね」
120: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:17:39.54 ID:/ztlaSLE0
千早「……何を言ってるの、何が書き換えよ!?
あなたが真を殺したのよ。真を殺したのよ!」
春香「それがあなたの作った記憶だとしたら?」
千早「そんなはずないわよ!
私は見たのよ、あなたが真を殺すのを!」
春香「あなたが真を殺し、それを”目撃した記憶”だと思い込んでいるとしたら?」
千早「そんなことあるわけ無いでしょう!?」
春香「如月さん――人は誰でも心に闇を抱えています。
忘れてしまいたい記憶ほど奥底に隠してある。
なぜなら――そうしないと生きられないからです」
千早「……」
春香「……如月さんにも、そういった記憶があるんじゃないですか?」
千早「…………ふざけないで! 謝りなさいよ! あなたが真を殺したの、真を、殺したの!」
春香「千早ちゃんっ!」ドンッ
千早「…………」
春香「……奥義、使いましょう。奥義」
121: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:18:19.30 ID:/ztlaSLE0
千早「……」
春香「おーぎです!」
<奥義>
春香「ルーレット、スタート!」
千早「……っ!」ボン
春香「『召喚』~!」
プシュー
やよい「……」ペコリ
春香「ご紹介しましょう。如月千早さんのお父さんの秘書の娘さん、高槻やよいさんでーす!
今日はヒントを持ってきていただいたということで?」
やよい「はい……これは、私が真さんの病室で見つけたカセットです」
春香「中身は聞かれましたか?」
やよい「……はい」
千早「…………」
春香「……高槻やよいさんでした、ありがとうございました!」
122: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:19:36.00 ID:/ztlaSLE0
春香「…………聞いてみましょうか? 聞いてみましょう!」カチッ
『何十回も 息が出来なくていい♪』
千早「や、やめて…………。…………春香!」
『死んでも♪――――…………は』
春香「…………」
『は…………春香へ。……突然死んでしまってごめんなさい』
千早「春香!」
『でも……、もう耐えられなかったの。…………これ以上、あの真を見るのが』
千早「嫌だ、聞きたくない!」
『私は――』
千早「いやああああ!」
『――真を殺した』
春香「…………」
千早「いやよ……いや……」
『ごめんなさい…………』
春香「…………」
123: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:20:50.38 ID:/ztlaSLE0
『私、これから真の所に行くわ――――』ガチャッ
春香「…………ここで、途切れています」
千早「いや……」
春香「如月さん。このペンダントは、銀色の音符と黒色の音符の両面があります。
あなたの記憶は……黒色側じゃないんですか?」
――
真『……』
春香『…………真……』
――
千早「ぅ……!」
――
千早『ごめんね……』ガシッ
ピピピピッ! ピピピピッ!
千早『――――――っ!』
――
124: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:21:28.94 ID:/ztlaSLE0
千早「……ぁ」
春香「…………」
――
千早『春香!』
春香『コナイデ!』
――
千早「…………っぁ……」
――
千早『私は、もうすぐ真のところへ行くの……』
春香『千早ちゃん!』
――
千早「アアアアアアアアアアッ!」
125: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:22:14.02 ID:/ztlaSLE0
春香「さて……ここに一枚の手紙があります。…………菊地真が私に宛てて書いた」
千早「…………」
春香「この中には、真が私にペンダントを買っていたこと、
それをあなたと『サプライズ』として私に渡す予定だったことが記されています」
千早「……ぅ…………」
春香「如月さん。……あなたは記憶の書き換えで、同時にこのペンダントのことを忘れてしまった」
千早「…………」
春香「…………だからあんな偽の記憶や推理を、真実だと思いこんでいたんです。
”ペンダントの存在”さえあれば仮定もしないようなことをね」
千早「…………私、なの…………?」
春香「……なぜあなたは、殺してしまったんですか?」
千早「…………」
春香「…………真がプレゼントを渡せないまま、植物状態になったから?」
千早「…………」
126: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:23:59.65 ID:/ztlaSLE0
――
真『春香、喜んでくれるかな?』
千早『楽しみね。……ねえ真。どうして春香の分を買わなかったの?』
真『千早、自分で言ってたじゃないか。春香がこういうの好きかわからないって』
千早『そうだけど……』
真『だってさ。春香には、ボクが手渡ししたいから……』
千早『――そう……』
――
千早「…………」
――
千早『…………真、辛いわよね? 春香に、渡せなかったこと』
千早『私に渡す権利はないわ。……ごめんなさい』
――
千早「…………ま、真、が……かわいそう、だった……から…………」
春香「……」
千早「………………頑張って選んだ……おそろいの、ペンダントを、
…………渡せなかったから…………!」
127: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:24:55.48 ID:/ztlaSLE0
春香「……さあ如月さん」
千早「………………」グスッ
春香「答えをどうぞ!」
千早「………………ぃ」
春香「………………」
千早「……………………D、きさら……ぎ……ちはや……!」
春香「………………正解です!」
千早「………………ぇぅ……」
春香「なに勝手に罪悪感を感じてんですか!」バンッ
千早「……………………」
春香「自分のエゴで真を殺して、生き残った乗客に復讐!? なにそれ!」
128: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:25:39.84 ID:/ztlaSLE0
春香「バッカじゃないの!」
千早「……………………真…………真…………!」カラン
春香「死んで何になるんですか!!」バンッ
千早「……死なせて……お願い…………」
春香「……………………あなたに出来るのは、罪を償い、真の分まで笑うことだけです」
千早「…………ぁぅ……ぁ……」
春香「………………」
春香「今日でザ・クイズショウは終わります。
しかし……みなさんが夢を追い続ける限り、このステージは続いていくのです」
千早「………………」
春香「この夢を叶える場所がまた戻ってきた時、自らの夢に挑戦するのは誰なのか。
――――あなたの夢を、叶えます!」
千早「ぁ……アアアアアアアアッ!」
■
律子「……」
小鳥「……」グスッ
■
やよい「…………千早さん……」
129: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:26:58.28 ID:/ztlaSLE0
――――
小鳥「まもなく天海さん入ります!」
律子「みんな、よろしく!」
スタッフ『よろしくお願いしまーす!』
■
千早「……すみません。警察署はどちらに? ……ありがとうございます」
『ちはや!』
千早「っ!? まこ――」
千早「――いない、か」
店員「ジュエリーセールやってまーす」
千早「あっ…………あれって」
『これ、千早に似合うよ!』
千早「…………あの……ペンダン、ト……」
千早「……ありがとう…………真」
130: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:27:38.66 ID:/ztlaSLE0
春香「…………これ、つけよう」
グッ
『はるか!』
春香「…………まこ、と?」
春香「…………なーんて、ね」
スタッフ「天海さん、そろそろ準備お願いします!」
春香「あ、はーい!」
『似合ってるよ!』
春香「…………聞こえる」
春香「………………聞こえるよ、真」
131: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:28:31.25 ID:/ztlaSLE0
■
スタッフ「本番5秒前。4、3……」
小鳥「2、1!」
律子「……さあ、盛大に復活祭と行きましょう!」
【ON AIR ―放送中―】
■
春香「人は誰でも、華やかな夢にあこがれます。
世界中を旅したい者、大きな家に住みたい者。
はたまた、……大金を、手にしたい者。
すべての夢の終着点。それがこの――――」
THE QUIZ SHOW
To be continued
132: ネル ◆K8xLCj98/Y 2013/02/11(月) 20:29:06.13 ID:/ztlaSLE0
完結しました。
SSを書いていて、どうも亜美真美とお姫ちんが不憫だなあと思ったので、
またお邪魔するときにぜひ書きたいと思います。
分かりにくい箇所など、多々あったと思いますが、
おつきあい頂きありがとうございました。
過去作品は美希「深夜食堂、本日も開店。なの」です。
まとめていただいたまとめブログの方々、読んでいただいた方々。
本当にありがとうございました。
133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/11(月) 20:40:29.15 ID:7QNZXJsg0
乙!!
良かったよー!
じかいさくも待ってるからー!
135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/11(月) 23:33:46.67 ID:AMy86+Nvo
元ネタドラマのSS好きだからもっとやって欲しいな
おつ