1 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:26:23.57 :/I4vgzds0
アイドルマスターミリオンライブのSSです。
地の文を含みますので予めご了承ください。
2 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:28:33.12 :/I4vgzds0
目が冴えた。
目が覚めたではなく目が冴えた。
嫌な汗で寝巻きがまとわり着く。
起きるのには調度良い時間だったが、身体を起こす気にならなかった。
それでも目をつぶるとまた同じ夢を見そうで、
少し目に力を入れて天井を睨みつけた。
「琴葉ー、起きてるのー?」
「・・・起きてる」
きっかけを与えられた身体は思いのほかアッサリ言うことを聞くようになった。
3 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:32:03.02 :/I4vgzds0
嫌な夢を見た。
ハッキリとは覚えていないけど、自信を持って言える。
確か場面は劇場だった気がする。
志保ちゃんとプロデューサーがいて、静香ちゃんもいたかな?
大きな声が聞こえて・・・内容は覚えていないけど何か凄く嫌なことを言っていて、
志保ちゃんが劇場を出て行く時に、もう二度と会えないことを悟った。
何故そう思ったのかはわからないけどその時の私は確信を持っていた。
悲しくて悲しくて、私はただただ泣いていた。
劇場を出て行く悲しそうな志保ちゃんの顔だけはハッキリと覚えている。
あぁもう、どうして嫌な場面ばかり覚えているのだろう。
4 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:33:17.73 :/I4vgzds0
「また考え事?早く食べないと学校遅れるわよ」
「・・・ごめん、何でもない」
「そう。それならもっと明るい顔してなさい。アイドルがそんな顔してちゃダメでしょ」
「・・・そうだね」
5 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:34:39.85 :/I4vgzds0
何事も無く学校を終え、劇場に着いた。
いや、正確にはまた友達に何度か心配されたけど。
ドアの前に立つ。
何も起こっていないとは思うけど、少し緊張してドアノブを握った。
6 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:35:58.78 :/I4vgzds0
琴葉「お疲れ様です」
P「おっす」
志保「こんにちは琴葉さん」
琴葉「あ、志保ちゃん。えーっと、元気?」
志保「・・・?元気ですけど」
琴葉「打ち合わせ中ですか?」
P「あぁ、今日は志保が早く帰りたいってことだから騒がしくなる前に終わらせようと思ってな」
志保「プロデューサーさん、余計なこと言わないでください」
琴葉「そうですか、それでは私は向こうにいますので」
P「よしよし、じゃあ早く終わらせて7時からのアニメ見ような」
志保「だからそれは違うって言ってるじゃないですか!」
琴葉「プロデューサー!!」
P「!?」
志保「!?」
7 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:37:09.24 :/I4vgzds0
P「・・・琴葉、どうした?」
琴葉「あ、いえ・・・。その、あまり人の趣味を茶化すのはどうかと・・・」
志保「別に、プロデューサーさんがガキっぽいのはいつものことじゃないですか。あと私の趣味じゃないですから」
P「なんだよ相変わらず辛辣だな」
琴葉「大声出してすみませんでした。打ち合わせを続けてください」
P「・・・?」
志保「ほら、間抜けな顔してないで、早く終わらせるんでしょう」
P「このやろう10分で終わらせてやるからな。」
琴葉(スケジュールの確認でもしよう)
8 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:38:42.51 :/I4vgzds0
P「・・・とまぁ、今週の予定はこんな感じかな」
志保「わかりました。これなら一人で大丈夫なので、プロデューサーさんは他の人についてください」
P「おいおい、俺だって志保の仕事が見たいぞ」
志保「必要ないって言ってるじゃないですか。邪魔なだけです。」
P「むむっ、志保。ものには言い方ってものがあってだな」
琴葉「志保ちゃん!!!」
P「!?」
志保「!?」
9 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:39:46.83 :/I4vgzds0
志保「琴葉さん、どうしたんですか?」
琴葉「あ・・・。えっと、プロデューサーも頑張ってるからあまり悪く言わないであげて」
志保「だってこの人優しくしたら付け上がるじゃないですか」
P「志保はツンデレだからなー。実は俺に来て欲しいだけだからなー。」
志保「ほら、全然気にしてないんですよこの人は」
琴葉「そ、それでも実は内心傷ついてるかもしれないから・・・」
P「ありがとう。琴葉は優しいな」
琴葉「いえ、そんな・・・」
志保「はいはい、それでは優しくない私は失礼しますね」
P「うわああぁぁ!!志保ちゃん優しいよ!お姉ちゃんしてる志保ちゃん最高に可愛いよ!」
志保「気持ち悪いんで口を開けないでください」
10 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:40:49.86 :/I4vgzds0
ガチャ
静香「こんにちは。外まで声が聞こえてましたよ」
琴葉「あ、静香ちゃんお疲れ様。」
P「なぁなぁ静香、志保って優しくて可愛いよな」
静香「大人なら挨拶くらいちゃんとしてください。あとなんですかその質問は」
志保「帰って良いですか」
静香「そうですね・・・。口は悪くて協調性は無いですが、実は私達のことをよく見てくれています。」
志保「真面目に答えないでよ気持ち悪い」
静香「そういうところよ。もう少しお淑やかになったらどうなの」
志保「相変わらずのお節介ね。そろそろ未来のお母さんにでもなるのかしら」
静香「はぁ?未来は関係ないでしょ」
琴葉「ふ、二人とも。喧嘩は・・・」
11 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:42:05.12 :/I4vgzds0
P「これくらいの言い争いはいつも通りだろ。むしろ優しいくらい。」
琴葉「で、でも・・・」
P「琴葉は心配性だなぁ。喧嘩するほど仲が良いの典型例だろあれは」
静香「仲良くありません!!」
志保「別に、仲良くないです」
P「な?」
琴葉「でも、あんまり喧嘩したらダメだよ?みんなが心配しちゃうから」
P「最近は星梨花すら心配しなくなってきたぞ」
静香「なっ!本当ですかプロデューサー!」
P「『はぁ・・・またしずしほかよ、まじだりー』って言ってた」
静香「絶対嘘じゃないですか!」
志保「もう帰ってもいいですか?」
12 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:42:56.45 :/I4vgzds0
P「おう、引き止めちゃって悪いな」
志保「まぁ勝手に騒いでた静香に構った私が悪いんで別に良いです」
静香「あなた本当は私のこと好きでしょ」
志保「はいはい好き好き。それでは失礼します」ガチャ
琴葉「・・・・」
P「・・・?」
琴葉「わ、わたしも失礼します!」バタバタ
P「え!?えぇっ!?どうした!?」
静香「??琴葉さん、どうしたんですか?」
琴葉「すみません!急ぎますので!」ガチャ
P「えぇ・・・。なんか今日の琴葉は変だったな」
13 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:43:41.84 :/I4vgzds0
琴葉「志保ちゃん!!」
志保「きゃっ、琴葉さん!?どうしたんですか!?」
琴葉「わ、私も一緒に帰ろうかなって思って!」
志保「本当にどうしたんですか?何かあったんですか?」
琴葉「あ、あはは・・・なんでもないよ。とりあえず駅まで一緒に行こう?」
志保「いいですけど・・・」
14 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:44:51.78 :/I4vgzds0
琴葉「志保ちゃんは今日はお出かけ?」
志保「いえ、今日は母が早く帰ってくるそうなので」
琴葉「そうなんだ、志保ちゃんって家のお手伝いとかちゃんとしてて偉いよね」
志保「別にこれくらい普通です。それを言うなら琴葉さんだって家事とかやってるイメージありますよ」
琴葉「私はたまにかなぁ。家ではついダラダラしちゃったりして」
志保「そうなんですか、意外ですね」
志保「・・・・それで、何か用ですか?」
琴葉「えっ!?」
志保「朝からずっと何か言いたそうでしたよね。面倒なんで言っちゃってください」
琴葉「いや、私は別に」
志保「・・・」
琴葉「う・・・笑わないでね」
15 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:45:21.96 :/I4vgzds0
琴葉「実は・・・」
16 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:46:08.51 :/I4vgzds0
志保「ふっ、ふふっ、琴葉さん、夢って、ふふふっ!」
琴葉「もう!私だってバカバカしいって分かってるんだからね!」
志保「琴葉さん、ちょっと聞いてください」
琴葉「?」
志保「にゃははは!夢!夢でも心配するとか!!あはは、琴葉気にしすぎ!!ウケる!」
琴葉「!?」
志保「ちょっと、何とか言ってくださいよ。恥ずかしいじゃないですか」
琴葉「それ、恵美の真似?」
志保「恵美さんならこう言うと思いますよ」
琴葉「ふふ、確かに。似てるかも」
17 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:46:51.00 :/I4vgzds0
志保「ちょっと琴葉さんもエレナさんの真似をしてみてくださいよ」
琴葉「エレナの?」
志保「はい、さっきの話をエレナさんにしたとして。どんな反応をするか想像して演技してください。」
琴葉「反応・・・」
琴葉(あっ・・・)
琴葉「ンモー、コトハは心配サンだネっ♪そんなの絶対大丈夫だヨー!」
志保「でしょう?」
琴葉「・・・そうね」
18 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:47:48.35 :/I4vgzds0
志保「というわけで、そんな心配をしてるのは琴葉さんだけです。」
志保「もし誰かが辞めることになっても、それは琴葉さんが心配しているような事情では無いでしょうし」
志保「誰かは寂しがるでしょうが、それで事務所がどうこうなるようなことはないです」
志保「だから私たちは今出来ることに集中して全力を尽くすだけです」
志保「別に、心配されてると聞いて悪い気はしないです。けど、信頼して任せてくれるともっと良いです。」
琴葉「そうだよね。余計なこと言ってごめん。」
志保「それでは、駅まで送ってくれてありがとうございました。」
琴葉「うん、何か悩んでることがあったら言ってね」
志保「全然わかってないじゃないですか!」
琴葉「あはは、そうだったね」
志保「それでは、また劇場で」
琴葉「うん、また劇場で」
19 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:48:54.83 :/I4vgzds0
ガチャ
琴葉「ただいま戻りました」
未来「琴葉さ~ん!!!!」バタバタバタ
未来「琴葉さん!!」ギュッ
琴葉「ひゃっ、どうしたの未来ちゃん」
未来「琴葉さん!琴葉さん!」ギュー
琴葉「えっと、どうしたの?」
静香「未来、琴葉さんが困ってるからまず離しなさい」
静香「あの、琴葉さん。何か悩んでることとか辛いこととかありませんか?」
P「朝から琴葉の様子が変だって話をしたら未来がこの調子でな」
未来「うえーん!琴葉さーん!!」ギュー
琴葉「大丈夫だよ未来ちゃん」ナデナデ
静香「本当ですか!?何でも私たちに話してくださいね?約束ですよ?」
琴葉(私の話を聞いた志保ちゃんも、こんな気持ちだったのかな?)
琴葉「大丈夫、全然心配なことなんて無いよ」
おわり
20 :◆BSEN2a0LWM :2016/02/29(月) 00:50:02.34 :/I4vgzds0
心配性な琴葉さん可愛い
琴葉の心配を一つ一つ取り除いてあげたいだけの人生
オチも山もなくてすみません
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