1:2014/03/06(木) 20:03:59.66 :dIpQZd9no
沙織「んだば、つぐればいいよー。皆良い人だから」
文香「……らない」
沙織「え?」
文香「つくり方……よく、分からなくて」
沙織「友達のつぐり方かぁ……」
2:2014/03/06(木) 20:07:07.80 :dIpQZd9no
ちひろ「え?友達のつくり方?」
沙織「何とかできねーですかね」
ちひろ「えぇ、できますよ。今からでも大丈夫です」
文香「……本当ですか?」
ちひろ「もちろん。まず、友達になりたい人のプロフィールから『友達希望』をクリックして……」
沙織「ち、ちょっと待って、ちひろさん」
ちひろ「はい?」
4:2014/03/06(木) 20:09:30.72 :dIpQZd9no
ちひろ「あぁ、『モバ友』の方じゃないんですね」
文香「すみません……」
沙織「何か方法とか知ってたら、おねげーできませんか」
ちひろ「そうですねぇ……友達をすぐに作る方法、ないこともないですけど」
文香「どんな方法ですか……?」
ちひろ「未使用のモバコインカードを扇状に重ねて、相手の頬を引っぱたくんです」
沙織「え゛っ」
文香「そ、それは……」
6:2014/03/06(木) 20:13:16.11 :dIpQZd9no
ちひろ「冗談ですよ冗談。それで、文香ちゃんの趣味は?」
文香「趣味、ですか……?」
ちひろ「共通の趣味を持つ人を探した方がいいですよ。話の幅も広がりますし」
文香「えっと……本屋巡りとか……」
ちひろ「でしたら、本を趣味にしていそうなアイドルさんを探せば良いのです」
文香「本……」
ちひろ「例えば、あそこで本を読んでる子なんかどうでしょう?」
ありす「………」ペラッ
8:2014/03/06(木) 20:15:33.23 :dIpQZd9no
沙織「ありすちゃんですね。新刊のミステリー小説に最近ハマってるとがって」
ちひろ「早速アタックしてみませんか?」
文香「え?で、でも……」
ちひろ「ガチャもコミュもアイドルデビューも、思い切りが肝心ですよ!」ドン
文香「あぅっ」
ありす「………」
文香「あ、あの……」
ありす「?……あ、新しく入ったアイドルさんですか」
9:2014/03/06(木) 20:18:56.90 :dIpQZd9no
文香「え、えっと……ありす、ちゃn」
ありす「橘でいいです」
文香「……橘さん。その……今、読んでるのは」
ありす「これですか?『真・かまいさんたちの夜』と言って……」
文香「あの、雪山のペンションが舞台の……」
ありす「そうです、雪山の……あれ?もしかして、読んだ事あるんですか?」
文香「はい……カップルが、殺人事件に巻き込まれて……」
沙織「うまぐいってるみてーですね」
ちひろ「こういう事は先に話しかけなければ、何事も始まりませんからね」
10:2014/03/06(木) 20:21:11.11 :dIpQZd9no
文香「カテゴリ的には、クローズドサークル系の小説で……」
文香「ミステリー、ホラー、サスペンス……それぞれ交差しているのが、特徴ですね」
ありす「その通りです。閉鎖空間って、本当にドキドキしますよね」
文香「それで……確か犯人は、ヤスで……」
ありす「」
文香「まず、死○と一緒に」
ありす「わー!わー!わーっ!!」ガタタッ
文香「動機は……」
ありす「だ、だめぇーーーーーーーーっ!!!」
11:2014/03/06(木) 20:23:10.09 :dIpQZd9no
文香「………」ショボーン
ちひろ「ネタバレはいけませんよ、ネタバレは」
沙織「んだんだ」
文香「……もう、読んでしまってると思って……」
ちひろ「確かに勢いは大事ですけど、思い込みで突っ込み過ぎてはいけません」
文香「はい……」
沙織「まぁ、よぐあることだから。次から気をつければ……」
13:2014/03/06(木) 20:28:58.49 :dIpQZd9no
風香「沙織さーん」
沙織「あ、風香ちゃん」
風香「あの、今度書いた小説なんですけど」
沙織「うっ……また出来たの?」
風香「はい!」
沙織「……そ、そうだ!文香ちゃんに見てもらうのはどう?」
風香「え?文香さん?」
沙織「文香ちゃんはね、わだすより小説に詳しいんだよ!ね?」
16:2014/03/06(木) 20:31:17.08 :dIpQZd9no
文香「えっと……」
風香「文香さん、読んで頂けますか?」
文香「……やってみます……」
風香「読み終わったら、感想も一緒にお願いします!」
ちひろ「なかなか良い感じじゃないですか」
沙織「……文香ちゃん、余計な事言わねーといいんだけんど……」
ちひろ「え?」
17:2014/03/06(木) 20:34:42.42 :dIpQZd9no
文香「あの……読み終わりました」
風香「もうですか!?」
文香「えっと……題材は、とても良かったです」
文香「剣と魔法の時代、時を駆けるファンタジー……この世に悪があるならば、それは人の心……」
文香「テーマや設定も斬新で……すごく凝ってるのが、分かります」
風香「そ、そうですか?えへへ……」
文香「ただ……少し、残念な点が」
風香「え?」
18:2014/03/06(木) 20:38:49.39 :dIpQZd9no
文香「三点リーダー……ちょっと多用し過ぎで……」
文香「読点も、かなり多く使ってましたね……」
風香「うっ……」
文香「この書き方だと……読む人がイライラする、かな?」
風香「そ、そうですか?味が出て、良いと思ってたんですけど……」
文香「あと……主人公、ナイトハルト・ミュラーの……幼馴染の女の子だけど」
風香「……何か、問題が?」
文香「主人公より、活躍し過ぎで……結構、ウザいかなって」
風香「」グサッ
19:2014/03/06(木) 20:41:31.12 :dIpQZd9no
文香「博学多才、沈着冷静で……誰からも慕われて、頼られてて……」
文香「その子にしかない能力があって……その子の言う事は全部正しくて……」
風香「だ、だってあの子は、作中のキーパーソンですし……」
文香「それにしたって……出番多すぎでは?」
風香「うぅぅ……」
文香「ピンチを都合良く切り抜けたり……対立した人はすぐ退場したり……」
文香「暇さえあれば主人公と……いちゃラブしたり……」
文香「もう、その……存在そのものがウザい……と言うか」
風香「」グサグサッ
21:2014/03/06(木) 20:45:40.91 :dIpQZd9no
文香「……多分、この子さえいなければ……もっと面白く出来r」
風香「う、うわぁぁぁーん!」ダッ
文香「ど、どうして……?」
沙織「……文香ちゃん、幼馴染の名前は?」
文香「えっと……法術士、フーカ・マリーンドルフ……あっ」
24:2014/03/06(木) 20:50:45.96 :dIpQZd9no
ちひろ「友達を作るにはまず、他人への思いやりが必要です」
ちひろ「思うところがあっても、そのままズバズバ言ってはいけませんよ」
文香「……はい」
沙織「まぁ、よぐあることだから。次から気をつければ……」
比奈「沙織ちゃん、ちょっといいスか?」
沙織「あ、比奈ちゃん」
文香「」ササッ
26:2014/03/06(木) 20:56:37.38 :dIpQZd9no
比奈「こないだ借りた本、返しに来たッスよ。いやー、マジ参考になったッス」
沙織「あぁ、それはよがっ……文香ちゃん?」
文香「………」コソコソ
比奈「……あ、鷺沢文香」
文香「」ビクッ
ちひろ「あれ、もうお知り合いになってたんですか」
比奈「知り合いも何も……」
文香「は、廃刊になった漫画雑誌の話は、もう……」
比奈「廃刊じゃねぇッス!休刊ッス!!」
27:2014/03/06(木) 21:03:38.14 :dIpQZd9no
沙織「な、何の話?」
比奈「この女、前にコミックボンボンを侮辱したッス。コロコロ派だったッス」
文香「……実際、コロコロの方が生き残ってますし……」
比奈「漫画は売上より質が大事なんスよ!それが分かってねぇッス!」
比奈「コロコロなんてミニ四駆やヨーヨー、TCGばかりのオモチャ雑誌だったじゃねぇスか!」
文香「ボンボンだってプラモデルやゲーム、扱ってましたし……」
文香「でも結局、売れませんでしたし……ロックマンXとか、打ち切r」
比奈「岩本先生を馬鹿にするなッス!!」バンッ
28:2014/03/06(木) 21:07:19.43 :dIpQZd9no
沙織「ひ、比奈ちゃん、ちょっとこっちに」
比奈「がるるるる……」
文香「………」ビクビク
ちひろ「だから言ったじゃないですか……好きなものを否定されたら、誰だって怒りますよ」
文香「だってあの人も、前にコロコロを……」
ちひろ「相手が思想的に相容れない人でも、空気を読むのは大事です」
ちひろ「さっきみたいに、余計なトラブルを招きたくないのでしたらね」
文香「は、はい……」
29:2014/03/06(木) 21:10:14.36 :dIpQZd9no
沙織「比奈ちゃんの方は、何とかなりましたけど……」
文香「………」
ちひろ「まだ一人も出来ませんね、友達」
沙織「どうすたらいいですかね」
文香「………」
ちひろ「……まだ思い当たる人が、いるにはいるんですけど」
30:2014/03/06(木) 21:14:42.98 :dIpQZd9no
由里子「ほっほーう……その子がアタシと同好の士になりたい、と」
ちひろ「え、えぇ」
文香「………」
由里子「ま、別にいいですけど。門戸は何時でも開けっ放し、来る者拒まずが基本だじぇー」
沙織「……あの、ちひろさん」
ちひろ「来る者拒まずって言ってますし、これはきっと上手くいきますよ」
沙織「………」
33:2014/03/06(木) 21:19:03.35 :dIpQZd9no
由里子「で、文香っちは、どのジャンルの薄い本に興味あるの?」
文香「薄い本?……週刊誌ですか?」
由里子「いや、そういうんじゃなくて。もっとこう、ヒワイな感じの」
文香「……18禁の雑誌ですか?」
由里子「んあぁー、近い!近いけど、そうでなく……」
文香「?」
由里子「えっと……文香っち、ちょっといい?これ、見てほしいんだけど」ゴソゴソ
35:2014/03/06(木) 21:23:08.64 :dIpQZd9no
由里子「――文香っちの事だけど……アタシには、ちょっと無理かも」
ちひろ「はい?」
沙織「でもさっき、来る者拒まずって……」
由里子「趣味ってさ、人に強制されてやるべきものじゃなくて……」
由里子「自分からのめり込む“道”であるべきだと思うんだよね」
沙織「ゆ、由里子さんが真顔に……!?」
37:2014/03/06(木) 21:27:07.84 :dIpQZd9no
ちひろ「……また何か言ったんですか?」
文香「男の人同士が、抱き合う絵を見せられたんですけど……」
沙織「!?」
文香「その、感想をと言われて……特に何も、変には……」
沙織「え?」
文香「ただのスキンシップ、ですよね?あの絵って……」
ちひろ「え、えーっと……」
由里子「腐ったユリユリに……無垢なこの子は、眩し過ぎるじぇ……!」
39:2014/03/06(木) 21:30:58.58 :dIpQZd9no
ちひろ「……あの、文香ちゃん」
文香「はい」
ちひろ「プロデューサーさんには、相談したんですか?」
文香「………」
沙織「あ、そう言えば……」
ちひろ「こういう事はやっぱり、プロデューサーさんに任せるのが一番だと思うんですよ」
文香「相談は、したんですけど……」
40:2014/03/06(木) 21:33:54.51 :dIpQZd9no
P『友達の作り方を教えて欲しいって?』
P『オーケー文香、そういうことならお安い御用だ。俺に全て任せてくれ』
P『そうだなぁ、露出を上げるのもいいが……サイズ一回り小さ目で、生地が薄めのタートルネックはどうだい?』
P『浮き出す胸元をアピールできるし、そこはかとないエ□さもある。服の上からでも分かるエ□は何よりも重要だぞ』
P『エ□とはイコール全裸じゃあないし、それでは品が無いからな。やはり着衣が……文香?』
P『あれ、どこに……おーい、文香ー?』
沙織「………」
ちひろ「本当にあの人はデリカシーもクソもありませんね……」
41:2014/03/06(木) 21:37:15.15 :dIpQZd9no
千夏「あ、いたいた。ちひろさん、ちょっと」
ちひろ「どうしました?」
千夏「プロデューサーが、モバコインの価格変更の事で話したいことがあるんですって」
ちひろ「はぁ、またですか?……じゃあ千夏さん、代わりに二人のことお願いしますね」
千夏「へ?あ、ちょっと……」
文香「………」
沙織「千夏さん、助けてくだせ~」
千夏「何?どうしたの?」
43:2014/03/06(木) 21:43:59.76 :dIpQZd9no
千夏「友達の作り方?」
文香「………」
沙織「今まで何人か当たってきたんですけど、全部駄目で……」
千夏「そ、そうだったの」
沙織「何とかできねーですかね?」
千夏「……先に私の用事を済ませたいんだけど、あなた達も一緒に来ない?」
沙織「どこへ行ぐんです?」
千夏「ちょっと、夕美の所にね」
44:2014/03/06(木) 21:47:47.55 :dIpQZd9no
千夏「夕美ー、来たわよー?」ガサガサ
文香「寮の裏に、ビニールハウス……?」
沙織「このお花、全部夕美ちゃんが?」
千夏「まぁ、大体はね。実質栽培してるのはあの子だし……」
千夏「ありすちゃんがイチゴ狩りしてたポスターは、ここで撮ったものだそうよ」
沙織「へぇ~」
千夏「ありすちゃんが入ってたチューリップも、ここで栽培したものらしいわ」
沙織「へぇ~」
沙織「……えっ?あれも?」
千夏「冗談よ」
45:2014/03/06(木) 21:50:25.45 :dIpQZd9no
夕美「待ってましたよ、千夏さん!」
千夏「もう出来てる?」
夕美「薄紫のビオラでしたよね♪完成してますよっ」
沙織「お花を貰いに来たんですか?」
千夏「ううん、正確には花じゃないんだけど……」
夕美「本当にビオラで良かったんですか?パンジーもお似合いだと思うんですけど♪」
千夏「……花言葉でからかってることくらい分かるわよ、夕美」
夕美「あ、バレちゃいました?千夏さんは物知りだから困っちゃうなぁ、もう」
48:2014/03/06(木) 21:55:19.28 :dIpQZd9no
夕美「はい、頼まれてた押し花です。大事にしてあげて下さいね」
千夏「いつもながら良く出来てるわね」
夕美「そりゃあ、丹精込めてつくってますからっ」
文香「あ、あの……!」
夕美「?」
文香「その栞……よく、見せてくれませんか……!?」
千夏「別に構わないけど……どうかしたの?」スッ
文香「……こ、これ……あぁっ!!」ガタガタ
沙織「ふ、文香ちゃん?」
49:2014/03/06(木) 22:01:02.65 :dIpQZd9no
飛鳥『フフフ……インフィニティ・ジェノサイダー……』ゴゴゴゴゴ
光『!?』
飛鳥『さぁ、虚無に還ろう……デッド・エンド・シュート』カッ
光『う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
チュドーン
沙織「(――ってレベルの衝撃を受けてる……!?)」
文香「!……!!」プルプル
50:2014/03/06(木) 22:03:42.66 :dIpQZd9no
夕美「千夏さん、この子は?」
千夏「最近入ってきた子でね、栞もらうついでに連れてきたんだけど」
文香「……あの」
夕美「?」
文香「私……こういう、者です」スッ
沙織「名刺……じゃなくて、栞?」
夕美「わぁ、可愛いですね!あなたも押し花、作って……」
夕美「っ!!」ビクン
51:2014/03/06(木) 22:06:07.97 :dIpQZd9no
菜々『う、嘘でしょ?……既にこれ程のピュア・エネルギーを、あの子は……!?』
こずえ『ふわぁー……こずえ、もうあきちゃったから……』ゴゴゴゴゴ
こずえ『これで、さいごにしてあげるねー……?』ゴゴゴゴゴゴ
心『!あ、あの構えは……逃げて、ナナーッ!!』
こずえ『……ばぁーん』ビッ
ガオンッ
沙織「(――という規模の衝撃を、夕美ちゃんも……!?)」
夕美「!……!!」ガタガタ
53:2014/03/06(木) 22:10:21.78 :dIpQZd9no
文香「………」
夕美「……な、名前は?」
文香「……鷺沢、文香……」
夕美「鷺沢さん……ううん、文香ちゃんっ!」
夕美「私……私、こんなに綺麗な栞、初めて見たっ!」ギュッ
文香「そんな……私のなんて、夕美さん程の物じゃ……」
沙織「な、何だかすんごい進展してねーですか、あの二人」
千夏「そうね。夕美が口を閉じたのなんて初めて見たわ……」
54:2014/03/06(木) 22:14:16.86 :dIpQZd9no
千夏「じゃあ夕美、私はこれで失礼するわね」
夕美「あ、はーい」
文香「沙織さん、私……夕美さんともう少し、話がしたいから」
沙織「あ、うん……じゃあ、また後でね」
夕美「文香ちゃーん♪見せたいものがあるの、ちょっと来てくれる?」
文香「はい……!」ワクワク
千夏「どうやら出来たみたいね、友達」
沙織「あんな簡単につぐれるもんなんですね……」
56:2014/03/06(木) 22:18:07.70 :dIpQZd9no
千夏「……友達ってね、肩肘張って作ろうとするものじゃないと思うの」
千夏「小さなきっかけか何かあれば、ああやって自然に作れちゃうものなのよ」
沙織「……わだすがこげな事しなぐても、文香ちゃんは大丈夫だったんですね」
千夏「それは違うわ。夕美と文香ちゃんが出会えたのは、あなたが協力してくれたおかげでしょう?」
沙織「そ、そうですか?」
千夏「ええ。彼女だって、きっと感謝してるはずよ」
沙織「……文香ちゃんの力になれたなら……わだすも、嬉しいです」
57:2014/03/06(木) 22:20:29.13 :dIpQZd9no
千夏「ところで、さっきからずっと気になってたのだけれど……」
沙織「?」
千夏「あなた、文香ちゃんの友達じゃないの?」
沙織「え?……あっ」
おわり
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