1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/25(金) 20:45:16.46 ID:4Ncu2JWK0
大きい
珠美「……」
幸子「……?」
珠美「……」
幸子「……なんですか? ボクの方をジッと見て。ボクはかわいいので、女の子でも見惚れてしまうのは無理ありませんが」
珠美「……ふっ、勝ちました」
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 20:46:21.90 ID:4Ncu2JWK0
幸子「イラっとする笑い方ですね。いきなりどうしました? どちらかと言えば、ボクがそういう風に笑う方ですよね?」
珠美「? 幸子さんの笑顔でイラっとした事はありませんよ」
幸子「気にしないで下さい。で、何に勝ったんですか?」
珠美「身長です! 珠美は幸子さんより大きい! だから、充分高校生に見えるはず!」
幸子「ボク、中学生なんですけど……」
珠美「中学生より大きい。つまり、高校生に見えなくてはおかしいという事です!」
幸子「たった三センチじゃないですか」
珠美「たった、ではありません! 三センチも! です!」
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 20:47:07.24 ID:4Ncu2JWK0
幸子「……そのくらいの差と言えば」
珠美「あ、あの、なんで視線を下げたのですか? 具体的には、珠美の胸の方に……」
幸子「公表しているサイズでは、ボクの方が二センチ――」
珠美「それ以上は言わせません!」
幸子「口にしてもしなくても、現実は変わりませんよ。身長差も、ボクが今の珠美さんの年齢になる二年間で、どう変わるんでしょうね?」
珠美「うわぁぁん!」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 20:49:23.29 ID:4Ncu2JWK0
読書
幸子「……」
珠美「なにを読まれているのですか?」
幸子「江戸時代を舞台にした小説です」
珠美「おおっ、時代小説ですか! 幸子さんもお読みになられるんですね!」
幸子「読書が大好き、と言うほどではありませんので、嗜む程度に読んでるだけですよ。ジャンルにこだわりもありませんし」
珠美「細かい事を気にしてはいけません。それより、どんな内容なのですか?」
幸子「妖怪――」
珠美「よ、妖怪!? た、珠美、そういった類のものは少々……その……」
幸子「に、大事にされてる病弱な主人公が頑張るお話です」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 20:51:09.17 ID:4Ncu2JWK0
珠美「……妖怪に大事にされてる?」
幸子「えぇ、皆、愛らしい妖怪たちばかりです。まぁ、ボクの方がかわいいですけど」
珠美「妖怪に襲われたりとかは?」
幸子「作中で人が亡くなる事はありますが、妖怪が人を襲う事はほとんどありませんね」
珠美「面白そうです! タイトルを教えて頂いてもよろしいですか?」
幸子「テーブルの上に一作目がありますから、お好きに。シリーズ物ですので」
珠美「有難く拝借します」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 20:52:48.09 ID:4Ncu2JWK0
幸子「それはそれとして……」
珠美「?」
幸子「妖怪――というより、お化けが苦手なんですか?」
珠美「なななっ! そ、そんなわけないじゃないですか!」
幸子「では、今度ボクが帰省する時について来て下さい」
珠美「喜んで! 確か、山梨でしたよね? でも、どうしてですか?」
幸子「実家の傍には有名な遊園地がありまして、そこのお化け屋敷に……」
珠美「ごめんなさい。許して下さい」
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 20:54:25.02 ID:4Ncu2JWK0
勉強
幸子「……」
珠美「事務所でお勉強ですか?」
幸子「授業で使ったノートの清書です。読み易くなりますし、復習にもなりますから」
珠美「幸子さんはすごいですね。珠美は座学と言うものがどうも苦手で。歴史だけは別ですが」
幸子「……算数、教えましょうか?」
珠美「高校生! 珠美は高校生! 算数ではなく、数学です!」
幸子「つい本音が……」
珠美「つい!? 本音!? ……ま、まぁ、今回は聞かなかった事にしましょう。珠美は幸子さんより大人ですから!」
幸子「おと、な……?」
珠美「そこ! 首を傾げないで下さい!」
幸子「すみません、ボクはかわいい正直者ですので」
珠美「……そろそろ泣いちゃいますよ?」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 20:56:27.54 ID:4Ncu2JWK0
幸子「そんな事より、珠美さんも暇でしたら、学校の宿題でもどうですか? 時間は有効に使うべきですよ。ボクみたいに」
珠美「そうですね。では珠美もご一緒して……」
幸子「どうしました?」
珠美「勉強道具、全部寮に……」
幸子「残念でしたね」
珠美「今から急いで取って来ます! 少々お待ちを!」
幸子「お待ちをって、ボクはあと少しでレッスンに……行っちゃいましたか」
P「幸子、そろそろレッスンの時間だぞ」
幸子「片付けるので、少し待って下さい。……これでよし。かわいいボクを更に磨きに行きましょうか、プロデューサーさん」
少しして
珠美「……あれ? 幸子さんは……?」
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 20:57:49.55 ID:4Ncu2JWK0
剣道
幸子「なんでボクが剣道を……」
珠美「先日、珠美を置いてレッスンに行った罰です!」
幸子「すぐに珠美さんも来て、一緒にレッスンをしましたよね?」
珠美「プロデューサー殿が教えてくれなかったら、珠美は一人寂しくノートと向き合う事になっていたのですよ?」
幸子「別にそれでも構いませんが。ボクには関係ありませんし」
珠美「珠美が寂しいじゃないですか! そういうわけで、今日は珠美に付き合って頂きます!」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 20:59:16.89 ID:4Ncu2JWK0
幸子「剣道の経験はありませんが」
珠美「授業でやりませんでした?」
幸子「授業でもした事はありません」
珠美「では、珠美が一から教えてあげます! まずは防具の付け方からです」
幸子「汗臭いですね、これ」
珠美「それが良いんじゃありませんか! 青春! って感じがして」
幸子「ぜひとも遠縁であって欲しい青春です」
珠美「防具に触れたので、もう兄弟みたいなものですよ」
幸子「随分手軽な血縁の契りですね。今すぐ断ちたいのですが」
珠美「まぁまぁ、実際にやってみれば、きっと夢中になりますよ」
幸子「こうして剣道の道着も着ている事ですし、一通り学んでみますよ」
珠美「そうこなくちゃ! では、最初に胴のつけ方から――」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:00:39.79 ID:4Ncu2JWK0
十分後
珠美「これで完璧です! 手際がよかったので、すぐに出来ましたね」
幸子「想像以上に視界が悪いですね。あと、頭が重いです」
珠美「普段、面を被る事なんてありませんからね。すぐに慣れますよ」
幸子「動き難いですし、剣道をやっている人は、どうしてあんなに機敏に動けるんですか?」
珠美「そういう風に体が出来あがっているから……ん? 剣道を見た事があるような言い方ですね」
幸子「昨日、剣道をすると聞いたあと、ネットで試合の動画を少し見ましたから」
珠美「予習をしてたから、手際がよかったのですか。幸子さんは本当に勉強熱心ですね」
幸子「ボクはかわいい上に真面目ですから」
珠美「珠美も見習いたいと思います」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:02:51.52 ID:4Ncu2JWK0
幸子「それで、これからどうするんですか?」
珠美「素振りをしてみましょう。竹刀の持ち方ですが、右手は鍔元、左手は柄頭を握ります。こんな感じですね」
幸子「ボク、左利きなんですけど?」
珠美「野球とは違い、利き手に関係なく持ち方は一緒なのです」
幸子「えっと……こう、ですか?」
珠美「はい。で、握る力は、左手を強めに、右手は添えるような感じで」
幸子「両手でしっかり握るわけではないんですね」
珠美「イメージ的には、左手一本で振るようにするんです」
幸子「すっぽ抜けそうですが」
珠美「いきなり全力で振るとそうなるかもしれませんが、最初は程々の力でやって、体を馴染ませましょう」
幸子「そうしてみます」
珠美「では、素振りを始めますか」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:05:37.13 ID:4Ncu2JWK0
三十分後
珠美「振り方や足の運び方は完璧です!」
幸子「ボクは元々かわいい上に完璧ですけどね」
珠美「成長が速いので、ちょっと羨ましいです」
幸子「珠美さんの教え方が上手だからですよ」
珠美「そ、そうですか? 照れますね」
幸子「難しい所のコツとか、的確でわかり易かったので、すぐに覚えられました」
珠美「えへへ、ありがとうございます! 自分で苦労してた甲斐もあったというものです」
幸子「お礼を言うのはボクの方だと思いますが、まぁ、いくらでも言って下さい。遠慮せず、一から十まで受け取ります」
珠美「次は面打ちに移りましょう」
幸子「スルーですか、そうですか」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:06:38.48 ID:4Ncu2JWK0
暫く後
珠美「一通り覚えたと思いますので、最後に珠美と試合をしてみましょう」
幸子「ジャッジはどうするんですか?」
珠美「心配には及びません。すでに呼んでいます」
P「呼ばれた」
幸子「いつの間に……」
P「たった今来たところだ。にしても、本当に幸子が剣道をやってるとは」
幸子「なんですか? ニヤニヤした表情でボクを見つめて」
P「いや、かわいい顔が見えなくなる剣道は嫌がると思ってたんだけどな」
幸子「顔が見えなくても、ボクのかわいさは隠す事が出来ませんから。このレベルまで来ると、罪ですよね、ボクって」
P「はいはい」
幸子「もっと温かい対応を要求します!」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:09:43.20 ID:4Ncu2JWK0
P「珠美、剣道するんなら、最初から誘ってくれよ。俺も参加したかったのに」
珠美「プロデューサー殿も剣道の経験者だったのですか?」
P「俺は授業で少し齧った程度だけど、面白そうだからな」
珠美「今度はお誘いします」
P「頼むな。で、試合をするんだろ? 俺一人で悪いけど、審判は任せろ」
珠美「よろしくお願いします。幸子さん、始めましょうか」
幸子「試合中、ボクのかわいさに中てられて惚けないで下さいよ?」
P(どうやって、剣道の試合を見ながらかわいさで惚けるんだろう? ちっさい二人が竹刀でチャンバラする微笑ましさか?)
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:11:01.81 ID:4Ncu2JWK0
数分後
P「一本、それまで」
珠美「やった! 勝ちましたよ、プロデューサー殿」
P「素直に褒めてやればいいのか、ど素人の幸子に大人げなく完勝した事を叱ればいいのか、俺にはわからん」
幸子「て、手加減してあげたんですよ! 感謝して下さい!」
P「その言い訳は流石に無理があるだろ。なんで下手な方が手加減するんだよ。意味わからん」
幸子「ボクってかわいいですし」
P「かわいさは関係ないよな?」
珠美「なんと! 珠美は手加減されていたのですか……」
P「落ち込むな。幸子のはただの強がりだ」
珠美「強がりだったのですか?」
幸子「本人にそんな事聞いてどうするんですか。そうです、なんて言うほど馬鹿じゃありませんよ、ボクは」
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:13:51.95 ID:4Ncu2JWK0
P「なにはともあれ、お疲れさん。ジュース飲むだろ? ここに来る前に買っておいた」
珠美「ありがとうございます!」
幸子「気が利きますね。まっ、かわいいボクの担当をしている人なんですから、この程度の事は当然ですが」
P「珠美、二本とも飲んで良いぞ」
幸子「ちょっ!」
珠美「それは幸子さんに悪いので、珠美は一本だけで構いません」
幸子「た、珠美さんもこうおっしゃっているので、やっぱり残りの一本はボクが……」
P「審判して喉乾いたし、俺が飲もうかなぁ」
幸子「……」
P「冗談だって。そんな顔すんな。俺が悪かったよ。ほら」
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:14:37.47 ID:4Ncu2JWK0
幸子「ま、まぁ、どうしてもというのなら受け取りますが」
P「どうしても幸子に飲んで欲しいんだよ。そのために買って来たんだからな」
幸子「仕方ありませんね。なら、頂きましょう」
P「飲む前に面を外すのを忘れるなよ」
幸子「そんな面白味のないボケ、芸人でもしま――」
珠美「わわっ! 面の中にジュースが! うわっ、道着の中まで入って来た! お腹が冷たい!」
P「……」
幸子「……」
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:15:46.91 ID:4Ncu2JWK0
ライブ
珠美「一緒にライブをするのは初めてですね。ファンの人たちに喜んで貰えるよう、頑張りましょう!」
幸子「ボクがいるだけでファンの人たちは恍惚となるでしょうが、珠美さんがいれば心強いですね」
珠美「そう言って貰えて、恐縮です」
幸子「リハーサルも上手く行きましたし、あとは本番を待つだけですね」
珠美「このライブが終わったら、何をします?」
幸子「また突然ですね。急にどうしました?」
珠美「ふと、そう思いまして」
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:18:08.53 ID:4Ncu2JWK0
幸子「ライブのあとですか……。そうですね。打ち上げをして、帰ったら横になります。明日は普通に学校ですし」
珠美「そうではなくて、今回のライブのあとは、少しの間お仕事がお休みになるじゃないですか。だから、なにをして遊びましょうか?」
幸子「……それはあれですか? ボクと遊ぶ、という事ですか?」
珠美「はい。あれ? 珠美の言い方、おかしかったですかね?」
幸子「言い方はおかしくなかったと思いますが……ボクと?」
珠美「そうですよ。一緒にレッスンをして、本を読んで、剣道をした仲ではありませんか。そうだ、また剣道をしましょう!」
幸子「剣道はもう少し先にします。少し自分だけで練習してみたいので」
珠美「自分で聞いておいてなんですが、本当にまた一緒にやってくれるのですか?」
幸子「負けたままなのは、ボクの主義に反しますので」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:19:14.37 ID:4Ncu2JWK0
珠美「やった! 約束ですよ! 絶対です!」
幸子「かわいいボクと一緒に剣道が出来て嬉しいのはわかりますが、喜び過ぎでは?」
珠美「そ、そうですか? あっ、でも、剣道を先延ばしにするのなら、お休みはなにをして遊びます?」
幸子「……洋服でも見に行きますか?」
珠美「申し訳ありませんが、珠美、流行には少々疎くて……」
幸子「服なんて、自分の好きな物を買えばいいんですよ。ボクはどの服も似合うので、毎回困ってしまいますが」
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:19:58.91 ID:4Ncu2JWK0
珠美「好きな物と似合う物は、意味が違ってくるのではありませんか?」
幸子「好きな物が全部似合うので、全て買いたくなってしまう、と言う悩みですよ」
珠美「なるほど! ちなみに、珠美はどのような服が似合うでしょうか?」
幸子「珠美さんが自分で似合うと思えば、それで良いのでは?」
珠美「そうかもしれませんが、幸子さんの意見も聞きたいので」
幸子「そうですか。なら、買い物の時に思った事を言いますよ」
珠美「よろしくお願いします!」
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:21:01.46 ID:4Ncu2JWK0
P「おーい、そろそろ出番だ。準備は良いな」
珠美「ばっちりです!」
幸子「当然じゃないですか。ボクは、常に準備を怠ったりはしません」
P「そりゃなによりだ」
幸子「……珠美さん、話の続きですが」
珠美「?」
幸子「このライブを成功させるのが前提です。万が一、いえ、無量大数が一、失敗したら、ボクでも落ち込むかもしれません」
珠美「無論です! 幸子さんが落ち込まないように、奮闘する次第です!」
P「なんの話だ?」
幸子「内緒のお話ですよ」
珠美「珠美と幸子さんだけの秘密です!」
P(二人が前より仲良くなったのは良いけど、なんだろ、この疎外感……)
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/25(金) 21:21:35.85 ID:4Ncu2JWK0
短いけど終わり
読んでくれてありがとう
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/25(金) 21:26:16.73 ID:SSeZMnhTo
乙
幸子カワイイ珠ちゃんかわいい
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/25(金) 21:26:53.09 ID:EU7gCYvwo
乙ですっ☆
可愛い2人で良かったよ~。
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/25(金) 21:35:10.22 ID:O6yLQYzAO
たまちゃんは前に出たSRが可愛すぎてヤバい
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/25(金) 21:35:54.02 ID:mUZ8iJl+o
乙
幸子が読んでた本は「しゃばけ」シリーズかな?