2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 17:53:56.97 ID:AH4zDy360
ある日の事務所
TV<「きゃぁぁぁぁ!」ドタドタ
TV<「ウガ―!」ヴォオオオォオン!
小梅「♪」
紗南(ちょっと―!この女の人二階に逃げてどうすんのー?)
紗南(逃げ場なくなるよー?)
紗南(武器アイテム探すならキッチンでしょー!?)
TV<「きゃぁぁぁぁ!」ガチャガチャ
TV<「ウガ―!」ヴォオオオォオン!
小梅「♪」
紗南(あ、あああ、あ、チェンソー相手にそんな…)
紗南(部屋の内カギかけるだけ…?)
紗南(隣にバリケードになりそうなクローゼットあるのに…)
紗南(あ、でも寝室になら護身用ショットガンとかあるかな?)
TV<「ひぃぃっ、ひぃぃっ」ゴソゴソ
TV<「ウガ―!」ヴォーーーーガリガリガリ
ドタドタ!
小梅「♪」
紗南(ないかー)
紗南(もうベッドの下に隠れるしかないよね)
紗南(…うー、ほら、もたもたしてないで隠れないと)
紗南(入ってるとこ見られてたら全然意味ないよー)
TV<ガシャーーーン!
TV<「フーッ、フーッ」ヴォンヴォン、ヴヴヴヴ
TV<「ウウウ…」キョロキョロ
小梅「…」
紗南「…」
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 17:55:35.38 ID:AH4zDy360
TV<「ググググッ!」ヴォン!!ヴヴヴヴ…
TV<「…」ガタガタブルブル
小梅「♪」
紗南(…ほらほら、ベッド下にいるの相手にばれてんじゃん)
紗南(チェンソー男、ベッドに乗って上からもろとも突き刺すつもりだよ)
紗南(ほら、何ぼさっとしてるのこの人)
紗南(あたしならタイミングよくベッドから出るコマンド入れて)
紗南(一階まで一気に走ってワンチャンス作るのに)
TV<「ウガ―!」ヴィーーーーガリガリガリ
TV<「ぎゃあああぁぁぁ…」ブシャーーーッ
小梅「わぁー♪」
紗南「あーあ…ゲームオーバーじゃん…」がっくり
紗南「しっかりしなよ…もー」
紗南「…あれ?そういえば周りのみんなは…?」
小梅「み、みんな…途中で…」
小梅「帰っちゃっ…た…」
小梅「ま、まゆさんだけ…まだ隣」
小梅「寝ちゃって、る…」
まゆ「」
紗南(DYING状態…)
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 17:58:50.75 ID:AH4zDy360
小梅「お、面白かった…ね…」
紗南「…」
紗南「…んー、まぁ、ねー」
紗南「ホラー映画ってこんなもんなのかなぁ…」
小梅「ね、ねぇ…」
小梅「もっと…もっと観よ?…観よ…?」
小梅「も、もっと…怖いのい、いっぱいあるよ…?」
紗南「えっ…?あー、その」
小梅「こ、こんな、に…」
小梅「一緒に…何作品も…見ていられ…るの…」
小梅「は、はじめて…だから…」
紗南「あー、えと、えーっと…」
紗南「ま、またこんどね!ちょっと今日は…その…」
紗南「ウチ帰って積んでるゲームとかやらなきゃいけないから!」
小梅「…え、で、でも…昨日終わっ、た…って」
紗南「ちょ、ちょーっとやり残したコト思い出しちゃって!」
紗南「ごめんね、小梅ちゃん、また今度!」
紗南「続きは、まゆさんにネクロマでもかけて、観てもらいなよ」
ガチャ バタン
小梅「あ…」
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:01:32.78 ID:AH4zDy360
ドンッ
紗南「わっと」
モバP「うおっ、あ、危ないぞ紗南」
紗南「ご、ごめん」
紗南「Pさん、今日の営業おわったんだ?」
モバP「ああ…」
モバP「…お前こそずっと事務所でゲームか?もう時間遅いぞ」
紗南「ううん、小梅ちゃんがホラー映画いっぱい流しててさ」
紗南「それにつきあってたんだ」
モバP「え、お前そういうの大丈夫だったの?」
紗南「…へいき。結構やってるもん、ホラーゲームとか」
紗南「それで覆面とかチェンソーとか、今やってるゲームに出てたから」
紗南「元ネタの映画かなって、興味わいて…」
紗南「…でも」
紗南「…」
モバP「…紗南?」
モバP「おい、紗南?大丈夫か?やっぱ怖かったか?」
紗南「ち、違う違う、大丈夫だから」
紗南「もう帰るね、あたし」
タッタッタッ
モバP「…?」
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:05:44.56 ID:AH4zDy360
ガチャ
小梅「…」しゅん…
モバP「小梅?どうした?」
小梅「…あ、Pさん、お、おかえりなさい…」
小梅「あ、あのね…さ、紗南ちゃん…すごかったの…」
小梅「一緒に、な、何本も…みれた…」
小梅「涼さんで…でも、無理だった…ものも」
小梅「紗南ちゃんと、たの、楽しく、観れた…」キラキラ
モバP「さっき通りかかった時に聞いたよ。すごいな」
モバP「確かにホラー平気でも不思議じゃないけど」
モバP「ゴア表現も平気だったとは、正直意外だ」
モバP「でもああいうのって対象年齢なかったっけ…?」
モバP「さて、小梅、もう遅い時間だ」
モバP「もうカーテンなんか閉めなくてももう真っ暗だぞ」
ぽすっ
小梅「…」
モバP「…」
モバP「俺の膝に乗ったってことは?」
小梅「…も、もう一本…だけ…」
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:09:15.98 ID:AH4zDy360
モバP「…さっきの話聞いてたか?」
小梅「お、おねがい…」
モバP「だーめだ」
モバP「隣で気絶してるまゆが今の俺たちを見て」
―まゆ『絶対入ってますよねぇ?』ゴゴゴゴ…
モバP「なんて言われたらどうすんだ?」
小梅「え…ど、どういう、い、意味…?」
モバP「…」
モバP「…とにかくもう帰る時間なんだよ」
小梅「で、でも…でも…」
モバP「こーうーめー」
ガチャ
そろーり…
みく「も、も、も、もう終わったかにゃ…?」ビクビク
みく「こわ、こわいの見てないかにゃ…?」ガクガク
みく「は、入っても大丈夫かにゃ…?」ブルブル
モバP「…」
小梅「…」
モバP「やっぱり最後に一本だけ見よっか」
モバP「ほらみく来い。」グイ―
みく「いーやぁーにゃぁぁぁぁぁ…」ズルズル
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:13:26.72 ID:AH4zDy360
紗南「…」ごそごそ
紗南(RSIシステム搭載の…あれっ?ない?)
紗南(…移植版でいっか)
紗南(…)
TV<タッタッタッ
TV<「…」シャキンシャキンシャキン
紗南(ほらね)
紗南(あたしと同い年の女の子だって)
紗南(ハサミ男を簡単にやり過ごしてるんだ)
紗南(あの女の人だって、もっとがんばれば)
紗南(絶対クッドエンディングになれたはずなのに)
TV<ゴーン、ゴーン
TV<「グオォオ…」
紗南(…画面の中の主人公が)
紗南(思うように動いてくれないで死んじゃうホラー映画って)
紗南(なんかつまんない…)
紗南(こう思うのって変なのかなぁ…あたし…)
10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:17:41.04 ID:AH4zDy360
明くる日の事務所
小梅「!さ、紗南ちゃん!お、おはよう…」
紗南「…小梅ちゃん、おはよー」
小梅「ね、ね、今日も…い、いっしょに…」
小梅「すごいの…も、もって、きた…の」
紗南「…あー、ごめん」
紗南「ちょっと今日は、パス」
小梅「あ…」
小梅「…そう…」しゅん…
紗南「つ、次の日は沢山観てあげるからさ!」
紗南「今日だけはごめんね?お仕事行ってくるっ」
タタタタッ
小梅「…」
ちひろ「小梅ちゃん?どうしたの?」
小梅「…ううん…な、なんでも、ない」
ちひろ「…また今度誘ってみましょう?」
小梅「うん…」
12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:23:10.19 ID:AH4zDy360
小梅「…どうしたら、いいのかな…」
小梅「ど、どうおもう…?」
…
小梅「い、嫌がられては、ないの…?」
小梅「そうかな…でも」
小梅「こ、困らせちゃった…と…思うの…」
…
小梅「どうしよう…かな…」
…
小梅「…えっ?」
…
小梅「…紗南ちゃんは…わたしの趣味に」
小梅「き、興味を…持ってくれ…た…から」
小梅「わた、しも…ゲームに、興味を…持つ、べ…き…?」
…
小梅「…うん…ありがとう」
…
13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:26:52.65 ID:AH4zDy360
紗南「ゲームをやりたい!?」
小梅「う、うん」
紗南(あ、あの小梅ちゃんがそんなことを言うなんて…!?)
小梅「…ダメ…かな…?」
紗南「そんなことない!」ブンブン
紗南「全然ダメじゃないよ!すごく嬉しい!!」
小梅「え、えへへ…」
紗南「ゲーム人口が増えることは、とってもいいことだよっ」
紗南「初心者には何がいいかな…やっぱマリオ?ドラクエ?」ワクワク
小梅「あ、あの…」
紗南「ん?」
小梅「紗南ちゃんが…前いって…た…覆面と」
小梅「チェーンソー…の…でてくる…やつ…」
紗南「…」
紗南「小梅ちゃん…らしい選択だけど…」
紗南「あれ難易度高いよ?」
小梅「で…でも…」
小梅「た、楽しい…ん、だ、だよね?」
紗南「…うーん、まぁ神ゲ―ではあるけど…」
紗南「そこまで言うなら…うん」
紗南「仕事終わったらゲーム機持ってくるよ。女子寮でいい?」
14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:31:42.49 ID:AH4zDy360
小梅「…」
カチャカチャ
紗南「えーっと、コンセントは…」
杏「何してんの?」
杏「あ、ゲームキューブじゃん、なつかしー」
小梅「い、いまから…ゲーム…するの」
杏「わざわざ寮のラウンジでやらなくても…」
紗南「小梅ちゃんたっての希望でね」
紗南「やっぱり皆集めてわいわいやりたいんだって」
杏「…わいわい?」
杏「わいわいやりたいにしては」
杏「このソフトのチョイスはどうなの…」
杏「ゲーム画面だと油断させておいて」
杏「見に来た人たちを残らず仕留める作戦にしかみえないな」
紗南「…まぁ、小梅ちゃんだし」
杏「…ほどほどにね」
杏「小学生組が寝静まった時間を選んでるところに」
杏「今にも死滅しそうだけど最低限のやさしさは感じられるから」
杏「私からはもう何も言わないよ」
杏「そうだなぁ、私も…久しぶりに部屋でなんかやろっかな」
15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:36:22.48 ID:AH4zDy360
紗南「難易度はイージーで」
小梅「…うん」
…
紗南「もう動けるよ?」
小梅「…」カチャカチャ
紗南「肩越し視点だから酔うかもだけど」
紗南「初めの方から操作に慣れた方が…」
紗南「狙いをつけるときは…こう…」
みく「なにしてるにゃ?」
蘭子「定められし死霊の宴とは趣の異なる様相だな(いつもの映画鑑賞じゃないみたいですね?)」
小梅「ゲーム…してるの…」
みく「小梅チャンがそういうことしてるの新鮮だにゃあ」
蘭子「電子時空に身を任せる事もまた一興か(何事もチャレンジだと思います!)」
TV<「Freeze!…I said freeze!」
TV<「…」ザッザッ
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:39:09.62 ID:AH4zDy360
みく「!?」
みく「…あ、あれ?これ、ゲーム、だよね?ヨッシー…とかの…!?」
みく「なんだか絵的な雰囲気が、小梅チャンの見てる映画と同じような…」
蘭子「き、既視感を誘発する幻術であろう(き、きっと気のせいですよ)」
TV<ドンッ!ドンッ!ズシャッ!!
TV<パリーン!
みく「…む、村人が襲ってきてるにゃあ…!」アワワ…
蘭子「…傀儡の糸が視える…?(なんだか操られてるみたいですね…?)」アワワ…
紗南「おーうまいうまい!その調子だよっ!」
紗南「難しいけど、頭を狙ってみて?」
紗南「ひるんだら近づいて蹴れるし、うまくクリティカルが出たら…」
TV<バシュウッ!(首欠損)
みく「」
蘭子「」
小梅「わぁ♪」
17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:43:19.84 ID:AH4zDy360
TV<ドン!ドンドン!
TV<ヴオォォォオン!
小梅「あわわ…う、撃っても…ひるんでくれない…」
紗南「チェンソー強いからねー」
紗南「こいつ正確に頭撃たないと止まってくれないもん」
紗南(あたしなら空振らせてからナイフで…)
TV<「ヴォ―!」ギュイーーーーン!
TV<「ぐわー!」首ポーン
紗南「ヤラレチャッタ」
小梅「で、でも…楽しい…」キラキラ
紗南「…そう?さっきから何回もここで死んでるけど」
紗南「しかも…」チラッ
みく「」
まゆ「」
蘭子「」
きらり「」
李衣菜「」
紗南「さっきから短いスパンであのショッキングシーンばっかりだから」
紗南「近づいたそばから皆気絶しちゃってるし」
小梅「…うー…ん…」
紗南「…ね、ちょっと別のゲームもやってみない?」
小梅「…うん」コクン
18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:46:14.79 ID:AH4zDy360
明くる日の事務所
ちひろ「プロデューサーさん」
モバP「はい、どうしました?」
ちひろ「最近事務所のなかでも小梅ちゃんがゲームをするようになりましたね」
モバP「仲いい紗南の影響ですかね?」
ちひろ「…それで、ちょっと抑えてもらえるように」
ちひろ「プロデューサーさんの方から言ってもらえないですか…?」
モバP「?別に紗南や杏みたいに」
モバP「仕事に支障きたすほど没頭してるわけではなさそうですし」
モバP「…視野を広げることはいいことだと思いますけど?」
ちひろ「あの、支障があるのは小梅ちゃんじゃなく」
ちひろ「他のアイドルの方でして…」
モバP「え?」
ちひろ「…偶然画面を見たアイドルたちが」
ちひろ「片っ端から気絶しちゃうような代物をやってるみたいです…」
モバP「…」チラッ
紗南「昨日持ってきたやつ、どうだった?」
紗南「紅い蝶はシリーズの中では難易度抑え目だから」
紗南「小梅ちゃんでもクリアできると思うけど」
小梅「う、うん…面白い…で、でも」
小梅「幽霊が…か、かわいそう…と、というか」
小梅「あ、あの子が…カメラ、を、こ、怖がっちゃって」
紗南「…あー、なるほどね」
紗南「じゃあさ、こっちの方は、どう?」
小梅「…」
19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:49:43.50 ID:AH4zDy360
モバP「…大丈夫だと思いますけどね?」
ちひろ「そうですかー…?」
ちひろ「まゆちゃんなんてもう何も映ってないモニターまで」
ちひろ「怖がるようになっちゃったんですよ?」
モバP「違う趣味同士がぶつかると大概反発するもんですが」
モバP「あの二人はそんなこともなさそうですし」
モバP「何かあったら俺がフォロー入れるので」
モバP「しばらく様子を見てみますよ」
ちひろ「うーん…」
モバP「そういえば、ちひろさんって」
モバP「ゲームとかしたことは?」
ちひろ「私ですか?昔友達に進められて一回だけ」
ちひろ「でも、すぐやめちゃいました」
ちひろ「ゲームのなにが楽しいのか、さっぱりわからなかったんです」
モバP「誰かに勧めたところで、普通はそんなもんですからね」
モバP「そういう意味では二人は波長が合ったんでしょう」
モバP(…)
モバP(なにが楽しいのか、か…)
20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:53:53.74 ID:AH4zDy360
ガチャ
紗南「あれ?杏さん…あたしの部屋で何してんの?」
杏「あ、ごめん。勝手にお邪魔してる」ゴソゴソ
杏「PS2用のメモリーカードって持ってなかった?」
紗南「それなら、あそこに…」
紗南「杏さんも何か始めてるんだ?」
杏「懐かしのマニクロをね」
杏「ハードでやってたらパトるパトる」
杏「んで、紗南が無印で氷結反射持ちのカハク使ってたの思い出したから」
杏「全書引き継がせてもらおうかな、と」
紗南「…そういえば、あたし、最近RPGとか、長いゲームやってないな…」
杏「忙しそうだもんね」
紗南「どうしても時間が気になっちゃって…」
紗南「据え置きだと十時間くらいでクリアできるアクションゲームとか」
紗南「合間に格ゲーとかをプレイするので精いっぱい…」
杏「ニートお勧めだよ。徹夜余裕」
紗南「…言うと思った」
杏「私は忙しくゲームするのって、好きじゃないんだもん」
杏「ゲームってさ、のんびりやって、なんぼでしょ」
紗南「…」
21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 18:56:37.49 ID:AH4zDy360
TV<ウロウロ
TV<…ウロウロ
TV<ポーン、ポローン、カチッカチッ
小梅「…?」
小梅「ここ…ど、どうすれば…いいのか、な…」カチャカチャ
紗南「…」
紗南(ピアノの鍵盤を叩く順番が違う)
紗南(部屋の血文字の暗号を解くと正しい順番がわかるけど)
紗南(小梅ちゃんはあれをただの恐怖演出だと思ってしまってるみたい)
TV<カチッカチッ
小梅「…鳴らない、け、鍵盤が、五つ…」
小梅「…??」
紗南「…」
紗南(ほら、気付いて)
TV<ウロウロ
TV<…ウロウロ
紗南「…」
TV<ウロウロ
TV<…ウロウロ
紗南「…それ」
紗南「壁の、血文字の文章、もっかい読んでみて」
小梅「う、うん…」
22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:01:11.63 ID:AH4zDy360
紗南「鳴けない鳥たちが飛び比べをする文章だけど」
紗南「鳴けない鳥は鳴らない鍵盤を、飛ぶ順番は弾く順番」
紗南「白鳥とカラスは白鍵盤と黒鍵盤を表してて」
紗南「飛んだ距離が…」
小梅「…そ、そうだった…んだ…」ピコーン
小梅「え、えっと…」カチャカチャ
紗南「…しっかりしなよ」ボソッ
紗南「…っ!」ハッ
小梅「…」
小梅「…ご、ごめん…な、さ」
紗南「あ、ち、違うの!こっちこそごめん!」
紗南「何言ってんだろ、あたし!ほ、ホントにごめんね!」
紗南「…頭、冷やしてくる…っ」ダッ
ガチャ バタン
小梅「あ…」
小梅「…ど、どうしちゃっ…た、んだ、ろう…ね?」
小梅「わ、わかる…?」
…
小梅「え?…それより、これ、や、やってる、所、観たいの?」
小梅「でも…」
…
小梅「…うん、わかった」
23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:04:59.49 ID:AH4zDy360
ジャーッ
パシャッ、ピチャピチャ…
紗南「…」
紗南(顔洗っても、まだ頭ぐちゃぐちゃ…)
紗南「…らしくないぞ、あたし」
―紗南『ヤラレチャッタ』
―小梅『で、でも…楽しい…』
紗南「…」
―杏『ゲームってさ、のんびりやって、なんぼでしょ』
紗南「…」
24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:09:22.08 ID:AH4zDy360
TV<コツコツ
TV<ヴォ―、ドンッドンッ
ガチャ
モバP「あれ?小梅一人だけか?」
小梅「あ、うん…お、おかえり、なさい」
モバP「…すっかりハマってるみたいだなぁ」
小梅「うん、た、たのしい…」
TV<ギャー!、グチャア!
TV<GAME OVER
小梅「あ、や、やられ…ちゃった♪」
モバP「…画面のなかの惨状はお世辞にも楽しいとは言えないけどな」
モバP(てか、確かに壮絶な死にざまにしようと誘導している節が…)
モバP(気のせいか?)
25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:12:59.00 ID:AH4zDy360
キィ…
こそこそ…
紗南「うー…」
紗南「どうしよう…気まずくて入り辛い…」
紗南「…?」
紗南(小梅ちゃんと…Pさん?)
小梅「そ、それでも…た、楽しい、の」
小梅「い、いっぱい、やら、れ、ちゃうけど、楽しい…」
モバP「…」
小梅「油断して、や、やられちゃって、も」
小梅「う、うっかりして、死んじゃう、のも…」
小梅「ゲームの、せ、世界で、生きてる、実感がする…」
モバP「…」
26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:16:43.17 ID:AH4zDy360
小梅「え、映画と、舞台、は、お、おんなじでも」
小梅「違う、楽しさが、あ、あるの」
小梅「動かす、こ、ことだけ、でも、楽しい…」
モバP「…そういや俺もそんな時代があったな」
モバP「やり始めたころは、ただ平原を走り回るだけで楽しかった」
モバP「女の子キャラのスカートをのぞこうと必死になって」
モバP「一時間くらい時間潰したなこともあったぁ…」
小梅「え、えっち…」
モバP「お、男だから、仕方ないんだよ」
モバP「…でもそういうの、いつの間にかやらなくなったなぁ」
モバP「社会に出はじめてから、『効率』って言葉が目について」
モバP「無駄な時間を楽しめなくなったんだ」
モバP「だから羨ましいぞー、小梅ーっ」なでなで
紗南「…」
27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:21:16.26 ID:AH4zDy360
紗南(小梅ちゃんは、まだあまりゲームがうまくない)
紗南(最初の怪物にかじられて死んで)
紗南(要所要所でまたやられて)
紗南(同じ場所を何往復もして)
紗南(でも、それでも、あたしが横から見る小梅ちゃんの顔は)
紗南(いつも、きらきらと輝いていた)
紗南「しっかりしなきゃいけないのは」
紗南「あたしの方だ…」
紗南「ゲーマーアイドルなのに、肝心なコト忘れてた」
紗南「ゲームって、そういうもんじゃん…」
紗南「…ゲームだけじゃない」
紗南「アイドル活動だって、映画だって」
紗南「楽しみかたなんて、誰にも決められないものじゃんか…」
28:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:25:02.23 ID:AH4zDy360
明くる日の事務所
紗南「小梅ちゃん、おはよっ」
小梅「紗南ちゃん、お、おはよ、う」
小梅「あの、あの、き…今日は…」
紗南「ち、ちょっとまって、あのね」
小梅「?」
紗南「その、さ」
紗南「ちょっと前に小梅ちゃんが見せたがってたホラー映画あったじゃん?」
紗南「あれ、今更だけどすっごく観たくなっちゃったんだ」
小梅「!」
紗南「ゲームする前に、映画、観てもいい…かな?」
小梅「うん…!うん!わ、わかった!」パァッ
小梅「す、すぐに、持って、くる!」トタタタッ
29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:29:16.65 ID:AH4zDy360
モバP「何ィ!?こ…小梅のコレクションを観たいと」
モバP「自ら名乗り出るアイドルが誕生するだと…!?」
紗南「あはは…いやぁ~、やっぱりさ、こういうのって」
紗南「ギブアンドテイクじゃん?」
紗南「あたしのゲームを楽しんでくれた小梅ちゃんのために」
紗南「小梅ちゃんの映画の中から神ゲーを発掘しなきゃいけない使命感に」
紗南「駆られてしまったわけなんだー」
小梅「も、も、持って、きた!」
紗南「おー、待ってました!」
小梅「こ、これ、この映画の、ひ、ひとたち」
小梅「ゲームの、わ、私より、生き残りかた、が、上手で…」
紗南「…へーえ?それはそれは」
モバP(あのパッケージはバイオハザードか…こりゃ今日の事務所、荒れるぞ)
ちひろ(そんなこと言ってないで阻止してくださいよ!!)
ちひろ(また何人倒れることやら!!)
30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:33:50.19 ID:AH4zDy360
その後の話
紗南「…」ピッピッ
TV<ポォーゥ、キョウテキトウジョウダナ?
TV<バシッ、ズバッ、ピコーン!
TV<ズババババッ
ガチャ
モバP「…今日は紗南だけか」
紗南「おかえり、Pさん」
紗南「小梅ちゃんならさっき涼さんと一緒に出て行ったよ」
紗南「自分の部屋で一緒にゲームの続きするんだって」
モバP「映画、どうだった?」
紗南「一個だけ微妙だったけど、ほかは全部すっごい楽しかったよ」
紗南「ハラハラドキドキ、あまりゲームじゃ味わえない感覚だった」
紗南「他人のプレイを応援するだけってのも、乙なもんだね」
紗南「もう一回、観てみたいなぁ…」
モバP「そりゃよかった」
モバP「人生何事も楽しんだ者勝ちだからな」
紗南「…全くだね」
紗南「近頃のあたし、稼ぎプレイをやりすぎてたみたいでさ」
紗南「頭カッチカチで、余裕なかったんだ」
モバP「じゃあ、もう大丈夫なんだな?」
紗南「ふふん♪今なら一人連携だってできるよっ♪」
31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/15(木) 19:36:31.58 ID:AH4zDy360
紗南「よっ…と」
ぽすっ
モバP「…紗南?」
紗南「小梅ちゃんが、Pさんと映画見るとき」
紗南「よく、こうして、Pさんの膝に座ってたでしょ?」
紗南「だから、あたしも挑戦」
モバP「…ははっ」
モバP「で、俺の膝に座りながらゲームしてる感想は?」
紗南「すっごく楽しい♪」
おわり