1:2014/03/13(木) 18:03:39.80 :NbDfbX7S0
白菊ほたる「ひっ」
P「お前、今回の仕事、また失敗したらしいなぁ?」
ほたる「す、すみません……」
P「謝るだけなら、俺が頭下げれば済むんだよ。けどな、相手さんが納得してないから、俺はこうして、聞いてるわけだ」
ほたる「はい……すみません」
P「謝るな。謝る前に、失敗した理由を話せ」
ほたる「撮影現場で、機材にトラブルがあってらしくて……それが、私のせいだと」
2:2014/03/13(木) 18:04:12.25 :NbDfbX7S0
P「そうか。お前がなにかしたのか」
ほたる「私の、不幸のせいで」
P「お前が、なにかを、したのか聞いてる」
ほたる「……近くにいただけです」
P「ならいい。……嫌なことを、言われたりしなかったか」
ほたる「それは、特に」
P「本当だな?」
ほたる「は、はい」
P「行っていいぞ。今日は帰れ」
ほたる「すみません……お疲れ様でした」
P「ああ、お疲れ」
3:2014/03/13(木) 18:04:42.25 :NbDfbX7S0
P「もしもし、今日の機材トラブルの件なんですが」
P「ええ、うちの白菊は、近くにいただけです」
P「はい、確かに、あいつがいるとトラブルが起こりますが」
P「いや、決してそんな奴では……はい、お願いします。それでは」
P「――くそ、一回り二回りも違う子供を、根拠もなく疑いやがって!」
4:2014/03/13(木) 18:05:10.50 :NbDfbX7S0
P「白菊、今日はレッスンだ。きっちりやれよ」
ほたる「はい。……その、前のお仕事のことは」
P「あれなら、問題ない。誤解も解けた」
ほたる「すみません。私の不幸のせいで、プロデューサーさんに、余計な手間を……」
P「白菊!」
ほたる「は、はい!」
P「そんなことを、お前が気にする必要はない。さっさとレッスンいけ」
ほたる「はい……すいません」
P「……怪我を、しないようにな」
ほたる「え、あ、はい。気を付けますね」
5:2014/03/13(木) 18:05:36.43 :NbDfbX7S0
P「俺が、しっかりしないと……」
P「疫病神なんて、自称するような子供が、いていいはずがないんだ」
P「周りのことは、俺が見ていればいいんだ」
P「あいつは、自分のことを、一生懸命にすればいい」
6:2014/03/13(木) 18:06:04.01 :NbDfbX7S0
ほたる「あの、大丈夫ですか。事務所の経営が、悪化してたり」
P「なんでそんなことを、お前が気にするんだ?」
ほたる「私が、失敗ばかりするから……もしかしたら、影響があるかも、と思いまして」
P「白菊!」
ほたる「な、なんですか!」
P「自意識過剰だ。お前の失敗ぐらいで、事務所の経営は傾かない」
ほたる「けど、最近はお仕事も減ってますし……」
P「俺の仕事ぶりに、文句を言ってるのか」
ほたる「す、すみません、そうわけじゃ!」
7:2014/03/13(木) 18:06:31.12 :NbDfbX7S0
P「ほら、これで文句ないだろ」
ほたる「え、これって……」
P「お前の、単独ライブの資料だ。開催は1ヶ月後……レッスンを怠るなよ」
ほたる「は、はい。頑張ります。私、頑張りますから!」
P「頑張るのは当たり前だ。さっさとレッスンに行け」
ほたる「行ってきます……プロデューサーさん!」
P「……ああ、行ってこい」
8:2014/03/13(木) 18:07:03.52 :NbDfbX7S0
「――すまないね。君の移籍先は、しっかり見つけておくから」
P「俺のことより、白菊は」
「ほたるちゃんか……その、私の知り合いには、引き取ってくれそうな人が、ね」
P「そんな! あいつはあんなに頑張って」
「結果が出ていなければ、トラブルの多い子なんて、どこも引き取りたくないんだ」
P「……結果を出せば、いいんですか」
「最後のライブで、か。どうだろうね」
P「やってみせます。必ず……あいつを、これで終わりになんてさせません」
9:2014/03/13(木) 18:07:34.53 :NbDfbX7S0
P「白菊、そこはもっと素早く動け! そんなんじゃ、曲に合わせれないぞ」
ほたる「すみません!」
P「謝る前に、体を動かせ!」
ほたる「は、はい……」
P「――そうじゃない。雑にするな!」
ほたる「はい!」
10:2014/03/13(木) 18:08:02.35 :NbDfbX7S0
ほたる「ご指導、ありがとうございました」
P「ああ、明日はもっと厳しいからな」
ほたる「はい……その、気合が入ってますね」
P「当たり前だろ。初めての単独ライブだぞ」
ほたる「そう、ですね。私も楽しみです」
P「なんだ、言いたいことがあるなら、はっきり言え」
ほたる「え、いや、そんなことは……」
11:2014/03/13(木) 18:08:31.24 :NbDfbX7S0
P「白菊! 俺はそういう、うじうじした態度が、大嫌いだ」
ほたる「すみません……その、ライブが心配なんです」
P「また不幸か」
ほたる「そうです」
P「何度も言うが、お前はそんな心配をしなくていい。トラブルが起きても、俺がなんとかする」
ほたる「……すみません。プロデューサーさんには、ご迷惑ばかり」
P「そういうのが、必要ないって言ってるんだ!」
ほたる「ひっ、すみません!」
P「謝るな!」
ほたる「はい……!」
12:2014/03/13(木) 18:09:51.06 :NbDfbX7S0
P「絶対に、成功する。白菊は、それに値する、努力をしたんだ」
P「不幸がなんだ。そんなものは、全部偶然だ」
P「あいつの将来を、運なんかで、曇らせてたまるか!」
13:2014/03/13(木) 18:10:17.60 :NbDfbX7S0
ほたる「す、すごいです、プロデューサーさん。衣装が無事届いてます!」
P「当たり前だろ」
ほたる「チケット販売の、不備もありませんでした」
P「当然だ」
ほたる「会場のダブルブッキングも」
P「白菊!」
ほたる「わ、わ!」
P「喜ぶのは分かるが、落ち着け。浮ついていると、本番で足元が見えなくなる」
ほたる「はい……気を引き締めていきます!」
14:2014/03/13(木) 18:10:48.46 :NbDfbX7S0
ほたる「私はいつも、みなさんを不幸にしてばかりです……」
ほたる「だから、せめて今日だけは、幸せになってください」
ほたる「そして、その幸せが……ずっと続くよう、私も頑張ります!」
ワァアアアア!
ウォオオオオオオ!
15:2014/03/13(木) 18:11:23.52 :NbDfbX7S0
P「無事開演、か」
P「……よかった、本当によかった」
P「これなら、きっと、次の事務所も」
「おい、急に暗くなったぞ?」 「ほたるちゃんの声も聞こえないし」
「どうなったんだ?」 「演出か」 「それにしちゃ、暗すぎだろ」
「おいおい、運営しっかりしろよ」 「ありえねー」
P「え?」
16:2014/03/13(木) 18:12:04.52 :NbDfbX7S0
P「どういうことですか、トラブルって!」
「すいません。照明も何もかも、落ちちゃって……原因もよく分からず」
P「そ、そんな」
「復旧まで、しばらくかかりそうです。本当にすいません!」
P「しばらくって、時間も分からず、ファンは待ってくれませんよ!?」
「出来る限り、迅速に対処しますので……すいません」
17:2014/03/13(木) 18:12:32.77 :NbDfbX7S0
P「最後の、ライブなのに」
P「白菊は、ずっと努力して、それが、こんなことで」
P「俺のせい、なのか。俺がしっかり、できてなかったから」
18:2014/03/13(木) 18:12:58.91 :NbDfbX7S0
ほたる「すみません、すみません……私の、不幸で」
P「白菊のじゃない」
ほたる「でも、やっぱり」
P「あれは、俺のせいなんだ。俺がもっとスタッフに、確認をとっておけばよかった」
ほたる「そんな、プロデューサーさんは……頑張ってくれました!」
P「……頑張ったのは、お前だ」
ほたる「プロデューサーさん……」
20:2014/03/13(木) 18:13:45.95 :NbDfbX7S0
「ライブ、残念だったね」
P「すみません。最後の、最後に」
「いや、いいさ。どうせ潰れるプロダクションだ。それより、移籍の話だ」
P「はい」
「実はね、君とほたるちゃんを、受け入れてくれるところが、見つかったんだよ!」
P「ほ、本当ですか!」
「ああ、これで一安心だ。君もまた、その事務所で、彼女をプロデュースしてやってくれ」
P「……俺が、また」
21:2014/03/13(木) 18:14:17.00 :NbDfbX7S0
ほたる「プロデューサーさん。社長から、聞きました……」
P「そうか」
ほたる「すみません、私が失敗したから、こんなことに」
P「倒産はライブ前から決まってた。お前のせいじゃない」
ほたる「そう、ですか……あの、一緒に移籍、してくれますよね?」
P「一緒に?」
ほたる「はい! プロデューサーさんは、怒鳴ったりして、ちょっと怖いけど……」
ほたる「それでも、私を見限らずに、ずっと支えてくれました。だから、これからも」
P「……移籍先の事務所に、凄腕のプロデューサーがいるらしい」
ほたる「え」
22:2014/03/13(木) 18:15:02.74 :NbDfbX7S0
P「その人なら、きっとお前をトップアイドルにしてくれる」
ほたる「でも、プロデューサーさんも、一緒に移籍するって……」
P「俺はしない」
ほたる「……そうですよね、私みたいな疫病神とは、一緒になんて」
P「白菊!」
ほたる「す、すみません……」
P「違う。謝るのは、俺のほうだ」
23:2014/03/13(木) 18:15:32.65 :NbDfbX7S0
P「お前を幸せにしてやれなくて、すまなかった」
P「疫病神は、俺のほうだ。お前は絶対に幸せになれる。それだけのことをしたんだ」
P「俺が努力を怠ったんだ。お前の足を引っ張ったんだ」
ほたる「違います……プロデューサーさんは、私の幸運です!」
P「この話は終わりだ。早く帰れ」
ほたる「――なら、最後に聞いてください」
P「なんだ」
ほたる「今まで、お世話になりました。ライブを開いてくれて嬉しかったです……」
ほたる「本当に……ありがとうございました!」
24:2014/03/13(木) 18:16:03.14 :NbDfbX7S0
P「あいつから、謝罪じゃなくて、お礼の言葉を聞けるとはな」
P「頑張れよ、白菊」
P「……悔しいなぁ」
25:2014/03/13(木) 18:17:58.60 :NbDfbX7S0
「だいぶ人気も出てきたな、ほたる」
ほたる「そうですね。○○さんのおかげです」
「ほたるが頑張ったからだよ」
ほたる「それなら……褒めるべきは私じゃないですよ」
「ん、それじゃあ、誰を褒めるんだ?」
ほたる「私がずっと頑張ってこれたのは、プロデューサーさんのおかげですから」
「ん、ん?」
ほたる「弱気になったとき、怒鳴り声が聞こえてくるんですよ」
「はっはっは、よくわからんな」
ほたる「ふふっ、そうですよね……今だって、頑張れてるのは、きっと」
おしまい
27:2014/03/13(木) 18:21:02.04 :NbDfbX7S0
ほたるちゃんは十代にして、ドラマチックな人生をおくりすぎている。あと、くるみちゃんも、なんか闇が深そう
たまにはギャグ以外も書きたかったんです
画像を貼ってくれて、読んでくれて、あざました。依頼だしてくる
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394701419