【鷹富士茄子SS】茄子「運勢共同体」

1: ミガサ 2013/06/22(土) 18:03:30.31 ID:PcbzuF3j0
過去スレ

レナ「ロイヤルストレートフラッシュ」
http://blog.livedoor.jp/ssweaver/archives/31356362.html

の続き的なもの
一応、前作を見ていなくても話自体は理解できる……はず。
2: ミガサ 2013/06/22(土) 18:05:29.24 ID:PcbzuF3j0
―――事務所―――

茄子「あ、またストレートですねっ♪」

レナ「……」←スリーカード

幸子「……」←ワンペア

早苗「……」←ブタ

P「……いい加減諦めたらどうですか?」

レナ「……元No.1ディーラーとして、負けられないのよ」

3: ミガサ 2013/06/22(土) 18:06:17.01 ID:PcbzuF3j0
P「そもそも幸子と早苗さんはなんで付き合ってるんです?」

幸子「……ボクは、早苗さんに無理やり」

早苗「レナさんが、茄子さんに勝てたらお酒奢ってくれるって……」

P「早苗さん……」

早苗「だってだって……今月ピンチなんだもん……」

P「給料とかはちゃんと出てますよね?」

早苗「うぅ……」

早苗「(結婚資金として親の貯蓄に回されてる、なんて言えないわよ……)」

4: ミガサ 2013/06/22(土) 18:09:24.91 ID:PcbzuF3j0
P「幸子、無理しないんでいいんだぞ?」

幸子「……やってるうちに、負けたくないって気持ちが膨らんできて……」

P「お前がいいんならいいんだが……」

レナ「そうだ!P君も参加して!」

P「えぇー……」

レナ「あの時のロイヤルストレートフラッシュをもう一度見せてよ」

幸子&早苗&茄子『……あの時?』

P「あ、いや、その」

5: ミガサ 2013/06/22(土) 18:10:12.40 ID:PcbzuF3j0
レナ「ほら、早く座って座って」

P「俺、仕事中なんすけど……」

幸子「プロデューサーさん、ボクと早苗さんの間が空いてますよ」

P「え、ちょっとそこには行きたくないかなーって」

早苗「……詳しくお話を聞きたいってお姉さんは思うなぁ」

P「あはは……お、お手柔らかに……」

茄子「Pさん」

P「な、なんだ?茄子」

茄子「私が勝ったら、レナさんのお話聞かせてくださいね?」

P「ちょ」

レナ「じゃあ配るわねー」

6: ミガサ 2013/06/22(土) 18:12:55.69 ID:PcbzuF3j0
―――数分後―――

レナ&幸子&早苗「……」←ブタ

茄子「うー……スリーカードです」

P「俺もスリーカード」

レナ「ねぇ、P君」

P「なんでしょうか」

レナ「もしかして、あなたも茄子さんみたいなの?」

P「……まぁ、幼馴染なので……たぶん」

7: ミガサ 2013/06/22(土) 18:14:11.47 ID:PcbzuF3j0
早苗「……幸運の幼馴染がいると、幸運になるの?」

P「お、恐らく……」

幸子「どういう理屈ですか」

P「俺だってよくわかんないよ」

茄子「……いえ、Pさんはきっと……」

P「え?思い当たることがあるのか?」

茄子「……あの、ほら……沖縄での事がありますから」

P「沖縄……ああ、疫病ナスか」

茄子「もう、そのあだ名はナシですよ」

8: ミガサ 2013/06/22(土) 18:16:09.05 ID:PcbzuF3j0
P「あはは、ごめんごめん」

レナ「え?疫病って……」

幸子「もしかして、昔は茄子さんは不幸だったとかですか?」

P「いんや、昔から茄子はこうだよ」

早苗「じゃあその疫病ナスって……」

P「不幸になるのは……周りの人が、だ」

幸子「周りの人が?それって茄子さんの運が良すぎるから、周りの人が普通なのに不運に見えるとかじゃなくてですか?」

P「うん。そうじゃなくて、普通に周りにいる人をどんどん不幸にするんだ」

レナ「……もしかして、今までのポーカーとかも」

9: ミガサ 2013/06/22(土) 18:18:08.62 ID:PcbzuF3j0
茄子「それは違いますよ~。それに、今は……ね?」

早苗「……何その、意味ありげな視線」

P「昔の茄子とは、まぁ、色々ありまして」

幸子「……どういうことですか?」

P「んー。この辺はなぁ。茄子、話してもいいか?」

茄子「私は大丈夫です。Pさんこそ、大丈夫なんですか?」

P「もう笑い話として話せるさ」

早苗「え、そんな重い話なの……?」

10: ミガサ 2013/06/22(土) 18:22:42.57 ID:PcbzuF3j0
P「あはは。俺が死にかけたってだけですよ」

レナ「それって笑い話なの……?」

P「まぁまぁ。とりあえず、いつ頃の話から始めましょうかねぇ……」

11: ミガサ 2013/06/22(土) 18:23:57.08 ID:PcbzuF3j0

―――沖縄 とある学校―――

茄子「……」

生徒A「……なぁなぁ」

生徒B「ん?なんだ?」

生徒A「あの、鷹富士ってヤツさ……」

生徒B「……関わらない方が身のためだぞ?」

生徒A「そんなに酷いのか?疫病ナスって……」

生徒B「まぁ、見てろって。今日の朝、Cの馬鹿がアイツに関わったから」

12: ミガサ 2013/06/22(土) 18:25:24.43 ID:PcbzuF3j0
茄子「……あ」

茄子「……教科書、ない」

生徒C「クスクス……」

茄子「どうしよう……次の授業で使うのに」

生徒C「(ゴミ箱に捨ててやったんだよバーカ!)」

先生「おーい。鷹富士ー」

茄子「あ、先生。あの、教科書―――」

先生「ゴミ箱に捨ててあったんだよ。だけど、汚れてないみたいだぞ!安心しろ!」

13: ミガサ 2013/06/22(土) 18:27:00.93 ID:PcbzuF3j0
茄子「そうですか。よかったです……」

先生「そして……おい、C」

生徒C「ひっ?!」

先生「お前が捨てたのを見たって生徒がいたんだよ。ちょっと職員室まで来い」

生徒C「い、嫌だぁあああ!!」ズルズル

生徒B「……な?」

生徒A「たまたま、じゃないのか?」

14: ミガサ 2013/06/22(土) 18:28:14.81 ID:PcbzuF3j0
生徒B「違うんだよ。この前は上履きに画鋲を入れたやつが、上履きに足突っ込んで画鋲踏んで大怪我した」

生徒A「え?どういうことだよ?」

生徒B「同じ事を考えた奴が鷹富士の下駄箱の位置と、怪我したやつの下駄箱の位置を間違えた」

生徒B「しかもその騒ぎのせいで、鷹富士自体は上履きに入ってた画鋲に気づいて無傷。画鋲入れたヤツは一週間の自宅謹慎」

生徒B「つまり、被害にあったのはお互いに鷹富士をいじめようとしたヤツだ」

生徒A「……もう、たまたまってレベルじゃないな」

茄子「……はぁ」

生徒B「滅茶苦茶美人なのに、もったいないよな」

16: ミガサ 2013/06/22(土) 18:33:57.08 ID:PcbzuF3j0
生徒A「……ん?敵意を持たないで接してもダメなのか?」

生徒B「お前しつこいな。鷹富士の事が好きなのか?結論からいえばダメだ」

生徒A「そりゃまたなんで」

生徒B「鷹富士と一緒に下校しようとした女子がいたんだが……」

生徒B「帰り道に痴漢にあった。隣に茄子がいたのにも関わらず、だ」

生徒A「……」

生徒B「ここまで来ると、話しかけるの自体も億劫だよ……まぁ、諦めろ。俺も諦めた」

18: ミガサ 2013/06/22(土) 18:34:43.88 ID:PcbzuF3j0
生徒A「え?お前も?」

生徒B「だって美人じゃん。すっげー可愛いじゃん。そりゃお近づきになりたいって思うわ」

生徒A「お互い大変だな……」

生徒B「あぁ……」

茄子「(……私って、美人ですっごい可愛いんだ)」

19: ミガサ 2013/06/22(土) 18:35:35.50 ID:PcbzuF3j0
―――翌日―――

先生「えー。静かに!」

先生「この度、東京の方から転入生が来ることになった!」

茄子「(転入生、か)」

生徒D「はーい!先生、男ですか?!女ですか?!」

先生「男だ!」

茄子「(男の人……かっこいい人かな?)」

生徒E「じゃあはいはーい!学年的にはどれくらいですか?!」

21: ミガサ 2013/06/22(土) 18:36:03.88 ID:PcbzuF3j0
先生「ああ、そうだったな。えーっと、学年は……」

茄子「(……私より年上かな、年下かな)」

先生「このクラスで一番年上になるな」

生徒D「え?鷹富士さんよりも!?」

生徒E「年上っ!かっこいい人かなっ!?」

茄子「(クラス最年長の座を明け渡す時が来たみたいね。なーんて)」

先生「はいはい静かにしろ。じゃあ入ってこい!」

P「え、えーっと。し、失礼します?」

22: ミガサ 2013/06/22(土) 18:37:54.13 ID:PcbzuF3j0
生徒D「いやいや、教室入るのに失礼しますはないっしょー!」

P「うぇ?!俺なんか間違えた?!」

アハハハハハハ

茄子「……(変な人)」

先生「まぁいいから入れ。ほら、自己紹介だ」

P「はぁ……えーっと、Pっていいます……あ、苗字はこういう漢字を書いて―――」カキカキ

茄子「(Pさん、か……)」

P「えーっと好きなもの……特技……?」

P「ああもういいや面倒くさい!とりあえずよろしくお願いします!」

アハハハハハハ

23: ミガサ 2013/06/22(土) 18:39:17.39 ID:PcbzuF3j0
先生「それじゃあ席は……ふむ、鷹富士」

茄子「なんですか?」

先生「お前の隣、空いてるよな?しばらくコイツの世話をしてやってくれ」

生徒D「えっ……」

ザワザワザワザワ

P「……?」

茄子「……先生。空いている席なら他にもあります。別の席にしてはいかがでしょう?」

先生「そうは言うがな。机を用意するのが面倒くさい」

24: ミガサ 2013/06/22(土) 18:40:16.34 ID:PcbzuF3j0
生徒A「……大丈夫なんですか?」

先生「先生は迷信とかは信じないタチでな」

P「えーっと?なんですなんです?」

先生「とりあえず座れ、な。しばらくお前の世話係は隣の鷹富士がやってくれるから」

P「は、はぁ……」スタスタ

茄子「(……最悪)」

P「あのー。鷹富士さん、だよね?」

茄子「そう、ですけど」

P「その、よろしく、な?」

25: ミガサ 2013/06/22(土) 18:41:01.12 ID:PcbzuF3j0
茄子「……あまり、私に話しかけないほうがいいですよ」

P「え?それってどういう―――」キーンコーンカーンコーン

先生「それじゃあ朝のホームルームは終了だ。一時間目は自習だからなー」

生徒B「いよっし、自習かー」

茄子「……」タッ スタスタ

P「え?あれ?鷹富士さーん?」

生徒D「やめといたほうがいいですよー。Pさーん」

26: ミガサ 2013/06/22(土) 18:41:29.75 ID:PcbzuF3j0
P「え?なんで?」

生徒E「彼女、疫病ナスですから」

P「……どういうこと?」

生徒B「その辺はすぐにわかると思う、それよりみんなでPに自己紹介しようぜ!」

P「あ、ああ……(疫病ナス……?)」

27: ミガサ 2013/06/22(土) 18:42:32.72 ID:PcbzuF3j0
―――放課後―――

茄子「……」スタスタ

P「あ、鷹富士さ……行っちゃったか」

生徒A「放っておいて大丈夫だよー!それより、一緒にこれから買い物に行かない?Pー」

生徒D「うん!さんせー!」

生徒E「私も私もー!」

28: ミガサ 2013/06/22(土) 18:43:28.48 ID:PcbzuF3j0
P「……んー。ごめん。まだ引越しの準備とかが終わってなくて」

生徒B「あ、そうなんだー。じゃあまた今度だな」

生徒D「そうだねー。じゃあ早めに帰ったほうがいいんじゃない?」

P「うん。気を使ってくれてありがと……じゃあな、みんな!」

生徒E「うんうん、じゃーねー!」

29: ミガサ 2013/06/22(土) 18:44:18.47 ID:PcbzuF3j0
―――校舎裏―――

茄子「……はぁ」

茄子「今日は、大変だったな」

茄子「あのPって人……授業が終わるたびに、話しかけてこようとするんだもの」

茄子「おかげで昼間、全然世話できなかったね。ごめんね」サァァ

P「へぇー。校舎裏にこんなところがあったんだ」

茄子「っ!」

30: ミガサ 2013/06/22(土) 18:45:11.13 ID:PcbzuF3j0
P「ん?水遣りの最中でしょ。気にしないで続けててよ」

茄子「……なんで追っかけてきたんですか?」

P「追いかけてきたわけじゃないよ。廊下から見えたから」

茄子「ここ、一部の廊下からしか見えないはずなんですけど」

P「それはほら、転校したてで学校探検しててさ」

茄子「……勝手にしてください」

P「これは……ハイビスカスかな?へぇ、実物は初めて見るけど、綺麗だなぁ」

茄子「……」サァァ

31: ミガサ 2013/06/22(土) 18:46:20.60 ID:PcbzuF3j0
P「もしかして鷹富士さんが一人で世話してるの?」

茄子「……」サァァ

P「……うーん……あ、そうだ」タッタッタ

茄子「……?」サァァ

P「やっぱジョウロあった。一人でここ全部は大変だろうし、手伝うよ」

茄子「……別にいいですよ」

P「いいからいいかr「あのですね」……」

茄子「私、最初に言いましたよね?関わらないで欲しいって」

P「ん、まぁな」

茄子「じゃあなんで私に関わろうとするんですか?」

32: ミガサ 2013/06/22(土) 18:47:39.32 ID:PcbzuF3j0
P「関わろうとしてるわけじゃないよ。まだ自己紹介をちゃんとしてなかったなと思って」

茄子「それなら結構ですから……はぁ」スクッ

P「え?まだ水やり終わって「帰ります」……」

茄子「それじゃあさようなら。できる限り、私にはもう話しかけないでください」

P「おいおい、その言い方はないんじゃないか?」

茄子「……明日の朝。貴方はきっと後悔することになりますよ」

P「は?」

茄子「それじゃあ」スタスタスタ

P「……」ポカーン

P「……どうしよ。これ」

33: ミガサ 2013/06/22(土) 18:48:34.70 ID:PcbzuF3j0
―――翌朝 校舎裏―――

茄子「……」

P「よ」サァァ

茄子「……何をやっているんです?」

P「いや、水遣りだけど?」

茄子「なんで」

P「昨日も来てたみたいだし、今日も来るかなーって」

茄子「……はぁ。勝手にしてください」

34: ミガサ 2013/06/22(土) 18:49:51.37 ID:PcbzuF3j0
P「おう、勝手に水遣りやらせてもらうぜ」

茄子「一つ。お聞きしたいんですが」

P「なんだ?」サァァ

茄子「昨日、私が帰ったあと何かありました?例えばそう―――家族が怪我した、とか」

P「え……?そんな事ないけど、どうして?」

茄子「……そう、ですか」

P「急にどうしたんだ一体?」

茄子「別になんでもないですよ。それなら、不幸が降りかかる前に私に関わるのをやめた方がいいですよ」

35: ミガサ 2013/06/22(土) 18:51:08.96 ID:PcbzuF3j0
P「何を言っているんだ?」

茄子「それだけは覚えててください。では」スタスタスタ

P「……変な奴だな」

生徒B「な、なぁ」

P「ん?なんだ?」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/22(土) 18:53:13.27 ID:PcbzuF3j0
生徒B「お、お前。鷹富士さんと話してなんともないのか?」

P「なんともないって……お前まで変なこと聞くな」

生徒B「いやだって……」

P「……鷹富士に、何かあるのか?」

生徒B「……わかった。話すよ」

37: ミガサ 2013/06/22(土) 18:53:55.03 ID:PcbzuF3j0
―――放課後 教室―――

P「鷹富士」

茄子「……なんですか?」

P「話があるんだ」

茄子「奇遇ですね。私もです」

P「ならお前からでいい」

茄子「……B君に、何を話したんですか?」

38: ミガサ 2013/06/22(土) 18:54:36.96 ID:PcbzuF3j0
P「何をって……鷹富士と話してもなんともないって事だが」

茄子「そう、ですか」

茄子「さっきB君が話しかけてきたんです」

茄子「私はできる限り、無視し続けました」

茄子「……結果。先ほどB君のお母様が……仕事場で大怪我を負いました」

P「……」

茄子「貴方もきっと聞いたでしょう?疫病ナスの事」

39: ミガサ 2013/06/22(土) 18:55:37.97 ID:PcbzuF3j0
茄子「私に近づくと不幸が起きる」

茄子「私自身は絶対的な幸運を持っている」

茄子「……もう、わかりますよね。私、人の幸運を吸い取っちゃうんです」

P「そんな馬鹿な話が」

茄子「あるから、誰も私に話しかけようとしてこなかったんでしょう?」

茄子「……あなた以外は」

茄子「もう、諦めてくれませんか」

茄子「私と仲良くしようとすることは。私に関わろうとすることは」

茄子「あなたもいつか―――いえ、きっと―――不幸になる」

40: ミガサ 2013/06/22(土) 18:57:04.66 ID:PcbzuF3j0
P「……やだね」

茄子「……はい?」

P「嫌だって言ったの。俺は今までどおり、鷹富士に話しかけるし、鷹富士に関わろうとするぜ」

茄子「自分で何を言っているのかわかっているんですか?」

P「わかってるさ」

P「ただ、クラスで誰も話しかけないような、高嶺の花」

P「とても可愛くて、とても美人で、とてもスタイルもいい、性格も良さそうな女の子」

P「そんな子と、仲良くしたいって思うのは―――男の子の性ってもんだ」

P「たとえそこに、どんな障害が待っていようとな」ニコッ

41: ミガサ 2013/06/22(土) 18:57:55.78 ID:PcbzuF3j0
茄子「……っ」

茄子「(な、何コレ……A君とB君が言ってた時は全然そんなんじゃなかったのに……)」

茄子「(胸が……ドキドキ、する)」

P「なんて、カッコつけすぎか」

茄子「……」

P「おーい。鷹富士?」

茄子「な、なんでひゅか?」

42: ミガサ 2013/06/22(土) 18:59:08.74 ID:PcbzuF3j0
P「……」

茄子「……なんですか?」

P「鷹富士って、可愛いよな」

茄子「っ!!」ボッ

茄子「し、しし、失礼しまひゅ!」タッタッタ

P「あ、おい、鷹富士……」

P「……なんだってんだ一体」

43: ミガサ 2013/06/22(土) 19:00:16.48 ID:PcbzuF3j0
それから。

P「おーい。鷹富士……」

茄子「ひゃうっ!!」タッタッタ

私は、これが恋なんだって自覚して。

最初は、恥ずかしくて向き合えなかった。

45: ミガサ 2013/06/22(土) 19:01:34.50 ID:PcbzuF3j0
茄子「あの……えと……」

P「鷹富士から話しかけてくるなんて……今日は雪でも降るかもな」

茄子「か、からかわないでください。もう」

だけど、私が近くに行っても、何も起きない。

私に近寄ってきても、何も起きない。

46: ミガサ 2013/06/22(土) 19:03:31.97 ID:PcbzuF3j0
茄子「その、茄子って、名前で呼んでくれませんか?」

P「えっ?」

この人なら大丈夫かなって。

この人なら大丈夫なんだって。

茄子「Pさん!一緒に、アイス食べに行きませんか?」

P「ん、茄子か!行こう行こう!」

そう、思ってしまった。

そしたら、止まらなかった。止まれなかった。止められなかった。

例外なんて、あるはずないのに。

47: ミガサ 2013/06/22(土) 19:04:38.80 ID:PcbzuF3j0
―――某日 病院―――

生徒A「……」

生徒B「……」

生徒C「……」

生徒D「……」

生徒E「……」

茄子「な……なんでっ……」

P「げほっ、ごほっ……ははっ。大丈夫だよ。こんくらい、大したことないさ」

茄子「なんで、いきなりっ……!!」

48: ミガサ 2013/06/22(土) 19:05:21.42 ID:PcbzuF3j0
その日は雨が降っていた。

ジメジメしていて、とてもじゃないけど好きになれない雨。

茄子「私の、私のせいです!私が、私が近くにいたから―――」

P「違う!!」

茄子「!」

P「げほっ、ごほっ」

突然だった。

教室でそれまで楽しそうにしていたPさんが、倒れた。

49: ミガサ 2013/06/22(土) 19:07:04.70 ID:PcbzuF3j0
生徒A「お、おいP!無理すんな!」

P「うるせぇ……男には、無理してでも、意地を張らなきゃいけない時があんだよ……」

生徒B「お、おい」

P「茄子、お前のせいじゃない。これは、お前が近くにいたからだとか、そんなんじゃない」

茄子「でも、でも!」

P「違う……違うんだ……!」

何が起こったかわからなかった。

結論から言えば―――Pさんは、癌だった。

それこそ、手術して治れば奇跡と呼べるほどの。

50: ミガサ 2013/06/22(土) 19:08:24.76 ID:PcbzuF3j0
茄子「……っ!!」ダッ

P「お、おい!茄子!!」

私のせいだ。

私が、近くにいても大丈夫って。

近くにいたいって、思ってしまったから。

P「ぐっ、うぐっ!」フラ

生徒C「む、無理だよP!!おとなしくベッドで寝てないと!!」

51: ミガサ 2013/06/22(土) 19:09:46.72 ID:PcbzuF3j0
P「くっそ……茄子っ……!」

生徒D「は、早くナースさんを呼んで!!」

生徒E「今呼んでるっ!!」

その日から私は。

学校に行くことさえも、彼に会うことさえも、やめた。

52: ミガサ 2013/06/22(土) 19:10:48.54 ID:PcbzuF3j0
―――数日後―――

茄子「……」

あの日から、どれだけ泣き続けただろう。

あの日から、どれだけ後悔しただろう。

あの人の傍にいたことを。

あの人に恋してしまったことを。

茄子「……疫病、ナス」

53: ミガサ 2013/06/22(土) 19:11:36.68 ID:PcbzuF3j0
全くもってその通りだ。

私は何を勘違いしていたんだろう。

何を、舞い上がっていたのだろう。

茄子「……ははは……」

いなくなった方がマシなんじゃないか。

誰かの近くにいるだけで、迷惑をかけて、傷をつけて。

……殺してしまいそうになって。

54: ミガサ 2013/06/22(土) 19:12:34.73 ID:PcbzuF3j0
茄子「私は、幸福なんかじゃない」

私はきっと、幸福で。

私は―――不幸な女だ。

茄子「……でも、最後に……」

嗚呼、どれだけ私は贅沢なんだろう。

最後に、あの人の顔を見たいと、そう思ってしまった。

55: ミガサ 2013/06/22(土) 19:13:42.20 ID:PcbzuF3j0
―――深夜 病室―――

茄子「……こんな悪いことにも、私の幸運って左様するんですね」ソローリ

P「zzz……」

茄子「ふふっ、子供みたいな寝顔ですね……」

P「zzz……」

茄子「髪はもうないですけど……お坊さんみたいです」ナデリ

P「んむぅ……」

56: ミガサ 2013/06/22(土) 19:14:55.05 ID:PcbzuF3j0
茄子「……Pさん」

茄子「私、幸せでした。貴方に出会えて」

茄子「私、不幸せでした。貴方に出会って」

茄子「私、幸せでした。恋を知れて」

茄子「私、不幸せでした。恋を知って」

茄子「私、幸せでした。貴方の傍にいられて」

茄子「私、不幸せでした。貴方の傍にいて……」

57: ミガサ 2013/06/22(土) 19:16:11.60 ID:PcbzuF3j0
茄子「貴方は違うと言ってくれましたけど―――」

茄子「Pさんのそれは、私のせいでしかないんです」

茄子「だから私、いなくなろうと思います」

茄子「……どこにいても、迷惑をかけるんだから、当然ですよね」

茄子「―――さよなら、Pさん」

P「……行くな」

茄子「……え?」

58: ミガサ 2013/06/22(土) 19:17:01.51 ID:PcbzuF3j0
P「行くな……行かないでくれ……茄子……」

茄子「P、さん?」

P「……zzz」

茄子「……寝言ですか。なんて夢を見てるんですか」

茄子「私がいなくなる夢でも、見ているんでしょうか……」

茄子「……寝言だとしても、辛くなるじゃないですか」

茄子「私、ダメですね。こんなんで決心が揺らぐ、なんて」ポロポロ

茄子「……うぐっ、P、さん」

茄子「うぐ、ぐす、うわああああああああ!!!」

59: ミガサ 2013/06/22(土) 19:18:24.89 ID:PcbzuF3j0
―――病室 朝―――

茄子「……んぅ……」

茄子「……はっ」

茄子「こ、ここは……?」

P「茄子」

茄子「P、さん?」

P「お前、なんでここに……げほっ」

茄子「あ、む、無茶しないでください。ほら、安静に……」

P「え、あ、ああ……」

60: ミガサ 2013/06/22(土) 19:19:13.81 ID:PcbzuF3j0
茄子「……」

P「茄子……ずいぶん痩せたな」

茄子「Pさんこそ」

P「綺麗な顔が涙のあとで台無しだぜ?」

茄子「そんな頭で口説いても面白いだけですよ」

P「面白くていいんだよ。笑ってくれよ」

茄子「……それはできないですね」

P「そっか……」

61: ミガサ 2013/06/22(土) 19:20:05.10 ID:PcbzuF3j0
茄子「あの、Pさん」

P「なんだ?」

茄子「私、死のうと思います」

P「……」

茄子「両親は数年前に先に行きました。悲しがる人も、いません」

茄子「私がいたって、誰かに迷惑をかけるだけなんです。だから―――」

P「ふざけんな」ガッ

茄子「っ?!」

62: ミガサ 2013/06/22(土) 19:21:12.91 ID:PcbzuF3j0
P「他人に迷惑かけたから死ぬ、だ?」

P「ふざけんなよ。自分勝手もいいところだ」

P「人間なんて、絶対誰かに迷惑をかけながら生きてんだよ」

P「家族だったり、友達だったり、恋人だったり、上司だったり!」

P「だけど、死んで誰かに迷惑をかけるのだけは、絶対にしちゃいけない」

P「迷惑かけたやつに、文句の一つも言えなくなるから」

P「文句を言い合って、人間は迷惑を許しあうんだ。それがどんなに辛辣でも、どんなに悲観的だったとしても!」

P「―――だから、俺に文句の一つくらい、笑って言わせろ!」

63: ミガサ 2013/06/22(土) 19:21:52.07 ID:PcbzuF3j0
茄子「……」

P「……」

茄子「……私、凄く迷惑ですよ?」

P「知ってる」

茄子「アイス、十本も当てちゃうくらい迷惑ですよ?」

P「前みたいに全部食って腹壊してやるよ」

茄子「季節が過ぎても、育ててる花が咲いちゃうくらい迷惑ですよ?」

P「一緒にその花が枯れるまで育ててやるよ」

茄子「……Pさんに、癌を発症させちゃうくらい迷惑ですよ?」

P「新しいジャンル、病ませる系女子だな」

64: ミガサ 2013/06/22(土) 19:22:41.73 ID:PcbzuF3j0
茄子「……それでも、まだ」

茄子「迷惑、かけても……いいんですか?」ポロポロ

P「その度に言ってやるよ」

P「【お前のせいで大変だったんだからな?】って、笑ってさ」ニコッ

茄子「……っ!!」

茄子「……P、さん」

65: ミガサ 2013/06/22(土) 19:23:22.63 ID:PcbzuF3j0
P「……なん、だ?」

茄子「ずっと、言いたかったんです。私、貴方の事が―――」

ピーピーピーピー!!

茄子「―――え?」

P「……ははは、思ったより早かったなぁ」

茄子「早かったって、何が」

P「……俺の、限界かな」ボスッ

茄子「Pさん?!」

66: ミガサ 2013/06/22(土) 19:24:44.10 ID:PcbzuF3j0
P「ナースコール、してくれるか……そろそろマジでヤバイ……」

茄子「わ、わかりました!!ほ、他にすることはありませんか?!」

P「じゃあ……最後まで、傍にいてくれ」

茄子「なん、で。私がいたら、ただでさえ成功の確率の低い手術が―――」

P「個人的な願望、かな……最後は、茄子に看取られたい」

茄子「そんなっ、最後、なんて」

67: ミガサ 2013/06/22(土) 19:25:26.86 ID:PcbzuF3j0
看護婦「すみません!Pさん、大丈夫ですか?!」

P「……いえ……」

医者「緊急手術の準備を!!」

看護婦「はいっ!!」

茄子「っ」

私に、出来ることはないのか。

看取る以外に、近くにいる以外に、出来ること―――

68: ミガサ 2013/06/22(土) 19:26:13.06 ID:PcbzuF3j0
―――回想―――

茄子「……うう、また外れちゃった……」

茄子母「ふふっ、大丈夫よ。私が当たったから」

茄子父「お、私も当たったぞ」

茄子「うー!お母さんとお父さんずるいー!」

私の父と母は、豪運の持ち主だった。

対して私は、運が悪かった。

69: ミガサ 2013/06/22(土) 19:27:03.87 ID:PcbzuF3j0
だけど、あの日だけは。

私の両親が交通事故で死んだ、あの日だけは。

何故か、私だけ生き残った。

茄子母「……茄子」

茄子「お母さん!話さないで!!もう少しで、救急車来てくれるから!!」

茄子父「茄子、強く生きるんだぞ」

茄子「どうしてそんな事言うの?!ダメ!眠っちゃダメだよ!!」

70: ミガサ 2013/06/22(土) 19:27:33.45 ID:PcbzuF3j0
今日のように、何もできなかった私。

今日のように、私が塞ぎ込んだあの日。

茄子母「……おまじない、効くといいわね」

茄子父「……そうだね」

茄子「嫌!お母さん!お父さん!」

……おまじない?

71: ミガサ 2013/06/22(土) 19:28:06.76 ID:PcbzuF3j0
―――病室―――

茄子「……おま、じない?」

あの日、どうして、運が悪い私だけ死ななかったのか。

あの日、どうして、運が良い両親だけが死んだのか。

茄子「あの日、お母さんとお父さんは私に何をしたの……?」

医者「君!病室から出て―――」

72: ミガサ 2013/06/22(土) 19:28:52.49 ID:PcbzuF3j0
思い出せ。

二人の言っていた、「おまじない」を。

思い出せ。

あの日の両親が、私にしてくれた事を―――

茄子「……」

茄子「……そう、か」

思い出した。あの日、私は

茄子「二人にキス、されたんだ……」

73: ミガサ 2013/06/22(土) 19:30:19.44 ID:PcbzuF3j0
二人が昔、頑なになって拒んでいた私へのキス。

一回もしてくれなかった、ほっぺたへのキス。

他の子がやっているのを見てねだっても、「ごめんね」としか言ってくれなかった。

だけどあの日だけは、二人が自分から私にキスをしてくれた。

茄子「……P、さん」

P「ん……?」

もしかしたら、頬でいいのかもしれないけど。

74: ミガサ 2013/06/22(土) 19:30:54.76 ID:PcbzuF3j0
看護婦「ちょ、あなた!」

茄子「……初めてかもしれないけど、許してくださいね?」

これは、私の勝手な我が儘。あと、貴方にかける最初の迷惑。

医者「君、何を」

そして私は。

貴方の唇に―――キスをした。

75: ミガサ 2013/06/22(土) 19:32:07.38 ID:PcbzuF3j0
―――事務所―――

早苗&幸子「ええええええええ?!」

P「うおっ!?急になんだよ?!」

早苗「じゃ、じゃ、じゃあ!P君のファーストキスって」

幸子「茄子さんって事ですか?!」

茄子「はい~♪私ですね」

早苗&幸子「そんな……」orz

P「いやいやいや。あれはノーカンだろ?」

76: ミガサ 2013/06/22(土) 19:32:43.27 ID:PcbzuF3j0
茄子「うーん……まぁ、そういう事にしといてあげますよ」

P「そういう事って」

茄子「ちなみに私は初めてでした。ふふっ」

P「ごほっ。お前、なんつーことを」

レナ「……それで結局?」

P「見ての通り、手術は成功して生きてますよ。それこそ奇跡みたいに」

レナ「つまり、茄子さんにキスされると物凄く運が良くなれるってこと?」

P「そうみたいですね」

77: ミガサ 2013/06/22(土) 19:33:18.77 ID:PcbzuF3j0
レナ「……ねぇ、茄子さん。百合って興味ある?」

茄子「やりませんよ?」

レナ「ちぇっ。なーんだ。簡単に運が良くなるかなって思ったのに」

茄子「私がキスするのは、Pさんだけです♪」

P「ちょ、お前」

早苗「ちょーっとP君?」

幸子「もしかして……茄子さんと……?」

P「いやいや。俺プロデューサー。茄子アイドル。OK?」

幸子「……まぁ、そうでしょうね」

P「……おう」

78: ミガサ 2013/06/22(土) 19:34:28.50 ID:PcbzuF3j0
早苗「さて、茄子さんのお話も聞き終わったところだし……」

茄子「次はレナさんのお話の番ですね~」

P「……えぇー」

茄子「Pさん」

P「ん?」

茄子「……次は、本気で行きますから」

P「え、ちょ」

茄子「ふふっ、それじゃ始めましょうか」

レナ「配るわよ~」

79: ミガサ 2013/06/22(土) 19:35:37.26 ID:PcbzuF3j0
茄子「(ねぇ、Pさん。なんで私がPさん以外の人とキスしないか、わかりますか?)」

茄子「(……祖母から聞いたんです)」

茄子「(キスは、運勢を渡す為のものじゃなくて、運勢を共有する為の手段なんですって)」

茄子「(だからあの二人は、私にキスしようとしなかったらしいです)」

茄子「(そして―――これは、迷信かもしれませんけど)」

茄子「(運勢を共有した二人は―――永遠に離れることはない、らしいですよ?)」

茄子「(運勢共有体……ふふっ、いい響きだと思いませんか?ね、Pさん?)」

おわり

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/22(土) 21:04:54.45 ID:bWSWonUPo
いい話だった

ところでなんで沖縄だったんだろう?

85: ミガサ 2013/06/22(土) 21:13:41.01 ID:PcbzuF3j0
>>84 完全に出身地を勘違いしてました。首吊ってきます。

88: ミガサ 2013/06/22(土) 21:24:39.41 ID:PcbzuF3j0
皆様には大変ご迷惑をかけました……

後付け設定にはなってしまいますが、島根から沖縄に幼い頃に引っ越したと脳内変換お願いします……
ちゃんとプロフィール確認しないとダメっすね……

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/22(土) 21:41:08.11 ID:t4mGg7b5o
何か理由があるのかと思って読んでたわ…
沖縄は離島ならともかく少子化で合同学級が多いみたいなイメージもなかったし

読むときは沖縄→島根と脳内変換してくださいのほうがいいかもね
島根=出雲大社だし、出身地への意味づけが結構強いキャラだから

92: ミガサ 2013/06/22(土) 22:08:49.16 ID:PcbzuF3j0
>>89 補足や色々、ありがとうございます……

96: ミガサ 2013/06/23(日) 16:00:43.33 ID:JquziKnG0
おまけというかお詫びというか。
島根と脳内変換してお読みください。

97: ミガサ 2013/06/23(日) 16:03:11.45 ID:JquziKnG0
「神様の悪戯」

―――退院後 学校―――

P「おいーっす!」

生徒A「うぃーっす!」

生徒B「おおP!復帰おめでとう!」

生徒C「相変わらずハゲてるけどな」

P「その事は言うなよ……」ピカーン

98: ミガサ 2013/06/23(日) 16:03:43.11 ID:JquziKnG0
生徒D「ははっ、でもそっちのが似合ってない?」

生徒E「そうかもねー」

P「マジ?じゃあ俺今日から坊主で過ごすわ」

茄子「やめてください」

P「おう、茄子。おはよう」

茄子「Pさんは絶対、髪あった方がカッコイイですから」

P「まぁ、茄子が言うならそうなのかなー」

99: ミガサ 2013/06/23(日) 16:07:17.88 ID:JquziKnG0
生徒D「うわ、もしかして付き合ってる?」

P「いやいや。正直、一番過ごした時間長いしさ」

生徒E「これは数日したら付き合っちゃうかもね~」

P「いやいや、それは……茄子?」

茄子「……」カァァァ

P「え」

生徒D「うわー!脈ありだよコレはー!」

茄子「も、もう!からかわないでください!!」

100: ミガサ 2013/06/23(日) 16:08:53.63 ID:JquziKnG0
生徒E「流石、キスしてただけあるね~」

P「ぶっ!」

茄子「あ、あああああ、あれは!その!せ、選別、というか?そ、そう!」

茄子「Pさんが、キスもした事ないで死ねるかって言うから、仕方なく!」

P「えぇ?!」

生徒D「うわ……」

生徒E「引くわ……」

P「なんで?!なんで俺の株下がってんの?!」

101: ミガサ 2013/06/23(日) 16:09:26.53 ID:JquziKnG0
生徒A「だってなぁ」

生徒B「まぁ俺もそう思うけどさ」

生徒C「クラスメイトにキスさせるって……」

P「いやいやいや!!俺そんな事言ってねぇから!!」

茄子「ひ、酷いです!」

P「うぇ?!」

茄子「私は初めてだったんですよ?……乙女心を弄ぶなんて、酷いです!」

P「なんでだよ!?」

102: ミガサ 2013/06/23(日) 16:10:34.73 ID:JquziKnG0
生徒D「うわーうわー……これは責任取らなくちゃー」

生徒E「もう結婚しちゃうなよYOU」

茄子「え、あ、う……そ、そこまでは……まだ、早いような気もしますけど……」

生徒D「聞きました?まだ早いって言いましたよこの子」

生徒E「つまり、結婚する予定があると。ええ」

茄子「もーっ!!!」

P「茄子、不用意に悪ノリするとこうなるからな?」

103: ミガサ 2013/06/23(日) 16:11:17.59 ID:JquziKnG0
茄子「うう、わ、私だってたまにはPさんをからかいたかったんです」

P「俺をからかうなんて百年早いよ」

茄子「そんな事言ってられるのも、今のうち―――」

P「茄子、可愛いぞ」ボソッ

茄子「―――っ!!」ボッ

生徒D「耳元で息を吹きかけながらかぁー!今のは効くなぁー!」

生徒E「あたしでも赤くなっちゃうよー!」

茄子「あう、あう、あうあうあ……」カァァァ

104: ミガサ 2013/06/23(日) 16:12:34.12 ID:JquziKnG0
生徒A「ちょ、鷹富士大丈夫か?」

生徒B「こうか は ばつぐんだ!」

茄子「ほ、保健室行ってきます!」タッタッタ

生徒C「……なぁP。なんでお前、そんなに女の扱いに慣れてんの?」

P「うーん。親子の性というか。まぁ、血は争えないってことかな」

生徒C「なんだよそれ」

P「さーってと。授業の準備っと」

生徒D「相変わらずの切り替えの速さね……」

105: ミガサ 2013/06/23(日) 16:13:40.09 ID:JquziKnG0
茄子「うー……」

生徒E「どうだった?茄子」

茄子「……恋の病、らしいです……」

生徒E&D『あはは……(先生にまでからかわれたか)』

茄子「いつか治りますかねこれ……」

生徒D「治るよ、きっと!」

茄子「そうだといいんですけどね……」

106: ミガサ 2013/06/23(日) 16:14:25.82 ID:JquziKnG0
楽しかった。

茄子「あ、アイス当たりました♪」

P「俺も当たった」

生徒A「勘弁してくれよ……何本食わせる気だ」

あなたと過ごす一日一日が、輝いてた。

茄子「うーん……髪、伸ばそうかしら」

P「茄子は髪、短いほうが似合ってるよ」

茄子「そうですか?」

107: ミガサ 2013/06/23(日) 16:15:54.51 ID:JquziKnG0
いつの間にか、周りの人を不幸にすることはなくなっていた。

共同体は、お互いが、お互いの幸運を吸い取りあうから、だそうだ。

生徒D「あの、その、ずっと前から好きでした!」

P「……ごめん。俺は君とは付き合えない」

生徒D「ど、どうして……?」

P「……茄子が、いるから」

生徒D「……そっか、やっぱり?私、負けちゃってたかぁ」

P「ごめんな、ホント」

生徒D「い、いいっていいって……うん……」

108: ミガサ 2013/06/23(日) 16:16:58.11 ID:JquziKnG0
だけど、別れの日は突然にやって来る。

あなたの髪も、元々の長さに戻り始めてきた夏の日。

あなたが倒れた日と同じく、天気はジメジメとした雨。

茄子「……転校、ですか?」

P「ああ……東京に、戻る」

茄子「……そうですか」

P「驚かないんだな」

茄子「なんとなく、そんな気はしてましたから」

109: ミガサ 2013/06/23(日) 16:17:43.77 ID:JquziKnG0
嘘。

今だって、泣き喚きたいほどだ。

でも、もうあなたに迷惑はかけたくないから。

茄子「……また、会いましょう?」ニコッ

笑顔で別れようって、そう決めた。

P「……茄子」

P「毎日、【お前のせいで大変だったんだからな?】」

茄子「っ」

110: ミガサ 2013/06/23(日) 16:18:23.12 ID:JquziKnG0
P「だけど……毎日、楽しかった」

P「ありがとう。また、会おうな!」ニコッ

茄子「……はいっ!」ニコッ

今の私は綺麗に笑えているだろうか、それとも、泣いているだろうか。

私達は運勢共同体。

きっと、また、どこかで会えると信じて。

111: ミガサ 2013/06/23(日) 16:22:02.19 ID:JquziKnG0
―――数年後 神社―――

時は流れて―――

私が、上京してから初めての初詣。

テレビでしか見た事のなかったような神社の境内で、私は歩いていた。

茄子「凄い人だかりですね……」

改めて感じる。東京ってすごい。

112: ミガサ 2013/06/23(日) 16:22:39.04 ID:JquziKnG0
茄子「……今年は、いい年になりますかね」

茄子「いえ、いい年に、しましょう」

そう意気込んでいざ、賽銭箱へ。

その時―――ふと、人ごみをかき分けて私の前に一人の男性が現れた。

人に揉みくちゃにされて、よれよれのスーツ。

少し冴えない、けど優しそうな顔。

肩で息をしているその人は、私を見て言った。

113: ミガサ 2013/06/23(日) 16:24:21.21 ID:JquziKnG0
P「あの、ちょっとすみません」

茄子「……」

もう、神様。

サービスが、良すぎるんじゃないですか?

私の願い事、もう叶っちゃいましたよ。

P「って……あれ?」

茄子「……ふふっ」

114: ミガサ 2013/06/23(日) 16:25:05.56 ID:JquziKnG0
もしかして、近くで見るまで気づかなかったのかしら?

それだけ、時間が経ったって事ですよ。

茄子「……【あなたのせいで、大変だったんですからね?】」

茄子「約束通り、です」

茄子「お久しぶりです……Pさん」

今年は。

きっと、いつかの毎日のような輝いた日々が待ってる。

そんな気が、しました。

おわり

115: ミガサ 2013/06/23(日) 16:25:44.50 ID:JquziKnG0
読んでくださった方々ありがとうございました。
HTML化出してきます……なんで俺沖縄と間違えてたんだろ。

117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/23(日) 16:39:37.34 ID:CQTP67xq0
乙乙乙

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする