【南条光SS】モバP「巣立ち雛」

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:17:20.70 ID:i48hKn7/o

光「(○月※日。雨)」

光「(その日、アタシはあいつと出会った)」

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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:19:57.64 ID:i48hKn7/o
ザァァァァー…

P「クーラーがモバコイン投入式になったってマジですか」

ちひろ「はい。1時間300モバコインと、大変お求めやすい価格で……」

P「一体誰が払うんです?」

ちひろ「それはもちろん、プロデューサーさんが」

P「はい!?」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:22:29.28 ID:i48hKn7/o
P「こ、これから梅雨に入るってのに……」

ちひろ「電気代もバカになりませんから」

P「外見てくださいよ、どしゃ降りですよ?絶対ジメジメしてきますって」

ちひろ「そうですね」

P「除湿も、必要ですよね?」

ちひろ「そうですね」

P「だったらクーラー入れましょうよ!」

ちひろ「そうですね」ニコッ

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:25:16.69 ID:i48hKn7/o
P「(ちひろさんから、モバコインを払おうとする気がまるで感じられない……)」

P「(あくまでも、俺に払わせるつもりか……!)」

ちひろ「ふぅ。ちょっと暑くなってきましたね~」パタパタ

P「(あ、あんなに胸元広げてアピールしても、俺は屈しないからな!)」ゴクリ

P「(そうだ、絶対に屈し……)」

ガチャッ

光「プロデューサー、大変だ!大変だーっ!」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:27:59.23 ID:i48hKn7/o
P「どうした光、そんなに慌てて」

光「ほら、こいつ!帰ろうとしてたら、玄関の端っこに……!」

麗奈「ちょっと!先に見つけたのはアタシでしょ!?」

光「こいつを助けたのはアタシだ!」

P「待て待て、一体何が……ん?」

ちひろ「……ハンカチに、鳥が包まれてますね」

光「雨に打たれて、すごく弱っててさ……でもまだ、生きてるんだよ!」

光「一体どうしたらいいんだ、プロデューサー!?」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:30:34.20 ID:i48hKn7/o
―――――

―――

ガチャッ

P「………」

ちひろ「あ、お帰りなさいプロデューサーさん」

光「プロデューサー、あの鳥……」

P「あぁ。足に軽いケガをしていたようだが、命に別状はないそうだ」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:32:45.34 ID:i48hKn7/o
光「その段ボールって、巣箱?」

P「まぁな。無いよりはマシ程度だが」

麗奈「……全然動かないんだけど。ホントにこいつ、生きてるわけ?」

P「さっきまで衰弱してたんだ、今はそっとしといてやれ」

光「そ、そっか……でもこの暑さじゃ……」

P「む……」

麗奈「て言うか、何でクーラーつけないのよ?暑苦しいわね」パタパタ

ちひろ「………」ニコッ

P「ク……クソォォォォォ!!」チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:36:44.97 ID:i48hKn7/o
ゴォー…

光「なぁなぁ、コイツどうするんだ?」

P「あぁ、それはだな……」

ちひろ「私が預かりますよ」

P「え?」

ちひろ「光ちゃんと麗奈ちゃんには、この鳥の飼育は難しいでしょうし……」

ちひろ「プロデューサーさんの家は、確かペット禁止のはずでしたよね?」

P「え、えぇまぁ、そうですけど……」

ちひろ「ここ数日預かるだけでしたら、私の方で何とかなりますから」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:40:00.27 ID:i48hKn7/o
P「じゃあ、ちひろさんにお任せすると言うことで」

麗奈「そうよね~、確かに南条やアンタに任せてたら、一日経たずに死なせちゃうものね」

光「そ、それってどういう意味だ!」

P「ハイハイ、そこまで。もう遅いし、お前達もそろそろ帰るんだ」

光「……はーい」タタタ

ガチャッ

バタン

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:41:34.14 ID:i48hKn7/o
P「ふぅ……ようやく帰ったか。やれやれ」

ちひろ「それで、どうだったんですか?」

P「愛護センターには連絡しておきました。保護での飼育なら良いそうです」

ちひろ「そうですか。じゃあやっぱり……」

P「えぇ。こいつは――」

「………」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:43:21.68 ID:i48hKn7/o
光「(○月△日。雨)」

光「(今まで書いたことなんて無かったけど、今日から日記をつけることにした)」

光「(あいつと出会ってから、今日で二日目)」

光「(昨日は全然元気がなかったけど、大丈夫かな……?)」

ガチャッ

光「おはよー、プロデューサー!」

ワイワイ キャイキャイ

光「!?」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:46:34.87 ID:i48hKn7/o
千佳「わぁー……かわいー♪」

麻理菜「ふーん、この鳥が事務所の前でねぇ」

麗奈「このレイナサマが見つけてあげたのよ。でなければ、きっと死んでたわ!」ドヤァ

仁奈「何ていう鳥なのです?」

P「あぁ、そいつはツバメだ」

麻理菜「ツバメって……あの、屋根に巣をつくったりする?」

P「そうだ。体格から見るに、このツバメは……」

光「プロデューサー!」

P「おう、光」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:49:17.96 ID:i48hKn7/o
光「も、もう元気になってるのか!?」

P「そうだなぁ……エサを食べられる位には、何とかってトコだ」

千佳「エサって?」

P「これだ」スッ

仁奈「?……タッパーですか?」

P「麻理菜さん、フタを開けてくれませんか」

麻理菜「私が?別にいいけど……」

パカッ

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:51:49.33 ID:i48hKn7/o
ウニョウニョウニョウニョ…

麻理菜「」

千佳「」

麗奈「」

仁奈「」

光「うわぁ……」

P「どうです、ぶっといでしょう?新鮮なミルワームなんです」

\ギャアアアアアアアアアアアアアアア/

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:54:52.63 ID:i48hKn7/o
千佳「み、みみみ、み……みみみみずぅ……!?」ガタガタ

麗奈「な……な、何なのよこれぇぇぇぇ!?」

P「ミミズじゃないぞ、ミルワームだ」

麻理菜「何で私に開けさせたの!?ねぇ、何で私に開けさせたの!?」

P「え、だって長野出身ですよね?色々虫を食べたりするそうですし、平気だと……」

麻理菜「あ、あれはちゃんとした料理だから!って言うか、長野県民皆が虫を食べてる訳じゃn」

仁奈「ま、麻理菜おねーさんっ!……手に!手に!」

\イヤアアアアアアアアアアアアアアア/

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 21:58:34.02 ID:i48hKn7/o
麻理菜「こ、今度やったらサーフボードぶつけるわよ!?」ハァハァ

P「やめてくださいしんでしまいます」

仁奈「……あのエサしか、食べやがらないのですか?」

P「いや、そんな事は無いぞ。ヒナの頃から、他にハエやトンボだって食っちまうからな」

麗奈「げぇ……」

光「ちょっと意外だなー」

千佳「こんなにカワイイのに……」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:02:47.69 ID:i48hKn7/o
P「流石に好物だけ食うと、栄養が偏って体を壊すからな」

P「だから大体は他のエサ……例えば、すり餌とかも与えなきゃいけないんだ」ゴソゴソ

千佳「すり餌って?」

P「昔からある鳥の餌さ。他にペット用のサプリメントや、ドッグフードなんかでも良い」

麗奈「犬じゃないのにドッグフードまで食べるわけ?」

P「あぁ、ふやかしたものだけど……ほら、これがすり餌」コトッ

麻理菜「さ、最初からそれ出せばよかったじゃない!何なの!?」

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:06:38.24 ID:i48hKn7/o
光「ね、それアタシにもやらせてよ」

P「お、やってみるか?」

光「うん」

P「こう、ピンセットでつまんでだな……そうだ」

パクッ

光「あ、食べた!」

麗奈「ホントに虫、食べるのね……」

P「麻理菜さんもどうです?やってみt……いたっ!いだだだだだ!!」ガスガス

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:10:28.54 ID:i48hKn7/o
光「(○月☆日。曇り)」

光「(一昨日も昨日も、あいつはアタシの出したエサを綺麗に食べてくれた)」

光「(他の皆は忙しいか、エサを気味悪がって誰もやりたがらない)」

光「(だから事務所にいる間は、アタシとプロデューサーが面倒を見ている。エサをやる位は平気だ)」

光「(そろそろ名前も考えてやらないと……)」

友紀「ふーん……この鳥が今話題の、ウチのマスコットね~」

光「とても食いしん坊なんだー」

友紀「うーん、この……なんと言いますか。ペンギンみたい」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:13:34.19 ID:i48hKn7/o
友紀「名前は付いてるの?」

光「ううん、まだ……」

仁奈「フン五郎なのですよ」

光「フン五郎!?」

仁奈「もしくはフン太郎、フンの助、ぴよ子、コトリ……」

光「な、なんでフンが付くんだよ!」

仁奈「あ、光は昨日あの場にいなかったから知らねーのですね」

光「?」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:16:57.00 ID:i48hKn7/o
パクー

バササッ

光「あっ!」

チョコン

友紀「お、おぉ!?……あたしの肩に、乗った?」

光「エサを食べたら、飛んで……って、もう飛べるようになったのか!?」

仁奈「に、逃げるのです、友紀おねーさん!!」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:20:26.38 ID:i48hKn7/o
プリッ

友紀「」ボトッ

光「あ」

仁奈「そいつは、エサを食べたタイミングですぐフンをしやがるのです!」

仁奈「だからフン五郎……」

\ギャアアアアアアアアアアアアアアア/

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:24:59.27 ID:i48hKn7/o
P「いやぁ、麗奈も昨日やられたんだよ。災難だったな、ハッハッハ」

友紀「ハッハッハじゃなぁーい!あたしのユニフォームが~!」ゴシゴシ

光「プロデューサーはこいつの名前、もう付けた?」

P「名前?……うーん、そうだなぁ。スワローとか?」

光「すわろー?」

P「英語でツバメって意味だ」

仁奈「何の捻りもねーですね」

P「そうか?つーかお前達、名前なんてあんまり拘らない方が……」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:28:05.24 ID:i48hKn7/o
友紀「……郎」ボソッ

P「?」

友紀「そいつの名前はつば九郎!うん、間違いない」

光「ツバクロー!?」

友紀「ったく、ホントぐうの音も出ない畜生なんだから……」ブツブツ

光「ツバクローかぁ……カッコいい名前じゃん!」

光「よーし、お前はツバクローに決まり!よかったな、ツバクロー!」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:33:28.13 ID:i48hKn7/o
仁奈「仁奈的にはフン五郎で良かろうなのだです」

光「フン五郎じゃない!ツバクローだ!」

ワーワー ギャーギャー

ちひろ「……プロデューサーさん、ちょっと」

P「はいはい」

光「あ!そうだプロデューサー、話が……」

P「あぁ、後でな」

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:38:48.16 ID:i48hKn7/o
ちひろ「……巣の方なんですけど、見つかりました。事務所のすぐ近くです」

P「……そうですか」

ちひろ「中は空っぽで……もしかしたら皆、巣立った後なのかもしれません」

P「まぁ、実際飛んでますしね。巣から落ちたヒナにしてはデカいなとは思ってましたよ」

ちひろ「では……」

P「……光達には悪いですが、そろそろ――」

麗奈「………」ギリッ

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:48:23.16 ID:i48hKn7/o
光「(×月★日。快晴)」

光「(ツバクローと出会ってから、一週間近く経った)」

光「(今まで言い出せずじまいだったけど、今日こそはプロデューサーに頼んでみようと思う)」

光「(……アタシは、ツバクローを引き取りたかった)」

光「(ちひろさんには、アタシや麗奈に飼育は難しいって言われたけど……)」

光「(これまでプロデューサーと一緒に世話をしてきたし、飼い方は十分学んだつもりだ)」

光「(……これからもずっとツバクローと一緒にいられるのなら、それで良かった)」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:53:39.05 ID:i48hKn7/o
ガチャッ

光「おはよー、ツバクロー!プロデューサー!」

シーン

光「プロデューサー?いないのか?」

光「ツバクロー?……おーい、ツバクロー!」ゴソゴソ

光「……ツバクロー……?」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 22:58:17.02 ID:i48hKn7/o
ジャアアアアアアアア…

ガチャッ

P「あぁクッソ……朝はどうも腹の調子がおかしくなるから困る」

光「プロデューサー!……プロデューサーッ!!」ダッ

P「!?ど、どうした光。こんな朝早く……」

光「ツバクローが……ツバクローが、どこにもいないんだ!」

P「何?」

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:02:25.06 ID:i48hKn7/o
P「おいおい……マジでいなくなってるのか」

光「どこ行っちゃったんだよ、あいつ……!」

P「(おかしいな……俺が今朝来た時には、ちゃんと……)」

麗奈「朝っぱらから騒々しいわね~」

P「あれ?麗奈、お前来てたのか」

麗奈「……何よ。早めに来てたら悪いっての?」

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:06:55.14 ID:i48hKn7/o
光「麗奈!ツバクローを見なかったか!?」

麗奈「は?ツバクロー?……もしかして、フン太郎のこと?」

光「フン太郎じゃない!ツバクローだ!」

麗奈「フン太郎はフン太郎でしょ……で?そいつがどうしたってのよ」

光「あいつ……いつの間にか、いなくなってて……!」

麗奈「あ、そうなの?じゃあ、逃げたんじゃない?」

光「……え?」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:12:08.02 ID:i48hKn7/o
麗奈「結局、野生の生き物だったってこと……」

麗奈「あんな段ボールの巣箱で収まるような奴じゃなかったのよ。潔く諦めたら?」

光「……そ、そんな事……!」

麗奈「あるわけないって?」

光「当たり前だろ!!」

P「……まさか麗奈、お前」

麗奈「アンタは黙ってて」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:15:42.77 ID:i48hKn7/o
光「麗奈……お前、ツバクローの何を知ってるんだ……!?」

麗奈「………」

光「ツバクローに、何かしたんだろ!?答えろよ、麗奈!!」

麗奈「ううん、フン太郎には何もしてないわ」

光「だからフン太郎じゃなくて、ツバクローだって何度も言って……」

麗奈「巣箱を外に持って行ったら、あの鳥は自分から飛んでっちゃった」

麗奈「……それだけの話よ」

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:19:47.33 ID:i48hKn7/o
光「」

P「……俺がトイレで唸ってる間に、巣箱を動かしたのか」

麗奈「えぇその通り。他の誰でもない、このレイナサマがね!」ドヤァ

光「どういう事だよ、それ……!」

麗奈「あわよくば……自分が飼うつもりでいたんでしょ?フン太郎」

光「!」

麗奈「図星?って言うかアンタ、知らなかったの?」

光「な、何を……」

麗奈「あの鳥はねぇ、飼っちゃいけない鳥なのよ」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:25:16.97 ID:i48hKn7/o
光「………」

麗奈「ツバメは国で保護されてる野鳥だから。勝手に飼ったらダメなの」

麗奈「ケガが治ったら、自然に帰すしかなかったってわけ。分かる?」

麗奈「何をどうしたって、アンタにフン太郎は飼えなかったのよ。絶対にね」

光「だからって……何で!……何でそんな、勝手なことしたんだよ!」

光「アタシ……アタシまだツバクローに、何にもっ……」

麗奈「だってアンタがいたら、絶対手放そうとしないじゃない。だからアタシが直々――」

光「ふざけるなぁっ!!」グイッ

P「待て待て待て、落ち着け!」

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:29:37.67 ID:i48hKn7/o
麗奈「ケホッ、ケホッ……」

光「っ……」ギリッ

麗奈「………ふん、随分乱暴じゃない。人の胸倉掴み上げて……気は済んだ?」

光「何だと……!」

麗奈「名前まで付けちゃって、勝手に盛り上がってさぁ……バッカみたい!」

麗奈「とんだお笑い草よね!どうせ放してあげなきゃいけなかったのに!」

P「いい加減にしないか!!」

麗奈「」ビクッ

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:33:24.49 ID:i48hKn7/o
P「……麗奈」

麗奈「な、何よ……アンタだって最初から、逃がすつもりだったくせに……!」

P「!……やっぱりお前、聞いて……」

麗奈「っ……」ダッ

P「お、おい!待つんだ麗奈!」

バタン

光「………」

P「………」

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:42:03.79 ID:i48hKn7/o
P「……麗奈の言った事は、本当だ」

光「………」

P「ケガが治り次第……いや、今日にでも俺が放す予定だったんだ」

光「………」

P「これ以上世話を続けたら、あのツバメは自然に帰せなくなる」

P「人が与えた餌しか食べないツバメは、外では生きていけなくなってしまうんだよ」

光「………」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:45:28.33 ID:i48hKn7/o
光「……どうして」

光「どうしてそれ、アタシ達に教えてくれなかったんだ……?」

P「………」

光「……答えてよ」

P「………あの鳥に、一番懐いてたお前達には……今更とてもこんな事は、言い出せなかったんだ」

光「………」

P「……黙っていて、すまなかった」

光「プロデューサーが謝ったって……ツバクローはもう……」

P「……………」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:49:23.84 ID:i48hKn7/o
千佳「ふふふーんふんふっふー♪今日はー魔法少女のー鑑賞会ー♪」ランラン

千佳「タイトルは確か、えっと……まどか、マギ……だっけ?」

千佳「奈緒お姉ちゃんのオススメだし、とっても楽しみ……あれ?」

麗奈「………」ゴシゴシ

千佳「麗奈ちゃん、今日は早いねー。確か昼からだったんじゃ……」

千佳「って、大丈夫?……目、腫れてるよ?」

麗奈「………」

千佳「麗奈ちゃん……?」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:52:19.36 ID:i48hKn7/o
~夕方~

光「………」グデー

ちひろ「朝から光ちゃん、ずっとあんな状態なんですよ」

仁奈「フン五郎が逃げたのがすげーショックだったみたいです」

麻理菜「重傷ねぇ……ペットロス症候群って奴?」

ちひろ「何とかしてあげられたらいいんですけど……」

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:56:36.49 ID:i48hKn7/o
友紀「―――それでどうしてあたしが選ばれるんです?」

麻理菜「そりゃ光ちゃん以外だと、あなたが一番フンの助と仲良かったし」

友紀「いや、仲良かったなんてものじゃないですよ!?」

友紀「って言うかあの畜生、やたらあたしに爆撃してくるから超敵対してた方なんですけど!」

ちひろ「再起不能に陥るヒーロー。でも誰も救いの手を差し伸べてあげられない」

ちひろ「そんな時、彼女を救ってくれるのは……」

仁奈「まさかのライバルでごぜーますね!燃える展開なのですよ!」

友紀「いやいやいや、いつライバルになったのよ」

麻理菜「つべこべ言わずにさっさと行きなさい」ドン

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/24(金) 23:59:28.65 ID:i48hKn7/o
友紀「ったく……一体あたしにどうしろって言うの?」

光「………」ブラーン

友紀「………」

友紀「ね、ねぇ?お腹すいてない?」

光「………」

友紀「丁度今手元にさ、キャッツ球団特製のねこっぴーまんじゅうがあるんだけど……」

友紀「どう?一緒に食べない?」スッ

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:02:48.42 ID:BmVQhdBeo
光「………」

友紀「ほ、ほら!今ならなんと、このねこっぴーストラップも付いてくるよ!」

友紀「ちなみにこれ宮崎キャンプの売店の限定品でね、すっごいレア……」

光「要らない」

友紀「え~?ホントに~?ねこっぴーファンなら垂涎モノよ?」

光「要らない」

友紀「今貰わないと……次、ないよ?だってこれ限定品」

光「要らないってば!」バシッ

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:06:35.61 ID:BmVQhdBeo
友紀「おっかしいなぁ、これに食いつかないなんて……何かの病気?」

ちひろ「誰がホームランスマイルを使えって言いました?」

仁奈「ネコはツバメの天敵ですよ?何考えてやがるですか」

麻理菜「……あなた、フンの助との思い出をねこっぴーで塗り潰すつもり?」

友紀「ねこっぴーで塗り潰したいのはむしろあたしの方ですよ!」

友紀「……あ、良い事思いついた!」

麻理菜「良い事?」

友紀「ちょっと仁奈、着ぐるみ貸してくれる?」

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:09:02.36 ID:BmVQhdBeo
友紀「ふっふっふ……そうだよ、ツバメにはツバメ……!」グイグイ

ちひろ「……それ、ペンギンの着ぐるみですよ?」

麻理菜「上半身までしか着れてない上にキツキツじゃない。ジャミラじゃないんだから」

仁奈「の、伸ばしたり破ったりしたら承知しねーですよ!?」

ちひろ「と言うか、あれで何をやるつもりなんでしょうかね」

友紀「光チャーン(裏声)」

光「………」

友紀「ボクダヨー、つば九郎ダヨー(裏声)」ヘコヘコ

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:12:51.77 ID:BmVQhdBeo
麻理菜「どうすんの、あれ……」

ちひろ「……止めるべきだったでしょうか」

仁奈「あ、あ、ああぁ……に、仁奈の、仁奈のペンギンキグルミが……!」

友紀「モウカナシマナイデ、光チャン」ヘコヘコ

光「………」

友紀「光チャンガソンナダッタラ、ボクマデカナシクナルヨー」ヘコヘコ

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:17:39.00 ID:BmVQhdBeo
光「………」

友紀「ボクガイナクナッテモ、ゲンキダシテ」

友紀「……ソレカラ、キャッツモオウエンシヨー」

光「(……ツバクロー……)」

光「………」ジワッ

友紀「(あ、あれ?……泣きそう!?なんで!?)」アタフタ

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:21:19.34 ID:BmVQhdBeo
P「大体は千佳から聞いたよ。お前、ずっと隣の公園にいたのか」

麗奈「………」

P「……あんな事をした気持ちは分からなくもないが、光の方は何も知らなかったんだ」

麗奈「………」

P「今更、こんな事を言う資格なんて俺には無いと分かってるが……せめて、あいつには」

麗奈「分かってるわよ」

P「(……参ったなぁ。こっちも相当重傷だ)」

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:23:45.18 ID:BmVQhdBeo
ガチャッ

P「一体どうすりゃ……」

友紀「光チャーン!ナカナイデー、光チャーン!」ヘコヘコ

光「………」グスッ

P「……はい?」

56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:27:53.75 ID:BmVQhdBeo
麻理菜「あ、やば……」

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん?」

仁奈「もう絶対伸びてるです……あまりに惨たらし過ぎるのです……」プルプル

P「……友紀の奴、一体何をやって」

バササッ

P「ん?」

麗奈「えっ……!?」

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:32:44.72 ID:BmVQhdBeo
チョコン

友紀「光チャン!光チャ……えっ?」

ちひろ「友紀ちゃんの頭上に、鳥が……」

麻理菜「って言うか、あれって」

光「……ツバクロー!?」

プリッ

友紀「」ボトッ

仁奈「」

\ギャアアアアアアアアアアアアアアア/

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:38:09.49 ID:BmVQhdBeo
麗奈「う、ウソでしょ……?」

P「窓の隙間から入ってきたのか……」

友紀「」プルプル

光「ツバクロー……ホントに、お前なのか?」

ちひろ「……プロデューサーさん、これって」

P「………」

光「……………」

「チィチィ チュリリ」

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:42:57.48 ID:BmVQhdBeo
光「……ダメじゃないか、帰ってきたら」

「?」

光「ほら、あっちだ」

ガララッ

「チィチィ」

光「……もう、戻ってくるんじゃないぞ」

ピシャッ

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:45:31.46 ID:BmVQhdBeo
コツコツコツ コツンコツン

麻理菜「……あの子、窓をつついてるわ」

麗奈「南条、アンタ……」

光「っ……」

ガララッ

光「戻ってくるなよ!あっち行け!」ブンブン

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:48:52.94 ID:BmVQhdBeo
「チィチュリリ」

光「……行けったら!!」ブンブン

バササッ

光「………」

P「……光」

光「……これが、ツバクローのためなんだよね」

P「あ、あぁ。だが……」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:55:29.96 ID:BmVQhdBeo
光「うん。もういいんだ」

光「いつかツバクローとはこうなるって……そんな気はしてたから」

P「……そうか」

光「だからさ、今度こそ……ちゃんと、お別れしておきたかったんだ」

麗奈「………」

光「……バイバイ、ツバクロー」

光「今まで楽しかったよ。いつまでも、元気でね」

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 00:58:51.04 ID:BmVQhdBeo
光「(その日、麗奈はアタシに謝ってきた)」

光「(どうせ放すならプロデューサーに放される前に、自分の手で放してやりたかった、って)」

光「(知ってたら、アタシだって同じことをしただろう。麗奈のことは、責められなかった)」

光「(フンだらけだった段ボールの巣箱は、もう事務所にはない)」

光「(ツバクローなんて最初からいなかったみたいに、綺麗に片付けられた)」

光「(……アタシが日記をつけるのも、多分これで最後になる)」

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 01:02:08.79 ID:BmVQhdBeo
光「………」カキカキ

麗奈「何これ?」ヒョイ

光「あっ……な、何するんだ!」

麗奈「へぇ~。アンタ、日記なんてつけてたんだ」ペラペラ

光「何勝手に見てるんだよ!返せ!」

麗奈「どれどれ……『その日、アタシはあいつと出会った』……」

光「お、音読するなーっ!!」

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 01:05:00.25 ID:BmVQhdBeo
麗奈「別にいいじゃない、ちょっとくらい」

光「おいバカやめ……!」

麗奈「『今まで書いたことなんてなかったけど、今日から日記を』……」

光「………」

麗奈「……って、ちょっと。何アタシ無視して窓なんか見てんのよ」

光「あれ、ツバクローかな」

麗奈「え?」

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 01:09:53.77 ID:BmVQhdBeo
麗奈「ど、どこよ!見間違いじゃないでしょうね!?」

光「……なーんてな!」サッ

麗奈「あっ!」

光「ったく、油断も隙もないんだから……」ゴソゴソ

光「(もうこの日記以外、何も残っちゃいないけど)」

光「(ツバクローと過ごした時間は、絶対……忘れない)」

おわり

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