【島村卯月SS】卯月「家出してきました」 

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:12:16.52 :BsFEg1gO0

アニメ版アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
時期的には24話と25話の間です。

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:13:08.88 :BsFEg1gO0

卯月「家出してきました」

武内P「……はい?」

卯月「ですから、家出してきたんです。ですから、泊めてください!」

武内P「……」

武内P(落ち着いて、状況を整理しよう)
武内P(冬の舞踏会を控えたこの寒い日、珍しく早めに部屋に戻れた)
武内P(そうしたら、玄関の前に島村さんが居た……)

武内P「……その段階で意味がわかりません」

卯月「あの、どうしたんですか?」

武内P「すみません、いくつかご質問をよろしいですか?」

卯月「はいっ!」

武内P「まず、家出してきたと言いましたが、それは事実ですか?」

卯月「もちろんですっ!」

武内P「そんなに力強く答えなくて結構です。ですが、いい笑顔です」

卯月「ありがとうございますっ!」

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:14:43.47 :BsFEg1gO0

武内P「次に、なぜ家出をしたのですか?」

卯月「……それは……」

武内P「……」

卯月「言わないと、駄目ですか?」

武内P「言わなければ無理にでも家に送り返します」

武内P(とは言ったものの……気の毒ですが、言ったとしても家に帰ってもらいましょう)

卯月「その……アイドル」

武内P「アイドル?」

卯月「ママに……アイドル、辞めろって言われたんです」

武内P「!?」

卯月「プ、プロデューサー!?」

武内P「まだ小さくともこの星は確かに輝いている、その輝きを消してしまうのはまだ早い。弱い輝きも、無ではないのです!」

卯月「落ち着いてください、詩人みたいになってますよ!」

武内P「失礼しました……」

卯月「あの、ママにアイドル辞めろって言われて……それで、家出して来ちゃったんです」

武内P「……よほど急いでいたのですね、制服のまま来るとは……」

卯月「あはは……くしゅっ」

武内P(……まだ寒い季節だ、泊める泊めないを決断するにしても、寒空の下は厳しいか……)

武内P「とにかく、中に入ってください」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:15:58.35 :BsFEg1gO0

卯月「あ、ありがとうございますっ!」

武内P「……ところで、何故、私のマンションの場所が分かったのですか?」

卯月「教えてもらったんです」

武内P「いったい、誰に?」

卯月「都ちゃんです! 秋頃に仲良くなったんですよ!」

武内P「はあ……」

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:16:52.49 :BsFEg1gO0

―――
―――室内

卯月「うわあ、ここがプロデューサーさんのお部屋なんですね」

武内P「何分、男の一人暮らしです。むさ苦しいところをお見せしてすみません」

卯月「そんな、私の部屋よりよっぽど片付いてます」

武内P「……」

武内P(さて……どうしたものか)
武内P(まずは島村さんの家族に連絡を取らなければ)
武内P(つぎに、彼女をどうするか……まさか泊める訳にもいかない)
武内P(千川さん……いや、プロジェクトの誰かの家に送るにしても、連絡する必要がある)
武内P(そうなると、彼女に聞かれているのは良くない)

武内P「島村さん!」

卯月「は、はい!」

武内P「お風呂に、入りませんか?」

卯月「……………………………………………………………………………………はい?」

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:17:27.47 :BsFEg1gO0

武内P「寒空の下に長い間居たのですから、身体が冷えているでしょう。まずは、暖まってください」

卯月「そそそ、そうですよね!」

武内P「着替えは私のシャツを使ってください、いいですね! じっくり暖まってください!」

武内P「けっして!」

武内P「あせって!」

武内P「すぐに出てこないように!」

卯月「は、はい!」

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:18:18.96 :BsFEg1gO0

―――

武内P「さて……まずは島村さんのご家族に……」

――プルルルルル
――プルルルルル
ガッシャ

卯月ママ「はい、島村です」

武内P「夜分遅くに失礼します――」

――事情を説明――

卯月ママ「そうですか……卯月が申し訳ありません」

武内P「はい、それで――」

卯月ママ「今晩は、そちらに泊まるんですよね?」

武内P「は?」

卯月ママ「すみません、あれで頑固なところがあるので、言い出したら聞かないですよね。このお詫びは、後日必ずいたします」

武内P「あ、あの!」

卯月ママ「それでは、よろしくお願いします」

武内P「話を聞いてください!」

――ガチャ
――ツーツーツー

武内P「……訳が、分かりません」

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:19:15.44 :BsFEg1gO0

武内P「落ち着こう……この時間に島村さんを家に泊められそうな人は……」

武内P「そうだ、渋谷さん!」

――プルルルルル
――プルルルルル
ガッシャ

武内P「渋谷さん!」

凛「プロデューサー、こんな時間にどうしたの?」

武内P「実は――」

――事情を説明――

凛「ふーん、そうなんだ……卯月が、ふーん、そうなんだ、ふーん」

武内P「あの、渋谷さん?」

凛「あ、ちょっと出かけてくる……」

凛「え、止めないでよ……危ない?」

凛「なんでハナコまで……」

凛「っ!? 呼んでる……大いなる空の世界で、団長たちが助けを求めてる」

――ガチャ
――ツーツーツー

武内P「……」

武内P(いったい、何が)

卯月「プロデューサーさん?」

武内P「!?」

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:20:23.04 :BsFEg1gO0

卯月「お風呂いただきました。ありがとうございます」

武内P「そそそ、その格好は?」

卯月「あ、えっと、言われたとおりにシャツを着替えにしたんですけど、何か変ですか?」

武内P「い、いえ……」

武内P「そ、その……何と言うか、無防備な姿を見るのは久しぶりなので、驚いてしまって」

卯月「えっと、そんなことありましたっけ?」

武内P「はい、前に風邪で休まれたときに……」

卯月「あっ……未央ちゃんの……」

武内P「そ、そうです! これから、本田さんのお宅に行きませんか?」

卯月「え、こんな遅くに迷惑ですよ」

武内P「いえ。それに、卯月さんが泊まるのなら、男の一人部屋よりもそちらの方が」

卯月「えっと、それは……無理です……」

武内P「どうしてですか?」

卯月「その……今、これ一枚しか着てないんです」

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:21:25.54 :BsFEg1gO0

武内P「……一枚?」

武内P「一枚ということは、その、し、下着は……」

卯月「ありません……」

武内P「……」

卯月「あの、下着の替えがなかったんです」

武内P「……アタシポンコツアンドロイドですか?」

卯月「脱いじゃってません!!」

武内P「……寒空の元、下着も着けていないシャツ一枚の少女を連れ出す」

卯月「犯罪ですねっ!」

武内P「……仕方ありません、今日だけですよ」

卯月「ありがとうございます!」

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:22:09.35 :BsFEg1gO0

―――

卯月「それにしても……」

武内P「どうしました?」

卯月「あんまり、物を置いてないんですね」

武内P「元々、あまり物を持つ人間ではないので」

卯月「はあ~~私なんか、そんなの必要ないのにって、ママからしょっちゅう怒られてます」

武内P「それだけ、島村さんが多趣味だと言う事でしょう」

卯月「堪え性がないだけかもしれないです」

武内P「そんなことはありません。あなたの強さは、私が保証します」

卯月「そう、ですか?」

武内P「……」

卯月「……」

武内P「……」

卯月「……」

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:22:45.53 :BsFEg1gO0

武内P「……」

卯月「……」

武内P「あのっ」

卯月「あのっ」

武内P「そちらからどうぞ」

卯月「あ、ありがとうございます」

卯月「その、家出してきた理由……なんですけど」

武内P「アイドルを辞めるか、ですね」

卯月「はい……実は、ママ、12月までのこと、すごい心配してて」

武内P「……養成所で数ヶ月、ひたすらレッスンを繰り返していた時ですね」

卯月「その間、家でもずっと笑顔になれなくて……それで、心配してたみたいなんです」

武内P「……」

卯月「それに、私、あんまり身体も丈夫じゃなくて」

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:23:21.30 :BsFEg1gO0

卯月「未央ちゃんの時も、一番大事な時に倒れちゃって」

卯月「それだけじゃなくて、昔からなんです……養成所の時も、いざオーディションの直前で倒れちゃったり、それで心配をかけて」

卯月「それで、実は今日は、レッスンの途中でへばっちゃって……トレーナーさんから、ママに連絡がいったみたいなんです」

武内P「それは……」

卯月「心配ないって言っても、聞いてくれなくて……それで、ケンカになっちゃって」

武内P「……」

卯月「……」

武内P「島村さん、明日になったら、もう一度ご家族と話し合ってください」

卯月「……でも」

武内P「大丈夫です。ずっと島村さんの夢を応援してくれた家族なのですから」

卯月「……」

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:23:50.16 :BsFEg1gO0

武内P「安部さんを、知っていますね」

卯月「はい、菜々ちゃんですよね」

武内P「彼女が346カフェで働いている理由を、知っていますか?」

卯月「えっと、お金が足りないから」

武内P「ええ。彼女はシンデレラプロジェクトの皆さんとは違い、金銭的に困窮しています」

武内P「それは、ご家族からの支援を受けられないからです」

卯月「あ……」

武内P「島村さん。あなたが万全にアイドルとして活動できるのも、その前の養成所に通えていたのも、あなたを応援する家族の支援があってこそです」

武内P「ですから、必ず、話し合ってください」

卯月「……はい」

武内P「さあ、今日はもう寝ましょう」

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:24:17.71 :BsFEg1gO0

―――

武内P(翌朝、島村さんは元気に家へと帰っていった)

武内P(きっと、彼女ならば大丈夫だろう……)

―――
―――346プロ

常務「待っていたぞ」

武内P「……あの、何か?」

常務「アイドルを部屋に泊めたそうだな」

武内P「!? 何故、それを」

常務「渋谷君からの報告だ」

武内P「な、何故渋谷さんから!?」

常務「彼女もクローネの一員だ。連絡手段くらい用意しているに決まっているだろう」

常務「さあ、弁解を聞こう。今西と千川も待っているぞ」

武内P「……はあ……」

――終わり

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:25:09.15 :BsFEg1gO0

以上です。短いですが、失礼しました。
お付き合いいただき、ありがとうございます。

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/13(水) 00:27:06.75 :jz11Hh5qO
これからだろぉぉぉ武うづはよ

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【SS速報VIP】卯月「家出してきました」
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